圧力 - みる会図書館


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1. 物理学

348 付録物理量と単位 B-2 組立単位 たとえば , 速さは , 時速 60 キロ (60km/h) の制限速度とか , 秒速 12 メー トル ( 12 m/s) の強風というように , 必ず [ 長さ ] [ 速さコ = [ 時間 ] という単位で表わされる・このとき , 速さは , 長さを時間で割った次元またはデイメ ンジョンをもつ量であるといい , その関係を上のように表わす . 面積は長さの 2 乗 , 体積は長さの 3 乗の次元をもつ , といった工合である . そうすると , 面積の SI 単位は m2 ( 平方メートル , 平米 ) , 速さの SI 単位は m/s ま たは m ・ s-l ( メートル毎秒 ) ということになる . よく用いられる組立単位のうちには特別の名称をもったものも多い . それらを B-I 表に示す . B-I 表特別の名をもった SI 組立単位 基本単位 , 補助単位の乗べきの積で表わした 単位 場合の乗べきの数値 物 単位の名称 理 量 記号 m kg s A K m01 cd rad sr 周波数 Hz 、ノレッ カ ニュートン 圧力 , 応力 / くスカル エネルギー , 仕事 , 熱量 シ・ユー - / レ 仕事率 , 放射束 電気量 , 電荷 クーロン 電圧 , 電位 ( 差 ) , 起電力 ポルト V 2 電気容量 ファラド 電気抵抗 0 2 ( 電気の ) コンダクタンス ジーメンス 磁束 Wb 2 磁束密度 テスラ インダクタンス ヘンリ H セルシウス温度 セルシウス度 0C 光束 lm ルーメン 照度 lx ルクス 1 一 1 1 1 1 1 つつん ~ 1 1 っ 1 っ 1 -1 -1 っ朝 2 1 1 1 1 1

2. 物理学

182 5. 温度と熱 積が巧の物質がもつ工クセルギーは E(), の = (U—UD —TO(S—SD + 第 0 ( ー協 ) ( 5.34 ) であると定義するのである . これは T = TO, 第 = カ 0 でない限り正の値をとる 量である . つまり , 仕事源としての有効性は , 物のもっエネルギーではなく , むしろこのェクセルギーで測るほうが適切である . 保存量であるエネルギーを消費するというのは妙に聞こえるが , それは実は ェクセルギーを消費するということなのである . 省エネルギーとは , 正しくい えば省エクセルギー , つまり温度差や圧力差を無駄になくさないということで ある . これはエントロビーをむやみに増大させないようにする , ということと 同じである . [ 例 ] 熱容量 C が一定で ( 固体や液体のように ) 体積変化が無視できる物体のもつェ . この場合 , 第イ V の形の仕事の出し入れはないから , 温度変化で出入する クセルギー 熱だけを考えればよい . そうすると U = CT 十 ( 定数 ) dQ = dU = CdT d'Q dT S =CIogT 十 ( 定数 ) ′ T T したがって , 外界の温度が TO のときにこの物体がもつェクセルギーは ( 5.34 ) で V= としたものに上の U と S を入れて E(T) = C()— TD ー CTOIog となる . T > TO ならば , この物体の温度が T から TO まで下がるときに放出する熱 量 Q は C(T ー TD であるから , そのうちで仕事として使うことのできる最大限度 E(T) の割合は To 10g ーケ ; -- ということになる . 外界が 15 ℃ ( TO = 288 ) のとき , 100 ℃ ( T = 373 ) の物体について 計算すると有効比は 0.124 にすぎないが , 物体が 1500 ℃なら有効比は 0.648 になる . [ 問 ] 外界の温度が 300 K ( 27 ℃ ) のとき , 温度 280 K ( 7 ℃ ) の海水 ( 比熱 C = 4 x 103 J/kg) 1 トンがもつェクセルギーは何 J か . は一が小さいとき log( 1 土ェ ) 土一 2 / 2 を用いてよい . E(T) 有効比 =

3. 物理学

5.11 不可逆変化とエントロヒ。ー Q = Tl()2 ー SI) 175 したがって , 効率は となる . Q2 ー 0 T2()2 ー SD となる . いま考えている物質は理想気体と限らず , 等方一様なものなら何でもよい・ [ 問コ 準静的な断熱変化ではエントロビーは変化しない . このことを用いて , ( 5.2 の 式を導け . 翳 5. Ⅱ不可逆変化とエントロピー ェントロビーは , 熱を加えたときに必ず増加するような状態量という意味を もっことを知ったが , 実はもっと有用な使い道のある量である . 今までは準静的な変化だけを考えたので , 考えている系の温度と熱源の温度 は等しく , 一方が失った熱量は他方に与えられるのであるから , それを共通の T で割ったものとして , 一方が失ったエントロビーはそのまま増減なく他方 が取得するエントロヒ。ーに等しかった . そしてこのような準静的変化は可逆的 であった . 準静的でない変化の例として , 高温物体と低温物体を接触させたときの熱の 移動 ( 熱伝導 ) や断熱自由膨張をあげた . これらの変化の途中では , 系のなか の温度や圧力の一様性が破れるため , 系全体を一つの T とか力とかで表わせ ないから , カー V 図とか T-S 図などの上の点の移動としてこの変化を示すこ とはできない . しかし , 最初と最後の熱平衡状態 (), B とする ) はちゃんと 状態量 ( の 2 つ ) で指定できるから , T がいくら上がったとか , S がどれだけ 減ったとかをいうことは可能である . 準静的過程のように途中を一歩一歩たど ることができないだけである . そこで , 上のような不可逆変化の前後でエント ロピー S がどう変化するかを考えて みよう . いま , 系が断熱壁で等しい 2 つの部 分 a と b に仕切られ , 一方が温度 TI, 他方が温度 T2 に保たれていたとする . 熱伝導によるエントロヒ。ーの増加 5 ー 11 図

4. 物理学

352 問題解 答 棒の形 : = 一 9 ー ()1 ーのェ 2 , 端の下がり : 6EI 3EI 5. 海中の圧力 ( 四ん ) は , 103 x 9.8 x 103 = 0.98 x 107N / m2. 」 = v x 10 ー 11 x 0.98 x 107 = V x 0.98 x 10 ー 4 0.04 cm3 = 40 mm3. 7. 12.1 m/s 8. 2 点 A,B について , ベルヌーイの定理から PA 十プ PVA2 = 加十 PVB2 連続の式から rrA2VA = 7trB2VB であるから , 0 = 加十 dV 2 -4 た - ド十 Clogr 十 ' 41 り を得る . r = 。と r = みで V = 0 になるように C, C ′をきめると 2 。 2 10g みー房 10g れ 4 10g log ( 4 / の log / の これを用い , ( 3.23 ) 式と同様に計算 ( 積分は 6 から。まで ) すれば , 与えられた式が 求められる . ー 0. Ⅳ = ( が / 2 のの ( 。は定数 ) 」カド十 C で C = 0 とせず , 両辺をで割って 4 4 9. 3.10 の途中の式 r 積分すれば 2 第 4 章 S1n お [ 問コ : 4.5 27 : 1 4.9 = 128 : 1. 4.10 [ 問 1 コ 30 cm, S1n ま [ 問 2 ] 7.6 cm. 4.11 [ 問 1 コ 0.6 mm, [ 問 2 ] 一方の光は反射を 2 回余計に するから . I. の = C sin ( 十のより 2 = 襯 = C 襯 cos ( 十のであるから = 1 ( 楕円 ) C2 〃 2 2 エネルギーは 2 2 = C2 ″ーの 2 2 襯 2 であるが , 上記楕円の面積は応・ C ・ C 襯の = び襯のであるから , ( エネルギー ) = ( 楕 円の面積 ) 2 2. = 4 3 ー 3

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156 5 ・温度と熱 と表わされる . 仕事を d Ⅳとかかずにイ′Ⅳとかいたのは , Ⅳが状態量では ないためである . 状態量というのは , 圧力 2 とか体積 V とか温度 T のよう に , 系がある状態にあるときにきまった値をもつものであるが , 仕事とか熱と いうのは , エネルギー出入の際の形態であって , 仕事をいくら保有していると か熱をどれだけ持っているといういい方は意味がないのである . たとえていえ ば , 預金がいくらあるとか , 何円ふえたとかはいうけれども , 1 万円札を何枚 銀行に預けてあるなどとはいわないようなものである . ゆとか dV というの 状態量の増減を示 . す . と - き匹囲 - る . 記号であるから , Ⅳの差という意味で はない微小仕事のときには , これらと区別してⅣとするのである . 同じ理由で , 熱を微小量だけ系に加えるときにはそれを d ′ Q と表わすこと にする . イ′ Q > 0 は加熱 , d ′ Q<O は冷却の場合である . さて , 仕事あるいは熱 , どちらの形でエネルギーを与えるにせよ , 与えただ け系のもつエネルギーは増加する , つまり , エネルギーという量は不生不減で あって , 加えただけが保有され , あとで何らかの方法でとり出せる , と考える . われわれの系は静止した平衡系であるから , 運動エネルギーはもっていない し , 高い所に上げたりおろしたりするわけでないから位置エネルギーも変化し ない . したがって系がもつエネルギーというのは , マクロには見えない物質内 鄧のミクロのエネルギーである . これを内部エネルギーとよび U で表わ すことにする . そうすると , 上に述べた宅をきこ墾在殳裟里 dU = d ′Ⅳ十イ′ Q とかかれる . 微小変化でなく , 有限の範囲で積分したものに対しては U2 ー UI = Ⅳ十 Q ( 5. 11 ) ( 5. 12 ) となる . 系を状態訌から状態 2 へ変化させるときに , 外から加えた仕事の総量 を外から加えた熱の総計を Q とすると , その和は内部エネルギーの増加 高 U2 ー UI に等しい , という法則である・これをカ 2 表 .. !.. 塁とよぶ・ [ 問 ] 流体中を運動する物体は流体から抵抗を受け , それによって力学的エネルギー が減少する . この失われたエネルギーは結局どうなるのか .

6. 物理学

153 5.3 準静的過程 したがっ . て 1 ö V RT 1 p2V ーカ v ァ pV=RT) また であるから 1 öV 火 1 öT 2 pV となる . [ 例 2 ] アルミニウムの体積弾性率はた = 7.55 x 101 。 N/m2, 体膨張率は 7.14 x 温度を IK 上げたときの膨張をもとにもどすために加えるべき圧力は 10 ー 5K ー 1 である . = = 7.55 x 101 。 x 7.14 x 10 ー 5 N/m2 ・ K = 5.4 x 106 N/m2 ・ K から 5.4 x 106 N/m2 53 気圧であることがわかる . [ 問 ] 上と同じことを鉄 ( た = 14.6 x 101 。 N/m2, = 3.5 x 10 ー 5 K-I) で計算して みよ . 5.3 準静的過程 重力場のなかで質量襯の物体をんだけ持ち上げるのには襯 9 んだけの仕事をする必要 がある . 最初に物体が床の上などに静止していたとすると , これに上向きに襯 9 の力を 加えたのでは , 物体が床を押す力がなくなるだけで , 物体そのものは動かない・襯 9 よ り少し大きい力を加えれば動き出す . しかしそのままんだけ上げたのでは等加速度運動 んの高さにきたときに運動エネルギーをもっことになる . でいきおいがついてしまい そこではじめの半分は襯 9 十 6 のカ , あとの半分は襯 9 ーの力を加えれば , んの高さ でびたりと静止し , 加えたカのした仕事は ( 襯 9 + の + ( 襯 9 ーの一 = 襯 9 ん 2 となる . öが小さければこの操作に時間がかかるが , はじめとおわりの状態 , その間に なされた仕事は同じである . そこで , かかる時間を問題にしなければ , 上のやり方でö → 0 とした極限 , つまり終始一貫上向きに襯 9 の力を加えて無限にゆっくり持ち上げた としてもよいであろう . このとき , 持ち上げる途中のどの瞬間にも , 持ち上げる力と重 力がつり合っていることになる .

7. 物理学

4.6 棒を伝わる縦波 117 る弦の規準振動である . これは , 弦を往復する速さ = VT/c の波が重 なってできる定常波 ( 定立波 ) とも考えることができる ( 4.7 参照 ). 弦を 連続体と考える限り , 鎖のときのようなの上限はない . [ 問コ通常のビアノは 88 鍵であるが , 仮に 85 鍵 ( 7 オクターフ・と 1 鍵 ) のビアノを 作るものとし , 弦はすべて同じ針金を同じ張力で張るものとしたら , 両端の弦の長さの 比はいくらになるはずか . 音の振動数は 1 オクタープごとに 2 倍になる . 棒を伝わる縦波 弾棒 ( 断面積 S 一定とする ) のなかを伝わる縦振動を考える . 棒の場合 , 振動が伝わるのは棒の方向である . 振動による変位の方向と , それが伝わる方 向とが一致しているとき , 縦振動あるいは縦波というのである . 棒と平行に動かない物差しを置いたとし て , これをェ軸にとり , 平衡状態で物差し の目盛りがェのところにあった棒の部分 P が , 時刻右に 4 ( ェ , のだけ変位して P ′に きていたとする . ェ十öæのところにあっ た棒の部分 Q は同じ時刻に ( ェ + , の にきている . 変位は場所ェによってちが ェェ十 氤ェ , t) P' Q' 氤ェ + 社 , t) 4 ー 17 図棒の微小部分 PQ が P'Q ′へ変位するとき , 長さも変わる . うから , PQ と P ′ Q ′の長さは一般には等しくない . その伸び高は ( ェ十öェ , の一 ( ェ , の に記号を変えた . * さきの 6 工と本質的にちがうわけではないが , 一応別の議論であることをはっきりさせるため 今度は長さが」ェの部分 * AB が A'B' へ動いている瞬間を考える . A か となる . ( 4.23 ) 工 ( ェ , の一刃 ) (f > 0 張カ , 工 < 0 圧力 ) ャング率を刃とすると , このとき P' の断面に働いている応力 / は である . したがって , これをもとの長さで割れば伸びの割合になる . 棒の

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5.1 温 度 の温の度合に変化が起きるが , 十分に時間がたてばこの変化はやむ . 149 このと き 2 つの物体は熱平衡に達したといい , 両物体の温度は等しくなったと考え る . 接触させても最初から変化が生じなければ , もともと両物体の温度は等し かったと考える . 経験によれば , A と B の温度が等しく , A と C の温度が 等しければ , B と C を接触させても変化は生じない , つまり B と C の温度 も等しいことになるので , 熱平衡のとき温度が等しいという温度のきめ方は合 理的である . 温度を数値的に表わすには , 冷温によって変化する物の性質ーー -- - たとえば 体積とか電気抵抗などー一一を利用する . 温度計はそのような装置で , これを 目的の物体に接触させて熱平衡になったときの温度計の温度によって物体の温 度を知る . 温度の目盛として日常用いられるのはセ氏目盛 ( ℃で表わす ) であっ て , 1 気圧のもとで水が氷になる温度 ( 水と氷が平衡共存する温度 ) を 0 ℃ , 水が沸とうする温度を 100 ℃とし , そのあいだを 100 等分してそれを温度差の 1 度の目盛と定め , 0 ℃以下と 100 ℃以上にも外挿したものである . 100 等分 といっても , 用いる物体によって性質の温度依存性が異なるかもしれないから たとえば 0 ℃に近いときはあまり膨張も収縮もしないが , 100 ℃に近く なると急に変化するものと , その逆のものとでは 50 ℃がちがってしまう 厳密には物体の特性によらない温度のきめ方をしなければならない . それにつ いてはあとで述べる . 一定量の気体の圧力 2 と体積 V の関係を調べてみると , 温度が一定の場ム には々と V がほぼ逆比例することがわかった ( ポイルの法則 ) この法則の 正確さは気体の種類によっても異なるが , 一般に気体の密度が小さいときによ く成り立っことがわかっている . そこでどんな場合にもこの関係ーー温度を を調べてみると , 大体 ォ℃とすると pV = 工 ( の pV= 0 + 273 ) ′は定数 ) これを理想気体とよぶことになった . 理想気体 ( に近い実在気体 ) で工 ( の と表わせる が成り立っ理想的な気体を考えて

9. 物理学

168 Ⅳ = Q ー Q = Q02 ー Q01 5 ・温度と熱 E と名づけよう . E は高温熱源 T2 から熱 Q2 をとり , 外にⅣだけの仕事 ( 温度で熱源そのものを示すことにする ) のあいだで働くものを考え , それを ンの原理により , 熱源は 1 っというわけにいかないから , 2 つの熱源 TI, T2 逆現象が起こっている . その場合に効率がどうなるかを調べてみよう . トムソ 実在の熱機関では準静的に運動するわけにはいかないから , どうしても不可 5.9 熱機関の効率と熱力学的温度目盛 [ 問 ] 身近に起こっている不可逆過程の例をあげよ . は考えられるが , 実現はできないと思ってよい . は変化しないに等しい . つまり , 可逆的な変化というのは理想的な極限として では , 有限な変化を起こすのに無限に長い時間がかかるわけだから , 現実的に い過程ではどうしても不可逆な部分を残してしまう . 熱の関係する準静的過程 ら * , これも不可逆なことをしでかしたことになる . したがって , 準静的でな をして , QI だけの熱を低熱源 TI に与えて 1 サ る . EO は TI から Q01 だけの熱をとり Q02 だ がする仕事Ⅳでこの EO を運転することにす ー冷凍機 EO を用意し , これを E と連結し , E き , 1 サイクルでⅣだけの仕事を要するカルノ イクルを終えるものとする . いま , 同じ熱源で働 5 ー 8 図熱機関 E とカル ノー冷凍機 EO の連結 けの熱を T2 に与える . エネルギー保存則により Q ー Q02 = Q ー Q01 である . この E 十 Eo が 1 サイクルを終えると , T2 は Q2 ー Q02 の熱を失い TI は Q ー Q01 の熱を得るが , それ以外の変化は全く残らないことになる . ストンを急に押せばその部分が高圧になり , 残りの部分へ向けて上と同じことが起こる . * ヒ。ストンを急に引けばそこに圧力の低い部分を生じ , 物質がその低圧部へむけて膨張する . Q ー Q02 = Q ー Q01 0 したがって , クラウジウスの原理によって

10. 物理学

S 5.8 熱力学の第 2 法則 167 に変わり他には全く変化を残さないこととなり , トムソンの原理に反すること となる . 逆にトムソンの原理が真でないとすると , 高温熱源からとった熱 Q をその永久機関で全部仕事Ⅳに変え , この仕事でカルノー冷凍機を動かして やると , 冷凍機は低温熱源から QI の熱をとって高温熱源へ Q 十Ⅳ = Q 十 Q の熱を放出するから , 全体としては Q だけの熱が低温熱源から高温熱源へ 移っただけで他に何も変化を残さないことになり , クラウジウスの原理に反し てしまう . したがって , 上記 2 つの原理は等価である . これらの原理が述べている内容を熱力学の第 2 法則とよぶ . すっきりし た式でかけない妙な法則であるが , その意味するものは深長である . というの は , それは不可逆現象の存在を示しているからである . 仕事を全部熱に変え , それ以外の変化を残さないことは可能である . たとえ ば , 水力のする仕事で発電し , その電流を電熱器に流してやればよい . ところ がこの逆はトムソンの原理によって不可能である . また , 高温物体と低温物体 を接触させれば熱はひとりでに高温物体から低温物体に流れ , 他に何も変化を 残さないが , この逆はクラウジウスの原理に反するから不可能である . つまり 起こってしまったら取り返しのつかない現象ーー不可逆現象ーーの存在が 示されている . 可逆というのは , ある系の状態がもとにもどるだけでなく , そ れに要した他の装置 , 熱源など一切がもとにもどるという意味である . [ 例コ 5.4 で述べた気体の自由膨張は不可逆的である . もし可逆的であるとすると , 外から仕事も熱も加えずに気体の体積を小さくし , 他に何の変化も残さないことが可能 ということになる . もしそうならば , 理想気体の等温膨張で熱を全部仕事に変え , 膨張 した気体をこの方法でもとにもどせば , 第 2 種永久機関ができることになる . これはト ムソンの原理に反する . 準静、程は く逆ロきにたどることができるから可逆である . し かし熱の授受のときに有限の温度差を与えれば , 高温側から低温側へひとりで に熱が流れる , という不可逆現象が起こってしまうし , 仕事のやりとりのとき に有限な圧力差を与えれば , 断熱自由膨張に類する現象が必ず起きてしまうか