62 とかかれることがわかる . 2. 質点系と剛体 以上で求めた諸式を 1 つの質点が直線上で行う運動の場合とくらべると , 剛体の回転角 9 剛体の角速度 剛体の慣性モーメント 7 剛体の角運動量 1 の 方程式 7 の = 運動エネルギーー 1 グ のように対応していることがわかる . 質点の位置ェ 質点の速度 質点の質量襯 質点の運動量襯 運動エネルギー 方程式襯土 = 0 実体振り子 2 ー 12 図 [ 例 ] 実体振り子任意の形の剛体が , 重心 G を通らない 水平軸のまわりで , 重力の作用で振動しているのが実体振り子また は物理振り子である . 重心から回転軸までの距離をんとし , 剛体の になることは容易にわかる . したがって , ( 2.47 ) 式は イ 9 ん sin Nz ーメントが 質量を M, 慣性モーメントを一とする . 9 として図のような角を とると , 重力のモ 襯 2 ーイ 9 ん sin 臾 となる . 9 が小さいときには sin 臾 9 として Mg ん 9 1 2 d29 となるから , 9 ( のは単振動となり , 9 。とを積分定数として 臾⑦ = posin ( + の , という形に表わせる . 周期 T は 2 応 となるが , これと単振り子の周期 2 Vl/g とをくらべると , Mh この実体振り子は という長さの単振り子と周期が一致することがわかる . この I を相当単振り子の長
2.9 慣性モーメントの計算 [ 定理 1 ] 1 つの軸のまわりの剛体の慣性モーメントをム重心を通りその 軸に平行な直線のまわりの慣性モーメントを左 , 剛体の質量を M, 2 つの軸 の距離をえとすると Y 1 = 左十 M え 2 ( 2.5 の という関係がある . ( 証明 ) ーの軸を , 重心 G を通りこれ に平行な軸を軸とする ( 2 ー 16 図 ). 2pd r2pdV, IG ー であるが , 65 4 dV 0 = r'2 十ス 2 十 2X 十 2Yy' 2 ー 16 図 ( ス 2 = X2 十 Y2) 軸と軸は紙面に垂直 pdV 十 2X dpdV 十 2Y y'pdV r ′ 2pdV 十ス 2 となるが , 右辺第 1 項は左 , 第 2 項の積分は M であり , 第 3 項と第 4 項の積分は ( 2.32 ) したがって ( 2.5 の式が得られる . 式のェ , 成分であるから 0 になる . [ 定理 2 ] 薄い板状剛体の一点を通り , れに垂直な軸のまわりのこの剛体の慣性モー メントは , この点を通り板の面内にある互い に垂直な 2 本の軸のまわりの慣性モーメント の和に等しい . ( 証明 ) 板の面密度をび , 板を細分した一片の 面積をおとすると , その細片の質量はびおであ るから , 図のもェ , 軸のまわりの慣性モーメン トは 42 び dS , ル = ん十ん 2 であるから 2 4 2 ー 17 図 ん 2 び dS ん r2cdS, と表わされる . ところがド = ェ 2 十であるから ( 2.51 ) 剛体の質量を M, ある軸のまわりの慣性モーメントを一とするとき
64 2. 質点系と剛体 メントを求めてみよう . 棒に沿ってェ軸をとり , 棒を長さ dc の微小片に細分したと 考える . 一片の質量は (M/l)dc であるから朝 = 0 なのでド 工 2d 工 3 となる . 特に { ( I ーの 3 ー ()2 ー 31 な十 302 ) 3 31 M12 ならば一 = 2 12 ' [ 例 2 コー様な薄い円板の中心を通り板に垂 直な軸のまわりの慣性モーメント . 質量を M, 半径 を 4 とすると , 単位面積あたりの質量 ( 面密度 ) は M な 42 である . いまこれを半径が r と r 十み の同心円で区切った円環を考えると , 襯」均 2 の 均は円環の全部に共通に r であるからド叫 , すなわち ( 円環の質量 ) xr2 = ( M, なの 2 み x ド が得られる . これをについて 0 から 4 まで加え る ( 積分する ) と イ L2 ならば 1 = 4 = I 4 3 4 を 0 2 ー 14 図円板を同心環に分けて考える . 戸み = ー外イ 02 この結果は薄い円板ではなく , 円筒でもそのまま使える . [ 例 3 ] 一様な球 ( 質量 M, 半径のの一つの直径のまわりの慣性モーメント . 球 を軸に垂直な平面で厚さの薄い円板に分け , 円 板の慣性モーメントを求め , それを合計すればよい . 中心から名のところにある円板の半径は。 2 ー あり , 質量は侭 ( 。 2 ー 2 ) であるから , [ 例幻の結 果を用いるとその慣性モーメントは ( 42 ー名 2 ) 2 / 2 となる . これをについて積分し , p = 3M, / 4 3 を 用いると , 2 ー 15 図球を円板に分けて考える . 2 5 ( 。 2 ー 2 ) 2 = M42 つぎに , 慣性モーメントの計算に便利な 2 つの定理を導いておく .
2.9 慣性モーメントの計算 さという . 63 実体振り子の例ではカとして重力だけを考えたが , 外力は重力だけではな い . 軸を固定している力が働いている . これを考えなかったのは , 軸に摩擦が ない , つまり軸受けが剛体におよぼす力はモーメントをもたないと仮定したか らである . これがあれば振動は減衰する . 軸のところで働く力は束縛力であって , 重力のようにあらかじめ知るわけにいかな い . むしろ , 上のようにして運動が求められれば , 重心の加速度 X, Y ( いまの例では Z=O) がわかるから , それに M を掛けた MX , MY がそれぞれェ , 方向に働く外 となる . ーイんのヤ 0 sin()t 十の , ・ = イ 9 であるから , 9 = sin ( 十めなら から求められるものである・ sinp=p, cosp = 1 とする近似では X=hp, Y= MY=Fv—Mg ( ェ軸水平 , 4 軸上向き ) MX = , 力の総和に等しいこと ( ( 2.11 ) 式 ) を用いて するときには , 和でなく積分を使うことになる . 剛体を体積 dV の細片に分 マクロの剛体は連続体と考えるので , 慣性モーメント 1 を ( 2.45 ) 式で計算 2.9 慣性モーメントの計算 I とする . ( エネルギーの関係式を用いよ . 慣性モーメントは 1 = M12 / 3 である . ) ら離したら , 他端が真下を通るときの角速度はいくらになるか . 棒の質量を M, 長さを [ 問コー端を通り棒に垂直な水平軸のまわりで自由に回転できる棒を , 水平の位置か けると , は p dV となるので 川 ( 宀の ) ( 2.49 ) によって 1 を計算する . 実際の計算は多重積分の演習問題のようなものである から , 数学の学習程度によっては , いますぐにはわかりにくいかもしれない が , 一応簡単な場合を紹介しておく . [ 例 1 コ細い一様な棒質量を M, 長さを I とする . これの一端から 4 のとこ ろを通って棒に垂直な軸のまわりの慣性モ 2 ー 13 図 棒を細片に分けて考える .
86 6 ( の = 2 Va2 ーがであるから ミ ( のが = 2 3. 弾性体と流体 三 4 となり , rE 4R ( 円形 ) ( 3.13 ) が得られる . 断面の形が任意であると , 軸のまわりのカのモーメントも存在するが , 形がり軸に 関して対称的ならばこれは 0 になる . 円や長方形なら 6 軸は中心を通るように引けばよいが , 一般には応力が刃ツで表 わされ , したがってそれを断面全体で積分したものが 0 になるように , つまり ( のり = 0 のように中立面はできる ( 理由は自分で考えてみよ ). [ 例コ重い一様な棒 ( 長さ l, 質量 M, ャング率 E, 断面の慣性モーメントわの一端 を水平に固定した場合 , 自分自身の重みによる棒のたわみがどうなるか調べよう . 固定 端からェの距離にある断面で棒を分けて考え それより右側の部分を一つの質点系とみてそ のつり合いの条件を調べる . この部分が受け ている外力は重心に働く重力 (I—æ)Mg/l と , 分けた断面を通して左側から受ける応力 の合力である . 条件 = 0 から断面には 接線応力も働いていることがわかるが , いま はそれによるずれを無視して , たわみだけ 3 ー 13 図 を考える . 条件 = 0 をにおける断 面の軸について考えると , 応力によるモーメント ( 3.11 ) 式と重力のモーメントがつ り合っているから 1 (l ー EI 火 2 Mg すなわち 1 が得られる . この棒のたわみ方は一様でないから上記のように曲率がェの関数になるのである . い
3.6 棒のたわみ 85 の断面を考え , 中立面との交線を 6 軸 , それに垂直にり軸をとる . 中立面から クとク十だけ離れた細い帯状部分 ( 幅 , 長さを 6 とする . 6 はの関数 6 ( で , その関数形は断面の形 による . ) を考えると , ク > 0 な らばこの部分には張力が働いて いる . この帯状部分を通る棒の 部分は曲率半径が + の円 状に曲がっている力、ら , もとの 長さにくらべて ( R + / 倍 3 ー 11 図たわんでいる棒とその断面 に伸びている . したがって , そ のひずみはツであるから , 張力の強さは / である ( 刃はヤング率 ). これに面積をのを掛けたものがカの大きさである . このカの 6 軸に関する モーメントは , さらにりを掛けて 中立面 り = 0 となる . これを断面全体について積分すれば , 断面全体に働いている応力の全 モーメントとして ( 3.11 ) が得られる . 積分一をいくつかの簡単な場合につい て求めてみよう . * 3 ー 12 図 ( a ) のよう な長方形断面のときには 0 が d り = 12 063 となり 訪 3 ( 長方形 ) ( 3.12 ) 12 犬 3 ー 12 図 となる . 断面が半径なの円の場合には * この一のことを断面の慣性モーメントという . 一様な薄い板で同じ形をつくって軸のま これに板の面密度を掛けたものになる・ わりで回転させるときの力学的な慣性モーメントは , 6 (a)
IX 次 目 1. 質点の力学 1 質点・ 1. 1.2 べクトル 3 変位と速度・ 1. 4 加速度 1. 5 力と慣性・ 1. 6 放物運動・ 1. 7 単振動・ 1. 8 単振り子・ 1. 1.9 仕事と運動エネルギー 1 ・ 17 1.10 東縛運動・ 2 ・ 20 1.11 保存力とポテンシャル 5 ・ 22 1.12 位置のエネルギー 7 ・ 25 1.13 平面運動の極座標表示・ ・ 10 ・ 27 1.14 万有引力と惑星の運動・ ・ 11 ・ 30 1.15 ガリレイ変換と回転座標系・ ・ 14 ・ 33 ・ 16 問 題・ ・ 36 質点系と剛体 2. 2.7 剛体とそのつり合し ・ 58 ・ 39 2.8 固定軸のまわりの剛体の運動 ・ 42 ・ 60 2.9 慣性モーメントの計算 ・ 44 ・ 63 2.10 剛体の平面運動・ ・ 47 ・ 66 ・ 53 問 題・ ・ 68 ・ 55 1 二体問題・ 2. 2 重心とその運動・ 2. 3 運動量と角運動量・ 2. 4 運動量保存則と衝突・ 2. 5 重心運動と相対運動・ 2. 6 質点系の角運動量・ 2. 3. 弾性体と流体 7 静止流体の圧力・ ・ 71 3. 8 流速の場・ ・ 75 3. ベルヌーイの定理 ・ 77 3.9 10 粘性と抵抗・ ・ 80 3. ・ 82 問 題・ ・ 84 ひずみと応力・ 1 3. 3.2 伸び縮みと体積変化・ 3. 3 剛性率・ 3.4 弾性体のエネルギー 針金のねじれ・ 3.5 棒のたわみ 3.6
題 69 るようになっている . これに長い糸をかけ , 両端に質量が明 , 襯 2 ( > 襯 2 とする ) のおもりをつるす . 糸はすべらないとすると , おもりの運動はどうなるか . 6. 前問で , エネルギーの関係はどうなっているか . 最初はおもりも円板も静止して いたとして考えよ . 7. 薄くて一様な円板 ( 質量 M, 半径のの一つの直径のまわりの慣性モーメントはい くらか . 8. 縦 , 横の長さがそれぞれ 4 , 6 の一様な長方形の板 ( 質量を M とする ) を , 長さが みの一辺を水平にささえてそのまわりで小さな振動をさせるときの周期を求めよ . 9. 斜面 ( 傾角のを , その最大傾斜線に沿ーってすべらずに転落する一様な球の , 重心 どのような速さで上向きに糸を引っぱればよいか . る . 糸を引っぱり上げて , ー 0. 慣性モーメントが一で , の加速度を求めよ . その重心の位置を不動に保つようにして回転させるには , 糸を巻きつける軸の半径が 4 であるようなョーヨーがあ
3.5 針金のねじれ である . いま , 中心軸からの距離が r と r 十みの円筒面で切りとられる部分 を考えると , その内部には一様に だけのずれを生じていることがわかる . したがって , 3 ー 9 図 ( b ) の濃いね ずみ色部分には の接線応力が働いている . 中心 C を通る軸に関 するそのモーメントは r. / 2 窕 rdr = 2 応れ戸み である . これを r = 0 から r = 4 ( 4 は針金断 面の半径 ) まで積分すれば , 断面全体に働いて いる力のモーメントが得られる . Ⅳ = 2 応れ戸み = p/l = の / であるから , これは これはかってに考えたーっの断面に働いている応力の合力である とかかれる . が , どこをとっても同じであり , 結局針金の下端に加えられている偶力のモー メントもこれに等しい . この針金の下端におもりをつるし , 鉛直軸のまわりで少し回して放せば , おもりは針金の弾性によって回転する . その回転軸のまわりのおもりの慣 性モーメントを 1 とすると 83 3 ー 10 図 三 2 4 ( 3.9 ) 2 1 であるから , のは
68 2. I だけころがり落ちたときには 1 ー左 92 2 質点系と剛体 1 —MglsinO 3 ( e ) になっている . ( d ) と ( e ) を合計すればちょうど失われた位置エネルギー Mgl sin 0 に等しい 一様な円板や円筒がすべらずにころがるときには並進運動と回転運動の運動 エネルギーの比は 2 : 1 であるが , この比は形によってちがってくる . [ 問 ] 質量も半径も外観も全く等しい 2 つの球があって , 一方は中まで密度が一様で あるが , もう 1 つは中空である . 直径のまわりの慣性モーメントはどちらのほうが大き いか . 斜面に沿って 2 つを転落させるとき遅いのはどちらの球か . 題 5. 慣性モーメントが一で半径が r の円板が , 水平な中心軸のまわりに自由に回転でき 事は同じなのに , このエネルギー差はどこからくるのか . 2 ー襯 ( 。十 V)2 は , 地上で同じ石を投げたときの襯がより大きい . 人が石にする仕 1 で航行している船上で , 船の進む向きに石を投げたとき , 石が得る運動エネルギー 4. 人が石を投げるとき , 人が石にした仕事が石の運動エネルギーになる . 一定の速度 ちがう ). 人が得る位置エネルギーはどこから出てきたのか . 体であるとすれば , 階段の抗力は人に対して全く仕事をしない ( ェスカレーターと ある . 人は階段を上ることによって位置のエネルギーを獲得する . しかし , 階段が剛 3. 人が階段を上っていけるのは , 足が階段の面から受ける上向きの抗力があるからで 見た砲弾の発射速度がどうなるかを考えてみよ . ( ヒント ) 水平方向では全体の運動量が保存される . 大砲といっしょに動きながら される方向と水平とのあいだの角を求めよ . て相対速度で打ち出されるものとして , 大砲を後退する速さ V, 砲弾が実際に発射 て砲弾 ( 質量司を発射した . 大砲と地面のあいだに摩擦がなく , 砲弾は砲身に対し 2. 水平な地上におかれた大砲 ( 質量 M ) が , 水平とつくる角の方向に砲身を向け 襯 1 / 3 となり , 1 》襯 2 のときには襯 2 であることを示せ . l. 質量が襯 1 と襯 2 の質点からできている系の換算質量″は , 1 = 2 襯 2 のとき =