244 のことを単に透磁率ということも多い . 強磁性体以外では実際上″ = とみ 7 ・電流と磁場 とおいて , ″をその物質の透磁率という . 相対透磁率 なしてよい . ( 7.21 ) ( 7.2 の [ 問 ] 面に垂直な方向に一様に磁化している無限に広い板磁石がある . その表面の単 位面積あたりの磁荷をとする . 板の内外の , おはどうなっているか . 7.6 電流が磁場から受けるカ 摩擦で帯電した物に磁石をゆっくり近づけても , 何も力をおよぼし合うこと はないが , 磁石をテレビの画像に近づけると画像がゆがむことから , 動いてい る電荷は磁場からカを受けることがわかる . いろいろ調べた結果 , 点電荷が 磁場内を速度じで動くときに受ける力は = じ x お ( 7.22 ) で与えられることがわかった . おはその磁場の磁束密度である . 電場刃と 磁場 ( 磁束密度お ) が共存するときには , 荷電粒子の受ける力は = q(E 十じ x お ) ( 7.23 ) となる . これをローレンツカという . 磁場から受ける力がでなくおで 表わされている点に注意を要する . 7 ー 15 図 4 る . 射した荷電粒子は等速円運動をす 手前向きの一様な磁場に垂直に入 匸例 ] 磁東密度お ( 名方向とする ) の一 様な磁場に , これと垂直に ( 方向とする ) 速さの荷電粒子 ( 電荷 2 < 0 , 質量襯 ) が 飛びこんだとする . カ ( 7.22 ) は v に垂直 であるから , 運動の方向は変えるが速さは変 えない ( 仕事をしないから襯 / 2 が変わら ない ). 速さが一定なら磁場から受ける力の 大きさ一も一定なので , ( 1.9 ) 式 ( 9 ペ ージ ) により
7.7 電流のつくる磁場 247 な向きをもつべクトル皿を定めると , このコイルが磁場から受ける偶力は , ル = m x お とかかれることがわかる . お = ″ 0 とし , = とおけば , この式は Ⅳ = x となって ( 7.15 ) と一致する . つまり , 面積が S の平面閉曲線に沿って流れ ている電流 1 は , 大きさが = おの磁気モーメントをもった磁石と等価 である . の向きは電流と右ねじの関係にある ( 7 ー 19 図 ). 7.7 電流のつくる磁場 動いている電荷が磁場から受ける力を調べたが , こんどは逆に , 動いている 電荷 ( 電流 ) がっくる磁場を考えよう . 電流がっくる磁場はつぎの法則にした につくる磁場の強さを dH とすると , 小部分が , そこから r だけ離れたところ 強さ 1 の電流が流れているとき , その上の微 がっている . 1 4 2 が成り立つ . ( 7.25 ) これをビオーサバール (Biot ー Savart) の法則 という . r を = れは電流素片と考えている点を結ぶ ds 7 ー 20 図ビオーサバ ルの法則 方向の単位べクトルであるから , これと電流素片 1 とのあいだの角をと すると , イの大きさは 川 = sin 0 となる . ( 7.26 ) [ 例 1 ] 直線電流による磁場 . 強さーの直線電流から距離 4 のところにある点 P の 〃を求める . 7 ー 21 図の部分が P 点につくる磁束密度は紙面に垂直で , その大き さは
7.8 アンペールの法則 251 積分路 積分路 7 ー 25 図板磁石の磁場と閉電流の磁場 には , 板磁石で電流を置きかえると , 経路はどうしても板を貫かねばならなく なる . ところが , 板の内部のは外とは逆向きで強い磁場になっており , 閉 ーこを貫 電流の磁場とは全く異なったものになっている ( 7 ー 25 図 ). そして , いた経路による上記の積分は , 外の分を内部の値が打ち消して 0 になるのであ る . これは保存力のポテンシャルである磁位としては当然のことである . とこ ろが電流がつくる磁場の磁カ線は 7 ー 25 図の (b) のように閉曲線になってい るから , そもそも保存力として磁位のようなポテンシャルを使って表わすこと ができないものなのである . 閉曲線に沿って A → B → C → D とたどると , 等価板磁石の磁位は , A における値広 2 窕から次第に減り , B と C の中 間のどこかで 0 になり , c では負の値になって , 以後その絶対値が次第に増し ー 2 応となる . したがって て , D 点では QD 4 応 である . そこで , 板磁石の厚さんを 0 にした極限を考え , 内部を貫通しないこと にすれば , 閉電流のつくる磁場と板磁石の磁場とは外では一致するのだから , 閉電流を右ねじの向きにとり囲んで 1 周した積分として ・ dr = 1 が得られることになる . 回る向きが逆なら符号が逆になる・ 以上をまとめると ,
7.4 磁石と磁場 239 と磁荷′をもつ小さい磁極のあいだに働く の一方の端を考えればよい 力を N, 両磁極間の距離を r m とすると , クーロンの法則は 1 4 4 2 4 応 0 r = 4 応 x 10 ー 7 N/A2 という形になるが , このとき″ 0 が ( 7.11 ) ( 7. 12 ) という値になるように定めた磁気量の単位がウェーバー ( 記号 (b) であ る . あとでわかるように ( 249 ページ ) Wb = J/A である . 電場のときの釦 に対応する 40 は真空の透磁率とよばれる . [ 問 ] Wb = J/A を用いれば , ( 7.11 ) によりの単位が N/A2 となることを確か めよ . 磁極間に力が働くのは , 一方の磁極がつくる磁場 ( または磁界 ) を他方の 磁極が感じるためである , と考えて電場のときと同様に磁場というものを導入 し , 電場 ( の強さ ) に対応するべクトル場として磁場の強さというもの を定義する . 強さがの磁場におかれた磁気量の小さい磁極の受ける力が ( 7.13 ) 磁石では 4 と一が必ず対になって存在するから , 両極間の距離を I と N/Wb = A/m である . * になるようにを定めるのである . 単位は , この式から明らかなように すると , 7 ー 9 図のような棒磁石が受ける偶カ のモーメントは ント盟を , 大きさが第 = 4 で , S 極か となる . そこで , この磁石のもつ磁気モーメ Ⅳ = し I sin ( 7.14 ) 十 ? 加 ー 4 い 受ける・ 7 ー 9 図磁石は磁場から偶力を ら N 極へ向かうべクトルとして定義する . うすると , 偶力は * 磁場の単位には , CGS 電磁単位のエルステッド (oersted) がまだ使われることがある . 1 A/m = 4 x 10 ー 3 oersted. そ
7. 電流と磁場 254 4. 電球のフィラメントの抵抗がその絶対温度 T に比例するものとし , フィラメント の放熱は T4 に比例する ( シュテファン一ポルツマンの法則 ) と考えた場合に , 電球 に加えられる電圧とフィラメントの温度 T との関係を求めよ . 5. 磁極の強さがそれぞれ土 , 土 9 で , 長さが l, 〃であるような 2 本の棒磁石 を , 向きをそろえて一直線上に並べたとき , これらのあいだに働く力はいくらになる か . 磁石の中点間の距離を r とする . また , おが I や I ′にくらべてずっと大きいとき の式を求めよ . 6. 7 ー 29 図の右側の図のよ うなドーナッ形の環磁石が ある . 内部は矢印のように 磁化されているが , 環状に 閉じているので磁極はどこ にも現われない . このよう な磁石のおと社はどう なっているか・磁気分極の 7 ー 29 図 大きさは一様であるとする . 7. ビオーサ / く一ルの法則を用いて , 円電流がその中心を通り円に垂直な直線上につく る磁場を計算せよ . 8. 円筒形の中空ポビンに , 導線を一様に密にらせん状に巻いたものをソレノイド という・これに電流を流したものは , 同じ大きさの円電流をたくさん重ね合わせたも のと考えることができる . したがって , それが外部につくる磁場は , 円筒形の棒磁石 のつくる磁場と同じである . このこととアンペールの法則を用いて (i) 無限に長いソレノイドの外側には磁場がないこと , (ii) 無限に長いソレノイドの内部の磁場は一様で , 〃 = 畆であること を証明せよ . ただし , れは単位長さあたりの巻き数 , ーは流す電流の強さである .
281 ない磁場を感じる ? 電流を流した無限に長いソレノイドの内部には一様な磁場ができており , も も存在する . しかし , 外には磁場は存在せず = 0 , お = 0 である . いま , のソレノイドをとり巻くような閉回路を考えると , その位置に磁場は存在しないが これを貫く磁束ゆは存在する . 磁 束はソレノイドの電流 1 に比例する から , ーを増減すればのが変化し , 電磁誘導によって回路には電流が流 れる . 「場」の考え方によると , 電荷や 磁極が力を受けるのは , 置かれてい る位置の電場や磁場を感じるためで ある . いまの場合 , 導線内の電子が 何かに感じて動いて電流を生じるの ソレノイド であるが , それが離れたところにあ るソレノイド内部の磁場だとしたのでは , この考えと矛盾してしまう . 導線の位置 では終始もおも 0 なのにおかしな話である・ 電流が周囲につくる磁場を表わすのに磁カ線や磁束線を用いるが , 電流を強くす ると磁束線の数は増す . このときその磁束線は , 全空間でいっせいに湧き出すので はなく , 電流のまわりにそれを取り囲むようにできて , それが , 水面に石を投げこ んでできた波の輪のように , まわりに広がっていくと考えるのである ( 速さは光速 c ). ソレノイドの場合にもそう考えると , 1 を増したときにはソレノイドの外側に も磁束線ができて , あっというまに , 無限遠へ飛び去ることになる . そのときに , 磁束線は閉曲路を横切るから , 電子はそれを感じるのだと考えればよいであろう . では , 1 を一定に保っているときにはどうだろうか . 電子の流れ ( 電子線 ) は光 ま 線と同じように波の性質を示すことが知られているが , この波を 2 つに分けて図の ようにソレノイドの両側を通し , 再び合流させる . このとき両経路の長さを完全に 等しくしておけば , 両波の山と山 , 谷と谷が一致するように合流するであろう・ ー = 0 のときには確かにそうなるのである . ところが 1 キ 0 であると , 2 つの波 にくいちがい ( 位相差 ) が生じるのである . これをアハロノフーポーム効果と ま 254 ページの 7 ー 29 図のような環状の永久磁石をつくると , 外では〃もおも 0 になるが , 内部には磁束ができる ( = 0 であるがおキの . この環の内部の 電子線
7. 電流と磁場 dH = 248 Sin 〃 4 である . O を変数にとると sin = r イ〃 になることがすぐわかるから , これらを上式に代入し , 0 について 0 から応まで積分すれば 2 ー ( 7.27 ) 丑 = dH = 4 応 0 4 0 が得られる . ( 無限に長い ) 直線電流がそのまわりにつくる 磁場の強さは , 電流からの距離に逆比例することがわかっ 7 ー 21 図直線電流のつく る磁場 [ 例 2 ] 平行な電流のあいだに働くカ . 無限に長い直線 電流が。だけへだてて 2 本平行に置かれている場合を考える . 一方の電流 ( 強さを 1 と する ) が他方の位置につくる磁場の磁束密度は ( 7.27 ) 式により召 = 〃 2 である・ これから第二の電流 ( 強さをとする ) の単位長さが受ける力は , ( 7.24 ) 式から ( 7.28 ) 2 な 逆 ( 反平行 ) という大きさをもち , 2 つの電流の向きが同じ ( 平行 ) ならば引き合い , ならば反発し合うことがわかる . アンペアの定義 ( 7.28 ) 式は電流の国際標準単位アンペアの定義に用いられている . つま り , 2 本の無限に長くて細い平行な導線が真空中で lm の距離に置かれてい て , それに同じ大きさの電流が流れているとき , それらのあいだに lm あた り 2 x 10 ー 7N の力が作用している場合に , 流れている電流を IA ( アンペア ) と定めるのである . その他の諸量は , たとえば C = A ・ s というように , これ をもとにしてきめていけばよい . [ 問 ] 半径 4 の円形電流ーがその中心のところにつくる磁場の強さはいくらか . ( 7.2 のからわかるように , 磁場の単位は電流を長さで割ったもの (A/m) に 2 4 Sin ″ sin 0 d0 9 ds
7.5 磁 性 体 7 ー 13 図に示すように , 外部磁場がな いところにおかれた永久磁石では , 内 部のはと逆向きになっていて , を消そうとする向きになってい る . これを反磁場という . 7 ー 12 図 の丑は , 外部磁場とこの反磁場とを 合わせたものである . 電場の場合の電東密度のに対応す るものとして , 磁束密度おという 7 ー 13 図右向きに磁化した永久磁石の内 べクトル量を 部の磁場〃はと逆向きで お = 十 ( 7.19 ) ある . によって定義する . 単位は Wb/m2=N/A ・ m であって , これをテスラ ( 記 号 T) とよぶことになっている . しかし , その 1 万分の 1 のガウスという CGS 単位がまだかなり用いられている . 1 gauss 243 3 = 10 ー 4T 電気の場合ののを表わす電束線は 真電荷のみを湧き出しロ , 吸い込みロ とするものであった . これに対応する 磁束線には , 湧き出しロも吸い込みロ も存在しない . 物質のない = 0 の ところではお = ″であるが , 物質 内ではどうかというと , 7 ー 13 図と同 じ永久磁石なら 7 ー 14 図のようにな る . 磁束線は , このようにいつも閉じ た曲線になるのである . がに比例する物質では お = 色″十″ = 物 ( 1 十″ B 7 ー 14 図永久磁石でも磁束線はすべて閉 曲線になっている . となるから
8.7 電磁波 たという . [ 問 ] つぎの電磁場はマクスウェルの方程式を満たしていることを確かめよ・ = 0 きの p と ~ はどうなっているか . 3 このと の = EoE, 8.7 電磁波 = cos(y ーけ ) cos(y ーけ ) , 丑リ = 〃若 Ez = Ev = 0 , Ez 40 変位電流の導入によって , 電場の変化が磁場を誘起することがわかったが , これと電磁誘導 - ーー磁場の変化によって電場が生じる とを組み合わせる と , 電場と磁場がからみ合って伝わる波の存在が予言できる . マクスウェルが これを理論的に彼の方程式から導き , ヘルツが実験でその存在を確認したこと は科学史上で特筆すべきこ とであった . 電磁波がどのようにして できるかは , 直観的には 8 ー 12 図のように考えて理解 されよう . ェ方向に伝わる 波では , 電場の方向は , 磁場の方向は名 , というよ うに , ともに進行方向に垂 4 8 ー 12 図ェ方向に伝わる電磁波で , 電場 ( 灰色の実線 ) に表わしたもの . ぎの電場をつくる , ・・・というありさまを模型的 の変化が磁場 ( 破線 ) をつくり , その変化がっ 直になっている . したがって , 電磁波は横波である . これらのことを確かめ , 電磁波の速度を求めるには , マクスウェルの方程式 を使わなければならない . いま , 電荷も電流もない真空の空間を考えるから , p = 0 , ~ = 0 であり , さらにの = eoE, お = ″という関係がある . した がって ( 8.23 ) ~ ( 8.27 ) 式は E とのみに関する öH div E = 0 , div ″ = 0 , rot E öE ( 8.28 ) て ot 丑・ = 釦
7. 電流と磁場 0 電流を囲まないとき 1 電流を右ねじの向きに 1 周するとき⑦ 31 ) 電流を右ねじと反対向きに 1 周するとき となる . これをアンペールの法 則という . 電流が何本もあるときには , 積分 路を通り抜ける電流の代数和をとれ たとえば , 7 ー 26 図のとき ばよい . には , 曲線 C について ・ = 212 ーム十ム ( 7.32 ) 252 ム ム 7 ー図 となる . [ 問 ] 名軸に沿った無限に長い直線電流ーがつくる磁場は 7.7 [ 例 1 コ ( 247 ページ ) で与えられる . このとき , ェ面内にある原点を中心とした円についてアンペールの法 則を確かめよ . 点電荷のつくる電場に関するクーロンの法則の形を変えたものがガウスの法 則であるのに対応して , 電流素片のつくる磁場を与えるビオーサバールの法則 を変形したものがアンペールの法則である . 対称性のよい 場合にはアンペールの法則を用いて容易に磁場を求められ ることが多い . 電荷が連続分布をするときにガウスの法則が使えるよう に , 電流が線状でないときにもアンペールの法則は適用で きる . [ 例 ] まっすぐな太い導線 ( 断面は半径がの円形とする ) に 一様な電流が流れている場合の磁場を求めてみよう . 電流密度を ーとする (rR2i = が全電流 ). 対称性から考えて , 磁カ線は円 7 ー図 柱形の軸を囲みこれに垂直な円をつくっており , その上のいたる所で大きさは一定であ 「、をりす第い十キをい第を第トーー