にわくさばなてい かねも てんき 天気のいい休日。お金持ちのアール氏は、庭で草花の手入れをしていた。 こ、ん すると、かきね越しに声をかけてきた男があった。 くさばな す 「草花がお好きのようですね」 す 「ええ、好きですよ」 こた とア 1 ル氏が答えると、男は言った。 み 「じつは、ちょっと、お見せしたいものがあります」 えんげいようひんう 「なんですか。園芸用品の売り込みですか」 スピード時代 し きゅうじっ じたい おとこ こ おとこ し 162
もっとゆうしゅう 「これがわたしの作った、最も優秀なロポットです。なんでもできます。 にんげん いじよう 人間にとって、これ以上のロポットはないといえるでしよう」 き はかせ せつめい かねも と博士は、とくいけ。 = = 明した。それを聞いて、お金持ちのエヌ氏は言 っ一」 0 「せひ、わたしに売ってくれ。じつは離れ島にある別荘で、しばらくのあ しず いた、ひとりで静かにすごすつもりだ。そこで使いたし」 「お亠冗りしましよう。役に立ちますよ」 きまぐれロボット はなじま つか べっそう し 4 ろきまぐれロポット
かねも お金持ちのア 1 ル氏のところへ、ひとりの男がたずねてきた。 よ、つけん 「どなたです。そして、ご用件はなんですか」 おとこ こた とアール氏が聞くと、男は答えた。 け・んきゅう くすり はつめいか 「わたしは発明家です。じつは研究を重ねたあげく、すばらしい薬を、や おうえん かんせい っと完成しました。あなたに応援していただいて、どんどん作って売れば、 おも おたがいに大もうけができると思います。いかがなものでしよう」 じぎよう ゅ、つ . り・ しきんだ とん しかし、 ) っ , 」 ) 、、 「ああ、有利な事業なら、資金を出してもいし 薬のききめ くすり おお かさ おとこ
ま、ど いわおおかいがん はかせけんきゅうじよ エヌ博士の研究所は、岩の多い海岸のそばにあった。窓からは、白くく ふね なみみ とおすいへいせん だける波を見ることができる。また、遠い水平線をゆく船をながめること なっすず しず もできる。空気がよく、静かで、夏は涼しくていし し ひ かねも ある日、お金持ちのア 1 ル氏がたずねてきて、あいさっした。 き 「近くまでドライプに来たついでに、ちょっとお寄りしました」 「ど一つぞ、ど一つぞ。」ゆっりと」 き はかせむか とエヌ博士は迎え、ア 1 ル氏は聞いた。 ちか 金色の海草 きんいろかいそう し よ しろ 114
しねっしん はかせしようち アール氏の熱心さに負けて、ついにエヌ博士は承知した。 「 ) いでしよう。お亠冗りしましよう」 うみそこそだ 「それは、ありがたい。さっそく、これをふやして、海の底で育てること にしよう。金のとれる畑ができるわけだ」 「そうです。大いにふやして下さい」 かた カ はかせそだ せつめいしょわた と、エヌ博士は育て方を書いた説明書を渡した。アール氏は、それを受 と け取って言った。 「もちろん、そうするとも。しかし、あなたは欲のない人ですね」 け・んきゅう 「わたしは早く、つぎの研究をしたいのです」 す 「わたしは、おをもうけるほうが好きだ。これで、さらにお金持ちにな れる」 しおおよろこ かえ ア 1 ル氏は大喜びだった。お金を払い、金色の海草を持って帰っていっ よろこ みおく た。それを見送りながら、エヌ博士のほうも喜んでいた。 き はや おお か はたけ ま くだ かねは、り はかせ きんいろかいそう ひと ・も し かねも 118
あくま 「なるほど。本の絵にある悪魔も、そんなかっこうをしていたようだ。し ほんと、つ おも かし、本当にいるとは思わなかったな」 しん しん 「信じたくない人は、信じないでいればいい。だが、わたしはちゃんと、 ここにいる」 し きも なんど しつもん エス氏は何度も目をこすり、気持ちをおちつけ、おそるおそる質問した。 「なんで、こんなところに、あらわれたのです」 みずうみそこねむ ひ 「そのツボにはいり、湖の底で眠っていたのだ。そこを引っぱりあげられ、 お おまえに起こされたというわけだ。さて、久しぶりに、なにかするとしょ っ力」 「どんなことが、できるのです」 「なんでもできる。なにをやってみせようか」 し ・は 2 、つで エス氏はしはらく考え、こう申し出た。 かね あたくだ いかがでしよう。わたしにお金を、お与え下さいませんか」 ほんえ ひと め かんが ひさ 27 悪魔
そうちちか エス氏はそばにあったガラスのビンを手にし、装置の近くをめがけて投 ゆかあ おと ビンは床に当たって割れたか、音はすこしもしなかった。しかし、 そうち おと 装置からはなれた場所にビンを投げると、それはガチャンと音をひびかせ ゅうじんかんしん た。友人は感心した。 みよう 「どんなしかけになっているのか知りませんが、妙なものを発明しました やくた ね。しかし、これがなにかの役に立つのですか」 おおがねも 「立ちますとも。たちまち、わたしは大金持ちになりますよ」 ほうめん 「どんな方面に売り込むのですか」 ひみつ 「それはまだ秘密です」 ・・・レ小、つほ、つ しわる 利用法をひとに話せないのも、むりはなかった。エス氏は悪いことに使 おも つく おうと思って、これを作ったのだった。 よるひと しそうち せなか その夜、人びとが寝しずまったころ、エス氏は装置を背中にしよって外 しの しの 出した。そして、前からねらっていたビルに忍びこんだ。忍びこむといっ しゆっ まえ こ はつめい つか
とうぶんだいじようぶ こっちは食料があるから、当分は大丈夫だ」 ま 「いや、わたしは絶対に負けないぞ」 「やせがまんをするなよ」 こ、ん つぎひ つぎひおな しかし、その次の日も、そのまた次の日も同じことだった。声をかける と去 ) はかせげんき こた うたこえき と、なかで博士が元気に答える。時には、のんきに歌う声も聞こえてくる。 いっしゅうかん とおか す 一週間たち、十日が過ぎた。 →」、つと、つ はかせこうさん まだ博士は降参しない。そのころになると、強盗のほうが弱ってきた。 しよくりよう と ても 手持ちの食料もなくなりかけてきたし、戸のそとでがんはっているのにも、 た げんき あきた。それに、なにも食べないでいるはずなのに、あいかわらず元気な わるおも はかせ 博士が、うすきみ悪く思えてきたのだ。 「もうあきらめた。いつまでいても、きりがなさそうだ。引きあけること にするよ」 」、つと、つ かえ ちかしつ 強盗は、すごすごと帰っていった。エム博士は地下室から出てきて、ほ しよくりよう ぜったい はかせ ひ よわ で 17 試作品
し ちしき まな ものった くなり、勉強することを知り、学んだ知識をべつな者に伝えるようになっ み た。このようすを見て、博士は言った。 ぶんめい じぶん 「さて、文明も順調に発展しはじめたようだ。これからは、自分たちでカ しゆっぱっ をあわせてやるだろう。そろそろここを出発し、べつな星をめざすとしょ 一つ力」 「はい。そういたしましよう」 こた じゅんび ロポットは答え、その準備にとりかかった。 じゅうみん きった あっ しゆっぱっひ その出発の日。聞き伝えて集まった住民たちは、ロぐちにお礼の言葉を のべた。 いぜん 「おかげさまで、わたしたちは以前にくらべ、見ちがえるように向上しま 」・も かんしゃ わす ッ おんわす した。、 こ恩は忘れません。この感謝の気持ちをいつまでも忘れないように ロ レ」 くだ かえ きねんぞうつく と、記念の像を作りました。お帰りになる前に、せひごらんになって下さ博 し」 べんきよう じゅんちょう はってん はかせ まえ み くち ツ」、つじよう ちから
ま きゅうかんちょう むね かえ 胸をおどらせて待っていると、九官鳥たちはつぎつぎに帰ってきた。足 ふくろしら ひかかがやおおつぶ につけた袋を調べると、どれにも光り輝く大粒のダイヤが人っている。み せいこ、つ ごとに成功したのだ。 じゅんちょう すべては順調だった。しばらくつづけると、大きなカバンはダイヤでい おと , 」おおよろこ つばいになった。男は大喜びだった。 くしん やまおく なが 「ああ、こんな山奥で、長いあいだ苦心したかいがあったというものだ。 おおがねも せいかっ これで、おれも大金持ちになれる。これからは、どんなぜいたくな生活も まちで できるのだ。さて、町へ出かけてダイヤを売るとしよう」 きゅうかんちょう むかし 男は九官鳥たちを逃がしてやり、笑いながら山をおりた。そして、昔の なかま そうだん 仲間をたずねて相談した。 てつだ しよぶん 「ダイヤを処分したいのだが、手伝ってくれないか」 「ダイヤですって。まさか、ふざけているんじゃないでしようね」 「もちろんだとも。ほら、こんなにある。うまく売りさばいてくれたら、 おとこ わら おお やま あし 41 九官鳥作戦