須田寿《群牛》 大久保作次郎《江の島待春》 鶴田吾郎《層雲峡》 大貫松三《柿と栗》 桜井浜江《花瓶》 森芳雄《母子像》 寺田政明《むくげ》 今井口ヂン《バラと花瓶》 荻須高徳《赤いひさしのある家》 児玉幸雄《モンマルトル》 三岸節子《花》 三岸好太郎《道化》 長谷川利行《大八車のある風景》 此木三男《僕のアトリエ》 山口長男《趨》 長谷川憐一一郎《茶器》 清宮質文《むかしのはなし》 野口謙蔵《風景》 南城一夫《猫》 Ⅷ曽宮一念《富士と愛鷹》 荒井龍男《ポードレールの碑》 北岡文雄《漁夫と烏と白い船》 靉嘔《レインポー北斎》 津高和一《作品》 安藤信哉《静物》 瑛九《 ( 仮 ) 花束》 荒井龍男《静寂》 野口彌太郎《セビラの行列》 古茂田守介《小児像》 坂本善三《秋果》 福井良之助《作品》 寺田政明《河口沿いの風景》 朧オノサト・トシノブ《作品》 相吉沢久《秋の訪れ》 菅野圭介《秋》 仲田菊代《帽子の女》 野田哲也《日記 1976 年 8 月円日》 村上肥出夫《パリの街角》 220218 幻 6214212210208206204202200 198 196 194 192 190 188 186 184
寺田政明《河口沿いの風景》 池袋モンパルナスを代表する画家 優れた画家を見つけようとしたら、他の優れた画家の若い頃の仲間を調べて見るのが早い 優れた画業を残した人物の周リには、必ずと云っていい程無名の時代から同様の人材が集まっ ているか、らた。 池袋モン。ハルナスを代表する画家寺田政明もその一人であろう。一九四三年に結成された新 人画会には、寺田政明の他に靉光、松本竣介、麻生三郎、鶴岡政男といったその後の日本美術 史を彩る錚々たる画家たちが輩出している。貧乏コレクターにとっては、今やどの画家の作品 も高嶺の花になったが、長寿でたくさんの作品を遠したが故か、寺田政明の作品だけは私にも 手に入れることが出来た。 寺田政明は、生涯に亘リ大きくその画風を変えた画家であるが、私自身は出品作のような晩 年の作品に心惹かれる。《河口沿いの風景》と題された本作品は、葉を落とした木の様子から冬 の季節であろう、まだ夜の明けない早朝の河口から今にも漁に出ようとする幾艘かの小舟が描 かれている。その様子を眺めているのは画家自身であろうか。この夜明け前の情景には闇と光、 静寂と躍動、寒と暖といった相反するものが見事に調和され一枚の画として自律している。観 る者を引き込み、心の有リ様で様々な見方を想起させ、希望さえ感じさせる。本当の美しさとは、 こ、つい、つ世界をい、つのてはないか。 秋山功 ( 群馬県高崎市 ) 208
寺田政明《河口沿いの風景》 油彩・キャンバス 45.0 x 53. Ocm 1983 年 Terada Masaaki Scenery at a River a 毖 寺田政明 ( てらだ・まさあき / 1912 ー 1989 年 ) 福岡県八幡生れ。太平洋美術学校で学ふ。独立展、 N 〇 VA 展に出品。 1 936 年工コール・ ド・東京結成。 37 年独立美術協会賞。 39 ー 49 年美術文化協会結成。 43 年新人画 会結成。 50 ー 64 年自由美術家協会会員。 64 年主体美術協会結成。東京て没、 77 歳。 209
寺田政明《むくげ》 油彩・キャン八ス 40.0 x 54. Ocm 制作年不詳 Terada Masaaki Roses ofSharon に 0 寺田政明 ( てらだ・まさあき / 1912 ー 1989 年 ) 福岡県八幡生れ。太平洋美術学校て学ふ。独立展、 N 〇 VA 展に出品。 1936 年工コール・ ド・東京結成。 37 年独立美術協会賞。 39 ー 49 年美術文化協会結成。 43 年新人画 会結成。 50 ー 64 年自由美術家協会会員。 64 年主体美術協会結成。東京て没、 77 歳。 1 59
寺田政明《むくげ》 池袋モンパルナスの画家寺田農の父 ノ川が流れ湿地帯であったような現在の要町付近から椎名町、 いわゆる池袋モン。ハルナスはい 東長崎、落合、また北の板橋方面にまで広がったアトリエ村の事で、若手芸術家が多く住んで いたことて知られています。 池袋モン。 ( ルナスとは小熊秀雄が名づけたが寺田はその若手芸術家の中心人物の一人てあリ また日本におけるシュルレアリスムの代表者の一人でもあリます。 画風は何回か変わっていてシ = ウルのものもそれでない一般的なものもあリます。今回の《む くげ》はその画面の色の美しさ、マチェールの良さで購入したものです。 私の中学の同級生にもモンパルナスの画家がいて何か懐かしい響きがします。 個展てもご子息の寺田農さんを御見掛けしてお話ししたこともあリます。寺田さんの彩色版 画三点も我が家の壁面を飾っておリます。 みのリ 中井嘉文 ( 東京都練馬区 ) 1 58
津高和ー 鶴田吾郎 【て】 寺田政明 【と】 遠山五郎 都鳥英喜 【な】 仲田菊代 永地秀太 中村研ー 中村忠ニ 中村正義 南城ー夫 西村宣造 《作品》 《層雲峡》 長谷川憐ニ郎《茶器》 1 92 1 50 1 58 208 48 32 216 34 236 282 284 286 1 82 344 258 218 200 180 50 【は】 萩谷巌 長谷川潔 《マダム X 》 《巴里セーヌ川》 《花》 《むくげ》 《河口沿いの風景》 《夫人像》 《べニスサンマリア寺》 《阿吽》 《猫》 《おとこ》 《ははこぐさ》 《アオイテガミ》 《風景》 《静物》 《帽子の女》 長谷川利行《大八車のある風景》 早川義孝 原勝郎 【ひ】 土方久功 広幡憲 【ふ】 《漁村の白い夜》 《森の中の母子》 《パリの郊外》 《孤島》 《浮標》 福井良之助《作品》 《バルトークの部屋》 一見彰ー 普門暁《アンナ・パヴロヴァ ( 瀕死の白鳥印象 ) 》 古嶋松之助《雪の日本橋》 西脇順三郎《静物》 【の】 野口謙蔵《風景》 野口彌太郎《セビラの行列》 野田哲也《日記 1976 年 8 月 1 9 日》 《日記 1972 年 10 月 25 日》 31 8 野見山暁治《ほほづえ》 【ほ】 星襄ー 堀進ニ 堀井英男 【ま】 前田寛治 正木隆 増田誠 松田正平 《ブランコ星座 26 番》 《老婆の肖像》 《 magi c room 83 ー 1 》 《婦人像》 84 142 1 32 1 70 1 76 292 54 244 206 300 64 102 68 58 44 320 70 330 《 From DRIVING to DIVING 03 ー 4 》 270 《チェスするキング》 《自画像》 298 346
児玉幸雄《モンマルトル》 三岸節子《花》 桜井浜江《花瓶》 中山真一 ( なかやましんいち ) 山口長男《富士山麓》 津高和ー《公園風景》 安藤義茂《白いリボンの少女》 中村徹 ( なかむらとおる ) 野見山暁治《ほほづえ》 木村忠太《初夏 B 》 上野山清貢《鮭》 中村儀介 ( なかむらぎすけ ) * * 所蔵家・執筆者一 中井嘉文 ( なかいよしふみ ) 大貫松三《柿と栗》 鶴田吾郎《層雲峡》 寺田政明《むくげ》 森芳雄《母子像》 【な】 福井 森清治郎《サンクールの眺め ( セーヌ河 ) 》 234 今井口ヂン《バラと花瓶》 1 60 1 52 荻須高徳《赤いひさしのある家》 162 1 64 1 54 1 50 158 1 66 156 136 138 134 262 260 258 森田信夫《アムール河の初雪》 野原宏 ( のはらひろし ) 靉嘔《レインポー北斎》 荒井龍男《ポードレールの碑》 荒井龍男《静寂》 安藤信哉《静物》 瑛九《 ( 仮 ) 花束》 北岡文雄《漁夫と烏と白い船》 古茂田守介《小児像》 津咼和ー《作品》 野口彌太郎《セビラの行列》 【ひ】 平園賢一 ( ひらぞのけんいち ) 【は】 橋本昌也 ( はしもとまさや ) 甲斐庄楠音《太夫道中図》 菅楯彦《高士観梅図》 山田彊ー《婆羅門シリーズ No. 7 アジャンタ No 1 》 276 山田彊ー《現代餓鬼草子シリーズ 太郎と花子 ( No. 1 1 ) 》 278 阿部金剛《郷愁》 植木茂《合》 川上邦世《春風駘蕩》 澤部清五郎《座せるシュザンヌ》 66 232 1 90 186 198 1 94 196 1 88 202 1 92 200 62 74 72 68 58 90 92 西澤賢史 ( にしざわけんし ) 篠原新三《収穫 ( 仮題 ) 》 松村綾子《紫陽花》 万羽章《 1950 年夏の女 ( 仮題 ) 》 【の】 野口勉 ( のぐちっとむ ) 中村研ー《風景》 1 30 1 26 1 28 236 土方久功《孤島》 広幡憲《浮標》 普門暁《アンナ・パヴロヴァ 堀進ニ《老婆の肖像》 吉岡憲《煮もの》 ( 瀕死の白鳥印象 ) 》 豆 ( ふくいゆたか ) 相田直彦《磐梯山の景》 64 70 60 1 08
* * 所蔵家・執筆者一 【あ】 秋山功 ( あきやまいさお ) 相吉沢久《秋の訪れ》 見 * オノサト・トシノブ《作品》 寺田政明《河口沿いの風景》 新井博 ( あらいひろし ) 岩﨑勝平《橋 ( 大阪 ) 》 大澤寛《浜辺》 清宮質文《水辺の窓》 脇田和《ヘーパーパレットと筆》 荒井よし枝 ( あらいよしえ ) 松村光秀《蝶とほうづき》 荒井由泰 ( あらいよしやす ) 212 210 208 312 310 316 314 350 オノサト・トシノブ《サークル 69 ー E 》 116 恩地孝四郎《失題》 恩地孝四郎《壺》 恩地孝四郎《リリック 9 はるかな希い》 1 22 谷中安規《画想》 1 20 太田貞雄 ( おおたさだお ) 大久保作次郎《江の島待春》 鈴木信太郎《オランダ万才》 須田寿《群牛》 萩谷巌《巴里セーヌ川》 山下新太郎《セーヌ河》 小倉敬ー ( おぐらけいいち ) 【お】 長谷川滸ニ郎《茶器》 《富士と愛鷹》 清宮質文《むかしのはなし》 【か】 野口謙蔵《風景》 南城ー夫《猫》 日呂 加賀美勣《卓上の静物》 麻田浩《窓・鏡》 金井徳重 ( かないとくしげ ) 148 144 146 142 140 328 322 1 78 1 84 1 82 1 80 176 1 24 318 320 348 294 296 292 298 42 星襄ー《ブランコ星座 26 番》 330 伊東總吉 ( いとうそうきち ) 野田哲也《日記 1972 年 10 月 25 日》 堀井英男《 magic room 83 ー 1 》 伊とうはるこ ( いとうはるこ ) 小石サダヲ《鎮魂》 【う】 薄井良昭 ( うすいよしあき ) 木村忠太《木陰》 高木義夫《早春》 早川義孝《漁村の白い夜》 増田誠《チェスするキング》 宇都宮義文 ( うつのみやよしぶみ ) 水木伸ー《べニス風景》 三尾公三《蒼天へ》 宮崎進《花と女》 金子茂夫 ( かねこしげお ) 坂本善三《秋果》 福井良之助《作品》 上村真澄 ( かみむらますみ ) 靉嘔《ハート》 瑛九《愛情》 326 324 336 334 204 206 加藤正《虹から生まれた卵》 332 【き】 木村悦雄・正子 ( きむらえつお・まさこ ) 朝倉摂《静物》 菅創吉《ハルピンの追憶》 原勝郎《パリの郊外》 242 246 244
荒井陸男《氏の肖像》 肖像画は画家の本領・独行の洋画家 サインが読めるのに作者不詳《男の肖像》としてネットオークションに出品されていた作品、 山陰地方の画商さんから落札購入した。画家作品は既に小品四、五点を持っておリ作者はすく 判ったが肖像画は持っていなかった。昭和初期、明冶神宮外苑聖徳記念絵画館に《旅順開城、 乃木大将とステッセル会見の図》 ( 水師営の会見 ) を納め知られたが、無所属の孤高独歩の画家 であったので忘却されたのであろう。海洋画、肖像画に定評があリ特に肖像画は画家の独自分 野で、總川公爵や戦後は米軍将校、最高裁判所長官などを描いている。晩年、中国に招かれ依 頼され描いていた完成間近の毛沢東の肖像画を自宅の火事で焼失してしまうという残念な記録 シッカー もある。旧幕府海軍奉行荒井郁之助の六男に生まれ明治四ニ年に渡英しウォルター トがホイッスラーの支援て始めたロンドンの美術学校に学んだという異色の経歴を持つ。この 学校は夜間部もあったが画家の学んだ仔細は不明である。さて入札時不明のモデルも現物到着 後まもなく判明した。箱の隅に小さく〇〇肖像と苗字が鉛筆で書かれていたのを手掛かリにあ る保守系政治家にたどリ着いた。高齢に見えるが晩年七〇歳頃の肖像と考えられる。策士とし て知られたが閣僚の経験はな、 この肖像が描かれた頃、保守合同が成立、その最大の功労者 と政治的に評価される人物、小説『青春・都の西北』の主人公てもある。画家よリ一歳年長であっ たが描かれた経緯は不明である。 福井豊 ( 東京都荒川区 ) -4 ・
仲田菊代《帽子の女》 絵から発する女性のイメーシに魅了された ? 私は女性には縁遠く、母以外余リ知らずに家族 ( 男兄弟四名 ) 、学校、そしてサラリ 代も男生社会で育ちました。その様なこともあ「て女生には産れの様なものを持「ていました。 母が高等女学校時代にオシャレをした洋装姿の写真があリ、この絵はその写真のイメージに似 ておリました。っ 「買います」と値段も聞かず手か出てしまいました。 作家は仲田菊代 ( 好江 ) です。今は無き神保町にあ「た高木美術に先ず安井曾太郎の影響下 の《瓶花》が出て、飛びつき、次にこの絵が出たのです。私は東京国立近代美術館で初期の作品《裸 婦像》を見て菊代時代の絵が欲しか「たのです。私は仲田好江に名を変えた後に確立した幻想 的な絵よリ、菊代時代の絵が大好きです。この仲田菊代時代の代表作とも思えるニ点のゲット は後に女流作家のコレクションを進めることになる、つかけとなリました。サラリ ーマンコレ クターでも著名で質の高い女流作家の代表作が買えることも判「たのです。女流作家の作品収 集にのめリ込む契機となった作品なのです。 堀良慶 ( 千葉県柏市 ) ーマン時 21 6