375 何どて生こ訪 言何かよ何ま歳書た にを 私の 此こと そは 側み村 g 何 の私 時カ けなと話右うり の十 をの 見う えま てた らカ がう しく いな 説んも自素す今 であ分直会、と し見 てる のを田君 は見劉 : を 如いは 知い 身の つ来てる 自い批を とた な事 君よな頃 の書でる評れ面ナ 思が では白そ 一変 多たえ思 いもばつな窟豸言た その し、・も るあ つ自 しは つな 致事 るてそ評て坂て分やる い同 いの に私 で何 毎て 人常 いなが君 つな は版 そに しれ えいぬて存そそる の分も屋 し作たを 事て 言連 家いでう のれ つ中 外てにみ 批言 の中 し裏 つだ いはんてがらをれ 事評 なは家た 事事そはだ作かが 、批てよ い気 も で な け い し と 思 っ ら な し の 白 れいとね三う たん彝の座ざき 方 : 、中、前は薄ネ短をた い線 にく るかた四事もこ愛書かた 、時年を手ての着けら つで篇持と 本児あ だ そ つ思れた 力、し、は 、四 い 、書 し、 の 実かか宝弩感統告げと の 若か後ごる事 、 : 藤告 、ら いて坂真毳 。は母 は事三 のノ 。私 : つ く いと死本太た 裏はん君良 側思だはが う 描がま青州 ずのて訊きそ十私 答かの五が時 えれ後年二母 月リ い場雑の九死阻り 分た合誌事歳と で 、な 、無ぶどあ時 で し、木 [ の * の新亡 で 、母 て描画え繁ー坂え い描かと本 ! か繁覧 る絵岸 。が よ く ず 小 に い る と た 白 線 た なてき 、あの る 実 カ ; に今難かる 軏でら る 、私 と に私し し作あはう十 ロロり七短 の での十篇オ い て自説 が作評家けにう 、ま四 、評が 冫こ でてけ カ : っ 大 に て の う つう小事他家家はば批事 は人をを作 の書身作用用の だが立かのロロのの作無むい 、場ず作を長長品用ういを 品批物物に 、了て出あ概私就つ、話と 、い分を自の無無家全家分んたた来よ若身て評聞梅 く * と のも の責すはと生物はとてれなう しだっ、思い ってと友う 、・そ らなよ の書言 いのも家き原っ う . にう う も 場言の に合え批 、はて よ う に は大そで評とだ寄長 : の に 1 事合 ; 任を の都つ責任る だいわ る う . の も いいと 、た 。の は理りい いも葉 う 寧れ、と のを負合なた生考達 、い いるね何気らて ろ 命 な だ う が 、批 わ 事ばを な ら 。がも 言平 か と き - る 。あ ん と 的考な と勝評 い手家 ををう し、 の 在 。れ でそ私が却陰寄 定 っ て 、な連故そ の作い 。方家う か 。を一 と 自け家ら批評除 っ 作 しるそな枯こ多か失る し 0 に う は 、年 う ・ちわ 本 う う平渇弯少潤れ、の 自 で批事と何だ帰 た 同 、評が甲 家 ) に と 。正感そ て家そ梅う のう原 じ批だ龍ゅ 言臣つし 小あはにう がで私郎 : ・つ て 、で出 も興喜 幾味ば 書いおっ は
るしな」 「伯母さんがそう言ったんだろう」謙作は笑った。それに せつかく 折角の思いっきも此反対でそれつきりになった。直子の違いなかった。 淋しく・ほんやりしているような事も少なくなった。月見、 赤児の着物は国の母親の縫った物が何枚も届いた。伯母 花見、膳蝶、そう言う旧いやり方の花合せなどをして遊からも洗ざらした単衣で作 0 た譌が沢山に来た。 と ぶ事もあった。伯母は一ト月程いて帰って行った。 「まあ、きたならしい物ばっかり」その小包を解いた直子 はす 九月に入ると、直子も段々元気になり、謙作がおそく一一は予期の違った事から顔を赤くしながら言った。「羞かし 階の書斎から降りて来ると、電燈の下に大きな腹をした直いわ。こんなもの : : : 」 もった、 子が夜なべ仕事に赤児の着物を縫って居る事などがあっ 「勿ない事おいやす。こう言うものは何枚あったかて足 あらいざら こ 0 りるものやおへん・せ。きたならしい言うて、そない洗晒し 「可愛いでしよ」 たんでないと、ややはんには荒うてあきまへんのどっせ」 えもんだけ わたいれ、 一尺差しの真中を糸で釣った仮の衣紋竹に赤い綿入のお「これはあなたが着てたんだろう ? 」謙作にはこう言う荒 たんす かん ちゅうがた でんちを懸け、子供の立った高さに簟笥の環から下げてあい中形を着ていた時代の直子が可愛らしく想い浮んだ。 る。 「そうよ。だから羞かしいのよ。幾ら田舎でもこんなにな にんとう 「うむ、可愛い」 るまで着てたかと思うと。伯母さんも本統に気が利かな 謙作は其所にそう言う新しい存在を想像し、不思議な気い」 がした。それは不思議な喜びだった。肩上げにくびられ、 直子がそう腹立たしそうに言うと、仙が傍から、 うしろむ しりあた にくづ 尻の辺りが丸くふくれている所が後向きに立った肉附きの「奥さん。御隠居はんなりやこそどっせ : : : 」と多少冊や ままおも がらせの調子に言って笑った。 い子供をその儘に想わせた。 んとうどっち 路 産は十月末か十一月初めと言う事だった。産を病院です 「あなたは本統は何方がいいんだ ? 男がいいか、女がい 行 いか」自分でもそんな事を思いながら謙作は訊いてみるか、自家でするか、万一国の母親が出て来られないよう 夜 こ 0 なら、病院でする事に決めて置いた。若し早くなると、田 「そうね。何方でも生れた方がいいのよ。どうも、これば舎は穫れ時で置しく、一寸出にくいとの事だ 0 た。然し かりは神ごとで仕方がないのよ」直子は貫おした糸を髪でれにしろ伯母の方は又出て来るに相違なかった。 しごきながら済まして答えた。 或日思いがけなく信行が不意に訪ねて来た。それは晴れ っ そば
和 ) 】一解 鶸当ル , 五実目んだの外の ~ 。第っ珖は。。の・、 ( 朝正 「第第さ第は気物ですか」 第おですけどだお 一では、「軒っ 当をは第だけまが第 右我孫子時代 ( 大正 8 年ころ ) 左より康子次女留女子直哉 松村好子 ( 夫人の妹 ) 下「和 解」に出る我孫子の回春堂医院 第ッタ 3 思ルのていい鮨 { 打びなのわなまん齢る賀の志年 いさ動やうて屋や小っ ー波気か代ま中ででのさ作賀に 出で作る。出で僧てんと持り表に篇い病をん品さわ 、作書小た身待のをんた し描や主秤て、のくとな てか気人屋やゆ一神る張っそこのい説にでつ気言冗 る くれ持公のく度様のりてしのひた違あて持ん十不 るて、の小小手でつ、て和と作和いついをで五和 よおそあ僧僧にはあめー最解っ品解なたた理き歳を うりしる仙を持大るた歩初のででいだに解たの解 。け違し当と決 で、て微吉実っ正 。文ーのたあ、は いな時きし あ読そ妙に際た八 章歩幼める 、に鮨年 るんのな に和児に。大こ 、ながのでて 。で情気妙見をの 乗解の蔭当津の いら ⅱノし い景持なて、作 つに死で時順父 の。も者るる て近と努の吉直 和 、値で 、は のてがが 血 解とい 誰お主と 一段あ つ・、カ員 : 、、日 ッし、 . ノ、 をにつ作賀直 小しど題かのをる つい次し賀と氏 僧もろでら短言が よて女た家とと い祖か さ温 ロロ くゆの義のもの の、くあ鮨篇わ っ母はにん氏 神鮨ほるをがれあ ロ儿く出母様に和 そ留るこ現の六 者、経じ産浩言子、解 様のどが御ご出てる う女めのわ最十 待は日れ初六 味の、馳ち来ま屋 の緯、、がやも自を はまリ小走豸たた台 胸が大祖よ伝そ ち、のるか歳 望高く志ら 、でア僧しと置の 、き母く的の を 451
うな気がした。そして蔭でお栄にどんな事を言って居る「いやな話で、済みません」と殊更に作り笑いをして謙作 の方を向いた。 四か、それさえ大概見当のつくような気がした。 「石本さん、いらしたの ? 」とお栄が言った。 久しく東京言葉を聴かなかったような気持から、一つは 「居なかった。今日居ない事は知ってたんですが、すっか お才と一緒になりたくない気持から、彼は夜になって落語 おそ うち り忘れてたんです。仕方がないから、はなしかを聴いて来 の寄席へ行き、晩くなって大森の家へ帰って来た。 お栄とお才は未だ起きて、茶の間の電燈の下で何か話しました」謙作は火鉢のへいって、腰を下ろした。 「謙さんはそう言うものがお好きなんですか。私も好きな 込んで居た。 あちら いいのが来ませんからね。 お才はその話で興奮して居るらしく、前夜のような世辞方だが、彼地じゃあ、 はなしか ちやわん きゅうす も言わず、自分で急須へ湯をさし、それを茶碗へしたむあれは何て言ったかしら。落語家の方は忘れたが、かみさ うち あさひしじよう びわひ しばら んが、旭紫嬢という琵琶弾きで、暫く二人共家へ置いてや と、謙作の前へ置いて、直ぐ、話を続けた。 なかなか れいげんこう 「それが、お前さん、ちっとも私は知らなかった。その春った事がありますよ。却々いい声で、黎元洪に字を書いて から、これだったんだ : ・ : ・」こう荒っ・ほく言って、お才は貰った琵琶を持って居ました」 りようびじ たなごころ その瘠せこけた片手の親指と小指の先をお栄の鼻先きで二 お才は食卓に両臂を突き、米噛の所に両の掌を当て、 電燈の光りから顔を陰にしながらそんな話をした。それは 三度忙しく、くっ附けて見せた。 こじわ つや そうする事で顔の小皺が見えなくなり、艶を失った皮膚の お栄は眼を伏せ、黙って居た。 くや もちろん 「口惜しいっちゃ、ない。旦那も何だけれど、妹の奴、食色が分らなくなる為めに幾らか美しく見えた。勿論お才は わして貰って居て、そんな事をしやがるかと思うと、まさ其効果を十二分に知って、仕て居るので、そして謙作にも でばぼうちょう か本気でもなかったが、私は出刃庖刀を振廻してやった」実際それが美しく見えた。少なくも此女が若かった頃は相 謙作は何だか居たたまらない気持になって来た。茶を飲当に美しかったかも知れないという気を起こさせた。 みながら、腰を浮かしていると、それと察したお栄が急に お才は翌朝岐阜の方へ起って行った。岐阜は郷里でもあ そこ 顔をげ、 り、其所に何か用もあるらしく、お栄とは日を決めて、京 「お菓子でも出しましようか」と言った。 都で会い、一緒にな〈行く事にして行「た。起ち際に、 たくさん 「もう沢山」こういって起ちかけると、お才も気がつい 「お栄さんの事は御心配なく」こんなに言われても謙作は あいさっ 挨拶が出来なかった。 て、 よせ よる よくあさ す こめかみ ことさら この
「咲子にこんなものを寄越した奴があるんだがね」 「俺がいってもいいけど、そんな事で会社を休むのもいや こういって信行は無造作に外套のポケットから草色の洋だから」 封筒に赤インキで書いた手紙を出して渡した。弱々しい安「それじゃあ僕が行って見よう。〇〇町の〇子爵というの まつやま しづこ つぼい字で、裏には第〇高等女学校寄宿舎より、志津子、は松山のお祖父さんにあたる人だ。松山に訊けば直ぐ分る が、そんな事をする必要もないだろう」 封の所には「津・ほみ」と書いてあった。 まわ きのう 「そうだ。こいつはそれ程悪い奴ではないかも知れない 「此手紙は昨日、此処から廻した手紙じゃないか」 「そうだ。お前の妹という事を知ってるんだ。それで此処よ。然し嚇かす為めにそれを言ってやるのもいいや」 信行は直ぐ帰って行った。 にいると髞ってるらしい」 そり こまか 謙作は歯の浮く不快な文字を予想しながら読んだ。其予其日は寒いばかりでなく時々思い出したように細い雨が 想があった為めか、思ったよりは冊味のない手紙だった。 ' 止んだり、降ったりする日だった。謙作は二階に火を入れ しんせい 「男女交際の真正なるものは一向差支えなきものと私推さして、久しぶりで机に向った。彼は長い間怠っていた日 、たしたく つかまっ 仕り候。ては少々御価談度明後六日貴嬢之学校り記をつけ始めた。 けいだい 何か知れない重い物を背負わされている感じだ。気 途中 ( 二時及び三時 ) 神社境内にて数分間拝顔致度候」 持の悪い黒い物が頭から被かぶさっている。頭の上に直ぐ こんな事が書いてあった。 そうきゅう あいだひろ ただいまこうじまち わたくし 「私は此夏某私立大学を卒業致し只今は麹町区〇〇町〇蒼穹はない。重なり合った重苦しいものがその間に拡がっ まかりあり 子爵方へ止宿罷在候」そして繰返し繰返し秘密にして貰ている。全体此感じは何から来るのだろう。 けんとうひ 日暮れ前に点ぼされた軒燈の灯という心持だ。青い いたいと言う事、然し若しこう言う事の為めに結婚前の貴 だいだいいろ すりガラス 女に障りが起っては気の毒に思うから、そうなら遠慮なく擦硝子の中に橙色にぼんやりと光っている灯が幾ら焦心 路 った所でどうする事も出来ない。擦硝子の中からキイキイ 断って呉れと言うような事も書いてあった。 あいまい 行 爪を立てた所で。日が暮れて、灯は明るくなるだろう。が、 「曖味な態度で瀬踏をしてる」と謙作は笑った。 と かく 暗「此前寄越した奴程不良性はないようだ。然し兎に角、どそれだけだ。自分には何物をも焼き尽くそうと言う慾望が んな奴か、お前見といて呉れないか。場合によっては嚇しある。これはどうすればよいか。狭い擦硝子の函の中に・ほ あか つけてもいいし」 んやりと点ぼされている日暮れ前の灯りには其慾望はどう すればよいか。嵐来い。そして擦硝子を打破って呉れ。そ 「うん」 さわ っ せぶみ あな と この と しょ
いらいら は半病人のように弱る一方、気持だけは変に苛々して、自直子は丁度赤児を抱上げ、片手で帯の間から蟇口を出し ている所だった。 分で自分をどうにも持ちあっかう事が多か 0 た。 或日、前からの約束で、彼は末松、お栄、直子等と宝塚「おい。早くしないか。何だって、今頃、そんな物を更え その へ遊びに行く事にした。其朝は珍しく、彼の気分も静かだているんだ」 ちょうどむこう った。丁度彼方で昼飯になるよう、九時何分かの汽車に乗「気持悪がって、泣くんですもの」 オしか。それより、皆もう外 「泣いたって野わしないじゃよ、 る事にした。 あかんぼこっち したく 出がけ、直子の支度が遅れ、彼は門の前で待ちながら幾へ出てるんだ。赤坊は此方へ出しなさい」 彼は引たくるように赤児を受取ると、半分馳けるように らか苛立つのを感じたが、此時はどうか我慢した。 しまら 末松とは七条駅で落ちあった。暫く立話をしている内にして改札ロへ向った。プラットフォームではもう発車の号 けたたま ふとわき 改札が始まった。彼は不図傍に直子とお栄の姿が見えない鈴が消魂しく鳴っていた。 あと 「一人後から来ます」切符を切らしながら振返ると、直子 事に気がつくと、 、のは馳足ともともっかぬすり足のような馳け方をして来 「使所かな」とつぶやいたが、「乗ってからやればいし むつきふろしきづつみ る。直子は馳けながら、いま更えた襁褓の風呂敷包を結ん に馬鹿な奴だ」と直ぐ腹が立って来た。 むこう 二人は便所の方へ行こうとした。其時彼方からお栄一人でいる。 いそぎあし 「もっと早く馳けろー」謙作は外聞も何も関っていられな 急足で来て、 どな ちょう ' 、い い気持で怒鳴った。 「二人の切符を頂」と言った。 「どうでもなれ」そう思いながら彼は二段ずつ跨いで・フリ 「どうしたんです。もう切符切ってるんですよ」 「どうそお先へいらして下さい。今赤ちゃんのおむつを更ッジを馳け上ったが、それを降りる時は流石に少し用心し こ 0 えてるの」 汽車は静かに動き始めた。彼は片手で赤児をしつかり抱 「何だって、今、そんな事をしてるのかな。そんなら、 あなた き〆めながら乗った。 貴女は末松と先へいって下さい」 謙作は苛立ちながら、二人の切符を末松へ渡し、その方「危い危いー」駅夫に声をかけられながら、直子が馳けて 来た。汽車は丁度人の歩く位の速さで動いていた。 へ急いだ。 「馬鹿ーお前はもう帰れ ! 」 「有料便所ですよ」背後からお栄が言った。 あるひ ひっ さすが また みんな
「直子です」とお栄に紹介した。 「敦賀へ帰ったのか」 ござ 「栄でムいます、何分よろしく : : : 」一一人は叮嚀に挨拶を「九州の製鉄所へ見学に行くとかいっていました」 やはた 交わしていた。 「八幡だね」 「どうぞお先へいらして下さい」こういいながら水谷が赤「ええ」 かえ 帽と一緒に還って来た。 謙作は何となく不愉快だった。直子の従兄が、来て泊る こわれもの 「毀物があるんだが、それだけ持って行こう」 事に不思議はないようなものの、自分の留守に三日も泊 「どれです。これですか ? 」 り、その上、自身の友達を呼んで夜明かしで花をしたとい こうらいやき 「僕が持って行くよ」謙作は高麗焼を少しばかりと李朝のうのは余りに遠慮のない失敬な奴等だと思った。又、直子 壺を幾つか入れた一ト包みを取上げた。 も直子だと思った。 「大丈夫です。僕が持って行きますよ」水谷は奪うように僅か十日ではあるが、結婚してこれが初めての旅だっ あいださび それを取った。 た。彼は直子がその間、淋しさに堪えられないだろうと思 一体そういう所のある水谷ではあるが、今日は一層それ 、敦賀行きを勧めた位で、自分も朝鮮でそう気楽にして が謙作には五月蠅く思われた。 いる事が直子に済まない気がし、且つ自身も早く帰りた 彼はお栄と直子を連れ、改札口を出、そこに立って赤帽く、彼は直子に会う事にかなり予期を持って帰って来たの 等を待った。 だ。然し会った最初から、何か、直子の気持が・ヒタリと来 「どうして水谷が来てるんだ」彼は直子に訊いてみた。 ない事が感ぜられ、それに水谷の出ていた事が一寸彼を不 かなめ 「今日自家へいらしたの。此間要さんが来て、三晩ばかり機嫌にすると、それが直ぐ直子にも反射した為めか、直子 泊って、その時水谷さんや久世さんもいらして、お花で夜の気持も態度も変にぎごちない風で、不愉快だった。 路 明しをしたんですの」 水谷が毀物の風呂敷を下げ、赤帽についてニコニコしな 行 「日」 がら出て来た。 まえ 「チッキの荷もあるんでしよう ? 直ぐとらせましよう」 暗「四五日前に一 「要さんは何日帰った。末松は来なかったのか ? 」 謙作はそれには答えず直接赤帽にいった。 3 「末松さんは一度もいらっしゃいません。要さんの帰った「市内配達があるだろう」 のはさきおとついです」 「御座ります」 うるさ ていねいあいさっ りちょう つるが か
ら仙は一寸頭を下げた。謙作は彎な顔をしながら、いやそして雇うた人、雇われた人と言う以上に出来るだけ平等 にしたい考もあるのだが、或る気持の上のがさっさに対し 幻に図々しい「目刺し」だと考えた。しそう言われて、 のみこ けないとは言いにくかった。で、彼は仕方なく、「よろしては矢張り我慢出来ない事があった。仙がそれを呑込むま い」と言うのだが、一度「目刺し」が寝床へ入れた物はもでは時々不快な事もありそうだと彼は考えた。 どん う使えないと思い、勿体ない気もするのだ。然しわざわざ「俺が机に向かって居る時は如何な用があっても決して口 東京から重い物を持って来て、直ぐ「目刺し」に取上げらをきいちゃあ、いかんよ」こう言い渡した。 こつけい 「何でどす ? 」仙は驚いたように細い眼を丸くして訊き返 れて了う、そう言う主人公を滑稽にも感じた。 たらい かなひばち、、、 前に来て居た荷で、大きい金火鉢を入れこにして来た盥した。 「何ででも、いけないと言ったらいけない」 の底が抜けかけて居ると言うので、 「へえ」 「それは直しにやったか ? 」と彼は訊いてみた。 うつかり そして仙はこれを割りによく守った。呆然何か言いなが 「やりまへん」と仙は当然の事のように答えた。 ら入って来て、その時謙作が机に向かって居ると、 「何故やらない」 「はあー物が言われんな」こんなにいって急いでロを手 「桶屋はんが廻って来やはらへんもの : : : 」 で被い、引き退がって行った。 「来なければ持って行ったらどうだ」 「阿呆らしい。あんな大きな盥、俳が持 0 て歩けますか謙作は仙の過去に就いて殆ど知らなか 0 た。只、若し生 どこ きていれば彼と同年の娘が一人あったという事、それに死 いな。何所までや知らんけど : ・ たた 別れ、兄の世話になって居たが、最近それにも死なれ、そ 「頭へ載っけて太鼓を叩いて行くんだ」 やっかいもの の後、甥夫婦にかかって見たが、何となく厄介者扱いにさ 「阿呆らしい」 なお 謙作はするのを我慢しようとすると尚苛々した。然れるような気がされるので奉公に出る事にした、この位の し間もなく銭湯へ行き、さつばりした気持になって帰って事を謙作は聴いていた。 うた 来ると、苛々するのも幾らか直って居た。 仙は台所で仕事を仕ながらよく唄を唄った。下手ではな かったが、少し酒でも飲むと大きい声をするので、謙作は 仙との関係が智統に落ちつくまでは少し時がかかりそう に思えた。仙は書生を一人世話すると言う割りに気軽な心座敷から、 やかま 持で来たらしく、そして謙作も書生には違いなかったが、 「八釜しい」と怒鳴る事もあった。 ちょっと もったい おお ふかい
8 を 暗夜行路 若もに 楽 つが所をて た の 思もなる っか ー 1 ー 1 - ー 1 っ明あ明あさ今 。処こ支 しも観 た彼 で尚、謙も 君いなかま 日 : 日にあ へ 店 。に 、ぶと直作 露 旦免謙 の きからで し いた て然よはそ彼 の 。は作 っ其第に 接 も の タ は骨る ら しん の の 最にが飯晩晩 今在うは 御 へてた儘ま自 しあれ 女 た ない の交初 感 かは晩宅ち不ふ 無 慶 。四分 へも ら にた つは 月リ 何扱 自 渉かじそ冫 ァ 0 はか快ま沙用早太謙五か にた却毟母 つにはらられ来 生まい な 汰 で速郎作日 かわ身な ら し愛れがて 愛ても 憎 気な来出にはを出 の れ のれ いま子た腹呉く明 理る呑ば子 宴持んたた電侮を過カ 愛 由場気き 彼 、い自 。かれ日 い話辱竜ごけ は 子し 会とを だ の は何どを事と身 ら給の に訊ぎ 自 でとをさしる が彼方 : 当だ決 は のえ晩 招 、思かれた 父は いら の も が想悔女か惑 しめ出 て 押ん つけた か 裏 像いをと 、て来 の慶お れ見しなれててよが変 さ か出ら全言す仮居る で太待 つ風が居見う て ナこ ら来れ な郎ち 。け冫ー るたな先気 居 えだ り ただ 。け 邪なた圏ば け に な 女ロ の 。気きか る いはし ト 魔か 。外 事殊て そ の直そ此 が才通だ慶でか し ん っ 実 は更こ居 が太焦らて にう も 接 の話 だ らな り した際 置言 の の 顔快ま 、い片 、郎々旨は が の の 彼 だ 交が 圏 は活し 調づ 今は し 何 ~ む い う て ね いではて風と渉旧外 見 の待 子く 度 、た ら よ るあ万兒余の 0 立に んしう を でまは いに のる々り女う し習置 なく 彼沙待 で此 : た 慣し く いに だ気 は汰ち で よ つは地ち ち、 - し 持 事れす今てお も 商処こ の全 オよ は は の ・つ、フ ー 1 て話事然 か実 業に翌だをれ更 、栄彼な さ君 り こをと 慶で は 暇 と思ば に 神がはい だあは れ不し 子は日 っ 、何、駄だ程思た太も 其にた昼校二 お思経喜此か が 、思う ノむつめァ 。郎聴時なも間の人 し 、日寺栄 っ 質 び事と 彼 - 日 に議 目 日 そ方 ; まに 、はたになを言 も冫 いゆ の両同のか は る で君窓見暮し喜自 。考 ので違自 が誰う れ さん快 っか に 仕居 し えな活何く 、とと知れたび ら ん らによ 、晩会言らる 。な自 、もう し事るな 思見らかり しれ と . が 分お ば一打な ろ も ? し 、会・ しの話そに うう ぬと え つ と栄こ寸明邪 た透く材すう来筈事先 と う ら 明あが も別のれ淋け推 甲 い事 してだだ客直 い笑料と 後 : し .. た貰 淋れ境も つつがぐ しなも つをそ ナこ し つに ・何 た重し事た ったたあ彼 して遇 日てい して ら いい 。荷てを い行が 、か 寸 。て の し つ一ま 目リ 晩ね に腹平謙呉今僕 て慶 か 境でを に起 気 の然急 、太 持ね遇あ しか気作れ 晩 しおし は にば は方し冫 った栄た ど用 では給 て ら 居腹 事に んまか僕用 人を ななあた う の るかを打 んなあらも 事 は訪 か済 る をト る ら 。も彼明 都つみ と立る 、出もが 慶 カ ; ね のぬ ん 我よ は 。自 知はけ 合 ; 次 て慶ら す う出 太ナ 路な々う二来 、お分れ憶た 郎 し第 れた ばが郎骨事長 .- よ 0 当栄か ・なし て帰 て の * 所 い出其 のにを松色日会 高が 然が 、結 是る 此 し時 連た々 ぇ 等其そ なそ婚と ヨド・・つ 話 然 心む、言 ちょっと
えんとっ 塗った烟突が所々に立っていた。 て、彼は其次に吉原芸者「四季の唄」というのをかけた。 ひがしやま 彼は其晩此処で月見をするつもりだったが、空模様が、 「春は花、いざ見にごんせ、東山」という唄だろうと思って らつば とっぴょうし 迚も見られそうもないので、其儘乗り越す事にした。 いると、最初ジイジイいっていた喇叭から、突然、突拍子 そろ 段々身体が冷えて不愉快になって来た。彼は船室へ降りもない浮かれ調子で「春は嬉しや、二人揃うて : ・ : ・」とい きむす て行った。二等というので客は五六人しか居なかった。そう唄が出て来た。気六かしい不機嫌らしい顔が自身見える こつけい の中に混って彼も横になった。船は少しずつ揺れて、ばただけに此の浮かれ唄との滑稽な対照が自分でも一寸可笑し ねむ んばたんと船の胴を打っ波の音が聴えた。彼は少し睡かっくなった。其儘にしていると、夏は嬉しゃ秋は嬉しやと蓄 きかん たが、眠れば風邪をひきそうなので又起きて、持って来た音器は不遠慮に浮かれた。ダンダンダンという汽罐の響、 かんばん 小説本を読み始めた。 ・ほう・ほうと甲板で鳴らす汽笛、船の胴を打っ波音、それら ・こざ 「御退屈でムります」洋服の腕に二本金筋を巻いた船員がと入り混って、凡そ不調和に「雪見の酒」と浮かれてい 自分はレコード、 蓄音器は水夫に持たせて入って来た。 る。彼は蓄音器をやめて又甲板へあがって行った。 「どうそ、御自由に御散財下さりませ」笑いながら、こん いっか、もう讚岐の海岸が遠く見えていた。其処には三 な事をいって、大概は寝ているので、起きていた謙作の前四人の客が立って居た。 にそれを置いた。 「事務長さん、金ン比羅さんのお山はどれですかいな」 ・こさ さっき 謙作は其儘本を読んで居たが、誰も手を出す者がないの 「あれでムります」先刻蓄音器を持って来た金筋を腕に捲 で、レコードの函を引き寄せて見た。浪節が多かった いた男が指さして答えた。「あれが、その、象の頭に似と ぎだゅう が、義太夫もあ 0 た。義太夫は好きだ 0 たので、彼はそれる言うので、それで、金ン比羅、大権現、ですかい ござ を三四枚続けてかけた。 な、そう申すのじゃそうにムんす。あのこちら側に黒う見 路 * ろしよう・つや 行 「呂昇の艶は別じゃのう」二人で寝ながら株の話をしていえとりますの、此処からはほんこまい森のようにムんすけ 夜た一人がこんな事をいった。其男は又謙作の方を向いて、 え、そら、いたらエライ森でムんすが」 そう あいいろ 暗「浮かれ節はありゃんせんかえなあ」といった。 帆を張った漁船が四五艘、里、ずんだ藍色の海を力強く走 「うう ? 」謙作は浪花節の事だろうとは思 0 たが、よく通 0 ていた。事務長は此辺が内海の真ん中で西からも東から 川じないような、そして故意に無愛想な顔をして、又義太夫も潮が上げて来て、此処で又別れて両方へ干いて行くのだ をかけた。其男はそれなり黙った。一寸気の毒な気がしと説明した。 とて さぬき うれ かしら