443 参考地図 東国要図 薬師岳大町 ー岳 / 第愉ヶ岳 3 、 ~ 御岳山 白根山 四何山 蓄平 0 た 333 ノ井 昭和 ー野橋 を 1 上極 。下丹生万 / 4 山 本義 岳 / 、ー 7 ノ 川西 ( 浦 保福寺 第科山 諏訪 上田 佐久 脈イ言塩尻 謝伊那 駒ヶ岳△凶 % 木駒 ) ネ駒ヶ 美籠。大 , 山 、 4 内路 濃←》 岳駒山 ケ斐 駒甲白 新山れ、 上野原 ) 、 / 丹沢山 / み属 7 ー富土山 小山 p 矢倉岳相 37 る ・・白んを 御殿場 ノきガ 甲府 △ : : 87 比津保 掛月 袋井 磐美羽 御前崎
萬 葉 集 442 利根 宇都 慈川 ( 新田山 223 = 毳山 、、太田 向古 許我 ) 彳ラ田 ー旧、川 水戸 加波山 △ 78 足尾山△ ( 穂山 ) 76 △筑波山 海道 0 越生坂戸 7 、や新 武狭 ) リ越。 蔵、い 大宮、、 . 飯能陵 0 美 、 . 入間所沢与 にヨュ . 0 / 既 国分寺′武蔵野 八王 多摩丘陵 g 鹿島 海上、、 ム戸 国府台 千葉〃 川崎 大山 △に 46 厚木 袖 浦 小 上 総 既水一道 ( 走水 0 海 ニ宮 天羽 安房 延喜時代の駅路 = 延喜以前の駅路 旧河道・旧湖沼岸 ロ 国府所在地 ( 推定 ) 10 20 30 40 50
とこは + しらとほふ小新田山の守る山のうらがれせなな常葉にも 第 巻 力、も たきぎこ かまくらやま な 薪伐る鎌倉山の木垂る木をまっと汝が言はば恋ひつつるのに盛んに使用された。〇着き宜しも よーヨラシはヨロシに同じく、好ましい、 の意。相手が自分によくなじんでいるこ ゃあらむ とを表す。〇ひたヘーヒトへの転。相手 が自分にひたむきに心を寄せているさま。 衣の縁語。 % しらとほふー小新田山の枕詞。語義 にいイり ・かかり方末詳。『常陸風土記』新治 ことわざ 郡の条に「自遠新治国」という諺があると いう記事により、その「自遠」は「白遠」の 誤りで、シラトホフはニヒにかかる枕詞 かとする説がある。〇小新田山のー小新 田山は新田山 ( ↓三四 00 に同じか。一説に、 その南にある標高一六九 ( 比高約一一一 五 ) の小山かとする。このノは同格で、 はりはらわきぬ つよら おも 伊香保ろの沿ひの籐原我が衣に着き宜しもよひたへと思小新田山、それは人の守る山なのだが、 と続く。〇守る山のー守ルは、番をする、 守護する、の意。親などが秘蔵娘を監視 へば する趣か。このノは、、のように、の意。 その山容がみずみずしいので比喩とした か。〇うらがれせななーウラガレは梢や 葉先など植物の先端が枯れること。ウラ はウレ ( 三四 ) の交替形。ナナ↓三四 0 八 ( 嶺 には付かなな ) 。〇常葉にもがもートコ ハはトキハに同じく、いつもみずみずし いこと。ニは断定の助動詞ナリの連用形。 モガモは願望にも希求にも用いる終助詞。 かみつけのあそやま は 上野安蘇山つづら野を広み延ひにしものをあぜか絶え せむ いかほ かみつけののくに 右の三首、上野国の歌 右の三首、相模国の歌 に た や ま そ さがむのくに こだ
むがう 心さえ無何有の郷に置いて無念無想であったら藐姑射の山も間近に見ら れよう 右の歌一首 集 葉 ( いさなとり ) 海が死にますか山が死にますか死ぬからこそ海は潮が干て 萬山だって枯れるのです 右の歌一首 や 痩せた人をあざ笑う歌一一首 3 いしまろ うなぎと 石麻呂さんに謹んで申し上げます夏痩せに利くそうです鰻を捕って喫せ 〈めせと読む〉 痩せながらも生きていられたら結構でしようにもしかして鰻を捕ろうとし て川に流れなさるな さと はこや 無何有の郷ー『荘子』逍遥遊篇・応帝 王篇の中に見える虚無自然の世界。 ートピアをさ 何物も無い郷、の意で、ユ す。心を無何有の郷に置くというのは、 無心無欲の心境に安住することのたとえ。 〇藐孤射の山ー藐孤射は、普通「藐姑射」 はるか と書き、藐 ( ) なる姑射の山、というの が原義。これも『荘子』逍遥遊篇に見え、 3851
渋谿の崎の荒磯に寄する波いやしくしくに古思ほゅ こひ + 玉櫛笥二上山に鳴く鳥の声の恋しき時は来にけり 巻 右、三月三十日に、興に依りて作る。大伴宿禰家持 3985 たがみやま いみづの ( り ココダ・ココヾ ココ・ハク・コキダ・コ 一一上山の賦一首この山は射水郡にあり キ・ハクなどのコ系統の指示副詞に対する。 ゅめぐ たまくしげ いみづかは 射水川い行き巡れる玉櫛笥一一上山は春花の咲ける盛り〇山からやー山本来の性格からか。〇見 が欲しからむー見ガ欲シは見ることが願 わしい、いつまでも見たい、の意。形式 に秋の葉のにほへる時に出で立ちて振り放け見れば神 的にはここで切れているが、気分的には、 たふと すめかみ すそみ さればこそ、と続いて歌末の事実を納得 からやそこば貴き山からや見が欲しからむ皇神の裾廻 する構造になっている。 0 皇神ー国土の さきありそ しぶたに 守護神。ここは二上山を神とあがめてい の山の渋谿の崎の荒磯に朝なぎに寄する白波タなぎに う。〇裾廻の山のー裾廻は山の麓の辺り。 し 有磯海に面した渋谿の崎を二上山の山 をつつ 満ち来る潮のいや増しに絶ゆることなく古ゅ今の現にとみなしたのである。〇渋谿の崎の荒磯 ↓三九五四 ( 渋谿の清き磯廻 ) 。〇満ち来る潮 のー「皇神の」以下この句までの八句は かくしこそ見る人ごとにかけてしのはめ 「いや増しに絶ゆることなく」を起す序。 〇今の現にーヲツツはウッツの転か。山 をつつ 上憶良の「鎮懐石の歌」に「今の現に尊き ろかむ」 ( 八一四 ) とあった。〇かけてしのは めーこのカクはロに出して言うこと。こ のシノフは賛美する意。 寄する波ー以上三句、シクシクを起 す序。〇いやしくしくにーシクシク ニは、しきりに、の意。〇古思ほゅーこ のイニシへが昔のいかなることをさすか 不明。 鳴く鳥ーこの鳥はほととぎすをさす はるはな ふさ いにしへ いにしへ かむ 3987 3986
みみなし 弸耳無の池は恨めしいぞあの娘が来て沈んだ時水が干てくれたらよかった かしはら みみなし 圏耳無の池ー奈良県橿原市の耳成山の のに〈一〉 引麓にかってあった池。南麓に現存す やまかずらこ 集 ( あしひきの ) 山縵児が今日逝きますとわたしに一言告げてくれたら帰っる池は後世の開削かという。〇来つつ潜 かばーカヅクは潜る意。ここは頭にかぶ 葉て来るのだったのに〈二〉 る意のカヅクをかけた点が趣向。このツ 萬网 ( あしひきの ) 山縵児は今日見て来たようにどの曲り角を見て来たのだろツは行きっ戻りつするさまを表す。この 仮定条件は、文末の希求表現と応じて事 うか〈三〉 実を仮定的に表したもの。〇涸れなむー おきな たけとりおきな このナムは希求の助詞。ここは、、して 昔老翁が居て、通称を竹取の翁といった。この老翁が春も季の三月、丘 ほしかった、というような反事実的用法。 あつもの に登ってはるばると見晴した。するとたまたま羮を煮ている九人の女の 9 山縵の児ー縵児の言い換え。山カヅ 引ラは山カヅラカゲ ( 三五七三 ) に同じ。〇 子に出逢った。とりどりのなまめかしさは並ぶものがなく、花のように 帰り来ましをー主語は作者。遠い所に居 おとめ 美しい顔はもう無類である。さて娘子たちは老翁を呼び、からかい半分 て引き留められなかった趣。 山縵の児ー原文に「玉縵之児」とあり、 引タマカヅラノコと読まれるが、枕詞 との続きからその「玉 [ は「山」の誤りとす る本居宣長の説による。また、第一句を 慣用により「あしひきの山の」の意に用い たと解し、「玉縵」のままにすることも一 案として可能。この場合、玉は美称の接 頭語、カヅラはサネカヅラなど蔓性植物 の総称に用いたと解される。 0 今日のご とー今日わたしがあちこちの道の隈を見 て来たように、の意か。ただし、イヅレ ノ隈ヲとあるため、続き方に不明瞭な点 ゼあ
萬葉集 52 かまくらやま ( 薪伐る ) 鎌倉山の枝のたわむ木を松ー待っとおまえが言いさえしたら恋 しく思い続けていようか さがみのくに 右の三首は、相模国の歌 こうずけ あそやま 上野の安蘇山のかずらは野が広いので長く続いているのだものなんで切 れようか はりはらはり 伊香保嶺のそばの榛原の籐はわたしの衣によく染まりつくよひとえだも ので おにいたやま ( しらとほふ ) 小新田山の人が守っているその山のように末の末までうら 若くあっておくれ こうずけのくに 右の三首は、上野国の歌 いかね 薪伐るー鎌倉の枕詞。コルは木を伐 る意。薪を伐る鎌、の意でかけた。 鎌は草や低木類を刈り取る道具。〇鎌倉 山ー鎌倉市の背後にある丘陵地帯。〇木 垂る木ー木の枝が垂れ下がるほどに茂っ ている木。〇まっと汝が言はばーマツは 松に待ツをかける。晴れて結婚できる日 の来るのを待っというのであろう。「汝」 は同等以下の者に呼び掛ける一一人称代名 詞なので、作者は男と考えられる。〇恋 ひつつやあらむー主語は作者。不安な気 持の末来推量。 上野安蘇山つづらー安蘇山↓三四 0 四 ( 安蘇のま麻群 ) 。一説に上野国の中 はるな みさと の榛名山の東南麓、群馬県群馬郡箕郷町 付近の山かとする。ッヅラはつづらふじ などの蔓性植物を広くさす。〇延ひにし ものをーハフは長く思い続けることの比 喩。〇あぜかーアゼは、何故に、の意。 5 伊香保ろ↓三四 0 九。〇沿ひの籐原↓三四 一 0 。以上二句、着キ宜シを起す序。 倏は、秋、タンニン分が多くなったその くろばいずり 実を用いて黒灰摺にしたり、煎じ汁に鉄 分を加えたりして黒ないし黒茶色に染め
ふたがみやまうた 二上山の賦一首この山は射水郡にある ふもと 射水川がその麓を流れる ( 玉櫛笥 ) 二上山は春花の満開時も秋の木の 集葉の照り輝く時も外に出て振り仰いで見るとこの山の神性ゆえかああ 葉も貴い山の本性からか見ても飽きないそれでこの神山のの端山の渋 萬谿の崎の荒磯に朝なぎに寄せ来る白波タなぎに満ち来る潮のように いよいよ増して絶えることなく昔から今眼前にこのように見ている人 ↓三公一。 ニ中国の韻文の一体の名。以下三究一・ もすべて賞めたたえるのであろう 四 000 にもあり、家持は長歌の意で用いて 渋谿の崎の荒磯に寄せる波のようになおもしきりに遠い昔が思われる いる。 三越中国の郡名。国府の所在地であり、 ( 玉櫛笥 ) 二上山に鳴く鳥の声が待たれる時がやって来た その大領は越中を代表する旧豪族の子孫 かきよう 右は、三月一二十日に、歌興のおこるままに作ったものである。大伴宿家持であった ( ↓豊丑題詞 ) 。今日の射水郡お にいみ・とひみ よび高岡・新湊・氷見の各市に当る。 射水川ー小矢部川。富山県西南部の 大門山に発し、小矢部市を経て高岡 市伏木で富山湾に注ぐ。〇い行き巡れる ーイは接頭語。その山を巡って流れて いる。〇玉櫛笥↓三九葉。〇振り放け見れ ば↓三六六一一。〇神からやー神力ラは神ナガ ラ ( 四 00 三など ) に同じく、神の本性のまま、 の意。山のたたずまいの尊い原因を山に 具った神性の発現か、と言ったのである。 〇そこばーあれほどに。ソコ一フク・ソキ ダクなど、同じくソ系統の類義語があり、 3987 3986 3985 たに すそ しぶ 3985
33 巻第十四 3388 ~ 3392 3391 な筑 に嶺 に そ が に 見 ゆ る 葦 穂 山 : 亜あ し る と が も さ ね 見 え 3392 つくはね かすみゐ いき ゐね 筑波嶺の嶺ろに霞居過ぎかてに息づく君を率寝て遣らこうも、することか、と詠嘆的疑問を表 すことが多い。時にはカ : ・ムという形式 の文でも同じような意味用法が見られ、 さね ことに東歌や防人歌など東国語の歌にそ の例が多い。 筑波嶺にそがひに見ゆるーソガヒは 背後、ソ ( 背 ) + カヒ ( 方向 ) の意。こ のニはユと同じく、、から、の意に用い にいはりやさと た。〇葦穂山ー茨城県新治郡八郷町と真 あしお 壁郡真壁町との間にある足尾山。筑波山 わし の東北に連なり、高さ六二八。以上三 筑波嶺にかか鳴く鷲の音のみをか泣き渡りなむ逢ふとは句、アシの音を起す同音の序。〇悪しか るとがーアシは好ましくない意。トガは なしに 非難すべき点。〇さね見えなくにーサネ は打消と呼応し、少しも、の意を表す副 詞。このナクニは終止的用法。 ◆あばたもえくぼ、恋人には文句のつけ ようがない。 落つる水ー筑波山は山頂が男体・女 体の二峰に分れており、ここはその うち女体山の西側から落ちて流れる男女 がわ 川をいうか。以上三句、タュラを起す序。 滝壺の水面が常に動揺して静止しないこ とによってかけたのであろう。〇たゆら にータョラニ ( 三三六 0 に同じ。 類歌三三交。相手を信じていささかも疑 ことだ わないことの言立て。 つくはやま 一妹が門いや遠そきぬ筑波山隠れぬほとに袖は振りてな わおも 筑波嶺の岩もとどろに落つる水ょにもたゆらに我が思は なくに いもかど ね そぞ 3392 3391 みなの
萬葉集 244 おはっせやま 事しあらばーこのコトは親の反対、 何か起ったら小泊瀬山の石城にでもこもるなら一緒です思い悩まないで 周囲の妨害行為などをさす。〇小泊 くださいあなた 瀬山ーヲは接頭語。泊瀬山は奈良県桜井 右は、言い伝えによると、ある時女が居て、父母に知らせないで、ひそかに市初瀬の地の山。〇石城にも隠らば共に しか ーイハキは岩の中のとりで。下にアラム 男と交わった。その男は女の両親に叱られるのを恐れて、だんだんためらう などの決意表明の表現が省かれている。 許されない恋ゆえに孤立し、籠城も覚悟 気持が生じた。そこで、娘子はこの歌を作って、その夫に贈り与えたのだ、 という気持を表す。 という。 ◆弱気になった男を励ます女の歌。『常 こちた あさかやま 安積山の影までも見える澄んだ山の井のように浅い心でわたしは思 0 て陸風土記』に「言痛けば小泊瀬山の石城に も率て隠らむな恋ひぞ我味」という類歌 おりませぬ があるが、それは男の歌。伝播の間に詞 右の歌は、言い伝えによると、葛城王が陸奥国に派遣された時に、その国句に小異が生じ、作者の性も転換したの であろう。 の国司の接待が、甚だしく疎漏であった。そこで王の気持は快からず、怒り 一責めさいなむ意。↓一一一五一九 ( こられ ) 。 「呵」は詰問する意。「嘖」は言い争う意。 の表情が面に現われた。飲食の饗応を調えたのだが、少しも楽しまない。そ ここは「責」に通用した。 おとめ の時以前采女であった者が居て、風流な娘子であった。それが左手で杯を献 = 恐れおののく。オソルは上二段活用。 じ、右手に水を持ち、王の膝をたたいて、この歌を歌った。すぐに王の気持悚」「惕」共に恐れてしり込みする意。 三疑いためらう、ぐずぐずする、の意。 は解けゆるんで、終日楽しく飲んだ、という。 四 ↓三八 0 三題詞。 ひわた 7 安積山ー福島県郡山市の北部日和田 の地にある小山の名。安積は陸奥国 の郡名かっ郷名。一説に、同市の西北部 ひたいとり 片平にある額取山かとする。〇影さへ見 ゆるー山の清水の明澄を示す。〇山の井 たた のーこの井は山裾に湛えられた自然の清 うねめ いわき はっせ