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検索対象: 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)
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1. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

りになってしまったので、その家では万事につけてひどく としても、まだ年が若くて男女の間柄についてひどく気楽 めのと な 言い立てて騒ぎ、女の乳母などというような者は、婿に対 に物馴れないような女は、やはりひたすら : して不吉な事をいろいろ言う者もいるのに、その翌年の正 くろ、つ一 二五四うれしきもの 月にその男は蔵人になってしまった。世間の人が「『意外 にも、こうした間柄なのに、どうして昇進したのか』とこ うれしいものまだ見ない物語のたくさんあるの。また、 そみんな人は思っているようだよ」などと言ってかれこれ 一つを見て、ひどく読みたく思われる物語の、二つ目を見 とうわさするのは、男もきっと聞いているだろうよ。 つけたの。ところが予想外に劣るようなこともあるよ。 ほっけはっ第 : っ 二月にあるお人が法華八講をなさった所に、人々が集っ 人の破り捨ててある手紙を拾って見る時、それのつづき てそれを聞いた折に、この蔵人になっている婿が、ロウの をたくさん見つけたの。 はかますおうがさねくろはんび 上の袴、蘇芳襲、黒半臂など、たいへん鮮やかな服装で、 どういうことなのだろうかと、夢を見て、恐ろしいこと とみお ゅめと 自分のすっかり忘れた女の車の鴟の尾を、あやうく自分の だと胸がつぶれる折に、夢解きの者が何でもないことのよ うに合せなどしたのは、ひどくうれしい 着物にひっかけてしまうぐらいの近さで居座っていたのを、 「どう思って見ているだろう」と、車に乗っている人をそ 身分の高い方の御前に人々がたくさん伺候している折に、 の女と知っている人はすべて気の毒がるのを、そうとは知昔あったことであれ、今お聞きあそばし、世間で話題にな ったことであれ、お話しあそばされることを、自分にお目 対らなかったその他の人たちも、「よくも平気で座っていた ~ ものだな」と、あとでも言った。 をお見合せになって、仰せあそばし、またはお言い聞かせ になっていらっしやるのは、とてもうれしい やはり男というものは、何かにつけて気の毒だと思う気 第 持とか、人がどう思おうかというようなことはわからない 遠い所はもちろんのこと、同じ都のうちながらでも、自 分の身にとっては大切な人と思う人が病気であるのを聞い 8 のであるようだ。 みやづか うぶな娘の場合は言うまでもない、たとい宮仕えをする て、どうだろうか、どうだろうかと不安にため息をついて かた

2. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

くらま 親類の間柄。鞍馬のつづらおりという道。十二月の三十日 一七五大夫は と、正月の一日との間。 たゆう さえもん 大夫は式部の大夫。左衛門の大夫。史の大夫。 一七一遠くて近きもの 一七六六位の蔵人、思ひかくべき事にもあら 遠くて近いもの極楽。舟の道中。男女の仲。 ず。かうぶり得て くろうど 一七二井は 六位の蔵人は、それに任ぜられるのを希望すべきことで おうさか 井はほりかねの井。走り井は逢坂にあるのがおもしろ もない。五位に叙せられて、何々の大夫、何の国の権の守 いたぶき 山の井は、なぜそんなにも浅いという例になりはじめ などという人が、板葺の狭い家を持っていて、すっかり檜 あすかい がき しゃ - 一 たのだろう。飛鳥井は、「みもひも寒し」と水の冷たさを 垣を新しくし、車庫に車を引き入れて立て、庭前近くに、 ほめてあるのこそ、おもしろい。玉の井。少将の井。桜井。 小さな木を生えさせて、牛をつながせて、草などを与えさ きさいまち 后町の井。千女尺井。これらがおもしろい せるのこそ、とてもにくらしい むらさきがわ 庭をたいへんきれいに見えるようにして、紫革をつけて いよす めのしようじ 一七三受領は 伊予簾を一面にずっと掛けて、布障子などを張って住って ずりよう かみいずみ いるよ。夜は、「門をしつかりしめろ」などと、指図して 段受領は紀伊の守。和泉の守がよい。 いるのは、ひどく将来性がなくて、気にくわない。 一七四やどりづかさの権の守は 自分の親の家とか、主人の家などはもちろんのことだが、 しもつけか えち′」 ちく′一あ 第 やどりづかさの権の守は下野。甲斐。越後。筑後。阿おじゃ兄などが住まない家、また、そうした適当な人がい 波。これらがよい ないような人は、自然と、親しくよく知っている受領が、 あ 今、また任国へ行ってむだに空いている家とか、さもなけ わ ごん ′ ) くらく しきぶ し ひ

3. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

枕草子 「薄さ濃さそれにもよらぬはなゅゑに憂き身のほどを知るそわびしき 四 しき なほこればかりは啓しなほさせたまへ。式の神もおのづから。いとかしこし」 のち とて、まゐらせて後も、「うたて、をりしも、などてさはたありけむと、 と嘆かし。 ド」トっ・ろう となむ、御けしきは」とあるに、めでたくも、くちをしうも思ひ乱るるに、な一上﨟女房が中宮の意を受け て書いた形式の文面。「 : ・」との御 よペ 気持がおありです。 ほ昨夜の人そ、たづねも聞かまほしき。 ニくしやみをした人。 三作者の歌。「それ」は「薄さ濃 さ」をさすものとみる。花の縁語。 「花」に「鼻」 ( くしやみ ) をかけ、 「身」に「実」をかける。「憂き身は 中宮の機嫌を損じている現状。 四陰陽師が使役する鬼神。人の 行動を監視するという。式の神も 私の正しいことは御存知です。 五得意顔なもの。 一八三したり顔なるもの 六元旦のくしやみを吉兆とする 俗信があったといわれる。 したり顔なるもの正月一日のっとめてさいそに鼻ひたる人。きしろふたびセ競争のはげしい時の蔵人に、 いとしくも、我が子を任官させた え くらうゾ」 の蔵人に、かなしう子なしたる人のけしき。除目に、その年の一の国得たる人人。 〈「ほろぶ」を荒廃するの意とみ て、その国について言うとみたが の、よろこびなど言ひて、「いとかしこうなりたまへり」など人の言ふいらへ やや疑わしい はべ に、「何か。いとことやうにほろびて侍ンなれば」など言ふも、したり顔なり。 九韻塞ぎ。古詩の韻字をふさぎ え とみたる中に、選られて婿に取られたるも、われはと思ひ隠して、その詩から字を当てさせ 言ふ人おほく、い。 る遊び。当てるのを「明く」という。 あ こゆみい げんじゃ九 ぬべし。こはき物の怪調じたる験者。ゐンふたぎの明け、とうしたる。小弓射一 0 遊戯用の弓。 ものけてう ぢもく いんふた

4. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

129 第 235 ~ 239 段 宅参議で近衛中将を兼ねた者。 一 ^ 中将は従四位下であるが特に 二三六君達は 三位となったもの。 ニ七 一九東宮坊の定員外の長官。 とうぐうのすけくら くらうどのべんニ六 しゐの きんだちとうのべんとうの 君達は頭弁。頭中将。権中将。四位少将。蔵人弁。蔵人少納言。春宮亮。蔵 = 0 参議で侍従を兼ねた者。 ニ一摂関、大臣家の子弟。 くろうどのとう うどのひやうゑのすけ 一三太政官の弁官で蔵人頭兼任。 人兵衛佐。 ニ三近衛中将で蔵人頭兼任。 ニ四特に四位に任ぜられた少将。 一宝五位蔵人で弁官である者。 二三七法師は ニ六五位蔵人で少納言兼任。 毛東宮職次官。 ニ〈五位蔵人で兵衛府次官兼任。 法師は律師。内供。 ニ九僧正、僧都に次ぐ僧官。 だいごく 三 0 宮中の内道場に供奉し、大極 さいえ でん 殿の御斎会の読師、夜居の僧など 二三八女は っとめる。 ないしの 三一内侍所の二等官。長官の尚 かみ 侍が御寝に奉仕するようになった 女は内侍のすけ。内侍。 ないしのすけ ので、事実上典侍が最上官とも いえる。 三ニ内侍所の三等官。 二三九宮仕へ所は いつばんのみや 三三后宮にお生れの姫宮で一品宮、 三三 とみる。一品宮は内親王の最高位。 うちきさいのみや いつほん みやづかどころ 宮仕へ所は内。后宮。その御腹の姫宮、一品の宮。斎院は罪深けれど、を三四神に仕えるので仏法上罪深い 三五当時の斎王は選子内親王。 三五 三六東宮の御母なら重々しい かし。ましてこのごろはめでたし。春宮の御母女御。 ニ九 三 0 ごんの ニ四 三六 三四 さいゐん

5. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

風など吹き、荒々しき夜来たるは、たのもしくて、をかしうもありなむ。 0 一「うへの」不審。三巻本「うへ くらうどニ なほし くらうど 雪こそめでたけれ。直衣などはさらにも言はず、狩衣、うへの蔵人の青色の、の衣、蔵人」。 ニ六位蔵人着用の青色の。 子 ろう寺、う 三一般六位官人着用の色。緑色。 いとひややかに濡れたらむは、いみじうをかしかるべし。緑衫なりとも、雪に ろうそう 草 作者は蔵人が緑衫を着用するのを 好まないようである。 枕だに濡れなば、にくかるまじ。昔の蔵人などの、人のもとなどに青色を着て、 四 雨に濡れて、しばりなどしけるとか。今は昼だに着ざンめり。ただ緑衫をのみ四青色の袍を着ずに緑衫を着る という流行の変化を嘆く。 ゑふ こそかづきたンめれ。衛府などの着たるは、ましていとをかしかりしものを。 くれなゐ かく聞きて、雨にありかぬ人やはあらむずらむ。月のいと明かき夜、紅の紙 六 五「月のあかかりける夜女のも ひき一し のいみじうあかきに、ただ「あらすとも」と書きたるを、廂にさしたるを、月とに遣しける / 恋しさは同じ心に あらずとも今宵の月を君見ざらめ や」 ( 拾遺・恋三源信明 ) にあてて見しこそをかしかりしか。雨降らむをりは、さはありなむや。 ひさし 六廂の間に差し入れてあるのを。 きめぎめ セ いつも後朝の文をよこす男が。 二七二常に文おこする人 ^ 今はもうこれきりだ。 九思ったとおりだ、とはいえ、 常に文おこする人、「何かは。今は言ふかひなし。今はなど言ひて、またやはりいくらか期待はしていたの おと 一 0 い の日音もせねば、さすがに、明けたてば、さし出づる文の見えぬこそさうざ , っ一 0 召使の差し出す手紙。 = きつばりと割り切ったあの人 の気持といったら。 しけれと思ひて、「さても、きはぎはしかりける心かな」など言ひて暮らしつ。 七ふみ ひる かりぎめ一

6. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

一 0 この一段は聞書きなので「け りを多く用いている。 一一食器。『源氏物語』に「しろが ねの様器」が見える。 一八〇村上の御時、雪のいと高う降りたるを 三お盛らせになって。 によくろうど 一三女房の名。「蔵人」は女蔵人。 むらかみ 一四「給ぶ」は、尊者から卑者にお 村上の御時、雪のいと高う降りたるを、様器に盛らせたまひて、梅の花をさ 与えになること。 くらうどた して、月いと明かきに、兵衛の蔵人に給びたりければ、「月雪花の時ーと奏し一五『白氏文集』巻二十五、「殷協 律ニ寄ス」に「琴詩酒ノ友皆我ヲ抛 ツ、雪月花ノ時ニ最モ君ヲ憶フ」 たりけるこそ、いみじうめでさせたまひけれ。「歌などよまむは世の常なり。 と見える。月夜の雪の上の梅の花 なのでこの詩を奏上した。主上を かうをりにあひたる事なむ言ひがたき」とこそ仰せられけれ。 お思い申しあげる気持を「最モ君 さぶら てんじゃう ヲ憶フ」の部分を口に出さすに表 同じ人を御供にて、殿上に人候はざりけるほど、たたずませおはしますに、 した才を賞されたのである。 すびつけぶり 炭櫃の煙の立ちければ、「かれは価の煙ぞと見て来」と仰せられければ、見て 帰りまゐりて、 段 わたつみの沖に漕がるる物見ればあまの釣して帰るなりけり 0 と奏しけるこそをかしけれ。蛙の飛び入りてこがるるなりけり。 第 一八一みあれの宣旨の、五寸ばかりなる せたり。 とも おきこ かへる ゃうき つり おき 一六「沖」に「燠」 ( 赤くおこった炭 火 ) 、「漕がるる」に「焦がるる」、 「帰る」に「蛙」をそれそれかけてい る。古今集時代の藤原輔相の家集 『藤六集』 ( 三十九首 ) に「かへるの ・ 1 とばがき おきにいでて」と詞書して載る。 これを信じてよいのなら、兵衛の 蔵人はそれを借用したことになる。

7. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

枕草子 306 うかと見えるものは、普通の女房としてお仕えする人が、 し」の歌のようになど不満だと感じられることこそないの も めのと からぎめ 御乳母になっているの。唐衣も着ず、裳をさえ、どうかす っ くろうど もくぞう ると、着けないようなかっこうで、御前に添い臥して、御 すけただという人は、木工の允で、蔵人になっているよ。 ちょうだい てんじようびと ひどく粗野で、いやな感じなので、殿上人や女房は「あら帳台の中を自分の居場所にして、女房たちを呼び使い、自 つばね わに」とあだ名をつけているのを、歌に作って、「強引な分の局に何か用事などを言いに行かせ、手紙を取り次がせ おわり などして、いるさまよ。その思い上がって羽ぶりをきかせ お人は、なるほど尾張人のすえであったのだったよ」とう かねとき たうよ。尾張の兼時の娘の腹なのだった。主上はこれを御ているさまといったら、言いつくせそうにさえない。 ぞうしき 雑色が蔵人になっているの。これも、去年の十一月の臨 笛でお吹きあそばされるのを、高遠はそばにお付き添い申 みこと 時の祭に、御琴を持っていた人とも見えす、若君たちと連 しあげて、「やはり調子を高くお吹きなさいませ。すけた 。しったいどこにいた人かと思わ だは聞くことはできませんでしよう」と申しあげると、主れ立って歩きまわるのま、、 上は、「どうして吹こう、そうはいっても、聞いてわかるれる。蔵人所の雑色以外の役から蔵人になっている人など ないない は、同じことだけれど、そんなにも感じられない。 だろう」と仰せられて、内々でばかりお吹きあそばされる のを、この時は向こうの御殿からこちらの中宮様の御もと 二四三雪高う降りて、今もなほ降るに へ渡御あそばされて、「ここにはこの者はいないのだった 雪が深く降り積って、今もやはり降る折に、五位も四位 な。今こそ吹こうよ」と仰せられて、心おきなくお吹きあ そばされるのは、たいへんおもしろい も、色が端麗で若々しいのが、袍の色はとてもきれいで、 とのいすがた カメの帯のついているのを、宿直姿で、腰にたくし上げて、 二四二身をかへたらむ人はかくやあらむと見 紫色のものも雪に色が映えて、濃さがまさっているのを着 あこめ ゆるものは て、袍の下の衵が紅か、さもなければ、仰々しい山吹色の いだしぎめ を出衣にして、から傘をさしているのに、風がひどく吹い 生れ変っている人がいるとしたら、その人はこうもあろ ( 原文一三一一ハー ) かさ ふ み

8. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

・も からぎめき 一めのと 御乳母になりたる。唐衣も着ず、裳をだに、よう言はば、着ぬさまにて、御前一高貴な方の乳母。 ニ女房の礼装として当然着るも つばね どころ みちゃう に添ひ臥して、御帳のうちをゐ所にして、女房どもを呼び使ひ、局に物言ひやのなのに、身内のような顔をして。 礼を失したさま。 子 三どうかすると。 り、文取り次がせなどして、あるさまよ。言ひ尽くすべくだにあらず。 くろうど 草 四 四蔵人所の雑色。無位。六位の みこと こぞしもっき ざふしきくらうど 枕雑色の蔵人になりたる。去年霜月の臨時の祭に、御琴持たりし人とも見えず、蔵人となると急にはなばなしい役 になる。田九二段にも「いづこな きんだち りし天くだり人ならむとこそおば 君達に連れ立ちてありくは、いづくなりし人ぞとこそおばゆれ。ほかよりなり ゆれ」とあった。 とり 五十一月下の酉の日に行われる たるなどは、同じ事なれど、さしもおばえず。 かも 賀茂の臨時の祭。 わごん 六試楽の折に雑色が二人で和琴 を舁き出すのが例。↓一四五段。 二四三雪高う降りて、今もなほ降るに 七雑色以外から蔵人になる者。 〈袍の色か。一説、顔色。 雪高う降りて、今もなほ降るに、五位も四位も、色うるはしうわかやかなる九袍。五位は蘇芳、四位以上は 黒色の袍。 とのゐすがた おび 一 0 不審。三巻本「革の帯のかた が、うへの衣の色はいと清らにて、かめの帯のつきたるを、宿直姿にて、ひき つきたるを」。 あこめくれなゐ したがさわ はこえて、紫のも雪に映えて、濃さまさりたるを着て、衵の紅ならずは、おど = 夜の略式の姿。下襲を脱ぎ、 うえのはかまさしめき 表袴を指貫にかえ帯はつけない。 ろおどろしき山吹を出だして、からかさをさしたるに、風のいたく吹きて、横三衣服をたくし上げて着ること。 袍の後ろを腰の部分に折り込む。 ふかぐっはうくわ ひとえ ざまに雪を吹きかくれば、すこしかたぶきて歩み来る深沓、半靴などのきはま一三単衣と下襲との間に着る。こ こは下襲を着ないので袍の下にな で、雪のいと白くかかりたるこそをかしけれ。 ( 現代語訳三〇六ハー ) ふみ きめ やまぶきい あ く っ る。 か すおう かは

9. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

枕草子 82 いづみ ずりゃう 一紀伊は上国、和泉は下国。国 受領は紀伊守。和泉。 の規模によって別がある。都に近 ふうこうめいび く風光明媚な国の長官としてあげ たものであろう。 一七四やどりづかさの権の守は ニ宿官。叙爵した者が受領に任 ちく′ ) ゑち′ ) しもつけかひ ごんのかみごんのすけ ごんかみ ずるのを待っ間、権守・権介など やどりづかさの権の守は下野。甲斐。越後。筑後。阿波。 に一時任ぜられること。任地には 赴かない 三以下いずれも上国。 一七五大夫は 四五位に叙せられた者の称。以 しきぶのたいふ さゑもんのたいふしのたいふ 下いずれも六位相当官でありなが 大夫は式部大夫。左衛門大夫。史大夫。 ら五位に叙せられた者をあげる。 五太政官の左右大史 ( 正六位上 ) が特に五位に叙せられた者。 一七六六位の蔵人、思ひかくべき事にもあらず。かうぶり 六冒頭を前段末尾につける説も 得て ある。叙爵を希望すべきではない、 の意となる。 え くろうど 六位の蔵人、思ひかくべき事にもあらず。かうぶり得て、何の大夫、権の守六位蔵人は望むべき役ではな 九 一説、以下に述べるような小 。も くるまやどり ひがき いたや などいふ人の、板屋せばき家持たりて、またく檜垣あたらしくし、車宿に車引成に安んじてはならない。 ^ 五位に叙せられて。 ふ おほ 九板で屋根を葺いた家。 き立て、前近く、こ木を生して、牛つながせて、草など飼はするこそ、いとに あじろ 一 0 檜の薄板を網代に組んだ垣。 = 「小木」で小さい木か ノけ・ . れ - 。 四 か ひのき

10. 完訳日本の古典 第13巻 枕草子 (二)

くぎ みどきゃう きらきらしきもの大将の御さき追ひたる。孔雀経の御読経。法は修法五大一清く鮮烈なうつくしさ、堂々 として立派なものをいう。 ごさいゑ 1 そんくらうどしきぶのぞうあをむま おほぢね ゑもんのすけ七 尊。蔵人の式部丞、白馬の日、大路練りたる。御斎会。左右衛門佐、すりきぬニ院・関白・大将の先払いは随 九 身の役。 子 しじゃうくわうのみずほふ くじゃくみようおう 三孔雀明王を本尊とする真言修 やりたる。季の御読経。熾盛光御修法。 草 法。 四真言密教の五大尊を五壇に請 じて行う大規模な修法。五大尊は、 二七五神のいたく鳴るをりに 中央壇不動明王、東壇降三世明王、 ぐんだりやしゃ 西壇大威徳明王、南壇車荼利夜叉 明王、北壇金剛夜叉明王。 神のいたく鳴るをりに、神なりの陣こそいみじうおそろしけれ。左右大将、 くろうどしきぶのじようあおうませちえ 五蔵人兼式部丞が白馬の節会の 中少将などの、御格子のつらに候ひたまふ、いとどをかしげなり。果てぬるを日に都大路を練る晴姿。白馬の武 官の中に一人式部丞のみが文官で きくじんほう しかも蔵人として麹塵の袍を着用 り、大将、「大殿ののばりおり」とのたまふらむ。 しているさまをさすという。 だいごくでん 六正月八日から七日間大極殿で 『最勝王経』を講する法会。 二七六坤元録の御屏風こそ、をかしうおばゆる名なれ セ不審。「摺衣破りたる」か。 ^ 春秋一一季二月と八月に宮中で こんげんろく 『大般若経』を読誦する法会。 坤元録の御屏風こそ、をかしうおばゆる名なれ。かむなんきうの御屏風は、 九金輪仏頂を本尊とし、天変兵 乱等の厄災を除くために修する法。 おばしくぞ聞えたる。月次の御屏風もをかし。 一 0 雷鳴警固のため宮中に設ける 陣。 = 三巻本「いといとほし」。 二七七方違へなどして、夜深く帰る 三『北山抄』にくわしい記事があ びやうぶ みかうし つきなみ さぶら ぢん 四 ずほふごだい ずはう