小侍従 - みる会図書館


検索対象: 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)
409件見つかりました。

1. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

ゆるしきこえざりしを、見ずもあらぬゃいかに。あなかけかけし」と、はやり一宮への懸想など、お許し申さ なかったのに。 ニ「見ずもあらず」などと、思わ かに走り書きて、 ロ せぶりを言うのはどういうことか 旨ロ 物 小侍従は柏木が宮を見たという事 小侍従「いまさらに色にな出でそ山桜およばぬ枝に心かけきと 氏 実を知らない 三「かけかけしは、色めかしい 源かひなきことを」とあり。 そのように言う小侍従自身も、や や軽率な人物の印象を与える。 四「色に出づ」は、気持 ( 恋心 ) を 表情に出す意。「山桜」は女三の宮。 かけ離れた存在の女三の宮への懸 想は禁物と、切り返した歌 0 柏木の不相応にかけ離れた女へ の恋とはいえ、それが彼の心内に のみとどまってはいないらしい 小侍従も二人の仲立ちとして重要 な存在になりつつある。ここでの 柏木の二組の贈答歌や引歌の言葉 が、彼を恋歌の主体として駆りた てている。『伊勢物語』の主人公と も無縁ではあるまい 四 ひと

2. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

一かがみ 一鏡の蓋を開けて持つなど、源 御鏡などあけてまゐらする人は、なほ見たまふ文にこそはと心も知らぬに、ト 8 氏の朝の身づくろいに仕える女房。 ワ】じじゅう きのふふみ ししといみじく胸つぶつぶと鳴る心地す。ニ源氏あての手紙だろうと、事 侍従見つけて、昨日の文の色と見るこ、、 情も知らないので不審を抱かない。 語 かゆ いと三恐ろしさで胸が動悸をうつ。 物御粥などまゐる方に目も見やらず、「いで、さりとも、それにはあらじ。 氏 四以下、小侍従の心中。 いくらなんでも、昨日の手紙では 源いみじく。さることはありなむや。隠いたまひてけむ」と思ひなす。宮は、何 あるまい。大変なことではないか おほとのごも 心もなく、まだ大殿籠れり。「あないはけな。かかる物を散らしたまひて。我五しいて思いこむ。 六気楽に構えた宮を点描。そこ ^ おと いとむから直接源氏の心中に転ずる。柏 ならぬ人も見つけたらましかば」と思すも、心劣りして、「さればよ。 木よりも、まず宮の幼稚さを思う。 セ発見したのが自分以外でなく げに、いにくきところなき御ありさまをうしろめたしとは見るかし」と思す て不幸中の幸いと思う。噂となり、 一 0 あか 帝や朱雀院に知られるのを恐れる。 出でたまひぬれば人々すこし散れぬるに、侍従寄りて、小侍従「昨日の物はい ^ 宮を見下げたい気持になり。 ふみ かがせさせたまひてし。今朝、院の御覧じつる文の色こそ似てはべりつれ」と九かねての懸念どおり、の気持。 一 0 源氏が二条院に 、、とほしきも = 宮はあまりのことに仰天して。 聞こゆれば、あさましと思して、涙のただ出で来に出で来れば 一ニ泣くだけで何ら対処できない。 のから、言ふかひなの御さまやと見たてまつる。小侍従「いづくにかは置かせた一三小侍従の感想。同情もするが、 慮外の軽率さを難じたい気持。 まひてし。人々の参りしに、事あり顔に近くさぶらはじと、さばかりの忌をだ一四自分が特別の事情で宮に近づ いたと、人々に見られたくない に、、いの鬼に避りはべしを。入らせたまひしほどは、すこしほど経はべりにしそれぐらいの用心でさえ、気 が咎めるので慎重にしていたのに。 を、隠させたまひつらむとなむ思うたまへし」と聞こゆれば、女三の宮「いさと「忌 J ・心の鬼」に罪の恐怖がこもる。 四 ふみ へ ふた

3. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

よ。見しほどに入りたまひしかば、ふともえ起きあがらでさしはさみしを、忘一六源氏が入っていかれたのは、 それからしばらくしてからなのに。 れにけり」とのたまふに、、 しと聞こえむ方なし。寄りて見ればいづくのかはあ宅前の「・ : だに : ・」の文脈を受け、 ましてあなたは。宮への非難の弁。 はばか しいえ、それが。以下、手紙 らむ。小侍従「あないみじ。かの君もいといたく怖ぢ憚りて、けしきにても漏り天 を隠す余裕のあるなしに終始する 聞かせたまふことあらばとかしこまりきこえたまひしものを。ほどだに経ず、弁解。特に「忘れにけり」には、小 侍従も応ずる言葉さえ知らない。 かかることの出でまうで来るよ。すべていはけなき御ありさまにて、人にも見一九小侍従は念のため手紙を搜す。 ニ 0 柏木。密会直後から源氏を極 えさせたまひければ、年ごろさばかり忘れがたく、恨み言ひわたりたまひしか度に恐懼 ( 一八三ハー末 ) 。それが日 ごろ小侍従にも伝わっていたろう。 た 三あっけない露顕、の気持。 ど、かくまで思うたまへし御事かは。誰が御ためにもいとほしくはべるべきこ 一三以下、宮への無遠慮な批判 な ニ三蹴鞠の折にはじめて柏木に姿 と」と憚りもなく聞こゅ。心やすく若くおはすれば、馴れきこえたるなめり。 を見られ、以来六年余が経過。 答へもしたまはで、ただ泣きにのみぞ泣きたまふ。いとなやましげにて、つゆ = 四私に手引を頼んで恨み言を言 い続けてきたが、すぐにこんな仲 になるとはってもみなかった。 ばかりの物も聞こしめさねば、「かくなやましくせさせたまふを、見おきたて 一宝小侍従は宮の乳母子でもある。 下まつりたまひて、今は、おこたりはてたまひにたる御あっかひに、心を入れた = 六前ハ ' 一〇@涙の : ・」に照応。 毛以下、事情を知らぬ女房の評。 病身の宮を放っておく源氏を非難 まへること」とつらく思ひ言ふ。 若 夭回復した紫の上のお世話に。 おとど ふみニ九 大殿は、この文のなほあやしく思さるれば、人見ぬ方にて、ニ九柏木の筆跡とはまだ半信半疑。 〔三ニ〕源氏、密通の事情 三 0 「中納言」は柏木。女房らが を知り、思案憂悶する うち返しつつ見たまふ。さぶらふ人々の中に、かの中納一言彼をまねて戯れ書いたかとする。 ニ七 お ニ四 三 0

4. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

ごと いなき御おとしめ言になんーとはてはては腹立つを、よろづに言ひこしらへて、一九自分を、取るに足らぬ者と卑 下。批判を先取りして言う。 な 柏木「まことは、さばかり世になき御ありさまを見たてまつり馴れたまへる御ニ 0 宮の御身の疵になるまい意。 三相手が宮でも神仏でも、己が 心を訴える点で変らぬとする詭弁。 、数にもあらずあやしきなれ姿を、うちとけて御覧ぜられむとは、さらに 一三誓約。「神仏・ : 」にひびく表現。 ひとこと 思ひかけぬことなり。ただ、一一一 = ロ、物越しにて聞こえ知らすばかりは、何ばか = 三小侍従は。「 : ・こそ・ : 已然形」 の逆接の文脈で、「えいなびはて かみほとけ で」にかかる。その中間の文脈で、 りの御身のやつれにかはあらん。神仏にも思ふこと申すは、罪あるわざかは」 彼女が思慮の浅さから、しだいに ちか ) と といみじき誓一一 = 口をしつつのたまへば、しばしこそ、いとあるまじきことに一一 = ロひ柏木に説得されるとする。 一西一七五ハーに「たばかりたまへ」。 返しけれ、もの深からぬ若人は、人のかく身にかへていみじく思ひのたまふを、ニ五院 ( 源氏 ) の命令によるか。 ニ六帳台のすぐ傍ら。 ひま ニ四 えいなびはてで、小侍従「もし、さりぬべき隙あらばたばかりはべらむ。院のお毛側近の上﨟の女房や乳母など。 夭柏木邸から女三の宮のもとに。 ニ七 おまし みちゃう ニ九小侍従は。「困す」は疲れる意。 はしまさぬ夜は、御帳のめぐりに人多くさぶらひて、御座のほとりに、さるべ 三 0 小侍従から柏木へ。 。いかなるをりをかは、隙を見つけはべるべか三一粗末で目だたない服装や牛車 き人かならずさぶらひたまへま、 などを用いた。忍ぶ恋の常套。 三ニ六条院に 下らんーとわびつつ参りぬ。 三三柏木の心の一隅にある自省。 菜 三四宮に近づいて、かえって分別 し力にいかにと日々に責められ困じて、さるべきをりうか 三六〕柏木、小侍従の手 三 0 若 を失うことになってしまうだろう せうそこ 引で女三の宮に近づく がひつけて、消急しおこせたり。喜びながら、いみじくやとは予想だにせず。柏木の心情に 即した文脈ながら、語り手が、恋 つれ忍びておはしぬ。まことに、わが心にもいとけしからぬことなれば、け近ゆえの想外の事態の出来を想像 一九 ニ八 三三 ひび ニ九 こう ひま 三四

5. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

に大勢の方々とかかわりあっていらっしやって、宮もその 人目にあやしまれない程度にはこの女宮を北の方らしくお 中では負けをとっていらっしやるような有様で、お独りで 扱い申しあげていらっしやる。 やす 衛門督はやはり、あの胸に秘めた女三の宮への恋心を忘 お寝みになる夜が多く、所在なくお暮しでいらっしやるそ 第、じじゅう れることができず、小侍従という相談相手は、宮の侍従と うです』などと、ある人が奏上した折にも、いささか後悔 おももち めのと いう御乳母の娘であったが、その乳母の姉というのが、こ あそばす御面持で、『同じ臣下の者の安心できる婿を決め うわさ の督の君の御乳母だったので、早くから宮の噂などを身近るというのであれば、どうせならまじめにお仕え申すよう にお聞き申していて、まだ宮がご幼少の時分からまことに な人を選ぶべきだった』と仰せになって、『女二の宮のほ 気高くおきれいでいらっしやることや、帝がたいせつにご うがかえって心配がなくて、行く末長く添いとげられそう 養育あそばす様子などを、お聞きおき申していて、そうし な様子でいらっしやる』と仰せられたということを人伝に たことから、このような恋心もいだくようになったのであ聞いたのですが、おいたわしくも残念にも、このわたしが つつ ) 0 どんなに思い悩んだかしれません。なるほど二の宮を同じ こうして院の殿も女宮の御もとを離れていらっしやるこ お血筋と思って頂戴はいたしましたものの、それはそれで ろ、督の君は、お邸内は人目も少なくひっそりしているの別事と考えないではいられないのです」と、吐息をもらし だろうと推測して、何度も小侍従を呼び出しては熱心に相ておっしやると、小侍従が、「まあ、大それたことを。二 談を持ちかける。「昔から、こんなに命も縮むくらい思い の宮様をそれとさしおき申して、さらにまたそんなお気持 下こが 焦れておりますものをーーーあなたのような懇意な手づるが がおありとは、なんととてつもないことをお考えなのでし あって宮のご様子を伝え聞いたり、またわたしの堪えきれ よう」と言うので、苦笑して、「そのとおりなのですよ。 若 三の宮をもったいなくもお望み申しあげたことは、院も、 ない思いのほどをお聞きいただいたりして心丈夫に思って 9 いるのこ、、 しつこうにそのかいがないのだから、ひどく恨主上も、ご承知あそばしたのです。どうして、あれを婿に めしいのですよ。院の上でさえ、『六条の大殿があのよう して悪かろうと、何かの折に仰せられたこともあったので ひ ひとづて

6. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

( 現代語訳三三八ハー ) い物の怪がひそみ続けているか 心を起こして祈りきこゅ。すこしよろしきさまに見えたまふ時、五六日うちま 一六どこがどう悪いのか分らす。 ぜっつ、また重りわづらひたまふこと、いっとなくて月日を経たまふは、なほ、 0 紫の上の発病は、ついに堪えが たくなった彼女の人生の帰結とも 一五ものけ いえよう。発病直前の半生の述懐 いかにおはすべきにか、よかるまじき御心地にやと思し嘆く。御物の怪など言 ( 一六五・一六九ハー ) も重々しくひ ひて出で来るもなし。なやみたまふさま、そこはかと見えず、ただ日にそへてびく。彼女の去った六条院は「火 せきりよう を消ちたる」ような寂寥。新たな いと・もいと、も非しノ、いみじ / 田 5 、丁 . に、・御、いの悲劇がここに起ろうとする。 弱りたまふさまにのみ見ゆれば、 宅話題を呼び返す語り口。 いとま 天女三の宮の猫で孤愁を慰めて 暇もなげなり。 た柏木。当時、参議兼右衛門督。 ゑものかみ まことや、衛門督は中納言になりにきかし。今の御世には一九冷泉帝よりも今上帝に縁が近 三五〕柏木、女三の宮を 東宮時代から信任が厚かった。 諦めず小侍従と語らう いと親しく思されて、いと時の人なり。身のおばえまさるニ 0 柏木は官位の低さで婿がねか ら外された。今であったらと悔む。 うれ につけても、思ふことのかなはぬ愁はしさを思ひわびて、この宮の御姉の二のニ一姉宮。↓若菜上二七ハー四行。 一三劣り腹で、父院や兄今上の げらふかういばら 宮をなむ得たてまつりてける。下﨟の更衣腹におはしましければ、心やすき方後援もない。その軽い扱われ方ゅ えに、夫の柏木も軽視する。 下まじりて思ひきこえたまへり。人柄も、なべての人に思ひなずらふれば、けは = 三初めに慕った相手、女三の宮。 ニ四「わが心慰めかねっ更級や姨 菜 すて ひこよなくおはすれど、もとよりしみにし方こそなほ深かりけれ、慰めがたき捨山に照る月を見て」 ( 古今・雑上 若 読人しらず ) 。 とが をばすて ニ五女宮降嫁後七年たった今も。 姨捨にて、人目に咎めらるまじきばかりにもてなしきこえたまへり。 ニ六 ニ六↓若菜上一〇七ハー一〇行。 ・」じじゅ、つ めのと なほ、かの下の心忘られず、小侍従といふかたらひ人は、宮の御侍従の乳母毛侍従と呼ばれる乳母。 した おも 一七 一九 ニ ~ ニ へ ニ七 ニ四

7. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

( 原文一七七ハー ) すき のですから、お互いに、そのようなお気持を通わし合って に、隙を見つけられますことやら」と、当惑しながら帰っ いらっしやるのでしよう。あなたのおっしやりようは、さ ていった。 しでがましい悪口というものです」と、しまいには腹を立〔 = 六〕柏木、小侍従の手どうなのか、どうしたものかと、毎 えもんのかみ てるのを、衛門督は、あれこれと言いなだめて、「本当の 引で女三の宮に近づく日責められては困りきって、小侍従 たぐい ところ、あれほど類なくいらっしやる殿のご立派なお姿を は適当な機会をやっと見つけだし、便りを寄せてきた。衛 いつもごらんになっていらっしやるお方に、わたしのよう 門督は喜びながら、ひどく姿をやっしてこっそりとお越し になった。真実、我ながらまことにけしからぬことと思わ な人数にもはいらぬみすばらしい姿を、なれなれしくお目 通りいただこうなどとは、まったく考えてもいないのです。れるので、宮に近づいて、なまじ取り乱すようなことにな ろうとまでは考えもせず、ただはんのわずかばかり、かっ ただ、ほんの一一一一口、物越しに申しあげてこの気持をお分り いただくくらいのことが、どれだけ宮の御身の疵になると て御衣の端ぐらいを拝した春のタベの、いつまでもあきら いうのでしよう。神仏にも、いに思う願いを申すのは、罪と められず思い出されてならぬあのお姿を、もう少しお近く なることでしようか」と、たいそうな誓言を立ててはおっ でお見あげして、この意中をもお打ち明け申しあげたなら ふびん しやるので、小侍従は、はじめのうちこそまったくとんで ば、一行のご返事ぐらいくださりはしないだろうか、不憫 もないことと言い返していたのだったけれど、思慮の欠け な者よとお感じになってくださりはしないだろうか、と思 た若い女房であるから、相手がこうして命に代えてもと熱うのであった。 下 、いにまくしたてるのをとても拒みきることができす、「も 四月十何日かのことである。賀茂の御禊を明日にひかえ しも、適当な機会がありましたら、工夫してみましよう。 て、斎院にご奉仕すべくこちらからおさしあげになる女房 じようろう めの 若 院の殿のおいでにならない夜は、御帳台のまわりに人が多十二人、またとくに上﨟というわけではない若い女房や女 わらわ 童などが、めいめいに晴着を縫ったり身じまいをしたりし 1 くお仕えしていて、御座所の近くにしかるべきどなたかが 必ずお付き添い申していらっしやるのですから、どんな折ながら、見物に出ようとてその用意にかまけているのもと

8. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

415 各巻の系図 致仕の大臣父大臣 太政大臣 △葵の上 ( 大将の母君 ) △藤壺中宮 △六条御息所 ( 齪 △式部卿宮ーーー朝顔の姫君 ( 斎院 ) 中務の君 按察の君 明石の女御の御乳母源中将 一条御息所 ( % ) △大宮 落葉の宮 ( 二の宮、女二 の宮、女宮 柏 , 不督の君 の君 ( 左大弁 弘徽殿女御 ( 女御 ) 雲居雁 ( 北の方 ) 近江の君 藤宰相 冷泉院 ( 内裏の帝、院の帝、院 ) ) ー・・・・秋好中宮 ( 冷泉院の后、中宮 ) タ一霧 ( 大将〕右大将の、大納言、 二郎君 藤典侍 ( 内侍 ) 太郎君 三郎君 左中弁 姉乳母 従の乳母ーーー小侍従 ( 侍従 ) 玉鬘 ( 尚侍の君、右大臣の北の方 蛍兵部卿宮 ( 親王、宮 ) 孫王の 君達 △北の方 三郎君 四郎君

9. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

413 各巻の系図 冷泉帝 ( 内裏 ) △則坊 ( 父宮 ) 火好中 ~ 呂 ( 中宮、宮、后の宮 ) 一丁不 △六条御息所 ( 母御息所、伊勢の御息所 ) △藤壺中宮 ( 故入道の宮、故宮、宮、后の宮 ) 四の君 ( 北の方 ) 太政大臣 ( 父大臣、大臣 ) △式部卿宮ーーー朝顔の姫君 ( 前斎院 ) 藤大納言 ( 大納言の朝臣 ) 別当大納言 頭中将 左中弁 ( 弁 ) 侍従の乳母 ( 中納言の乳母 ) 和泉前司 納言の君 △葵の上 ( 母北の方 ) 柏 , 不 ( 督窈、宰櫺の君 頭の弁 ( 弁の君 ) 手云居雁 ( 女君、北の方、三条の北の方 ) 兵衛佐 大夫の君 タ霧将、大将の君 小侍従 中務 中将の君 藤典侍 ( 内侍 ) 中宮権亮 ( 宮の権亮 ) 大徳 阿闍梨 君達 言、 ) 若君達 玉鬘 左大将殿の北の 方、尚侍の君

10. 完訳日本の古典 第19巻 源氏物語(六)

らさむ」 ( 伊勢物語九十九段 ) によ とあれど、一日の心も知らねば、ただ世の常のながめにこそはと思ふ。 り宮をかいま見たことを暗にいう。 おまへ 御前に人繁からぬほどなれば、この文を持て参りて、小侍従「この人の、かく三「嘆き」「投げ木」が掛詞。「折 る」「木」「しげる」が縁語。「花」 第」とと のみ忘れぬものに言問ひものしたまふこそわづらはしくはべれ。心苦しげなるは女三の宮。宮が人妻として遠の いたのを嘆きつつ、そのタ映えの ありさまも、見たまへあまる心もや添ひはべらんと、みづからの心ながら知り美貌への執着を断ちがたいとする。 一四小侍従には「一日」の意が不通。 三柏木の気の毒な様子に、見る がたくなむ」と、うち笑ひて聞こゆれば、女三の宮「いとうたてあることをも一言 に見かねる気が起り、二人の仲介 をするかもしれぬ、の意。柏木を ふかな」と何心もなげにのたまひて、文ひろげたるを御覧ず。「見もせぬ」と 笑いものにしようとする冗談。 おもて 言ひたるところを、あさましかりし御簾のつまを思しあはせらるるに、御面一六手紙の「あやなく今日は : こに、 引歌を想起、かいま見を直感。 、一と おとど たび 。、まナ宅あれほど何か仰せの度ごとに。 赤みて、大殿の、さばかり言のついでごとに、「大将に見えたまふなし。レ 一 ^ 源氏は、自らの藤壺との過ち から、タ霧が紫の上に近づくのを なき御ありさまなめれば、おのづからとりはづして、見たてまつるやうもあり 極力警戒していた。野分巻参照。 一九 なむ」と、いましめきこえたまふを思し出づるに、大将の、さることのありし女三の宮に対しても言っていた。 一九タ霧が、こんなことがあった 上と語りきこえたらん時、いかにあはめたまはむと人の見たてまつりけむことをと源氏に申されたら、源氏がどん なに自分を疎むだろうか、の意。 うち はばか ニ 0 以下語り手の評。タ霧の源氏 ば思さで、まづ憚りきこえたまふ心の中ぞ幼かりける。 若 への報告などありえぬのに、そん おほむ 常よりも御さしらへなければ、すさまじく、強ひて聞こゅべきことにもあらなことばかりを心配して、柏木が かいま見て恋着するという重大さ には気づかぬ幼さであるとする。 ねば、ひき忍びて例の書く。小侍従「一日はつれなし顔をなむ。めざましう、と ひとひ ひとひ す