くなりきくほど もてこ たかや ひとあしおとあまた かたむかひ 持来」ト出来ツル方ニ向テ、高カニイへバ、人ノ足音数シテ来也ト聞程ニ、長一すばらしく上等な食べ物。 ニ一日じゅう風波に苦しめられ みめうじきもっ ながひつひらぎ あまたあり 1 ひっふたになひもてき 櫃二ッ荷テ持来タリ。酒ノ瓶ナドモ数有。長櫃ヲ開タルヲ見レバ、微妙ノ食物てくたくただったから。 三・ : の用に当てるもの。 みなよ ノどもなり みなとりいだ くはしむ つりびとどもひねもすこう + 共也ケリ。皆取出シテ令食レバ、釣人共終日ニ極ジニケレバ、皆吉ク取食テケ四領有しようと思って。 五なんとか撃退して。 第 ながひつもとやうとりいれ よくのみ のこり ものども 巻リ。酒ナドモ能呑テ、残タル物共ヲバ、明日ノ料ニトテ、長櫃ニ本ノ様ニ取入六「ヌ」は「ヌル」とあるべきであ るが、終止形接続の類例は本集中 集 一り ものどもかへ かたはらおき になひ に散見。 語テ傍ニ置ツ。荷タリツル者共ハ返リ去ヌ。 七命をかけて雌雄を決すべき日。 昔 おきかたまたしまあり そののちあるじをとこちかくよりき そこたちむか 今其後、主ノ男近寄来テ云ク、「其達ヲ迎ヘッル故ハ、此ョリ澳ノ方ニ亦島有、〈軍兵。 五 四 九手におえないことでありまし われあひかまへたたかひかへ つねきたりたたか われころしこのしまりゃう 其島ノ主ノ、我ヲ殺テ此島ヲ領ゼントテ、常ニ来テ戦フヲ、我相構テ戦返シても。 一 0 「ト」はあるいは「ハ」の誤写か われたす このとしごろすぎほどあすきたりわれひとししゃうけっすべきひ = 待ち設ける。 テ、此年来ハ過ヌ程、明日来テ、我モ人モ死生ヲ可決日ナレバ、『我ヲ助ケョ』 一ニ今日明日じゅうにきっと正体 いくさぐ ふねいく そのきたらひといくらばかり おもひ むかへ つりびとども ト思テ、迎ツル也」ト。釣人共ノ云ク、「其来ン人ハ何許ノ軍ヲ具シテ、船何がわかることでしよう。 一三島に襲い掛ろうとする時に。 まゐり いのちすて 一 0 おほせ カ のりきた ッ乗テ来ルゾ。身ニ不堪事ニ侍リトモ、此ク参ヌレバ、『命ヲ棄テコソ』ト仰一四荒波が打ち寄せて滝のように 奔騰する波打ち際をさしたものか。 あら きた す かたきひとてい をとここれきき よろこびいは したがはべ ニ随ヒ侍ラメート。男此ヲ聞テ、喜テ日ク、「来ラント為ル敵モ人ノ体ニハ非一五しばしの間は戦いをわたしに まかせて見物していて。 まづかれきたりしまかか まう あら けふあすみ わがみ またひとてい 一六目くばせをする意。 ズ、儲ケンズル我身モ亦人ノ体ニハ非ズ。今明日見テン。先彼来テ島ニ懸ラン 宅決していい加減にやってはな このうみぎは さぎぎきかたきこのたきまへのばらしめず くだりぎた ほどわれこのうへ 程ニ我ハ此上ョリ下来ランズルヲ、前々ハ敵ヲ此滝ノ前ニ不令上シテ此海際ニらない。 一〈↓四三ハー注一一四。 うへのば あすそこたちつよたの シテ戦ヒ返スヲ、明日ハ其達ヲ強ク憑マンズレバ、彼レヲ上ニ登センズル也。一九立つのは話者自身のようにも そのしまめし 一け たたかかへ いでき たへめことはべ かめ れう ゅゑ み とりくひ なり なが
ほど ひと をかしげ ものつき 程ナルヲ取出テ、打上テ玉ニ取ルヲ、見ル人、「可咲気ナル玉力ナ。此ノ物託六手玉に取るのを。↓当〇四 ハー注一四。 もとふところもちひとはか す うたがおもひ ほどかたはらわか ノ女ノ、本ョリ懐ニ持テ人謀ラムト為ルナメリ」ト疑ヒ思ケル程ニ、傍ニ若キセ美しげな玉だなあ。 ^ 元気のよいのが。↓二三二ハ ーしカて うけとり・ ものつきをむなそたまうちあげ さぶらひをのこいさみ 侍ノ男ノ勇タルガ居テ、物託ノ女ノ其ノ玉ヲ打上タルヲ、俄ニ手ニ受テ取テ注三。 九まあひどい。↓二四五ハー注一六。 一 0 一生懸命に。しきりに。仮名 懐ニ引入レテケリ。 一 0 文学では「せちに」の形をとる。 みじわざ たまかへえさ せつ をむなっき きつねいは レバ、此ノ女ニ託タル狐ノ云ク、「極キ態カナ。其ノ玉返シ得セョ」ト切 = 「モ」は強意。全く耳もかさな いで をのこむかひいは きつねなくな ニ乞ケレドモ、男聞キモ不入ズシテ居タルヲ、狐泣々ク男ニ向テ云ク、「其ハ三対称の人代名詞。あなた。 一三長く身につけておく方法を知 やくあら わ たもつべやうしら わめしため たまとり 其ノ玉取タリト云フトモ、可持キ様ヲ不知ネパ、和主ノ為ニハ益不有ジ。我レらない。意訳すれば、使い道を知 らないの意ともなろう。 そ たまかへえしめ いみじそん あるべ そたまとられ + ハ其ノ玉被取ナバ極キ損ニテナム可有キ。然レバ、其ノ玉返シ不令得ズハ、我一四「和、は、相手に対する親愛の 四 気持を表す。あなた。 も わめし かへえしめ わめしためながあたな 語レ和主ノ為ニ永ク讎ト成ラム。若シ返シ令得タラバ、我レ神ノ如クニシテ和主一 = 役に立つまい。↓二一四【、注 をのこよ な おもこころっき さらかならわ そひまも 返ニ副テ守ラム」ト云フ時ニ、此ノ男、「由シ無シ」ト思フ心付テ、「然バ必ズ我笑害をなすもの。かたき。 乞 宅持っていてもしかたがない なりかならまもりな 力。カ もの まもりな たま 天もちろんです。 取ガ守ト成リ給ハムヤ」ト云へバ、狐、「然ラ也。必ズ守ト成ラム。此ル者ハ 被 一九 ( 人間と違って ) 我々動物は、 をのこ またものおんおもひしら ゅめゅめそらごとせ 託努々虚一言不為ズ。亦、物ノ恩不思知ズト云フ事無シ」ト云へバ、此ノ男、「此決して嘘をつきません。 狐ニ 0 ニ 0 今おまえ ( 狐 ) をお縛りになっ きつねまことごほふき ごほふしよう たま からめたま た護法が、それを証明してくださ ノ搦サセ給ヘル護法證ゼサセ給フャート云へバ、狐、「実ニ護法モ聞コシ食セ。 るか。「護法」は、目に見えぬ仏法 をむな たまとりいだ たしかまもりな 00 たまかへえさ 玉ヲ返シ得セタラバ、慥ニ守ト成ラム」ト云へバ、男懐ョリ玉ヲ取出シテ女守護の使霊。 ふところひきい そ をむな し こひ とりいで をのこき うちあげたまと とき いれ きつねさ み ことな をのこふところ そ わかみごと たま め そこ わ
ころほひあり タル比有ケリ 一「膳夫」の音読に当てたものと みる。調理人。料理人。 あ ところぜんぶ 、へのうちことどもみ ゐ・ときばかり 其レニ、或ル所ニ膳部シケル男、家内ノ事共皆ナシ畢テケレバ、亥ノ時許ニ = 午後 + 時ごろ。 三束帯 ( 宮中の正装 ) の際に着る ひとみなしづ のち かどあかうへきめきかうぶり 十人皆静マリテ後、家へ出ケルニ、門ニ赤キ表ノ衣ヲ着、冠シタル人ノ、極ク気上衣。官位によ。て色が異な 四 第 ることから位袍とも。赤色の袍は だかおそろげ しら さしあひ ひとすがたけだか たれ 巻高ク怖シ気ナル、指合タリ。見ルニ、人ノ体ノ気高ケレバ、誰トハ不知ネドモ五位の官人の着用。↓第六話注 = 0 。 六 四「アフ」の目的語には、助詞 げらふ あら おもひ ひといし なむ 語「下﨟ニハ非ザメリ」ト思テ、突居ルニ、此ノ人ノ云ク、「汝ヂ、我レヲバ知タ「ニ」をつけないのが普通。ば。た り出会った。 昔 ぜんぶ しりたてまつら ひとまたいは 今リヤ」ト。膳部、「不知奉ズ」ト答フレバ、此ノ人亦云ク、「我レハ此レ、古へ = 法﨟 ( 安居修行の年数 ) の浅い 僧の意から転じて、身分の低い者。 だいなごんともよしを いひひとなり はいるせられ はやし 此ノ国ニ有リシ大納一一 = ロ伴ノ善雄ト云シ人也。伊豆ノ国ニ被配流テ、早ク死ニキ。六「非ザンメリ」の撥音の無表記。 下賤の者ではなさそうだ、の意。 こころ えやみのかみなりあ なりわ ほかおほやけおほむためをかしな 其レガ行疫流行神ト成テ有ル也。我レハ心ョリ外ニ公ノ御為ニ犯ヲ成シテ、重セ国道の子。仁明天皇に寵遇さ れ、大内記、参議、中宮大夫を経 つみかうぶ おほやけつか ありあひだわくにおんおほ て、貞観三年 ( 会 D 任大納言。正 キ罪ヲ蒙レリキト云へドモ、公ニ仕へテ有シ間、我ガ国ノ恩多カリキ。此レニ 三位。貞観八年息男中庸の応天門 より ことしてんが えやみおこり くにひとみなやみしめべ わしはぶきやみまうしおこなひ 依テ、今年天下ニ疾疫発テ、国ノ人皆可病死カリツルヲ、我レ咳病ニ申行ッ放火事件に連座し、伊豆に配流さ れて同十年没。年六十。無実の疑 なりしか こと よしはぶきやみひまな そ いひき ここたち いもあったので、死後怨霊になっ ル也。然レバ世ニ咳病隙無キ也。我レ、其ノ事ヲ云聞カセムトテ此ニ立タリ た話が生れたもの。「大納言」は太 なりなむおそるべから かきけやううせ 政官の次官で、右大臣の次位。 ツル也。汝ヂ不可怖ズ」ト云テ、掻消ッ様ニ失ニケリ。 ^ 伊豆半島。交通不便な険難の ぜんぶこ おづおづいへかへりかたった なりそ のち とものだいな 膳部此レヲ聞テ、恐々家ニ返テ語リ伝へタル也。其ノ後ョリナム、「伴大納地だったので遠流の地とされた。 九罪によって遠隔の地に流され あり ごんえやみのかみ ひとしり ること。↓注七。 言ハ行疫流行神ニテ有ケリ」トハ人知ケル。 きき 0 なりわ をの、一し こた い八 ひと いみじけ しり おも おんる
よしなきひと すけのとの一 まどひたま そらおそろし モ由無人力ハ。介殿何カニ迷給ハントスラン」ト空怖クテ、木石ノ心ヲ発シ一九ひたすら山芋を掘るものと思 一九 っちほる って。「ノ」は「ヲ」に通ずる「ノ」。 これやまのいもひとへほる おもひ やまのいもやまのいも テ土ヲ堀ニ、児、「此ハ暑預ノ偏ニ堀ゾ」ト思テ、「何ラ、暑預、々々」ト云ヒ = 0 どこ ( にあるの ) 。 たっ ニ一さかんに言う意。 このひと かたうど かなし たへじ おもひ なむだいづるわれながら 立ルニゾ、「此人ノ方人ナレバ、悲サニ不堪カシ」ト思テ、涙ノ出ヲ、我乍 = = 味方の人。ひいき筋の人。仮 こころよは ねむ 定の意なので、「ナレバ」は「ナラ ふさぎちごひきおと ちごおびえなく をのこかほ ハ」とありたいところ。 モ、「心弱シ」ト念ジテ、目ヲ塞テ児ヲ引落セバ、児愕テ泣ヲ、男顔ヲ外様ニ ニ四 ニ三ああ、なんてひどいやつだ。 みむけ あなおしいる ち′ ) あなこころう ものこころ 見向テ、衣ヲ剥テ、穴ニ押入レバ、児、「穴心踈ノ者ノ心ャ。我ヲバ殺テント = 四「殺シテムトスル也」と同意。 ニ五あわてふためいて。 なり いふほどただものいは ( せ ) ず っちただいれいれ ふみあわて こころまどひ スト也ケリ」ト云程、只物不云セシテ、土ヲ只入ニ入テ、踏周テ、心ノ迷ケル = 六継子が ( 継母の ) 首にすがって。 ニ五 毛「かあり」の約。 : ・の在所、居 よくかためず さわぎかへり マ、ニ能モ不堅シテ、騒テ返ヌ。 所の意。ここでは伯父のもとへ。 ニ六 さるけな もてなしある 夭この字、古辞書にみえず。会 ままははちごくびかか をぢニ七ゆく かほ 然気無ク持成テ有ニ、継母児ノ頸ニ懸リテ、「伯父ガリ行」ト云ツル顔ッキ、意の国字。まばろしに思い浮んで。 ニ八 ニ九自分の前途も絶たれ。介の激 おもかげおば われいか ことおもひょり まことははなきものなり 第俤ニ思エテ、「我何ニ狂ヒテ此ル事ヲ思寄ッラン。実ノ母モ無者也ツレバ、 怒を買って将来が無になる意。 語 三 0 少しでも手違いが生じたなら。 われあはれ レくけ、つ もの をむな′ ) ほか われをのこごなし 三一取返しがつくものなら、そう 介我モ哀ニセバ、能孝シッペカリツル者ヲ。此ノ女子ョリ外ニ、我モ男子モ無 ニ九 夫 - も もしたく思ったけれども。 きこえ なかなかわがみちたえこれためおもをむなごため いかあら 官若シ聞ナバ、中々ニ我道モ絶、此ガ為ト思フ女子ノ為ニモ何ガ有ンズラム。此三 = ふさぎ込んで。 めり′一めにこも 三 0 府 三三原姿「塗籠 ~ リ居テ」の踊り字 をとこきはめこころをさなげみ もの ャ ) とたが が転写間に脱落したものであろう。 奥男ハ極テ心幼気ニ見ュル者ヲ、少シモ事モ違、 ノヾ、云ャ出サンズラン」ト、 塗籠に引き籠っての意。「塗籠」は、 とりかへ おもひどもころしきたり すべきゃうなく あぢきなめりごもゐ 取モ返シッペク思ケレ共、殺テ来ニタレバ、可為様モ無テ、無端ク塗籠リ居テ周囲を壁で塗り込め、入口に遣戸 をつけた部屋で、納戸または寝室 なき ゾ泣ケル。 用。 ぎぬは くる め カカ すこ いだ 三ニ われ ばくせき 三三 こ、】ろおこ ほかぎま この なんど
( 現代語訳三五一ハー ) たたかたまふべなり メテ、何ニモ戦ヒ可給キ也」ト。 「マシカバ」は「マシ」で結ぶのが普 通。破格。 みことたちいふところもとしかるべ ただわ おもやう 余五此レヲ聞テ云ク、「尊達ノ云所最モ可然シ。但シ我ガ思フ様ニ、『今夜一六生きているとは言えない身だ、 しかばね 生ける屍だの意。 いへうち ころされ ただいま いのちそん かまへか ヒ家ノ内ニシテ焼キ被殺ナマシカバ、只今マデ命存セムカ。構テ此ク遁レタレ宅お前たちに顔を合せることに 一七 なったのは。 あら みことたちめみ きはめ はぢなりさ 、生タルニハ非ズ。一日ニテモ尊達ニ目ヲ見セムズレバ、極タル恥也。然レ天あるいは原ズルハ」か。 一九 一九軍兵を集め整えて。 わ っゅばかりいのちをし ( ま ) ずみことたちのちいくさまうけたたかふべきなりわれおい ただひとりか ハ我レ露計命ヲ不惜マ。尊達ハ後ニ軍ヲ儲テ可戦也。我ニ於テハ、只一人彼 = 0 沢胯をさす。下の「思ハム」の 主格も同じ。 いへむかひ やきころし おも ひとたびや レガ家ニ向テ、「焼殺ヌ」ト思ハムニ、「此クモ有ケリ」ト見へテ、一度ノ箭ヲ = 一このように生きていたそ。 ニ四 一三 ( わたしの姿を ) 見せての意。 かけしなむおもふなり ないししそん きはめはぢ あら のち うち いくさおこ 射懸テ死』ト思也。乃至子孫マデ此レハ極テ恥ニハ非ズャ。後ニ軍ヲ発シテ罸 = = 一矢報いてから死のう。 ニ四さもなければの意。 きはめあし いのちをし みことたちきたるべからずわひとりゆき 一宝さっさと出かけて行こうとす タラムハ、極テ弊カリナム。命惜カラム尊達不可来。我レ一人ハ行ナム」ト「ム る。 ただいでたちい テ、只出立ニ出デ立ツ。 ニ六↓田五二ハー注八。わたしのこ 五 第 れから言うことに決して誤りはあ らうどうども のちひたたか きはめことわ るまい 語レバ、郎等共ノ、「後ノ日戦ハム」ト定ツルモ、此ヲ聞テ、「極タル理リニ 毛あるいは。 諸はべ またまうすべきゃうな ただと いでたたたま よごいでたっ 原侍リ。亦可申様無シ。只疾ク出立セ給へ」ト「ムへバ、余五出立トテ云ク、「我 = 〈「ハヅシ」の漢字表記を期した 欠字。 あやまた 、一う こやつよもすがらたたか そこそこかはのほとり ないしそこをか 茂レ世モ云ヒ不錯ジ。此奴ハ、終夜戦ヒシ極ジテ、其々ノ河辺ニ、乃至其ノ岳ノ = 〈「呼意」は不明ながら、喚声の 意か。「呼音ヲバーの誤写とみる説 平・かのかたのおもて くめきはら ふし むま くつわと まぐさかひ 彼方面ニ、櫪原ナドニコソ死タル如クニテ臥タラメ。馬ナドモ轡解キ、秣飼もある。 ニ九 三 0 三 0 たとえ敵は千人の大軍であっ テゾ息ラム。弓ナドモ〔〔〔凵テ緩タラムニ、呼意放テ押懸タラムニ、千人ても、何ほどのことができようか。 し ニ六 きき や た いちにち さだめ あり これきき のが
わがおもひ ほんいありおもひ われつゆへだてなくたの おもふべ 一わたくしが思っていた通りの 云ク、「我思ツル本意有テ思ケル、極テ喜シ。我露ノ隔無憑マム。然カ可思シ」 考えを ( お前が ) 持っていたことは。 こよひょきひなり このむすめめのとご ものあは らうどうもとのめあり ナド云テ、「今夜吉日也」トテ、此娘ノ乳母子ナル者合セッ。郎等、本妻ハ有 = 継母の連れ子の乳母の娘。 三強力な縁を結んだ。 がうえんとる おもひょろこことかぎりなし 四すっかり丸め込んで。 十ケレドモ、「強ニ縁ヲ取」ト思テ、喜プ事無限 第 五継母の連れ子の娘をさす。 ままははこ をのここころとりえ のち もつをのこいはしむやう いまひとへたの 六物の道理をよくわきまえられ。 巻継母此ノ男ノ心ヲ取得テ後ニ、妻ヲ以テ男ニ令云ル様、「今ハ偏ニ憑メバ 「参リは誤用で、「給ヒ」とあるべ わがおも あるべきあら をのこ おのれおもほんい あら きところ。 語我思フ事ヲ不云デ可有ニ非ズ」ト。男、「ソレコソハ己ガ思フ本意ニテハ有メ」 六 セしかるべき前世の因縁がおあ こた めよくをうと、 : ) ろかたらとり わがやしなふひめぎみ こころ もの 今ト答フレバ、妻能夫ノ心ヲ語ヒ取テク、「此ノ我養姫君ハ 心バへモ物ヲりだったのか。 ^ 主語は介。無類にたいせつに おもひしりまゐあはれおは さいはひおは まことちちおくたまひのちこころばそ いつくしまれて。 思知参リ哀ニ御スレバ、幸ノ御サンズルナメリ。実ノ父ニ送レ給テ後、、い細 九あなたの天下、つまり立身出 おは このすけのとのははうへむかとりたまひのち しかるべきちぎりおは またなきもの ク御セシヲ、此介殿ノ母上ヲ迎へ取給テ後ョリハ、可然契ャ御スラン、亦無者世が思いのままであろうの意。 一 0 そこもとはさもむすかしいこ かしづたまひ ときをとこあはたてまっ のたまひすでけふあす ことなり とのように、重大そうにおっしゃ ニ傅キ給テ、『生タル時ニ男合セ奉ラン』ト宣テ、既ニ今日明日ノ事ニ成タル ることだな。 このすけのとのおほむたからひきわくかたな わがきみったへしめ わめしょ = そのようにできるもできない ヲ、『此介殿ノ御財ヲ、引分ル方無ク、我君ニ令伝タラバ和主ノ世ニテコソハ も、わしの気持一つだ。 あら おも いかすべき をうとこれきき あざわらひ そこかた 三介の北の方、つまり継母。 有メ』ト思フヲ、何ガ可為」ト。夫此ヲ聞テ、疵咲テ、云ク、「其ハ難カルべ 一三だれの仕業ともわからないよ ことやう のたまかなおのれこころなりおほむまへ たま うにして若君 ( 継子 ) を亡き者にし キ事ノ様ニモ、大事気ニ宣フ哉。己ガ心也。御前ダニ許サセ給ハヾ、誰ガシッ てしまったなら。 ことともなくうしなひ そこばくたからどもいか おこな する め ただこれなりおほむまへ ル事共無テ失テパ、若干ノ財共ハ何ガハ行ハント為」ト。妻、「只此也。御前一四「何ガハ」の「ハ。は強意。どう 処分することになるか。言外に、 しかおばしめしなり をうとよきゃうまう まう モ然思食タル也」ト云へバ、夫、「吉様ニ申セ」トイへバ、妻、「申サン」トテ姫君の独り占めになるのは言うま 」と だいじげ きはめうれ 0 ゆる め し
すでくにくだりつき いにしへしらかはせきいふところ とも かみそのせき ねずなこそ ニ、既ニ国ニ下着ヌ。其ニ、古ハ白河ノ関ト云所ニテ、守ノ其関ヲ入ニ、供ノ一念珠・勿来とともに奥州三関 の一。陸奥国への関門で、福島県 1 ひとかきたて しだいせきいれ はてのち このかみとも 人ヲ書立テ、次第ニ関ヲ入テ、入レ畢テ後ニゾ木一尸ヲ閉ケル。然レバ、此守共白河市の南方、旗宿字関ノ森に関 跡が残る。 かきたてもくだいあづ かみ かやう ことさた おこな ニ供人の名を書き連ねた名簿。 + ノ書立ヲ目代ニ預ケテ、守ハ入ヌレバ、「此様ノ事ノ沙汰モ、我ニゾ行ハセン 第 三 一一六ハー注九。 おもひ ことひとさた せき ものどもならたち なにのめし 巻ズラン」ト思ケルニ、然モ無キ異人ノ沙汰ニテ、関ノ者共並ビ立テ、「何主 0 ま。たく違。た。全然別の。 集 五関守。関所の番人。 ひとい かのめしひとい よび あるじじゅしやしだい まづわれよびたて 五ロ 六何某殿の御一同。 ノ人入レ。彼主ノ人入レ」ト呼テ、主従者次第ニ入ルニ、「先我ヲ呼立ンズラ 物 昔 セ行列の後尾にあって全体を締 きく よびあげぎり われしりまきいれ おもひ しんがり めくくる役。殿。 今ン」ト聞ニ、四五刄マデ不呼上ケレバ、「我ヲ尻巻ニ入ンズルナメリト思テ、 かすみ ^ 能因法師の「都をば霞ととも じゅしやどもひきゐ まちたてほど みなひといれはてのちわれいれ おも きど にたちしかど秋風そ吹く白川の 従者共引将テ待立ル程ニ、「皆人入畢テ後、我入ンズラム」ト思フニ、木一尸ヲ 関」 ( 後拾遺九・羈旅 ) を踏まえた表 すて あさましいふかひなく かすみたちあきかぜふく 急ト閉テ、棄テ入ヌレバ、奇異ク云甲斐無テ、返ランズルニモ霞ニ立テ秋風吹現。引歌の技法は本集では珍しい が、典拠よりの転載であろう。 くにしばらくあるべき き一しいだされ 九「菅」は当字で、和語「すげな 際ニ成ニタリ、菅無クトモ国ニ暫モ可有三 被指出ニタリ。 く」に当てたもの。たとえ薄情な つき じゅしやども カカ ひとわれら みること 然レバ、付タリツル従者共ハ、「此リケル人ニ我等ガ付テ、此ル目ヲ見事」仕打ちを受けようとも、しばらく 陸奥国に置いてくれればよいのに。 みなすてさり さりがたじゅしやどもしごにんばかりのこり いど、 ) トテ、罵リ覆シテ、皆棄去ニケリ。難去キ従者共ゾ四五人許残テ、「何ニマレ、一 0 「可有一一「凵ハ」の空格の消滅 で、空格は前ハー注一三・一六と同じ。 ところや いど・】 つけ なげゐ 御セム所ニ遣リ着テコソハ何デモ罷ラメ」ト云テ、己ガドチッラ / 、ト歎キ居 = 関の外に締め出された。 一ニくり返しののしりたてて。 あるじこれみる すべきかたおば そこしろきいさ′一 あさをがはながれ タリ。主此ヲ見ニ、可為方覚工ザリケレバ、底ハ白砂ニテ浅キ小河ノ流タリケ一三主人を見捨てがたい従者。 一四ぶつぶつぐちをこばすさま。 おりたち むちさきもっ みづそこ ここかしこかきたて ・むち - さきき ルニ下立テ、鞭ノ崎ヲ以テ、水ノ底ノ砂ヲ、此彼掻立リケレバ、鞭ノ崎ニ黄一 = 「先」の当字。先端。 おは ′、まッ な り し たて の かへ それ 四 まか さ きどたて いる おの つき われ かかめ いる
ほど しらず あきひらきたりうちとけね 其事ヲモ不知シテ、此ノ明衡ハ来テ打解テ寝タルニ、夜打深更テノ程ニ、此一先刻の密告と考え合せて。 こっそり注意深く忍び込んで。 なむによしのびものいふけしきあり いへあるじをとこひそかきたりたちぎき ノ家主ノ男窃ニ来テ立聞ケルニ、男女忍テ物云気色有ケレバ、「然レバョ。然 = 「ぬ」の語幹に「引」を付して 「いびき」に当てたもの。 わねどころあたり きき りう力がき あは まことなり おもひやはかまい 十カ聞シニ合セテ、実也ケリ」ト思テ、和ラ構へ入テ伺ヒ聞クニ、我ガ寝所ニ当四↓田九七ハ , 注一一 ( 。 五月光が板屋根の隙間からもれ 第 くら みえずをとこいびきすかたやはより ふぜい なむによふ けしきおばえ 巻テ、男女臥シタル気色思ヌ。暗ケレバ慥ニハ不見。男寝引ノ為ル方ニ和ラ寄テ、さした意で、卑賤の家らしい風情。 さしぬきばかますそ 六指貫袴の裾に通したくくり紐。 集 かひなもち ところさぐりえ つき おもひ かたなめきさかて はらうへおば 五ロ ニ一 1 ロ 刀ヲ抜テ逆手ニ取テ、腹ノ上ト思シキ所ヲ捜得テ、「突テム」ト思テ、肱ヲ持セ「ニテ」の約で、当時すでに現 物 六 れていた。類例は他にも所見。 昔 もり 七もの さしめきくくり ほど 今七夕ル程ニ、月ノ屋ノ上ノ板間ョリ漏タリケル一一、指貫ノ扶ノ、長ャカデ物〈指貫が桁などに掛けられ、 くくり紐が長く垂れていたものか。 かやう ) し ゃうわ め をむなもと みつけ 九ちらっと。ふっと。 ニ懸タルニ、急ト見工ケレバ、見付テ二・様、「我ガ妻ノ女ノ許ニ、此様ノ指 一 0 「見付テ思フ様」の「思フ」脱か。 こと もしひとたがヘ ひとみそかをとこ きたらじもの 貫着タル人ハ密男トテ不来者ヲ。若人違シタラムハ極メテ不便ナルベキ事力 = この下に欠字を想定。 三「かぐ」の再活用語「かがゆ」の おもひ いみじうるはしか一一 カカ おもひ ほど ナ」ト思ケル程ニ、極ク娥キ香 ( ・ト聞工ケレバ、「然バコソ」ト思テ、手ヲ連用形。さっと匂ってきたから。 一三手に柔らかな衣の感触が伝わ にようばうき ) はの・ ほど きめやは きぬやはさぐり ひきかへ 引返シテ、着タリケル衣ヲ和ラ捜ケレバ、衣モ奐ラカニ障ケル程ニ、女房ノ急ってきた意で、着衣が上等な絹の 衣だったことを意味する。 しの おどろき ここひとけしきす 一四はっと目をさまして。 ト驚テ、「此ニ人ノ気色ノ為ルハ誰ソトヨ」ト忍ビャカニ云ケル気色ノヤハラ 一五感動表現。だれでしようねえ。 あきひら おもひ ほど され あらざ しるをむな カニテ、我ガ知女ニハ非リケレバ、「然バコソト思テ、居去ケル程ニ、明衡一六自分のなじみの女、つまり妻。 宅入口に近い所。下座敷。 ゃう おもひ をむなしも こゑききつけ モ驚キ、「誰ソ」ト問フ音ヲ聞付テ、我ガ妻ノ女ハ下ナル所ニ臥シテ思ケル様、入「ハ」は間投助詞で、外出した ことだなあ、の意。 ひそかきたりひとたが ものゆき わをうとけしきあやし 一九「スル」は「為」の全訓捨て仮名。 「昼ル、我ガ夫ノ気色ノ怪クテ、物へ行ツルハ。若シ其レガ窃ニ来テ、人違へ ぬきき そのこと カカめ・ おどろ げ とり と た たしか め きは され ようちふけ ところふ ゐのき ふびん けしき て し
いそ シ気ニテ、何ニト無キ物染メ張リ忿ギケレバ、女モ諸共ニ念テ四五日ニ成ニケ一染物や洗張をして。 ニ木幡のわたしのもと居た所に、 : ニ」の語法については の意。「ニ・ 四 ↓二一八ハー注四。 こもりぎふしき こはたわ しかあひだあるじをむなこ をむないは + 而ル間、主ノ女此ノ女ニ云ク、「木幡ニ我ガ居タリシ所ニハ、木守ニ雑色三庭園の樹木を守る者。庭番 ここでは留守番の意。留守番とし 第 ゆき をむな そこゆき しの ふべことあ ひとり 巻一人ヲナム置タル。其ニ行テ、忍ビテ可云キ事ノ有ルヲ、行ナムヤ」ト。女、て雑色を一人置いてある、の意。 四 ↓一〇三ハー注一一五。 集 うけたま どうれいあづ いでたちゅき 五行ってくれるだろうか。遠慮 語「承ハリヌ」ト云テ、子ヲバ同僚ニ預ケテ、出立テ行ニケリ。 した依頼の気持。 昔 さだ かきすまし こはたゆ いへうちいり ひとな 今木幡ニ行キ着テ家ノ内ニ入タレバ、「定メテ人無クテ、掻澄テゾ有ラム」ト六朋輩。仲間。 セひっそりとして。 あさまし どうれいどもみなあ おも いとにぎ あり ただいまみ ^ にぎやかで。↓一七八ハー注八。 思フニ、糸稔ハ、シクテ、有ツル所ニテ只今見ツル同僚共モ皆有リ。奇異クテ 九「ツル」は直前の過去を表し、 あなめづら ゅめ 一一たて ひとびといは おく あるじあ おば 今しがたいた山城 ( 科 ) の家の意。 奥ニ入タレバ、主モ有リ。「夢力」ト思エテロテ立レバ、人々ノ云ク、「穴珍シ。 一 0 ついさっき見てきたばかりの。 との ゐん まゐたまは 一ニたまひ みかはおもと 参河ノ御許ハ坐ケルハ。何ド久クハ参リ不給ザリツルゾ。ロ給ツル殿ニハ院ノ = 漢字表記を期した欠字。「ア キレ ( テ ) 」などが擬せられる。 との ふつかみか かむだうゆるされたまひ っげまう ひとやり 勘当被免給タレバ、我レニモ告申シニ人遣タリシカバ、『「此ノ二三日ハ、殿へ、三底不」とよめる。とすれば 「不給ツル」は衍字。他本にはこの いど いひあひ となりひとい ひ かへりきたり トテ不御ズ」ト隣ノ人ノ云ケル』トテ返来タレバ、何コニ坐ツルゾ」ナド云合四字なし。 一三「我ーを対象の代名詞に用いた けしき しかしか あはて をむないとあさましおそろ あり おばえ タレバ、女糸奇異ク怖シク思テ、有ノマ、ニ、「然々」トワナ、キ周タル気色やや珍しい例。あなた。↓三枩 おぢあひ わらものあり いへうちものどもあるじ 一四震えながらあわてふためいた ニテ云フヲ、家ノ内ノ者共、主ョリ始メテ恐合ケルニ、咲フ者モ有ケリ 様子で。 * ) ら ものおば いまな もの おば をむなわこおきき 女ハ我ガ子ヲ置テ来ヌルヲ、「今ハ無キ者ゾ」ト思エテ物モ不思エデ、「然バ一五もう死んでしまったろう。も 0 おはせ な おき つき いまし な わ ものそは なひさし と ) ろ をむなもろともいそぎしごにちなり ところ 0
こゑきこえ そこゑきき すよりみはべり とおろ わか′ ) 音ノ聞シカバ、其ノ音ヲ聞テ、樔ニ寄テ見侍シニ、若子ノ有テ泣シヲ、取リ下一四ロぎたなくののしる、悪口を 一四 言ってはやし立てる意。 のりた やしなたてはべをむなご さとのめのわらはべそれき ったへ 一五思考を途中で切った形。会話 シテ、其レヲ養ヒ立テ侍ル女子ナレバ、郷女童部モ其ヲ聞キ伝テ、此ク詈立テ 文なら途中で言いさした形という まうなり たぢまやどりうどこれき われ せんねんこ わし とられ 申ス也」ト云ヲ、此ノ但馬ノ宿人此ヲ聞クニ、「我コソ先年ニ子ヲバ鷲ニ被取ことになる。 一六その年月日。 いふき たぢま おもひいでおもめぐら それとしそれつきそれひ テ」ト思出テ思ヒ廻スニ、「其ノ年其ノ月其ノ日」ト云ヲ聞クニ、彼レ但馬ノ宅びたりと一致したので。「ツ フト」は擬態語で、びったり当て おも あたり とられとしつきひ わ 国ニシテ鷲ニ被取シ年月日ニッフト当タレバ、「我ガ子ニヤ有ラム」ト思ヒ出はまるさま、該当するさまの形容。 天「ヤ」の結びとして、「聞ュル」 きこ のち ものも いへあるじそ テ云ク、「然テ、其ノ子ノ祖ト云フ者ャ若シ聞ュレ」ト問へバ、家主、「其ノ後とありたいところ。あるいは「レ」 一九 は「ル」の誤記か。 さらし きこ こた やどりうどいはくそ ことはべ のたまとき ことはべらず 更ニ然カ聞ュル事不侍」ト答フレバ、宿人ノ云、「其ノ事ニ侍リ。此ク宣フ時一九まったく親に関する話は耳に はいりません。 とられことかたり はべる おもひいではべなり わしこ ニ 0 その件に関してでございます ニ思出侍ル也」トテ、鷲ニ子ヲ被取シ事ヲ語テ、「此レハ我ガ子ニコソ侍ナレ」 0 ゝ 0 をむなごみあは をむなごこやどりうどかたっゆたがひ いふ いへあるじいとあさまし 一ト云ニ、家主糸奇異クテ、女子ヲ見合スルニ、此ノ女子此ノ宿人ニ形チ露違タニ一引き合せると。 ところな 語 一三しかるべき因縁があって。 子ル所無ク似タリケル。 : においてはの意で、「ハ」に まことなり しん あはれ しかるべ ことかぎ ( り ) なしやどりうど いへあるじさ 馴家主、「然レバ実也ケリ」ト信ジテ、哀ガル事無限リ。宿人モ、可然クテ此近い意。 一西縁。 国き な ことかぎ ( り ) なし 一宝 ( 女の子を ) 手放した。 馬ニ来ニケル事ヲ云ヒ次ケテ、泣ク事無限リ。 ニ六現世にはからずも二人の父親 こと をし ことな ゆる きえんふか ゅ あ かなし いへあるじニ三か 於 家主ニ此ク機縁深クシテ行キ合へル事ヲ悲ムデ、惜ム事無クシテ許シテケを持ち、両家を親しく往来した女 の記事は巻二〇第一八話にもみえ ともおや まことおやことならずさ われまたとしごろやしなた ただ リ。但シ、「我モ亦年来養ヒ立ツレバ、実ノ祖ニ不異。然レバ、共ニ祖トシテる。 わし つづ おや ニ 0 と ありなき あ か