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検索対象: 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)
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1. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

紅梅 あぜちのだいなごん もいらっしゃれないようである。御子は、故北の方の御腹 〔こ按察大納言と真木そのころ、按察大納言と申しあげる ちじ に姫君がお二人だけおありだったので、物足りなくお思い 柱、その子たちのことのは、故致仕の太政大臣のご次男で、 えもんのかみ な になって、神仏にお祈りして今の北の方の御腹に男君が一 亡くなられた衛門督のすぐ下の弟君にあたるお方であるが、 幼いころから利発でいらっしやって、派手好みの気性のお人おできになっている。北の方には故兵部卿宮の御子とし て女君がお一方いらっしやる。大納言はこのお方のことも ありだった人で、年月とともにご昇進なさるにつれて、以 前にもまして、まことにこれでこそこの世に生れてきたか分け隔てせずに、どの姫君をも同じようにして親子の情愛 いがあると思われるくらいお暮しぶりも申し分なく、帝のを交していらっしやるが、それそれ姫君に仕える女房など ちょうあい は、そうきれい事ではすまされぬ気持を捨てきれないので、 ご寵愛もじつにたいしたものであった。北の方がお二人お もんちゃく ありであったが、もとからのお方はお亡くなりになって、 何やら悶着事も起ることが時たまあるけれども、北の方は、 今いらっしやるのは、後の太政大臣の御娘で、あの真木柱ほんとに気性の明るい当世風な人であるから、穏便に取り 梅 のもとを立ち去りにくくしていらっしやった姫君であるが、 さばいて、ご自分としてはつらいにちかいないよ , つなこと しきぶきようのみや ひょうぶきよう にもっとめて素直に耳を傾け、考えを改めるというふうに このお方は式部卿宮のもとで故兵部卿の親王にご縁づけ申 されたところ、親王がお亡くなりになってから、この大納なさるので、聞きづらい噂を立てられることもなく、はた 9 言がこっそりと忍んでは通っておられたのであるが、年月 目にも好ましいお暮しぶりなのであった。 がたってみると、そういつまでも世間に気がねばかりして こう みかど うわさ

2. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

て、何ごとも思しわかギ、りしほどながら、これをいと、い苦しと思ひて、北の方りこむ。ここは出家の意思を留保 したまま、姫君たちが美しく成長。 ひとこと 「ただ、この君をば形見に見たまひて、あはれと思せーとばかり、ただ一言な一三かっては北の方が、今は姫君 たちが、「うき世の慰めーとなる。 さき ん宮に聞こえおきたまひければ、前の世の契りもつらきをりふしなれど、さる一四中の君。 一五生れた折が折とて情けない。 べきにこそはありけめと、今はと見えしまでいとあはれと思ひてうしろめたげ中の君の、北の方の死を代償とし たかのような誕生をいう。 にのたまひしをと思し出でつつ、この君をしもいとかなしうしたてまつりたま一六以下、臨終の北の方の言動。 一九 宅中の君への憐憫。 かたち ふ。容貌なむまことにいとうつくしう、ゆゅしきまでものしたまひける。姫君一 ^ 「前の世の契り」を繰り返す気 持。北の方との死別を宿世とする。 けだか は、、いばせ静かによしある方にて、見る目もてなしも、気高く、いにくきさまぞ「ありけめ」まで八の宮の心中。 「と」は「のたまひしをと」の「と」と ともに、「思し出でつつ」にかかる。 したまへる、いたはしくやむごとなき筋はまさりて、いづれをも、さまざまに 一九中の君は。 ニ 0 大君。 思ひかしづききこえたまへど、かなはぬこと多く、年月にそへて宮の内ものさ ニ一いたわってあげたいような、 びしくのみなりまさる。さぶらひし人も、たづきなき心地するにえ忍びあへず、高貴な血筋という点では。「筋は まさりて」まで大君のこと。一説 めのと には中の君とするが、とらない。 次々に、従ひてまかで散りつつ、若君の御乳母も、さる騒ぎにはかばかしき人 姫 一三生活の不如意。困窮する一方。 え をしも選りあへたまはざりければ、ほどにつけたる心浅さにて、幼きほどを見ニ三以下、女房らの離散。「次々 に・ : つつ」と、一人減り二人減り。 一西北の方の死去をさす。 棄てたてまつりにければ、ただ宮そはぐくみたまふ。 げろう 一宝下﨟の乳母ゆえの浅慮から。 ニ六 ニ六かって信望あった親王だけに。 さすがに広くおもしろき宮の、池、山などのけしきばかり昔に変らでいとい としつき み れんびん

3. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

源氏物語 330 橋姫 お互いにまたとなく頼り合っていらっしやる。 〔一〕不遇の八の宮、北そのころ、世間からは忘れられてい の方とともに世を過すらっしやる古宮がおありであった。 〔ニ〕北の方逝去八の年月が過ぎていくにつれて、御子も 宮、姫君ニ人を養う 御母の里方なども高貴の家筋でいらっしやって、かっては おありでなく物足りなく不安なお気 うわさ 格別の地位につかれるはずとの噂などもおありだったのだ持になっておられたので、寂しく所在ない明け暮れの慰め が、時勢が変って、世間から冷たい扱いをお受けになるい 何とかかわいい子がはしいものだがと、宮はときおり おもかげ きさつがあって、それからはかえってまるで昔の俤もなく、 お思いになり、またそうもおっしやっておられたところ、 うしろみ 御後見といった方々も、それぞれの当てがはずれたのが恨 思いがけなくも女君のまことにかわいらしいお方がお生れ ひ めしく、めいめいの事情からお暇をいただき、身を退いて になった。これをかぎりなくいとしくお思いになって大事 いったので、この宮は、公私ともに頼る当てもなく、世間 にお育て申されるうちに、また引き続きご懐妊のご様子で、 からすっかり見捨てられたような有様でいらっしやる。 今度こそは男の子であってくれたらなどと願っておいでに 北の方も、昔の大臣の御娘であったが、しみじみと悲し なったのに、やはり同じ女の御子で、ご安産ではいらっし くい細く、親たちがお心づもりでいらっしやったことなど やったものの、北の方はほんとに重くわずらってお亡くな をお思い出しになるにつけても、ことのほかつらいお気持りになった。宮は、あまりのことと途方にくれていらっし になられることが多いけれども、ご夫婦仲の二つとない睦やる。 まじさばかりを、情けないこの世のせめてもの慰めとして、 宮は、「生き長らえているにつけても、まことに見苦し ひめ むつ

4. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

ちょうぐう らせたてまつりたまひつ。いと時めきたまふよし人々聞こゅ。かかる御まじら一大君が東宮から寵遇される由。 ニ後宮での他の妃たちとの交流。 うしろみ な ひの馴れたまはぬほどに、はかばかしき御後見なくてはいかがとて、北の方そ三真木柱。明石の女御に付き添 語 う紫の上に類似。↓藤裏葉 3 〔一 0 〕。 四真木柱が大君を。 物ひてさぶらひたまふは、まことに限りもなく思ひかしづき後見きこえたまふ。 0 大君の東宮入内には、亡き致仕 五 源 殿は、つれづれなる、い地して、西の御方は、ひとつにならの大臣の悲願を達成させるような、 〔三〕大納言、継娘の宮 父大納言の心づもりもこもる。旧 ひむがし の御方に関心を寄せる ひたまひて、いとさうざうしくながめたまふ。東の姫君も、頭中将一族の物語の趣をも呈する。 この按察はこのころ右大臣になっ とのごも よるよるひとところ うとうとしくかたみにもてなしたまはで、夜々は一所に御殿籠り、よろづの御たらしい ( 竹河八三ハー一一行 ) が、 この巻ではすべて「大納言」と呼ぶ。 事習ひ、はかなき御遊びわざをも、こなたを師のやうに思ひきこえてぞ誰も習五大君と真木柱がいないので。 六中の君はこれまで、大君とい っしょに過してきた。 ひ遊びたまひける、もの恥ちを、世の常ならずしたまひて、母北の方にだに、 セ宮の御方も。 さやかには、をさをささし向かひたてまつりたまはず、かたはなるまで、もて ^ 宮の御方は、人みしりを。以 下、三行後ーすぐれたまへり」まで むも あいぎゃう 宮の御方の人柄。 なしたまふものから、心ばへ、けはひの埋れたるさまならず、愛敬づきたまへ 九おかしなほど控え目。 ること、はた、人よりすぐれたまへり。かく内裏参りや何やとわが方ざまをの一 0 引っ込み思案の陰気な感じで なく。「もの恥ぢ」とは微妙な相違。 み思ひいそぐゃうなるも心苦しなど思して、大納言「さるべからむさまに思し定 = 実子にばかり奔走するような のも宮の御方や母北の方に気の毒。 めてのたまへ。同じこととこそは仕うまつらめ」と、母君にも聞こえたまひけ三あなた ( 母北の方 ) が、宮の御 方の縁談について。 れど、真木柱「さらにさやうの世づきたるさま思ひたつべきにもあらぬ気色なれ一三宮の御方を、実子と同様に。 ( 現代語訳一一九一ハー ) 六 けしき

5. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

503 各巻の系図 椎本 △葵の上 明石の君 △源氏 ( 六条院、故院 ) △致仕の大臣 朱雀院 明石の中宮 ( 后 ) 女一の宮 ( 今上の姫宮 ) コ上帝 ( 帝 ) . 匂宀呂 ( 三の宮、兵部卿宮、宮 ) 女三の宮 ( 入道の宮 ) 宰相中将、宰相の君、宰相、中将、 中納言の君、中納言殿、客人、君 △柏・不 ( 大納言 ) 藤大納言 タ霧 ( 右大殿、大臣、大殿 ) △大臣 △北の方 △左中弁 △柏木の乳母 八の宮 ( 宮、聖の宮、親王 ) 大君 ( 姫君、姉君 ) の丑 ( 君、中の宮 ) △北の亠刀 ( 母北の方、母君 ) ム廾 ( 老人、古人 ) 右大弁 侍従宰相 権中将 頭少将 蔵人兵衛佐 六の君 阿闍梨 宿直人

6. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

501 各巻の系図 △葵の上 八の宮ーー姫君 △致仕の大臣 △蛍兵部卿宮 もとの北の方 真木柱 ( 北の方 ) 藤中納言 △鬚黒爺次大臣、故大臣 玉鬘寧前尚侍の君、大上 芸居雁の方、北の飛人小ノ将位の君、宰相中将、中将、宰相 左大臣の娘 タ霧 ( 右臣、左の大臣 源少将 兵衛佐 女 ( 故宮 ) 左近中将 中将、中将の 君、右兵衛督 右中弁 藤侍従 侍従、侍従の 君、頭中将 君龕所 二の宮 フ宮 ( 男御子 ) 宰相の君 大輔の君 なれき 中将のおもと 中の君 若君、右の姫君、中の 姫君、内裏の君、尚侍 君

7. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

あぜちのだいなごん 巻名按察大納言が紅梅の枝に歌を添えて匂宮に奉り、紅梅をめぐっての両者のやりとりがなされることによる。地の文に、 「この東のつまに、軒近き紅梅のいとおもしろく匂ひたるを」、また大納言の言葉として「あなたのつまの紅梅いと盛りに 見えしを」などとある。 かしわぎ な 梗概按察大納言は、故致仕の大臣 ( 昔の頭中将 ) の次男で、柏木の弟である。亡くなった北の方との間には二人の姫君 まきばしら ( 大君、中の君 ) があったが、今は、故蛍兵部卿宮の北の方であった真木柱を北の方としており、その間の男子が一人 やしき ( 大夫の君 ) ある。真木柱には、蛍宮との間に生れた連れ子 ( 宮の御方 ) があり、この姫君も大納言の邸に住んでいた。 裳着をすませた三人の姫君たちへの求婚者たちは多かったが、大君を東宮妃として入内させた大納言は、中の君を匂宮 にと望んでいる。大納言は、継娘の宮の御方もわが子と同様に扱い、また関心を寄せもするが、控え目な性格の宮の御方 は、この継父に姿を見せようともしない。 大納言は、紅梅の花につけて匂宮に歌を贈り、宮の気をひこうとするが、匂宮は気乗りがしない。匂宮の惹かれている のは、蛍宮の遺児、宮の御方だったのである。匂宮は大夫の君を通してしきりに文を送るが、宮の御方はわが境涯に思い をいたし、結婚することもほとんどあきらめている。大納言の意中を知っている真木柱は、複雑な思いながら、宮の御方 うわさちゅうちょ を匂宮に許す気持もないではないが、その好色の噂に躊躇していた。宇治の八の宮の姫君にも、匂宮はご執心であるらし いのである。 〈薫二十四歳の春〉 ひ

8. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

499 各巻の系図 △桐壺院 朱雀院 明石の君 明石の中宮 △源氏 ( 故六条院、光る源氏 ) 八の宮ーーー姫君 △葵の上 △致仕の大臣 ( 故大臣 ) 今上帝 ( 内裏 ) ( 中宮 ) 三の宮 △蛍兵部卿宮 ( 故兵部卿の親王、故宮、父宮 ) 女君、 宮の御方東の姫 冷泉院 ( 院 ) 君、東 弘徽殿女御 ( 院の女御 ) 木柱切直母北の 式部卿宮ーもとの北の方 大夫の君 ( ( 男君、若君 ) △柏 , 不 ( 衛門督 ) 紅梅大納言 雲居雁 按察大納言、大納 ) 言殿、大納言の君 タ霧磊臥大臣 △北の方 . 匂宀呂 ( 兵部卿宮、宮 ) 董 ( ( 源中納言 ) 鬚黒太臥 ) 中の君 ( 西の御方 ) 大君 ( 右大殿の女御 ) 君 春宮の 春宮

9. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

びん く堪えがたいことの多い世の中であるけれど、後に残して憫がられて、「もつばらこの君を私の形見とごらんになっ 世をそむくこともならぬいとしい北の方のご容姿やお人柄て、おかわいがりくださいますよう」とばかり、ただその 一言を宮に申し残しておおきになったものだから、前世の に引きとめられ、それが妨げとなって、ともかくこれまで いんねん 一人あとにとり残されては、いよいよ因縁も恨めしい折にお生れになった姫君ではあるけれども、 過してきたのだが、 これも避けがたいめぐりあわせだったのであろうと、そし わびしく味気ないことになろう。幼い姫君たちを男手ひと てまた北の方がご臨終の間際までじっさいかわいそうに思 つで育てあげていくというのも、格式の定まった親王の身 って、いかにも気づかわしそうにおっしやったのだからと、 としてじっさいみつともなく、世間体もわるかろうし」と それをお思い出しになっては、この君をことさらおいつく お考えになって、出家の本意も遂げてしまいたいお気持に なるものの、世話を頼む人のないまま姫君たちをあとに残しみ申しあげていらっしやる。この中の君のお顔だちはま ことに愛らしくて、そら恐ろしいまでにお美しいお方なの しておくのがあれこれとひどくご心配なので、お迷いにな であった。姉の姫君は、ご気性がしとやかで深みのあるお りながら年月も過ぎていくうちに、姫君たちは、それぞれ しだいに大人になられるにつれて、その姿もお顔だちもか人柄で、見た目や物腰も気品高く奥ゆかしいご様子でいら わいらしく申し分のないご成長ぶりなので、宮はそれを朝っしやって、いじらしく高貴であられる点は、こちらのほ タのせめてものお慰めとして、いっとはなしに日々をお過うがまさっておられるので、宮はどちらをも分け隔てなく、 それぞれにたいせつにお育て申していらっしやるけれども、 しになっておられる。 姫 思うにまかせぬことも多く、年月のたつにつれてお邸の内 あとからお生れになった姫君のことを、おそばにお仕え はしだいに寂しくなってゆくばかりである。お仕えしてい している人々も、「さてさて、忌まわしい折にお生れにな しんばう 橋 た人々も、頼りがいのない気持になっていつまでも辛抱し って」などとぶつぶつ言ったりして、身をいれてお世話申 1 しあげるでもなかったが、北の方が臨終の際に、すでに正てはいられす、次々にお暇をいただいては散っていって、 めのと 気も失せていらっしやった折ながらも、ほんとにこれを不若君の御乳母も、あのご逝去の騒ぎからしつかりした人を やしき

10. 完訳日本の古典 第21巻 源氏物語(八)

91 橋姫 一新たな物語の開始を告げる常 套表現。前三帖とほば同時期。 ニ権勢社会から放逐された古宮。 橋姫 「古宮」は落魄のイメージ。後文か ら、桐壺帝第八皇子と知られる。 三古宮の母の家系。大臣家出身 かず ふるみや そのころ、世に数まへられたまはぬ古宮おはしけり。母方の女御らしい。母の出自のよさか 〔一〕不遇の八の宮、北 ら重視されて当然の親王だった。 の方とともに世を過す 四皇太子となり即位するにふさ などもやむごとなくものしたまひて、筋ことなるべきおば わしい親王と、世間から噂された。 五時勢の変化で、世間から冷遇 えなどおはしけるを、時移りて、世の中にはしたなめられたまひける紛れに、 され、顔向けできぬ事態となった。 六 七うしろみ なかなかいとなごりなく、御後見などももの恨めしき、い々にて、かたがたにつ政変の犠牲者となったが、その詳 細は後続〔四〕に語られる。 おほやけわたくしょ けて世を背き去りつつ、公私に拠りどころなくさし放たれたまへるやうなり。六予想された幸運とは逆に。 セこの宮の支援者たちの、権勢 おば 北の方も、昔の大臣の御むすめなりける、あはれに、い細く、親たちの思しお確保への期待が外れた恨み。 〈官界からの引退や、出家遁世。 ちぎ きてたりしさまなど思ひ出でたまふにたとしへなきこと多かれど、深き御契り政治的敗北は復帰が困難とされる。 九親王の立場を支援されず、個 の二つなきばかりをうき世の慰めにて、かたみにまたなく頼みかはしたまへり。人的な親交もなく、孤立無援。 一 0 親王の北の方も権勢家。 = 親密な夫婦仲だけが支え。 年ごろ経るに、御子ものしたまはで心もとなかりければ、 〔ニ〕北の方逝去八の 三年月の経過とともに、睦まじ 宮、姫君ニ人を養う レしカてをかしからん児い夫婦仲だけでは満足できない。 さうざうしくつれづれなる慰めこ、、ゝ。 一三あきらめかけていた、わが子 もがなと、宮そ時々思しのたまひけるに、めづらしく女君のいとうつくしげなの誕生を喜ぶ。長女、大君が誕生。 ふ ははかた うわ寺一