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検索対象: 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草
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1. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

じようむじんゅうすい 浄無塵の幽邃の境内が静まりかえっていた。 【メモ】 ・交通 神田秀夫 吉田神社へ ・ハスⅡ市営・ハス 簗瀬一雄氏が精魂を傾けて編纂し、基礎資料として提供 京都駅 ( 市内循環 ) ー東一条分 ( 徒歩分 ) ・味 された『校注鴨長明全集』は、その補訂版が風間書房から 順正 ( 南襌寺門前 0 七五ー七六一ー一三一 l) 湯豆腐 ( 六千円、一一 うんすい 写真版で出てからでさえ既に三十年になろうとしている。 万円 ) 、ほかに湯豆腐と会席料理をセットにした雲水料理 今は昔の話だが、私などは、この『全集』で勉強したもの もある。午前十一時、午後八時。定休日は特になし。 六盛 ( 平安神宮西横 0 ー一ー六一七 l) 手桶弁当 ( 二千一一である。全作品が見渡せるから、この本を座右に置くと、 百円、五千円 ) が有名。会席料理のコースもある ( 七千五次第に長明という作者の像が脳裡に結べるように、自然に、 ちょうう 百円、一万円 ) 。午前十一時三十分、午後八時三十分。月 なるのである。まことに学恩浅からず。重宝とは、こうい 曜定休。 菊水 ( 南禅寺門前 0 ー圭一ー (1) 会席料理が専門。昼う本のことだろう。 は一万円、夜は一万一一千円から。午前十一時三十分、午後 なかで最も楽しかったのは「無名抄」だった。というの たれかれ 二時三十分まで″京の味″ ( 三千八百円 ) という、手ごろ は、ここに姿を見せる歌林苑の誰彼は、俊恵法師をはじめ な昼食がある。定休日なし。 として、歌の道を楽しんでいる。すくなくとも楽しんでい 哲学の道には、思わず立ち寄りたくなるような、しゃれた 喫茶店がたくさんあり、中でも若王子 ( 0 ー七七一ー契 = 0 ) るように見える。それが、うつって来て、読者である私を はヨーロッパ風のゆったりとした造りで、若者に人気が高も楽しくしてくれたからである。 定家を中心とする人々は、いわば歌壇の前衛である。斬 新な歌風を打ちたてようとしている先端である。だから功 じゅんせい ( 随筆家 ) 「無名抄」のこと

2. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

よろづとが 一過失。欠点。 万の咎あらじと思はば、何事にもまことありて、人を分かず、うやうやしく、 ニ「こと」は言葉。言葉づかいの なんによらうせう すくな 言葉少からんにはしかじ。男女・老少、皆さる人こそよけれども、ことに、若端正なのは、の意。 三心が引きつけられるの意。 草 四ものなれた様子。 くかたちよき人の、ことうるはしきは、忘れがたく、思ひっかるるものなり。 然 四 五上手らしくふるまい。 ところえ よろづとが 徒万の咎は、馴れたるさまに上手めき、所得たるけしきして、人をないがしろ一よい場所をえたという、得意 な様子。 七あなどり軽んずる。 にするにあり。 八必ずしも知らないでもあるま いの意。 九ばからしいと思うのであろう 第二三四段 、カ 一 0 はれやかに。はっきりと。 人のものを問ひたるに、知らずしもあらじ、ありのままに言はんはをこがま = おだやかに。穏当に。 一ニ「な」は完了の助動詞「ぬ」の未 まど かへりごと しとにや、心惑はすやうに返事したる、よからぬ事なり。知りたる事も、なほ然形。「まし」は推量の助動詞。仮 定の事実を強く表現する語。きっ さだかにと思ひてや問ふらん。又、まことに知らぬ人もなどかなからん。うらと : ・してしまうだろうに、の意。 一三「おり返し」の強意表現。 きこ 一四気にくわぬ、不愉快な、の意。 らかに言ひ聞かせたらんは、おとなしく聞えなまし。 一五むき。方面。 人はいまだ聞き及ばぬ事を、わが知りたるままに、「さてもその人の事あさ◆「若き人は、少しの事も : ・」 ( 二 三二段 ) 、「ことに、若くかたちょ いか ましさ」などばかり言ひやりたれば、「如何なることのあるにか」と、おし返しき人の : ・」 ( 二三三段 ) 、「かやうの 事は、もの馴れぬ人のある事な 問ひにやるこそ、心づきなけれ。世に古りぬる事をも、おのづから聞きもらすり」 ( 二三四段 ) 以下、このあたり なにごと ふ わ

3. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

徒然草 120 一 ( ロぎたなく ) 争い。 いさかひ、腹立ちて帰りにけり。 ニうとましい。おもしろくない。 きよう ◆以上で、仁和寺圏の説話は三段 あまりに興あらんとする事は、必ずあいなきものなり。 連続する。後の二段はいずれも、 ことごとしい作為の失敗談であり、 自然の行為をよしとする作者の思 第五五段 想は、ここでも貫かれる。 三中心。主要なもの。 ころ 家の作りゃうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑き比わ四邸内に引き人れた流れ水。 五左右に引き違えて開閉する戸。 すまゐ ろき住居は、堪へがたき事なり。深き水は涼しげなし。浅くてながれたる、遥六格子組みの裏に板を張った二 枚戸。上部の戸を金具で釣り上げ しとみま あか やりど てんじゃう かにすずし。こまかなる物を見るに、遣戸は蔀の間よりも明し。天井の高きは、て光を人れるが、下部は立てたま まにするので、蔀の部屋は薄暗い。 ざうさく よろづ 冬寒く、灯暗し。造作は、用なき所をつくりたる、見るも面白く、万の用にセ建物。建築。 ◆「用なき所をつくり」おけば、か えって「万の用にも立ちてよし」と も立ちてよしとぞ、人の定めあひ侍りし。 するのは達見である。兼好の、い わゆる「合理」を超える思想は、こ かいま こにも垣間見られよう。 第五六段 八月日を間において。 九何となく気がおける意。 久しく隔りて逢ひたる人の、我が方にありつる事、かずかずに残りなく語り一 0 「か」は反語。「は」は強意の助 詞。・ : ないことがあろうかの意。 つづくるこそ、あいなけれ。隔てなくなれぬる人も、ほどへて見るは、はづか一一教養や品格が、「よき人」にく らべて一段劣っている人。 けふ しからぬかは。つぎさまの人は、あからさまに立ち出でても、今日ありつる事一 = ついちょっと。かりそめに。 ともしび へだた はらた た あ わかた はる

4. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

なら ど、かく言ふ人、一芸も習ひうることなし。いまだ堅固かたほなるより、上手一いっこうに。まるで。 かた 四 ニ「真秀」 ( 完全 ) に対する「片秀」。 たしな そしわら の中にまじりて、毀り笑はるるにも恥ぢず、つれなく過ぎて嗜む人、天性その不完全、未熟なこと。 三平然と押しとおして。 かんのうたしな こっ 四心がける。稽古する。 骨なけれども、道になづまず、みだりにせずして年を送れば、堪能の嗜まざる 然 五天分。器量。 ならび 徒よりは、終に上手の位にいたり、徳たけ、人に許されて、双なき名をうる事な六稽古の道に停開せず。 七「濫りに」。勝手気ままに。 ハ深くその道に通じ巧みなこと。 九芸位。地位。 」ニげかきん 天下のものの上手といへども、始めは不堪の聞えもあり、無下の瑕瑾もあり一 0 「徳」は徳望、人徳。「たけ」は 一四 「闌け」。長ずる、十分になるの意。 はうらっ ←←てただ き。されども、その人、道の掟正しく、これを重くして放埒せざれば、世の博 = 堪能の反対。芸の下手なこと。 一ニひどいきず、欠点。 一三規則。規律。 士にて、万人の師となる事、諸道かはるべからず。 一 0 新手なふるまい。 一五「節博士」 ( 謡物の文章に、墨 で示した節づけの符号 ) で、規準 第一五一段 ・模範。ここは ( 一世の ) 権威の意。 ◆後に能の世阿弥によって完成さ あるひとい れた中世芸能への道が、早くも意 或人の云はく、年五十になるまで上手にいたらざらん芸をば捨つべきなり。 識されているといえようか まじは ゆくすゑ 励み習ふべき行末もなし。老人の事をば、人もえ笑はず。衆に交りたるも、あ = 〈うとましく。いやな感じで。 一七見た目に安らかで。体裁よく。 いとま おかたよろづ いなく、見ぐるし。大方、万のしわざはやめて、暇あるこそ、めやすく、あら入もっとも愚かな人。 一九「おぼっかなし」は、はっきり しない意。ひととおりはわかった まほしけれ。世俗の事に携はりて、生涯を暮らすは、下愚の人なり。ゆかしく はげ てんか 0 ばんにんし 、ミひ たづさ しゃうがいく かん てんせい はか みだ

5. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

ふものかは。逢はでやみにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜をひ一はかない男女の約束、交わり。 四 ニ恨み嘆き。愚痴をこぼしの意。 三くもゐ あさぢやど 三雲のある、はるかかなたに住 とりあかし、遠き雲井を思ひやり、浅茅が宿に昔をしのぶこそ、色好むとは言 んでいる恋人を、の意。 草 はめ。 0 浅茅 ( まばらに生えた ) の 然 はえている荒れた住居。 ちさとか もちづき 徒望月のくまなきを千里の外までながめたるよりも、暁近くなりて待ち出でた = 恋の情趣を解するの意。 六「三五夜中ノ新月ノ色二千 ま こころふか るが、いと心深う、青みたるやうにて、深き山の杉の梢に見えたる、木の間の里ノ外ノ故人ノ心」 ( 白氏文集 ) 。 セ待ちに待って出てきた月が。 むらくも かげ八 しひしばしらかし しぐれ 影、うちしぐれたる村雲がくれのほど、またなくあはれなり。椎柴・白樫など ^ さっと時雨る一群の雲に、か くれている月の様子。 の濡れたるやうなる葉の上にきらめきたるこそ、身にしみて、心あらん友もが九群生している椎の木。 一 0 椎も白樫も、つややかな光沢 のある常緑の葉をつけている。 なと、都恋しう覚ゆれ。 = 情趣を解する友がいてほしい。 一ニ寝間。寝室。 すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。春は家を立ち去らでも、 一三頼みがいがあり ( 想像のたの 月の夜は閨のうちながらも思へるこそ、いとたのもしう、をかしけれ。よき人しみもあり ) 、おもしろい。 一五 一四むやみに情趣を愛好する様子。 なほざり かたゐなか は、ひとへに好けるさまにも見えず、興ずるさまも等閑なり。片田舎の人こそ、一五ほどほどで、あっさりしてい もと よろづ 色こく万はもて興ずれ。花の本には、ねぢ寄り立ち寄り、あからめもせずまも一六しつつこく。あくどく。 宅身をくねらせて側へ立ち寄り。 りて、酒飲み連歌して、はては、大きなる枝、心なく折り取りぬ。泉には手 I< わき目もせず見守って。 一九当時、花の下で酒をのみ、賭 ひた ニ 0 もの 足さし浸して、雪にはおり立ちて跡つけなど、万の物、よそながら見ること物して連歌するのが流行していた。 一四 ねや す 一七 ちぎ 五 こ る。 かけ

6. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

けいるい 一係累なく独り身であること。 世を捨てたる人の、万にするすみなるが、なべてほだし多かる人の、万にヘ ニ肉親など、自由を束縛する係 ひがこと むげ三 つらひ、望み深きを見て、無下に思ひくたすは僻事なり。その人の心になりて累。「なべて」は、おしなべて。 三心にくさす。軽蔑する。 草 さいし 四いとしい。かわいい。 思へば、誠に、かなしからん親のため、妻子のためには、恥をも忘れ、盗みも 然 五捕縛。しばること。 ひがこと 徒しつべき事なり。されば、盗人をいましめ、僻事をのみ罪せんよりは、世の人六政治は行ってほしいの意。 こうしん セ「恒産ナクシテ恒心アルハ、 ~ ねさん おこな の饑ゑず、寒からぬゃうに、世をば行はまほしきなり。人、恒の産なきときは、タダ士ノミョクストナス。民ノゴ トキハ、則チ恒産ナケレ・ハ因ッテ をさま とカ にうへき いやしく つねこころ 恒の心なし。人、きはまりて盗みす。世治らずして、凍餒の苦しみあらば、咎恒心ナシ。苟モ恒心ナケレ・ ( 放辟 じゃし 邪侈、為サザルナキノミ。罪ニ陥 の者絶ゅべからず。人を苦しめ、法を犯さしめて、それを罪なはん事、不便のルニ及ビテ、然ル後ニ、従ヒテコ レヲ刑セハ コレ民ヲ罔スルナ りよう リ」 ( 孟子・梁恵王章句上 ) による。 わざなり。 つか 八「獣窮スレ・ハ則チ攫ミ、人窮 な いつは さて、いかがして人を恵むべきとならば、上の奢り費す所をやめ、民を撫でスレ・ハ則チ詐リ : ・」 ( 孔子家語・顔 回 ) 等による。 よのつね 農を勧めば、下に利あらん事、疑ひあるべからず。衣食尋常なるうへに、僻事九凍え飢えること。 一 0 罪を犯すもの。罪人。 = 罰すること。 せん人をぞ、まことの盗人とはいふべき。 一ニ愛撫して。 しよくすす 一三「穡ヲ勧メ農ヲ務ムレ・ハ、則 しやとど わづらふさ チ飢寒ノ患ヒ塞ガリ、奢ヲ遏メ麗 第一四三段 ヲ禁ズレ・ハ、則チ豊厚ノ利興ル」 一四 ( 帝範・務農 ) 等の撫民勧農思想。 じゅうえんありさま 人の終焉の有様のいみじかりし事など、人の語るを聞くに、ただ、閑にして一四臨終。 まこと四 しも ぬすびと ぬすびと五 をか かみおごっひや とうたい み しづか ふびん っと

7. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

やまひ 病は酒よりこそおこれ。憂忘るといへど、酔ひたる人ぞ、過ぎにし憂さをも思薬ノ長」 ( 漢書・食貨志 ) による。 一 = 「何ヲ以テカ憂ヲ忘レム、タ ちゑ ぜんこん こがふ ひ出でて泣くめる。後の世は、人の智恵をうしなひ、善根を焼くこと火のごとダ杜康 ( 酒の異名 ) 有リ」 ( 古楽府 ) 。 また陶淵明なども、酒を「忘憂物」 ま くして、悪を増し、万の戒を破りて、地獄におつべし。「酒を取りて人に飲まと呼んでいる。 しんい 一三「 : ・瞋恚毒害ノ火ヲ以テ智恵 ごひやくしゃうあひだ らいさんイ ふんせう 慈善ノ根ヲ焚焼ス」 ( 往生礼讃偈 ) 。 せたる人、五百生が間、手なき者に生る」とこそ、仏は説き給ふなれ。 ニ三仏徒として守るべきおきて。 わた かくうとましと思ふものなれど、おのづから捨てがたき折もあるべし。月の品「若シ自身手ヅカラ酒器ヲ過 シテ、人ニ与へテ酒ヲ飲マシムレ よ もと のどか さかづきいだ をんもうきよう 、五百世手無力ラン」 ( 梵網経 ) 。 夜、雪の朝、花の本にても、心長閑に物語して盃出したる、万の興をそふる 「五百世 ( 生 ) 」は、五百回も生れか か わる間 ( いつまでも ) の意。 わざなり。つれづれなる日、思ひの外に友の人りきて、とりおこなひたるも、 ニ五「執り行ふ」。酒宴を催すこと みすうち おんくだものみき 心なぐ = む。な《な《」〈 00 あたり 0 御簾 0 中 = り御果物・御酒など、 = き = 0 0 」〈【《」 000 「一 ニ九 毛ここは広く酒のさかなをいう せば ゃうなる気はひしてさし出されたる、いとよし。冬、狭き所にて、火にて物煎 ll< いかにも上品な様子で。 ニ九「煎る」は、水気のあるものを へだ むか かりや りなどして、隔てなきどちさし向ひて、多く飲みたる、いとをかし。旅の仮屋、煮つめること。じりじりと煮る意。 三 0 わけ隔てのない親しい者同士。 のやま みさかな しば みさかな あはびさだを 段野山などにて、「御肴何がな」など言ひて、芝の上にて飲みたるもをかし。い 三一「御肴に何よけむ、鮑栄螺か さいばらわいえ 石陰子よけむ」 ( 催馬楽・我家 ) で、 たういたむ人の、強ひられて少し飲みたるも、いとよし。よき人の、とりわき酒の肴に何かほしいなあ、の意。 いた 第 三ニ「痛む」。迷惑がる意。 うへすくな て、「今ひとつ、上少し」など、のたまはせたるもうれし。近づかまほしき人 = = 杯の酒があまり〈っていない。 三四 三四酒をよく飲む人。「下戸」の対。 じゃうご な 三五びったり。すっかり。 の、上戸にてひしひしと馴れぬる、又うれし。 あした し うれへ いだ かい

8. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

第一三六段後鳥羽院の御時・ 第一三七段六時礼讃は・ 第二二八段千本の釈迦念仏は : 第二二九段よき細工は : 第二三〇段五条内裏には 第二三一段園の別当人道は・ 第二三二段すべて人は : 第二三三段万の咎あらじと思はば : 第二三四段人のものを問ひたるに : 校訂付記 解説・ 付録 兼好関係略年譜 参考系図・ 参考地図 : 図録・ : ・三吾一第二三五段主ある家には・ : ・一盍四第二三六段丹波に出雲と言ふ所あり : ・三五四第二三七段柳筥に据ゆるものは : ・ : 三五四第二三八段御随身近友が自讃とて・ ・ : 三五四第二三九段八月十五日、九月十一二日は・ : ・一盍四第二四〇段しのぶの浦の蜑の見るめも・ : 亠一第二四一段望月のまどかなる事は・ : ・三五六第二四二段とこしなへに違順に・ ・ : 三五六第二四三段八になりし年・ : 三五三 : ・ : 三九 0 ・ : 六 ・ : 三五七 ・ : 三五七 ・ : 三五八 ・ : 三六 0

9. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

改元の月日は原則として省略した。 長明略年譜 記年号西腐宮廷関係事項 武家関係事項 丈 久寿一一一一五五〇近衛崩御、後白河即位。 方 保元元一一五六 0 鳥羽法皇崩御。 一一五八 9 一条即位、後白河院政。 平治元一一五九 永暦元一一六〇 応保元一 長寛一一一一六四〇崇徳上自讚岐に薨。 永万元一一六五〇二条崩御、六条即位。 仁安一一一一六七 一一六八〇高倉即位。 嘉応一兀一一六九〇後白河出家 ( 法皇 ) 。 一一七〇 承安元一一七一 安元元一一七五 一一七七 0 八月四日「治承」と改元。 治承三一一七九 〇保元の乱起る。 〇平治の乱起る。〇藤原通憲・信頼〇藤原清輔、『袋草紙』を奏覧。 殺さる。 〇源頼朝伊豆に流さる。 0 平清盛、三十三間堂を造進。 0 平清盛太政大臣となる。 〇平清盛出家。 〇藤原秀衡、鎮守府将軍となる。 0 平徳子 ( 清盛の女 ) 入内。 〇平清盛、兵庫島を築く。 〇平重盛没 ( 四十一 l) 。 0 清盛、後 〇長明、中宮 ( 妹子内親王 ) 叙爵により、従五 位下に叙せらる。 〇後白河撰『梁塵秘抄』成るか。 〇『今鏡』成るか。 〇この春以前、長明、父を喪う。 0 源空 ( 法然 ) 、浄土宗を開くことを決意。 0 京、大火 ( 『方丈記』 ) 。〇鹿ヶ谷陰謀事件。 0 藤原清輔没 ( 七十四 ) 。 鴨長明関係事項 〇鴨長明生る。父長継は賀茂御祖神社 ( 下鴨 ) の神職。長明は次男だが、父は十七歳。

10. 完訳日本の古典 第37巻 方丈記 徒然草

あたりもあれば、覚束なからぬゃうに告げやりたらん、あしかるべきことかは。の文章には、若手の貴族子弟の教 養のために、といった発想がうか な がわれよう。『徒然草』が、近世以 かやうの事は、もの馴れぬ人のある事なり。 来とりわけ教訓の書として受けと られがちであったのも、よかれあ しかれ兼好のこうした発想にもよ 第二三五段 るのかもしれず、理由のないこと ではなかったと思われる。 あるじ ぬし 一六何の関係もない、用もない人。 主ある家には、すずろなる人、心のままに人り来る事なし。主なき所には、 一九 一七このあたりの表現は、「もと ところえがほ みちゅびと 一七ふくろふ 道行き人みだりに立ち人り、狐・梟ゃうの物も、人気にせかれねば、所得顔により荒れたりし宮の内、いとど狐 ニ 0 の住み処になりて、疎ましうけ遠 こたま す - き木立に、梟の声を朝夕に耳馴ら 入り棲み、木霊など言ふけしからぬかたちも、あらはるるものなり。 しつつ、人げにこそさやうのもの ゅゑ よろづかげきた 又、鏡には色・かたちなき故に、万の影来りてうつる。鏡に色・かたちあらもせかれて影隠しけれ、木霊など、 けしからぬ物ども、所を得てやう ゃう形をあらはし」 ( 源氏・蓬生 ) な ましかば、うつらざらまし。 どをふまえていようか。 こくう きたうか われら ねんねん 段虚空よく物をいる。我等が心に念々のほしきままに来り浮ぶも、心といふも一〈人のけはい。「せく」は妨げる。 一九わがもの顔に。 そこばく ぬし 第ののなきにゃあらん。心に主あらましかば、胸のうちに、若干のことは人り来 = 0 樹木の精霊。 ニ一怪しい姿。奇怪な形。 段 一三映像。 たらざらまし。 第 ニ三もし・ : だったら・ : だろうの意。 い 間。「いる」は「容る」。 品空。空 ニ五種々の念、思い。 第二三六段 ワ〕 あまた ニ六多くの。数多の。 ニ四 おぼっか い こと