侍る - みる会図書館


検索対象: 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男
355件見つかりました。

1. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

男 代もの 色 きるもの かふりよく だんな り・着物をも合力して、たのもしき事あり。っとめも旦那ばかりにはその事も一身をまかせること。 ニ取り締る。 せいたう やかた たび ゆるして、外はかたく政道して、その屋形にも出入りして、月に四五度は我が三寛文十年 ( 一六七 0 ) 十二月に香具 売りの武家屋敷回りを禁ずる法令 が出ている。 物につれて帰る事そかし。近年おほくはすたりて已来は、寺方に抱へ侍る」。 四散切り。結髪しないなでつけ こものふびん この沙汰も捨難く、庵には葛西の長八といへる小者を不便がり、香具には池髪。 五諺「焼けばっくし 、には火がっ はた くろもんせいぎう にちゃ 四 の端の万吉、黒門の清蔵、この三人に日夜乱れて、いっとなくざん切りになできやすい」とも。 0 ついに勘当されて坊主にされて ころもざふきん ふぐじる はくがんどう もえくひ つけ、衣は雑巾となり、台所には白雁の胴がら、鰡汁の跡、焼杭に火とはこのも、なお美少年をかわいがるとこ ろが世之介である。 人の昔にかへる。 六「配所の月、罪なくて見ん事、 さも覚えぬべし」 ( 徒然草・五段 ) の 、も一ド ) . り・ セ勘当することを「久離を切る」 といった。 裏屋も住み所 ^ 「法師ばかり羨ましからぬも のはあらじ。人には木の端のやう に思はるるよ、と清少納言が書け 配所の月久離きられずして二人みる物かは、とうつくしき女の書きつるも、 るも・ : 」 ( 徒然草・初段 ) ゅふべあらし をぎ この身になりて、それはさうよ、と思はるる。タの嵐、軒やかましき荻のとも九意味もなく、仏前に絶やさず 香を供えていたが。 と、つふ、つり まれ しゃうじんばら ものさび ずれ、あしたの豆腐売さへ稀に、なほ精進腹のどこやら物淋しく、人には恋し一 0 諺。まだ手の打ちょうのある うちに行動せよ、との意。 むふんべつじゃうかう つひ らずのやうに思はれ、無分別の常香をもり、終にはきゅる命、ここはと庵を捨 = 上野忍が岡に向う本郷の高台。 六 さたすてがた きうり ほか このかた かかはべ ぎ かうぐ

2. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

もちのりみみかきニゃうじ あふぎかなめめくぎだけ れば、扇の要、目釘竹、針、きぬの糸、餅粘、耳掻、うち歯枝、七色ありて代一餅をつぶして練った糊。 ニ端を打ち砕いて房のようにし 三文。「なんとこれは人のうれしがる物ーといふ。返事もせず、あきれて連れた楊枝。房楊枝。 代てもどる。 のち 三手をさし伸ばして。 好その後約束日参りて、太夫様にあひて酒おもしろうまはる時、十蔵手をさし えり おさ うちこば て、「むらさき様お一つまゐれ」とあらく押へて、襟から膝くだり打飜し、た四ひどく当惑した顔つき。 ぎゃうずい んときのどくがる顔つき笑し。太夫、「くるしからぬ」と座を立って、「行水と いしゃうつき はだしろりんず ゅどの れ」とて湯殿に入り、さいぜんの衣装付少しも替らず、肌は白綸子、中は紅鹿 かみがたぢよらう あさぎはちぢゃうはったんがけ の子のひっかへし、上は浅黄八丈の八端懸召しかへられける。又上方女郎の五裾回しに表と同じ布帛を用い たもの。 きるものそろ あいいろ せぬ事なり。同じ着物揃へてありし事このもし。初めてはどれとても寝道具も六薄い藍色の八丈絹は、八丈島 産の平織絹布。島の植物染料で染 出ず。太夫寝ころびて十蔵を呼びて、しみみ、とかたり懸け、帯ときてとかせめた縞織物。八端掛は、一反の値 つむ が並の紬の八反の値に相当するか すずり らの称という。 て心よく物して、初めて首尾のしるしにと硯取りよせ、「十蔵様に身まかせ候、 七「江戸 ( 吉原 ) は頭から寝道具 つひ はしがき 何か偽あるべし」と、下帯に端書して、むらさき筆と留めて、わたし侍る。終を出さねば、いっそ思ひねんきれ て、後生大事とふんどしをしめ」 にかやうの事なし。宇兵衛不思議におもひ、宿に帰りてかたる。世之介かさね ( 諸艶大鑑・一の二 ) 。 〈身をまかせて。情交して。 つか 九はっきりと。 て尋ねければ、「やうす見るに、すこしたらぬ人を賭にして遣はしけると、さ まゐ ひと をか しゅび ふでと ひぎ はべ もみが すそ ふさ ふはく のり

3. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

好色代男 44 おりちゅうはば すずしひとえ 一生絹の単衣。↓六七ハー注八。 く、水色のきぬ帷子にとも糸にさいはひ菱をかすかに縫はせ、あっち織の中幅 四 ニ「あっち」は「あち」の促音便。 ふきかけてめぐひめりがさ ただびと 前にむすび、今はやる吹懸手拭、塗笠のうち只人ともみえず。すゑみ、の女ま外国の意。舶来の織物。 三中幅帯。普通、一尺二寸 ( 約 いしうす 一でも、水くみ、石臼を引きたるつまはづれにはあらず。きざはしゆたかにあが 六 ) 前後の布幅という。それ を二つ折りにして締める。 六 くみどたちそ り、腰元などにここにてつくりし物語をあらましきかせ、組戸に立添ひ、何お四笠の下に手拭を吹きなびかす よ , つにかぶること。 もふもしらず、鬮をとって、「三度まで三はうらみに存じまする」といふを脇 = 手足の先の意から転じて、身 のこなし、動作の意。 がほ 顔より見れば、惜しむべき黒髪をきりてありける。さてこそうるはしき後家、 六石山寺本堂の東南の間を「源 氏の間」と称し、紫式部が『源氏物 そで あは かりにこの世にあらはるるかと、おもへば、思はるる目つきして、袖すり合せ語』須磨・明石巻を書いたという。 セ観音鬮の三番は凶。 はべ て通り侍る。 ^ 「紫式部と申すは、かの石山 の観世音、仮に此世にあらはれて、 みづか かかる源氏の物語」 ( 謡曲・源氏供 かの女、人までもなく自らよびかへして、「今の事とよ。お腰の物の柄に懸 養 ) 。 おん けられ、我がうすぎぬのあらく裂きたまふこそ、さりとはにくき御しかた、ま九大津市松本。当時は大津の東 南端。 ぜひノ、 一 0 近づきになる手段に。 なくもとのごとくに」と申す程に、いろ / 、わびても聞きいれず、「是非々々 = 古くは『伊勢物語』七十一段の 「恋しくは来ても見よかしちはや むかしの絹を」とさいそく、めいわくして、「都へととのヘに遣はし申すべし。 ぶる神のいさむる道ならなくに」、 しのだろま また、信太妻で知られる「恋しく こなたへ」と申しふくめ、本といふ里にきて、ひそかなるかり家に入れば、 ば尋ね来て見よ和泉なるしのだの 森のうらみ葛の葉」などによる。 かの女、「はづかしながら、たよるべきたよりに、我と袖を裂きまゐらせ候」 ひと かたびら びし つか つか わき

4. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

つく所もあり。脇顔うつくしく、鼻すぢも指し通って、気の毒はその穴、くろ一「黒うても堪忍してみる物、 翁の面、朝妻が鼻の穴」 ( 好色盛衰 きやしゃ すす き事煤はきの手伝ひかとおもはる。されども花車がっておとなしく、すこしす記・三の一 ) 。 ニ上品ぶって。 男 三「するどに」のなまりという解 代んどにみゆる時もあり。いづれか太夫にしていやとはいはじ。 釈に従いたし 色 おんけいせい たぐひ ゃないはんじゃうかみよ 好朔日より晦日までの勤め、屋内繁昌の神代このかた、又類なき御傾城の鏡、四福の神と神代をかけた。 五亀鑑。手本。鏡・姿をみるは ぢがほすあしじんじゃう六 ゅ 姿をみるまでもなし、髪を結ふまでもなし、地顔素足の尋常、はづれゆたかに縁語。 六爪はずれ。手足の指。 かっかう オセ肉づきがよく。 ほそく、なり恰好しとやかに、ししのって眼ざしぬからず、物ごしよく、は。こ ^ 音声。 とこじゃうず へ雪をあらそひ、床上手にして、名誉の好にて、命をとる所あって、あかず酒 さみせん うた 飲みて、歌に声よく、琴の弾手、三味線は得もの、一座のこなし、文づらけ高九文章は品がよくて。 ながぶん く長文の書きて、物をもらはず、物を惜しまず、情ふかくて手くだの名人、一 0 手管。恋の駆引。 ゅふぎり いちど 「これは誰が事」と申せば、五人一度に、「タ霧より外に、日本広しと申せども、 = 新町の太夫。 * そろ つれも情にあづかりし過ぎにし事ど この君 / 、」と、ロを揃へて誉めける。い。 も語るに、あるは命を捨つる程になれば、道理を詰めて遠ざかり、名の立ちか れうけん かれば了簡してやめさせ、つのれば義理をつめて見ばなし、身おもふ人には世三よく話し合って廓通いをやめ させ。 うをや がてん いけん の事を異見し、女房のある男にはうらむべき程を合点させ、魚屋の長兵衛にも一三体面を重んずる人には。 ついたち っ′ ) もり わきがほ ひきて すき まなこ み 五 だか

5. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

23 巻 空晴れわたるここちして見返 ごしん り、「これはかたじけなき御心 底、かさねてのよすがにも御名 ゆかしき」と申せど、それには おかへざうり かって取りあへず、御替草履を くし」う まゐらせ、ふところより櫛道 ぐ 具、えもいはれぬきよらなるを とり出し、つきみ、のものにわたして、「そそけたる御おくれをあらため給へ」 と由・し侍りき。 しぐれ 時しもこのうれしさ、いかばかりあるべし。まことに時雨もはれて、タ虹き一六「あるべき」の誤用。 宅「タ虹が消えかかる」に、、いも いたづら かず / \ え懸るばかりの御一言葉数々にして、「今まで我おもふ人もなく、徒にすぎつる消えるほどのうれしい言葉の意を えん も、あいきゃうなき身の程うらみ侍る。不思議の縁にひかるる、この後うらな天心無く。わけへだてなく。 く思はれたき」とくどけば、男何ともなく、「途中の御難儀をこそ助けたてま 一九 しゆだう つれ、全く衆道のわかちおもひょらずーと、取りあげて沙汰すべきゃうなく、 かか はべ さた 0 ゅふにじ 描いた髭。 介 一ニ世を忍んで。 之 世 きんだち の 一三「いかさまこれは公達の、御 おんな 気中にこそあるらめと、御名ゆかし 衆 きところに」 ( 謡曲・忠度 ) 。 若 供 を 男 下 担 を 竿 ち 一も 一四付添の下男。 一五おくれ毛。 一九男色の分別。 おん

6. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

巻 1 るめ 起き別るる風情もしとやか に、ささもよき程に飲みなし、 る 見 ら 「よびましや」といふ声もさら 階 を に聞きいれず、客心をのこさぬ 舞 振 までありて、内儀、女房どもに いとま′」 ↓ま もうれしがる程の暇請ひ、塗下 の から・か一 女 一五雨や雪の日の道中に、下男が 駄のおと静かに、さしかけ傘も 後ろからさしかける傘。 れてふる雪袖をいとはず、大やうなる道中、「何とて京にては太夫にはせなん 一六揚屋の台所の茶釜。 宅お椀を椀箱に納めようとして だそ」、「もっとも美しからず」、「たはけども、太夫はそれによるものか」と、 いる女中どもの邪魔をし。 かへ ′よ・カつく おそ 天煮つけてからこごらせた鮒。 帰さのうしろ姿を詠め尽し、独りさびしき二階にあがれば、迎ひの遅き女郎、 一九太鼓持の座頭の名。盲人の組 ちゃがま とりおわんばこ ぶなはち じようかたいちかた 六茶釜近くあつまりて、取置く椀箱のじゃまなし、こごり鮒の鉢をあらし、湯の合に城方と一方があり、盲官の最 下位の座頭となれば、城方の者は ひま じゃうなみさみせん 水のとロの隙なく、丸盆割りてさらぬ体に直し置き、城浪が三味線ふみをりて、名の上に城の字を冠し、一方であ れば名の下に一 ( 都 ) の字を付けた。 か しらぬ顔にして置き所かへらるるなど、くらがりより見ての笑しさ、肴掛の干ニ 0 台所で魚鳥をつっておく鉤。 ↓挿絵 きるもの 烏賊も動き、煎海鼠も躍るほどの事そかし。立ちざまに着物ひとつになり、あニ一なまこの煮干し。 た そで うつく まるばん おほ めりげ てい をか ニ 0 さかなかけす ふ故に物思ふ身は」 ( 続後撰・雑中 後鳥羽院 ) 。 一三なだめて。慰めて。 一四お呼び申せ。ほかの揚屋から 貰いがかかった時に、女郎を呼ぶ ように一言いつける声。

7. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

ちぶみ とこばしら て、この中に女郎、若衆かための証文、大方は血文なり。床柱より琴の糸を引一愛の誠実を誓った起請文。 8 ニ血書。 かぞ 三数えるの意。 きはヘ、女にきらせたる黒髪、八十三までは名札を読みぬ。その跡は計ふるに 四遊女が客に贈る爪は、普通、 男 つめかず いとま ちがひだな 代暇なし。右のかたの違棚の下に、肉つきの爪数をしらず。その外服紗に包みし薄く爪だけをはがした。 六 五寺院の梵鐘鋳造に際しては、 色 かねい にはぜん やま 好物山のごとし。これも何ぞであるべし。ただこの有様は、執心の鐘鋳の場、善祈願が叶うように、鐘に鋳込む銅 鏡と、鐘を釣り上げる綱にする髪 しろむ がきひむく おつぎま の綱かとおもはれ、なほ御次の間をみれば、らく書の緋無垢、血しばりの白無の毛を、女が寄進した。 六寺院における開帳や供養の時、 きるもの一 0 がたぢむらさき ^ あしたなごり九 垢、後の朝の名残をそめ / 、と書きつづけたる着物、十六形の地紫、あれは花仏像の手にたくさんの五色の綱を かけて参詣者に引かせる。仏に導 さみせんきやふ なか かけもの かたみ かれる意を表す。 崎様の念記、紋つきの三味線、脚布を上下、帯を中べりにして姿絵の懸物、そ セ血染めの白無垢。無垢は表裏 しふぢやく のかぎりなく、「これ程まではおほくの女に思ひをさせ、執着御のがれあるま同質同色の小袖。 ^ 逢って別れる翌朝の名残惜し とこ たちま じ」と申す一一 = ロ葉の下より、床の上なるかもじ忽ち四方へさばけ、のびては縮み、さを。 九墨色も詳やかに。 しゃう れ 0 寺、ーし 二三度飛びあがりて物いはぬばかり、生あるけしき、みるに身の毛たっておそ一 0 十六武蔵の形の模様かという。 四角と三角を組合せた形。 ろしく、「これは」と尋ねければ、「これは春も覚えがあらう。段々わけあって = 島原の太夫。 * 三掛軸の表具の天地。 ふぢなみ 一三表具の左右。 藤浪にきらせたる髪と爪なり。中にも今にわすれねば、かく置き所までをうづ 一四美人画。 あだ うつつまみ 高く、仮にも化には思はず。ある時は夢、ある時はまばろし、又は現に目見え一五女郎に切らせた髪。 一六生物のようであった。 、つ て、今請けられてゐる男の首尾もかたる。さらに逢はぬとはおもはず。人には宅特別にして。 つな と しゅび あ ふくさ

8. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

のなり行くを思ひし泪にはあらず。これ程におもふとは、よもや敵様はしらず一整髪用の香油。 ニひどく気分が悪くなったから。 こまあぶらうり や」と申せし所へ、匂ひ油売の太右衛門これを嘆きぬ。このものは世之介方へ = 腰巻。 四死装束。当時一般に白小袖か 男 としごろ 代も年頃出入りをおもひ合せ、「この縄をときて給はれ。我が身あしきを覚え侍浅黄小袖 ( 薄青 ) を用いた。 五道理を正した行き届いた調停。 色 しろりんずふたの 好る」と、縄をとかして、白綸子の二布引きさき、右の小指を喰ひきり、心のま 0 大分限の世之介が金につまる無 理な設定は、情があって張りが強 い理想の遊女礼賛のお膳立て。 ま書きつづけて、「頼む」と太右衛門に渡して、もとのごとくなりて、けふを 六大阪市天王寺区生玉町にある しにでたち した かぎりに舌かみきる所へ、世之介これを聞きもあへず、死出立にてかけこみし生玉神社の社前の蓮池は、当時、 難波十観の一。 のち かけあは を、おの / 、懸合せ、義理をつめ至極にあっかひ、その後太夫を手に入れ侍る。セかいつぶりの別名。 ^ 「罪も報も後の世も、忘れは みかさ しんてい てて面白や」 ( 謡曲・鵜飼 ) 。 かかる心底又あるまじ。大坂屋のやっこ三笠と名をのこしぬ。 九大坂新町廓の越後町の揚屋扇 屋次郎兵衛 ( 色道大鏡 ) 。 一 0 初秋の早朝から寝覚提げ重に。 寝覚提げ重は携帯用の重箱。 もろ・一し = 唐黍の粉で作った餅。 、身は火にくばるとも 一ニ新町廓内の揚屋町九軒町の揚 屋住吉屋長四郎 ( 色道大鏡 ) 。 みぎは はちすばまいねん 生玉の御池の蓮葉、毎年七月十一日にかる事ありて、汀に小舟をうかめ、鎌一三右と同所の揚屋吉田屋喜左衛 門 ( 同 ) 。 こひふなすばん はおと の刃音におどろく鯉・鮒・泥亀のさわぎ、鳰鳥を追ひまはし、罪も神前も忘れ一四初代岩井半四郎の手代。 * 一五大坂の道化方。 * もち ゑちごまちあふぎや 果てておもしろや。その日は越後町扇屋のあるじ、秋の寝覚にもろこし餅・酒一六さんさ節。近世初期から行わ ( 現代語訳二九五ハー ) いくだまみいけ なみだ 五 にほ′一め・ 一 0 ねぎめ一 てきさま はペ かま

9. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

日の出を待って拝む行事。 の鐘をつかれけるかや、毎日ま 一 0 静岡県掛川市と金谷町にまた 頭 ゆさん 主 がる佐夜の中山の観音寺にあった きちらしても減る事なし。遊山 坊 鐘。この鐘をつくと、来世は無間 をどりこ いうきよう 右地獄に落ちるが、現世では富豪に 遊興に数を尽しぬ。いまだ躍子 なるという俗言があった。 大 = 躍子と舞子は同じ。十二、三 ・舞子といふ者を見ず、世之介 見 から十五、六歳までの少女の踊子 を で、諸方の宴席に出演した。 舞 のばらば、いざ事問はむ都のや ・一とと の 三「名にしおはばいざ言問はむ 子 躍みやこどりわが思ふ人はありゃな うす、万事をまかせてゆく程 都 しやと」 ( 伊勢物語・九段 ) 。 ちおんゐん一三もんぜんちゃう 京 一三京都市東山区の浄土宗の総本 に、知恩院のもと門前町にかし 山知恩院の古門前町。遊山宿が多 ぎりてかけもの 座敷、十日限の手懸者を置きて夜のなぐさみ、昼は十人の舞子集めける。一人かった。 一四 一四一歩は今の約一万五千円に当 きんすぶ 金子一歩なり。顔うるはしく生れつき艶しきを、ちひさき時よりこれに仕入れる。↓付録 ぢよちゅうがた 三、四、五までは女中方にもまねき寄せ一五鮫皮で鞘を巻いた大小。「パ て、とりなり男のごとし。十一、二、 ッパはさながら桜花の風に散りた さかやきす 四られ、一座の酒友だちにもなりぬ。その程すぎては月代を剃らせ、声も男につるが如くなるを以て、パッパと名 付けたるならんか」 ( 鮫皮精義 ) 。 かひなさせ、裏付け袴の股だちとって、ばつばの大小おとしざし、虚無僧あみ一六虚無僧が用いた深編笠。 宅紺無地の筒袖 ( だいなし ) を着 巻 ギ、う・め・とり ふとを せったいかっ がさ て尻からげをし、墨で髭をかいた 笠ふかく、太緒の雪駄厳げにはきなして、やっこ草履取をつけ、これを寺がた 奴姿の草履取り。 はべ かよごしゃう の通ひ小姓と申し侍る。その跡はあひの女とて、茶屋にもあらず、傾城にても一〈間の女。どっちつかすの女。 ギ ) しき まひこ 一けとも うらつばかまもも - 一とレ」 よる やさ まひこ けいせし 、一も」う 0

10. 完訳日本の古典 第50巻 好色一代男

好色代男 50 おもかげ 一「まじ」が動詞の未然形に接続 都にはちぬ撥おと、竹格子の内に面影見ずにはかへらまじ」と、七左衛門とい した例。かえられまい ち あげや さかづき ニ女郎を見立てるために女郎の ふ揚屋に入りて、借るもこころやすく、折節、志賀、千とせ、きさなど、盃ば 置屋から揚屋に呼び寄せることを あふみ 一かりのさし捨て、その後近江といへる女、これからみれば、たしか大坂にて玉「借る」という。 三近江踊の歌詞「これから見れ をか ば近江が見ゆるな、笠買てたもれ、 の井と申せしが、水の流れもここにすむ事笑しく、その夜は客なき事をさいは 近江菅笠、やれ近江笠」 ( 糸竹初心 ふゅ ものごと五 ひ、嚊に約束させて、更け行くまでさしわたし、かしらから物毎しらけてかた集 ) による。 四不安定な遊女の境遇を「流れ の身」という。「澄む」と「住む」の りぬ。 掛詞。 かぶろ かんなべ 所ならひとて禿もなく、女郎の手づから燗鍋の取りまはし、見付けぬうちは五ざっくばらんに。 と , ) ろく 六揚屋の男衆。 笑しく、「床にいれ」などと申して、あしらひ男先立ちて小座敷にゆけば、六 でふじきいくま がみこし・はり きみいのち 畳敷に幾間もしきり、みなと紙の腰張に、あしからぬ手にて、「君命、われは七和泉国堺の湊村 ( 現、大阪府 堺市 ) 原産の下等な鳥の子紙。壁 ふすま ・襖などの腰張に用いる。 思へど」などとらく書のこし侍る。いかなる人かここに寝て、とつい居て、ま ど さいぜん だ夢もむすばずありしに、最前の男きり戸をならして、「もし御茶をまゐらば」 ^ 湯を入れる木製の漆器と天目 くだぶね いちゃ と、湯桶に天目置きて帰る。このかるさ、下り舟にのる心地して、「一夜の事茶碗。天目は抹茶茶碗の一種で、 すりばち 浅い擂鉢形。 まくらさだ あひどこ たがひごめん うへの なれば、足のさはるも互に御免」と、枕も定めず相床をきけば、伊賀の上野の九伏見から淀川を大坂へ下る乗 合三十石船。↓二五ハー注一一五。 どな くに・もと 米屋、大崎といへるを四五度馴れたるあいさつにて、あすは国本に帰るよしの をか ゆと かか ばち てんもく カ 四 がき たけがうし はべ をりふし さきだ たま