一寸法師 - みる会図書館


検索対象: 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集
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1. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

0 亜亜 00 亜亜亜 000000 亜 0 亜 0000 加 0 亜 0 加 0 亜加則 0 亜 0 則加 0 馴 389 昔話「小さ子」伝承一覧 山形県最上郡真室川町真室川昔話集 真室川の昔話 山形県飽海郡昔話調査 飽海郡遊佐町 第一回報告い 猪苗代湖南の民俗 福島県郡山市 いわき市 磐城昔話集 会津百話 耶麻郡山都町 方言四ノ八 会津地方 粕尾の民俗 栃木県上都賀郡粟野町 利根昔話集 群馬県沼田市 川越地方昔話集 新田郡新田町 利根郡新治村 おばあやんの昔話 川越地方昔話集 埼玉県川越市 所沢市 狭山市 ″戸田市 下戸田の民俗 秩父郡小鹿野町武蔵の昔話 富津町のロ承文芸 千葉県富津市 房総の昔話 安房郡三芳村 五分次郎 脛っことんび 一寸法師 一寸法師 田螺 一寸法師 どんぐり太郎 一寸法師 太良 一寸法師 でえろん ( 蝸牛 ) でえろん ( 蝸牛 ) でえろん ( 蝸牛 ) 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 一寸法師 〇〇〇〇〇〇 〇〇〇〇 〇〇 〇〇 〇 〇 〇 〇〇〇 0 〇〇〇 〇〇

2. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

伝承地 子岐阜県郡上郡大和村 吉城郡神岡町 伽 上宝村 愛知県西尾市 額田郡額田町 京都府相楽郡和束町 兵庫県養父郡大屋町 美方郡美方町 鳥取県東伯郡赤碕町 東伯町 関金町 西伯郡中山町 日野郡日南町 某地 島根県大田市 飯石郡吉田村 頓原町 美濃郡匹見町 鹿足郡柿木村 岡山県岡山市 番号 食物で 主人公神の申脛や指動物の し子となどか姿をも型記号たぶら してら かす 美濃の昔話 一寸法師 〇 奥飛騨地方昔話集 一寸法師 昔話研究二ノ一〇 指太郎 西三河の昔話 一寸法師 一寸法師 山城和束の昔話 一寸法師 奥但馬の民俗 サンナイ ( 川蜷 ) 美方村岡昔話集 一寸法師 大山北麓の昔話 一寸法師 さざえ 東伯町昔話集 にゆうな ( 田螺 ) 鳥取県関金町の昔話 一寸法師 さざえ 伯耆の昔話 日野日南町昔ばなし 田螺 因伯昔話 五分次郎 石見大田昔話集 田螺 島根県三瓶山麓民話集 指太郎 吉田村三刀屋町昔話集 どんぐり太郎 頓原町昔話集 豆市 民族文化二ノ七 なめくし 島根県美濃郡匹見町昔話集一寸法師 小野寺賀智媼の昔話 かたつむり 御津郡昔話集 ごーなん ( 田螺 ) 一寸法師 〇〇 資料名 〇 〇 〇〇〇 出 〇〇〇〇〇 〇〇〇 〇 ・目 〇〇 〇 事 魚など 鬼を苦にのみ しめるこまれ る 〇 〇 〇 A D D B A C D D D C D D D C D C C C C C C D C C 記 号 〇〇〇〇 〇 〇〇〇〇〇〇〇る槌出 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇いき 〇〇〇〇 る男な す結幸福 〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇 〇〇〇る婚せ をな 業

3. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

しじよう みつぎもの ちゃぶくろ 捨てて、都に上り、あちらこちらと見るうちに、四条や五は、貢物の米を取って茶袋に人れ、姫君が寝ていらっしゃ ありさま 3 条の有様は、想像もっかずことばにも表せないほどである。 るうちに、計略をめぐらして姫君のお口に米つぶをぬり、 さんじようさいしようどの そうこうするうちに、三条の宰相殿と申す人のもとに立ち そうしてから、茶袋だけを持って泣いていた。宰相殿がご 集 子寄って、「お頼みします、と言ったところが、宰相殿はおらんになって、お尋ねになったので、「姫君が、私がこの 伽聞きになり、おもしろい声だと思い、縁先へ出ていって、 ごろ取り集めておきました米を、お取りになりお召しあが ごらんなさるが、人影もない。一寸法師が、こうしている りになってしまいました」と申すと、宰相殿はたいそうお あし と、人にも踏み殺されかねないと、そのあたりにあった足怒りなさって、ごらんになると、なるほど、姫君のお口に うそいつわ 駄の下にはいって、「お頼みします」と申すと、宰相殿は、米つぶがついている。まさしく嘘偽りではない、このよう 思いがけないことだな、人は見えないのに、おもしろい声な者を都に置いてどうしようか、何とかして殺してしまお で呼んでいる、出て見ようかとお思いなされ、そこにある うと、一寸法師にその役を仰せつけられる。一寸法師は、 足駄をはこうとなさったところが、足駄の下から、「私を姫君に向って、「私のものをお取りになりましたために、 お踏みなさいますな」と申す。不思議に思って見ると、風どうにでも取りはからうようにとの仰せがございました」 変りな者であった。宰相殿はごらんなさって、「まことに と申して、心の中でうれしく思うことは限りない。姫君は、 愉快な者だ」とおっしやって、お笑いなさった。 ただ夢のような心地のままに、すっかりぼんやりしていら こうして、年月を送るうちに、一寸法師は十六歳になる っしやった。一寸法師が、「早く早く」とお促し申すので、 やみ が、背たけはもとのままである。ところで、宰相殿には、 姫君は、闇の中へ遠く行く気分で、都を出て、足の向くま 十三歳におなりになる姫君がいらっしやる。お顔かたちが まにお歩きなさるが、そのお心の中こそ、推し量られてあ すぐれていらっしやるので、一寸法師は、姫君を拝見した われである。ああ、かわいそうに、一寸法師は、姫君を先 時から、恋の思いがつのり、何とかして策をめぐらし、自 に立てて出ていった。宰相殿は、ああ、姫をお引きとめな 分の妻にしたいものだと思っていた。ある時に、一寸法師 さってほしいと思われたが、継母のことなので、さほどお ( 原文一九六謇 ) おお

4. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

新潟県北蒲原郡豊浦町 ばばさのトントンムカシ 東頸城郡牧村 牧村昔話集 南魚沼郡六日町 昔話研究と資料一一 中魚沼郡中里村雪国の夜語り 北魚沼郡入広瀬村越後大白川昔話集 古志郡山古志村 とんと昔があったげど一 とんと丑日があったげど二 岩船郡荒川町 岩船地方昔話集 山北町 佐渡郡相川町 佐渡島昔話集 畑野町 佐渡国仲の昔話 小木町 鶴女房 赤泊村 佐渡腰細の民俗 佐渡地方 佐渡島昔話集 覧 富山県射水郡大門町 越中射水の昔話 ト彡町 承 伝盟石川県金沢市 加賀の昔話 珠洲市 珠洲市の昔話と伝説一 子 加賀市 加賀江沼郡昔話集 南加賀の昔話 長野県飯山市 信濃の昔話 話 昔 上水内郡小川村昔話研究と資料六 信州小川村の昔話 岐阜県中津川市 恵那昔話集 つぶ ( 田螺 ) 親指太郎 豆小僧 田螺 だいろう ( 蝸牛 ) だいろ ( 蝸牛 ) だいろう ( 蝸牛 ) だいろ ( 蝸牛 ) だいろ ( 蝸牛 ) 田螺 つぶ ( 田螺 ) つぶ ( 田螺 ) 一寸法師 つぶろ ( 瓢簟 ) 豆太郎 一寸法師 豆助 一寸坊主 一寸法師 一寸法師 一寸法師 ちび太郎 一寸法師 指太郎 三文丈 豆玉野郎 豆玉野郎 一寸法師 〇〇 〇〇〇〇〇〇〇〇 〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 〇〇 〇〇 〇 〇〇〇〇〇 〇 〇 C D D A C D D C C C C B C B B C B B D B B B B B D D B B 〇〇〇〇〇〇 〇 〇 〇〇〇〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

5. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

0 亜亜加 00g 加聞聞側 亜 00 聞 0 聞 0 亜 0 聞 0000 亜 0 亜 加聞亜則聞則則 000 亜加 00 亜加 0000 加 岡山県岡山市 御津郡昔話集 田螺 ちびつこ 小田郡美星町 小田郡昔話集 川上郡備中町 奧備中の昔話 一寸法師 阿哲郡哲西町 中国山地の昔話 一寸法師 田螺 神郷町 なんとむかしがあったげな上田螺 哲西神郷町昔話集 田螺 三室むかしこつぶり 一寸法師 五分次郎 真庭郡八束村 蒜山盆地の昔話 五分次郎 蒜山南麓地方昔話集 蒜山盆地の昔話 五分次郎 まめくし ( なめくし ) 〇 中和村 中和村の民俗 田螺 田螺 美作の昔話 田螺 勝田郡勝田町 鳥呑み爺 一寸法師 広島県広島市 大豆 安芸国昔話集 一寸法師 福山市 広島県民俗資料一一 佐伯郡大柿町 芸備昔話集 豆一 承 山県郡大朝町 大朝町昔話集 田螺 芸北地方昔話集 田螺 子 ひろしまの民話 芸北町 小さい子 加計町 芸北地方昔話集 田螺 高田郡美土里町 芸備昔話集 まいまい ( 蝸牛 ) 1 ロ 豊田郡豊町 一寸法師 安芸国昔話集 御調郡向島町 西瀬戸内の昔話 五分助 周防大島昔話集 豆市 山口県大島郡東和町 徳島県三好郡西祖谷山村阿波祖谷山昔話集 一寸法師 〇〇 0 〇 〇〇〇〇 〇〇〇 〇〇〇 A C D C D D C D D C C C C D D D D A C A C D D D A C C D 0 〇〇〇〇〇〇〇 0 〇〇〇〇〇〇 〇〇 0 〇 〇〇〇〇 〇〇〇〇 〇 〇

6. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

伝承地 資料名 子 香川県丸亀市 西讃岐昔話集 草 大川郡長尾町 東讃岐昔話集 伽 香川郡香川町 母から子への民話 愛媛県八幡浜市 伊予のとんと昔 伊予の昔話 高知県高知市 土佐昔話集 香美郡物部村 福岡県鞍手郡鞍手町 福岡昔話集 期佐賀県佐賀郡久保田町 昔話研究二ノ七 神埼郡東背振村さふり一一三 背振山麓昔話集 背振村 佐賀の昔話 背振山麓昔話集 長崎県諫早市 肥前国北高来郡昔話集 平戸市 平戸市昔話集 南高来郡小浜町島原半島昔話集 愛野町 下県郡厳原町 くったんししいの話 壱岐郡芦辺町 壱岐島昔話集 熊本県阿蘇郡阿蘇町 肥後の昔話 亜亜 00 00 亜 0000g = 五分一 一寸法師 一寸法師 一寸法師 五分次郎 一寸法師 豆蔵 ちんこまんのこひょう 一寸法師 びつきょん ( 蛙 ) びつきょん ( 蛙 ) 田螺 豆太郎 どんく ( 蛙 ) 田螺 一寸坊 蛙のような子 田螺 豆蔵 一寸法師 田螺 主人公 て子の と申 らな脛 どや か指 っ姿動 てを物 もの かた食 〇〇〇〇〇 〇〇〇 〇すぶ物 らで 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇めを 〇〇 る苦 るこに魚 〇〇〇 〇 〇 まのな れみど D C B B B C A B D D B B C C C D C A A A C C C A 記 号 〇〇〇〇〇〇〇る槌出 〇 〇〇 〇〇 〇 をの幸 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 〇〇〇〇〇〇〇ないき る男な す結幸福 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇 〇 〇〇る婚せ をな 〇〇〇〇 〇 〇 出 〇〇〇〇〇〇〇 〇 自 〇 〇 事 〇 業

7. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

集めて置き候ふ打撒を、取らせ給ひ御 参り候ふ」と申せば、宰相殿おほきに いか 怒らせ給ひければ、案のごとく、姫君 の御口に付きてあり。まことは偽りな る え 訴 らず、かかる者を都に置きて何かせ に 相 宰 ん、いかにも失ふべしとて、一寸法師 た っ 取 に仰せつけらるる。一寸法師申しける を 打 は、「わらはがものを取らせ給ひて候 て ふほどに、とにかくにもはからひ候へ 一三どうにでもよいように取りは い お からえ。前の「いかにも失ふべし」 うちうれ に 前をうけていう。 とありける」とて、心の中に嬉しく思 袋 茶 ふこと限りなし。姫君は、ただ夢のこ 法 寸こちして、あきれはててそおはしける。一寸法師、「とくとく」とすすめ申せ一四早く早く。大急ぎで。 一五当てもなく迷い行くさま ふい あゆ うち ば、闇へ遠く行く風情にて、都を出でて、足に任せて歩み給ふ、御心の中、推一六「おしはかられて」の意。 毛作者の姫君に対する同情のこ 一七 し量らひてこそ候へ。あらいたはしや、一寸法師は、姫君を先に立ててぞ出でとば。 197 はか お いつは い 一四 一 0 「参る」は「食ふ」「飲む」の尊 敬語。 一ニ「失ふ」は、殺す、死なす意。 = 「まことにーの誤りか

8. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

ふうふ ふびん 一人が見ても。「よその見る目 さましさよと、見る目も不便なり。夫婦思ひけるやうは、あの一寸法師めを、 も」の意。 うけたまは いづかたへもやらばやと思ひけると申せば、やがて、一寸法師、このよし承 = 気の毒だ。かわいそうだ。 三「思ひ、そのよしを申せば」の くちを しだい 子り、親にもかやうに思はるるも、口惜しき次第かな、いづかたへも行かばやと意。 四佐竹昭広「御伽草子における 伽 中世説話の問題」 ( 『文学』三十一一巻 御田 5 ひ、刀なくてはいかがと思ひ、針を 一号 ) によると、一寸法師が針の 刀を持って現れるのは、この物語 一つうばに請ひ給へば、取り出したび む し が難波の針売によって伝えられた むぎわら ためかという。 を にける。すなはち、麦藁にて柄鞘をこ 五「たぶ」は「たまふ」と同じ意。 法 寸 六刀の柄と鞘 しらへ、都へ上らばやと思ひしが、自 セ京都 八もしも。万一。 然舟なくてはいかがあるべきとて、ま ふた 媼 九蓋つきの食器。特に椀をいう。 る ごき 着一 0 前文では一寸法師を疎んじて たうばに、「御器と箸とたべ」と申し 掛いるのに、ここではその名残を惜 しんでいる。別離についての決り に うけ、名残惜しくとむれども、立ち出 文句がまぎれこんだもの。 すみよし = 桃太郎や瓜姫など、昔話の主 でにけり。住吉の浦より、御器を舟と す人公は、多く水のほとりに現れる きまりであった。 を してうち乗りて、都へぞ上りける。 一ニただ故郷と別れる気持を詠ん に 子 だだけであるが、一寸法師の歌の 住みなれし難波の浦を立ち出でて 烏 たしなみを示す例としてあげられ ( 絵 ) ている。『小男の草子』の主人公は、 都へ急ぐわが心かな なごり の なには の いだ五 つ / 、 や し い

9. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

の成果を含めて、この問題に関する整理を進めている。サ工の神の信仰にともなう近親相姦の伝承は、兄と 眛とが、不倫の関係に人るというものと、父と娘とが、不倫の関係を結ぶというものと、大きく二つの類型 に分けられるであろう。御伽草子の『和泉式部』では、母と男の子とが、不倫の関係を結ぶというものであ って、二つの類型のどちらに属するものでもないが、サ工の神や道祖神の信仰とかかわりなく、そのような 近親相姦の物語が作られたはずはない。 参考文献〇島津久基「小式部考説」 ( 『近古小説新纂』初輯昭 3 中興館 ) 〇柳田国男『女性と民間伝承』 ( 昭 7 岡書院、『定本柳田国男集』第八巻昭筑摩書房 ) 〇吉田幸一『和泉式部全集』本文 ( 昭古典文庫 ) 〇大島 建彦「和泉式部の説話」 ( 『お伽草子と民間文芸』昭肥岩崎美術社 ) 〇大島建彦「道祖神の信仰と説話」 ( 『中世文学の研 究』昭町東京大学出版会 ) 〇大島建彦「日本神話研究と民俗学」 ( 『講座日本の神話』第一巻昭有精堂 ) なにわ おきなおうな すみよしだいみようじん いっすん 津の国の難波の里の翁と媼とが、住吉大明神に願をかけて、小さな男の子を授けられ、一寸 一寸法師し 法師と名をつけた。この一寸法師が、針の刀をもって、花の都にのぼったのであるが、食物 さいしよう こづち の策をめぐらして、宰相の姫を連れだし、二つの鬼をしりぞけて、宝の小槌を手に人れた。その小槌によっ て、背たけものびて、堀河の少将となって、めでたく栄えたというものである。 この一寸法師というのは、住吉大明神の申し子として、津の国の難波の里に生れたと語られている。佐竹 昭広氏の「御伽草子における中世説話の問題には、当時の一寸法師の物語が、難波の針売の伝承によるも のと説かれており、まことに示唆に富む説ではあるが、今日の調査の段階では、ただちにそのまま認められ 解るものではない。この御伽草子の一編は、何よりも一寸法師という名によって、ひろく世間にもてはやされ たものといえよう。『日葡辞書』の中には、「イッスンボウシーをあげて、「ヒキウト」と注されているが、 ひを、うと きゅうしようらん 『嬉遊笑覧』巻四にも、「俗に矮人を一寸法師といふ。法師は小法師と云より小き物を名づく。能の狂言に

10. 完訳日本の古典 第49巻 御伽草子集

一寸法師 思い、その嘆くさまは、人が見ても気の毒である。夫婦が それほど古くないことであるが、摂津国の難波の里に、 思ったことには、あの一寸法師めをどこへでもやりたいと 翁と媼とがおった。媼が四十の年になるまで、子のできな すみよしだいみようじん 思って、そのように申していると、すぐに、一寸法師は、 いことを悲しみ、住吉大明神に参詣し、今は子がいないの このことを聞き知り、親にもこのように思われるのも残念 で、子を授けてくださいとお祈りすると、大明神もかわい なことだ、どこへでも行こうと思い、刀がなくては何とし そうにお思いなさって、媼が四十一と申す年に、身ごもっ ようかと考え、針を一本媼にお願いなさると、取り出して て普通でない体となったので、翁が喜ぶことはなみなみで むぎわらっかさや ない。まもなく十か月目になって、かわいらしい男の子をお与えになった。そこで、麦藁で柄と鞘とをこしらえ、都 へ上ろうと思ったが、もしも舟がなくてはどうしようかと もうけた。しかしながら、生れおちてからも、背たけが一 わんはし いっすん在うし 寸しかなかったので、そのまま、その名を一寸法師とお名思って、また媼に、「椀と箸とを下さい」とお願いし、名 づけになった。 残惜しいととめるのを、振りきって出発してしまった。住 吉の浦から、椀を舟として乗って、都へと上っていった。 年月がたつうちに、はや十二、三歳になるまで育てたが、 法 住みなれし難波の浦を立ち出でて都へ急ぐわが心かな 寸背たけも人並でないので、二人はつくづくと思いをめぐら ( 住みなれた難波の浦を旅立って、都へ急ぐわが心である して、この子はただ者ではないぞ、まったく化物のような よ ) やつではある、自分は、どのような罪の報いで、このよう とイ こうして、鳥羽の港にも着いたので、そのあたりに乗り な者をば住吉大明神から授かったのか、情けないことだと 335 おきなおうな いっすんうし せつつのくになにわ のに