ふなご 船小屋ゲンジボタル発生地 指昭和年 3 月 27 日 所福岡県山門郡瀬高町・筑後市 置農林水産省 * 昭和 28 年 ( 1953 ) 頃まて、は、矢部川中 島一帯は、クスノキ林を背景に何丁イ可万 のゲンジボタルが飛び交い、その景観は 実に見事て、あった。しかし、大水害後の 護岸工事と農薬等の流入により、ホタル の個体数が激減したため、地元て、はホタ ル保存会を結成し、復活のため会の総力 を結集している。 大正 3 年 ( 1914 ) 、船小屋鉱泉事務所発 行の『船小屋案内言山によれば、「川面一 帯がホタルて埋められたと云っていい位 て、、その美観壮観、銀河地に移るの奇 観て、ある」と記されており、このような 理由て天然記勿に指定された。 前述のように、川と水を守る市民運動 が効を奏し、水の流れも清くなり、今後 ホタルの自然発生が期待て、きる。 ( 長瀬尊 ) 小笠原固有の美しいタマムシて、タマム シ科に属する。体長 30 ミリ内外。本に 金属光沢のある美しい緑色て、、前胸背に かすかな橙黄色の 2 縦条があり、また上 翅先端部が橙紅色。腹面は滑らかて、黄味 をおびる。上翅にはそれぞれ 3 条の細い きよし 縦隆条があり、先端は鋸歯た 成虫は昼間活動し、よく飛び、ムニン 工ノキに集まる。幼虫はムニンエノキの せんこう 材中に穿孔する。父島と母島に産する。 一見、ヤマトタマムシに似るが背面に同 種のような 2 本の紅紫色の条斑がない ( 石川良輔 ) オガサワラタマムシ 指昭和 44 年 4 月に日 所 ( 東京都小笠原村 ) 小笠原固有のゲンゴロウて体長 5 ミリ 内外。体は楕円形て、背面はややふくらむ。 雌雄て、異なり、雄は暗褐色て、光沢があり、 頭部の前方および後方、前胸背側部、上 翅の周辺部、肢等は褐色または黄褐色、 上翅は左右それぞれ 7 条の繼冓がある。 雌は雄に似るが上翅の周辺は細く黄褐 色て、背面は光沢を欠き、縦の細条がある。 セスジゲンゴロウに似るが、体はやや細 形て、ある。父島に産する。淡水にすむが オガサワラセスジゲンゴロウ 指昭和 45 年Ⅱ月に日 所 ( 東京都小笠原村 ) 少ない オガサワラアメンポ 指昭和 45 年Ⅱ月に日 所 ( 東京都小笠原村 ) ( 石川良舗 ) 小笠原固有のアメンポて、、滞・亜熱 帯に広く分布するセスジアメンポ属 ( ア メンポ科 ) に属する。小形種て、、体長は、 雄 5 ミリ内外、雌 6 ~ 7 ミリ。アメンポ 類には同種て、も長翅型と無翅型の 2 型の あるものが多いが、この種は無翅型のみ 知られる。体色は黒色て色部がある。 体は短太て腹部は短い。前胸背は短く、 その前部中央に 1 個の褐色斑がある。体 長に比べて中・彳刻支は非常に長く、その 腿節は体長の 4 分の 3 以止。東南アジア 各地に広く分布するヒメセスジアメンポ に近糸袁ごある。父島・母島などの池や流 水にすむ。少なくない ( 石川良舗 ) 昆虫類・ 67
仲間川天然保護区域の動物 マングローブオ也帯の砌尼には シレナシジミ・オキナワアナジャ コ・ノ、クセンシオマネキ・ミナミ コメッキガニなど珍しい不が生 息し、山地にかけてはセマルハコ ガメ・ヤェヤマオオコオモリ・カ ンムリワシ・ヨナグニカラスノヾ ト・コノハチョウなど貴重な不 がみられる。また、海岸近くて、は アダンの果実をかじるヤシガニが 0 タテヅノマノレ、クワガタインド・中国南 部から沖縄にかけて分布する。雄の大顎の歯 が上方を向くのてこの名称がある。 、特。種あ て山 色重てがる亜が知止 のれ有名の ) るわ固の翅 ′孖る 固あ覡のそ カカ島ら布下 リノす 島り虫表か紛 名諸ど成西ろ る島 にす古 月リ息南 ノ一 8 モ生 ンにらテ 森翅 カ硬ナ謇月オのカグあ ロてキの 5 リ クめ固オ翅イ 0 極の 0 後 0 ①黒る こ
0 ①カラフトルリシジミ ( 北海道 ) 寒冷地帯に 分布する種て、大雪山系、天塩岳、日高山脈、 らうす 羅臼岳などの高地に生息し、 7 月から 8 月に はね かけて姿をみせる。翅の色は雄が濃い青藍色、 雌は黒褐色をしている。写真左はその幼乢 せいらん オガサワラシジミ ( 東京 ) 小笠原諸島特産 穆翅は青藍色て、タ家部に太い黒帯がある。 せいらん 46 ・昆虫類
鱗翅目シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 に属する小形の蝶て、、本種の属する じじ加〃属の種は日本て、は本種のみ て、ある。翅の開張 25 ミリ内外。翅形は近 似種のヒメシジミ等に似るが、前翅端の 尖りがやや強い。雄の翅表は紫色味の強 い青藍色て、、タ家の黒い糸剥りは細い 雌の翅表は黒褐色、基部から中央部にか けて暗青色の鱗粉を散布する。裏面は雌 雄て、大差なく、近似のヒメシジミ類と異 なり暗灰色、翅の外半部にはタ家に平行 に配列された 3 列の黒点列 ( 最内列の黒 紋は大形て顕著 ) と、中室立文、後翅の 基部に 2 個の黒紋があり、これらは灰白 色に糸剥られることが多い。後翅の最も 殞則の黒紋の中て、、肛角部近くの 2 ~ 3 個はその上に青藍色鱗をちりばめ、その 内側は赤橙色に糸朝られて美しい。和名 は樺太 ( サハリン ) の瑠璃色のシジミチョ ウの意味て、、普通種のルリシジミとは類 縁が遠い。 てしお 国内て、は北海道中部の大雪山系や天塩 おとふけ しかりべつ 岳・然別山・音更山・ユニ石狩岳、日高 山脈の美生岳・幌尻岳、知床半島の斜里 岳・羅臼岳・西別山などの高地帯に分布 する。生息場所は高山帯のハイマッ等の 間に広がるクロマメノキ・ガンコウラン わいせいかんばく 等を主体にした匪灌木群落て、ある。成 虫は年 1 回、 7 月中・下旬を中心にして 発生し、晴天の日に矮性灌木の上を毎対走 ひしよう に飛翔し、チシマッガザクラ・コケモモ・ チョウカイフスマ等を訪花する。卵は、 食草て、あるガンコウラン ( ガンコウラン 不斗 ) ・クロマメノキ・コケモモ ( ツッジ不斗 ) の小枝や葉に 1 個ずっ産み付けられる。 年内に孵化した幼虫は食草の新芽や若葉 を食って秋まて、に 3 齢中期まて、成長して 越冬 ( 恐らく落葉の下て ) し、翌春摂食 ようか を再開して 4 齢に成長し、蛹化、羽化し てくる。 カラフトルリシジミ 指昭和 42 年 5 月 2 日 所 ( 北海道 ) りんし 48 ・昆虫類 本種はウスパキチョウやアサヒヒョウ モンほど分布が狭くはなく、道東部にも 分布するが、いずれの或て、も生息環境 は局限されており、我が国の数少ない寒 地匪の蝶として天然記勿に指定されて 保護されている。発生量はいすれの地て、 ラサキ、クスノキ科のテリハコブガシ・ コフ。ガシ、クワ科のシマグワ等が記録さ れている。 本種はオガサワラセセリと共に小笠原 諸島の特産蝶て、、種としての世界的分布 カ墸しく狭く、原産地の生息環境の変化 や舌リ隻等によって減少したり、種として 絶威する危険性が高いのて、、天念記勿 も必すしも多くはない オガサワラシジ 指昭和 44 年 4 月に日 所 ( 東京都小笠原村 ) りんし ( 三枝豊平 ) に指定された。 りんし 置奈良県・春日大社 * 所奈良県奈良市春日野町 指昭和 7 年 3 月 25 日 ルーミスシジミ生息地 ( 三枝豊平 ) 鱗翅目シジミチョウ科ヒメシジミ亜科 に属する小形の蝶て、、本種の属する Ce なな切〃属は、我が国にはルリシジミ など数種が分布する。開張は 25 ミリ内外。 翅形はルリシジミに比べると前翅のタ家 がより直大て、あるために、翅の先端は 尖る。雄の翅の表面は青紫色て、、タ家 は幅広く黒色、裏面は淡い灰白色、前翅 にはほとんど斑紋が発達しない。後翅の 地色は基部から中央部よりやや殞則にか けて青緑色を帯び、特に基部て、は濃く、 ルリシジミに似た暗灰色の斑紋をあらわ すが、これらは消えかかったような感じ て不明瞭て、ある。雌は雄よりも翅形の丸 味が強く、翅の表面は濃い藍色、タ家の 黒帯は雄よりも幅が広い。和名は産地小 笠原諸島のシジミチョウを意味する。 本種は古くから知られている蝶て、、新 種として記載されたのは 1886 年て、ある。 世界的にみても小笠原諸島だけに分布 し、 C 召〃 4 属としては分布が非常に 狭い。小笠原諸島て、は父島・母島・兄島・ 弟島・姉島に分布し、個体数は決して少 なくない。春 ( 3 月 ) から秋 ( 10 月 ) ま て、連続してみられ、年によっては 1 ~ 3 月にも採集されているが、発生回数等の 詳しいことは不明て、ある。 成虫は海岸よりもむしろ原生林内に多 く、雌は食草の葉に通常 1 個ずつ産卵し、 つばみ 孵化した幼虫は開花前の蕾を食う。幼虫 の食草はクマッヅラ科のオオノヾシマムラ サキが一殳的て、あり、この他にもシマム ルーミスシジミは、鱗翅目シジミチョ ウ科ミドリシジミ亜科に属する小形の蝶 て、、属唯一の日本産種て、ある。 翅の開張は 30 ミリ内外。一見、近似の普 通種のムラサキシジミに似るが、小形て、、 翅形はやや丸味が強い。翅の表面の地色 は黒褐色、基半部には明るい青藍色部が あり、その範囲は個体変異が大きく、 般に雌の方が広い。裏面は灰白色から淡 灰褐色て、ムラサキシジミより明るく、同 種によく似た暗褐色紋をあらわし、これ らの斑紋は前翅て、よく発達し、中央斑紋 別の個々の斑紋は横長、後翅の斑紋は不 明瞭て、ある。和名は、日本て、本種をはじ かのう めて千葉県の鹿野山て、発見したアメリカ 人宣教師ルーミスに基づく。 本種は典型的な西部支那系の蝶て、、東 部ヒマラヤ地域からインドシナ半島北 部・中国西南部・台湾・日本にかけて分 布する。国内て、は本り、 l•l ( 千葉・三重・奈 良・和歌山・島根・山口の各県と隠岐 ) 、 四国 ( 愛媛・高知・徳島の各県 ) 、九リ羽 ( 福 岡・熊本・宮崎・鹿児島の各県と屋久島 ) から言求があるが、いずれの場所て、も生 息地は狭い範囲に限られ、個体数も少な い。本種の発生量は年により変動が激し く、匠は一殳的にイ固イ椏が減少する傾 向が強い。天然記念物指定地の奈良県春 日山は照葉樹の原生林がよく残され、生 息環境として優れており、昆虫採集も全
昆虫類 昆虫類は節足動物の中て、大きな部分を占めている。日本は自然環境が豊かて、、植生の変化に富んて、いるのて、、昆 虫類も豊富て、ある。昆虫類て次然記念物に指定されているものは 33 件あるが、なかて、も北海道の高山蝶 5 件、小笠 原固有の昆虫 10 件は注目すべきて、あろう。またセミの発生地が 4 件、ゲンジボタル発生地が 10 件みられるが、これ らはその昆虫が日本人の美意識や心情と深く結びついてきた歴史をふまえたものといえよう。昆虫類は概してか弱い生き 物て、ある。生活環境の破壊はすぐさま彼らの生存をおびやかすことになる。生存を保障する対策カまれる。 ヒメチャマダラセセリ 指昭和 50 年 2 月日 所 ( 北海道 ) 鱗翅目セセリチョウ科チャマダラセセ リ亜科に属する小形の蝶て、、本種の属す る D. g 属は北半球中・北部に種が多 いが、日本産は本種とチャマダラセセリ の 2 種のみて、ある。翅の開張は 20 ミリ内 外。表面は黒褐色て、小形の白点をちりば め、これらは前翅て、は互い違いにほぼ 3 列に、後翅て、は 2 列に配列される。翅の 裏面は淡い緑褐色、表面によく似た白斑 をあらわす。翅の縁毛は白黒の莫橋 チャマダラセセリに似るが小形て、、前翅 表面の基部後丘くに 1 白斑を、タ彖部 の後方に 2 ~ 3 個の白斑をあらわし、後 翅裏面は赤褐色味を帯びない。和名は小 形のチャマダラセセリ ( 茶褐色て、まだら 模様をもっセセリチョウ ) の意味て、ある。 ゴイシッパメシジミと同様に、日本か ら最も新しく ( 1973 年 ) 発見された蝶の 1 種て、、国外て、はヨーロッパから中国東 北部、朝鮮半島にわたるユーラシア大陸 の北部に広く分布しているが、日本て、は 北海道の日高山脈南端部のアポイ岳とそ の近くの山地に限られている ( 十勝支庁 おす 三国峠て、の 1 雄の言求があるが、その後 再発見されていない ) 。この或は高度は 低い ( 700 ~ 800 メートル ) が、文岩地帯 て、あることも一因となって、高山性お花 畑が上し、本種はこのような草原に生 息している。 成虫は年 1 回、 5 月中句 ~ 6 月中句に 44 ・昆虫類 りんし 発生し、高山性草原 ( 標高 600 ~ 700 メー ひしよう トル ) の地お丘くを活発に飛翔し、アポイ アズマギク・チングルマ・サマニュキワ リ等の花蜜を吸う。幼虫の食草はバラ科 のキンロバイ、稀に同科のキジムシロも 食う。母蝶は食草の葉裏に 1 個ずっ産卵 し、幼虫は食草の葉を綴って粗い巣を作 さなぎ り、この中にひそむ。蛹て越冬する。 世界的には珍しい種て、はないが、わが 国て、唯一分布しているアポイ岳周辺は、 本種の生息環境となる高山性草原が狭い 或にしか発達していない。乱獲によっ て糸威することが予想されるのて、、不耐旨 定の天然記念物にされた。 ( 三枝豊平 ) キイロウスパアゲハともいう。鱗翅目 アゲハチョウ科ウスパアゲハ亜科に属す るやや大形の蝶て、ある。本種の属する 川 s / 属は、主にユーラシア大陸 中・北部高地の乾燥地に生息し、一部は 北米にも分布し、日本にも本種のほかに ウスノヾアゲハ・ヒメウスノヾアゲハの 2 種 を産する。いずれも翅形は円味が強く、 後翅には尾状突起を欠き、鱗粉の密度が 低く、半透明の感じをあたえる。本種本 属としては例タ勺に翅が淡黄色て、、翅脈 ウスパキチョウ 指昭和 40 年 5 月に日 所 ( 北海道 ) りんし く糸剥られた顕著な赤紋をあらわす。翅 翅の中央部、前縁中央部、肛角部近くに 4 条、後翅には 1 条の暗色条があり、後 は細く黒色、翅の基部は暗色、前翅には 開張 50 ~ 60 ミリ内外、和名は翅が半透明 て罇い感じをあたえることと、黄色の地 色にもとづく。 国内て、は北海道中央部の大雪山系や石 おとふけ 狩岳・音更山・ヨ - ・勝岳・富良野岳等の約 1500 メートル以止の高山帯に分布する。 がんれき 生息場所は高山帯の主に岩礫地帯。成虫 は年 1 回夏季に発生し、 7 月中句が最盛 期となる。成虫はお花畑や岩礫地の上を やや高く活発に飛翔し、イワウメ・ミネ ズオウ・エゾノッガザクラ等の花蜜を吸 う。卵は主に食草の周囲の礫の下面等に 1 個ずっ産み付けられ、年内に 1 齢幼虫 が完成するが、そのまま卵内にとどまっ て越冬し、翌幇ヒし、唯一の食草て、あ るコマクサ ( ケシ科 ) の若芽を摂食する。 成長した幼虫は黒褐色て、黒毛を密生し、 つばみ 花や蕾も好んて、食い、しばしは礫の上て、 日光浴をしている。夏の終わりには老熟 まゆ して、礫の下面等の凹みに褐色の繭を営 ようか んて蛹化し、そのまま 2 年目の冬を越し、 3 年目の初夏に羽化してくる。 本種は日本産蝶類の中て、は最も寒帯的 な種の一つて、、分布も北海道中央部の高 山帯に局限された極めて貴重な種て、あっ て、天然記念物に指定されている。本種 の生息地はいずれも生息環境が十分保全 されており、大雪山系て、は、広発生 量も増加しているという。 ( 三枝豊平 ) ダイセッタカネヒカゲ 指昭和 40 年 5 月に日 所 ( 北海道 )
0 オガサワライトトンポ ( 東京 ) 小形て細身のトンポて、半球状の複眼は左右が広く離れている。 ①オガサワラトンポ ( 東京 ) 小笠原固有種の うちて、も特に琢重とされる。全身がにぶい金 属光沢のある暗緑色をしている。写真は雄の 縄張り飛 とうじゅん はね ①ハナダカトンポ ( 東京 ) 翅が腹部より長い。頭楯カ揃方に突き出ているためにこの名があ しきよう る。体長 30 ミリ内外、体は黒褐色て、翅胸部に黄色の条線カ嘶続する。
般的に禁止されて自然保護カ哘き届いて いるにもかかわらず、近年 ( 1960 年以後 ) 、 採集や目撃の記録がなく、糸色威したとの 見方がとられている。 成虫は照葉材木に生息し、オ家や谷川 沿いの開けた場所て、活動し、よく湿地て、 吸水する。 6 月から年 2 ~ 3 回発生し、 最終化の蝶が成虫て越冬し、翌春産卵す る。幼虫の食樹はブナ科のイチイガシ。 卵は 1 個ずつ新芽の内部に産まれ、幼虫 は若葉を裏側に弱く巻いて簡単な巣を作 り、巣や巣の近くの若葉を食う。 本種は国内て、の分布が局限され、一ヨ殳 にイ固体数も少ないために、春日山て次然 記・翆物に指定されたが、現在て、は糸色伏 ロ・じ、 態て、ある。しかし他の産地て、も糸色威状態 から再び個体数が増加した場合があるの て、、春日山て、最近採集されていないから といって、直ちに天然記勿の指定を解 除する必要はないと思われる。 ( 三枝豊平 ) キマダラルリッパメ 生息地 指昭和 9 年 5 月一日 所鳥取県鳥取市東町・栗谷町・上町 因伯神社 * りんし キマダラルリッパメは、鱗翅目シジミ チョウ科ミドリシジミ亜科に属する小形 の本種の属する切 s な属はアフ リカや東南アジアの・亜帯よ或に 数十種を擁する典型的な旧系の蝶群 て、あり、本種はわが国て、の唯一の代表種 て、ある。翅の開張は 30 ミリ内外、翅形は やや縦長、後翅には 2 本の長い糸状の尾 状突起を生じており、この特徴によって、 日本産のすべてのシジミチョウ類から区 別される。翅の表面は黒褐色、雄て、は前 翅基半部と後翅中央部に青紫色部があ り、また雌雄ともに後翅月工角部は橙黄色。 裏面の地色は鮮黄色てめて特異、数条 の黒条や黒紋をあらわすが、これらは中 央に鈍い銀色条をあしらい、後翅月工角は 黒色、その周囲は広く橙黄色て、、これら の斑紋の特徴によって一見して言嬲リて、き る。和名は黄色の斑↑期兼のあるツバメシ ジミの意味て、あるが、ツバメとは尾状突 起に由来するものて、あってツバメシジミ とは委館家が遠い。 国内て、は本リ、 FI の岩手県から島根県まて、 分布するが、その間の分布は極めて不連 続て、、狭い範囲に局限されている場合が 多い。原生林等にはみられす、生息地は 社寺林や : 、郊外の並木道など人為の 加わった環境にみられる。成虫は年 1 回、 6 ~ 8 月に発生し、暖地て、は発生が早い じんそくひしよう 成虫は樹の葉に静止し、時々通に飛翔 し、特にタ刻には活動が活発になる。ヒ メジョオン・オカトラノオ・ムシトリナ デシコ等を訪花して吸蜜する。幼虫の生 活は特異。卵はムネジワハリプトシリア ゲアリ等 0 na / og 切 - 属のアリの造 巣しているマッ類・サクラ・アキグミ等 の樹皮上の割れ目や地衣等に産みつけら れ、幼虫は樹皮下等に造巣するアリの巣 中に入り、アリからロ移しに餌を与えら れ、アリは幼虫の胴部背面の蜜腺から分 泌する蜜をなめる。 3 齢幼虫て、休眠し、 翌春更に成長して、アリの巣中て蛹化し、 羽化後巣外て、翅を伸ばす。美麗な壯生 の蝶て、、生活史も特異て、あり、生息地も 局限されているために、鳥取市内の数カ 所の寺社境内が天然記勿に指定されて ( 三枝豊平 ) 高知市のミカドアゲハおよび ようか その生息地 特別天然記念物 脂昭和田年 8 月 24 日 ( 天 ) 昭和 27 年 3 月 29 日 ( 特天 ) 昭和 27 年 3 月 29 日 ( 名称変更 ) 所高知県高知市天神町・筆山町・塩屋 崎町 高知県 ミカドアゲハは、鱗翅目アゲハチョウ りんし 産する。 限て、、ほかに普通種のアオスジアゲハを の種が分布しているが、日本は分布の北 アフリカのレから亜レ牆にかけて多数 本種の属する G カん襯属はアジアや 科アゲハチョウ亜科に属する大形の 翅の開張は 70 ミリ内外。翅形はたて長 て、、尾状突起を欠き、アオスジアゲハよ りやや幅広い。翅の表面の地色は黒色か ら黒褐色て、、黄白色ないし緑色 ( 八重山 諸島産 ) の大小多数の斑紋をあらわす。 これらの斑紋は翅のタ丘くの小楕円形 紋からなる亜タ家列と、前翅て、やや不連 続て、中央て幅広くなる中央列とに配列さ れ、さらに前翅中室内に 5 個の短い横条 をあらわす。翅の裏面は表面に似るが、 斑紋はやや大形、後翅の基部近くと、黄 白紋列の間、および内縁部に、黄色から 赤色紋をあらわす。和名は日本産亜種の 無効な学名〃〃加 ( 御帝 ) による。 日本からはイギリス人リーチによって 明治年間に発見され、本州 ( 紀伊半島東・ 南部と山口県 ) 、四国 ( 南半部 ) 、ル、 l'l 全域 つしま と対馬、南西諸島に産する。成虫は年 2 ~ 3 回、 5 月、 6 ~ 7 月、 8 月に発生す るが、第 1 化の個体数が最も多い。幼虫 の食樹となるモクレン科のオガタマノキ やタイザンボクが神社の境内や庭に植え られているために、低山や丘陵地、緑の 多い市彳也等に生息する。成虫は樹上を 毎に飛翔し、春はトべラやセンダンの 花を訪れ、夏には湿地て、Ⅱルトすることも ある。卵は食樹の葉裏に 1 個ずっ産卵さ れ、幼虫は若齢期は暗褐色、終齢は鮮緑 色て、胸部に 1 対の黄色の目 . 模様をあら さなぎ わす。蛹て越冬する。 本種は我が国における典型的な東洋区 系の蝶て、、大形て、美しく、分布域も西南 日本に限られ、個体数が必すしも多くな いために、多産地の高知市て天然記念物 に指定された。その指定地は天満宮境 内・要法寺境内・市立潮江中較て、ある。 これらのうち、要法寺と潮江中学校は周 囲の市街地化、交通量の増加等のために 生息環境の悪化がみられる。しかし、 れらの生息地の背後にある筆山一帯には 山内家の墓所を中心に本種の食樹も多 く、森林が保全されていて、指定地を含 めて本的にみると、多くの発生量がみ られるが、今後は食樹の植栽を含めた積 極的な保護対策が期待される。 ( 三枝豊平 ) 昆虫類・ 49 ひしよう
0 アサギマダラ北海道て、はまれだが日本全 上に分布する。紫や白色の花を好む。丘、 長距離の渡りをすることが分った。寿命が長 0 シロオビヒカゲ熱帯アジアには広く分布 しているが、沖縄て、は西表島・石垣島に生息 する。竹淋に産する。 0 イワカワシジミ幼虫はクチナシの果実を 食べる。実をつけるクチナシの多い戸ごけ局 ↓勺に産する。 はね コノハチョウ翅の裏面は枯れ葉模様て、あ るが、表面は鮮やかにいろどられている。森 林内のひらかれた明るい環境を好む。写真下 は植夜を吸うコノハチョウ。吸汁中は下向き に翅を閉じてとまることが多い を第言をし を・を はわ ぐ 0 シロオビアゲハエ剏衣列島以南に分布し、 沖縄て、はもっとも普通に見られる。ハイビス カスやランタナなど各種の花に好んて、集ま ミー物計ー 0 カバマダラ奄美大島・沖縄本島・八重山 諸島に分布。食草はガガイモ科のトウワタ。 明るい環境を好む。
りんし 鱗翅目ジャノメチョウ科ジャノメチョ ウ亜科に属する中形の蝶て、ある。本種の 属する 0 示属は最も寒地性のジャノ メチョウて、、そのほとんどは北半球の寒 帯に周極的に分布する。翅の開張は 50 ミ 鱗翅目タテハチョウ科ヒョウモンチョ リ内外。翅型はやや横長、雄て、は前翅端 ウ亜科に属するやや小形の蝶て、ある。本 がやや突出する。翅の表面は暗灰褐色、 ミヤマクロスゲ 種の属する C あ ss 属は北半球の亜 亜タには橙色味を帯びた黄褐色になる ダイセッタカネヒカゲ 寒帯から寒帯に種が多く、日本て、はほか ことがあり、雌て、は前翅のそのような部 にカラフトヒョウモン・ヒメカラフト 分に 3 ~ 4 個の小黒紋をあらわす個体も ヒョウモンが北海道に分布する。本種は ある。裏面も灰褐色て、、黒褐色の不明瞭 ヒョウモンチョウ類中最も小形て、、翅の な縞期策をあらわし、これらは後翅中央 開張は 40 ミリ内外。翅の表面は赤橙色の しばしば幅広い暗帯となり、その前後 ひょう 地に黒褐色の斑紋を配した典型的な豹 の地色は灰白色を帯びる。雄の前翅表面 紋模様て、、後翅の基部カ昿く黒褐色て、あ に明瞭な性標を欠く点て、、本リ羽中部山岳 ることや、亜タ家部の黒紋が山形て、ある に分布するタカネヒカゲと区別される。 ことが特徴的て、ある。後翅裏面は濃赤褐 国内て、は、北海道の大雪山系や音更 色て、、タ家と中央に銀白色紋列があり、 山・ニペソッ山や、日高山脈の幌尻岳・ とったべつ 同じく銀白色のつづみ形紋が前縁中央 戸蔦別岳の約 1800 メートル以上の高山 に、剣状紋が中室端部にある。 帯から知られる。生息場所は、高山帯の がんれき 大雪山て、は、標高 1800 メートル以上の 岩礫地て、あるが、幼虫の生息環境はウス かんばく 咼山帯のハイマッ等の灌木地帯やお花畑 パキチョウの場合よりも土質に富む、被 に生息し、成虫は、年 1 回 7 月中・下旬 植度の高い場所て、ある。成虫は、年 1 回、 に発生し、お花畑の上を低く活発に飛び、 主に 7 月中・下句に発生し、ほとんど花 コケモモやミネズオウ等の花を訪れる。 蜜をとらず、好んて、岩礫上に翅を閉じて 卵は食草や食草以外の植物、地衣等に 1 静止し、しかもしばしば体を横たえるた 個すっ産まれる。卵は間もなく卵ヒし、 めに、裏面の莫様が周囲の背景にとけ 初秋まて、に十分成長した 4 齢になって、 こんて、、見事な保護色になり、発見しに くい。卵は地表近くの石・地衣・枯草等 そのまま越冬する。翌年 6 月上旬に越冬 からさめた幼虫は脱皮して 5 齢になり、 に 1 個ずっ産み付けられる。年内に孵化 そのまま食をとらずに約 1 週間後に蛹化 した幼虫はダイセッイワスゲ・ミヤマク し、続いて羽化する。幼虫の食餌植物は ロスゲを食って 3 齢まて、成長して冬を越 し、翌春に摂食を再開して秋まて、に 5 齢 キノヾナシャクナゲ・コケモモ・クロマメ ノキ ( ツッジ科 ) とガンコウラン ( ガン 幼虫になり 2 年目の冬を越し、 3 年目の コウラン科 ) て、、主にキバナシャクナゲ 6 月上旬頃雪どけとともにハナゴケや矮 しようかんぼく 小灌木の上やすき間、時には礫の下の を食う。 ようか 本種は日本産の蝶類の中て、は、ウスパ 空間て蛹化し、つづいて羽化する。 キチョウ・ダイセッタカネヒカゲととも ウスパキチョウやアサヒヒョウモンと に最も極地・性が強く、大雪山の高山帯だ ともに、日本産蝶類の中て、は最も寒帯性 の種の一つて、、分布域も北海道の高山帯 けに生息地が限定されている典型的な周 性の種て、あることから天然記勿に指 に限定されているために、天然言己ま物に 定されている。大雪山の生息地は環境が 指定されている。本種の生息地はいずれ も高山帯の岩礫地ないし灌木帯て、、生息 十分に保全され、本種の個体数は多い 環境は十分に保護されており、発生量も ( 三枝豊平 ) 多い ( 三枝豊平 ) アサヒヒョウモン 指昭和 40 年 5 月日 所 ( 北海道 ) コマクサ ウスパキチョウ りんし キバナシャクナゲ アサヒヒョウモン キンロバイ ヒメチャマダラセセリ ガンコウラン カラフトルリシジミ 北海道のチョウの幼虫と食草 ようか わい 昆虫類・ 45
奇屋な連接時の行動ーーーーオガサワラトンポ オガサワラトンポは、東京の南約 1100 キロメートル、太 平洋のはるかかなたに点在する小笠原諸島のみに分布する 全身が鈍い金属光沢のある暗緑色をしたスマートなトンポ て、ある。 未熟な個体は流れの近くの森林帯の空間や j 各の上など をやや高く飛翔し、成熟した雄は池沼や渓流の淵の上に縄 張りを設置、縄張りの中を 1 メートル内外の高さて、時々、 空中の一点にホバリングしながら長時間飛び続ける。雌が 雄の縄張り内に飛来すると直ちに追飛、雌を捕えるとしば らくの間、連接したまま水域の近くを飛びまわる。その間 に幾度も雌が尾端て雄の交尾器を捕えて環状の交尾姿勢を とっては離す行動を繰り返す。やがてカッフ。ルは水際の草 や低木の小枝などに静止して本格的な交尾を行うが、交尾 の継続時間は割合短く、 3 ~ 4 分て離れることが多い 本格的な交尾に先立って連接中に瞬間的なリンクを幾 度も繰り返す行動は、、交尾への興奮を高めるための前戯的 な役割〃とも考えられるがその真意は当のトンボに聞くし かなさそう。このような奇怪な行動は他のトンボて、は観察 されていない ( 石田昇三 ) ムの枝などが選ばれることも多い。父 島・母島に普通にみられる。 ( 石川良輔 ) オガサワライトトンポ 指昭和 44 年 4 月に日 所 ( 東京都小笠原村 ) 小笠原固有のイトトンポて、 1 属 1 種、 イトトンポ科に属する。体長 35 ミリ内外。 体の地色は雄て、はうすい藍色て、背面は銅 光沢のある黒色の斑紋がある。上唇や後 豆盾はつやがあり藍がかった黒、その他 の頭部は黒。前胸は前縁と側部を除いて 黒味がかった藍色肢の腿節と脛節は外 側黒褐色。腹部はうすい藍色て、背面は黒 味をおび、先立躡には藍色。翅は透明て隸 紋は黒褐色雌は地色が緑がかった黄色 て、濃色の斑紋は雄よりも色がうすい。肢 は茶がかった黄色て、殞則も雄より淡色 腹部背面は黒色て、 8 ~ 10 節は側部も黒 い。父島・母島・向島にすむ。 ( 石川良輔 ) オガサワラトンポ ナオ島・台湾一直春・石垣島・中之島・種 島 ) 、ミナミトンポ ( フィリピン一ミンダ 近似種にリュウキュウトンボ ( 沖縄本 び、すばやい。父島・母島・向島にすむ。 雄は本やや曇る。水丘くの中空を飛 は透明て基部カ饉かに褐色をおびるが、 くが細く、先端は円く内曲する。翅は雌 下面は褐色。雄の尾部上附属器は基部近 全基節および前肢の転腿節、中肢の腿節 おび、下面に黄白部がある。肢は黒色て、、 胸部は緑色、腹部は藍色て基部は青味を 光沢のある藍色。体は金属光沢があり、 部は前面が黄白色て、前額の上面は美しい ボ科としては細長く、胸部は小さい。頭 属する。体長 50 ミリ内外て体は工ゾトン 小笠原固有のトンボて、工ゾトンポ科に 所 ( 東京都小笠原村 ) 指昭和 44 年 4 月に日 子島 ) がある。 ( 石川良輔 ) ハナダカトンポ 指昭和 44 年 4 月に日 所 ( 東京都小笠原村 ) 島に産するヤ工ヤマハナダカトンポがあ みられる。近縁種に八重山列島の西表 いりおもて 父島・母島・弟島に産し、水辺の林内に 柄状て、雄の後翅先端は褐色をおびる。 は細く透明、基部はイトトンボのように 腹部背面は雄て、は赤色、雌て、は橙色翅 褐色て、翅胸部に細い黄色の条線があり、 の方が雄より腹部が短い。体の地色は黒 るのて特異て、ある。体長 30 ミリ内外。雌 が翅より短く、頭楯は前方に突出してい カトンボ属に属する小笠原特産腹部 トンポ目、ハナダカトンボ科、ハナダ 昆虫類・ 55 ( 石川良舗 )