。、 - 亠にらを第 くじゅうさん 0 九重山のコケモモ群落 ( 大分 ) 寒冷地を好むコケモモが、九重山に群落を作り、日本ばか だいせん りか世界の分布の南限地となっている。日本て、は北海道から大山 ( 鳥取県 ) まて、連続的に分 布するが、それ以西て、は九重山だけて、ある。 にゆうかわ ①丹生川上中社のツルマンリョウ自生地 ( 奈良 ) 日本て、はひじように珍しい植物て、ある ツルマンリョウが、奈良県内には数カ所自生し、中て、もここ上ネ上中社の裏山には大群落を 形成している。山口県の自生地とともに分布北限にあたる貴重な生育地て、ある。
を要 .- 、をうら、メ : ノ じごくちたい ① 0 地獄地帯シロドウダン群落 ( 長崎 ) 雲 イ山温泉街にある火山性ガスの噴出地帯 ( 試 とよばれている ) の周辺には、亜研酸ガスに 強い植物だけが生育している。その駟頁がシ ロドウダンて、ある。ここて、は雲仙の花ミヤマ キリシマ ( 下の写真手前の赤い花 ) をはるか にしのぐ勢いて、ある。 たったやま ①立田山ヤ工クチナシ自生地 ( 熊本 ) 林 内に散在するクチナシの中に、株数は少ない が珍しい八重咲きの花を咲かせるものがあ る。花期は 6 月下句から 7 月にかけて。 0 出雲神社ツルマンリョウ自生地 ( 山口 ) ツルマンリョウは南方系の小低木て、地面を はうように生育する。、トに、は奈良県と山口 こは分布の北限にあたる。 県だけに自生し、 150 ・常緑・落葉低木の群落
いずもじんじゃ 出雲神社ツルマンリョウ自生地 指昭和 32 年 2 月 22 日 所山口県佐波郡徳地町堀 闇出雲神社善 出雲神社社叢の鬱蒼とした照葉樹林 ( コジイ林 ) の林床にツルマンリョウが群 生している。本種は南方系の常緑匍匐性 の小低木て、中国、台湾、屋久島に生育し、 本州の奈良県と当山口県にだけ自生す 当地は本種の分布北限て、ある。出雲神 社は近隣ても屈指の古社て、、尊崇が厚 かったこともあり社叢は今まて伐採され ることがなかったという。したがって原 生オ態て保存されている林内に古くか ら本種が自生していたのて、あろう。ただ 生育地を遅するらしく、照葉樹林内の やや明るい所を好んて、いる。以上からも わかるがこのツルマンリョウを保護する ためには生育環境としての様々な要素を 兼ね備えた照葉柆抃木をも保護しなければ うっそう しやそう ならないのて、ある。 コケモモの花と実 ( 中越信和 ) 九重山のコケモモ群落 脂昭和 37 年一月 26 日 所大分県直入郡久住町・玖珠郡九重町 農林水産省 コケモモはツッジ不斗の植物て、、高さ 10 ~ 15 センチの常緑小低木て、ある。 5 ~ 6 月頃、うすもも色のつりがね型をしたか わいい花をつけ、 10 月頃、ノ」寸旨の先ほど の丸くて赤い果実を結び、食べられる。 北極をとりかこむ水河周辺の酸匪湿原 からアジア・北アメリカの寒帯に分布し、 日本列島て、は高山帯に生育して、ハイマ ツ群落の代表的な植物になっている。鳥 取県大山まて、は連続的に分布している が、それより西て、は九重山群にド融勺に 分布しており、こが日本ばかりて、なく、 世界における分布の南限地になってい たいせん 九重山群は久住山・大船山・稲星山・ ほっしよう 星生山・三俣山など 1700 メートルを超 える火山が連なっているため、冬季の気 候は厳しく、しかも若い火山て、あるから、 海抜 1500 メートル付近が森林限界に なって、これより上部はミヤマキリシマ やコケモモの低木林を形成している。 コケモモ群落は、地面をはうようなミ ヤマキリシマの低木とコケモモ・マイズ ルソウ・イワカガミ・マンネンスギなど の高山植物がマット状の群落をつくって おり、群落学上はミヤマキリシマーマイズ ルソウ群集のコケモモ亜群集に所属す る。九重山群の久住山・中岳・稲星山・ 三俣山・星生山から肥前ケ城一帯の風衝 地に、じゅうたんを敷きつめたように分 布している。 寒さ、強風、酸性の火山灰土壌などに 強いコケモモ群落て、あるが、踏みつけに よる機勺な破壊て、消滅しやすい。登山 道以外には立ち入らない配慮が望まれ くじゅうさん いなほし くじゅう ( 須股博信 ) にゆうかわかみじんじゃなかしや 丹生川上神社中社のツルマン リョウ自生地 指昭和 32 年 5 月 8 日 所奈良県吉野郡東吉野村 闇丹生川上神社中社 * 紀ノ川は奈良県内て、は吉野川と呼ば れ、本流から高見川を分けるが、さらに 上流の高見川と四郷川の合流点の右岸 に、丹生月止ネ上中社が鎮座する。この 社の背後の小翁届岳の西斜面のウラジロ ガシ・イチイガシ・モチノキなどの常緑 広葉樹林の林床約 1 ヘクタールにわたっ て、ツルマンリョウが大群落をつくって 奈良県て、はツルマンリョウの自生地は 妺山樹叢 ( 143 ページ参照 ) として指定さ れた物件に次ぐ自生地て、、この他 ! 旨定 の物件が 4 件ある。奈良県外ては山口県 防府市の出雲神社境内の自生地が指定さ れている。わが国て、はこの 2 ヵ所と屋久 島に分布するだけの希産種て、あるが、奈 良県については多産種といえる。また、 台湾や中国に分布している。 ツルマンリョウはヤプコウジ科の常緑 のつる性低木て、、隹異株て、ある。開花 期は 7 月上・中句て、、雌花は花後しおれ たまま茎について越冬し、翌年 5 月ごろ から子房がふくらみはじめ、 9 月に紅熟 する。花は直径約 5 ミリメートル、葉腋 に束生し、花冠は白色茎はほとんど分 枝することなく、 1 メートル程度まて成 長するが、たいていの場合それまて、に倒 伏し、匍匐状となり先端カ舸び上方へ向 いもやま かって成長しはじめる。 ( 菅沼孝之 ) 常緑・落葉低木の群落・ 153
いぶき山イプキ樹叢に 3 ■常緑・落葉低木の群落 ハマナス自生南限地帯に 6. オオヤマレンゲ自生地に 7 椛のシデコプシ自生地に 7 川上のユズおよびナンテン 自生地ロ 0 野岳イヌツゲ群落 黄柳野ツゲ自生地 古処山ツゲ原始林 池の原ミヤマキリシマ 群落 4 ーロ 5 大船山のミヤマキリシマ 群落 6 ー 7 美森の大ヤマツッジロ 7 躑躅原レンゲッツジ およびフジザクラ群落 7 に 7 吾妻山ヤ工ハクサンシャクナゲ 自生地図 3 花山のアズマシャクナゲ 自生北限地帯図 3 鎌掛谷ホンシャクナゲ群落図 6 シシンラン君を客丐 7 純林 7 大山のダイセンキャラボク 5 コ 56 鹿児島県のソテッ自生地 都井岬ソテッ自生地 4 ー 5 ツルマンリョウ自生地ー引 丹生川上神社中社の 九重山のコケモモ群落ー引 自生地 0 出雲神社ツルマンリョウ 立田山ヤ工クチナシ自生地馬 0 地獄地帯シロドウダン群落 0 自生地図 7 大ヶ岳ックシシャクナゲ 群叢図 7 多良岳ックシシャクナゲ 自生地図 7 八ヶ岳キバナシャクナゲ 群落 7 一之瀬のホンシャクナゲ ■タケ 高良山のモウソウキンメイチク林 田 0 コ引 久喜宮のキンメイチク刪 祝子川モウソウキンメイ竹林刪 鳥屋野逆ダケの藪田 2 トラフダケ自生地田 2 本谷のトラフダケ自生地田 2 竜野のカタシポ竹林 2 篠原のキンメイチク刪 敷島のキンメイチク刪 湯の丸レンゲッツジ群落図 0 ーⅢ 落石岬のサカイツッジ 自生地図 0 京丸のアカヤシオ およびシロヤシオ群生地Ⅲ 草津白根のアズマシャクナゲ およびハクサンシャクナゲ群落 図 2 ー図 3
ヤ工ヤマヒルギの胎生種子 / 種村ひろし ヤ工ヤマヒルギの花 / 種村ひろし 102 ・高島のビロウ自生地 / 熊田達夫 103 ・高島のビロウ自生地 / 熊田達夫 ウブンドルのヤェヤマヤシ群落 / 宮城和雄 船浦のニッパヤシ群落 / 平井順光 ・米原のヤ工ヤマヤシ群落 / 森田敏隆 105 ・ヤ工ヤマヤシ群落 / 千葉克介 ヤ工ヤマヤシの根 / 森田敏隆 常緑針葉高木林 108 ・幌満ゴョウマッ自生地 / 小原直久 1 的・幌満ゴョウマッ自生地 / 小原直久 三ノ公川トガサワラ原始林 / 桑原英文 110 ・山中のハリモミ純林 / 桑原英文囲 / 渡辺晴夫囿 早池峰山のアカエゾマッ自生南限地 / 北條光陽 ヒノキアスナロおよびアオトドマッ自生地 / 林勝也 鶉川ゴョウマッ自生北限地帯 / 林勝也 111 ・平松のウックシマッ自生地 / 森田敏隆 桃洞・佐渡のスギ原生林 / 千葉克介 Ⅲ・屋久島スギ原始林 / 渡部まなぶ 116 ・屋久島のスギ / 尾白明夫 Ⅱ 7 ・ヤクシマシャクナケの群落 / 水越武 スギ原生林遠望 / 佐竹宏 コスギの群落 / 高寺志郎 118 ・縄文杉 / 森田敏隆 119 ・大王杉 / 佐竹宏 万代杉 / 佐竹宏 仏陀杉 / 佐竹宏 ウイルソン株 / 森田敏隆 122 ・大瀬崎のビャクシン樹林 / 大橋治三 大瀬崎のビャクシン樹林空撮 / 豊高隆一 大瀬崎のビャクシン樹林と富士山 / 阿部司郎 田上村ツナギガヤ自生地 / 木原尚 小郡町ナギ自生北限地帯 / 森田敏隆 123 ・ヒノキアスナロおよびアオトドマッ自生地 / 林勝也 いぶき山イプキ樹叢 / 村田功雄 常緑・落葉低木の群落 126 ・ハマナス自生南限地帯 鳥取県 / 神山典之 127 ・茨城県 / 村田功雄 オオヤマレンケ / 桑原英文 オオヤマレンケ自生地 / 桑原英文 シデコプシ / 八木祥光 椛のシデコプシ自生地 / 八木祥光 ・川上のナンテン自生地 / 神山典之 野岳イヌッケ群落 / 城本武千代 イヌッケの花 / 宮崎圭介 黄柳野ツゲ自生地 / 八木祥光 古処山ッケ原始林 / 長峰重良 ・池の原ミヤマキリシマ群落 / 森田敏隆 ・大船山のミヤマキリシマ群落 / 高寺志郎 137 ・美森の大ヤマツッジ / 森田敏隆 躑躅原レンケツッジおよびフジザクラ群 落 / 飯島志津夫 140 ・湯の丸レンゲッツジ群落 / 片貝一郎 落石岬のサカイツッジ自生地 / 木原浩 141 ・京丸のアカヤシオおよびシロヤシオ群生地 アカヤシオ / 大貫茂 アカヤシオ群落 / 森下静人 シロヤシオ群落 / 森下静人 シロヤシオ / 熊田達夫 142 ・草津白根のアズマシャクナゲおよびハクサ ンシャクナケ群落 / 今井高峯 吾妻山ヤ工ハクサンシャクナゲ / 番匠倉勝 花山のアズマシャクナケ自生北限地帯 / 早坂邦太郎 アズマシャクナケ / 早坂邦太郎 146 ・鎌掛谷ホンシャクナケ群落 / 木本義一 147 ・一之瀬のホンシャクナケ群落 / 近藤誠宏 八ヶ岳キバナシャクナケ自生地 / 浦野栄作 大ヶ岳ックシシャクナケ自生地 / 城本武千代 多良岳ックシシャクナケ群叢 / 川崎高吉 150 ・地獄地帯シロドウダン群落 / 伊藤秀三囲 / 村田孝道囿 立田山ヤ工クチナシ自生地 / 中島七光 ヤ工クチナシ / 中島七光 出雲神社ツルマンリョウ自生地 / 西谷友一 151 ・九重山のコケモモ群落 / 長峰重良 丹生川上神社中社のツルマンリョウ自生地 / 山田隆造 保・都井岬ソテッ自生地 / 森田敏隆 155 ・鹿児島県のソテッ自生地 佐多町 / 熊副穣田 / 森田敏隆 ( 中 ) ソテッの株 / 熊副穣 156 ・山川町 / 森田敏隆 ( / 熊田達夫囿 坊津町 / 熊副穣 内之浦町 / 熊副穣 ( / 森田敏隆囿 157 ・大山のダイセンキャラボク純林 / 横溝哲利 霧氷のダイセンキャラボク / 寺脇昭男 ダイセンキャラボクの実 / 吉田昭市 157 ・シシンラン群落 / 桑原英文 シシンラン / 冨成忠夫 タケ ・高良山のモウソウキンメイチク林 / 森田敏隆 161 ・モウソウキンメイチクの稈 / 長峰重良 敷島のキンメイチク / 高寺志郎 久喜宮のキンメイチク / 森田敏隆 篠原のキンメイチク / 前佛勇 祝子川モウソウキンメイ竹林 / 鶴野孝典 162 ・竜野のカタシポ竹林 / 木本義一 本谷のトラフダケ自生地 / 中村昭夫 トラフダケ自生地 / 西崎久員 鳥屋野逆ダケの藪 / 木原尚 西方寺の逆ダケ標本 / 木原尚 ・ 167
ことて、天然記念物保護ははかられてきたのて、ある が、もうこの辺て、考え方を改め、管理を伴った天然 記念物の指定にふみきるべきだと思う。もちろんそ の場合には、植生管理のマニュアルをきめて、それ に従うということて、ないとまずいが。 ロガシ・アカガシ・アラカシ・シラカシ・ツクノヾネ 表的な常ム葉高木林としては、スダジイ・ウラジ 限地帯だけというのはまことに淋しい。わが国の代 イガシ各 1 ヵ所のほか、ツバキ・サザンカなどの北 常緑広葉高木林て、は、シイノキ・クスノキ・イチ も気が向いたものを適当に指定したという感じて、あ いのに驚く。たびたび述べたことて、はあるが、これ 東以南に多いのて、あるが、ほとんど指定されていな いわゆる照葉材木を構成するものが関 ガシ・コジイ・ウバメガシ・タブ・イスノキ・ヒメ ツバキなど、 常緑および落葉低木の群落て、は、圧倒的に多いの ノヾーしているが。 て、は、林野庁の学術参考保護林がかなりのものをカ 表的自然はすべて含まれるようて、ありたい。その点 て、ないかがわかる。記念物というからには日本の代 うちのごくわずかにすぎない。指疋がいかに的 が、天然記念物として指定されているものは、その マツ・キタゴョウ・ヒメコマツなどがあげられよう キ・ヒノヾ・ヒノキアスナロ・スギ・アカマツ・クロ ビソ・カラマツ・コメッガ・トウヒ・クロべ・ヒノ は、トドマツ・アカエゾマツ・オオシラビソ・シラ 常緑針葉高木林についても日本の代表的なもの る。根本的に見直しを要する。 がシャクナゲ・ツッジて、、その他はナンテン・ツゲ・ イヌツゲ・コケモモ・ツルマンリョウ・ヤェクチナ シ・オオヤマレンゲ・シデコプシ・ハマナス各 1 ~ 2 件というところて、ある。たくさんある広葉低木の 中からこれだけて、よいのか、検討を要するところて、 ある。常緑針葉低木林としては、ソテッ自生地 2 件 とダイセンキャラボク林のみて、ある。このグループ て、誰て、も頭にうかぶのはハイマツ・ハイネズなどて、 あろうが、そういうものは対象としてとりあげられ ていない。ハイマッ帯などは国立公園の特別保護地 区とか原生自然環境保全地域に含まれているが、天 然記念物としては重複をいとわす指定してほしいも のて、ある。 タケて、はキンメイチク・サカサダケ・カタシポダ ケ・トラフダケのように、木なら珍木奇木といった ところて、ある。もっとノーマルなマダケ・ハチク・ モウソウチク・ヤダケなど、ササまて、広げればクマ イザサ・チマキザサ・チシマザサ・ミヤコザサ・ネ ザサ・アズマザサなどかなり多くのものが指定の対 象になるはずて、ある。しかもこれら多くの竹林や笹 原は、単に柵の中にかこっておくといった保護て、は なく、適切な管理を要する方の記念物て、ある。 以上、樹木の群落や自生地て次然記念物に指定さ れているものを簡単に概観してみたのて、あるが、全 体の感想を述べてみたい。植物編の 3 巻、 4 巻、 5 巻全体として、明治以来の巨樹名本が強く、それ以 後に指定された草本性あるいは木本↑直生は弱い その弱い中にも巨樹名木の中にある奇木珍木的発想
自然林は島の中央部からほほ凍半分に わたっている。ミズナラ・イタヤカエデ・ シナノキ・ホオノキ・ナナカマド・ハン ノキなどが主体て、あるが、この島を特徴 づけるのは、イチイ ( オンコ ) の原生林 て、ある。島の東部に約 1 キロ平方メート ルにおよぶイチイの大群落があり、混交 する落葉広葉樹と美しい対比を見せてい ( 羽幌町および編集部 ) 満珠樹林 まんじゅ 置下関市 所山口県下関市豊浦町 囮大正年田月 20 日 べラなどその漿果が鳥に食べられ、その しようか プ・ハマビワ・モチノキ・ヒサカキ・ト いえる。また樹林の構成種をみるとタ いて、本島は島嶼生態学上貴重な存在と 類の樹木が高木層て、共存している点にお 成されている。小島にもかかわらず多種 ばタブなどが優占することなく森林が構 かなく、林内て、は特定の照葉樹、たとえ 島の総面積はわずか 1.2 ヘクタールし 這い、樹木によじ登っている。 ツルウメモドキなどがあちこちぞ林床を カズラ・フウトウカズラ・ツルマサキ・ 構成している。つる植物も多く、ティカ ウなどが島を縁どるように海岸低木を ハマセンタン・ハマクサギ・ハマニンド ホソノヾカナワラビが多い。また、トべラ・ い森林を構成している。森林の林床には 広葉に、、これらカ鯤生してやや背の低 キ・アカメガシワ・ハゼノキなどの落葉 葉植まやイヌビワ・ホソノヾイヌビワ・エノ キ・ホルトノキ・モチノキなどの常繍ム ノ・ヒメユズリハ・ヤブッノヾキ・ヒサカ ワ・モチノキ・ヤプニッケイ・カクレミ 森林の主要構成種はタブノキ・ハマビ ほとんど受けていない な島て、ある。島の植材木は人為的な攪乱を かくらん 西部の本来の植物的自然を知る上て、重要 から 1 キロメートル離れた島て、、瀬戸内 の高い美しい植材木に覆われている。本土 気朱島は瀬戸内海の西端にある自然度 中の種子が消化されることなく運ばれる 植物が多い。このことは一殳にド売きの 所に比べて、島には鳥によって種子が運 ばれる植物が多いことの一具体例を示す かった。本島の植物相は南のル羽や四国 の植物相に類似している。なお、地名は 天然記念キ刎旨定時のものとした ( 国土地 工野完の地形図て、は逆 ) 。 虚空蔵島の亜熱帯林 指昭和 26 年 6 月 9 日 ( 中越信和 ) ものて、ある。 干珠樹林 かんじゅ ( 中越信和 ) 指大正年田月 20 日 所山口県下関市豊浦町 置下関市 干珠島朱島よりさらに沖合いにあ る ( 土地台帳による ) 面積 4.5 ヘクタール の小島て、ある。本島も満珠島同様西瀬戸 内の原始的自然を保ち、本上と異なった 島Ⅱ鄭直物相を有している。干珠には満 珠に生育する植物以外にバクチノキ・イ スノキ・クロガネモチ・ネズミモチ・モッ コク・ネムノキ・マサキ・シイ・クロキ・ アオキ・ホオノキ・ニワトコ・チシャノ キ・オオバグミ・イヌマキ・イズセンリョ ウ・マンリョウなどの樹木やムペ・ビナ ンカズラ・シマ - ナ . ルナシ・キショラン・ オオッヅラフジ・サカキカズラなどのつ る植物、ツワプキ・イワタイゲキ・ハマ マツナ・ハマウド・ラセイタソウ・ハマ 工ンドウ・ダンチク・オニャプソテッな ど海岸生の草本が生育している。 より島が大きいことや、植物の生 育地がより多様なことなどが植物相を豊 かにしているのて、あろう。島内には 7 財斗 186 種の植物が生育している。樹林内て、は おもにシイが優占しており、植生高も高 い。他の植重は林内の亜高木・低木層に 生育していたり、高木のシイとシイの間 のすき間に生育していたりするなどして シイと共存する形て生育している。島内 の植物相を詳しく調べてみると、バクチ ノキ・モッコク・チシャノキ・オオノヾグ ・イヌマキなど主として暖帯南部に分 布する植物が多く含まれていることがわ 所宮崎県南那珂郡南郷町中村 置南郷町 日南海岸の一角、目井巷に浮かぶ小 島て、あったが、近年ド橇をきになった。周 囲約 1 キロメートル、標高 56 メートルの 小島に亜帯↑直物を中心に 57 科 171 種 の植物が生育している。寛永 16 年 くぞうばさっ ( 1639 ) 、今から約 350 年前に虚空蔵菩薩 が祠られ、それ以来聖域としてこの島の 森林が保護され、この環境における極相 林となったものと思われる。 周囲をオニャプソテッーハマビワ群集 て被われた、群落高 20 メートルのアコウ ータフ羊落の極相林て、ある。林冠は直径 1 メートルに達するタブ・アコウの巨木や ホルトノキ・スダジイ・ホソバタブ等が 9 ヾーセントを被っている。その下層に はモクタチバナが優占し、フカノキ・ギョ クシンカ・バクチノキ・ハドノキ・イヌ ビワが多い。林床はオオイワヒトデ・ア オノクマタケラン・イシカグマ・ノシラ ン・ムサシアプミ・ホソノヾカナワラヒ、・ ニセコクモウクジャクが繁茂し、樹幹に はオオタニワタリ・フウトウカズラ・シ ラタマカズラ・オオイタビ等が着生し、 暗い密林をなしている。 この小島にはビロウ・フカ / キ・ショ ウべンノキ・イソヤマアオキ・ギョクシ ンカ・リュウビンタイ・オオカラスウリ・ マルバハダカホォズキ・ササキビ等の代 表的亜熱壯直物が集まり、アコウの巨 木の群生とともに学術的価値が高い。 この島の所有は南郷町の西明寺て、ある が、管理は南郷町がやっている。丘、 釣り客等の島内への出入りが激しく、オ オタニワタリは盗掘され、林床が荒れて いる。 ( 外山三郎 = 宮崎、南谷忠志 ) 小島の自然林・ 57
べんてんじま 弁天島熱帯性植物群落 指大正Ⅱ年 3 月 8 日 所徳島県阿南市橘町小勝 闇阿南市 おおしま あおしま 大島暖地性植物群落 昭和 32 年 7 月田日 所三重県北牟婁郡紀伊長島町長島 紀伊長島町 この植物群落は紀伊長島町の南南東約 弁天島は徳島市の南に位置する阿南市 蒼島は小浜湾内に浮かぶ面積 8250 平 5 キロメートルの海上にある東西約 400 椿町にある周囲 1 キロメートルあまり、 方メートルの無人島て、、砂岩と粘土岩と メートル、南北約 500 メートル、海抜約 90 高さ 17 メートルの小島て、ある。 の互層による基盤から成り、周囲は急峻 な断崖になっている。この斜面にはタブ メートルを最高所とする無人島に発達生 島にはウバメガシ・トべラ・マサキな 育している。この島には最高所に無人灯 ノキ・スダジイ・ヤブッパキ・モチノキ どの海岸林が見られ、クロマツもある。 台が設けられているほかには人工物はな また、崖地にはユリ科のキキョウランが などがうっそうとしげり、典型的な暖地 く、全島スダジイの原生林て、おおわれ、 生育している。注目されているのは、亜 ↑生常糸剥ム葉植材木が残されている。 森林内には暖地・附直物が多く生育してい 熱帯植物といわれるアコウの自生て、あ 島内から 55 科 122 種の植物が記録され る。すなわち高木層に樹高 10 ~ 13 メート ているが、そのうちの多くのものは暖地 ルほどのスダジイが優占し、これにタブ 熱物葮物群落とはいっても、実状と 性て、、代表的な種類としてカラタチバ ナ・サカキ・シロダモ・スダジイ・タブ ノキ・ヤマモモ・オガタマノキ・ヒメユ は一致しているとはいえない。また ズリハ・クスノキを混生し、亜高木・低 とは海岸から約 1 キロメートルほど沖に ノキ・ツクノヾネガシ・トべラ・ナタオレ 木層にカクレミノが優占し、ヤブッパ ノキ・ハゼノキ・ヒトッノヾ・ヒメユズリ あったが、近年島のすぐ近くまて埋め立 ハ・べニシダ・ホソノヾカナワラビ・マメ キ・タイミンタチバナ・イヌマキ・オガ てられ、植生の保存状態はあまりよくな ヅタ・マルバグミ・マンリョウ・ムサシ いのが現状て、ある。 タマノキ・ノヾクチノキ・オオノヾグミ・モッ ( 山中二男 ) コク・コカラスザンショウなどを混じ、 アプミ・ムペ・モチノキ・モッコク・ヤ ブッパキ・ヤプニッケイなどをあげるこ 草本層はホソバカナワラビを主にイワヒ 津島暖地性植物群落 とがて、きる。中て、もナタオレノキ・ムサ トデ・ナチシダなどのシダ類、それにハ 指昭和 48 年 4 月 23 日 シアプミが、この島に分布することは特 スノハカズラ・フウトウカズラ・キジョ 所徳島県海部郡牟岐町 筆すべきことて、、両種ともに北限産地と ラン・ティカカズラ・サカキカズラなど 闇牟岐町 なるものて、あるから、貴重な存在と言え の常緑性つる茎植物、海岸性のツワプ る。本島は陸地より遠くないが、離島の 紀イル道にある小島には、自然林が比 キ・キノクニスゲなどを混生したわが国 ため訪ねる人も少なく、現在のところ、 の暖かい地方の海岸林の代表的な群落生 申知勺よく残っているところがあり、津島 上肆知勺よく保存されている。しかし、今 態を呈した原生林て、ある。 もそのひとって、ある。 後、さらに保護に留意する必要がある。 島は西南側の一部に狭い砂浜海岸があ この島は牟岐町の沖約 3 キロメートル るほかは断崖となっている。この砂浜に にあり、高さは 44 メートル、面積は狭い ( 里見信生 ) はハマオモト ( ー名ハマュウ ) が一面繁 が、全島がほとんど林におおわれている。 茂していたが、伊勢湾台風て大部分流失 優占する木はスダジイて、、タブノキ・ してしまった。その後上地の人々の保護 ヒメユズリハ・モチノキ・モッコクなど が混生し、林内にはヤブッノヾキやタイミ 活動により現在ほとんど回復し、 7 ~ 9 月には白色て劣香のある美花て砂浜一面 ンタチバナが多い。地上にはホソバカナ を飾る。また、この島の断崖上には日本 ワラビ・ムサシアプミ・コャプランなど て、の最北の自生地をなすオオタニワタリ が生じ、また四国て、はおもに南西部の島 が生育するのをはじめ、ナチシダ・タマ に生えるアオノクマタケランやシラタマ シダ・メジロホォズキ ( サンゴホォズ カズラが見られ、ことにシラタマカズラ キ ) ・ハチジョウススキなど暖地海岸性の の繁茂カ墸しい 植物が多く生育している。 津島の植生は四国のスダジイ林て、も南 ( 南川幸 ) 方的な色あいの強いものて、、これからも いっさい人手を加えずに残しておくべき て、あろう。 ( 山中二男 ) 小島の自然林・ 53 蒼島暖地性植物群落 囮昭和 26 年 6 月 9 日 所福井県小浜市加斗 小浜市 つしま タブノキ スダジイ オオハクミ ホソバカナワラビ ャブッパキ イワヒトデ フウトウカスラ タイミンタチハナ サカキカズラ ティカカズラ 大島暖地性植物群落のスダジイ林 ( 海抜 80m 付近 ) ( 調査葛山博次 )
の自然性は極めて高い。 とくに海抜 120 洲藻白岳原始林 ~ 150 メートルの低海抜のゆるやかな地 囮大正に年 3 月 7 日 形に応上するスダジイ林は、容易に農耕 所長崎県下県郡美津島町洲藻 地に変えることのて、きる立地にあり、わ 農林水産省 * が国て、もめすらしい存在て、ある。上方に 白岳は対馬の中部にある石英斑岩の山 向かって傾斜は次第に急となり、海抜 て、、海抜 519 メートルに達する。項上直下 350 メートル付近からはスダジイ林はア の傾斜地には、アカガシ・モミ・ヒメコ カガシ林に代わり、山項にいたる。 スダジイ林は樹高 20 メートル、最大の マツ・イスノキなどの照葉樹林が発達し ている。林下にミヤマシキミが多い。モ 卓行釜は 1 メートルに達する。 常緑高木のスダジイ・イスノキ・ウラジ ・ヒメコマツ・ミヤマシキミ・カクレ ミノ・コハウチワカエデ・ナガノヾノコウ ロガシ・カゴノキ・オガタマノキ・モッ ヤボウキなどは、 コク・ヤブッパキ・モチノキ・ネズミモ こを分布の西限地と する日本固有種て、ある。いつほ。う、コバ チ・ヤプニッケイ・カクレミノ・サカキ・ ノチョウセンエノキ・ノグルミ・ゲンカ シロ夕、モ・ホソバタブなど、常緑低木の イツッジ・チョウセンヤマツッジは大陸 ミヤマトべラ・マンリョウ・アリドオシ・ 系の植物て、、この白岳て、は日本系と大陸 コショウノキなど、常緑草本て、はべニシ 系の植物カ鯤生していて、植物分布上、 タ % シュンラン・キエビネ・ナツェビネ 特色ある植物相を形作っている。 キリシマエビネ・シュスラン・オオカナ 山項部の石英斑岩の露岩地には、とり ワラビ・コバノカナワラビなどが生育す わけ大陸系の植物が集中している。イワ る。 シデ・ゲンカイツッジ・チョウセンヤマ 上方のアカガシ林は雲霧帯に発達する ツッジが群落を作る。とくにチョウセン 森林て、ある。常緑木本のアカガシ・ヤプ ヤマツッジは日本て、は対馬以外には生育 ツノヾキ・カクレミノ・ネズミモチ・ヒサ せず、対馬の中の 3 ヵ所の自生地のうち、 カキ・ミヤマシキミのほかに、落葉木本 こがもっとも生育量の多いところて、あ のタンナサワフタギ・ヤプムラサキ・ア る。イワシデとゲンカイツッジは、ル、 N ワプキ・コノヾノミッノヾツッシ・サノレトリ から瀬戸内地方まて、岩角地を飛び石状に イバラが加わり、そのほか草本類のチゴ 分布がのびているが、白岳においては密 ュリ・キッコウハグマ・ヤマイタチシダ・ 度高く生育する。日本において大陸系の ヌスビトハギ・ケイリンギボウシ ( 大陸 植物が数多く生育するところは、白岳が 系植物 ) などが林下に生ずる。雲霧帯に ( 調査伊藤秀三・川里弘孝 ) 唯一て、あり、植物地理学上、貴重な場所 当たっていて空中湿度が局いため、ヨウ て、ある。なお白岳山項は、対馬の固有種 ラクラン・カヤラン・マメヅタ・ヒメノ キシノブ・カタヒバなどの着生植物が多 シマトウヒレンの唯一の産地て、もある。 いのも特色のひとって、ある。 ( 伊藤秀三 ) 低地のシイオ料或から高地のアカガシ林 域まて照葉樹林が幅広く残っていること と、その原始匪の高さて、は、日本て、も有 数の照葉抃木に数えることがて、きる。 ( 伊藤秀三 ) すもしらだけ ススキ イワシデ イトスケ イワシデ チョウセンヤマツッジ 海抜 500m 付近 ゲンカイツッジ ススキ 洲藻白岳のイワシテ群落 たつらやま 竜良山原始林 指大正に年 3 月 7 日 所長崎県下県郡厳原町豆酘 闇農林水産省 * 竜良山は対馬下島にあり、海抜 559 メートル、対馬第 2 の標高をもつ。その 北側斜面に海抜 120 メートルの低地から 山項まて、、照葉樹原始林カ昿がる。全域 40 ・自然林
重厚な緑のシンフォニ ル、の小島の自然林探訪ー 「見えるかね、お客さん、あそこにばつんばつんと五、六 株の葉があるだろう。あれがビロウだよ。海からも見やす いように、まわりの木を伐採してあるんだ」工ンジン音の 中て、漁師カ哘く手を指さして言った。高島は小高く盛りあ がり、濃い緑におおわれていた。船が近づくにしたがって、 すっくと直立する灰色の幹と、他の常緑樹より幾分明るい ビロウの葉が鮮明になってきた。島の中心には群落もある が、道がないのて、行くのは無理だと漁師の言。船は大きく 迂回し、島の反対側の岩場に舳先を着けた。「気をつけてな」 の声を背に島にとび移り、岩づたいにまわり込む。ふり仰 ぐと斜面に沿って 10 本をこえるビロウが天に向かって屹 立していた。大きく広げた葉の先端カド垂している。地を 這うテリハノイバラの海岸を波打際ぎりぎりまて、退った。 ちんにゆうしや 不意の闖入者に驚いたフナムシが、三脚のまわりを騒が しく動きまわっていた。 平戸城天守閣から見る黒子島は、名の通り黒々とした樹 林におおわれ、平戸瀬戸にどっしりと鎮座していた。価度 し船て、わずか 5 分、平戸港からは指呼の間て、ある。島に 歩踏み込むと、まず古色蒼然たる鳥居があり、朽ちかけた 社殿にツタが這い、シダが床下から顔をのぞかせていた。 頭上には巨樹のアコウやスダジイ・アカメガシワなどが葉 を広げ、まるて、社殿を丸ごと呑みこんて、いるようだ。道は どこにも見あたらない。わずかに、社殿の裏側にそれらし い跡は見受けられたが、途中からシダ・カクレミノ・ムサ シアプミなどによってさえぎられ消えていた。岸沿いに廻 ろうと何度か試みたが、どっちへ行っても行く手をふさが れてしまう。人の手が入らないと樹林というのは、 暴れるが如く繁茂していくものだろうか。島そのものが すつほ。り原生林として存在している。いっしか満潮に向 かっているらしく、踏みあとはあっという間に潮に浸され ていった。まるて、人間の到来を島全体が拒んて、いるようだ。 壱岐島の北端の勝本から辰の島に渡った日は、雨こそ 降っていなかったカ哂風がめつほ。う強く、玄界灘のうねり に漁鉛は板切れのように翻弄された。私は船べりにうずく まり青い顔をして、日喆斤り船頭の顔を盗み見たが、彼は平 然として操船していた。一蓮托生の思いを抱き続けた数ート 分間が果しない時間に感じられた。接岸て、きるただーっの 内湾から一ヒ陸し、岩陰て、風をよけながら一呼吸入れた。辰 の島は平坦な小島て、壱岐に向かって大きく彎曲している。 その曲った内湾沿いが砂浜て、ある。目あてのハイビャクシ ' ' にあった。砂浜一面にびっしりと根を張り、まる ンカま て緑色のふかふかの布団を敷きつめたようだ。腰をおろし てみるとかなりの弾力て、ある。本州の高山のハイマッ帯を 思い出させる感触だ。同じ海岸にはえるハイネズによく似 ているが、イプキの変種てある。ハイネズは針状の葉に触 れると痛いが、こちらは痛くなかった。ハイビャクシンに 交っていくっかのハマュウの大きな葉が見受けられた。ハ マボウフウはすてに実になっていた。沖合いはまだ白い波 頭の絶え間がなく、帰路の船上が思いやられた。 対馬上島の厳原の町をはずれ、バラスの林道を四輪駆動 たつら て一気に登りつめた。右手の稜線の先に、竜良山がなだら かな三角形を描いていた。役場て測いたルートが見つから ず、いったんひきかえして北西側の谷にまわり込み、営林 署の作った林道を進んだ。しばらく行くとイスノキの純林 地帯に出会う。糸木とは言ってもモッコクやサカキ・ヒサ カキ・スダジイ・アカガシ・ヤブッパキ・ハイノキなどが 混生している。しかしこれほどみごとなイスノキ林を見た のは初めてて、あった。林の中にわけ入ってみる。落ち葉の 上にシダ類やマンリョウ・ヤプコウジといった低木も生え ているが、林床はすっきりしていて歩きやすい。暖温帯の 林床がこれほど歩きやすいとは思いもよらなかった。撮景彡 には絶好の日和てあった。明るい曇り日て影もなく、林内 はやわらかく光がまわっていた。心なしか心身の毒気が洗 い落とされていくようだった。 7 月初旬の対馬はいたる所てネムノキが咲き乱れ、疲れ た体をなごませてくれた。関東近辺て、見るものより赤味が 強く実にきれいてあった。ネムノキがとぎれスギ林になっ すもしら た所カ駲藻白岳の登山口てあった。山麓から仰ぐと青空に 緑の尾根が広がり、その中央がひときわ白い。白岳の岩峰 て、ある。登り 1 時間半、山項のネ上に着く頃から天気力軽 しくなり、足もとから霧が這いあがってきた。撮影を急が ねばならない。岩場の周囲をせわしく動きまわる。季節的 にみて花は少ない。山項部に 1 本のヒメコマツがあった。 対馬て、は唯一この山にだけあると聞いてきた。ガスが尾根 を横切っていく。そのとぎれめを狙って岩蜂から直 - ドの原 生林を撮ってみた。毎央はガスてけむり、朝鮮半島を眼に することはてきなかった。小雨降る中を下山した。上衣が 水を含んて重くなった。木肌もみるみる色を変えていく。 見 - E げると黒い森が私を押しつぶすように迫ってきた。 ( 熊田達夫 ) 小島の自然林・ 61