奈良市の市街地から東を屏風て、さえぎ ぶつきようがたけ 仏経岳原始林 るようにそびえる花山 ( 最高所は海抜 指大正Ⅱ年月に日 498 メートル ) の西斜面すなわち春日山 所奈良県吉野郡上北山村・天川村 のほとんどと、一部東斜面にまたがって 上北山村 広がるのが特別天然記勿春日山原始林 仏経ヶ岳は、現在、国土地理院から発 て、ある。奈良時代の平城京は人口が 20 万 はつけん 行されている地形図て、は八剣山と記載さ 人といわれているが、そのころはすて、に れており、海抜 1914.9 メートルあって、 春日山は禁伐の状態におかれ、現在に至 : 阜山脈中の最高峰て、ある。この八剣山 るまて一隻されてきている。 を中心にして北は弥山から項仙岳へかけ 春日山原始林の主要部はツブラジイ林 て、南は明上ヶ岳にかけてシラビソが常 ( コジイ林 ) て、あって、よく発達したとこ 緑・葉樹林を形成している。 ろて、は高木層は高さ 22 メートル、ツブラ シラビソ林は近畿地カ・における亜高山 ジイとティカカズラからなり、亜高木層、 帯を代表する森林て、、高木層はほとんど 低木層にツブラジイのほかヒサカキ・イ シラビソからなり、わずかにトウヒ・ナ ヌガシ・ツクノヾネガシ・イチイガシ・カ ナカマドなどを伴っている。低木層には ナメモチ・アラカシ・シキミ・アセビ・ シラビソの幼木をはじめとして、オオヤ ャブッパキなど、草本層に上層の芽生え マレンゲ・オオカメノキ・ハリプキ、草 のほかべニシダ・イズセンリョウ・トウ 本層には立地によって異なるが、イトス ゲシバ・ウラジロなどを伴うが、ところ ゲ・カニコウモリ・シラネワラビ・ホソ によってはツクノヾネガシやウラジロガシ バノトウゲシバの常在度が高く、ツバメ がツブラジイに優るところもある。 オモト・ゴョウイチゴ・オオバユキザサ また、倒木跡地 ( ギャッフって、はアカ などを伴うことがある。 シデオ衣クロバイやウリハダカエデが優 指定地は八剣山と弥山を結ぶ稜線の南 占する林分もみうけられる。地形的、土 東斜面約 9 ヘクタールて、、シラビソ林約 地的な植生としては尾根筋のモミ椒岩 200 ヘクタールの一部にあたる。近年イ旨定 崖地のツガを混じえる林分などがみられ 地を含めて縞枯れ現象が目立つが、林内 る。いずれにしても、シカが自由に出入 には幼樹が高密度て、育っており、保存状 りて、きるところから林内には非喫食植物 態は良い が多く、クロノヾイ・アセビ・イヌガシ・ 弥山の北西にあたる項仙岳は海抜 イズセンリョウなどは山中のどこにて、も 1717.4 メートルて、革安部の 1640 メートル みられる種て、ある。 付近にもシラビソの自生がみられるが、 瓰丘て、は、春日大社境内の植栽起源と それより高い海抜の同じ大峰山脈の仏 考えられているナギや、奈良公園に有蘇交 生ヶ岳 ( 1804.7 メートル ) 、釈迦ヶ岳 されている外来樹て、あるナンキンハゼの ( 1799.6 メートル ) には出現しない。北山 原始林内への侵入力墸しい。ナンキンハ 川を隔てた大台ヶ原山 ( 日ノ出岳 1795 ゼは陽樹て、あるのて畤間をかければ排除 メートル ) にもみられない て、きるが、陰に、あるナギは人為的な除 ( 菅沼孝之 ) 去を必要とする。現在まて、は台風等によ る風倒木跡地にはスギやヒノキの植栽が 行われてきたが、これも改める時期に来 ている。原始林内の重の種子から育て 特別天然記念物 た幼樹の準備が要望される。 春日山原始林にはビナンカズラ・カギ カズラ・ウドカズラ・オオイタビ・ヤマ イノヾラ・ティカカズラ・フジといったっ みせん シラビソ コミネカエデ ホソバノトウゲシバ イ ト 、ノ オ ス フ オ ・ネゲ ヤ ワ マ フ レ 仏経岳 ( 八剣山 ) のシラビソ - イトスゲ群落 ( 海抜 1 Om 付近 ) ( 調査菅沼孝之 ) ヒサカキ ップラジイ アセビ ヒサカキ ップラジイ ップラジイ ップラジイ かすがやま 春日山原始林 指大正ロ年に月 9 日 ( 天 ) 昭和 30 年 2 月日 ( 特天 ) 所奈良県奈良市春日野町 置奈良県 ツ ク ネ ガ 春日山原始林のツブラジィーヒサカキ群落 ( 調査菅孝之 ) ( 海抜 38m 付近 ) 32 ・自然林
どうくっ よねはら 0 ①米原のヤェヤマヤシ群落 ( 沖縄 ) この群落の入り口に立っと洞窟へ入って行くような 気分になる。内部は小道がつけられて歩きやすくなっているが、外の陽光がうそのように かびら 暗く湿っほ。い。石垣島の川平湾の東はずれ、米原集落から少し入った所にある。 ①ヤ工ヤマヤシは高さ 25 メートルにもなるのて、、ほかの高木よりもさらに頭を出している。 根はたくましい。しかし近年は人がふみ歩くのて林内の状態が悪くなっている。
べ、 0 青島亜熱帯性植物群落 ( 宮崎 ) 高温多湿の島内て、は、世界て最も北にあるビロウの糸木が主人公。成木が約 4300 本ある。人の絶えない せん 観光地は火の不始末がこわく、林内に消火栓が設けられている。ビロウ林の周辺部をはじめ島内には、亜性の草木が多種自生している。 れ 1 あおしま ぶつえんほうよう 葉の陰に仏炎包葉を持つムサシアプミも、 青島のビロウ林の下部に生育している。 ①大きな葉に可憐な小花が対比するヒギリ。①青島海岸の砂馳をいろどるハマエンドウ。 南方系の植物て、青島の林の下部て、見られる。 地下茎を長くのばして繁殖する。
いずもじんじゃ 出雲神社ツルマンリョウ自生地 指昭和 32 年 2 月 22 日 所山口県佐波郡徳地町堀 闇出雲神社善 出雲神社社叢の鬱蒼とした照葉樹林 ( コジイ林 ) の林床にツルマンリョウが群 生している。本種は南方系の常緑匍匐性 の小低木て、中国、台湾、屋久島に生育し、 本州の奈良県と当山口県にだけ自生す 当地は本種の分布北限て、ある。出雲神 社は近隣ても屈指の古社て、、尊崇が厚 かったこともあり社叢は今まて伐採され ることがなかったという。したがって原 生オ態て保存されている林内に古くか ら本種が自生していたのて、あろう。ただ 生育地を遅するらしく、照葉樹林内の やや明るい所を好んて、いる。以上からも わかるがこのツルマンリョウを保護する ためには生育環境としての様々な要素を 兼ね備えた照葉柆抃木をも保護しなければ うっそう しやそう ならないのて、ある。 コケモモの花と実 ( 中越信和 ) 九重山のコケモモ群落 脂昭和 37 年一月 26 日 所大分県直入郡久住町・玖珠郡九重町 農林水産省 コケモモはツッジ不斗の植物て、、高さ 10 ~ 15 センチの常緑小低木て、ある。 5 ~ 6 月頃、うすもも色のつりがね型をしたか わいい花をつけ、 10 月頃、ノ」寸旨の先ほど の丸くて赤い果実を結び、食べられる。 北極をとりかこむ水河周辺の酸匪湿原 からアジア・北アメリカの寒帯に分布し、 日本列島て、は高山帯に生育して、ハイマ ツ群落の代表的な植物になっている。鳥 取県大山まて、は連続的に分布している が、それより西て、は九重山群にド融勺に 分布しており、こが日本ばかりて、なく、 世界における分布の南限地になってい たいせん 九重山群は久住山・大船山・稲星山・ ほっしよう 星生山・三俣山など 1700 メートルを超 える火山が連なっているため、冬季の気 候は厳しく、しかも若い火山て、あるから、 海抜 1500 メートル付近が森林限界に なって、これより上部はミヤマキリシマ やコケモモの低木林を形成している。 コケモモ群落は、地面をはうようなミ ヤマキリシマの低木とコケモモ・マイズ ルソウ・イワカガミ・マンネンスギなど の高山植物がマット状の群落をつくって おり、群落学上はミヤマキリシマーマイズ ルソウ群集のコケモモ亜群集に所属す る。九重山群の久住山・中岳・稲星山・ 三俣山・星生山から肥前ケ城一帯の風衝 地に、じゅうたんを敷きつめたように分 布している。 寒さ、強風、酸性の火山灰土壌などに 強いコケモモ群落て、あるが、踏みつけに よる機勺な破壊て、消滅しやすい。登山 道以外には立ち入らない配慮が望まれ くじゅうさん いなほし くじゅう ( 須股博信 ) にゆうかわかみじんじゃなかしや 丹生川上神社中社のツルマン リョウ自生地 指昭和 32 年 5 月 8 日 所奈良県吉野郡東吉野村 闇丹生川上神社中社 * 紀ノ川は奈良県内て、は吉野川と呼ば れ、本流から高見川を分けるが、さらに 上流の高見川と四郷川の合流点の右岸 に、丹生月止ネ上中社が鎮座する。この 社の背後の小翁届岳の西斜面のウラジロ ガシ・イチイガシ・モチノキなどの常緑 広葉樹林の林床約 1 ヘクタールにわたっ て、ツルマンリョウが大群落をつくって 奈良県て、はツルマンリョウの自生地は 妺山樹叢 ( 143 ページ参照 ) として指定さ れた物件に次ぐ自生地て、、この他 ! 旨定 の物件が 4 件ある。奈良県外ては山口県 防府市の出雲神社境内の自生地が指定さ れている。わが国て、はこの 2 ヵ所と屋久 島に分布するだけの希産種て、あるが、奈 良県については多産種といえる。また、 台湾や中国に分布している。 ツルマンリョウはヤプコウジ科の常緑 のつる性低木て、、隹異株て、ある。開花 期は 7 月上・中句て、、雌花は花後しおれ たまま茎について越冬し、翌年 5 月ごろ から子房がふくらみはじめ、 9 月に紅熟 する。花は直径約 5 ミリメートル、葉腋 に束生し、花冠は白色茎はほとんど分 枝することなく、 1 メートル程度まて成 長するが、たいていの場合それまて、に倒 伏し、匍匐状となり先端カ舸び上方へ向 いもやま かって成長しはじめる。 ( 菅沼孝之 ) 常緑・落葉低木の群落・ 153
たかおだんちせいかつようじゅりん 高尾暖地性濶葉樹林 昭和 3 年 2 月 7 日 昭和 6 年 7 月幻日 ( 一部解除 ) 所島根県隠岐郡西郷町中村 中財産区 おきのしまどう 隠岐島・新変の北東部山地の小敷原山 ( 標高 500 メートノのから北西方向の谷筋 一帯に生育する常ム葉植抃木全体が指定 されたものて、ある。面積は約 13 ヘクター ル、ほとんどが急傾斜地て、、谷の最も奧 は断崖絶壁となり、小敷原山の山項部へ 続いている。ウラジロガシやスダジイ、 一部てはモミなどの大木の生育する古い 植抃木て、、ヒサカキ・サカキ・ヤプニッケ イ・ネズミモチ・シロダモ・ヤブッノヾキ・ シキミなど、常ム葉樹が多くみられる。 一方、コハウチワカエデ・アカシデ・ ズナラ・ウリハダカエデ・シラキ・クロ モジ・タンナサワフタギ・サイゴクミッ バツッジ・オオカメノキなどの夏ム葉 樹やオキシャクナゲも出現する。ウラジ ロガシなどの大木には、ナゴラン・セッ コク・フウラン・カヤラン・べニカヤラ ン・クモランなどのラン不斗植物、シシン ラン、さらにはシタ・植物のヒモランなど、 多くの暖地性着生植物の生育がみられる ことも、指定の大きな理由になっている。 日毎上にあって、常ム葉植抃木の分 布の北限近くにありながら、多くの暖地 性着生植物を産する点て貴重な存在て、あ る。現在、樹林としてはよ <f 描隻されて いるが、着生植物をはじめ、地生ランな どの盗採が跡を絶たず、いくっかのもの は絶滅に近い状況にある。 ( 宮田逸夫、杦村喜則 ) しきばら むろとみさき 室戸岬亜熱帯性樹林および 海岸植物群落 囮昭和 3 年 3 月 24 日 所高知県室戸市室戸岬町 高知県 36 ・自然林 四季を通じて緑が濃く、岸にくだける 太平洋の波と岩間に花の咲く室戸岬は、 南国土佐の自然がよく残っているところ て、ある。 海岸から海抜約 170 メートルにある最 御崎寺にかけての斜面は、常ム葉樹林 におおわれている。タブノキを主にナ ギ・ヤプニッケイ・ヒメュズリハ・ホル トノキなどを混じえた林は、気候的に安 定した群落 ( 気候的極相 ) て、、岬の上部 て、はスダジイもかなり混生している。林 のなかにはヤブッパキ・タイミンタチノヾ ナなどが多く、フウトウカズラ・サカキ カズラなどのつる植物がからみ、地表に はイズセンリョウ・アリドオシ、その他 の低木やホソバカナワラビをはじめ多く のシダ植物が繁茂している。また、海岸 近くて、は、アコウが群生し、クワズイモ カ成るなど、日本の暖温帯の林て、も亜熱 帯的な性質が最も強く、そのため指定の 名称は「亜熱帯性樹林」になっている。 室戸台風て、も知られるこの岬は、台風 の時にかぎらず風当たりが強く、そのた めとくに岩石の露出したところて、は、タ プノキ林にかわって、土地的な極相のウ ノヾメガシ林になっている。そのほか、岬 の一帯にはアオギリも自生している。 ( 海 岸植物群落については第 3 巻参照 ) ( 山中二男 ) しづきやま 指月山 囮昭和 46 年 3 月日 所山口県萩市堀内 萩市 指月山は萩城の詰丸があった日べ毎に 面する小丘て、ある。指月山の森林は、長 く城内のものとして保護されたため、推 定樹齢 600 年以上の巨木老樹が多数あ る。森林はシイ林て、、タブノキ・カゴノ キ・イスノキが高木層に混生する林分も ある。オ材目はまさしく暖帯の原生林の様 相を呈している。林内には暖流の対馬海 流に景彡響されて、滞や亜滞に多い植 物が数種自生している。サザンカ・オガ みさきじ はぎ タマノキ・カカッガュがその代表て、ある。 サザンカとオガタマノキは沖縄にも産 し、サザンカは指月山が分布の北限に なっている。カカッガュが遠く熱帯アジ アや東アフリカにも産することなどか ら、当地がいかに植物分布学上重要な所 てあるかがわかる。 重丿て、は熱帯アジアから日本の暖帯ま て分布するアオスジアゲハ属のチョウて あるミカドアゲハが、ここ指月山に生息 しており、中国地方て、唯一の生息地と なっている。ミカドアゲハは元来個イ櫢 の少ないチョウてあり、分布は食草のた めに限定されている。卵はオガタマノキ の葉の裏に生みつけられ、幼虫はこの葉 を食べて成長する。このチョウの食草は オガタマノキを含むモクレン科の数種 て、、オガタマノキがもっとも北て、自生す るため、ミカドアゲハの北限も自然に決 まってしまう。オガタマノキは神木とし て保護されており、この木が多い伊勢神 宮はミカドアゲハの有名な生息地て、あ る。これら動殖物を通じた生物的自然を 有する指月山は、 ! 術的にまことに貴重 て、ある。 ( 中越信和 )
ヤ工ヤマヤシは八重山群島 ( 西表島星 立御嶽、西表島ウブンドル、石垣島米原 ) だけに分布する 1 属 1 種のヤシて、、近縁 106 ・常緑広葉高木林 闇竹富町 所沖縄県八重山郡竹富町西表東部 昭和 48 年 4 月 23 日 ( 名称変更 ) 指昭和 47 年 5 月日 ウブンドルのヤ工ヤマヤシ群落 たかしま ワ・ウラジロエノキ・アカギ・ノ、ルラン イヌビワ・ノ、ゼノキ・ホソノヾムクイヌビ る主な樹種を見ると、高木層て、はコニシ ( 外山三郎 = 宮崎、荒木徳蔵 ) 念物の指定を受けている。 として学術上有益て、あることから天然記 は真の自生北限地て、はないが、北限地帯 北部に分布する亜熱壯性の植物て、、高島 ビロウは四国南部、九州、工、台湾 められるようになった。 の樹木が伐採されたのて、、洋上からも認 あったが、地元の管理によって一部周囲 らビロウの自生を確かめることは困難て、 以前は林内に入らないと、島の外部か に亜熱生の植物が多いのが目につく。 シアプミ・アオノクマタケランなど一殳 層 ) はフウトウカズラ・ノシラン・ムサ ナ・ハドノキなどからなり、下層 ( 草本 オオムラサキシキプ・タイミンタチバ 幼木のほか、ホルトノキ・モクタチバナ・ も見られる。中層 ( 低木層 ) はビロウの モチノキ・ヤプニッケイ・シロダモなど 層 ( 亜高木層 ) にビロウのほかスダジイ・ 南西部て、のビロウ生育地の群落は、上 多いが、糸木まて、にはなっていない 近くあり、とくに島の北西部と南西部に メートル以下のものが 300 株から 500 株 ロウが点在している。ビロウは高さ 5 全島が海岸材木て、覆われ、その林内にビ ル、最も高い所て、 77 メートルの島て、ある。 トルの洋上にあり、周囲約 4 キロメート メートル、陸地から最矢可巨離て、 500 メー 高島は北浦港から南東の方向 4 キロ 闇北浦町 所宮崎県東臼杵郡北浦町宮野浦 指昭和 5 年 2 月 28 日 高島のビロウ自生地 種はモルッカ諸島、 ーギニア、オー ストラリアなどに分布しているが、台湾 やフィリビンなどにも見られない学術ー - ヒ 貴重な自生のヤシて、ある。 なかま 自生地は仲間川の河口から約 6 キロ メートルほど上流部の左岸山腹部の一部 て、、母岩の露出部の多い傾斜地 ( 5 ~ 35 度位 ) て、ある。ヤェヤマヤシは海抜約 40 メートルイ寸近のコニシイヌビワ・フカ / キ・リュウキュウガキ・リュウビンタイ などの優占する河辺沿いの低地林内から 出はじめ、斜面上部になるにつれて個体 数が増え、海抜 80 ~ 120 メートル付近て、 約 200 本ほどの個体が群生し、ヤシだけ が突出した特有の相観を示すようにな る。しかし、これより上部て、は稚樹カイ菫 かに生育しているだけて、、上層まて達す る個体は見られず、オキナワウラジロガ シの優占した林分に変わる。 群生地内て、の毎木調査 ( 20X 20 メート ルの方形枠、 1981 年 ) の結果、出現イ聞本 160 本のうちヤ工ヤマヤシは 109 本て、全 体の 6 & ヾーセントを占めている。その内 訳を胸高直径て、見ると 3 センチ以下て樹 高 50 センチ以上の個体が 69 本、 3 センチ メートル以上の個体が 40 本となってい る。さらに胸高直径が 25 センチ以 - ヒの太 い個体になると 22 本と少なくなってい るが、ヤェヤマヤシ以外はハゼノキが 1 本数えられるだけて、、残りの 21 本はすべ てヤ工ヤマヤシて、ある。 樹高分布は、 5 メートル以下の低木が 90 本、 5 ~ 14 メートル台が 61 本、 14 メー トル以上になるとヤ工ヤマヤシだけの 9 本となり、胸高直径の分布と併せてヤシ 林の林内構造を知ることカイきる。 このように指定地のヤシ林は各階層に ヤ工ヤマヤシが高い頻度て、生育している のが特徴て、ある。その他各階層に出現す
呂ドをい ん べ いずかつらぎさん 0 和葛城山ブナ林 ( 大阪 ) 指定当時は幹 の周囲 1 メートルをこす大木が 1800 本も あったが、今は 8 くが立ち枯れてしまっ た。写真はにわか雨が通りすぎたあとの美し いブナ林。現在に残る日本の秋の山の一典型 てある。 00 琵聶山のブナ純林昿島 ) 苦登神 社をとりまくプナの原生林は、手厚い保護も あって植物相のバランスがよく、立派に生き 続けている。下はもやにけむる初夏の林内。 本末にはササやっ引物の成育が盛ん。 、キ、、を三 - 、 ' 嚀 , 0 、を→ : 、に 01 ~ , 、・ 3 0 ~ , 、第き簽第、を ' 気 “を—を , ツ第ー ここ おしま うたさい 0 歌才ブナ自生北限地帯 ( 北海道 ) 渡島 しぶとがわ 半島を日べ毎に注ぐ朱幻日の上流の左岸に、 川におちこむように落葉広葉樹林がして いる。その大半がブナ。日本の森林の生態を 考えるうえて、、基準の一つとされるブナの自 生北限地がここて、ある。
おおいけ 大池のオヒルギ群落 囮昭和 50 年 3 月田日 所沖縄県島尻郡南大東村北 闇大東村 りゆうきかんしよう 南大東島は隆起環礁からなるさんご 礁の島て、島の周囲は小高い岩礁 ( 石灰岩 堤 ) て、とり囲まれている。内陸部は盆地状 にくばみ、その中央部には少量の塩分を 含んだ池沼が数多くみられる。大池は島 の北側に位置し、島の中て最も大きな池 て、ある。大池の北側の湿地帯にマング ロープの構成種て、あるオヒルギが数十本 群生している。オヒルギ林の高さは 4 ~ 5 メートル、林内にタコノキ科のアダン や汽水 ( 海水と淡水の入り混じった水 ) 性湿地に生育するヒトモトススキ、淡水 性湿地に生育するテッホシダなどがみら れる。 オヒルギはレ牆から亜帯の河口や入 り江、あるいは河岸や海岸の浅い水域に 生育し、その散布体 ( 果実・種子など ) は ~ 充によって分布を広げる海流散布型の 植物て、ある。しかし、大池のオヒルギが 陸に封じこめられた池に分布すること は、世界的にも珍しく、貴重なものとい える。このことは、かってさんご礁の発 達によってて、きた環礁の時代に、現在の 湿地帯は海に開口していて、マングロー プが ~ 充によって運ばれ定着した。その 後、島がドし、内陸湿地帯にマングロー プが残ったものと考えられる。大池のオ ヒルギは毎年花を咲かせ、果実をつけ、 よく繁殖している。オヒルギは淡水化し た池のほとりて、も、イ或のオヒルギと ほとんど変わらずよく生育している。過 去に建築材として使われたこともある が、現在て、は保護され、これからも島の 成立の生きた証拠として生きながらえて てい いくて、あろう。 ( 宮城康一 ) みやらがわ 宮良川のヒルギ林 指昭和 47 年 5 月日 所沖縄県石垣市宮良 闇石垣市 石垣島南部、宮良川河口に室するマ ングロープ櫪宮良川は石垣島北部茂 登山系の数カ所の渓谷に源を発し、大 かいなんかわはらみわ 里・茂登・開南・川原・三和の各平野 部を流れ、宮良湾に注ぐ石垣島最大の河 川て、言或面積 30.6 平方キロメートル、 全長 12.1 キロメートルて、ある。宮良川の 河口のマングロープ林は川幅 50 メート ル、長さ 1.5 キロメートルの範囲に分布 する。川の水路沿いにヤェヤマヒルギ椒 内陸側にオヒルギ林が分布し、一部マン グロープ林の前縁部や後背地にメヒルギ なかす 林がみられる。宮良橋より下流には中洲 カ夥し、そこて、はオヒルギが優占し、 一部ヤェヤマヒルギ林が生育している。 マングロープ林の周辺部には塩生植物の ソナレシノヾやハイキビの草地、ハマゴ ウ・イボタクサギ・ハマナツメ・トゲイ ヌツゲ・アダンなどの低木林が分布して 宮良川のマングロープ林は亜帯士或 の代表的なマングロープ林の構造を有 し、その規模が大きいことから天然記念 物の指定を受けている。しかしながら、 かんがい 近年、川の上流部に国蘿漑排水工事の 一環としてダム建設が行われ、またマン ほじよう グローオ品地周辺の平野部て、は、圃場整 備が進められ、多量の土砂が流入してい る。また上流側から工場排水が流れこみ、 牛の放牧によってマングロープ林内に牛 カイ受入し、林内カみ固められるなど、 著しく攪乱を受けている。そのためマン グロープ林は次第に荒廃し、メヒルギや しとうばく オヒルギの本尠休も多く、天然記勿 としての価値が失われつつあるのが現状 おお ざと ヤェヤマヒルギの若木 地上に落ち、生長を始めたもの。 胎生種子が て、ある。 ( 宮城康一 ) 常緑広葉高木林・ 101
イヌビワなど亜高木層にはリュウキュウ ガキ・ホソノヾムクイヌビワ・ハプカズラ など、低木層にはコミノクロッ久草本 層にはナナノヾケシダ・オオヘッカシダ・ ツルアダンなどて、ある。 ふなうら ( 新納義馬 ) オヒルギ 船浦のニッパヤシ群落 ッノ、ヤシ オヒルギ 船浦のニッパヤシ群落 昭和 47 年 5 月日 所沖縄県八重山郡竹富町船浦 置竹富町 ニッノヾヤシはフィリヒ。ン、インド、マ レーシア、ミクロネシアなどのレ牆に分 布域をもつ一属一種のヤシ科植物て、、 般のヤシ科植物とは異なり、マングロー フ料或の泥湿地に生育する無茎のヤシ て、、直径約 5 センチほどの太い根茎を泥 中て、分岐させ、その根茎から 5 ~ 10 セン チの太い葉柄をもつ羽状複葉を根生させ る。そのため干潮時には叢生した葉群は かんばく 灌 : 相大に見え、満潮時には水面に羽状の 葉君材ごけが見える。 うちばなれ ふなうら いりおもて わが国て、は西表島の船浦と内離島 だけに分布が限られ、種の分布の北限と 考えられている。そのため学術的に貴重 て、あり、当時の工剏政府により 1959 年 12 月 16 日付て、天然記念物に指定されてき 指定地のニッパヤシは、船浦湾に開口 するヤシミナト川の河口より約 600 メー トル上流の左岸、マングローブオ家の約 300 平方メートル内に 38 株 ( 1981 年 8 月 3 日 ) が集中的に生育している。満潮時 に盟ルが浸る泥湿地て、、樹高約 5 メー トルほどのオヒルギを優占種とし、ヤ工 ヤマヒルギ・シマシラキを混生したマン グロープ林て、、一部にはオキナワアナ ジャコの巣塚なども見られる。 ニッパヤシの生育状態は水路沿いの開 放地て、は発育が良く、葉群の高さも約 5 メートルと高いが、マングロープ林内の 株は葉の数、葉群の広がり、株面積も小 さくなっている。 よねはら ( 新納義馬 ) いたとの事て、あるが、現在はそのような を伐り倒し、茎の髄の部分を食用にして 討する必要がある。開墾当時は若いヤシ 内への入域を制限するとかの保護策を検 客の踏圧によるネ也化が見られるが、林 の一つとして知られ、林内の一部は観光 指定地は、現在、石垣島の観光ルート る。 はヤェヤマヤシ群集として別されてい アワダンなどが出現し、植物社会学的に ビワ・コミノクロッグ・トウッルモドキ・ カズラ・ノ、マイヌビワ・ホソノヾムクイヌ アカメガシワ・アカテッ・フクギ、ハプ べンノキ・リュウキュウガキ・ヤンバル 内にはヤ工ヤマヤシの不隹樹のほかショウ 出したヤシオ材寺有の相観をしている。林 オ材目はヤ工ヤマヤシだけが高木層に突 をつくる約 115 万平方メートルて、ある。 はその中て最も集中的に生育して大群落 茂登岳の山麓部て、、指定されているの 自生地は石垣市米原集落の山手、桴海 ふかい る見事な樹勢を示す。 まて伸び、胸高直径 20 ~ 30 センチにもな にいたっている。樹高は 25 メートル近く 年 H. Moore 氏により別種とされ今日 定 ( 1959 年 ) されていた。しかし、 1967 ヤシ」として工剏府の天然記念物に指 するノヤシと同種と考えられ、「米原のノ 指定をうけている。かって小笠原に自生 植物て、、当地はその自生地の一つとして 石垣島のみに分布する一属一種のヤシ科 ヤェヤマヤシは琉球列島の西表島と いりおもて 置石垣市 所沖縄県石垣市米原 昭和 53 年 3 月Ⅱ日 ( 追加指定 ) 昭和 48 年 4 月 23 日 ( 名称変更 ) 昭和 47 年 5 月日 米原のヤェヤマヤシ群落 ことはない ( 新納義馬 ) 常緑広葉高木林・ 107
定を受けるなど、古くから自然が保護さ れてきたところて、ある。この森林は球 指昭和 6 年 6 月 3 日 石灰岩の段丘上にあって、石灰岩地帯の 所鹿児島県鹿児島市城山町 代表的な植生が発達し、現在、最も自然 闇鹿児島市 の保たれている場所の一つて、ある。段丘 ばんこん 上にはクスノハカエデが板根を形成し、 城山は鹿児島の市彳也にありながら数 ムクロジ・リュウキュウハリギリ・イス 百年の合のクスノキやシイノキの大木 ノキ・ホソノヾムクイヌビワ・ハゼノキの が群生する暖帯常ム葉材木の典型的な 大木が生育し、樹高約 15 メートル、幹の 極相林の景観をしている極めて貴重な山 太さ約 80 センチメートルの高木がうっ て、ある。また、旧薩摩藩の山城の史跡て、 そうと生い茂っている。林内にはリュウ もあり、史跡名勝天然記念物として指定 キュウガキ・ゲッキツ・モクタチバナ・ された。 フクキ・ハマビワ・クロッグ・グミモド クスやシイの巨木の群生する原生林の キなどがみられる。また段丘に沿った河 ような本材目と共に、林内にはショウべン 川沿いにはみごとなアカギの優占する森 ノキ・ヤマモガシ・ホルトノキ・カカッ 林が発達し、樹高約 15 メートル、幹の太 ガュ・バクチノキ・イワガネその他暖地 さ約 70 センチメートルのものが多くみ ↑直物も数多く自生している。シロヤマ られる。高木層のアカギの木にツル植物 シダ・シロヤマゼンマイ・ヤマゴンニヤ のトウッルモドキやイルカンダがからみ ク・サツマイナモリ・シロヤマハギ ( 現 つき、また、アコウやガジュマルなどの 在は自生していない ) などの最初の発見 大型木本類が着生するなど、特異な景観 地て、もあり、自生する植物の総数はシダ がみられる。 植物以上の高等なものて、 510 種 ( 昭和 49 この地域に出現する植物は 74 科 146 属 年調劑と豊富て、ある。 167 種が言当求されているが、分布上注目さ 戦災や戦後の火災によって抃木が発 れるものに、ヘッカニガキ・ヒゼンマユ したため、メダケが侵入して著しく繁殖 ・オオバヤドリギ・ボウランなどがあ し、オ材目がますます悪化してきた。また、 る。またホウライシダ・オオイワヒトデ・ 市民がみだりに林の中に入って踏み荒ら ホラカグマ・ソメモノカズラ・ゲッキツ・ ことも一因て、ある。現在、メダケを グミモドキ・ツゲモドキ・クスノハカエ 除去して森の復兀を図っている。 デ・リュウキュウクロウメモドキ・シマ うっそうと繁る城山は市民の憩いの場 タゴ・ナガミポチョウジ・リュウキュウ として、自然を理解する学習の場として、 スゲなど石灰岩地を特徴づける植物群が ハイキングやジョギングなどの健康づく 多くみられる。 りの場としてその評価が高まりつつあ ( 宮城康一 ) ( 大野照好 ) しろやま ムクノキ たみなとうがん 田港御願の植物群落 諸志御岳の植物群落 指昭和 47 年 5 月日 所沖縄県国頭郡大宜味村 ミ 脂昭和 47 年 5 月日 大宜味村 所沖縄県国頭郡今帰仁村 闇今帰仁村 しおや 沖縄本島北部、深い入り江の塩屋湾に もとぶ 面し、田港集落の南東部に位置する。田 沖縄本島北部、本部半島にある今リ南一 うがん よなみね しよし 港御願は古生層石灰岩地帯て、、海抜 5 ~ 村の諸志と与那嶺にまたがり、約 3 万平 110 メートルの範囲の西向き斜面に残存 方メートルの面積に広がる植物群落て、あ する原生林て、ある。樹高は約 17 メートル る。諸志御岳はネ或として入林伐採カ噤 すいげんかんようほあんりん に達し、うっそうと生い茂る常ム葉樹 じられ、明治末年に水源涵養保安林の指 アカギ たみなと クロッグ 田港御願のアカギ - クロッグ群落 ( 海抜 110m 付近 ) 新城和治 ) ( 調査 48 ・自然林