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検索対象: 政治とカネ
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1. 政治とカネ

調部会で論議する段階から衆院委員会を通過させるまでの間に恩を売れば、官僚たちもまた 業界の幹部を紹介してくれるかもしれない。業界に対する発言力となると、やはり官僚にか なうものはない。国民の暮らしという高い立場にたって厳しい注文をつけるのが政治家の役 割だが、担当の官僚たちに恨まれては貴重な資金の。ハイプをつぶすことにもなりかねない。 「資金後援会」の会員を増やすために、政治家たちは日々、貴重なものを犠牲にしているの である。 もちろん、派閥のそれを同列におくことはできないがーー個々の代議 士の場合、「資金後援会」の延長とみていいだろう。券をさばく対象が、月々会費を納めてく れる会員と重なることが多いからだ。会員をたくさん抱える政治家は、券もまた大量にさば くことができる。資金調達の苦労は、会員獲得の苦労だといっていいだろう。 若い議員たちのなかには、「一週間のうち三日半は『金帰火来』で選挙区にいる。残りの三 日半は東京で資金対策さ」と自嘲的にいうものも多い。また、こんな話もきく。「いまの政治 家の関心は三つさ。一つ、どこかにカネになる話はないか。二つ、業界とつながりの深いポ ストはないか。三つ、選挙区のライハ / が、いま何をしているか」。 若手の政治家の多くは、カネの問題はいわば「いっときの苦労」で、 いったん財政基盤が

2. 政治とカネ

えるための要員として待機を命じられている若手議員たちに配られる。しかし自民党の関係 者たちだけでなく「野党の要路にもまた」とい、つうわさが絶えなかったのである。使途を明 らかにすべきだとの矢野氏の要求は無視されただけでなく、質問そのものが予算委員会の採 決によって議事録から削除されることになった。自民党による国会対策費の支出の報告も、 このとき以来、ますます不分明なものになった。 浜田幸一氏が衆院予算委員会の委員長だったとき、みずからの暴言で野党に辞任を迫られ いざとなればこちらから た。浜田氏は国会の裏工作にたずさわってきた人物の一人である。 も言いたいことがある、という姿勢をとって野党の辞任要求に抵抗した。裏工作の一つであ るろうか、委員長就任のさいに共産党を除く野党の委員一六人に一〇万円分の商品券を配って いたことが明るみにでた。八八年春のことだが、豊富な党の資金を背にした野党対策は改め を ネられることなく連綿と続いているのである。 国対政治の弊害 章 「国対政治」という言葉がある。 第 国会の運営について、与野党の少数の国会対策委員たちが不当に大きな力を持つにいたっ

3. 政治とカネ

1 ティは会 みなす、こういう自治省の見解が出ています。さきほど話のあった東京の。ハ 場の広いところですけれど、それでも二〇〇〇万円という数字が出ている。盛岡の。ハ ティにおきましては狭い会場に一五〇〇枚、三〇〇〇万円という大変な数字です。これ は献金とみなさないのか、自治省の見解をお伺いしたい」 浅野大三郎・自治省選挙部長「具体的事例については、詳細に事実関係がわかりませ んと判断することは困難でございます」 玉置委員「六〇〇人の会場に一五〇〇枚の券を売って、政治献金とみなされるのか、 みなされないのか、具体的にお答えください」 選挙部長「仮にそうであれば、という形でお答えするのも適当でないと思います」 玉置委員「わたしは ( 仮定ではなく ) 事実関係をいっている。 ( 簡単なことだから ) 何な いまから委員会が終わるまでに調べたらどうですか」 選挙部長「いつも申しておりますが、私どもには実質調査権というものはありません から調査をするということができませんので、ご了解いただきたいと思います」 玉置委員「仮にという話をしてもダメ、調査はできないということで、この審議はど うなるのですか。そんなバカな話、ないでしようが」 ( 衆院予算委員会・会議録Ⅱ八九年四 ら、

4. 政治とカネ

届け出をしているのはいくつありますか」 首相「長期政策総合懇話会というのは四〇団体ぐらいございますが、東京で一括して いるものが大部分で、あとは支部的な感じになっております。地方の選挙管理委員会へ 届けられているのもいくつかありますが、正確になんばということを、これももし間違 っているといけませんので、三つか四つあるんじゃないかなと思っております」 矢田部委員「 ( 分けて受け取るというのは ) 脱法といっていいでしようね、これは。い くつの団体でいくらずつ受け取ったか、こんごの政治資金規制の関係を考えるうえで重 要だと思うのですが、明確にしていただけませんか」 首相「おそらく一〇〇万円以下で分散して受けているのではないかということだろう と思いますが、私の経験からしますと、拠出側の方がそれを好まれることも多々あった と記憶しております。 ( 献金が ) どう措置されたか、違法行為があるとは思っていません が、どういうところの名前のところでどうされたか、私なりに調査はしてみようと思っ ておるところでございます」 矢田部委員「そういう手口なり手法が政治不信を生んだと思うのですが、本予算委員 会の総括質問の期間中に調べて出していただくというわけにいかぬでしようか」 ( 参院予

5. 政治とカネ

この名簿に沿って行われる。政治家が「冠婚葬祭の出費が大変だ」といっても、無関係の人 びとに金一封を配っているわけではない。基本的には会員に対する内輪の支出ということに なる。選挙が近づいてからの有力者の接待にしても、カネをかけたイベントにしても、内部 の士気を高め団結を固めるためのものとみていいだろう。つまり、後援会にカネをかけるの である。 八九年三月に開いた自民党政治改革委員会の拡大会議で、冠婚葬祭の寄付の禁止 ( 法律の 抜け穴をふさぐかどうか ) をめぐって議員たちが討論した。発言者の数からいえば、賛否 半々。反対派の論理は次のようにまとめられる。 る 「われわれは、たくさんの人たちに後援会に参加してもらっている。かれらとの接触を 深めるために、われわれは日常活動に精を出している。選挙ともなると、かれらだけが を ネ頼りだということを、お互いに知っているではないか。かれらのなかに不幸がある。あ 。いっしょに悲しんだり、喜んだりするのが当たりま るいは、跡取り息子が嫁をもらう えではないか。手ぶらで顔を出せ、知らんふりをしろというのでは、後援会という組織 章 がなりたたない。社会の美風を損なうものでもある」 第 舞台は別だったが、もっと露骨に党内で反対論をぶった幹部もいる。

6. 政治とカネ

たことを指す。共産党を除く与野党の国対委員は、きわめて密接に連絡をとりあっている。 与野党が本音を出し合い、採決強行・審議拒否・激突・空転などをできるだけ回避していこ うというのが本来の趣旨だったのだろう。野党には、全面対決で敗北を重ねるよりも、とき に水面下の交渉を進めることになっても、法案の修正など具体的な成果を獲得した方が得策 だという計算もあったと思われる。しかし、法案の審議の段取り、修正の内容、通過させる 法案と次の国会に送る法案の選別などまで国対委員の間で根回しするようになると、委員会 審議が形ばかりのものになり、むしろ弊害の方が大きくなる。 1 ティ券の面倒をみてくれな ふだんの密接な連絡は、ときには「わが党の、あの議員の。ハ いか」といった相談にも発展することがあるだろう。そんなとき、自民党には国会対策費か 1 ティ券の購入 らカネを出す手もあれば、省庁や業界と連絡をとって「野党のあの議員の。ハ に、ひとっ協力してやってくれないか」と依頼する手もある。 社会党、公明党、民社党の場合、国会対策のべテランがやがて書記長などの要職につくケ ースがきわめて多くなっている。三党の歴代書記長の前職を点検すればわかるが、そのほと んどが国対委員長である。本人に力量があるから国対委員長に選ばれるのだ、という見方も できないわけではない。しかし、党内で発言力を増強するうえで国対委員長が都合のよいポ

7. 政治とカネ

庭基盤充実」など四つの特別委員会がある。次に小委員会だ。部会のなかに「医療システム」 「栄養士制度検討」「保育問題」「医薬品問題」「年金税制」など二〇の小委員会がある。この 小委員会の段階になると業界の関心も露骨になってくる。 以上は正規の組織だが、ほかに業界ともっとはっきり結びついた議員連盟や懇談会などが 正規の組織を取り囲んでいる。年金問題でいえば、前節に登場した「自由経済福祉政策推進 議員協議会」「年金問題研究青年議員懇話会」「個人年金推進議員連盟」などがそれである。 議員の関心が細分化することで、「政策論議がきめ細かに行われるようになった」「政策立 案が官僚主導から党主導に変わった」という指摘もある。しかし困るのは、政策見直しの入 力がもつばら業界の側から行われるようになったことだ。東京の地価高騰に対する住民の憤 懣などは、ほとんど入力されない。業界以外の入力は一つだけ、ある。米国など諸外国の圧 力だ。労働時間の短縮、流通の見直しなど、暮らしの向上を促す政策がもつばら外国からの 入力を待たねばならないのは奇妙なことだ。政治家が個別利益に傾斜すると、その調整は容 易ではない。中曽根内閣の売上税は個別利益を調整しきれなかったこと ( 驚くべき例外規定 の多さ ) で失敗し、竹下内閣の消費税は個別利益の調整を放棄したこと ( なんでも一律課税 ) で破綻したといえるのではないか。 130

8. 政治とカネ

これは何につかわれたのか」 佐藤首相「党の運営は幹事長に任せている。こまかな点は知らない」 矢野委員「昭和四〇年一二月、自民、社会両党が国会正常化で話合いがついた前後に、 田中角栄氏 ( 当時幹事長 ) に三〇〇〇万円、三三〇〇万円と続けて出ている。このような 政治的背景とカネの動きを考え合わせれば、何らかの想像をしなければならないではな も力」 首相「想像はご自由だ。わたしの幹事長時代の経験からいってもそんなことはないと 申し上げておく」 る 矢野委員「支出した本人は、使途を党に報告しているはずだ。委員長は首相に対して、 それを明らかにするように求めてもらいたい」 を ネ矢野氏がとりあげた支出の数字は、朝日新聞が、自治省に提出された六五年の自民党の収 支報告に基づき国会対策費の動きと国会の与野党の動きとを表示したものである ( 六六年一 〇月二九日 ) 。要旨を表一ー 2 で示した。国会が荒れたり、与野党の話し合いでその混乱が収 章 拾されたりすると、きまって自民党の国会対策費から多額の現金が幹事長、国対委員長に支 第 出される。もちろん一部は「士気を高める」ために、党内の関係委員会の理事や頭数をそろ

9. 政治とカネ

後援会 ) をつくってそこを収支の窓口とすることになっている。その会計責任者という意味 であり、会計帳簿の備付け・記載はすべての政治家の義務である。 さきにリクル 1 トの献金をめぐる竹下首相と野党委員の問答を紹介した ( 七七ー七九頁 ) 。 規正法に違反していないのかとする野党の追及は中途半端に終わったが、あのとき野党委員 は竹下氏に対して、「あなたが関係する政治団体の会計帳簿を委員会に持参してもらいたい。 そして、その帳簿に基づいて寄付の年月日、金額を答弁してもらいたい」と要請することも できたはずだ。こんなときのためにすべての収支の記載義務を規定しているのに、国会の審 議で活用されたことがないのは不思議である。野党の不勉強といっても、 もいたろう。 第二段階は国または都道府県への報告書の提出である。 政党や政治団体は、会計帳簿をもとに報告書をつくる。規正法一二条 ( 報告書の提出 ) は、 「政治団体の会計責任者は、毎年一二月三一日現在で、当該政治団体のその年におけるすべ ての収入及び支出について、その総額 : : : 並びに次に掲げる事項 : : : を記載した報告書を、 その日の翌日から三月以内に : : : 都道府県の選挙管理委員会又は自治大臣に提出しなければ ならない」としている。条文のなかの「次に掲げる事項」が重要になるが、政党と他の政治 団体とを区別し次のように規定している。 140

10. 政治とカネ

込んでいる人がいる。野党の人もそうだ。 ( 社会党の ) 武藤 ( 山治 ) さんや広瀬 ( 秀吉 ) さん は、それでも。ハ 1 ティ券を買ってもらうのにわざわざ挨拶にくる。わたしが国対委員長 のとき、社会党の右派グル 1 プの政構研から『。ハ 1 ティをするから切符を買ってくれ』 と言われた。二〇〇万円渡したが、券はこなかった」 八三年三月に政権構想研究会が開いた。ハ ーティのことである。自民党の国対関係者は、 「小此木氏は金額について、わざと一桁さげて言っている」と話していた。一〇〇万、一〇 〇〇万の単位になれば、出す方も受け取る方も日常的な交際の範囲をはるかに超える。いや、 この金額が政界の常識というべきか。社会党の関係者は「身に覚えがない」と否定したが、 シロクロをはっきりさせる行動に出ることはなかった。 公明党が国会に初めて登場したとき、自民党の国会対策費の問題をとりあげたことがある。 与野党は対立しているようにみえるが、水面下ではカネが動くなど「なれあい」があるので ーないか、という疑問を投げかけたものだった。一九六七年三月、衆院予算委員会でのこと で質問に立ったのは一年生の矢野絢也氏である。 矢野委員「政治資金規正法に基づく自民党の収支明細書のなかで国会対策費をみると、 常識では考えられない多額のカネが自民党の幹事長や国会対策委員長に流れている。