免震 - みる会図書館


検索対象: 図解・超高層ビルのしくみ
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1. 図解・超高層ビルのしくみ

、、揺れない建物をめざして ◎制震・免震の発想 1968 年の十勝沖地震などの教訓を盛り込んで、 1981 年に「新 耐震設計法」が制定された。それに基づいて設計された建物は、 阪神・淡路大震災でもほとんど大破、倒壊しなかったことで、 その妥当性が検証された。 しかしその一方で、家具や什器、コンピューターなどが転倒 して多くの死傷者を出したり、マンションで玄関周りの壁に被 害が生じてドアが開閉できなくなったり、病院などでも診療機 能を果たせなかったりと、深刻な事態も多くみられた。 このため、さらに建物の揺れを制御する制震・免震構造の開 発や普及への取り組みが始まった。 耐震構造では、地震の揺れがそのまま建物に伝わり、上層階 (a) 耐震構造 (b) 制震構造 (c) 免震構造 , 制震装置 免震装置 地震動 地震動 地震動 地震時に加わる力に耐 地震の揺れが建物に伝地震の揺れを免震装置 えられるよう、建物を わった後、制震装置でで遮断して、建物に伝 揺れを吸収し、建物のわりにくくし、建物の 頑丈に造る。 揺れを小さくする。 揺れを低減する。 耐震・制震・免震構造の原理 図 2 ー 8 イ 8

2. 図解・超高層ビルのしくみ

倒や食器類の落下なども少ない。阪神・淡路大震災で、神戸市 内に 2 棟あった免震建物の効果が実証されたこともあり、震災 後は急増して、 2008 年現在で免震住宅は 3000 棟程度、免震ビ ルも 2000 棟に迫る。 免震構造は、土台と建物の間にゴムと金属板を交互に挟んだ (b) 揺れによって変形した ポルト穴 フランシ 第震装置 被覆ゴム 内部鋼板 内部ゴム (a) 積層ゴムの構造 積層ゴムは、水平方向には柔らかく鉛直方向には硬い。鉛直 積層ゴムを入れ、これにダンパーを組み合わせてある。 積層ゴム 図 2 ー 1 0 免震積層ゴム

3. 図解・超高層ビルのしくみ

第 2 章超高層ビルの地震対策 ②地震動の主勢力を避ける ①地震力を伝達させない 磁気浮上など 超高層ビル 建物に 加わる 地震カ 免震 低中高周期 : 層層層 免震 通常 ④制御力を加える 重り型制振器 ( 動吸振器 ) アンション型 . く = 慣性カ 制振システム ③非共振系を図る 踏ん張る 受け流す 可変剛性・減 - 衰システム 自動切換 ⑤エネルギー吸収につとめる 粘 ( 弾 ) 性ダンパー オイルダンパー 図 2 ー 9 制震構造 5 原則 このうち、②免震構造、ならびに制震構造として近年よく用 いられている④制御カ付加タイプと⑤エネルギー吸収機構の組 み込みタイプについて、具体的に述べる。 ◎免震構造 免震構造は、地震による建物の揺れを劇的に減らすことがで きる。そのため建物の被害を防ぐだけでなく、家具、什器の転 5 ノ

4. 図解・超高層ビルのしくみ

第 2 章超高層ビルの地震対策 に行くにしたがって揺れが 2 ~ 3 倍に増幅する。その揺れに耐 えられるよう頑丈な構造にする ( 図 2-8a ) 。 これに対して制震構造は、建物に伝わった地震の揺れエネル ギーを制震装置で吸収し、建物の揺れを小さくする。大きな地 震動に対して、耐震構造よりも安全性を確保できる ( 同図 b ) 。 そして免震構造は、地震の揺れを免震装置で遮断して建物に 伝わりにくくする。震度 6 強に対しても建物に被害を出さない ようにすることができる ( 同図 c) 。 ◎免震・制震の 5 原則 ぼりたく 免震・制震構造は、 1950 年代に京都大学教授だった小堀鐸 二博士が提唱した理論に端を発する。その後、実用化研究が進 み 1989 年には世界初の制震ビル ( 京橋成和ビル / 10 階建 ) が完成した ( 写真 2 ー 3 ) 。 このビルは間ロ 4m に対して高さが 33m あり、超高層ビル 世界初の制震ビルと屋上の制震装置 写真 2 ー 3

5. 図解・超高層ビルのしくみ

第 2 章超高層ビルの地震対策ー 35 日本に超高層ビルが誕生するまで一一 36 2-1 地震のエネルギーと震度 36 / 関東大震災の教訓 3 / / 柔構造 vs. 剛構造 38 / 超高層ビルは柔らか い 38 / ポテンシャルエネルギー論 40 / 地震に よる揺れの克服 4 プ 2-2 耐震設計一一 42 地震に対する安全性の確保 42 / 地震に対する動 的設計法 43 / 卓越周期を避ける 44 / 長周期地 震動 45 / 液状化対策 46 2 , ー、 = = ない建物をめざして一一一 48 = 缸震・免震の発想 48 イ免震・制震の 5 原則 49 / 震構造 5 プ / 制御カ付加タイプの制震構造 ~ 毛 3 / ダンパー ( 減袞 ) 利用タイプの制震構造 、 - 語 6 / スリット壁 60

6. 図解・超高層ビルのしくみ

第 2 章超高層ビルの地震対策 方向の硬さで建物を支え、水平方向の柔らかさで地震動を吸収 する ( 図 2 ー 10 ) 。 超高層ビルのように細長い建物では、大地震時に積層ゴムに 上向き方向に引張力がかかる。積層ゴムは引っ張りに弱く、損 傷する恐れがあるため、超高層ビルには不向きとされていた。 しかし、この引き抜き力に対応できる免震技術が開発された。 その一つが、鋼板を介して積層ゴムを基礎に固定する「ウイ ンカーエ法」で、超高層ビルや不整形の建物でも、信頼性の高 い免震性能を低コストで実現する。現在、東京湾岸地域に立つ 47 階建ての超高層免震マンションなど数棟の実績がある。 ◎制御カ付加タイプの制震構造 制御カ付加タイプの制震構造の代表例は重り型である。 建物の固有周期に同調させた重りをビルの屋上に設置する。 重りには、鉄塊や水槽に入った水を用いることが多い。蓄熱タ ンクや屋上庭園など、他の設備を準用することもある。 建物が揺れ始めるとこの重りが共振し逆方向へ振れ始める。 すると建物の振動エネルギーが重りの逆方向の振動に打ち消さ 制御コンピュータ TMD の効果を高 める動きを指令 。 AMD. 、一振動 建物屋上 TMD 振動信号 号 動 振 図 2 ー 1 1 ATMD タイプ制震装置の原理 53

7. 図解・超高層ビルのしくみ

に等しいプロポーションである。このように細長いビルでは、 地震や強風時にねじれを伴う大きな揺れを生じる。居住性を考 えると、通常、 5 階建て程度が限度なのだが、 2 台の制震シス テムを屋上に設置して揺れ制御することで、このようなプロ ポーションが実現した。 さらに今日では装置の種類も豊富になり、超高層ビルの必須 アイテムとなっている。 小堀博士の制震構造の提唱は、以下の 5 原則からなっていた ( 図 2 ー 9 ) 。いずれも今日の制・免震構造につながる。 ①地震動の建物への伝達経路を遮断する。 地震時に建物を宙に浮かせるなどして、地震動を完全に遮断 する。 ②地震動の卓越周期から建築物の固有周期をはずす。 ①の実現が困難なことから、遮断層を設けることで①に近い 状態を作り出す。周期の観点からいえば、建物の固有周期を 長周期化することで、地震動との共振を避ける。 ③地震波の周期に応じて建物の固有周期を変化させる。 時々刻々の地震動の振動周期に応じて、構造物の固有周期を 変化させ、共振しないようにする。 ④揺れに対する制御力を発生させる。 建物に制震装置を設置し、建物の振動を打ち消すような制御 力を発生させる。 ⑤エネルギー吸収機構を利用する。 減衰器 ( ダンパー ) を設置し、地震時の振動エネルギーを吸 収して、建物の変形に費やされるエネルギーを減少させ、建 物の損傷を低減させる。 50

8. 図解・超高層ビルのしくみ

【建築・土木を知る、次のようなプルーバックスがあります 『住宅建築なんでも小事典ズ大野隆司 B1679 ) 木造戸建から日 0 造共同住宅まで 『図解橋の科学』 ( 土木学会関西支部編 B1676 ) なぜその形なのか ? どう架けるのかワ 『コンクリートなんでも小事典』 ( 土木学会関西支部編 B1624 ) 固まるしくみから強さの秘密まで 『免震住宅のすすめ』 ( 深堀美英日 1482 ) 大地震からみ家をとク家庭をを守るために 『木材なんでも小事典』 ( 木質科学研究所木悠会編 B1359 秘密に迫る新知識 「人間工学からの発想』 ( 小原一一郎 B495 ) 人に快適な生活機器、建築空間とは ? ・の数字はブルーバックスの刊行順番号です。

9. 図解・超高層ビルのしくみ

第 2 章超高層ビルの地震対策 遭遇する地震 稀に発生する中地震 より稀に発生する大地震 きわめて稀に発生する大 地震 表 2 ー 2 耐震性能グレード 補修により損傷軽微 5 弱 ~ 5 強 5 強 6 弱 損傷軽微 補修不要 安全確保 再使用困難 無被害 損傷軽微 補修不要 再使用可 新第物 補修不要 ド無被害 耐震性能グレードの例 い条件で設計される。震度 5 強程度では無被害、震度 6 強程度 でも、軽微な補修で引き続き使用可能な状態ですむように設計 されるのだ。 地震に対する安全性を、鹿島では表 2 ー 2 のようにしている。 この表で C グレードが一般建物、 A グレードが超高層ビルに 相当し、 S グレードが次に説明する免震構造などに対応する。 ◎地震に対する動的設計法 ビルの構造を A や S グレードにするには動的設計法を用いる。 1940 年代に強震計が開発され、多くの地震記録が取れるよ うになると、それらをコンピューター解析することで、地震時 の建物の揺れる様子が把握できるようになった ( 次ページ図 2 ー 4 ) 。その結果、建物の固有周期などによって、建物ごとに地 震による揺れ方に、違いのあることが明確になった。 地震時に時々刻々変化する建物の挙動をコンピューターで追 跡すると、地震の揺れによって構造体に大きすぎる力が加わっ たり、変形してしまったりするような設計上の欠点がみつかる。 それを部材の断面の修正などを繰り返して改善するように設計 していくのが「動的設計法」である。

10. 図解・超高層ビルのしくみ

ハニカムダンパー 57 阪神・淡路大震災 32 , 36 , 44 ヒートボンプ 164 非常用エレベーター 185 非常用発電機 177 避雷設備 190 ビルエネルギー管理システム 194 ビル ( 風 / 風害 ) 66 , 69 フアジー制御 161 風圧力 65 風洞実験 71 複層ガラス 169 物進方式 137 フラットスラブ 23 , 219 プレース 30 , 57 , 122 , 130 プレキャスト工法 215 プレキャストコンクリ 104 プレキャスト・プレストレス トコンクリート造 135 フロアクライミング方式 142 , 144 , 151 平成 7 年兵庫県南部地震 32 曲げモーメント 83 マストクライミング方式 141 , 144 , 152 マリオン 89 無目 89 免震構造 49 , 51 メンテナンス 192 もつばら物 108 山 ( 崩し / 積み ) 100 山留め 117 油圧式エレベーター 154 床板 124 ユニット化工法 126 揚重 96 , 103 養生期間 98 容積地区制 42 ・ら行 ライフサイクルコスト 200 落雷 190 ラーメン架構 88 , 217 194 , 変電設備 176 防煙垂壁 181 防災センター 192 方立 89 ポックス柱 77 ポテンシャルエネルギ ・ま・や行 マグニチュード 36 間配り 106 幻 0 ー論 40 ランニングコスト 215 リサイクル 106 , 108 リデュース 106 , 107 リニアモーター式 エレベーター 155 リニューアル 199 リフト 105 リュース 106 , 107 レベル ( 1 / 2 ) 暴風 64 ロープ式エレベーター 154 ロジスティックス 105