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検索対象: 図解・超高層ビルのしくみ
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1. 図解・超高層ビルのしくみ

第 6 章超高層ビルの建設工事 整然とし、作業員の数も少なく、オートメーションの生産工場 の雰囲気に似ている ( 写真 6 ー 6 ) 。 2 台の天井クレーンにフックを 2 つずっ - ーー合計 4 つのフッ クによるクレーン作業に自由度が生じるため、作業効率が大幅 に向上し、工期もコストも圧縮できる。 そして従来のタワークレーンに比べて部材の吊り下げ距離が 極端に短く、風の影響を受けないため、風が強い日も、強風に 左右されずに作業が進行できる。また、部材の搬入などを行う 施工工リアは、リフトが設置される建物短辺方向の 1 ヵ所のみ となり、敷地を効率よく利用できる。 シャトライズエ法は、狭隘な敷地で大型 PCaPC 部材を組 み立てるのに最適の工法である。 ◎最上階から造る ! ? 一方、逆に施工用設備を地上に固定して、建物の最上階部分 から造って、建物自体を上へ押し上げていく「物進方式」も実 用化されている。建設中は建物全体をジャッキで押し上げてい くため、ジャッキの安全性が高く微妙な調整が可能なネジ式の ジャッキが使われている ( 次ページ図 6 ー 14 ) 。 物進方式は中高層ビル向けで、名古屋 ( 9 階 ) と東京 ( 11 階 ) に建設されている。完成した外観のビルが上に伸びていくため、 建設中の景観や近隣への影響がきわめて良好である。 物進方式は施工用設備が地上に固定されているので、一般の 製造工場と同様に移動を必要としない製造ロボットとの相性が よく、今後ますます発展するロポット技術と IT 技術を融合し た技術 (IRT : lnter Robot Technology) による「超近代的建 築工事」の実現が期待される方式である。 建設分野のこうした技術の開発は、社会の要請や技術革新に きようあい

2. 図解・超高層ビルのしくみ

はじめに ◎はじめに 2010 年 1 月、中東ドバイに 168 階建、高さ 828m という超 高層ビルが完成した。そびえ立っその姿は砂漠の花ヒメノカリ スをモチーフにしているという ( 本文 21 ページ参照 ) 。ひるが えって日本では、 1993 年に完成した横浜の「ランドマークタ ワー」の 70 階建 / 296m が現在もっとも高いビルである。 だからといって日本のビル建設技術が立ち後れているわけで はない。じつは日本では 1960 年代半ばまで、建物の高さが 31m に制限されていた。全世界のマグニチュード 6 以上の大 地震の約 20 % が日本の近くで起きる。そんな地震国ゆえに、 超高層ビルの建設は厳しく規制されていたのだ。 しかし土地の狭い日本、とくに大都会の東京では、高度成長 期を迎えて増え続けるオフィスの確保や都市景観整備のため、 超高層ビルの誕生は必然であった。そして構造学者たちが提唱 する「柔構造」理論が、それを可能にした。 1960 年代に入って、鹿島は当時の技術の粋を集めて日本初 の超高層ビル「霞が関ビル」建設という一大ブロジェクトに果 敢に挑んだ。高さ制限 31m の壁を 40m 、 50m と徐々にクリア していったわけではない。いきなり未知な 36 階建、 147m と いう超高層ビルに挑戦したのだ。 このプロジェクトでは、 147m の高さにまで建設資材を吊り 揚げるフロアクライミング方式のタワークレーン、工場加工の 各種プレハプエ法、特殊なデッキプレート床工法、そしてスリッ ト壁をはじめとする地震対策などの、その後の超高層ビル建設 の基本として受け継がれていくさまざまな建設技術の基礎が開 発され、実践された。 霞が関ビルで誕生した超高層ビルの技術は、その後の 40 年 5

3. 図解・超高層ビルのしくみ

一八四〇年 ( 天保 鹿島建設株式会社【かじまけんせつかぶしきがいしゃ 一一年 ) に江戸で創業。一九三〇年には株式会社となり、現在は建設業界最大手として活躍。 一九四九年に業界他社に先駆けて技術研究所を設立するなど、絶えず新分野に意欲的に チャレンジすることで「技術の鹿島」の名を不動のものにしてきた。一九六五年に日本で最初 の超高層ビルである「霞が関ビル」を着工 ( 一九六ハ年完成 ) して以来、「超高層のバイオニ【 ア」として、業界をリードしている

4. 図解・超高層ビルのしくみ

図解・超高層ビルのしくみ 建設から解体までの全技術 プル 鹿島編 みー・ / ンク ー / くックス

5. 図解・超高層ビルのしくみ

i' KS BLU. のしくみ 日超高層ビル 除籍済 ( 再活用図書 ) リサイクル資料 ルをノッ , レ / ′ 鹿島編 建設から解体までの全技術

6. 図解・超高層ビルのしくみ

ビルの解体技術ーー 2 10-3 中高層ビルの解体 20 プ / アスベスト除去 204 / 高層ビルを下から解体する 206 / カットアンド ダウン工法の手順 20 / / カットアンドダウンエ 法のメリット 2 第 11 章超高層マンション - 2 11-1 超高層マンションの今 212 意外に古い超高層マンションの歴史 2 プ 2 / 超高 層マンションの技術的特性 2 プ 4 / 超高層マンシ ョンの経済的特性幻 4 / スリムな超高層マンシ ョン幻 5 / PCa 工法のメリット幻 5 11-2 超高層マンションの最新構造ーー 2 行 梁・柱からの解放 2 プ 7 / チューブ架構幻 7 / ス ーバー RC フレーム構法幻 9 / タワー / ヾーキン グ 2 幻 / 全方位型マンション 222 / 永く住まう 223 / ス勾レトン・インフィル 225 / 超高層マ ンションの資産化 225 4 物を第、第、物 を物第 出典ーー 226 さくいん 227

7. 図解・超高層ビルのしくみ

はじめに 阪などの大都市圏では、超高層ビルカ琳立する風景があたりま えになっている。 さらに、地震国日本でも高さ 1000m を超えるような超々高 層ビルの建設も可能な技術力を持つに至った。 その一方で、初期に建てられた超高層ビルでは、機能アップ はもちろん耐震性能の向上、 C02 を大幅に削減する省エネビ ルへの本格的リニューアルの時期が訪れている。 リニューアルでは引っ越しを伴わない、「居ながらリニュー アル」の需要が大きい。また、やむなく解体する場合でも、ジャッ キを用いて下層階から「だるま落とし」のように解体する「カッ トアンドダウン工法」など、環境に配慮した解体方法が注目を 集めている。 本書は、今やごく身近な存在となった超高層ビルの基礎知識 から最新技術、知られていない裏話などを、たくさんの写真や 図版とともに分かりやすく書いてみた。それらは超高層ビルに 限らず、中低層ビルにも共通するところも多い。 どこからでも、興味をもたれたパートから読み始めていただ きたい。たくさんの「なぜ ? 」や「なるほど ! 」、時には「ヒ ミッ ! ? 」が隠されているはずだ。この本を読まれた皆さんそれ ぞれが抱かれていた「 ? 」の解明と「 ! 」や「 ! ? 」の発見に 役買うことができ、「ものづくり」のおもしろさを感じていた だければ、これに優る喜びはない。 2010 年 5 月 鹿島「図解・超高層ビルのしくみ」編集委員会 7

8. 図解・超高層ビルのしくみ

第 1 1 章超高層マンション められている。この法律に基づき、各住宅の所有者が集まって マンション建物を管理・運営することになる。 その結果初期投資 ( イニシャルコスト ) だけでなく維持管理 費 ( ランニングコスト ) も厳しく制約される。そのため超高層 マンションでも、コストパフォーマンスにすぐれる鉄筋コンク リート造が採用され、またセントラル熱源や空調ではなく、戸 別に管理し運営できる設備で建設されているのである。 ◎スリムな超高層マンション かっての超高層マンションには、比較的ズングリしたプロ ポーションの建物が多かった。しかしここ数年、ずいぶんスレ ンダーになってきていることにお気づきだろうか。 40 ~ 50 階 超えとなり、さらに、かまほこ板のように極端に細長く平らで、 しかも高さが 150m 以上を超える建物まで出現している。 こうしたプロポーションが可能になった背景には、地震や風 による揺れを低減する対策など、鉄筋コンクリート造の超高層 建築についてのさまざまな技術開発の結果がある。 ◎ P ( a 工法のメリット これらの技術開発に合わせ、建物を造る工法も進化してきた。 とくにプレキャスト工法 ( PCa 工法 ) の進歩は、鉄筋コンクリー ト造のメリットをより高めているといってよいだろう。 一般に鉄筋コンクリート造の建物は現場で鉄筋を組み立て、 型枠を造ってコンクリートを流し込む。しかし超高層建築のよ うに繰り返しが多く、決まった形の鉄筋コンクリート部材を大 量に造るなら、現場ではなくエ場で大量生産し、現場に運んだ ほうが生産性がよい。これが PCa 工法である。 PCa 工法では、現場ではプラモデルを造るように、部材を 刀 5

9. 図解・超高層ビルのしくみ

lSBN978-4-06-257683-3 C0252 ¥ 880E ( 0 ) 定価 : 本体 880 円 ( 税別 ) 9784062576853 1920252008809 震度 7 にも耐える超高層ビルは どのように実現したか 地震動や台風の暴風雨に備える耐震技術、 大工事を滞りなくやり逐げるノウハウ、 1 万人が安全・快適に過ごすための エレベーターや空調、防災のスゴ技など、 日本の超高層ビルの 大胆で細やかなしくみの数々 ! ー第

10. 図解・超高層ビルのしくみ

◎超高層マンションの技術的特性 超高層マンションと超高層オフィスビルでは何が違うか。大 きくは技術的な違いと経済的な違いに分けられる。 住宅では、まず人が暮らす居住空間としての性能が求められ る。その一つが揺れに対する要求である。とくに強風時の揺れ については、オフィスビルより厳しい性能が要求される。また、 音に対しても敏感だ。上下階や隣同士の生活音、外の車や電車 の騒音、建物内の各種機械の音など、さまざまな範囲でオフィ スビルより厳しい条件が求められている。 この揺れや音を抑えるために、超高層マンションでは事務所 ビルに多い鉄骨造より、重量があって硬く、遮音性にすぐれる 鉄筋コンクリート造による超高層建築が主流となっている。 さらに安全で快適な暮らしのために、避難経路の確保や陽射 しの制御、そして適切な換気を確保する必要から、超高層ビル であっても、バルコニーが必要とされるという大きな違いがあ る。 ◎超高層マンションの経済的特性 超高層オフィスビルは中小規模のオフィスビルに比べて、 般的に立地や規模・仕様といった市場競争力が優っている。か っては超高層マンションそのものに希少性やステータス性があ り、戸建住宅や中低層高級マンションなどとは一線を画してい た。ところが最近の急激な普及により、超高層マンション間だ けでなく、中低層高級マンションとの価格競争が激化してきて いる。 また建物の管理・運営の観点からもマンションとオフィスに は大きな違いがある。 マンションは区分所有法に基づき、個人の資産保護が取り決 27 イ