別の部署の仲良しグループで昼食時に談笑するなどは、インフォーマルなコミュニケーションの典 型例であろう。また、例えば、同じ職場で、一つのグループが平準以上のよいパフォーマンスをあげ るような場合には、こうしたインフォーマルな組織の機能が発揮された結果だとみることもできる。 このように、実際の企業力は、フォ 1 マル組織だけで完結するものではなくて、インフォーマル組 織の機能も重要と考えられているのである。社風とか、企業文化とかいわれるものも、後者と重なる ところがある。 会社におけるコミュニケーションには、フォーマルなコミュニケーショ フォーマルなコミュニケー ション「ホウ・レン・ソウ」ンとインフォ 1 マルなコミュニケーションがある。人の集団としては、 どちらも重要であり、円滑なコミュニケ 1 ションのためにはどちらをも欠かすことはできない。 企業社会には、「ホウ・レン・ソウ」という言葉がある。学生生活には馴染みのない言葉である。 識 常「報告」、「連絡」、「相談 . を略して結合させた造語であるが、大きな国語辞典の改訂版には掲載され 会 社 るなど、企業社会ではよく使われるようになってきている。この言葉が企業社会におけるフォーマル の 会なコミュニケーションを説明していて、絶妙であるからである。 業 会社とは組織行動であり、企業人とは組織に属する人であるから、組織人としては、まず、会社に 企 おけるフォーマルなコミュニケーションが体質化されていなくてはならない。 座 講 「ホウ・レン・ソウ」にいう「報告」とは、事業遂行のために任じられている業務の経過や結果を
冓座のポイント 一日の仕事は挨拶に始まり、挨拶でおわる ! 「ホウ・レン・ソウ」が君を成長させる ! ストレスとうまく付き合え ! キーワード 挨拶異文化コミュニケーション聞き上手 コミュニケーション能力 ジョ八リの窓 ストレスセクシュアル・八ラスメント 組織風土ノヾーナード山アラシのジレンマ ニ一一口
上司やチームに伝えることである。企業社会一般では「復命」ともいわれ、そもそも任じられている 業務内容の一部を構成するものである。「報告」は、情報が一方通行で流れることではなくて、上司 などが「報告」内容を理解し確認してはじめて「報告」の意味をもつ。ゆえに、上司がよく内容を確 認できない場合には、何度でも報告を求めることになる。 「連絡ーとは、相互に相談し合うといった内容を含み、当該事項について関係者が共通の認識をし ているということが要件である。「連絡」では、情報の流れが常に双方向であり、こちらから「連絡」 する事項もあれば、上司やチ 1 ムから伝えられる事項も多い。その際に、当該事項について共通の認 識が得られていることと、そのことが相互に確認されていることが要件である。 「相談ーとは、目的をもって話し合うことであり、意見を述べ合うことが重要である。「相談」は 「雑談ーではないので、目的、ないし、案件がある。「相談 . の結果としては、何がしかの判断が下さ そしやく れることになる。「報告」と「連絡」が事実関係の咀嚼に力点があることに対して、「相談」は、判断 への展開に力点がある。 以上のように、組織が維持され機能していくためには、「ホウ・レン・ソウ」はいわば、身体を維 持する上での血液にもたとえられるものである。 インフォ 1 マルなコミュニケーションは、フォ 1 マルなコミュニケーション以 インフォーマルな コミュニケーション 外のすべてのコミュニケーションをいう。会社で雑談するのも、アフターファ
超えた大きな誤解を生じかねない。 これが、敬語になると、対象に対するそうした好嫌の情や価値観の表明が相当に抑制されることに なる。もちろん、話の内容に対象に対する好嫌の情や価値観の表明を込めたいこともある。その場合 も、丁寧語であれば、その因って来たる所以であるとか、そのことの具体的な例証をあげるような表 現の流れが自然と伴われることになる。敬語で会話することで、こうしたコミュニケーションメリッ トが付帯するのである。 ( 3 ) 上司に対する社会常識 当該企業人が所属する当該組織の長たる直属の上司は、直接に業務の指示 主将兼監督としての上司 を発する人格であるとともに、当該部署全体のパフォーマンスに対して責 任を負う立場の人である。 会社の業務は、繰り返し確認しているように組織活動である。長たる上司は、ひとえに組織の代表 1 ダーである。企業人は、この上司の指揮のもとで業務に取り組むの であり、業務執行のチーム・リ である。 上司と部下との関係において、会社として部下に求めていることは、「ホウ・レン・ソウ」を欠か さないことと敬語の使用である。その理由は、すでに述べた。
出る前にも十分訓練可能である。教員を相手に行えば良いだけのことである。 新入社員をはじめとする若手の時代なら、わからないことばかりなのは当然である。どんどん質問 していくと「質問カーとでもいうべきものが向上する。何がわからないのかわかっていく、というの が第一歩である。 先輩や上司に話しかけるのは、出退社の挨拶を除き、自分に命じられた職務を遂行している時であ ろう。よく「報告」、「連絡」、「相談」 ( 「ホウ・レン・ソウ」 ) という言葉を用いることがある ( この言 葉を最初に用いたのは実務家である山崎富治『ほうれんそうが会社を強くするーー報告・連絡・相談の経営 学』であろう ) 。うまく職務が進まないときは周囲に相談し、時々進捗状況を連絡し、最終的に報告す るということである。こうしたときも日頃から人付き合いをよくしていれば気軽に話しかけやすい そして、上司・先輩に逆にいろいろ指摘され、それを通じて自分の能力が向上していく。自分の能 カ・限界は自分では案外わからないものである。他人に注意されねばそれでよしと思ってしまう。そ の意味で周囲からの注意・苦言は大変重要なものである。 ( 6 ) もし人付き合いがなかったら これまで述べてきたように、もし人付き合いがなかったら、コミュニケーションがなかったら、自 らの成長はなく、組織の一員としても組織に対して貢献ができないことが明確になったであろう。さ 106
部署とその部署における職制上の地位を表わしたものである。例えば、すでに取引のある会社同士で あれば、取引金額が大きくなると、肩書の階層 ( 職制上の地位 ) が上がる。取引関係がまだなく、初 手の様子見の場合は、肩書のない ( すなわち、権限の無い ) 平社員が対応することもある。この場合 は、まだ情報収集の段階であるということになる。 こ基づいて、然るべき肩書の人が来客対応するのであるが、いざその場になった こうした事前認識。 時に、話の内容が違っていたり、発展があったりした場合には、そのまま座を継続するのではなく、 いったん中座して、一時散会とするか、別の肩書、すなわち、権限のある人と交代する、または、同 席することが考えられる。 来客対応で、ある程度の取引関係の内容に踏み込むことが想定される場合には、その後に誤解がな いように、お互いに複数名の同席のもとに接遇することになる。 以上のように、来客対応には、形式がある。国の外交に形式 ( プロトコル ) があることと同様であ る。会社での来客対応の形式とは、どの部署のいかなる肩書きの人が対応するのかということと、複 いかん 数名の同席者が要るかどうかということであるが、これらの形式如何は、あらかじめ予測される会談 の内容によって決められるのである。 なお、来客対応の結果は、業務記録として記録される。「ホウ・レン・ソウ」である。以上は、こ ちらから他社に訪問する場合にも同様である。
内で共有されることで、部署全体がミスを犯すことになりかねないのであれば、部署内全体に謝らな くてはならない。部署全体とは、直截的には、直属の長が代表する。所属長にお詫びするのであるが、 これは「ホウ・レン・ソウ」でもある。 その数値情報が当該部署から社内に出てしまった場合には、部署長が代表して社内にお詫びするこ ととなる。この場合には、当事者を帯同して所属長が一緒に社内をお詫び行脚するという形式もあり うることである。要するに、マイナスの現象の及ぶ範囲によっては、お詫びの仕方が異なるのである。 第二は、この原因から生じるマイナスの現象の程度が理解されていなくてはならない。単に書類の 数値の訂正処理で済んでしまい実質的なダメージがまったく存在しないことを対象とする場合と、事 業などにダメ 1 ジを起こしている場合とでは、お詫びの内容も様式も異なる。 前者は口頭でのお詫びで済むことが多いが、後者では、文書で再発しない約束を添えたり、ダメー 識 常ジに対する補償の意を表明したりすることが伴うこともある。 会 社 以上のようなお詫びの原因とそのマイナスの及ばす範囲、及び、程度についての理解と認識を前提 の 会として、お詫びの行為の具体的な内容は次のように組み立てられているのである。 業 改めて述べると、お詫びする目的は、お詫びする相手にお詫びしているという 企 お詫びの目的と内容 ことを理解してもらい、お詫びの原因事象の消滅を確認してもらい、原因事象 座 講生起以前の状態に復してもらうことである。つまり、お詫びは、自己目的であったり、儀礼的なもの
講座のポイント 「挨拶」は、チームへのサインプレーである。 「遅刻」は、いつでも組織に多大な損害を与え ている。 「お詫び」は、その原因が取り除かれなければ 「お詫び」にはならない。 キーワード QOL クレーム敬語コンプライアンス 上司・同僚・部下遅刻転職日本的経営 八ラスメントホウ・レン・ソウ
イプ ( 退社後 ) の付き合いも、すべてがインフォーマルなコミュニケーションを成す。現実には、ど こまでがフォ 1 マルなコミュニケーションで、どこからがインフォーマルなコミュニケーションに属 するかという区分は、明確にはできない場合が多い。 インフォ 1 マルなコミュニケーションは、フォーマルなコミュニケーションを補足する機能もあり、 組織人の相互理解にとって不可欠な要素である。だから、インフォーマルなコミュニケーションが僅 少では、チームとして業務遂行する上で不便であり、また、支障を生じることになるので、軽視する ことはできない。しかしながら、過剰ではかえって妨げになることがある。また、内容的にも「ホウ レンソウ」と同じ項目が話題になったりすると、時としてインフォーマルなコミュニケーションの時 にフォーマルなコミュニケーションの時とは異なった情報や見解が紛れ込むことがありうる。こうし た場合には、職場のルール違反をもたらしてしまうことにもなりかねず、諫められるところである。 識 常 では、インフォーマルなコミュニケーションでは、どの程度の密度、どのような内容のコミュニケ 会 社 ーションを心掛けるべきであろうか ? これに関しては、簡単に線引きをして規定することはできな の 会 いので、結局のところ、日々その日のコミュニケーションについて思い返して自己評価し、翌日以降 社 企に生かしていこうという反省をするということを繰り返して体得する以外ないのである。そのために は職場の身近なところで自分が範とする人を見つけて、その人の言動を見習うことが常套手段である。 座 講 なお、コミュニケ 1 ションの内容で気をつけたいことは、個人のプライバシーに関する事項である。
表 P ー 3 OECD 学習到達度調査 : 科学的リテラシーランキングの推移 2000 2003 2006 韓国 フィンランド フィンランド 日本 同じ ( さらにはそれ未満 ) になる「大学全入時代」の 国ラ直解到来が迫りつつある。これに加えて少子化の進展によ ン 査テし読 アイ調リ集合 り、一部の私立大学では入学定員割れも発生するよう ア ラリダタ年的編総 港ダ湾ニ本ラ ュ囲学が「 ナト になった。その結果、多くの私立大学では受験生獲得 ト、シ数者 香カ台ス日、ス 工 一一オ加にを目的とした受験科目数の削減を行い、今日では「一 オヒ 円解グ鉦 丿 ( 読、 芸一能入試」や O ( アドミッション・オフィス ) 入試 査「キ」 ン ィア も珍しくなくなった。 ン 度グ読 達ン「 タリ 到キの 本港国ラオノコ 一方、受験生の側では、学校週五日制や平成一四年 シトカ 日香韓ンスマチジ学ラの 0 オ一のリ」 0 度施行学習指導要領による「ゆとり教育ーで育てられ 徒年一 2 た ヒオ = 生の亠あた世代が登場した。いわゆる「ゆとり世代」である。 ア 目「知識詰め込み型 , から「自ら学び、主体的に考える ンスダラリリンデ省要学 ラリ ナ一トラ一 ~ , の蝌のい型 , に改訂された「ゆとり教育」を受けた世代は、学 ンギジスル工科果」もと イイカ一ス 一イウ部結一た」 力の低下が指摘されている ( 表 a- ー 1 、ー 3 、文部科学 フ ュオアス文際シしカ 典 省『生徒の学習到達度調査 (æ—co<) 二〇〇六 1 上ワ 3 っ -4 ・【 0 「ー -8- -0- 山山 年調査国際結果の要約一二ー このような学習時間という「量」の減少が知識の 0