できるのである。このような組織構造を「講座制ーと呼び、学部組織 ( 特に、医学部 ) では、顕著に みられる。 これに対して、「学科目制」と呼ばれる制度がある。これは、「教育上、必要な学科目を定め、その 教育研究に必要な教員を置く、制度である。 学科目制では、学科に必要な学科目や専門分野をカバ 1 するように教授、准教授等が配置されるた め、教授と准教授の担当科目や専門分野がむしろ重複しないように人事が行われる。例えば、筆者は 教育学科の社会教育学担当教員として採用されているが、同じ社会教育学を担当する准教授はおらず、 また、教育哲学や教育行政学を担当する准教授の上には教授が配置されていない。学科全体で必要な 科目が担当できるような人員配置になっているからである。 また、教授からなる教授会が置かれ、大学の運営に関わる重要な事項を審議するものとされている。 識 常教授会のメンノ ヾーには准教授やその他教員を加えることができる。普通、定例教授会が開催される曜 会 社 日には専任教員の授業が開講されていない。 の 活 そのほか、教員として非常勤講師も置かれているが、これは特定の曜日・時限の授業だけを担当す 生 大るので、個人研究室を持っていない。したがって、非常勤講師と連絡を取りたい時には授業前後の教 室や講師控え室等で直接声をかけなければならない。 座 講最近では、特任教授と呼ばれる教員を置く大学もあるが、特任教授は専任の教授とは扱いが異なり、
いといってよい そこで、サークルの先輩に対しては、上下関係が厳しくなくとも、やはり敬意を表し、言動に気を つけることが大切である。サ 1 クルの先輩は、ゼミ等の先輩に比べて、一生涯の付き合いになる可能 性が高いので、利害を超えた付き合い方を心がけたい。 ゼミ等の先輩は、大学で教員とは異なる視点と方法で指導を与えてくれる存在である。ゼミの発表 の仕方、文献の探し方と読み方、レジュメの書き方などの具体的な技術を学べる関係にある。そうし た点に関して、教員に相談する前にゼミ等の先輩に教えを請うようすれば、関係が深まるはずである。 就職活動に関しては、教員以上に新しい具体的な情報をもっているので、進んで相談するようにした 顔見知りでない同窓の先輩と接する場合とは、同窓会やゼミなどのほか、就職活動のための企業訪 識 常問時などがある。そうした先輩に対しては、大学生活を話題にしながら関係を深めていくことが大切 会 社 になる。そのためには、先輩にたずねられて答えられないことがないように、自らが大学の細かな情 の 活報を把握しておかなければならない。 学 大 ( 2 ) 学生同士の常識 座 講大学の場合、友人関係は、①語学や学科などのクラス、②同じゼミや授業の履修者、③サークルな
さて、大学教員に接する機会には、授業終了後やオフィス・アワーなどがある。また、クラス担任 やサ 1 クルの顧問として接する場合もある。そこで、大学教員にどう接すればよいだろうか ? まず、大学教員は高校までの教員とは異なり、教育だけでなく、研究が主要な仕事の一つであるこ とを理解しておきたい。つまり、仕事のすべてを学生に向けているというわけではないのである。し たがって、研究室に行く時には、オフィス・アワー ( アメリカでは大学教員の研究室をオフィスと呼ぶ ) の日時や出講日などを確認しておく必要がある。大学教員は毎日、大学に勤務しているとは限らない ことを理解しておこう。 また、大学教員は高校までの教員に比べて、より多くの学生を相手にしているため、受講学生であ っても必ずしも顔と名前を覚えているとは限らない。そこで、教員に用がある時には、最初に受講し ている授業名と名前・所属等を伝えてから用件に入るようにしなければならない。 識 常そして、授業中の接し方に配慮すべき点がある。時々、遅刻してきた学生が講義中の教員に声を掛 会 社 けてくることがあるが、これでは講義を中断させることになる。緊急事態が発生したならともかく、 活このような自分勝手な行動をとることは禁物である。高校までなら、クラスの生徒は皆馴染みである 大からある程度は許されるかも知れないが、大学の講義では見知らぬ学生も一緒なので、講義を中断さ せるように行動をとれば彼らから白眼視されることになる。講義終了後でも、黒板を消している最中 座 講の教員に呼びかけるのも同じである。まして、授業中に教室を出入りするのは常識ある大学生がすべ
めない人に飲酒を勧めないなど ) 、言動 ( いわゆる無礼講はないと思った方がよい ) 、参加費 ( 学生らしい金 額や実施頻度 ) などのことである。罰ゲ 1 ムのようなことを強要したり、芸を披露させたりしないこ とも節度として押さえておきたい。 これら節度の維持を担当教員に期待するのでなく、学生自身で守 るよう努めたい。 ) しうまでもなく、過度の飲酒、一気飲み、未成年者の飲酒は厳禁である。 そして、無断キャンセルをしないことである。コンパの企画学生はあらかじめ参加数を確定し、会 場との交渉を行っているわけであるから、無断キャンセルは企画学生に負担を強いることになりかね 、よ ) 0 オし とうしてもキャンセルしなければならない時には遅くとも前日の昼間までに企画学生に直接そ の旨を伝えるのが最低限のマナーになる。無断キャンセルした場合には当然、キャンセル料の支払い とメンバーからの批判を覚悟すべきである。 最近の学生はコンパの集合時間を守らないことが多いため、集合時間を開始三〇分前頃に設定して、 識 常教員にも集合させることがある。教員は時間厳守であるのが普通であるから、三〇分前集合だと教員 会 社 に無駄な時間を過ごさせることになる。教員には開始時間を告げるか、遅刻者が予想されても時間厳 の 活守で開始するか、いずれの方法を選ぶようにする。 学 なお、飲酒による迷惑行為や未成年者の飲酒に関しては次のような法律の条文がある。 大 座 講
教授会メンバ 1 とされていない場合や給料が専任とはことなったりことがある。特任教授は、教授定 年後に再任用されたり、外部から特別に採用されたりするケースがある。 大学の研究室は二つの意味をもつ。一つは教員が常駐する部屋のことである。アメリカな 研究室 どではオフィスと呼ばれるが、日本では研究室と呼ばれ、教員が授業以外の時間、例えば、 研究や学生対応などのために用いる物理的空間である。個室の場合と共同部屋の場合がある。医学部 などでは教授室と呼ばれることもある。研究室には、教員の研究活動に必要な個人使用の机と椅子、 書棚、パソコンや実験器具等の機器等が設置されている。教員は授業や会議以外の時間のうち、特に 学生の相談や質問に応じるための時間であるオフィスアワーと呼ばれる時間帯を設けて、この研究室 で対応することになる。 もう一つは、学内の所属という意味である。特に、自然科学分野で用いられる。学生が卒業研究の ために研究室に属するという場合である。学生間で、どこの研究室に所属しているのかなどという会 話が交わされる。むろん物理的空間としての研究室を前提にした意味となるが、この意味での研究室 は教授など限られた教員がもっことを認められている。この研究室では、異学年の学生がそれぞれの テーマに基づく研究に取り組み、教授の指導のもとで共同テーマを設けて研究を進めることになる。 研究室にはそれぞれ習慣や雰囲気があるので、どこの研究室に属するかは専門分野だけでなく、その 習慣や雰囲気に自分が馴染むかどうかという点も選択のポイントになる。
出る前にも十分訓練可能である。教員を相手に行えば良いだけのことである。 新入社員をはじめとする若手の時代なら、わからないことばかりなのは当然である。どんどん質問 していくと「質問カーとでもいうべきものが向上する。何がわからないのかわかっていく、というの が第一歩である。 先輩や上司に話しかけるのは、出退社の挨拶を除き、自分に命じられた職務を遂行している時であ ろう。よく「報告」、「連絡」、「相談」 ( 「ホウ・レン・ソウ」 ) という言葉を用いることがある ( この言 葉を最初に用いたのは実務家である山崎富治『ほうれんそうが会社を強くするーー報告・連絡・相談の経営 学』であろう ) 。うまく職務が進まないときは周囲に相談し、時々進捗状況を連絡し、最終的に報告す るということである。こうしたときも日頃から人付き合いをよくしていれば気軽に話しかけやすい そして、上司・先輩に逆にいろいろ指摘され、それを通じて自分の能力が向上していく。自分の能 カ・限界は自分では案外わからないものである。他人に注意されねばそれでよしと思ってしまう。そ の意味で周囲からの注意・苦言は大変重要なものである。 ( 6 ) もし人付き合いがなかったら これまで述べてきたように、もし人付き合いがなかったら、コミュニケーションがなかったら、自 らの成長はなく、組織の一員としても組織に対して貢献ができないことが明確になったであろう。さ 106
とされるが、実際には、長い時間をかけて学ぶべき学習に向かず、また、時間割決定に際して週二回 の時間確保が難しく、授業選択の自由が制約されるなどの問題点がある。そこで、週一回の授業を半 年で完結される方式が普及している。 普通、一年生の前期が第一セメスタ—' 後期が第二セメスターとなり、四年生後期が第八セメスタ 1 となる。セメスタ 1 制は、授業途中で息切れしやすい学生にとっては単位取得が容易になり、また、 授業選択機会が前期と後期の二回に増えるなどの利点がある。 大学の授業では原則として四段階、ないしは、五段階による絶対評価が採用され 授業の成績・評価 ている。四段階評価は、 << ( 優 ) ・ ( 良 ) ・ O ( 可 ) ・ ( 不可 ) とされ、 O まで は合格点だとされるが、だと不合格で、単位認定がなされない。また、最近では、この四段階の最 上位に ( 秀 ) や <<< などの評価を加えて五段階にしている大学も珍しくない。大学によっては、こ のうち、などに限って学生数の一〇 % 以内に限定するなど相対評価を部分的にとり入れているとこ ろもある。 ほとんどは絶対評価であるから、担当教員の評価基準によって大きく成績は異なることから、上位 の評価をなかなか与えない教員は「鬼」と呼ばれ、反対に上位の評価を多く与える教員が「仏」と呼 ばれたりする。 担当教員が評価を示す場合には二通りの方法がある。前記の段階に即して、 < ・・ 0 ・などの
アンケ 1 トが無記名で実施されると、当該教員への報復手段としてそれが用いられることも少なくな ゝ。例えば、授業中に私語等を注意された学生がその腹いせに評価を低めて報復するのである。そう すると、教員と学生の双方にとって不幸な状態 ( 教員は気分を害し、結局、単位認定が厳しくなること も ) になりかねないので、報復的なアンケート回答は絶対にしてはならない 。この他、授業の条件 ( 大人数授業か否か、視聴覚設備が整っているか否か、学年の違い等 ) がまったく考慮されないまま平均 得点が示されることも問題視される。一般的に、評価の高い教員は少人数授業を担当している者に多 い傾向にある。 ともあれ、学生としては、授業アンケートについては、私情に支配されないよう、冷静な態度で記 入するよう努めることが大切である。また、わからない項目には回答しないのも良識ある態度だとい えよつ。 とは、学生の成績を素点で評価し、その数値によって四段階に評価し直し、 GPA (Grade PointAve 「 age) 平均点を算出して得られた結果のことである。たとえば、九〇点 5 一〇〇点を 「四」、八〇点—九〇点未満を「三」、七〇点 5 八〇点未満を「二」、六〇点—七〇点未満を「一」とし て平均値を算出するので、平均値四が満点になる。六〇点未満は〇点とされる。この合計値によって 成績の順位を決定することになるが、には問題点もある。例えば、単位修得科目数の多寡が考 慮されていないため、結果として習得単位数が多い学生ほど不利になる傾向がある。多くの科目を履
次に、学生に「希望調書」を提出させ、これに基づいて学科等で学生を割り振る方法がある。ゼミ 間の履修学生数の極端な偏りをなくすための方法であるが、学生にとっては希望外のゼミに配当され ることもある。そうなると、学習意欲が低下することになるが、学生としては配当されたゼミで新た な発見に努めるような態度をもって臨むようにしたい。 いずれの場合でも、ゼミに配当されれば、担当教員との間で、ある種の契約を交わしたことになる から、そのゼミの方針に従わなければならない。例えば、新学期になってからゼミ変更を願いできる のはきわめて重大な理由がない限り行うべきでない。 さて、ゼミや輪講では、担当者が当番制で発表や報告を行うことになるが、時々担当日に担当学生 が欠席することがある。病気なら仕方がないと理解されることもあるが、十分な準備ができないため に欠席するのは非常識である。そうした欠席は、教員だけでなく、他の学生にも多大な迷惑を掛ける ことになるので、単位が授与されなくても仕方がないと認識すべきである。ゼミ破門のように扱われ ても仕方がない。たとえ準備が不十分であっても、事前に担当教員に相談し、当日は不十分ながらも 発表に向かわなければならない 。これは大学生の常識である。 発表者はレジュメなどの配付資料を人数分用意しなければならない。 ときどきレジュメが頭の中に あると豪語する愚かな学生もいるが、これではまったく準備していないのとかわりない。聴く立場に 立てば、そうした態度がいかに馬鹿げているかがわかる。レジュメ等を作成してあっても、 4 判一
( 2 ) 授業を受けるための社会常識 大学の授業には、講義、課題研究、演習、実習、実験などがある。講義は、比較的大 授業の形態 規模の授業で座学形式をとることが多い。出欠のチェックは教員によって行われたり、 行われなかったりするが、多くの大学では出席日数の下限を定め、三分の二以上の出席がないと単位 授与を認めないという原則を設けている。大学の授業では講義タイプがもっとも多い 課題研究は学生が自ら研究テ 1 マを決めて、実験や調査、あるいは、文献によって研究成果を形に するための授業である。いわばミニ卒論のような成果を作成する授業になる。学生の問題意識を問う 授業であるから、基礎的な学習をこなした上で受講しなければならない。 演習はゼミナール ( ゼミ ) と呼ばれ、指導教員のもとに少人数の学生が履修登録して、各人が決め られたテーマに関する発表を交替で行い、その後他の学生との質疑応答 ( 議論 ) と教員による講評な どによって進められる授業形態である。法学部や経済学部など社会科学系の学部・学科では、特定の 演習の履修をもって卒業論文に代える例が多い。 実習は、講義等で学んだことを実際に活用したり、検証したりするタイプの授業で、教育実習をは じめさまざまな授業がある。一般的に、専門基礎を終えた上級学年に配当されているが、入門的な学 習の場として配当されている例もある。 実験は、自然科学分野や心理学系統の学部・学科で開講され、主として専門分野の学問的検証を行