社会人基礎力 - みる会図書館


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1. 大学生のための「社会常識」講座

いう基盤の上に構築されているものである。したがって、「基礎学力 . や「専門知識」という基礎が できていないと、「社会人基礎カーも身に付かないということになる。 さらに、これらの基本能力を次のような一二の〔能力要素〕、すなわち、 ( 1 ) 「前に踏み出す力」〕 ①主体性、②働きかけ力、③実行力、 ( 2 ) 「考え抜く力」【①課題発見力、②計画力、③創造力、 ( 3 ) 「チームで働くカ①発信力、②傾聴力、③柔軟性、④状況把握力、⑤規律性、⑥ストレスコ ントロールカ、に分類している ( 表 1 参照 ) 。これらの能力要素をみると、大企業のすぐれたマネジ ャー・クラスなら達成できるような要素ばかりである。大学生にこのような能力の育成を大学に求め るというのは、大学を高等職業訓練専門学校としてみなし、大学生を企業の社員になるための予備訓 練兵として捉えているような感じもするけれども、「企業と学生のミスマッチが解消していく」手段 ということのようである。まさに、この「社会人基礎力」は若者に社会で働いていくための厳しさを 具体的なスキル基準で示し、その目標達成のために努力させていくという企業側の意図がみえるよう に思われる。しかし、企業を含めた社会で働くためのスキル基準が示されたことで、努力目標が明確 化されたということは評価していいかと思われるが、このことを大学教育に組み入れるに際しては、 学問的な真理の探求という、大学本来の目的と実践的な「社会人基礎能力ーとをいかに有機的に連関 させるか、が大学の重要な課題となってくるだろう。くれぐれも大学が就職予備校にならないように 関係者の方々は留意していただきたいものである。 2 ラ 2

2. 大学生のための「社会常識」講座

1 「社会人基礎力」導入の背景 従来、大学と企業はそれぞれ別の目的で教育を担ってきた。大学は哲学・歴史・政策等の基本的な 知識と理論等という学問的な真理を追求していく場であるのに対して、企業が社員教会という形で実 践的な教育を自社の社員 ( 新入社員教育も含む ) に行ってきた。つまり、「昔は学校を卒業すれば、仕 事に就くのは常識であり、今さら、『社会人基礎カ』などといわれなくても、親や先生、先輩、それ にアルバイト経験などから自然に適応力を身に付けてきた」ということであった。ところが、ニート 若者に社会常識・社会適応力等を身に付けさせなければ、 やフリーター、第二新卒者の出現に伴い、 企業の人材として使えないという企業側の事情から、企業活動を担う人材を確保・育成という観点か ら、職場に即、役立つような能力を明確化していく必要性がでてきたのである。 資料編 1 社会人基礎力について 249

3. 大学生のための「社会常識」講座

このような流れから、行政 ( 経済産業省 ) ・企業 ( 財界 ) ・大学が一緒になって取り組むべきだとい うことになり、二〇〇六年七月に経済産業省の私的研究会「社会人基礎力に関する研究会」 ( 座長・ 法政大学大学院教授諏訪康雄 ) が設置され、二〇〇七年五月にその中間報告が出され、「社会人基礎 カーに関する具体的な考え方が明かにされた。この背景には、大学生の学力の低下は大学のみならず、 地域社会・家庭における教育力の低下が原因であるという考え方が根底にあった ( 読売新聞社編『息 子・娘を成長させる大学』読売新聞社、一一〇〇七年 ) 。 2 「社会人基礎力」とは何か それでは、「社会人基礎力」とは一体、どのようなものだろうか。「社会人基礎力に関する研究会」 では、「職場や地域社会の中で多様な人々とともに仕事を行っていく上での必要な基礎的な能力 , を 「社会人基礎能力 . として定義し、これを構成する三つの要素を、 ( 1 ) 「前に踏み出す力 , ( アクショ 一歩前に踏み出し、失敗しても粘り強く取り組む力、 ( 2 ) 「考え抜く力」 ( シンキング ) 疑問をもち、考え抜く力、 ( 3 ) 「チームで働くカ , ( チームワーク ) ーー多様な人々とともに、目標に 向けて協力する力、としている。この「社会人基礎力、は、小学校・中学校・高校時代の「基礎学 力」 ( 読み・書き・算数・基本スキル等 ) と大学時代の「専門知識」 ( 仕事に必要な知識や資格等 ) と 250

4. 大学生のための「社会常識」講座

大学の勉強と「社会人基礎カーの関係 「社会人基礎カーの大学のおける普及の促進をめざしている経済産業省では、二〇〇七年には、経 済産業省の「社会人基礎カ育成事業ーとして全国の七つの大学 ( 宮城大学・東京電機大学・武蔵大学・ 山梨学院大学・中京大学・愛知学泉大学・大阪大学大学院 ) をモデル校として指定し、一一〇〇九年には、 「社会人基礎カ育成グランプリ二〇〇九ーとして、全国の大学から応募大学を募り、二〇〇九年二月 ・ビジネ に東京で決勝大会が開催された。産学共同をテ 1 マに、大学と企業との具体的なべンチャー ス立ち上げのための提案等のインキュべ 1 ション事業の成果を問うたもので、〔優秀賞〕に小樽商科 江大学 ( * ) 、東京女子大学、豊橋科学技術大学、愛知学泉大学 ( * ) 、大阪工業大学、関西学院大学、 9J 奈良佐保短期大学、香川大学、日本文理大学、〔准優秀賞〕に、電気通信大学、城西大学、宮城大学 礎 ( * ) 、山梨学院大学、富山大学 ( * ) 、摂南大学、大阪大学 ( * ) 、が選ばれた ( * はモデル校 ) 。 基 人すでに指摘したように、大学は小学校・中学校・高等学校等で幅広く観点から培われた基礎学力を 会 社 基盤として、さらに高度な専門的な学力を学ぶ場である。「社会人基礎力」は大学生の実践的な視 編点・知識を磨いていくための補助的なスキル ( 技能 ) である。アメリカのビジネス・スクール ( 専門 資職経営大学院 ) はかって、企業のマネジメントをリードしていく人気のある大学院だったが、ビジネ 2 ラ 3

5. 大学生のための「社会常識」講座

会的慣行等に関する無知が大学生の「非社会常識的行動」に拍車をかけているものと思われる。 本書では、大学生に社会生活の中で生きていくための「社会常識」や「社会的マナー」を身に付け もらうための視点・考え方・方法について、キ 1 ワード方式で伝えていきたいと考えている。基本は、 「社会常識」とは何か ( 知識〔 knowledge 〕・良識〔 good sense 〕・見識 Cjudgment 〕 ) について基礎的に 学んでいただいた上で、社会生活における「社会常識」のさまざまな側面、つまり、①人と人の関係 における基本的な「社会常識」 ( コミュニケ 1 ションカ ) 等、②大学生活における「社会常識」 ( 学ぶ・ 働く・友人との付き合い等 ) 、③人と社会の関係における「社会常識」 ( 社会とのかかわり方等 ) 、の観点 から大学生のための「社会常識力」、を伝授していきたい、と考えている。なお、近年、大学生の社 会的な対応能力として、経済産業省が「社会人基礎力」を提唱し、その具体的な視点・考え方を示し ているので、本書の資料編 1 で「社会人基礎力」について触れておいたので、参考にしていただきた 一昨年一一月に、「京都大学では、学生の相次ぐ薬物事件などを受けて、新入生を対象に法令遵守 などを教える初年次教育を二〇一〇年度から実施する方針を固めた」という記事が掲載された。これ は大学生の相次ぐ、不祥事 ( 大麻所持事件、振り込み詐欺事件等 ) に対応して、大学の基礎教育として 大学生に「社会常識」を教え、こうした犯罪に対する防止策を教育活動を通じて行うということであ る。具体的には、「社会常識」に関する授業を一般教育課程で試行的に一〇ー一五コマ程度行い、二 266

6. 大学生のための「社会常識」講座

部下という経営資源を考量して、そうした方が組織全体のパフォーマンスが高まることを期待するの である。 ちなみに、会社では一般に、人事異動がある。この際に、企業人は、勤務地 ( 転任地 ) や職種の希 望を申告する機会がある場合があるが、誰を上司に希望するか、ということを述べることはできない。 上司は、会社が決めるのであり、部下では決められないのである ( 逆に、上司は、誰を部下とするかを 希望することはありうることである ) 。 ( 4 ) 同僚に対する社会常識 同僚とは、自分が所属する組織と同じ組織に所属し、同程度の権限と責任を有して 同僚への心掛け いるチームメイトのことである。組織プレー上、もっとも身近でもっとも頼りとな る存在である。 同僚に対して心掛けておかなければならないことは、第一に、必要な情報、有用な情報の共有であ る。第二に、相互の役割分担に関する共通理解である。第三に、相互の個性に関する相互理解である。 この三つは、同僚との信頼関係構築の基礎である。 同僚とは、相補いあって事に当たろうとしている同志である。事業遂行に必須で有用な情報は、 各々の行動を企図する時の判断基準となる。入手している情報に過不足があると、それぞれの判断が

7. 大学生のための「社会常識」講座

ス・スクール出身の経営者は企業としての短期的な利益を追求するあまり、「企業は社会的存在」で ある、という経営哲学 ( 経営理念 ) を忘れ、株主のための経営政策や経営戦略を展開していったため に、多くの従業員を解雇し、企業を & ( 買収 ) によって崩壊させ、さらに消費者や一般市民等か らの信頼を失った。近年のサププライム・ローン問題の端を発した未曾有の世界金融危機は、利益の 追求のみを経営戦略とした経営者の失敗を証明したようなものである。このために、ビジネス・スク ールでは、企業倫理論、論 ( 企業の社会的責任論 ) 、論 ( 社会的責任投資 ) 、「企業と社会」 論、環境経営論、環境会計論等のように、企業の私的利益と社会的利益を有機的に連関させるような、 新しい経営哲学・経営政策・経営戦略が求められている。 「社会人基礎カーを企業にとって欲しい人材を育成するための実践的な能力を開発する有用なプロ てグラムであるが、大学はさまざまな社会事象に対して的確に、かっ、社会的公正の観点から分析し、 9J 問題点を把握し、意思決定を行っていく基本的な能力を育成する場であって、企業の利益のための能 礎力を開発する場でないことを忘れてはならない。したがって、学問的な真理の追求という大学教育の 基 人原点に立って、「社会人基礎力」のような実践的教育を補完的に利用していくということをきちんと 会 社認識して、大学は大学生に社会倫理性の高い知性を教授していくことが必要である。そのことが社会 編における大学の教育的な役割を再認識させるとともに、大学が二一世紀の新しい「社会知性ーの拠点 資となることができるのである。参考までに、「主要企業が求める人材像と社会人基礎力、との関係に 255

8. 大学生のための「社会常識」講座

関する調査結果を紹介しておいたので、社会人基礎力のもつ意味を理解していく一助となれば幸いで ある ( 表 2 参照 ) 。 引用・参考文献 ( 株 ) 富士通オフィス機器三〇一〇年 ) 『社会人基礎カー・ー社会で働くための基礎を学ぶ』他。 経済産業省三〇〇六年 ) 『社会人基礎力に関する研究会ーーー 「中間取りまとめ」』。 経済産業省三〇一〇年 ) 『大学生の「社会人観、の把握と「社会人基礎力」の認知度向上実証に関する調査』。 読売新聞社編三〇〇六年 ) 『息子・娘を成長させる大学』読売新聞社。 ( 松野弘 ) 2 ラ 6

9. 大学生のための「社会常識」講座

資料編 1 社会人基礎力について 表 1 「社会人基礎力」を構成する 3 つの能力と 12 の要素 基礎能力能力要素 主体性 働きかけカ 実行カ 課題発見カ 計画カ 創造カ 発信カ 傾聴カ 柔軟性 前に踏み出す力 ( アクション ) 考え抜くカ ( シンキング ) チームで働くカ ( チームワーク ) ールカ コントロ ストレス 規律性 状況把握カ 内容 物事に進んで取り組 むカ 他人に働きかけ巻き 込むカ 物事に目的を設定し 確実に行動するカ 現状を分析し目的や 課題を明らかにする カ 課題の解決に向けた プロセスを明らかに し準備するカ 新しい価値を生み出 す力 自分の意見を分かり やすく伝えるカ 相手の意見を丁寧に 聴くカ 意見の違いや立場の 違いを理解するカ 自分と周囲の人々や 物事との関係性を理 解するカ 社会のルールや人と の約束を守るカ ストレスの発生源に 対応するカ 例 指示を待つのではなく、自らやる べきことを見つけて積極的に取り 組む。 「やろうじゃないか」と呼びかけ、 目的に向かって周囲の人々を動か していく。 言われたことをやるだけでなく自 ら目標を設定し、失敗を恐れずに 行動に移し、ねばり強く取り組む。 目標に向かって、自ら「 ' 題があり、解決が必要だ」と提案 する。 課題の解決に向けた複数のプロセ スを明確にし、「その中で最善のも のは何か」を検討し、それに向け た準備をする。 既存の発想にとらわれず、課題に 対して新しい解決方法を考える。 自分の意見を分かりやすく整理し た上で、相手に理解してもらうよ うに的確に伝える。 相手の話しやすい環境をつくり、 適切なタイミングで質問するなど 相手の意見を引き出す。 自分のルールややり方に固執する のではなく、相手の意見や立場を 尊重し、理解する。 チームで仕事をするとき、自分が どのような役割を果たすべきかを 理解する。 状況に応じて、社会のルールにの っとって自らの発言や行動を適切 に律する。 ストレスを感じることがあっても、 成長の機会とポジテイプにとらえ て肩の力を抜いて対応する。 出典 : 2 51 「社会人基礎力に関する研究会・中間取りまとめ」より

10. 大学生のための「社会常識」講座

人事プレイン総合研究所三〇〇七 ) 『新社会人のための人事のしごと』日本能率協会 社団法人消費者関連専門家会議三〇〇五 ) 『新版お客様相談室』日本能率協会 高橋正泰・山口善昭・磯山優・文智彦 ( 一九九八 ) 『経営組織論の基礎』中央経済社 中窪裕也・野田進・和田肇 ( 二〇〇九 ) 『労働法の世界〔第 8 版〕』有斐閣 中島茂・秋山進 ( 二〇〇三 ) 『実践コンプライアンス講座これって、違法ですか ? 』日本経済新聞社 日本キャリア教育学会編三〇〇八 ) 『キャリア教育概説』東洋館出版社 濱ロ桂一郎三〇〇九 ) 『新しい労働法』岩波書店 船津衛三〇一〇 ) 『コミュニケーション入門』有斐閣 本田由紀三〇〇九 ) 『教育の職業的意義』筑摩書房 本間啓一一・金谷光彦・山本公子 ( 二〇〇九 ) 『改定キャリアデザイン概論』 ( 社 ) 雇用問題研究会 松野弘三〇〇九 ) 『環境思想とは何か』筑摩書房 松野弘・小坂隆秀編著 ( 一九九九 ) 『現代企業の構図と戦略』中央経済社 松野弘・堀越芳昭・合カ知工編著三〇〇六 ) 『「企業の社会的責任論」の形成と展開』ミネルヴァ書房 会 社丸山恵也 ( 一九九五 ) 『日本的生産システムとフレキシビリテイ』日本評論社 山崎富治 ( 一九八六 ) 『ほうれんそうが会社を強くする』ごま書房新社 の 会 社 業 企 座 講 ( 茂木信太郎 )