本人も認めているように、まだ微妙なコントロールはなく、それが球数の多さにつなが っていることは否めない。 しかし、松坂にはコントロールや球速、あるいは球数てははか - ・、 1 リし」し J い - フ」し」」 0 り切れない魅力がある。それをあえて言葉にするなら「人こ虫、 べースポールはきわめて相対的なスポーツてある。絶妙のコントロールがなくてもバッ ターの狙いをはずせば打ち取れるし、驚くほどの球威がなくても、遅いポールを速く見せ いたずらに脅威を感じる必要もない。 る術があれば、 人に強いピッチャー それは先述したように、「ボールが長く持てる」際立った身体能 力に起因するものてあり、加えていえば、そこに気付き、さらにそれを伸ばそうとする聡 明さと精神力の証してある。 3 ・松井秀喜Ⅱ進化する怪物 読売ジャイアンツの松井秀喜のことを、私は「進化する怪物」と呼んている。 一九九六年のことてある。 その打球を目のあたりにして、我が目を疑ってしまった。
りましたね。相当、強い肩の持ち主てなければ、僕のようなシュートは投げられないと思 います。だから、若いピッチャーには勧められませんね。 ポールを切るのは、どの指のどこの部分てすか ? 平松中指の腹の部分てす。ちなみにスライダーは人指し指の腹の部分になります。この 部分の感覚はとても大切てす。 こ、れは 平松さんのシュートは速くて切れが鋭いだけてなくコントロールもよかった。 キャンプの頃から投げ込んだ成果てしようか ? 平松いや、キャンプてシュートの練習なんかしたことはありません。先にも言ったよう に僕にとってのシュートは、ストレートの一種なわけてすから、ストレートのコントロー ルさえつけば、自然にシュートのコントロールもよくなるのてす。だから、キャンプては ストレートばかり投げていました。 話はかわりますが、コントロールをつける上て大切なことは、リリース・ポイントを四 っ持っていることだと田 5 うんてす。いや、もっと正確に言えば九つかな。ストライクソー : といった具合 ンはインハイ、インコース真ん中、インロー、アウトハイ、アウトロー に九分割されますが、それぞれのリリース・ポイントを顔の前あたりに定めていればいい んてす。そこのポイントてポールを放せば、まず違うコースにポールは行きません。 164
力を抜いたフルスイング そして、二〇〇〇年。清原和博の故障、出遅れもあって、松井は開幕から四番にすわり この間、九九年のスプリング・キャンプては、サミー・ ソーサ ( シカゴ・カプス ) の打法 にヒントを得て、体重を後ろ足に残して打っフォームをとり入れた。一一〇〇〇年は、バッ トを握る右手小指をグリップにかける新しい持ち方にこだわりを見せる 今、松井秀喜の進化は、どこまて進んだのだろうか 二〇〇〇年の新打法の感触は ? 松井あくまても感覚的なものてすが、何かへッドが効くような気がしています。 ーーー右手の小指をグリップエンドにかける意図は何てしよう ? 松井その方が力を抜いて構えられるんてす。リラックスして打っというのが今のテーマ ぞすから。というのは、カんじゃうと自分てコントロールてきない部分が出てきちゃう。や はり自分て ( 力を ) コントロールてきる範囲てスイングしないと、 しい打球は飛びませんよ。 リラックスてすか。意地悪な見方をすれば、九九年は三割四厘、四二本塁打、九五打 点という成績を残しながら、まだまだカんだ打席が多かったということてすか ? 打撃する心
工藤さんはキャンプ中、かなり投げ込みましたね ? 「ピッチングて一番大切なのは上下のバランスなんてす。どちらかがてきてないと、 ンスがバラバラになり眉やヒジに負担がかかる。下半身がてき上がり、フォームが安定し てくれば、あとはプルペンてコントロールを磨けばいいんてす。ただし、力を伝える順番 を間違えてはいけない。肩、ヒジ、手首〈、という具合に、根幹から末端へと伝わってい かないと、二重振り子といって、故障の原因になるんてす。ここは注意しなければなりま せん」 最後に、野手て興味を持った選手はいますか ? 「元木君はピッチャーに対してガーツといえる数少ない存在てすね。エラーした時クオマ 工、何やってんだよみというくらいの激しさがないとチームは勝てないんてす。彼のよう な存在は、今のジャイアンツにはとても大きいと思います」 252
スピードやコントロールについて述べることはあっても「驚いた」とか「目を見張った」 とい一フコメントは一言も発しなかった。 ては、その自信の裏付けは何か。私見だが、天性とも言えるビッチャーとのタイミング の測り方にある。 より具体的に言えば、彼はどんなピッチャーに対しても、ドンピシャのタイミングて右 足を上げることがてきるのだ。 あたかもカマキリの触角のように、ビッチャーの投球の気配を探りながら右足を始動さ せ、左足、つまり軸足て十分なタメをつくってからスイングに移る。この一連の動作が「自 然体」て推移しているのてある。 ルーキーの頃の松井秀喜と比較してみたい。 高校出身と大学出身、四歳の年齢差 ( プロ入団時 ) はあるものの、それこそバッティングフ オームの完成度には大学院生と小学生くらいの違いがあった。 よそれるが、それについて張本勲はこ その象徴が松井の「定まらない右足」だった。話ー う語ったものだ。 「松井の悪いところは右足てす。彼は右足を上げる時と上げない時がある。まず、これを どっちかにしなければならない。 どっちつかずの状態じやタイミングがとれないんてす。 2 2 8
ー・イチローの打撃術 踏み込むということ 一九九四年、ひとりの若きバットマンの登場が、日本球界を変えた。オリックス・プル ーウェープのイチローてある。 いとも簡単に球界の年間安打記録を塗り替え、打ちも打っ たり二百十安打。一躍、イチローのトレードマークぞある " 振り子打法みに注目が集まり、 ヒットを打つには最も適した打法との評価を得た。 当時、西武ライオンズにいた、 清原和博は、イチローが左バッターポックスに立ったびに ファーストの守備位置から注意深く観察していた。最初はバットコントロールの巧さばか りに目を奪われたが、小憎らしいほどスキのないバッティングを見るにつけ、やがて視線 は下半身に釘寸けになっこ。 「彼は打っ瞬間、前足 ( 右足 ) を強く踏み込むんてす。しかも軸足が動かない。 これが安定 した、ハッティンクを続ける秘密だと思いました」 右足のスパイクてガッチリと土を擱み、そこて溜まった力をバットに伝えるーーー若き安 打製造機のシンプルきわまりない下半身の使い方が、清原の目には、とても新鮮に映った
を期待している。そうなると九球ということになるんてしようか。いずれにしても、僕に 遊び球は一球もありません」 フォークばかりが注目される佐々木だが、ストレートも常時、百四十キロ台後半をマー クする。疲れがきてフォークが抜け気味になる時はストレートを多投する。それても、打 たれることはまずない。 「コントロールはアバウトてすよ。クここらへんだなみという程度の気持ちて投げている。 外角のサインが出ているのに、インコースに行くようなことかよくあります。それても、 ほとんど痛い目にはあっていないんじゃないてすか」 ストレートあってのフォーク・ー、ーとは、野茂がしばしば口にするセリフだが、それは佐々 木の場合も全く同じてある。あくまても基本線はストレートなのてある。 しかし、フォークの質まて野茂と一緒かといえばそうてはない。 野茂の場合、ストレー トとフォークの間には二十キロから三十キロのスピード差がある。ところが佐々木の場合、 フォークといえども極端にスピードが落ちることはない。 とりわけアウトピッチ ( 決め球 ) に用いるフォークは、しばしば百三十キロを超えることがある。指にはさんだボールが、 なみのピッチャーのストレートよりも速いのだから始末におえない。わすか十八・四四メ ートルの距離て、バッターがストレートかフォークかを判別するのは至難のわざてある。 144
プル・イズ・ベスト。この単純さが長持ちの秘密てす。 松坂残念ながら、僕にはまだそこまてのコントロールがない。アウトローにびしびし決 まるようになれば、バッターから一番遠いコースてもあるし、もっとピッチングが楽にな ると田 5 うんてす。だからまだまだ技自 ( ~ 一丁勺こよ未熟だと田 5 っています たとえばゲームの途中て調子の悪さに気付いたとき、フォームを矯正する方法はある のてすか ? 巨人の桑田真澄などはゆるいカープを投げることて体にタメをつくり、 みにフォームを矯正しています。 松坂僕の場合、そのボールが何かは特に決めていません。ただ、 微調整という力しし フォームに戻す方法は僕なりに考えています。 スライダーは何種類ありますか ? 松坂スライダーは人指し指て徴調整がきくのて、一一種類ても三種類ても投げられます。 縦スラ ( 縦に鋭く曲がり落ちるスライダー ) 〃は中指て切りますか ? 松坂はい。 ウチのチームていえば西口文也さん系の落ちるスライダーてすね。石井貴さ んのは横に滑るスライダーてすから、僕のとはちょっと違います。 ーーー守備についてお聞きしますが、ライオンズはいい外野手が揃っているのに、守りが深 くはないてすか ?
づけるように努力したところ、右目てその瞬間が見えたんてす。あれはとても神秘的な体 ↓ - フ、、びつ / 、りしました。 験てした。きれいっていうか : それは高校何年生の頃てすか ? 松坂二年生の頃てす。コントロールが安定してきて、自分てもいいポールが投げられる ようになったと思い始めた頃のことてす。自分ても理想のフォームだったと思います。狙 ったコースに投げて三振がとれていました。アウトコース低めならアウトコース低め、イ ンコース高めならインコース高めといった具合に、すべて狙いどおりてした。 理想のフォームといえば、イチローが「胸のマークが見えない」と驚いていた。体が 開かず、手が遅れて出てきている証拠てすね。バッターは相当ボールが見づらいはすてす。 松坂そうてすね。〃どこまて開かないて我慢てきるかみってことには、一番気を使ってい ます。これが悪くなると、本当に開きが早くなるんてす。そこが僕の課題だと田 5 っていま す。 力す 杉行ウ 本っチ 正てて、 投なも 手いコ コんン チやロ のなー 本公いノレ 坂て、は 評し悪 だよい 0 か 狙 た と 〇 ン ト く ら し か ノレ 打撃する心
九点台の奪三振率は四度もマークしており ( 規定投球回数以上投手の記録 ) 、これだけても驚嘆 に値する数字てはあるが、それても六八年の奪一二振ペースは際立って突出している。 それては本題に入ることにしよう。プロ入り二年目のシーズンにあたる六八年、江夏は なぜかくも三振を奪うことがてきたのか。前年の奪三振数が二一一五 ( 二三〇・一イニング ) 、翌 六九年のそれが二六二 ( 二五八・一イニング ) てあったことを考えれば、やはり六八年には「何 力」があったと考える方が自然だろう。「何か」とは言うまてもなく、三振を奪う究極の技 術の習得てある。 結論から先に言おう。四〇一奪三振の背景には三つの秘密があった。要約していえば、 ひとつ目がカープ、二つ目がコントロール、そして三つ目がスピードてある。さらに踏み 込んていえば、この三つの秘密の中ぞも、とりわけカープの占める割合は大きかったよう に田 5 われる。なぜなら、このカープ、江夏にしか投げられない性質のボールだったからて ある。 曲からないカープ 証言するのは、かっての女房役、辻恭彦。 「アイツのカープは普通のピッチャーが投げるカープとは全然違う。指が短いからスピン 究極の投球術