使うほど効かない細菌ふえてしまう 微生物はいろいろな物質をつくる。その中に他の微生物の生育をはばむものがある。それが薬 に利用される抗生物質だ。多くの病気に即効性があり、戦後日本の幼児死亡率低下や長寿社会実 現の原動力になった。 英国のフレミングのペニシリン発見 ( 1929 年 ) 以来、見つかった抗生物質は数万。日本で いま使われているのは約 160 種類 ( 成分数 ) ある。「微生物由来であること」が定義の一つだ が、最近は、化学的に合成されたものも抗生物質と呼ばれる場合がある 抗生物質は、ヒトにはなくて細菌にはあるものを標的にする。たとえば、多くの細菌は、細胞 の壁を作る材料が網目状になっているか、これはヒトにはない。。 へニシリン系やセフエム系の抗 生物質は、材料が網目状になるのをじゃまする。細菌は育っことができなくなるが、ヒトにはほ とんど影響がない。 かまではわからないーとい、つ
飲んで分後に血中濃度ピーク コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶ーー。カフェインを含む飲み物は日常生活と切っても切り 離せない。 カフェインはコ 1 ヒー豆や茶葉などに含まれるアルカロイド ( 植物アルカリ ) と呼ばれる天然 成分の仲間。その名は、最初にコーヒ 1 豆から単離されたことにちなむが、コーヒーに特異的に 常多く含まれているわけではない。匂いはなく、苦味もさほどのことはないので、コーヒーの風味 の への寄与度は低いと思われる 栄薬事法上は劇薬。半数致死量が体重 1 キロ当たり 200 ミリグラムというから、純粋なカフェ 品インであれば、川グラム程度の摂取で危険水準ということになる。コーヒー約 54 に 食 する 2 グラム以上を一気に取ると、心停止や呼吸不全を起こすことがある。コーヒ 1 や茶 1 杯の せん 5180 ミリグラム。二番煎じ以降は激減す 章含有量は入れ方によって大きく変わるが、目安は 2 第る。 7
目の分解能力。判断で補うと高めに 両眼とも視力 0 ・ 2 のはずなのに、健康診断で「手元では 1 ・ 5 の視力がありますよーといわ れて驚いた。車の運転のとき以外は眼鏡をかけることはまれで、机の上の仕事は裸眼ですんでい るのはそのせいだったのかそれにしても視力って何なのだろう。 普通にいわれる視力とは「静止視カーのこと。目の検査機器大手トプコンによると、これは目 の分解能のことで、本来は分解できる角度 ( 視角 ) が基準となる。 健診や運転免許証の更新など、実際の場面では、英語の o に似た記号が並んだ視力表が使われ かん 生ている。この記号は、フランスの眼科医の名前にちなみランドルト環と呼ばれている 体直径 7 ・ 5 ミリ、太さ 1 ・ 5 ミリの円の一部が 1 ・ 5 ミリ幅で切れている環を、 5 メートル離 身 れたところから見て、正確にどこが切れているか判断できる能力を「視力 1 ・ 0 」としている 章 ランドルト環の切れ目は、検査される側からみて角度 1 分 ( 1 度の分の 1 ) に相当する 第 0 ・ 5 分の角度の切れ目がわかれば視力は 2 ・ 0 逆に、視角 2 分で視力 0 ・ 5 になる —視力 ふん ぶん 9
サルとの分岐以前にさかのばりますーと新谷さん。だからチンパンジーは < 型と 0 型など、類人 R 猿にも <CQO の血液型がある で、人の性格との関連だが、「その科学的な根拠となるような研究は報告されていません」。こ れが学界一般の見解でもある。 輸血などの際、 <mo 血液型と並んで重視される血液型も、赤血球の膜に存在する抗原の型 だ。異なる型だと、輸血時のショック、妊娠時の流産などの危険がある。種もの関係抗原があ ることがわかっているが、通常は「」という抗原の有無によって、 + 、一と表す。バスク 人などのように一の人の比率が高い民族も知られているが、一般には翩 + の人が大多数で、日 本人の場合は四 % 。 臓器移植の場合は、型が重視される。その抗原が白血球で最初に見つかったため「ヒト 白血球型ーと呼ばれ、ずっと血液型の一種として扱われてきたが、実際は赤血球を除く全細胞に 存在する。五つの座があり、それぞれに複数の型があるため、多数の組み合わせができる。病原 菌などから体を守る免疫の主役の一つであるため、きわめて敏感に働き、組み合わせが不向きだ ったりすると、移植では激しい抗原抗体反応を招く。
ハソコンやテレビ録画機の記録機能の主要部品であるハードディスク駆動装置、 ドディスクドライプ ) を、米が大型コンピューターの記憶装置として開発してから年以 上が過ぎた。フロッピーディスクが軟らかい素材に磁性体を塗布していたのに対し、の円 盤にはガラスやアルミなどの硬い ( ハ 1 ド ) 素材が使われていたことから、その名がある。当初 は、現在のように簡単に持ち運ぶことができるようになるとは考えられなかったので、固定ディ スクという呼び方もある。 最初は直径幻インチ ( 約礙センチ ) のディスクを枚重ねた構造で、タンスほどの大きさの割 に入る情報量は 5 ( 新聞約 4 日分 ) だった。今では 3 ・ 5 インチで 7 5 0 ( 新聞 18 0 と 0 に集積されている場合は「デュアルコア」と呼ぶ。二つの 0 が仕事を分担すること で性能向上を図っている。発熱などの問題で、クロック周波数を今以上に上げることは困難にな っていることが、その登場の背景にある 「高度 0 ・ 6 ミリを飛ぶジャンボーが読み書き
4 ー 5 赤道の西むきの貿易風、弱い時に発生 2006 年月の世界の平均気温は 1891 年の観測開始以来、もっとも高かった。日本でも ーニョ現象」だった。太平洋中央部から 暖かい日が続いた。この暖かさの原因の一つは「エルニ 南米のベルー沿岸にかけて、海面水温の上昇が 1 年ほど続く現象だ エルニ ーニョ (ElNifio) とは、スペイン語で男の子を意味する。ただし、大文字でつづった 場合は、「神の子」「イエス・キリスト」という意味になる。クリスマスのころベル 1 沖で水温が ニョ AJ 上がり、小型のイワシがとれなくなり、漁が休みになる。漁師たちはこの現象をエルニ 1 呼んでいた。 ふつうは翌年 3 月ごろ解消する。ところが、水温が下がらす漁が再開できないことがある 1 ニョはベルー沖だけでなく太平洋を中心とした地球規模 海洋観測の進歩で、長く続くエルニ 1 ニョ現象と呼んでいる の現象だとわかった。今では広い海域の異常高温をエルニ 赤道上空には西むきの「貿易風ーが吹き、ふだんは太陽で暖められた海水を西側に吹き寄せて
ロケット 液体・固体燃料を燃やす反動で飛ぶ 日本のロケットは「液体ロケット」と呼ばれ、燃料の液体水素を液体酸素で燃やす。 5 は「固体ロケットと呼ばれ、燃料と酸化剤とをまぜて固めた火薬を燃やす方式だ。 「液体」「固体、それぞれの長所短所がある。液体燃料には水素のほか、、 カソリン、ジェット燃 料などがあり、パイプや弁、ポンプなど、燃やすための複雑な「仕組み」が必要だったり、かさ ばったりして、扱いに手がかかる。反面、水道の蛇口を調節するように燃焼を調節できる。固体 はそういう融通はきかないかわり、単純でコンパクトなシステムになる。 ロケットが飛ぶのは「反動 ( 反作用 ) 」による。たとえば、大きな石を幾つも積んだポートに 乗って、その石を一つ抱えてポーンと後ろに放ると、その反動でポ 1 トは前に動く。これを繰り 返すと、ボートは前進を続ける。石が重く、放るスピードが速いほど勢いよく進む。 ロケットの場合、「石、は燃料が燃えて発生する燃焼ガスだ。燃焼によって液体や固体の燃料 が気体へと体積が急膨張し、後方へと噴出する。これが「放る、動作にあたる。自前の酸素、酸 幻 8
もとらえられる 画像は濃淡がはっきりしており、鮮明だ。水の濃度や、水の存在する環境によって場所ごとに 画像信号の強度が変わる。これがコントラストとなり、ミリ単位の解像度を持っ画像を作り出 す。正常な細胞とがん細胞などの区別ができる。 シェルとフェリックス・プロッホによって 核磁気共鳴現象は、 1946 年にエドワード・ 発見された ( 1952 年にノーベル物理学賞 ) 。医療機器への応用は 1970 年代後半に英国で 始まった。導入当初の日本では、・ oe あるいは核磁気共鳴 oe などと呼ばれることが多 かったが、 「核ーという言葉への抵抗感や被曝するのではないかという誤解を除くため、 という呼称に決着した。 日本のの台数は、人口 100 万人あたり台 ( 経済協力開発機構の 2007 年調査 ) に のばる。先進国平均の 4 倍ある。日本人は「検査好き」といえるかもしれない 血液中のヘモグロビンは酸素と結びつくと、磁気的性質が変わる。この現象を利用して、脳の 体働きを知る研究にもが使われている。「機能的」と呼ばれる手法だ 身 英文法を学ぶ時に働く「文法中枢」が見つかったり、目で見た図形に応じて脳に異なる活動パ 章タ 1 ンが表れることがわかったりしてきた。ただ、機能的の画像化の原理を考案した小川 第脳機能研究所の小川誠二所長は「わかるのは脳のどこが働いているかであって、何を考えている
約 1 万 4 0 0 0 キロ。地球の直径 1 万 2 8 0 0 キロをこえ、「地球は二つに割れることになる」 ( 気象庁地震予知情報課の橋本徹夫・評価解析官 ) 。もも大した違いはないように思いが ちだが、 対数で表されているため、実は、が 1 増えるとエネルギ 1 は約倍、 2 増えると約 1 000 倍になる の求め方にはいろいろある。断層運動から計算する方法は、金森博雄・カリフォルニア工科 大学教授が 1977 年に考え出した。正式にはモーメントマグニチュ 1 ド (>) と呼ぶ。観測史 上最大の地震は 1960 年のチリ地震で、獅 9 ・ 5 だった。 それよりさかのばる 1935 年、最初に地震の規模を「マグニチュ 1 ド」という言葉で表した のは、米国のチャ 1 ルズ・リヒター博士だ。当時、地震の断層運動の実体ははっきりせず、彼 は、地震の大きさを地震計の針の振れで考えた。震源から 100 キロの距離に置いた地震計の針 の が、最大どれだけ振れたかをもとに計算する式を作った。 象 これは地下構造や地震計によって値が変わるため、各国は観測網に合わせて補正した。日本も 気 球気象庁が独自に作った。正式には気象庁マグニチュード ( と呼ばれるが、日本で一般的に使 「うマグニチュードは、こちらの方で、普通はと書く。 章はリヒターの式に近い値が出るように作られたので、クラスまでは似た数値になる。 第 8 以上ではの方が正確になるが、は地震発生直後に数値を出せるという利点がある
国沖、そして銚子沖へと抜ける。 「メキシコ湾流」とともに、大量の熱を低緯度から中緯度へ運ぶ代表的な暖流とされ、「日本海 流」と呼ばれることもある。栄養分が少なく、プランクトンも少ない。そのため透明度が高く、 青黒く見えるのが名前の由来とされている 日本人に流れている南方系の血は、かって黒潮に乗って南方地域から日本列島に到達した人た ちのなごりだと考えられており、民族学的な意味も見逃せない。存在は古くから知られ、各地で いろいろな呼ばれ方をしていたが、「黒潮」の名が文献上確認できるのは世紀末あたりからの ようだ。現在では、「クロシオ・カレント」という名が、国際的にも定着している。 黒潮の原動力は、風だ 北半球の日本を含む中緯度地域では西から東に抜ける風が吹く。「偏西風だ。一方、赤道付 の 」近の低緯度地域では「貿易風」といわれる東風がいつも吹いている。これらの風が海に時計回り 気の大きな流れを作る。「北太平洋亜熱帯循環」という 球黒潮はこの循環の一部。地球の自転にともなうカの影響も加わって世界有数の強い海流となっ 地 ている。流速は最大で毎秒 2 メ 1 トルを超す。 章地球温暖化が進むと、今世紀末、黒潮の流れはいまよりさらに % も速くなるーースー 第ンピュ 1 ターを使ったそんな試算を、東京大と国立環境研究所、海洋研究開発機構の研究チーム