谷 - みる会図書館


検索対象: トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録
198件見つかりました。

1. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

トリコにするだろ ! 「痛たた : : : ひどいよ、鹿ヶ谷くん。あれつ ? この本のここにク地中、金色ニ輝クモノ一一体 アラワル不思議ノコトみって書いてあるみたい。 これって、もしかすると、如月の言ってた埋 蔵仏のことなんしゃないのかなあ ? ねえ、鹿ヶ谷くん。鹿ヶ谷くん ? 」 掲示板のまえでは、詰めかけた一年生たちが悲鳴と歓声を上げている。 「やった ! 下北沢くんとだ。グランプリは無理だったとしても努力賞は確実だ , 「頑張ろうね、キミ。ところで人魚姫は僕でいい ? 「の選曲はまかせてよ。これからすぐに部屋で衣装合わせだ。明日のステージはエルド うわさ ラド風だっていうを聞いたから、黄金に映えるプルーでどうかな ? 」 きよ、つがく なかで鹿ヶ谷が、つぶらな瞳を驚愕に見開いている。 「しつ、信じられないっー こんなの、僕の美少年ぶりを妬んだキューピッドの陰謀としか思 えないつ。しゃなかったら、身の程知らすにも躑躅先輩と僕の仲を裂こうとする如月剣の策略 さっ ! 」 ねた

2. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

皿目のまえの第一一校舎とは逆の方角。 はたと振り返った御霊寺は、お祓い棒を激しく一振りする。 剣は、ひやあっ、と叫んで朱雀にしがみつき、 「うひやっ卩オレにも聞こえたぞっ、ブッゾーの声つ」 にしても、どっかで聞いた声だぞ、と。石畳の道の向こうに目を凝らすところに、バタバタ と人が駆けてきた。 「お願あいっ : : : 待ってえ 5 「うーんと、あれってブッゾー ? それともヒゲキのポーレイ ? 」 「仏像も亡霊も足使って走らねーだろ」 ししがたに 「あっ、そっか、なーんだ。ブッゾーじゃなくって鹿ヶ谷だ」 たけなかたけちょ ハタバタ駆けてくるのは鹿ヶ谷と、それからもう一人、少し遅れて竹中竹千代だ。 寮から走ってきたと見えて、一一人ともハアハアと息を切らしている。 「せん : : : ばあ : いっ ! ああ、伊集院先輩は、いらっしゃいませんかっ ? 「む。学内報委員である鹿ヶ谷くん。あいにく、アレ : : : もとい、伊集院副会長はここにはい ないのだ」 なにかあれば自分が聞こう、と御霊寺が一一一口うのへ、『学園内不思議名鑑』を抱えた鹿ヶ谷が 肩で息をしながら訴えた。 こ

3. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

と、そこに、 しらゆり 「素敵ですっ、僕の白百合ー シビレたあげくに絶命ですつ。なんて芸術的な激情のステップ にスキップ ! 僕つ、もう一秒だって我慢できませんつ。お願い、愛の子鹿を受けとめてつ。 躑躅せんばああああ , 〉 ~ ~ く。 ~ , 〉 ~ 、いっ - 控え室から感極まった鹿ヶ谷が飛び出してきた。 「うひやああああっ卩」 それにつられて剣も登場である。 せりふ ステージ中央までヨロヨロ出てきたあげくに、教え込まれた台詞を腹ペコ調子で、 「えへへ。うーんと、エントリ ーナンバー四十九番の如月剣。鹿ヶ谷と一一人で『愛の子鹿劇場 お ー金ピカツッジとカワイイ子鹿の美味しくて切ない物語』を上演します」 「なってないよっ、如月 ! 『美味しくて』しゃなくて『恋しくて』さつ」 引剣と鹿ヶ谷の装いはといえば、上半身ハダカで、足にはバンピの半身をはいた〃半人半鹿み 材コスチューム。鹿ヶ谷のクバンビ〃は白プチ付きの輝くゴールドで、上半身まで同し模様で抜 にかりなくべイント済み。 わきやく コ 「いいかい、如月。キミは脇役の鹿だから ! 主役はあくまでも金ピカ子鹿の僕だからねつ」 言われるとおりに、剣はふつうの茶色い子鹿の足に、ペイントなしの上半身だ。 なかなかカワイイしゃないか、このペア」 「はう ! 221 こじか

4. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

トリコにするだろ ! 109 「うひやっ ? なんだなんだ、鹿ヶ谷 ? 」 「いいかい、如月つ。仏像発掘が終わりしだい、明日のコンテスト一一次審査の特訓だからつ。 脚本も衣装も演出も主演も、すべては僕だからっ」 きびす ーしこ プチ・ミュージカルの稽古だから、と気合い十分で言い放っ鹿ヶ谷が、クルリと踵を返して 先に駆け出していく。 竹千代が恐る恐る朱雀に向かって、 「あのう、篁くん」 「なんだよ」 「ちなみに、僕とキミ、明日の二次審査でいっしょに組むことになったから」 「そーかよ」 「演目は『森のクマさん』に決めてあるから、そのう、よろしくね」 御霊寺、鹿ヶ谷につづいて、剣、朱雀、ついでに竹千代までが、古井戸目指して走りだす。 夜のなか、ばんやりとライトアップされているメルヘンチックな第一一校舎の裏手へ向かって一 同そろって猛ダッシュだ。 いつの間にか、学園の森の木々を揺らす風が強くなっている。 ピュウビュウと吹くその風音のなかに、ときおり不気味な声が混しるようだ。

5. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

かおる のは、鹿ヶ谷薫である。 抱え込んでいるのは『青桃院学園史料学園内不思議事典』。 ページをめくって捜しつづけているのは、金の埋蔵仏に関する過去の記述。 「うふふ。穴掘りくらいしかできない如月とは違って、僕は躑躅先輩のために素晴らしく殳に 立っ子鹿なんだ。学内報委員の経験と、美少年の勘と、冴え渡る頭脳プレイで、いち早く仏像 を発見。そしたら、先輩 : : : 僕のコト〃カワイイだけしゃなくて頭もいいんだね〃って、やさ しく褒めてくださいますかっ ? 目にもとまらない早さでページをめくる横には、剣のルームメイトの竹中竹千代がいる。 「ああ、ドキドキしちゃう。組み合わせが悪かったら、どうしよう ! それにしても如月、ど こ行っちゃったのかなあ ? 埋蔵仏の発掘も大事かもしれないけど、『美少年コンテスト』は 僕たちにとっての登竜門なのに」 「ふんっー なってないね。誰と組んだって、如月なんかにグランプリがとれるわけないよー 「いよいよ発表だ。きやっ」 「どいてつー 恐れ多くも〃学年一の美少年み鹿ヶ谷薫と組むのは、いったい誰っ ? 」 ドンツ、と竹千代を突き飛ばすようにして、それまで本をめくっていた鹿ヶ谷が掲示板のま えへと一番乗り。 押しのけられた竹千代はつつ伏す格好で『不思議名鑑』をのぞき込む羽目になる。 かん

6. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

よ、つよう チラ、と朱雀が目をやれば、剣は意気揚々と水着に着替え中。要領を得ないその着替えを、 たけなかたけちょ 鹿ヶ谷と、それから剣のルームメイトである竹中竹千代とが手伝うようだ。 「ああ、やっと来たんだね、如月 ! 心配してたんだよ。ねえ、ほら、スペシャル・テディベ ア水着の仕上がり具合を見てくれる ? あっ、キミのそのフリルフラワーみたいな水着も、す つごくキュートだよ」 「えへへ、竹中。おまえのクマのぬいぐるみだらけのヤツ、すんごく目立つ。前もうしろもク マだらけ ? あははー、動くと揺れるんだ」 「なにやってるんだいつ、如月 ! 一刻も早く僕の貸したスペシャル水着に着替えて、出場に 備えたウォーミングアップをするべきなのにつ」 てぎわ 早く早くと、竹千代と鹿ヶ谷一一人して手際よく制服を脱がしにかかり、あっという間に剣は 変身だ。 首には、ビョウ付き『ココ掘れ』首輪。 ろ 腰には、鹿ヶ谷特注の〃フリフリ水着 % る す「すごいよっ、如月。なんてプリティーなんだろうつ。まるでキミのウエストまわりがチュー コ 丿ップ畑になったみたい 「フン ! 思ったほどでもないねつ。その程度でお花畑なら、僕なんてガーデニングの見本市 さつ」

7. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

バルっ」 「あ、あ、鹿ヶ谷 ? なあなあ、なんでみんなしてテルテル坊主の格好なんだ ? 」 「なに言ってるんだいつ。なってないねつ。これから『美少年コンテスト』で、僕たちは水着 に着替えて準備万端なのに ! 」 すぎく 「うえ、水着 ? なあなあ、朱雀。もしかして水着がないと、サバもヒラメもなしなのか ? 」 剣のあとからは、朱雀が面倒そうな足どりでやってくる。 「そのはーが好都合だぜ」 水着がなけりやグランプリも取れないぜと、柄にもなく安心する様子での返答だ。 鹿ヶ谷がフンと鼻で笑ったあとに、鏡のまえに置いた愛用の白百合柄バッグのなかに手を突 っ込んで、 「まったくキミのマヌケさにはあきれるね、如月。そんなことで伊集院先輩のシモべを名乗ろ うなんて、世の中を馬鹿にしてるとしか思えないつ。ここでキミが不参加だと、僕こそが躑躅 ろ 先輩にふさわしい〃子鹿みだっていうことが、証明されないしゃないか。そんなの駄目さ。許 る けしがたい不道徳だよっ」 百合柄バッグから鹿ヶ谷が取り出すのは、キュートなピンク色のフリルひとっかみ。 それをグイツと剣のはうに押しつけて、 いいかい、如月。この際、正々堂々と勝負して。もちろん、勝つのは僕に決 「僕のスペアさ。

8. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

144 おんみよう いに見舞われる恐れもあるにはあるが : : ソレはソレ、陰陽の術をもって秩序正しく祓い清め ればほば問題なし ! そののち伊集院菖蒲くんを新たな副会長に迎えれば四方丸くおさまり、 わたしは長年にわたる大災厄からついにめでたく解放されるのだっ」 言うなれば自分も、長年にわたって冷たく暗い土のなかに閉し込められていた埋蔵仏と、同 し運命をたどるのだ、と。 こちらはこちらで、都合の良い期待に長い髪をサワザワとざわめかせたあげく、 なわ 「よし ! それでは如月くん、ますは失神中の鹿ヶ谷くんから縄バシゴを借りてくれたまえ」 その縄バシゴを井戸の縁にうまくかけてくれたまえと頼まれて、剣は張り切って鹿ヶ谷のそ 「うーんと、縄バシゴ縄バシゴ。あっ、あったぞ。コレをこーやって、あそこにかける ? 」 ハシゴの先についたカギを、びゅんびゅん振って井戸の縁へと引っかけるあいだに、 「それでは、篁。キミはキケン仏の担当なのだ。重いと思うが頑張ってくれたまえ」 「つてコトはつまり、背負えってコトですか ? 」 当然なのだ、とうなすかれて、朱雀は「面倒くせー」とウンザリ顔。 そこで気絶していた鹿ヶ谷が目を覚ます。 「うふ : : : うふふつ。躑躅先輩ったら、駄目です、そんなコト。ああ、すごいっ : : : 僕だけ まぶ しらゆり の、眩しい白百合 :

9. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

駄目だね、と胸を張って言い放ちながら、ふたたびのぞき込むのは『青桃院学園史料学園 内不思議事典』だ。 つるぎ 昨晩、剣たちに同行した鹿ヶ谷。 あんやく 伊集院家の屋敷で聞かされたのは、恐るべき伊集院菖蒲の暗躍について。 ナゾの仏像を菖蒲に奪われれば、〃学園の危機みのみならすク麗しい伊集院先輩の危機みな しらゆり のだと : : : 知らされた鹿ヶ谷は「僕の白百合をお守りしなくっちゃ」と健気に知恵を絞ってい るところである。 きさ、りぞ」 「役立たずで身の程知らすの如月なんかに、負けるもんか。僕より先輩のお役に立てる子が、 この学園にいるはすないんだもの。ううん、それどころか世界中でいちばん伊集院先輩のシモ べにふさわしいのは、この僕に決まってる ! ああっ、躑躅先輩 : : : ビーナスも真っ青の麗し いお顔。その先輩が、オソロシイ〃敵〃のせいで伊集院家を追い出されるかもしれないなんて つ。僕、とてもしゃないけど、耐えられません ! 学内報委員の能力を駆使して、全力で阻止 こじか だしますつ。そしたら、うふつ : : : 僕のコト〃かわいい子鹿ちゃんみって呼んでくれますか ? すせんばあああ・〉 ~ く ( く ( くいつ」 もちろんコンテスト参加に備えて、すでに水着は着用済み。髪のウェープをカーラーで整え ながら、猛然と史料をめくる鹿ヶ谷だ。 「伝統ある学園の敷地に眠る、由緒ある黄金の埋蔵仏 ! 学園のいろいろについて記したこの

10. トリコにするだろ ! 青桃院学園風紀録

トリコにするだろ ! 131 ししがたにつるぎすぎく 伊集院、鹿ヶ谷、剣に、朱雀が、つぎつぎに落ちてきた。 どすんつ、と華麗なる着地を決めた伊集院が、剣所有の懐中電灯の光にピカピカと照らされ て、 「ふーっふつふつふ ! おや、どこだい ? 愛しのキミ ? のぞき込んだところに見つけたと 思ったら、またたく間にまた雲隠れ ? 」 さいやく 「む : : : む : ・・ : むううつ ! やはり疑う余地もなく災厄そのものつ ! わたしの上から即刻ど いてくれたまえ、伊集院つ」 くもん 重いのだ、と苦悶の声を上げる御霊寺の上に、 「素敵ですっ、先輩 ! 地獄の底までお供しますっ」 さらに追い討ちを駆けるように鹿ヶ谷が着地する。 ・ : : ・、つきやっ ? 」 「ひやああ かろうして地面の上に、剣と、 「避けろよ、如月」 最後に朱雀が降り立った。 『掘ってえ ! : : ・早くうー』 『出してえ ・ : お願い ~ 』