プロレス - みる会図書館


検索対象: オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録
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1. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

168 ワッ、と雪崩を打ってかかってきた。 かかん 剣たちは竹千代を庇いつつ、果敢に応戦である。 つらぬ 「躑躅先輩との愛を貫く、正義の子鹿キック ! ええーい うらら ひとみ 「年上ゴロシの揺れる瞳 ! うふつ、お名前きかせていただけますか ? 僕、麗です」 でもまだ食欲はイマイチ ? 」 「オメン、オメン ! ォメンがいつばい 大勢の敵に囲まれた危機的シチュエーションだが、この期に及んでマタドール御面の食欲パ ワーはイマイチだ。 と、白熱するコスチューム対決のただなかで、着流し御面がマタドールに向かってドサクサ まぎ 紛れに宣言をする。 「 : : : プロレス、するぜ」 「え ? え ? プロレス ? 」 「竹中が無事に助けられたらタイへンは解決で、そしたら思う存分、おまえともとどーりにプ ロレス」 クタイへンは解決 % クおまえとプロレスみ 言われたとたんに、マタドールの顔の輝きがピカッと増したよう。 「えへへ、えへ ! 竹中のタイへンはもう終わり ? もとどーりにプロレス ? そしたらノー なだれ

2. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

「食欲不振、治ったかよ」 「えへへ、イマヒトッ」 「原因、わかったかよ」 「えへへ、竹中のタイへン ? 」 「このままオレとプロレスできなくっても構わないかよ」 「えへへ、えへ ? 」 かし えへ ? と言ったきり首を傾げる剣に向かって、朱雀は夜の闇に乗してのアタックだ。「わ きさらぎしっと からないんなら、この際カラダに訊いてやるぜ」と〃如月を嫉妬させてやるぜ作戦〃をおもむ ろに中止して、 「ハダカのプロレス、するせ」 「うひや ? 」 すもう 「マワシ抜きの相撲でもいーぜ . ろ だ 「うひやひや ? 」 る 「帯だけの柔道でもかまわないぜ」 ナ 「ひやっ卩オピだけっ ? ソレってなんだかタイへン、しゃなくてヘンタイな感し ? 」 とつじよ たけとりじんじやけいだい オ 月夜の竹取神社境内で突如繰り広げられる、真夏の夜の格闘アバンチュール。周囲を囲む一 かた・の 同が、固唾を呑んでの観戦だ。

3. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

しいね」 かぐわ 「いまから言っておくよ ! 篁くんにフラレたからって、躑躅先輩の芳しい胸に飛び込むのは 〃愛の子鹿〃が許さないっ 「美少年にとって別れ際の見極めは、何より肝心だね」 鹿ヶ谷と下北沢それぞれから責められ、剣は目をパチクリさせるばかりである。 こじか 「朱雀にフラレる ? 飛び込んだ子鹿がワカレギワ ? ソレってどーゅーコトなんだ ? 」 「篁くんとは一一度と遊べないっていうコトさ」 「うひや ? 朱雀と一一度と遊べない ? 」 「もちろん竹中くんともね。愛の終わりに痛みはっきものだもの」 「え ? え ? そんなの困るぞ」 「なってないねつ。美少年にはケジメが必要なのに ! 」 イノシシのおかげで満腹笑顔になっていた剣だが、田 5 いもよらない事態に、しだいしだいに ろ だしょんばりムードだ。 すもう か 6 「それだとプロレスも相撲もカンフーもこれつきり ? ケンカも大暴れも果たし合いも、もう ナできない ? 」 オ そんなの嫌だぞ、と。 つぶやいて剣は立ち上がる。

4. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

129 オトナになるだろ ! 輝くヒーローが、どうやらこちらに気づいたらしく、あっ、と驚いた様子で振り返る。 かまわず剣がジャンプする。 すもう 「オメン、オメン ! 捕まえたらプロレスに相撲にボクシング ! 」 「なっ卩」 あわ じゃま 思わぬ邪魔に〃御面みヒーローは硫てる様子だが、すぐに体勢を立て直して、剣のキックに 応戦する。 「えへへ、オメン縛ったら空手に柔道にレスリングー 「くっ ! 」 「オメンやつつけたら竹中のタイへンはなくなって、オレのお腹ももとどーり ? 」 剣のパンチを〃御面〃が避ける。 身軽に飛びつくところを乱暴に振り払う。 ひろう かれい 駆けつけた鹿ヶ谷が、華麗なるロープ投げを披露して、 きんばく つつじ 「躑躅先輩、見ていてくださいつ。コレが必殺の〃緊縛子鹿スペシャルみ 気合いの一投であったが、落ちてくるロープの輪つかを〃御面みは難なく避けた。 つづく下北沢の〃揺れる瞳アタック〃にも、まったくもって動しずに、 「どけっー 邪魔だ、と向かうのが剣のはうである。 なか

5. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

118 健気にク朱雀とは遊ばない宣言みをする剣は、オメンホカクが目下の楽しみ。「オメンとな ししが らプロレスしてもいし 空手チョップとか回し蹴りとかでもタイへンしゃない ? 」と、鹿ケ たに 谷にしつこく確かめている。 剣たちのもとを離れた竹千代が向かったのは、御殿の外だ。 あぜみち 畦道を小走りで走って、やがてたどり着くのが竹取神社。 一人きりでスタスタと竹林のなかに入っていって、神社のまえ。 「お ? 千代坊 , そこには先客の姿があった。 梅之助である。 さいせんばこ 賽銭箱のまえでこちらを振り返って、「千代坊」と目を丸くした。 青年団会議所から農作業に向かうとちゅう。ジーンズに真っ白なタンクトップ、手には風呂 敷包みで、首にはタオルという格好だ 一瞬気ますい空気が流れたが、 「あの、梅之助ちゃん。そのタオル、良かったらいまちょっとだけ貸してくれる ? 竹千代が先にそう声をかけて、梅之助のはうへと歩み寄った。 たけとりじんじゃ

6. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

な」 「代替わりしたら、竹中家はすぐに潰れるぜ」 馬鹿にした調子で、青年団一同がワッと笑い声を上げた。 なかで梅之助一人だけが笑わない。誰にも聞こえない声でつぶやくように、一一 = ロう。 ちょぼう 「千代坊だったら、こんな計画立てなかったさ : : : 」 ふろしき 荷物の風呂敷包みを抱えて、梅之助は立ち上がる。 「いいか。暴力はダメだぞ」 パーツの分け目から怒りの湯気を立て、村のあちこちでは 竹中御殿では竹麻呂がセンター " 御面…プームが沸き起こる。 かんせ 閑静な月光村はときならぬ騒動に包まれている。 「あのね、僕、ちょっとだけ一人で外出してきても、 ろ きさらぎ だ。如月のためにも、そのほうがいい気がするし : : : 」 竹千代がそう言いだしたのは、午後のこと。 ナ オヤツの山菜ロールケーキを、またしても剣が残したあとだった。 すざく オ だったらおとなしくプロレス 「うーんと、竹中、朱雀はいっしょに行かないのか ? えへへ、 すもう Ⅲも相撲もしないで待ってるぞ。だって、タイへンなんだもん」 しいかな。そんなに長いあいだじゃないん

7. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

158 「なってないよ、如月っ ! 後ろを取られたら美少年はおしまいさつ」 たかむら 「おかしいな。僕としたことが、同級生だっていうのに、篁くんの荒々しい攻撃になんだかト キメキを感しちゃう : : : 」 ちょぼう せいとういん いったいどういう学校なんだ。千代坊の通う、青桃院学園」 けれども、格闘アバンチュールの勝敗がつくまえに、惜しくもエレクトリカル大名行列が竹 中御殿へと到着。 「あっ、あっ、なあなあ、朱雀。入っちゃう ! 」 竹麻呂と、お客とが御殿の入り口。 美少年風腰ミノたちに迎えられて、いままさに華々しく入城だ。 「 : : : 時間切れかよ」 舌打ちして朱雀はハダカ・プロレスをあきらめる。 ク行くぞみと顔を見合わせて、神社の境内からすばやく駆けだす、剣たち五人。 きんらん 御殿では金襴竹麻呂が接待に心を砕いていた。 「こちらが我が家でございます、センセイさま」 あら 派手に迎えた県会議員は、たつぶりと脂ののった太っ腹の中年。七色ライトアップをッャッ ヤと弾く見事なハゲ頭で、〃お兄さまみからはかけ離れた容姿だった。 はじ はなばな

8. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

104 ちんぶ 陳腐なウソはつかなかったもの』 『えへへ。竹中、タイへンなんだろ ? だったら夜しゅう朱雀と一一人でハダカのプロレスでも 仕方ないだろ ? 』 騒ぎが聞こえてきたのは、あとはもう部屋に帰って寝るだけというとき。「お部屋に〃特製 マムシの黒焼きドリンクみを用意しております」と、ムームーが朱雀に耳打ちした直後のコト 『なあ、朱雀う。でもって竹中とおまえで、どーゅー技のかけ合いっこ : ・えへ、ううん、な んでもありません』 口に出しかけた質問をとちゅうで引っ込めた剣に、朱雀が「あのな」と声をかけようとした ところへ、 『あらわれたぞっ ! 〃御面みだっ』 腰ミノ家臣たちの叫び声が聞こえてきたのだった。 大急ぎで駆けつけた夜の田んば。 見れば、銀色に輝く影が、村人たちの声援を受けて活躍中である。 だいふんとう 右へ左へ上へ下へとムームー腰ミノの追撃をかわしつつの大奮闘で、畦道を自在に飛び回る その身軽さは、サーカスの花形か、はたまた忍者かと感心するはどだ。 業を煮やした竹麻呂が、止めるムームーを押しのけク御面〃のまえへと立ちはだかる。

9. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

みずしぶき バシャッと水飛沫を上げて、竹千代が朱雀にしがみついた。 そこへ転がり込むような勢いで剣が乱入する。 「す 「 : ・・ : ナイスタイミングだぜ」 あっ、と声を上げた竹千代は、朱雀にしがみつく格好のまま動けない。 「きつ、如月 ? 違うんだよっ。これは、その、あのう」 どう説明するべきかと彼がロごもるあいだに、あとから鹿ヶ谷と下北沢の二人も突入で、 「ほら、だから言ったコトじゃない。でも、あんまり気を落とさないで、如月くん。良かった じようず ら僕が、上手な瞳の揺らし方を教えるから」 「なってないねつ、竹中くん ! 抱きつくんなら、美少年にふさわしい角度はこうだよっ ! 」 露天風呂のなか、ハダカで抱き合う竹千代と朱雀をまえに、剣はキョトンと目を瞠る。 「うーんと、えへへ。それってプロレス ? それとも相撲 ? やつばりオレは入れてもらえない ? とつぶやくあとに、 なか 「なんだか、お腹が減っちゃった。あそこに残ってる鍋って、食っていし きびす クルリと踵を返して部屋まで戻り、朱雀の箸でスッポン鍋をつつきだしたが、一口二ロとロ に入れて、あろうことか「ごちそうさま」と箸を置く。 「あれ ? えへ ? あんましウマくない ? 」

10. オトナになるだろ ! 青桃院学園風紀録

188 「なんだよ」 「おまえとプロレスできなくなると思ったら、すんごくつまんなかったぞ」 「 : : : そーかよ」 すもう 「帰ったら相撲とかケンカとかいつばいしたいぞ。でもって、オヤツもいつばい , オヤッと、どっちかって一言われたら : : : えへへ , ・ : どっちだよ」 剣と朱雀の座る座席のうしろでは、竹千代を挟んで鹿ヶ谷と下北沢の一一人が一一学期へ向けて の集中講義中。 みなら 「竹中くん ! 美少年たるもの、躑躅先輩を見倣わなくてどうするんだいっ ! ああっ、アポ ロンのようなお腰つき ! ビーナスも逃げ出す美肌 ! ゼウスもトリコのあのまなざしつー した せんばああああ ( く ( ~ ~ く。 ~ , ~ ~ いつ、お慕いしてますうう 5 くゝ〉 ~ くっ うわめづか 「いまだけ特別に、瞳の揺らし方を教えてあげるね。上目遣いの角度はこうで、目の焦点は目 標物よりも三メートル先。気を丹田に集中して、呼吸法は古代インドに伝わるマハ ゆだ とな まゆね ダ法。壮大な宇宙に身を委ねる気分で〃美少年、美少年、美少年〃って七回唱えてから、眉根 を一ミリ寄せて、くちびるは二ミリ開く」 ガタゴトガタと揺れる、バスのなか。 彼らの夏休みも、いつの間にか終わりが近い。 たんでん おまえと