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検索対象: 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる
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1. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

ことだ。 彼らの姿をとおして現実の力関係が見える。とりわけ国家と銀行の間の力関係がね。 私が思い浮かべるのは、小劇場〈カフェ・ドウ・ラ・ガール〉のあの寸劇さ。暗闇の中 に沈んでいる舞台。スポットライトが点灯する。一人の男が舞台中央の光の輪の中に現れ る。素っ裸で これがオランドに起こっていることだね。 社会党の「銀行寄り路線」 五年の大統領任期の初め、スケープゴートは金持ちたちで、指差されていた敵は金融 界てしたね。右派のメディアは今日でもなお、富裕層に対する集中的な課税という強迫観 念をしきりに持ち出します。たとえは金融取引への課税を決めた票決、ああいうのはあな たの目には完全なはったりと映るのですか ? 金持ちたちはスケープゴートなんかじゃない。リ 題そのものだよ ( 笑 ) 。 銀行改革の挫折はガエル・ジロー二九七〇年生まれのフランスの経済学者、数学者。イ 工ズス会士でもある〕をはじめとする経済学者によってちゃんと分析された。あの方向転 134

2. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

場当たり的な「資産公開」は反民主主義的行為ーー国家と銀行の力関係 その点に関して、慌てた政府が議員の資産公開を求めたわけてすが、あのような政府 の対応は、元予算担当大臣の不正行為と嘘から始まった危機との関係で的確たと思いまし たか ? いや、あれは最悪だね、透明性に関して煙幕を張るあの試みは。あんなことをするなら、 オランドはデモクラシーにとってひとつの脅威となる。彼自身が任命したカュザックが捕 まった。そこで、彼はどうしたか ? 政界全体を疑惑の対象として指差す挙に出た ! 重 大な反民主主義的行為だよ。 さわれわれはたしかに政権交代によって、反ムスリムで、反外国人で、反ロマ族のサルコ 気ジ政治が放っていたあの悪臭からは解放された。一年前、優先事項はサルコジを場外に出 ンすことだった。だから私はオランドを支持したことをけっして謝りはしないー オしかし、社会党の政治家たちを見ていて不思議なのは、スケープゴートを指し示すとい うサルコジ流の戦略をやめた途端に、オランドも社会党も素っ裸で立ち尽くしてしまった 133

3. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

性を知る者にとって、これはかなり心配なことだ。 ツ。、まロシ 目下私は容赦のない語り方をしていると自覚しているけれども、今、ヨーロ アとの戦争の瀬戸際にいるのであって、われわれはもはや礼儀正しく穏やかでいるだけの 時間に恵まれていない。 言語と文化とアイデンティティにおいてロシア系である人びとが ウクライナ東部で攻撃されており、その攻撃はの是認と支持と、そしてすでにおそら くは武器でもって実行されている ロシアは自国が事実上ドイツとの戦争状態にあることを知っていると思う。その点につ 耳いてのあの国の沈黙は、フランスやアメリカの場合と違って現実を直視することの拒否で をはない。むしろよき外交というものだ。彼らには時間が必要なのだ。彼らの自己コントロ 大ール、プーチンや外相のラヴロフならプロフェッショナリズムと言うだろうが、あれは称 讃に値する ョ アメリカ帝国の凋落 イ 今日まで、この危機におけるアメリカの戦略はドイツに追随することだった。そうして 、れば、アメリカはもはやヨーロッパの状况をコントロールしていない、ということが露

4. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

この町で、当時フランス国の元首となっていたペタン元帥がヒトラーと会見し、対独協力を開 ムロした〕 現在のフランスの指導層の振る舞いの源流を探すなら、私が目を向けるのはヴィシー政 権の方ではありません。 なせならます、あの当時の強大なドイツ国防軍はもはや存在しないからです。 次に、フランスは核兵器を保持しているからです。 思うに、現代フランスの上層階級の行動の基礎には二つのファクターがあります。最初 に挙げるべきは、フランス人プルジョワの昔から持っている願望の幻でしよう。すなわち、 「ああ、治める相手が規律正しい民だったらどんなによいことか ! 」というやつです。 しかし、フランスとドイツのそれぞれの指導層の間には、かなり新しい何かが発生して はいます。世界のすべての先進国社会に共通する特徴の一つは、人口の一 % を占める最富裕 と 層が、銀行システムと金融活動に強く結びついたグループとして出現しているということ イ です。ひとつの新しい関係がフランスの一 % とドイツの一 % の間に定着しつつあります。 単一通貨とヨーロッパ中央銀行の設置によって、フランスの寡占支配者たちに対するドイ 167

5. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

ホモフォビアについては、私は専門的知識を持ち合わせません。もっとも、個人的には フランスが法制化した同性婚に賛成です。二、三週間前に週刊誌『マリアンヌ』がフラン ス人の「政治的セクシュアリティ」についての世論調査を分析してくれといってきました。 あれには正直、すいぶん楽しませてもらった : より真面目な話として、たしかにロシアの大統領には、社会民主主義者的なところも、 自由主義者的なところも皆無です。 一九九〇年に週刊誌『ル・ボワン』に問われて私は言いましたよ。ロシアがいつの日か アングロサクソン風のデモクラシーになるだろうなどということは想像しない方がいいと ね。ロシアの家族構造や国家の構造が、あの国の歴史に刻み込まれている暴力と相俟って、 そうした推移を妨げるのです。 て びしかしながら、「プーチン嫌い」の雰囲気によって、人口学的な指標によって疑いの余 見地もなく明らかになる本質的な事実がわれわれの目に隠されてしまいました。それはつま アり、ソ連の崩壊から、モダンでダイナミックなひとつの偉大な社会が生まれたという事実 ロ です ( 図表 5 図表参照 ) 。

6. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

読まれることの多かったあの本の翻訳のドイツでの例外的なまでの売れ行き〔約二〇万部 売れたという〕の背景には、それがあったと思う。 すでにかなり前から、ドイツ政府は経済運営に関するアメリカの諫言を意に介さぬ態度 をとっている。世界の需要のバランスに貢献せよだと ? それから他にどうしろというの だ ? ドイツにはドイツのプロジェクトがあるのだ。福利よりもパワーを優先する、ドイ ツにおける需要を抑制する、債務を負っている南欧諸国を隷属させる、東ヨーロッパの人 間を働かせる、フランスの銀行システムに多少の餌を与えてフランス大統領府をコントロ ールさせる、等々 ヨーロッハの支配権を手にしたドイツ 最初のうち、クリミア奪取のとき、私が感じ取ったのはロシアの国力回復だった。ロシ アが、他国が無礼な扱いをすることをもはや許すまいとする国に、さまざまなことを自ら 決定する力のある国に戻ったということだった。 今では、ロシアが基本的に安定化ーーもつばら安定化 の過程にある国であることを 確認する。たとえ人びとがあの国のことを大きな恐い狼だと吹聴するとしても。

7. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

一・九人ないし二・〇人の水準に接近して行っているのに対し、権威主義的で、かってフ アシズムやコミュニズムに支配されたヨーロッパの地域では、出生率がきわめて低く、同 じ基準での子供の数の平均が一・三人から一・五人なのです。 それにしても、もしドイツがヨーロッパ中央銀行の介人能力に関するどんな交渉にもあ くまで否定的なら、われわれはどうすべきでしようかューロのために死ななくてはいけ ないのでしようか ? そんなバカなことはないでしよう ! 。、ートナーであ ドイツがヨーロッパ中の保守派があの国に捧げる讃嘆の声に酔いながら / るはずの国々を跪かせていくのを目の当たりにするのは悩ましいかぎりですが、強迫観念 に呑み込まれてはいけないと田 5 います。 田 5 い出しましよう。ドイツはもともとはユーロの話など聞きたくもないというふうだっ 家 るたのです。ューロが創出されてからも暫くはすっと、ユーロ圏から離脱するぞという脅か 仕しを繰り返していたではありませんか 第今日では、ドイツの政府と経済界の上層部はすでに、ユーロの終焉があの国にとって決 富定的な打撃になるであろうことを理解しています。なにしろ、ドイツだけが平価切り下げ に踏み切れないでしようから 193

8. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

しやりたいのかな ? まあ、それに近いことが言いたいわけです。ソ連の崩壊後、あの二つの国がどれほど異 なる様相を呈するに到ったかに注目していただきたい。 ロシアは騒動を起こさすに自らの古い帝国に別れを告げ、ふたたび地に足をつけること ができた。なぜなら強い国家的伝統を有していたからです。 今日、ロシアは言葉の本来の意味で蘇生してきている。さまざまな人口学的指標がそれ を表しており、出生率も上昇に転じています。二〇〇一年には女性一人につき子供一・二 人だったのに、二〇一三年には子供一・七人というところまできている。四〇 % 増です。 一方、ウクライナはここ二五年間、危機の中にいます。出生率の数値も低い ( 女性一人 あたり子供一・五人 ) 。もっとも、ドイツ、中央ヨーロッパ、 そして地中海沿岸ヨーロッパ の災厄ともいえる水準よりはマシですけれどもね。 しかもいちばん悪いことに、あの国は、教育を受けた青年層が国外へ出て行ってしまう ことで苦しんでいます。独立以来、ウクライナはそのようにして、人口の一〇分の一以上 を失い、五二〇〇万人の人口は四五〇〇万人になってしまいました。

9. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

を握ったときがそうだった。今日の状況は、ナチス勃興の頃よりも、あのヴィルヘルム時 代のほうに類似しています。 あのようなカへの陶酔をコントロールするのは難しいことではありません。ただ、それ には条件があって、フランスの政策決定者たちが正常に振る舞うことができないといけま せん。 ドイツは高齢化しており、八〇〇〇万人の人口の若返りがうまくいっていません。文化 的にも十全ではありません。産業力もとどのつまりは中級レベルのものであって、輸出力 要するに、 が途轍もないとはいえ、技術の面で、たとえば日本のレベルには遠く及はない。 ドイツを理性へと導くのは難しくないのです。 しかし、フランスの指導者層がノイローゼに罹っていて、ドイツの前で跪いてしまう。 すフランス共和国大統領が政治的小人症ゆえにアンゲラ・メルケルに対決できないでいま 陥す。こうなると、ベルリンの政府に分を弁えさせることができないわけで、ドイツを譫妄 ロの中に置き去りにしてしまう。そしてこの譫妄に対応して、ヨーロッハ大陸全体に、ドイ ュッに対する信じられないほどの反感が拡がるということになるのです 2 リ

10. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

われわれはもはや、そのような連続性の中にはいません。現在よりも本当に悪い状況に 突っ込んで行くか、あるいは明確によりよい状況に向かうかですー 「れまでの流れからの断絶が起こると思いますか ? どう転んでも断絶は起こります。もしニコラ・サルコジが再選されたら、彼がこれまで におこなったことから見て、フランスはもはやフランスでなくなるでしよう。あのような 大統領、経済的な破局の真っただ中でスケープゴートを執拗に追い回す大統領が二期目も やれば、フランスは立ち直れなくなる。世界における彼のイメージの悪さからいって、フ ランス人は法外な代償を支払うことになるでしよう。今度の選挙で投票先を間違えれば歴 史からしつべ返しをくらうでしよう。 その代わり、フランスには、金融勢力を打ちのめすべく独創的なやり方で国家を用いる ことのできる平等の国として、改めて浮上する可能性もあります。一九二九年の大恐慌の 後で起こったことを思い出しましよう。ドイツがヒトラーを、イギリスが無力な保守政治 家たちを、そしてアメリカがルーズベルトを生み出したあの頃、フランスが選んだのは人 208