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検索対象: 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる
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1. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

アメリカ vs. 「ドイツ帝国」 : 人口 ( 出典 : EU 統計局 & census Bureau) - 併合途上 - 離脱途上 - 事実上の被支配 - ロシア嫌いの衛星国 自主的隷属 - ドイツ圏 アメリカ合衆国 ん億億億億億 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 アメリカ vs. 「ドイツ帝国」 : 実質 GDP ( 2005 年の恒常ユーロと 2005 年の為替レートにおいて ) ( 出典 : EU 統計局 & BEA) 0 ( ユーロ ) 1 2 兆 - 併合途上 - 離脱途上 - 事実上の被支配 - ロシア嫌いの衛星国 自主的隷属 アメリカ合衆国 1 0 兆 8 兆 6 兆 4 兆 2 兆 1 960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 ドイツに支配されたヨーロッパ vs. アメリカ とくに 2005 年以降に現れたのは、ドイツ以外の国の産業システムが壊滅し、 ドイツだけが得をするという「ドイツー人勝ちのシステム」だ。ヨーロッパの低 質金ゾーンには産業発展の余地がまだまだ存在する。この不均衡をうまく利用 すれば、ドイツはアメリカの産業システムを死に追いやることができる。人口 、アメリカは単独でドイツ支配下にあるヨーロッパに対抗できない。 ( 本文 38 頁以降参照 ) 0

2. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

図表 5 ドイツ対アメリカ ( 1960 ~ 2013 年 ) ( 2005 年の実質 GDP 〔ドル換算〕と 1 人当たりの実質産業付加価 ーアメリカ GDP/ 住民数 ードイツ GDP/ 住民数 ードイツ以外の EU 諸国 GDP/ 住民数 ーアメリカ産業付加価値 / 住民数 - - ドイツ産業付加価値 / 住民数 ードイツ以外の EU 諸国 産業付加価値 / 住民数 ( ューロ ) 40000 35000 30000 25000 20000 15000 10000 5000 0 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 ( 年 ) 出典 : 世界銀行 不均衡はドイツ支配にプラスに作用 以下のクラフによって、アメリカ合 衆国とこの新たなドイツ帝国の相対的な 力を比べる「とができますね ( 図表 55 図表 7 参照 ) 。 田 5 うに、いちはん興味深い図表は産業 労働人口を示している図表 7 だ。アメリ 力に対してを優位に立たせる産業上 ヨーロツ。、こ の不均衡がいちじるしい アメリカとの産業上の不均衡 ) 4

3. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

さらに途方もないことに、アメリカによるスパイ行為の問題を使って、アメリカにもぶ つかり始めた。冷戦時代以来のアメリカとドイツの諜報活動の複雑な絡み合いを知ってい る者にとっては、まったく信じがたい。 第一、今日明らかなこととして、ドイツの連邦情報局 ( z ) はごく普通のこととし て、アメリカの政治をスパイしているのだからね。 顰蹙を買うのを承知であえて言うけれど、東方でのドイツの政治行動に曖昧なところが ある以上、ドイツの政治責任者らを 0—< がモニタリングすることに私は大賛成だ。フラ る 耳ンスの諜報局もちゃんと任務を果たし、国際的な面でますます積極的かっ冒険的になって をきているドイツの監視に参加してほしい。 大 ともあれ、ドイツが反米的にアグレッシプな態度を取るのは新しい現象だ。しつかり考 ドイツのやり方には凄みがある。ドイツの政治家たちがアメリカ人 ロ慮しよいと、けよ、。 ョについて語るのを近くで聞いたことがあるが、その様子には深い侮蔑が表れていた。ライ ツン川の向こう側にはかなりの厚みを持った反米感情の蓄積がある 私がそれを推し量る機会を得たのは、自分の本『帝国以後』〔石崎晴己訳、藤原書店、一一 〇〇三年〕のドイツ語訳が出た折りだった。田 5 うに、アンチ・アメリカの定番本のように

4. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

る 耳 牛 を 陸 大 亠ウクライナは国家として存在していない ウクライナの人口がドイツのシステムの一部となるのは、そうした動的な不均衡の中 て質的飛躍が起こることを意味しますね。とはいえ、数は多いけれども、貧しくて生産性 イ の低い人口てはある : でも、結局つねにドイツが抜きん出ている この推移の行き着く先は、ヨーロッパ大陸のドイツ以外の国々の産業システムが壊滅し て、ドイツだけが得をするというシステムだ。 注目すべきはまた、ドイツのコントロール下にあるこのヨーロッパ大陸との関係で、人 口上、アメリカは単独では対抗できる規模にないという事実だ アメリカと「ドイツ帝国」の衝突

5. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

なのである。このところ輪郭を現してきたヨーロッパ像においては、ドイツ人たちを人種 差別時代のアメリカにおける白人たちのように見ることができるだろう 今日、政治的不平等はアメリカシステムの中でよりも、ドイッシステムの中での方が明 らかに大きい。ギリシャ人やその他の国民は、ドイツ連邦議会の選挙では投票できない。 一方、アメリカの黒人やラテン系市民は、大統領選挙および連邦議会選挙で投票できる。 ヨーロッパ議会は見せかけだ。アメリカ連邦議会はそんなことはない。 る 耳力をもっと非合理的に行動するドイツ を これほとに告発する以上、われわれはドイツに対してより警戒的でなけれはいけない 陸 大 と考えるのてすね ? ロ たしかに私は悲観的だ。ドイツが望ましい方向に推移していく蓋然性は日々低下してい る。すでにきわめて低い水準にまで落ちている。ドイツの権威主義的文化は、ドイツの指 イ 導者たちが支配的立場に立っとき、彼らに固有の精神的不安定性を生み出す。これは第一一 次大戦以来、起こっていなかったことだ。

6. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

ドイツという現実をフランス側が認めようとしていないことは明白だ。すでにしばらく 前から、私はフランソワ・オランドのことを「ドイツ副首相オランド」と呼んでいる。さ らに今後は、むしろ単に「ドイツ首相府広報局長」と見なしてもいし / 、、り、だ 0 ・彼は、もま や何者でもない。 すでに例外的な不人気のレベルに沈んでいる。その不人気は、部分的に はドイツへの隷属に起因している。フランソワ・オランドはフランス人たちから軽蔑され ている。なせならドイツに服従する男だから。 より一般的に、フランスのエスタブリッシュメントたちは、ジャーナリズムに属してい る 耳るにせよ、政界の一員であるにせよ、こうした否認のプロセスに参加している。 を 陸 大 ロ ョ イ ドイツの強さの源泉 「フランスは結局ドイツを制御できない」とあなたは一言うのてすね。では、これはも ウクライナ問題の原因はロシアではなくドイツ

7. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

彼らのスピーチの中で、ドイツのこの非常に特殊な経済的戦略に言及しないのかを問う必 要があります。 フランス人が発明し、ドイツ人が利用したユーロ でも、サルコジは南仏トウーロン市での演説てドイツの持っトラウマに言及しました よ。一九一一〇年代のハイ。ハーインフレ以来のものたと言ってね。 まさにそれが興味深いのです ! トラウマが言及されたということ。われわれが言及す ることのできる唯一のドイツ的特性が病理に類するということ。 ドイツ嫌いと闘っていると思われている連中が実は、ドイツとは大きな病人であるから けっして乱暴に扱ってはいけない、乱暴に扱ったら最後、かっての逸脱にも増して恐るべ き逸脱を見るリスクを冒すことになってしまうから : : : といったふうにドイツを捉えて、 その前で痙攣し、身動きできなくなっているようなのです。ニコラ・サルコジと、彼同様 にドイツには格別の配慮をしなくてはと考える連中は、二〇世紀の混濁した歴史の中に閉 じ込められています。 1 ) 2

8. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

エマニュエル・トッド (EmmanueI Todd) 1951 年生まれ。フランスの歴史人口学者・家族人類 学者。国・地域ごとの家族システムの違いや人口動態 に着目する方法論により、「最後の転落』 ( 76 年 ) で 「ソ連崩壊」を、『帝国以後』 ( 2 開 2 年 ) で「米国発の 金融危機」を、「文明の接近』 ( 07 年、共著 ) で「ア ラブの春」を次々に予言ヾ。「デモクラシー以後」 ( 08 年 ) では、「自由貿易が民主主義を滅ばしうる」と 指摘。 ( 訳者 ) 堀茂樹 ( ほりしげき ) 1952 年生まれ。慶應義大学総合政策学部教授 ( フ ランス文学・思想 ) 。翻訳家。アゴタ・クリストフの 「悪童日記』をはじめ、フランス文学の名訳者として 知られる。 文春新書 1024 ていこく せかい 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる にほんじん 日本人への警告 2015 年 ( 平成 27 年 ) 5 月 20 日第 1 刷発行 2015 年 ( 平成 27 年 ) 6 月 15 日第 3 刷発行 はめつ 著者 訳者 発行者 エマニュエル・トッド 堀茂樹 飯窪成幸 文藝春秋 発行所 〒 102-8 開 8 東京都千代田区紀尾井町 3 ー 23 電話 ( 03 ) 3265 ー 1211 ( 代表 ) 印刷所 付物印刷 製本所 理想 社 大日本印刷 大口製本 定価はカバーに表示してあります。 万一、落丁・乱丁の場合は小社製作部宛お送り下さい。 送料小社負担でお取替え致します。 @EmmanueI Todd 2015 Printed in Japan ISBN978—4—16- ・ 1024 ー 2 本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。 また、私的使用以外のいかなる電子的複製行為も一切認められておりません。

9. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

しやりたいのかな ? まあ、それに近いことが言いたいわけです。ソ連の崩壊後、あの二つの国がどれほど異 なる様相を呈するに到ったかに注目していただきたい。 ロシアは騒動を起こさすに自らの古い帝国に別れを告げ、ふたたび地に足をつけること ができた。なぜなら強い国家的伝統を有していたからです。 今日、ロシアは言葉の本来の意味で蘇生してきている。さまざまな人口学的指標がそれ を表しており、出生率も上昇に転じています。二〇〇一年には女性一人につき子供一・二 人だったのに、二〇一三年には子供一・七人というところまできている。四〇 % 増です。 一方、ウクライナはここ二五年間、危機の中にいます。出生率の数値も低い ( 女性一人 あたり子供一・五人 ) 。もっとも、ドイツ、中央ヨーロッパ、 そして地中海沿岸ヨーロッパ の災厄ともいえる水準よりはマシですけれどもね。 しかもいちばん悪いことに、あの国は、教育を受けた青年層が国外へ出て行ってしまう ことで苦しんでいます。独立以来、ウクライナはそのようにして、人口の一〇分の一以上 を失い、五二〇〇万人の人口は四五〇〇万人になってしまいました。

10. 「ドイツ帝国」が世界を破滅させる

「ドイツ帝国一の勢力図 自主的隷属 - ロシア嫌いの衛星国 イ事実上の被支配 - 難脱途上 - 併合途上 - 無法地帯 ガスパイプライン フィンランド スウェ ーテ、ン ノルウェー 0 ノース・ストリーム ロシア ナ イ ク ラ ドア " ホ′ー′。 モ ( マュ′ ア一ル ン ア ア ン ロ グ ン モ ア ギブス 工 ) ン ル一 ) ン。 へ。セ . , ラ ( " 。ボい ク、フ 工ストニア ラトア リトアニア テンマーク オランダ アイルランド イギリス チェコ サウス・ストリーム グルジア ポルトガル スへイン トルコ ーギリシャ 0 アルバニア マケドニア 0 9 「ドイツ帝国」の誕生 冷戦崩壊によって生まれた「ドイツ帝国」。 EU の東方拡大によってドイツは、 社会主義政権下で高い水準の教育を受けた良質で安い労働力を活用し、 済を復活させ、ヨーロッパを支配するに至っている。東欧で NATO が安全を 確保しているのは、実はドイツの空間。ロシアは、ソ連時代、東欧諸国を支 配することによる軍事的なコストを経済的な利益で埋め合わせることができず、 かえって弱体化したが、アメリカのおかげで、ドイツにとって、軍事的支配の ( 本文 42 頁以降参照 ) コストはゼロに近い。 ロシア天然ガス・バイプライン問題 ガスパイプラインの真の問題は、ウクライナを通過していることではない。到着 点がドイツにコントロールされていること。「ウクライナ vs. ロシア」よりも、「ド ( 本文 51 頁以降参照 ) イツ vs. 南欧」の問題だ。