ロシア崩壊こそアメリカにとっての脅威 愚かなプレジンスキー ロシア嫌いでドイツの脅威を見誤る 東欧支配で衰退したソ連、復活したドイツ ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る 地図が示す「ドイツ圏」という領域 フランスの協力によって完成した「ドイツ圏」 「被支配地域」ーーー南欧 「ロシア嫌いの衛星国 イギリスに近いデンマーク、ロシアに近いフィンランド 「離脱途上」ーーイギリス ドイツ覇権よりアメリカ覇権の方がマシ ンガリー 「離脱途上」 ウクライナ 「併合途上ー ガスパイプライン問題ー・・・ー争点は「ロシアウクライナ」でなく「ドイツ南欧」 ヨーロッパという階層システム ポーランド、スウェーデン、バルト三国
ロシア崩壊こそアメリカにとっての脅威 ウクライナ危機がどのように決着するかは分かっていない。しかし、ウクライナ危機以 後に身を置いてみる努力が必要だ。最も興味深いのは「西側」の勝利が生みだすものを想 像してみることである。そうすると、われわれは驚くべき事態に立ち到る。 もしロシアが崩れたら、あるいは譲歩をしただけでも、ウクライナまで拡がるドイッシ ステムとアメリカとの間の人口と産業の上でのカの不均衡が拡大して、おそらく西洋世界 の重心の大きな変更に、そしてアメリカシステムの崩壊に行き着くだろう。アメリカが最 も恐れなければいけないのは今日、ロシアの崩壊なのである。 ところが今日の状況の特徴の一つは、当事者たちが然るべき能力を欠き、自らの行動に ついていちじるしく自覚不足だということなのだ。 私はここで、オ、ハマのことだけを言っているのではない。彼はヨーロツ。、 ノのことが何も 分かっていない。、 ノワイ生まれで、インドネシアで育った人物だし、彼の目に存在してい るのは太平洋圏だけだ。 愚かなブレジンスキー ロシア嫌いでドイツの脅威を見誤る
日本の読者へ 1 ドイツがヨーロッパ大陸を牛耳る 2 ミ 4.8 自ら進んでドイツに隷属するようになったフランス スノーデンを保護して西洋における市民の自由を守ったロシア ロシア脅威論は西洋が病んでいる証 「新冷戦ではない アメリカと衝突しはじめたドイツ ヨーロッパの支配権を手にしたドイツ オランドは「ドイツ副首相」 ウクライナ問題の原因はロシアではなくドイツ ドイツの強さの源泉 アメリカによるヨーロッハ制御の鍵はドイツ ドイツ外交は不安定 , 。。ー歴史の教訓 アメリカ帝国の凋落 アメリカ「ドイツ帝国」
というたけなのに、状況を見ているとほとんどまるで、住民の意思に反してクリミア半島 を力すくでウクライナにふたたび戻すために戦争をしに行かなければならないかのような、 途方もないドラマを見ているかのようです。なせ扱い方にこんな大きな差があるのでしょ その問い への答えの鍵はロシアにはないね。西洋の側にある。 西洋はたしかに世界で圧倒的に支配的だが、それと裏腹に今日、そのさまざまな部分に 耳おいて不安に駆られ、煩悶し、病んでいる。財政危機、所得の低迷ないし低下、経済格差 をの拡大、将来展望の不在、そして大陸ヨーロッパにおいては少子化など、いろいろな問題 大 がある 亠イデオロギーの側面から見ると、ロシア脅威論はますスケープゴート探しのように、も ョっといえば、西側で最小限の一体感を保っために必要な敵のでっち上げのように見える。 はもともと、ソ連に対抗して生まれた。ロシアというライバルなしでは済まないのだ。 イ もっとも、ロシアが西洋世界に対して二、三、「価値」の問題を投げかけていることは 事実だ。しかし『ル・モンド』紙が繰り出す反プーチンでロシア嫌いの愚言が示唆すると
ロシアは世界がバランスを保つことに役立っ強国なのさ。核兵器とエネルギー自給のお かげで、あの国はアメリカに対する反対側の重しの役目を果たすことができる。 たとえは、あえてスノーデンを迎え人れることができて、逆説的なことに、結果的には 西洋における市民の自由の擁護に貢献している。ヨーロッパと世界を貪り食っていく口シ アなどという仮説はバカげているよ。 ロシア脅威論は西洋が病んでいる証 あなたは学者、 - 言論人としてのキャリアの初めに、ソビエト連邦にすこく注目しまし たね。そして、近々崩壊するということまで予言した〔『最後の転落』、原著一九七六年、 石崎晴己・中野茂訳、藤原書店、二〇一三年〕。今日ロシアは当時のソ連のレベルの覇権を もはや持っていす、またロシアはソ連よりもはるかに民主主義的であるにも関わらす、当 時のソ連よりもすっと悪く扱われています。たとえは一九六八年にソ連がチェコスロパキ アに戦車を送って介入したとき、人びとは抗議したけれど、結局のところ数週間もすると ヒステリーは収まってしまった。ところが今日、あの時と比較できるようなことは何も起 こっていす、クリミア半島に母国ロシアに戻ろうとして民主的な投票をした人びとがいる
・ブッシュのアメリカはプレジンスキーの路線に忠実で、ロシアに対する対決姿勢を維 持し、かってソ連の衛星国だった諸国を頼りにし、バルト三国とポーランドを反ロシア姿 勢の特権的パートナーとしているという印象を抱いたのでした。 オバマ大統領による路線転換 ハラク・オバマのホワイトハウス人りと時を同じくして、アメリカの姿勢が一変しまし た。オバマの路線は、当時私が察知したとおり、アメリカのパワーにとっての長期的脅威 が存在するアジアに「外交基軸」をよりしつかりと据えるべく、イランおよびロシアとの 緊張関係は緩和するというものだった。 ワシントンのこの撤退は、プーチンに接近して商業・エネルギー・産業における大々的 よパートナーシップを完成させるというヨーロッパ諸国の意志、特にドイツの意志を強化 する要因だったはすです。そうして、フランス十ドイツ十ロシアというエンジンに基づく ハランスのとれたヨーロッパが姿を現す可能性がありました。 ところが、歴史はそれとはまったく異なる方向へ向かいました。これは否定し難い事実 です。われわれはロシアとの間の対決のただ中におり、今やの経済的・外交的リ 108
由があるのだ。英米系の社会文化は、諸国の間の差異をそこそこリーズナプルに管理する ことができる。 価値観のちがいが対立を招く 結局、アメリカとドイツという二つのプロックは、それぞれの性質上対立的だというこ とを確認しなくてはならない。 この二つのプロックの間には、経済規模の均衡の破綻、価 値観の違いなど、紛争を生みやすいすべての要素が積み重なっている。ロシアが潰される か、あるいは周縁化されて、ゲームの外に排除されるのが早けれは早いほど、この二つの プロックの間の差異が早く表面化してくるだろう。 私見によれば、現時点で真の歴史的な問いは、誰ひとり提示しないのだけれども、次の ものだ。アメリカは、アメリカにとって脅威となるドイツを新しい現実として見ることを 受け人れるかどうか、受け人れるとすれば、それはいっか ? ドイツのせいでロシア接近を阻まれた日本 あなたはアメリカ合衆国と「ドイツ帝国」の間の紛争を予言しているわけたが、確信
を確認すること、それはアメリカ帝国の崩壊の始めを確認することだった。 そこでもって、不央な現実を直視しないダチョウ戦略が表に出てきて、石灰化して固着 し、今日アメリカ人の目を覆って、ドイツの擡頭について正しい見方をすることを妨けて いるように田 5 える。彼らにとってドイツの擡頭は新しい脅威であって、私にいわせれば、 アメリカという帝国の保全にとって、所詮帝国の外にいるロシアよりも最終的にはるかに 危険なのだが。 ドイツ外交は不安定ーーー歴史の教訓 ドイツは現下の国際的危機において複合的でアンビヴァレントだが、それでも推進力と なる役割を演じている。しばしばドイツというネイションは平和的に見える。が、それで して、ドイツにコントロールされているヨーロッパは攻撃的に見える。あるいはその逆も ある。ドイツには今や二つの顔があるわけだ。ヨーロ ツ。、がドイツであると同時に、ドイ ツがヨーロ ッヾなのである したがってドイツは幾つかの声で自己を主張・表現することができる。ドイツの外政を 歴史的に特徴づける精神的不安定と、ロシアとの関係における精神分析的な意味での二極
ゞ ~ 歴史の中で迷子になってい る。その意味で、たしかにロシアは脅威であるにち力しない。 るくせに、西側でわれわれを統治しているふりをし、西洋的価値について語るけれども、 バジル・ド・コッホ〔フランスのユーモア作家、一九五一年生まれ〕だったと思 ある人 うーーーの表現を借りれば、本気で認めているのは株価だけというような連中にとってはね。 しかしながら、いま起こっているのは、精神医学的意味において退行的な、そしてアメ 最近の危機は全面的に、ウクラ リカが動因であるような伝統的東西紛争ではもはやない。 イナへのヨーロッパの介人と関係している。 耳近年「西側」のメディアはあたかも一九五六年頃、つまり熱くなりかねない冷戦の最中 うわごと をに戻ったかのような様相を呈しているが、その譫言に引きすられす、発生している現象の 大 地理的現実を観察するならは、ごく単純に、紛争が起こっているのは昔からドイツとロシ ロアが衝突してきたゾーンだということに気づく。 ョ非常に早い時期から私が感じたのは、このたびはアメリカが、クリミア半島がロシアに ッパに追随したということだった。あるいはむ 戻ったことで体面を失うのを恐れ、ヨーロ イ しろ、ドイツに追随したというべきかもしれない。ょにしろ今やドイツがヨーロッパをコ ントロールしているのだから。
2074.5 2 ロシアを見くびってはいけない 乳児死亡率の上昇から予見できたソ連崩壊 乳児死亡率が低下し、出生率が上昇しているプーチンのロシア 経済指標は捏造できるが、人口学的指標は捏造できない ロシアの安定化を見誤った西側メディア 国内で支持される権威主義的デモクラシー はロシアのエリート 養成機関 ロシア経済の二つの切り札 人口学的指標が示すロシアの健全さ 3 ウクライナと戦争の誘惑 2 ミ 45 家族構造からみたロシアとウクライナ 国家が機能してこなかった「中間ヨーロツ。、 人口学で確認できるウクライナの解体 「親派」と称される極右勢力 「プーチン嫌い」が真実を見えなくさせている