ペダルの練習 オがいいでしよう。三本ありますが、 グランドピアノの真中にあるペダル ( ソステヌ 1 ト・ペダル ) は、考えに入れなくて結構 です。 もっと ペダルといい まずは、右のペダルから始めましよう。このペダルはダンパ も使用頻度の高いものです。この作用は響きが増す、ちょっとエコーがかかったような音 になるとい、つことです。 どういうふうに踏んだらいいのかは、細部にわたることか多く説明するのか難しいので る 。ダルを踏 すが、基本は、ペダルを踏んだ時の音の変化を、自分の耳で聴きながら、 っ む判断ができる耳を作っていくことです。ここで踏んだらきれいかなと感じた時に、音楽を カ に色づけするような気持ちで踏んでください。繰り返すうちに、どんな時にペダルを踏ん ア だらいいのかという判断力が備わってきます。 章 耳で聴いて踏むのが基本です。 ペダルは単に音を響かせるというだけでなく、いろいろな使い方ができます。たとえば、第 滑らかに弾く奏法であるレガートをよりきれいにしたい場合にも使います。
521 1 下の音からずらして弾いて、押さえ続けます。 最後の音を弾いたあとは、ゆっくりペダルを踏 み込んでください から足の動きになると思うのですが、 これは慣れるしかありません。音を 聴きながら、身体の感覚で覚えてい きましよう。音楽に合わせて動くと いう基本は忘れないで下さいね。 一番左のペダルはソフト・ペダル といって、ヴェールのかかったよ、つ な音になります。の時に使われる る ことが多いペダルです。 っ 実際にペダルを使ってみましよう。 カ ノ 上の譜例は《別れの曲》の最後の部 ア 分です。ここでペダルを使うと、エ ンディングの効果が絶大です。最後章 の和音 ( アルベジオ ) のすべての音第 を押さえたら、ペダルをゆっくりと
これもよく質問を受けることですが、手と足が同時に動いてしまう人が多いようですね。 ペダルの基本は、指で鍵盤を弾く↓その音を耳で聴く↓ペダルを踏むという流れになりま すから、音を出すタイミングよりも、ペダルを踏むタイミングが少し後に来るわけです。 音を出す瞬間にペダルを踏んでしまうと、きれいに響きません。その響きをきちんと聴い ていることが大切です。 タイミングを耳ではなく理屈で覚えようとしても、なかなかうまくならないものです。 耳で聴いて、響きで覚えようとする人は、ペダルの上達も速いのです。 ふだんは、キーボードで練習をしている脇田さんという方がいらっしゃいます。彼は『冬 のソナタ』の《最初から今まで》をで覚えたのですが、徹底してヒアリングをした そうです。シンプルなタイプのキ 1 ボードですから、当然、ペダルは付いていません。私 の音楽院でレッスンを受ける時だけしかべダルは使えないのですが、脇田さんは見事にペ ダルを踏んでいるそうです。勘の良さもあるでしようけど、なんといっても大きいのはヒ アリングを徹底してやったこと。そしてその結果、自分の音をよく聴く耳ができていたの です。 ピアノを習得していく上では、右手と左手を同時に使、つところで、まず第関門。それ ノ 34
ピアノというのは基本的には弦楽ようなレガ 1 トができない楽器ですが、ピアノな りのレガ 1 トがあります。指のレガートだけでは足りない時に、少しだけペダルを踏んで よりきれいなレガートにするという方法もありますこの他、ペダルは、いろいろなこと ができるのですが、いすれも、雰囲気のある色付けをするためのものです。あまり難しく 考えないで、どんどん踏んでみて、その変化を覚えていってください。どういう場合にど こまで踏むかは、自分の耳で確かめて自分の耳で覚えていくということです。 耳と足がうまく連動するように、慣れていきましよう。 気をつけなければいけないのは、踏む時に身体のバランスを崩さないことです。指でも、 る ポジションが変わるところで固くなる人が多いのですが、それと同じようにペダルを踏む っ と思った瞬間に、全身がガチガチになる人もいます。そういう状態でペダルを踏むと、身を カ 体のポジションが変わってしまい、音楽の流れがわからなくなってしまうということが起 ア きます。 かかとは床につけて、指の付け根のところで踏んでください。けっして、ドス 1 ンと踏章 まないように。繰り返しますが、身体のポジションを変えない、動きすぎないことがとて第 も大事です。
踏み、踏み込んだままの状態でゆっくりと手を離します。その後、響きを聴きながら徐々 にペダルを上げていってください。大切なのは、ペダルを上げた後も、耳で余韻を聴き続 け、それが消えたと感じたところで音楽を終えることです。 ふだん電子ピアノで弾いている人は、レッスンに行くなどして、なるべくアコースティ ックピアノに触る機会を増やす方がいいと思います。アコ ! スティックピアノの響き、鍵 盤やペダル感触がイメージとしてあれば、ふだんの練習の時も、それを活かすことができ ま、丁から。 脱力をする ピアノの前に座ったら、脱力し、リラクスすることを心がけましよう。音を出すこと に、あまり構えすぎないことが大切です。 「弾くぞ ! 」と思ったとたん、条件反対「すってしまう場所はありま せんか ? 肘が固いと指先に影響がでますので、注意が必要です。肘の位置も充分ピアノ から距離をとって、自由に動くようにしておきます。 また、肩があがっているのはカんでいる証拠です。これは自分ではわかりにくいので、
他の人にチェックをしてもらってください 難しいのはリラックスが持続しないことです。弾き始めはリラックスしていても、動作 。 , イかある時など、急に固くなるということかあります。 息を止めたままになっていませんか ? 歌いながら弾くと、呼吸も伴って音楽が流れて いくので、リラックス効果があります。 一見、脱力とは関係がないように見えて、実際は脱力ができないことが原因になってい るケースも多々あります。 たとえば、休符があるとわからなくなってしまうというような場合です。 る 脱力ができていても、休まなければならないと思った瞬間に身体が固くなり、音楽に乗 っ り遅れた状態で拍子を数えはじめるので、休みの長さがわからなくなってしまうというこを カ とがあります。 ノ ア ペダルのところで間違えるのもそうです。 踏み込まなければならないと思った瞬間に身体が固くなり、固いままペダルを踏むので章 第 ハランスを崩しやすいのです。 音楽に乗れないことも、脱力ができていない所に原因があるのです。常に、心も身体も
ペダルの写真 左足で踏む ヴェールがかかったように ソフトな響きになる 右足で踏む 響きが増す ※いずれも、かかとは床につけて 指の付け根はのところで軽く踏むこと 732
に》をマスターしてしまったそうです。 「長生きしていると、思いもかけないことにめぐりあうものですねー と、今ではすっかりピアニストの「たまご」の横田さんは、感慨深げにおっしゃいました。 横田さんは前述の△お父さんのためのピアノ発表会 > にも出られました。前日から会場 ーサルも一生懸 の近くに宿泊されるという気合の入れよう。ホールを下見し、当日のリハ 命こなし、私が常日頃お伝えしてきたアドヴァイスも、当日の心構えも復唱して本番に臨 まれました。 違 勘 タキシ 1 ドをバリッと着こなし、まるで一本の筋金が通っているかのように背筋をピー ンとさせて現れました。靴はペダルを踏んでも音がしないようなものをお履きになる気の大 て 使いよう。その堂々とした姿からは、煌々と輝くオーラが放たれていて感動的でした。 っ 今ではもう十曲近くもレバ 1 トリーをお持ちだそうです。 ア おとなのピアノを通して知った人間の可能性は、想像をはるかに越えていました。・何歳、 からでもピアノは弾けるようになる。これは想像以上のことですね。ですから、横田さん 章 第 を越えるような年齢の方にも、ぜひ挑戦していただきたいと思っていますー
「良い聴衆」が増えれば、それだけ演奏家も力を増します。ですから、聴き方もプロに なっていただきたいと願うわけです。 どんなコンサートでも、ともに作っていくのだという能動的な意識をもって客席に座れ ば、何かが変わることが実感できると思います。「いっしょに歌、つ」「いっしょにメロディ ラインを楽しむー「いっしょにリズムを感じる」等、それこそさまざまな形があると思う のですが、弾き手との間に距離を置かず、ともにその時の演奏を自分なりに楽しむように すれば、コンサ 1 トのありようが変わってきます。緊張感をしいられるのではなく、もっ と自然にコンサ 1 トに参加する楽しみや充実感が生まれてくるはずです。 る また、あなたが。 ヒアノの上達に結びつけたいと思うなら、コンサートでの関わり方や楽 っ しみ方が増えてきます。音の響きを、シャワーのように浴びるために目を閉じて聴くのも いし、演奏家のフォームやペダルの踏み方を、目を皿のようにして研究するのもいいだ育 涯 ろうし、ぐっと幅が広がります。 生 事前にプログラムがわかっていれば、作曲家について下調べをしたり、曲目解説を読ん章 でおいたりすると、コンサ 1 トの楽しみ方が違ってきます。聴いたことのない曲を等第 で一度聴いておくことでも違ってきます。
単旋律があり、連続する和音があり等で、他の楽器に比べると譜面上はすごいことにな州 ってしまうわけです。そこで、両手の十本の指をいかに効率的に使って、そのすごい譜面 を弾きこなしていくかとい、つことになります。 指をまたいだり、くぐらせたりといった技術を駆使して、音を紡いでいくのですが、そ の時重要なのが、どの指でどの音を弾くか、いっ指またぎや指くぐりを使うのかというこ とです。 これを効率的に示しているのが指番号 ( 指使い ) の存在なのです。 2 の指を 3 の指に換 えるだけで弾きやすくなったりするなど、少しの工夫で、大きな差が出てきます。 表現にも、指番号はとても関係が深いのです。ピヒト先生は、何十年も弾き続けてきた 曲でさえ、たえず、もっと良い指使いはないかと考え、突如として、新しい指使い、新し い表現法を発見したとおっしやっていました。同じメロディでも、繰り返しの箇所では違 う音色を出すために、わざわざ指番号を換えてみたりもします。ペダルと同様に指番号も 奥が深いのです。 ここでは、初心者のための指使いということに限定して考えてみましよう。 おとなの初心者の場合、 1 、 2 、 3 の指は比較的動かしやすいのですが、日頃使い慣れ