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検索対象: アジア・アフリカの稲作
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1. アジア・アフリカの稲作

第 4 章東北タイの天水田稲作 現在では生育期間中、除草を行なうことはほとんどなく、病害虫防除のための薬 散なども行なわない。したがって、移植、続いて施肥を行なうと、その後は収穫ま で放置する。収穫は独特の形状の鎌を使って、穂から約 50cm の長さで刈り取ら れ、天日乾燥の後、脱穀される。また , 近年 ( 2012 年の調査時 ) では汎用コンバ インの導入が急速に進んでおり、運転手・燃料等を含めた面積当たりの賃借りが一 般的である。イネ収穫後、水田には高さ約 50cm の刈り株が残るが、それは放牧牛 の餌として利用され、牛の糞尿を通じて土壌に還元される。 1 ー 4 水稲生産量とその変動性 こうした状況で栽培されるイネの収量は、 2000 年から 3 年間の平均収量は籾で 1.9t / ha であり、日本の収量の籾換算で約 8t / ha とは比べるべくもないが、タイの 他地域 ( 北部で 2.9t / ha 、中央平原で 3.2t/ha) と比べても非常に低い。 さらに大きな特徴として、生産量の大きな変動性があげられる。県単位の統計資 料に基づくと、かって 30 % から 50 % もあった生産量の年間変動率 ( 平年偏差の平 均に対する比率 ) が最近 20 年間ではかなり安定したものの、それでも平均で 20 % と非常に大きい ( ちなみに京都府の生産変動率は 4 % にしかすぎない ) 。この変動 は、収量よりもむしろ作付面積の変動で生じており、移植時期の降水量との相関が 強い。つまり移植時に降雨が不順であった場合、耕作をしない放棄田が増え、それ が生産量の低下に直結する。 小さな面積単位で見ても、収量の大きな変動性が観察される。水田 1 筆における 収量は、イネを植えつけても収穫が得られないところから、条件のいい水田におけ る 5t / ha まで大きく異なる。農家単位で見ると、ノングの低みから高みまでの条件 の違う一連の田を併せ持っこともあり、農家間の収量差は小さくなるが、それでも 約 lt / ha の違いがある ( 宮川 2005 ) 。さらにこれらの平均値が、年によって大きく 変動する。 つまりスケールの大小にかかわらず、空間的にも時間的にも東北タイの水稲生産 には大きな変異が存在し、かっその平均値は非常に低い。こうした生産を制限し変 動させる要因については次節以下で詳しく解説するが、「緑の革命」に始まる灌漑、 施肥、高収量性品種、農薬という水稲の増産・安定化に貢献してきた技術が、天水 田ではどれもそのままでは適用できなかったことが、問題の根底に存在する。 109

2. アジア・アフリカの稲作

オーストラリア乾燥地の大規模多収稲作 第 10 章 長野県 松本市 オーストラリア グリフィス 11 0 -9 ~ o(—) 4 ・つ 0 ワ 0 一 1 月平均気温 三最高 ・最高 最低 最低 日平均 月平均相対湿度 日平均 最低 最低 0 (MJ/m2) 30 日平均日射量 三日平均日射量 : 婀平均降水量 日平均日射量 月平均降水量 ワ 3 11 1 上一 .0 -0 10 三月平均降水量三 0 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 月 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 月 図 10 ー 3 オーストラリアのグリフィスおよび長野県松本市の平均気 温、相対湿度および日射量 ( 1983 ~ 1991 年の月別平均値 ) る。現地のイネ研究者が、減水深は ()mm / 日と考えてよいと言うくらい透水性は 極めて低いものの、稲作により大面積で長期間湛水状態を保っため、面積 x 湛水時 間 x 透水性で表すことのできる地下浸透量は無視できす、灌漑水が土壌中の塩類を 溶出しながら地下浸透するため、後述するような地下水の水質汚染の深刻化ととも に、この地下水が地表にわき出てくる場所での塩類集積が問題となっている。 リべリナ地域の地形は平坦で、平均すれば lkm 進んで 0.5 ~ 0.75m の標高差し かない。そのため、運河の水がどちらの方向に流れているかは明確ではなく、水に 2 ろろ

3. アジア・アフリカの稲作

第 I 部アジア・アフリカの中のイネと稲作 (t/ha) 2.5 2 1.5 収 ◆ 里 1 ロ 0.5 0 2005 年 1985 1990 1995 2000 (t/ha) 8 ◆イネ ロ小麦 平均 : 1.7t/ha 平均 : 1.2t/ha 変動係数 : 5.4 % 変動係数 : 20.0 % 成長率 : 2.0 % / 年成長率 : -2.2 % / 年 △トウモロコシ 平均 : 1.4t/ha 変動係数 : 11.3 % 成長率 : 1.9 % / 年 ◆イネ △ダイズ 平均 : 6.3t/ha 平均 : 1.6t/ha 変動係数 : 72 % 変動係数 : 12.7 % 成長率 : 0.4 % / 年成長率 : 0.1 % / 年 ロ小麦 平均 : 3.6t/ha 変動係数 : 7.5 % 成長率 : 0.9 % / 年 ◆イネ ロ小麦 平均 : 5.9t/ha 平均 : 3.6 レ ha 動係数 : 2.8 % 変動係数 : 42 % 成長率 : 0.9 % / 年成長率 : 1.9 % / 年 △トウモロコシ 平均 : 4.6t/ha 変動係数 : 6.4 % 成長率 : 1.4 % / 年 0 2005 年 1985 1990 1995 2000 (t/ha) △トウモロコシロ小麦 12 平均 : 7.9t/ha 平均 : 2.6t/ha 10 変動係数 : 8.9 % 変動係数 : 6.5 % 8 収 成長率 : 1.8 % / 年成長率 : 1.1 % / 年 量 6 ◆イネ 4 平均 : 6.7 レ ha 2 変動係数 : 3.9 % 成長率 : 1.1 % / 年 0 1985 1990 1995 2000 2005 年 図 1 ー 7 西アフリカ 16 カ国、中国、日本、アメリカ (USA) の主要穀物の 単収の年次変化 (FAO 2008 より作成 ) それぞれの国の作物について、単収の年次変化のトレンドの勾配から求めた成長 率と、トレンドからの偏差から求めた変動係数が示されている。 西アフリカ 16 カ国 ロロ ◆ ◆ ◆ ロ ロ ロ 日本 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 収量 ◆ 4 ロ 2 0 2005 年 1985 1990 1995 2000 (t/ha) 8 6 収 2 △ 中国 USA ◆ ◆ 28

4. アジア・アフリカの稲作

第Ⅳ部 資源多投段階の多収稲作 写真 10 - 1 農家の灌漑水使用量測定のための水車 ている ( 写真 10 ー 1) 。 制限の中で、水稲は、後述 この 年次間で大きく変動してい リべリナ地域の気象は、 自然条件 2. リべリナ地域の 体系の中で栽培されている。 するコムギ、牧草との輪作 る。そこで、同地域の平均的な気象条件をみるために、マランビッジ灌漑地域のグ リフィスにおける、 1983 ~ 1991 年の 9 年間を平均した月平均気温、相対湿度およ び日射量を、同期間における長野県松本市と対比して図 10 ー 3 に示した。さらに、 グリフィスから東へ約 40km に位置するヤンコ農業試験場の、 1991 ~ 92 年の水稲 生育期間中の気温と日射量の推移を図 10 ー 4 に示した。 リべリナ地域における水稲生育期間 ( 10 ~ 3 月 ) の気象をみると、日平均日射 量は松本市 ( 17.5MJ / m2 ) の 1.4 倍にあたる 25MJ/m2 もあり、降水量はわずか約 200mm 、日平均相対湿度と日最低湿度の月平均値は、それぞれ 50 % および 27 % と 極めて低い。気温の日較差も大きく、水稲生育期間中の平均で約 16 ℃もある。ま た、図 10 ー 4 のヤンコの気温からわかるように、日々の変動も大きく、最高気温が 40 ℃を越える日もあれば、 20 ℃に達しない日もある。また、真夏 ( 12 月 ) でも最 低気温が 10 ℃前後まで下がる日が多く、障害型冷害が水稲栽培上の大きな問題と なっている。その回避のため、幼穂分化期から出穂期まで、水深を 30cm 以上に保 っ深水管理が不可欠な栽培技術となっている。この深水管理に必要な灌漑水量を確 保するために、前述したような厳しい作付け制限が設定されている。このような障 害型冷害の発生頻度を示す統計データは得られなかったが、過去の収量の変動の大 きさ ( 図 10 ー 2 ) から、障害型冷害が少なからす発生したと思われる。 平均風速は、松本市と同程度の 22m / 秒である。このような半乾燥気候にある ため、水稲生育期間中の水面蒸発量 ( 最大蒸発量 ) は 6.8mm / 日と極めて高い。 土壌は主に Red Brown Earths という重粘土壌であるとともに、塩類土壌でもあ 2 ろ 2

5. アジア・アフリカの稲作

第Ⅱ部粗放段階の稲作 (t/ha) 場合も多い。降雨が過剰でノング 最下部の水田が水没するような年 に、補償的な生産を行なう場と位 置づけられる。 以上のような生産阻害を受けて いるノングにおいて、さらに気象 の年次変動がノング全体の生産性 に与える影響を評価するために、 ノング内の水の移動を計算し、各 7 / 15 水田における水稲の生育・収量を 移植日 予測するシミュレーションモデル 図 4 ー 8 移植日と施肥量がノング全体の水 を構築した ( ただし雑草の影響は 稲収量に及ばす影響 考慮されていない ) (Homma and 1979 ~ 2002 年の気象データを用いてシミュ レーションした。点線で示した誤差線は年次 Horie 2009 ) 。結果を簡略化する 変動 ( ノング全体の平均収量の標準偏差 ) 、実 ために、ノングの全水田について 線の誤差線は圃場間変動 ( 筆単位の収量の標 準偏差 24 年分を平均したもの ) を示す。 移植日と施肥量を統一した場合を 仮定し、 1979 年から 2002 年の気象データを用いてイネ収量のシミュレーションを 行なった。 その結果、ノング全体の平均収量は移植日によって大きく変わり、無肥料の場 合、 8 月 15 日に移植すると約 2t/ha であるが、 6 月 15 日に移植すると約 3.5t/ha と予測された ( 図 4 ー 8 ) 。施肥量を 0 、 25 、 50kgN / ha と仮定してその効果を予測 すると、移植が遅い場合は施肥が効果的であったが、逆に早い場合には、施肥を行 なうことで、下位田を中心に倒伏が生じて収量が減少するとの結果が得られた。現 地で実際に行なわれている栽培条件に近い 7 月 15 日移植、施肥量 25kgN / ha の場 合、 1986 年の気象下で最大の平均収量 3.6 レ ha が得られ、 1981 年の気象下で最小 の平均収量 3.0t / ha が得られた。収量と降水量の間には有意な相関が見られたが、 降水量は平均収量の変動の 25 % を説明するに過ぎなかった。 降水パターンの影響のほかに日射量の影響も見られ、降雨が比較的豊富な年には 日射量と収量の間には正の関係があり、降雨が少ない年には負の関係があることが 示された。また、このシミュレーションにより、ノング全体の平均値でみた水稲収 4 し△ 3 △ 0 収量 2 △ 50kgN/ha 0 25kgN/ha x 0 kgN/ha 6 / 15 1 0 8 / 15 1 18

6. アジア・アフリカの稲作

第 V 部品質・環境重視段階の稲作 3. 栽培技術の変遷と生産性 3 ー 1 品種の変遷および増収における貢献度 滋賀県において水稲栽培品種は、既にみたように神力系・旭系時代から耐肥性品 種の導入と普及および日本晴時代を経て、現在、良食味品種時代を迎えている。 のような品種の変遷が滋賀県の水稲収量の変化に及ほした効果を、 DYA 手法 ( 長 谷川と堀江 1995 ) によって検討した。それは、過去に行なわれた比較栽培試験 データをもとに各栽培品種の相対収量性 (DYA) を算出し、それを県内の品種別 作付比率を用いて重み付け平均することによって、年毎の栽培品種の収量性の地域 平均値 (RDYA) を見積る、そしてその経年変化を実際の平均収量の経年変化と 比較する方法である。次式のように、ある品種の DYA 値は、その収量 (Y(c)) と 基準品種収量 (Y(s)) との差異を処理区 0 ) 、場所 0 ) および年次 ( んを通じて DYA = l/n (Y(c)ijk ー Y(s)ijk) 総平均した値である。 258 2 2 相対収量性は、前世紀の戦前から戦後にかけては、年代とともに明らかに上昇し 対収量性 (DYA) が、図 11 ー 2 に育成年次に対してプロットされている。品種の 1916 年育成の滋賀神力 7 号以降、現在までに滋賀県で栽培された主要品種の相 RDYA= ()l x DYA 、 )/ ーこで、 ai は 、品種 i ( 1 ~ まで ) のその年の県内の作付比率を で算出される。 比率で重み付け平均すると、地域の稲作の平均 DYA (RDYA) が以下の ( 3 ) 式 準品種として用いている。ある年の全ての栽培品種の DYA をそれぞれの作付面積 それが試験栽培されていない年代においては、金南風または滋賀旭 20 号を間接標 決定調査成績書 ( 昭和 37 年度 ~ 平成 15 年度 ) から得た。基準品種は日本晴とし、 ( 昭和元年度 ~ 5 年度 ) 、原種決定試験成績書 ( 昭和 29 ~ 36 年度 ) および奨励品種 計算に用いたデータは、主に滋賀県農業試験場による滋賀縣立農事試験場業務行程

7. アジア・アフリカの稲作

第 V 部品質・環境重視段階の稲作 (t/ha) 12 まず、長い間、栽培面積の 第 1 位を占めてきた品種日 本晴のみを対象にし、これ を栽培したときの収量水準 について検討する。 図 11 ー 1 は、県内の農業 試験場などで日本晴を供試 して行なわれた数々の栽培 試験の中で、最も高かった 試験区の収量 ( 以下、試験 場収量 ) および滋賀県平均 1980 1990 収量 ( 作物統計による収 量、以下、農家収量 ) を示 図 1 1 ー 1 滋賀県における水稲収量の推移 している。期間は日本晴が 図中の線はそれぞれの 5 年間移動平均を示す。 可能最大収量は、本文 (1) 式を用いて、平均生育 新品種として導入された 期間の日射量 S 、Ⅲと RUE はそれぞれ、定数の 0.45 と 1.45g / MJ 、受光率 F は生育段階ごとの最も大き 1963 年を起点にして、そ い実測値、により算出した。日射データの制約のた れ以降である。試験場収量 め 1970 年以降についてのみ算出。 は、所与の気候下で、養分 欠乏や病虫害などの生産阻害要因を基本的に取り除いた場合の、同品種の達成可能 収量を示し、一方、農家収量はさまざまな要因によって変動する実収量の地域平均 値を示すものである。なお、本章の収量はすべて他の章に合わせて精籾べースで表 わされており、日本の表示方法である玄米収量よりも高い値となっている。 試験場収量は、日本晴を導入後の数年間急速に高まり、 1970 年代に 8 レ ha となっ た。その後は 8 レ ha から 8.5 レ ha の間を上下し、過去 15 年の平均をとると 8. lt/ha であった。一方の農家収量は、後でも検討するが 1960 年代を通して急速な伸びを 示した。そして 1970 年代半ばに 6t / ha 台に達した後、横ばいからわすかな増加傾 向を示しながら推移してきた。最近の 5 年間はおよそ 6.5t / ha 付近を前後している。 両者の隔たりは、試験場収量を基準として長い間 25 % 前後であったが、近年は 20 % 程度まで縮小している。 さらに、あらゆるストレスを取り除き、供給可能な資源を最大限供給すると、作 △試験場収量 ・農家平均収量 可能最大収量 10 △ △ △△△ 籾収量 △ △ 6 4 1960 2010 年 1970 2000 256

8. アジア・アフリカの稲作

第 1 章イネと稲作の生産生態的特徴 との背後には、作物としてのイネとその生産基盤としての水田が持つ、次に述べる 特徴が密接に関係している。 2. 作物としてのイネの特徴 2 ー 1 イネは幅広い環境に適応できる作物 イネの生育に必要な気候条件 イネが生育を完結させるには、日平均気温が 10 ℃度以上の期間において毎日の 平均気温の積算値が約 2400 ℃、そしてその間におよそ 1000mm 以上の降水量に相 当する水が必要である。図 1 - 1 の稲作の分布は、これらの気候条件を満たす地域 とほば重なっている。イネはこの気候のもとで、日平均気温が約 12 ℃から 40 ℃ぐ らいまでの幅広い温度範囲で生育可能であるが、生長の適温は 30 ℃前後の温度域 にあり、さらに登熟期に限ると日平均気温 22 ~ 25 ℃のやや低い温度域で高い収量 がえられる。このように、イネは高温を好む作物のようにみられがちであるが、収 量の適温はやや低い温度域にある。実際、日本の多収稲作地域は秋田、山形、長野 などにあり、四国や九州の収量はそれらに比べて低く、また熱帯のイネ 1 作当たり の収量は一般に温帯より低い。 一方、イネには、収量を形成するうえで、低温、高温に最も弱くなる生育ステー ジがある。低温に関しては、出穂前 10 日頃の減数分裂期 ( 厳密にいえば小胞子期 ) に当たる時期で、この時期に日平均気温が 20 ℃を下回る日が数日続くと正常な花 粉が作られす、不稔穎花が発生し冷害となる。高温に関しては出穂開花期で、この 時期に最高気温が 36 ℃を超える日が数日続くと受精が妨げられ、高温不稔が発生 する。ただし、上に示した冷害や高温害が発生する限界温度は品種間で異なり、耐 冷性の強い品種の冷害限界温度はこれより数度低く、高温耐性品種の高温害限界温 度はこれより数度高い。 世界の稲作の北限とされる中国黒竜江省黒河市は、冬期の最低気温が零下 30 ℃、 凍上が 2m にも達する酷寒の地であるが、夏期高温の内陸性気候の短い夏に適応で きる耐冷早熟品種を用いた稲作が行なわれている ( 写真 1 ー 2 ) 。一方、アフリカ のサハラ砂漠周辺のサヘル地域では、最高気温が 45 ℃を越すような日が続くこと 17

9. アジア・アフリカの稲作

第 8 章中国四川省の集約的な土地利用と稲作 表 8 ー 3 農家群間および年次間でみた土壌全炭素 (TC) 、土壌全窒素 (TN) 、 C/N 比、土壌有機物 (SOC) および土壌の pH TC (g/kg) TN (g/kg) C/N 比 SOC (g/kg) 農家群平均 年平均 pH 9.6a 10.5a 122b 1.16a 122a 1.32b 5.4a 5.7a 62b 11.2a 12.8a 16.0b 8.7a 10. la 11.5b 0 尸 0 、 6- 10.0 10.1 10.2 10.7 11.3 10.3 1.20 1.22 127 13.0 13.8 13.1 2003 2004 2005 分散分析 農家群 年 交互作用 表 8 ー 4 湛水培養 ( 30 ℃で 98 日間 ) で発現した無機態窒素量 (NMs98) 、移植 ~ 成熟期間中に圃場の作土層から発現した無機態窒素量 (NMf) 、作土深およ び仮比重 有効積算地温 仮比重 NMs98 NMf (kgN/ha) (Mg/m3) (mgN/kg) 作土深 (cm) ( ℃ ) 農家群平均 年平均 1186a 1219a 1230b 1.33 1.34 1.34 152a 16.4a 18.0b 692a 882b 106.4c 39.2a 41.7a 47.9b 2003 2004 2005 分散分析 農家群 年 交互作用 が利用できる上壌由来窒素の推定量 (NMf) とその関連形質を示した。 lkg の土壌 を 30 ℃で 98 日間湛水培養した場合 ( 培養期間の有効積算地温が水田でのそれとほ ほ等しくなる 98 日間培養した ) に発現する無機態窒素量 (NMs98) は、農家群 C 1294b 1069a 1271b 1.32 1.35 1.34 15.7 17.3 16.6 80.5a 86.6a 96.7b 442 42.4 42.3 205

10. アジア・アフリカの稲作

滋賀県にみる日本の稲作 第 11 章 カ耕耘機は 1950 年代後 半に普及がはじまり、そ の後作期の早期化と併行 しながら急速に進行し 次に、 1970 年代半ば 以降の単収の推移につい て考える。それは、それ までの期間と比べると停 滞気味ともいえるが、 1 年当たり平均 0.3 % とい う緩やかな増加をみせて いる。ます品種について 平 5 / 20 みると、収量性が日本晴 移 5 / 30 を上回る品種の普及がほ 日 とんどない一方で、むし ろ DYA がやや低い良質 米品種の普及により、滋 賀県の RDYA 値は漸減 した ( 図 11 ー 1 、図 11 ー (A) 。また、それまで進 行してきた作期の早期化 も、 1980 年頃には 5 月 上旬移植が一般化するこ とで収東しており、現在まで大きな変化はない。さらに、 1980 年代半ば以降、窒 素施肥量は後述するように減少傾向がはっきりとみられる ( 図 11 ー 3B ) 。つまり、 1970 年代半ば以降は、栽培品種の遺伝的能力の向上を伴うことなしに、窒素の利 用効率が徐々に改良されてきた時代であった。 ただし、近年の緩やかな増収は滋賀県に限ったことでなく、日本全国の平均単収 にも、年率約 0.5 % という増加がみとめられる。水田面積の減少にともなう低生産 (t/ha) 2.4 1 9 2.0 5 0 年 以 降 1.2 の 0.8 0.4 の 化 0.0 (kg/ha) 150 (t/ha) 6.6 ◇◇ (A) ◇ ◇ 6.2 ◇◇ ◇ ′◇ ◇ 1.6 8 一 -4 ◇ ◇ 量 ′◇◇ ◇ ◇る ◇収量 ◆ RDYA ◇ ◇ ( 月 / 日 ) 4 / 30 △ 125 素 △′ 100 量 △ー・ ◆ ◆ 75 カ 耕 50 耘 25 及 (B) 5 / 10 6 / 9 / ー豎 △移植日 ■窒素施肥量 ◆耕耘機普及率 0 2000 年 1970 1980 1990 図 1 1 ー 3 1950 年以降における収量および RDYA ( 栽培品種の相対収量性の重み付 け平均、本文参照 ) の推移 (A) 、平均 移植日、化学肥料窒素施肥量および動力 耕耘機普及率の推移 (B) ( 滋賀県農林水産 業統計データより作成 ) 6 / 19 6 / 29 1960 1950 261