原発 - みる会図書館


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1. 世界 2016年8月号

〇人が吉田氏の待機命令に違反し、一〇キロ南の福島第二原 いったい何が起きていたのか、なぜ六五〇人の所員は福島第 発へ撤退していた」と報道した。吉田所長は、いったんは福 二原発に行ったのか、世の中の人にはよくわからない状態と よっこ。 島第二原発への避難を考えたがそれを取りやめ、福島第一原 発構内の放射線量の低い場所に一時退 ( 待 ) 避するよう命令 そこで本稿は、福島第一原発では本当のところ何が起きて したのに、所員の九割がその命令に違反し福島第二原発に行 いたのかを探るべく、ほば完全な一次資料と呼べる「柏崎刈 ったと書いた。 羽メモ」の記述を使い、実際この時、福島第一原発の緊急時 対策本部はどういう状況になっていたのかを読み解く。さら なせ六五 0 人は福島第ニ原発に行ったのか に、それを吉田調書の内容と照らし合わせることで「事実の しかし、この朝日新聞の記事を、「意図的に捻じ曲げられ 再現」を試みることにする。 た報道」であり「なぜここまで日本人を貶めなければならな 注目すべき一枚目の資料は異常事態連絡様式の第条ー いのか」と批判する者が現れた。吉田所長は 2 号機の格納容 報 ( 左写真 ) である。異常事態連絡様式は原発事故発生の三 器爆発を恐れ、前夜 ( 三月一四日夜 ) から一 4 貫して、自分は残るものの作業に必要のな・ ~ い所員は福島第二原発に退避させようと考ッ 7 カ原 えていた、という言説をもってしてのこと 省 1 子 ・く有 ・第 8 だった。そして、産経新聞や先述の読売新 イ被ロ . 聞、毎日新聞などが同様の言説を用いて相 長鬚【別 次いで朝日の報道を批判する記事を掲載すこ色 ( 所島、子特、ラッ 原名場橋平原 ~ 一碑二 - ると、朝日新聞は同年 9 月Ⅱ日にこの批判一 さ設 に屈する形で当該記事を全文取り消した。 書 るた検質設 調 のを このため、最も多くの放射能が福島の地に 田 象報 ささ性な等 ( 等 吉 降り注いだ二〇一一年三月一五日から一六 特発生した特定事象のー . 作・ 解日にかけて、東京電力福島第一原発の中でま 迅平 " 1 っ 1 2 ( 24 時劇表示 ) ンム & ー

2. 世界 2016年8月号

法的構成の出発点である。 は横須賀地方総監部・自衛艦隊司令部等が置かれる海上自衛 原告の中には、空襲、原爆、シベリア抑留など、かなりの 隊の中枢基地であり、米軍基地は在日米海軍司令部があって、 数の戦争体験者がおられる。空襲被害者で当時国民学校六年 アメリカの空母の世界で唯一の海外母港として、原子力空母 ロナルド・レーガンと随伴ィージス艦一一隻からなる空母戦 の少女であったある原告は、一九四五年三月一〇日の東京大 闘団を擁し、西太平洋第七艦隊の一大拠点となっている。し 空襲で父を亡くし、七月七日の千葉の空襲では三歳の妹と〇 歳の弟の命を目の前で奪われた。原告は、東京大空襲の前日、 たがって、新安保法制法によって日本が米国とともに戦争に 女学校の受験のために疎開先から上京し、父と枕を並べて受参加したり支援したりした場合、横須賀基地は真っ先に相手 験の心構えなどを語り合いながら幸せな眠りに入った。異様国等のミサイル攻撃やテロ攻撃の対象になる可能性が高い しかも、停泊する原子力空母が攻撃された場合、原子炉の破 な音にたたき起こされ、母が妹を、原告が弟をおぶって四人 で火の海を逃げ惑いながら生きのびたが、家は焼け落ち、再 壊による放射能汚染は首都圏全体に極めて重大な結果をもた び父と会うごとはなかった。そして、母子四人で避難した千 らすと予想される。このような横須賀基地付近に居住する原 葉でも空襲に遭い、やはり母と原告が妹と弟をおぶって、大 告は、基地が攻撃目標とされた場合には生命・身体・財産の 勢の住民と一緒に逃げ出した海岸で、米軍機の容赦ない機銃直接の危険にさらされる。また、原子炉が破壊された場合、 掃射が繰り返され、弟はその直撃を頭に受けて、「まるでザ 居住地が八キロメートル以内であれば七シーベルト以上の放 クロのようになってしまい」、泣き声一つあげることもでき 射線を浴びて即死することになるとも予測されている。 ずに死んでしまった。さらに妹も母の背中で銃撃を受け、 そのほか、原告には、医療・交通・運輸などの公共機関で 権 の 「ちゃあちゃん、ポンポンが痛いよ」ということばを残して息働く労働者、憲法学者、宗教家、戦場ジャーナリスト、身体 私絶えた。その日以来、母は笑うことがなくなった。原告は言 障がい者、在日外国人、自衛隊関係者、原発関係者など、そ しう。「これが戦争です。戦争のある空の下、こんな庶民の日々 の職業や社会的立場から、戦争体制・戦争準備体制に切実な 侵と心があります。・ : ・ : 私は、この国の政府が、戦争をしてい 利害関係を有する者がいる。平和を愛する若者は、自分が戦 いと判断した時から、再びあの苦しみにさいなまれています」。 争に送り込まれるのではないかとの不安に駆られ、子どもを 保原告の中にはまた、基地周辺に住む方々がいる。横須賀港産み手塩にかけて育ててきた母親は、その子が戦争に行って 新には米軍基地と自衛隊基地が隣り合って存在し、自衛隊基地 人を殺し、殺されることを思うと胸がつぶれる思いでいる。

3. 世界 2016年8月号

この異常事態連絡様式から読み取れる、所員およそ六五〇 いた二〇一一年三月一五日の朝、六五〇人の所員をどこに動 かそうとしたかについては、異常事態連絡様式を見る限り、 人の大移動があった二〇一一年三月一五日朝の吉田所長の状 いったん福島第一一原発に緊急時対策本部を移し、福島第一一原 況判断、および所員らに出した指示は次のようになる。 発に「避難」させると決めるが、何らかの状況変化により、 界 監視や作業に必要な要員を除き、それ以外を「一時待避」さ 世①吉田所長は福島第一原発 2 号機で大きな衝撃音がしたとし て、同日午前六時三一分までに、移動の準備ができ次第、緊 せることに方針を変更した。緊急時対策本部を福島第一一原発 に移すことは見送られた。しかし、それからまた、大きな衝 急時対策本部の本部機能を福島第一一原発に移し、対策要員を 撃音の発生 ( この際は 2 号機と特定していない ) を理由に、念の 福島第二原発に「避難」させると決めた。 ②ところが、同日午前六時三一分から三七分までの間に、福ため緊急時対策本部を福島第二原発に移して所員も「避難」 島第二原発へ本部機能を移し、対策要員を福島第二原発に避させることにした、と読み取れる。 実はこの異常事態連絡様式は二〇一一年六月二四日に公開 難させるとした決定を取りやめ、作業に必要な要員を残し、 それ以外の対策要員を念のため「一時避難」させることにし、 され、読売新聞が翌々日の一一六日付朝刊で内容を報じて広く 知れ渡った。読売新聞は大量の公表文書の中から、ニュース その旨を原子力安全・保安院に報告した。 は東京電力が福島第一原発からの撤退を伝えていたことだと ③午前七時〇〇分、原子力安全・保安院に「先ほどの退避に ママ ついては、念のため監視、作業に必要な要員を除き、一次待認定。「東電『対策本部の撤退』伝達 2 号機爆発時」の見 出しで、「東電側は爆発直後のファクスで『 2 号機で大きな 避することに内容を訂正いたします」と、指示を変えたこと 衝撃音。対策本部を第一一原発に移し、避難する』と報告、そ を改めて報告した。 ④同日午前七時二五分以降、原子力安全・保安院に対し、大 の後に『監視、作業に必要な要員を除き、一時退避』と訂正 していた」と書いた。 きな衝撃音がしたとして ( この際は 2 号機と特定していない ) 、念 その後、二〇一四年五月二〇日に朝日新聞がくだんの吉田 のため緊急時対策本部を福島第二原発に移すこととし、対策 調書報道で、「所長命令に違反原発撤退」「福島第一所員 要員も福島第一一原発に「避難」すると報告した。 の 9 割」との見出しを付けて、「東日本大震災四日後の一一 すなわち吉田所長が、福島第一原発 2 号機が危機を迎えて年三月一五日朝、第一原発にいた所員の九割に当たる約六五

4. 世界 2016年8月号

東京工業大学名誉教授でウィーンのに長年勤めた ー攻撃に極めて脆弱であることも認識されていた。日本国内 やすし 西脇安は、ビキニ事件の折いち早く被曝した第五福童丸の降 でも二〇一〇年七ー一〇月にかけて多数の制御系情報システ 灰物分析から核種を同定してビキ一一水爆実験解明に繋がる科 ムでの感染が確認されていたが、それがどれほど具体的な原 学的貢献を果たした実績をもっ核専門家として、こうした核発安全対策に繋がったか、公開情報からは確認できない。 兵器派生技術としての原発の潜在的危険性を早期から指摘し、 イランの核施設をサイバー攻撃で破壊するという案はブッ 徹底した安全対策を呼びかけた。このような厳しい警告は日 シュ政権時代 ( チェイニー国防長官 ) に出たが、オバマ政権に 本国内の原子力推進の産官学複合体 ( いわゆる原子力村 ) から なって巨額予算を投じ、米国とイスラエルの軍諜報部が共同 疎んじられ、海外への人材流出を余儀なくされたが、西脇の で開発した (Operation OIympic G 邑しのが stuxnet で、核施設 ・ウイルスとし ような専門家が日本の原子力政策で中核的役割を果たしてい をもつばら標的とする非常に高度なサイバー て、実際にイランの核施設に甚大な被害を与えたことを、後 れば、原子力の扱いは核兵器に準じた厳重なものとなり、福 島第一原発のような災禍は起きなかったであろう。 日イラン政府も認めた。 s 日 xnet は高度な人工知能を組み込 原発が核テロの対象としてサイバー攻撃その他の破壊工作まれ、標的とする核施設のシステム内に長期間潜伏して当該 システムの正常バターンを学習したうえで、その標的を攻撃 を仕掛けられたりミサイル攻撃されれば、チェルノブイリや 福島第一原発災禍を見るまでもなく、当該国・地域に壊滅的時にはコントロール・センター上では正常を装いながら、実 被害が及ぶ。「平和利用」の原発といえども、潜在的には核 際にはその核施設の中枢システムを機能不全に陥らせるとい 克 ・ウイルスとされ、重要なインフラ・シ 兵器に準ずる安全保障リスクとなり得ることが福島第一原発 う恐るべきサイバー の 災禍で実証されたのだ。実際、一九八六年のチェルノブイリ ステムに対するこうしたサイバー攻撃が蔓延する「戦場の 国災禍が一九九一年のソ連邦体制崩壊の遠因とも指摘されてい 霧」ならぬ「サイバー戦争の霧」の泥沼に陥る危険性も生じ 核る。福島第一原発災禍後、海外メディアは盛んに「原発や火 た。 David sange 「は New ざ「 kTimes ( 二〇一二年六月二日付 ) で 力発電所、ダムなど巨大インフラに対するサイバー攻撃の脅冷戦時代の核戦略「相互確証破壊」をもじって、原発など重 題 威」を指摘した。この問題はすでに福島原発災禍以前、一一〇要インフラを相互にサイバー攻撃して敵国に致命的打撃を加 の 絶一〇年末にイランの Natanz 核燃料濃縮施設の遠心分離装置 える「相互サイバー確証破壊 Mutually 「 ed cybe 「 器に対する Stuxnet サイバー ・ウイルス攻撃の事実が公になり、 Dest 「 uction 」時代の到来を指摘した。 Michae こ oseph G 「。ら サイバー ・セキュリティ専門家が、 stuxnet の「実戦使用」 核原子力施設を始めとする枢要なインフラ・システムがサイバ 5 特集 2

5. 世界 2016年8月号

8 を以て「人類はルビコンの河を渡ってしまった」「 stuxnet は攻撃を仕掛けるのも問題だが、彼らの標的がイランや北朝鮮 サイバー戦争における『ヒロシマ』だ」と称する所以である。 に限定される保証はない。 David と b 「 ight は「 stuxnet はイラ 「原発のサイバ ー・ネットワークは外部から遮断されてい ンの N ミ nz 核施設の遠心分離機一〇〇〇本を破壊したが、 るのでサイバー攻撃を防げる」という楽観論もあるが、原発それは当該核施設の稼働を遅らせこそしたものの、致命的破 世に様々な関連企業関係者や下請け作業員等が出入する現状で壊には至らなかった」と分析し、 Michae1 Joseph G 「は は、内部工作員がウイルスを持ち込む破壊工作を完全に防止 「 stuxnet は発見されたのでなく、、い . 理作戦の一環で意図的に することは現実には不可能だ。福島原発災禍直後にドイツの撒かれたのかもしれない」という元米国中央情報局員の言を メルケル首相がただちに「原発廃止」を決定したのも、こう 引用している。 した原発システムの抑止不可能な致命的脆弱性を認識したた 核施設へのサイバー攻撃を恐れて、重要インフラの制御系 めかもしれない。 Stuxnet かドイツ s 一 emens 社製の制御システ を一元的な国際認証システムに接続することは、裏返せば核 ム ( 遠隔監視制御・情報取得システム ) を標的に攻撃することも施設の生殺与奪の権限を「国際認証システム」作成 / 発行組 判明していた。さすがに理論物理学で博士号をとりベルリン織に預けることになる。 stuxnet のような高度なサイバー攻 の科学アカデミーで分析化学の研究に長年従事したメルケル 撃には国家的関与が必須であることに鑑みれば、制御システ 首相は、原発技術に関して、政治経済的利害や偏向・幻想を ム認証制度の国際的一元化は、安全保障上はかえって重要イ 排した科学的実証的な技術評価を下したと言えよう。現在で ンフラ制御システムの脆弱性を高めるのではないか。穿った は、原発に対するサイバー攻撃リスクは主要な原子力安全問 見方をすれば、 s 日 xne ( 事件は、グロ ーバルな制御システム 題のひとっとして広く認知されており、核セキュリティ・サ 認証制度構築に誘導するための、 G 「 2 が示唆するような ミットでも主要な課題となっている。 「心理作戦」だった可能性も否めない。 s 日 xne ( 問題を受けて、制御システムへのサイバー攻撃対 そもそも核兵器技術から派生した原子力発電は、核兵器に 策として、一元的な国際認証システムを導入するという構想準じる措置をとって然るべきで、利潤最優先で安全上のコス もあるが、いかがなものであろうか。その国際認証システム トを最低限に抑えがちな民間ビジネスには馴染まない。重大 は、技術的にはおそらく米国やイスラエル等、高度なサイバ な原発事故を起こした場合の賠償責任は、リ 至底民間企業が単 ー戦闘力をもつ国々の諜報機関が主導するであろう。イラン 独で担い切れるものでなく、直接間接には国家が担保するこ や北朝鮮を「悪の枢軸」などと一方的に決めつけてサイバー とになる。原発が潜在的に安全保障上の重大なリスクである 特集 2

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連載ー 2 2 9 一三ロ 所長命令に違反原発撤退② 福島第一原発事故を 考える会 00 東電福島第一原発の事故の推移をほばリアルタイムに記録 「異常事態連絡様式」 した資料として「異常事態連絡様式」という報告書がある。 原子力災害対策特別措置法第一〇条に基づいて吉田所長が監 二〇一一年三月に起きた東京電力福島第一原発の事故にお いては「福島フィフティー」なるものの存在が、世の中の人督官庁である原子力安全・保安院あてにファクシミリで送 0 ていた事故状況の公式の通報資料だ。通報者はすべて「福島 に無批判に信じられている。吉田昌郎所長をはじめとするわ 第一原子力発電所吉田昌郎」となっている。 ずか五〇人ほどの所員が、撤退など一度たりとも考えもせず、 テレビ会議録や柏崎刈羽メモのように現場と東電本店との 大惨事を防ぐべく最後まで原発を守り抜いたという英雄伝だ。 やりとりをリアルタイムで記録した生の資料ではない。ただ、 一一〇一四年五月、政府が秘蔵していた「吉田調書」を引き 報告書という資料の性格上、吉田所長のその時々の状況判断 ずり出し、そうではなかったのだという新説をぶつけた朝日 が伝わる。発信時刻が記録されていることから、事故記録の 新聞の「吉田調書報道」は、従軍慰安婦報道への批判に付随 「準一次資料」と呼んで差し支えない資料だ。原子力安全・ して巻き起こったバッシングにより、あろうことか同年九月 に朝日新聞自身の手で葬られ、英雄伝は生き残 0 た。しかし、保安院の業務を引き継いだ原子力規制委員会のホームページ で今も全文が公開され、誰でも見ることができる。 果たしてそれは、事実なのだろうか。 13 いわゆる「撤退問題」の本質と は何なのか。事故時の福島第一 原発の状況を克明に伝える「異 常事態連絡様式」から、吉田 所長の発した指示を読みとく。 世界 SEKAI 2 0 16.8

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猿田私は新外交イニシアテイプという シンクタンクを運営しつつ、日米外交研 日日米関係を揺るがす 究を行なってきました。なぜ日米外交の 視点から原子力政策に興味を持つように プルトニウム 世なったか、まずお話しさせてください 一一〇一一一年九月、民主党政権末期の野 脱原発と核燃料再処理の国際政治をめぐって 田政権が、二〇三〇年代までの日本の原 発ゼロを閣議決定しようとしたことがあ 猿田佐世 りました。しかし、この閣議決定は結局 見送られました。そして、この見送りは アメリカの要求によるとの報道が多く見 鈴木達治郎 られました。もっとも、実際のアメリカ の当時の反応は「原発ゼロに対しての懸 吉田文彦 念」ももちろんありましたが、むしろ強 かったのは、「原発をやめるにもかかわ て、アメリカの原子力 / 核政策があるのではらず再処理を続けるのはなぜか」という 注目される日本のプルトニウム ないかという指摘もなされています。しかし、懸念だったように思います。最終的に野 オバマ大統領が広島を訪問しました。核具体的にアメリカのどのような政策がどのよ田政権が目指した閣議決定は「原発はゼ 軍縮に向けた世論の盛り上がりが期待されまうな人々によって主張されているのか、具体ロ」「再処理は続ける」という二つの要 すが、日本政府の核軍縮に向けた姿勢は、必的事実として語られること黽多くありません。素を含んだものでした。当初、再処理中 ずしも積極的ではありません。原子力政策も本日は、日米の原子力 / 核政策をめぐる事実止の文言を盛り込むことも検討されまし 迷走しています。最悪の事故を経験しながらと分析を中心に語り合っていただきたいと思たが、青森県の反対などから議論途中で います。 脱原発を明確に打ち出せない背景の一つとし 削られており、「原発ゼロ」と「再処理 特集 2 、 よした・ふみひこカー さるた・さよ弁護士 ( 日すずき・たつじろう 本、ニューヨーク州 ) 。新長崎大学核兵器廃絶研究ネギー国際平和財団客員 外交イニシアテイプ ( z センター長。元内閣府原研究員。元朝日新聞論説 副主幹。 子力委員会委員長代理。 0) 事務局長。 4

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連載第 19 回 2016 年 5 月 原子力規制委に追加工事実施方針を伝える。 国内外の原発はどうなっているのか、最新の動きをレポートする 東電は四日の会見では「効果が出始めてい る」との見解。原子力規制委は 6 月 2 日に追 加工事容認。同 6 日に工事開始。 福島原発事故記録チーム Ø同日双葉病院 ( 福島県大熊町 ) の入院患者 が避難中に死亡。東京地裁が東電に賠償命令。 世 し 表動ッう 同日福島県が、放射性物質検査などの県の 当公にト使、少る 事業や県税の減収分など計億 9158 万円 故を題電を さ 事ン間東葉た闇 の損害賠償を東電に対して請求と発表。 ウた。言しの 同日中央水産研究所などが栃木県日光市の カダったの示応田 中禅寺湖でホンマスの稚魚の放流開始。放射 電トか出そ指対白 京ルなががと故っ 性物質による湖の汚染度測定のため。 東メしきプな事ず 同日志賀原発 2 号機で立入禁止区域に警備 員が入り微量な被曝の可能性。北陸電発表。 経産省が高レベル放射性廃棄物の最見。「トモダチ作戦」で被曝した元米兵に涙。同日日本原子力発電の年 3 月期決算は 終処分地について岡山市内で自治体向け説明 5 ・四関電と日本原子力発電が、福井県内年連続で営業黒字。所有の原発 2 基は停止中。 会。訂日にかけて札幌や福岡など各地で開催。の 3 基の原発を解体する工事計画を福井県に電力 5 社からの原発維持費などで。日本原電 5 ・九電が、重大事故時の玄海原発の拠報告。当初の 3 年間で計 110 億円。 が発表。 点施設を当初計画の免震ではなく耐震構造の 5 ・福島県内最大規模となる太陽光発電 5 ・静岡県牧之原市の市民意識調査で、 施設とすると佐賀県と玄海町に伝える。 所の建設が福島南相馬市で開始。起工式。 中部電浜岡原発再稼働反対の回答が初めて半 5 ・衵福島市の福島高校で東電福島第一廃同日原子力規制委員会が、年超の美浜原数を下回る。結果速報を同市が発表。 炉推進力ンバ一一ーの増田尚宏代表と福島復興発 3 号機再稼働に向けた審査の主要部分終了。 5 ・全農福島県本部が福島県産米を 6 月 本社の石崎芳行代表が講演。「廃炉作業には 5 ・幻福島県川内村唯一の小学校と保育園から英国へ輸出と発表。シンガポール、マレ 若い力が必要」。事故直後の原子炉建屋と今で合同運動会。 ーシアに次ぎ 3 カ国目。 を比較する写真に泣き退席する生徒も。 ・鳥取県と米子、境港両市が原子力安同日茨城県が県北部海域のキツネメバルと 同日栃木県が、鹿沼、さくら、益子 3 市町全対策合同会議を米子市内で初開催。中国電クロソイの漁獲の自粛を解除すると発表。 の生産者 4 人に対して原木シイタケ ( 露地栽島根原発 1 号機の廃炉計画の説明を受ける。 同日オバマ米大統領が広島を訪問。 培 ) の出荷制限が解除と発表。 5 ・福島第一原発の凍土壁で計測地点の 5 ・福島県いわき市にある双葉町立小学 同日訪米中の小泉純一郎元首相が現地で会約 1 割で凍結していないことが発覚。東電が校と幼稚園の合同運動会。仮設校舎体育館で。

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いる。そうした過去の経緯を知るイランや北朝鮮がー 8 しかも核関連物質・技術は、核保有国を頂点とする核不拡散 体制に反発するのも無理からぬことだ。実際、これ 体制による厳格な管理監視体制が国際的、国内的に徹底して までの歴史的経緯を精査すれば、体制は核 しかし、先述の設立経緯に見られるように、核不兵器転用技術としての原発を世界に輸出するという点で、本 世拡散体制は元来、原爆開発で先行した米国の「核質的には n 。 n 、 p 「 0 一ま「 a ま n ( 核不拡散 ) ではなく、 controlled 、 兵器関連技術と核分裂物質の完全な独占支配」という企図か p 「。一ま「 a ま n ( 管理された核拡散 ) の体制といえるのだ。核拡散 / 不拡散を一部核保有国が恣意的に決定し、それを核産業の ら派生構築されたもので、基本的には五大核保有国の特権を 巨大多国籍企業が遂行した歴史は、 Z e——体制が 維持する秩序体制だ。その徹底した国際的国内的管理体制 のゆえに、核関連産業に参入できる企業は限られ、少数精鋭核保有国を頂点とする帝国主義的秩序であることを示唆する。 の巨大多国籍企業が政府と密着する、いわゆる典型的な帝国 安全保障リスクとしての原発 主義的国家独占資本体制を形成している。核関連物質・技術 「原子力の平和利用」で過去半世紀にわたり原子力推進政 を管理する—保障措置は次第に厳格化して国家主権に 策をとってきた日本だが、二〇一一年三月の福島第一原発爆 抵触するようになり、米国オバマ政権が主導した核セキュリ ティ・サミットも「核テロ対策」を大義名分に、基本的には発の災禍と広範囲の放射能汚染は、原発が潜在的には重大な 安全保障上のリスクになりうることを如実に示した。戦後日 国家主権を浸食する国際的措置を打ち出している。 確かに、核物質や核技術の潜在的危険性に鑑みれば管理体本は、凄惨な戦争経験への反動による軍事アレルギーと教 制の強化は必要だ。しかし、本質的問題は、この核不育・マスメディアによる情報操作の結果、軍事・安全保障に 関するあらゆる認識を封じ込め、いわゆる「平和ポケ国家」 拡散体制が真に公正に機能しているとは言い難く、それが z となった。原子力の場合も、有馬哲夫が『原発・正カ・ 0— 体制の跛行化と正当性の弱化に繋がっていることだ。核 << 』で詳述するように、原発導入当初からマスメディアによ セキュリティ・サミットも期待されたほどの成果を挙げたと る「核の平和利用」と原発安全神話の世論操作が徹底し、 は言い難い。 ZA*E-* ー体制はイランや北朝の核開 「元来原子力は核兵器開発から派生した技術で、軍事安全保 発には非常に厳格な制裁を要求するが、かって一部の欧米核 保有国はイスラエルや中国に核兵器技術を供与し、また中国 障問題と表裏一体」という基本的事実が日本人の認識から抹 消されてきた。 はパキスタンに核兵器技術を供与したことが明らかになって 特集 2

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4 内線量変化なし 能を福島第一一原発に移し、所員も福島第一一原発に移動させる 本店残る人、所属等を連絡すること ことを決めた。そして、所員にマスクを装着させ、退避手続 きの説明を始めるところまでやったということである。 柏崎刈羽メモからわかるのは、この時間帯に清水正孝社長 全員退避から一部避難へ の社長命令があったことである。東京電力本店にはこの時刻、 続いて午前六時三一分から三七分までの間を考察する。午菅直人首相が乗り込んでいることがテレビ会議録からわかっ 前六時三七分に発信された修正後の文言は次の通りである。 ており、社長命令はその絡みとも考えられるがはっきりとは していない。とは緊急時対策室のことである。その内 「 2 号機において、 6 時分 56 時間分頃に大きな衝撃音 がしました。作業に必要な要員を残し、準備ができ次第、念部の放射線量に変化がないということは、前日夜から考えて いたような、 2 号機の格納容器が破裂して新たに大量の放射 のため対策要員の一部が一時、避難いたします。」 性物質が外部に放出されるような惨事は起きていないと判断 修正前と後で何が変わったかというと、①避難対象者、② 避難場所、③避難の形態、である。修正前の文言は所員のう できたことを意味する。 ち誰かが残るという形になっておらず全員が福島第一一原発に 異常事態連絡様式と柏崎刈羽メモ、一一つの資料からわかる 避難するように読める。一方、修正後の文言からは対策本部 のは、吉田所長は、 2 号機では格納容器破裂などの惨事は起 きていないとの状況証拠がもたらされ、東電本店の清水社長 を福島第一一へ移すという部分がなくなる一方、作業に必要な 要員を残すことが明記され、避難の形態は「一時」となって から「最低限の人間を除き退避すること」という指示がある いる。すなわち、修正前は対策要員が全員福島第一一原発へ避中、午前六時三一分から三七分までの間に、本部機能を福島 難することになっていたが、修正後は対策要員の一部が一時第二原発に移すことを取りやめることを決め、所員の避難も 避難することに変わっている ( 避難場所は不特定 ) 。 全員福島第一一原発に移動させるのではなく、作業に必要な要 この時間帯の柏崎刈羽メモの記述は次の通りである。 員を残し、その他を一時的に避難 ( 場所は不特定 ) させること 書 調 に変えたということである。 田 吉 6 】本店最低限の人間を除き退避すること ( 社長 ) 注目すべき資料の一一枚目は、異常事態連絡様式第条ー 題 解 6 . 1 必要な人間は班長が指名すること ( 所長 ) 報 ( 次頁写真 ) である。発信時刻は午前七時〇〇分で、内容は