す。 交的なスタンスとして、アメリカがそれて、同盟国である日本に原子力政策を変 吉田カントリーマン氏は、再処理はどを日本に押しつけることはしない、どうえるように言うのは行き過ぎだという考 の国も行なわないほうが状況はよくなるするかは日本の決定である、ということえが主流となり、一九八八年の日米原子 と、はっきり言っています。その懸念を、です。もう一つ彼が大事なこととして言力協定の包括同意に結びつきました。 アメリカと他の国との二国間原子力協定っているのは、日本に限らずどの国も、 一方、日本は日本で、カーター時代の における交渉材料として使っていくと話再処理をする場合には経済性や安全性にように、アメリカがまた何か言ってくる しており、日本もまたそうだということついて透明性を持ってほしいということんじゃないかと恐れている人たちがいて、 を同じ文脈上で話したのです。この件はです。そして、国家安全保障に関するこ何が何でも再処理は守らなければいけな 、と考えている。このような状況が日 日本のメディアでもかなり報じられましとについてもきちんと説明責任を果たす た。その後、日本のメディアのインタビ必要があり、この点において自分の考え米双方にあると思います。 ューで、カントリーマン氏は、核燃料サはクリアだとの立場を強調しています。 再処理をめぐる新法 イクルについては日本の政策決定の問題こうした発言を見ると、日本のプルトニ しかし、現在日本が保有するプルトニウ であって、アメリカが関与することではウム問題に詳しい人たち、とわけ国務 ない、と言っています。これは公聴会で省の人々の間ではかなり慎重論が強まっムの量について、説明責任をきちんと果たす とい一つことが可能でしょ一つか の発言と矛盾するような印象を受けます。ているように思います。 その後、ワシントンのシンクタンクのセ鈴木今のご指摘に私も賛成です。歴史猿田まずはこれ以上増やさない、六ヶ ム ミナーで、記者からその点について質問的に見ると、おそらくカーター大統領時所村の再処理工場を稼働して増やすとい トが出ました。これに対してカントリーマ代の原子力政策、核不拡散政策のトラウうことはないようにする、ということで しよう。日米原子力協定の有効期限は一一 カン氏は、まったく矛盾しない、と答えてマが実は日米両方にあると思います。 す が います。核燃料サイクルにおいて兵器に 当時 ( 一九七七年 ) 、アメリカ側が、日〇一八年、今から二年後です。六ヶ所村 転用できる余剰プルトニウムを備蓄しな本側に再処理をやめるよう強く迫ってきの再処工場は繰り返し運用開始を延期 係 いことが世界の大きなプラスになるとい た時の日本側の反応を覚えている人たちしていますが、稼働させた場合にはプル トニウムが増えていくことになります。 日うのは彼の考えであり、二つめの話は外が、まだ現在のアメリカの政権に多くい
4 1 3 8 と五月にミサイル発射を試みたことに対同時に、米国は核の傘を提供する一方で、同日 ( ハノイ ) 崔泰福政治局員兼副委員長を団 6 長とする朝鮮労働党代表団、ベトナム共産党 し、国連安保理決議を無視しているとし中国とフィリピンの南シナ海における領 のグエン・フー・チョン書記長と会談。翌 7 て深刻な懸念を表明する声明を発表した有権争いをめぐって近く出される仲裁裁日、ラオスでウオラチット国家主席と会談。 6 ・ 9 ( 北 ) 最高人民会議第期第 4 回会議を ( 『読売』六月二日付夕刊 ) 。日米韓の六者協判所の判決を、米国に同調して事前に支 今月四日、平壌で招集すると発表。 世議首席代表は同日、日本で会談し、北朝持するよう、韓国に非公式に求めている 6 ・ 2 ( 南 ) 韓国軍と海洋警察、在韓国連軍が、 鮮制裁決議の厳格な履行を各国に働きか ことも報道された ( 『朝日』六月三日付 ) 。 北朝鯡領に近接する黄海の漢江河口で不法操 けることを確認した。 韓国国防部は五月一六日、北朝鮮の弾業の中国漁船の取締りを行ない、退去させる。 6 ・ ( 南 ) 朴大統領、国会で演説し、北朝鮮が また、米国のカーター国防長官と韓民道ミサイル発射を想定した日米韓のミサ 韓国に軍事会談の開催を求めていることに対 求国防部 ( 省 ) 長官は四日にシンガポー イル防衛訓練を六月下旬にハワイ沖で行 して、「非核化なしの対話提起は局面を転換 ルで会談し、北朝鮮の核・ミサイル開発なうと明らかにした。訓練は日米韓で一一するための欺瞞にすぎない」と拒否する考え。 同日 ( モスクワ ) 韓露外相会談、朝鮮半島の非 を強く非難した。カーター長官は米韓同〇一四年一三月に締結した北朝鮮の核・ 核化方針と、北朝鮮が主張する核保有国の地 盟が地域の安全保障のかなめであり続けミサイル情報の共有に関する取り決めに位を認めない考えを確認。 6 ・幻 ( 東京 ) 中谷元・防衛相、北朝鮮が弾道ミ ると述べ、今後も核の傘を韓国に提供す基づき、米国が今年一一月に訓練実施を提 サイルを発射する兆候があるとして自衛隊の る考えを示した ( 『朝日』六月四日付夕刊 ) 。案したことから、実施に至った。六月三 ミサイル迎撃を可能とする破壊措置命令発動。 6 ・ ( 南 ) 韓国軍、北朝鮮が「ムスダン」と ただ、韓国と中国の関係に配慮し、高高〇日から八月四日まで米国主導で行なわ られるミサイル 2 発を発射したと発表。 度迎撃ミサイルシステム ( サれる環太平洋合同演習 ( リムバック ) の直 同日 ( 東京 ) 中谷防衛相、 2 発目は大気圏外の ド ) への公式の言及は避けられた。同前に予定されている ( 『読売』五月一七日付 ) 。高度千キロ超に到達したとの分析を明らかに。 ( 北 ) 朝鮮中央通信、「中長距離戦略弾 日、日本の中谷元防衛相を含めた日米韓 このように米国の中国包囲戦略に対し、 道ミサイル火星川」発射実験に「成功」と報道。 防衛相会談も行なわれた。 中国は五月二三日から二八日にかけて、 同日 ( 北京 ) 6 者協議参加国の外交官や研究者 米国のサード韓国配備について、カー ロシアと初めてのミサイル防衛に関するらによる国際学術会議に出席した北朝外務 ター国防長官は防衛相会談後、すでに計共同演習を実施した ( 『毎日』五月三〇日付 ) 。省の崔善姫米州局副局長、外国メディアの取 材に応じ、会議では「我々がつくった核に触 画が進んでいる、協議が必要なことは多さらに遼寧省丹東で六月九日に予定され れるな」と強調し、核放棄は「米国の敵視政 くないと説明し、間もなく公式発表されていた中韓の第一回国際博覧会は、中国策が終わった時に考えることだ」との立場を 明確にしたと明らかに。 るとの見方を示した ( 『東京』六月六日付 ) 。側の要請で中止になった。韓国企業約三 グ ハンミン
連載 ( 第Ⅱ部 ) 第一九回 八方ふさがり、 八つ当たり 米谷ふみ子 ( カットも ) 世界 SEKAI 2 0 16. 8 この頃、昔よう歌わされた一一宮金次郎の歌が絶えず頭に浮 かんできて困ってます。若い人はこんな歌はもう知らんでし 「柴刈り、縄ない草鞋を作り : : : 親の手助け、弟の世話 し」と、今の小学校の校庭にあるかどうかわかりませんが、 昔、校庭に立ってた着物を着て、背中に柴を担って本を読ん でる十一一、三歳の少年の銅像を思い出し、今のわたしの生活 がそのように思えて仕方がないんです。 弟の世話の代わりに、夫の世話し。最近ヘルニアの手術を した庭師をクビにはでけんから、わたしが柴刈りの代わりに 木の枝を払ったり、庭の草を引いたりして手入れをするんで す。息切れがします。 ほころ 草鞋は作らんが、戦中育ちゅえ、衣服に綻びが出来ると、 若い人のように捨てられなく、 ) その修繕。夫ディビッドのズ ポンの膝に穴があくと、アップリケをしたりするんです。こ のズボンを穿いて町に出ると、見た人には案外評判がええと ディビッドが言うてます。自分の古いジャケットなんかも、 好きなんは永く身につけたいから、いろんな端布を当ててア ップリケをしてます。この間、ふと新聞広告を見てますと、 プルージーンズに一杯アップリケをしたのが二五〇ドルで売 ってて仰天しました。 そんなんやったら、文章を書くのやめて、古着にアップリ ケをするアップリケ屋になるほうがええのとちゃうかいなと わらじ
ひとびとの精神史 岩波書店 / 新刊・既刊 ◆「人物」でたどる戦後七 0 年 既刊 栗原彬、テッサ・モーリス , スズキ / 冖編集委員〕 苅谷剛彦、吉見俊哉、杉田敦 敗戦と占領ー 194 。年代 1 イ ト 本体 2300 円 栗原彬・吉見俊哉編 戦後七〇年、この国に暮らすひとびとは何を感じ、考え たか。どのように暮らし、行動したか。生き方の姿勢と 。、〉 ~ 】一 ( ′ 2 朝鮮の戦争ー 195 。年代 テッサ・モーリスースズキ編本体 2300 円 しての戦後精神史を、時代の転換ことに、一〇〇人を超 3 六〇年安保ー 196 。年前後 える有名・無名の人物の人生を通して描き出す。 本体 2300 円 栗原彬編 東京オリンピックー 196 。年代 第 9 回・第 9 巻 本体 2500 円 苅谷剛彦編 会 6 万博と沖縄返遠ー 197 。年前後 ~ ー 2000 年以降 本体 2500 円 吉見俊哉編 震災前後 ー 1970 年代 ä 6 日本列島改造 本体 2500 円 杉田敦編 栗原彬編 閉塞感に満ちた時代を襲った東日本大震災は、私たちの生き方をもバ円書 仂。売砂終焉する昭和ー 198 。年代 本体 2500 円 杉田敦編 激しく揺さぶった。いま何が姿を現わそうとしているのか。この国製 0 田 並 5 圓般発 が抱える様々な問題に向き合い、それぞれの現場で活動する二十数 2 一日 六体住バブル崩壊ー 199 。年代 本体 2500 円 3 苅谷剛彦編 名の文章を収載。可能性をはらんだ同時代の姿を浮かび上がらせる。本引国・ ト 〈内容案内進呈〉
欠です。情報へのアクセスのための活発な環境を守り維持し 今回、私は副大臣に会うことができましたが、それらの懸 ていこうという態度を、メディアは表明することでしよう。 念について話し合う時間はたった一五分しか与えられません でした。多くのメディア関係者から話を聞いていたので、総 ベストとは言えませんし、メッセージ性もやや弱くなるの ですが、別の解決方法として提案できるのは、放映許可を停務省と、特に高市大臣と多くの時間を過ごせたならば、私に 止する権限は報道の内容に沿って行使するのではなく、技術 とっても、もちろん彼女にとっても、とても価値ある対話に なっていたことでしよう。 的な理由によってのみ行使するということを明確にする法改 正を行なうことです。 もし面会できていたら、次のことを質問したと思います。 現実的に考えれば、日本政府がそのようなことをするとは 政府に放映許可の停止を行使する権限があると主張するの であれば、その根拠は何でしようか。 思えません。 ( 現在の ) 放送法は、政府に規制権限を与えてい るからです。しかし、そういった法改正を行なうことは、主 「公平性に欠ける」ジャーナリズムとは何でしようか。 要なメディアがバブリックな監視人として真に独立した存在 政府や政党における腐敗、不法行為、詐欺、浪費、職権乱 に変化していくための重要なステップになると思います。 用の申し立てを報道することは、不公平ということになるの でしょ , つか 高市氏に聞きたかったこと 放映許可を停止するプロセスはどのようなものを想定して ーーー今回、総務大臣の高市早苗氏との面会はできませんでした。高 いますか。 市氏に何を聞こうと思っていたのでしようか。 どのような問題によって、現在のこれらの懸念が生じてい 総務大臣と総務省の高官が、メディア規制の中心的役割を るとお考えですか。 る 果たしています。ですから、日本で見聞きした懸念について、 「中立性」が欠けているという事例は、何かありますか。 立私が総務大臣に直接尋ねたいと考えたことは誰にも理解され なぜ政府は中立性について懸念すべきなのでしようか。 はるでしょ , つ。 そして、おそらく、より全体的なこととして訊きたいのは 機 ( もし彼女に会うことができていたなら ) 多くの懸念を彼女と共 次の質問です。ーー特定秘密保護法によって規定されている 道 の有すると同時に、彼女からは、こうした懸念を抱くことはな ような、世間一般で議論されるべきではない、あるいは世間 の目から隠されるべき問題とは何なのでしようか。 いと考える理由を説明する機会ともなったでしよう。 特集 1
連載ー 2 2 9 一三ロ 所長命令に違反原発撤退② 福島第一原発事故を 考える会 00 東電福島第一原発の事故の推移をほばリアルタイムに記録 「異常事態連絡様式」 した資料として「異常事態連絡様式」という報告書がある。 原子力災害対策特別措置法第一〇条に基づいて吉田所長が監 二〇一一年三月に起きた東京電力福島第一原発の事故にお いては「福島フィフティー」なるものの存在が、世の中の人督官庁である原子力安全・保安院あてにファクシミリで送 0 ていた事故状況の公式の通報資料だ。通報者はすべて「福島 に無批判に信じられている。吉田昌郎所長をはじめとするわ 第一原子力発電所吉田昌郎」となっている。 ずか五〇人ほどの所員が、撤退など一度たりとも考えもせず、 テレビ会議録や柏崎刈羽メモのように現場と東電本店との 大惨事を防ぐべく最後まで原発を守り抜いたという英雄伝だ。 やりとりをリアルタイムで記録した生の資料ではない。ただ、 一一〇一四年五月、政府が秘蔵していた「吉田調書」を引き 報告書という資料の性格上、吉田所長のその時々の状況判断 ずり出し、そうではなかったのだという新説をぶつけた朝日 が伝わる。発信時刻が記録されていることから、事故記録の 新聞の「吉田調書報道」は、従軍慰安婦報道への批判に付随 「準一次資料」と呼んで差し支えない資料だ。原子力安全・ して巻き起こったバッシングにより、あろうことか同年九月 に朝日新聞自身の手で葬られ、英雄伝は生き残 0 た。しかし、保安院の業務を引き継いだ原子力規制委員会のホームページ で今も全文が公開され、誰でも見ることができる。 果たしてそれは、事実なのだろうか。 13 いわゆる「撤退問題」の本質と は何なのか。事故時の福島第一 原発の状況を克明に伝える「異 常事態連絡様式」から、吉田 所長の発した指示を読みとく。 世界 SEKAI 2 0 16.8
からホーム独自で慰霊祭を開催するようになった。 心身の状況から炎天下、片道一一時間もかかる糸満市摩文 仁に連れて行くことが困難になったからである。移動の間 界 にも体調を崩す。しかし慰霊の日をほかの普通の一日とし世 て過ごすことはできない、という思いをくみ取っての取り 組みである。 クーラーの冷気が心地いい会場で一一時半、式が始まっ なかがねく た。開会のあいさつに立った仲兼久文政理事長は例年、挨 拶文を用意し、戦争、平和に対する考えを述べていたが、 この日は違った。南洋で生まれ、南洋で育った自身の六歳 の時の体験をとっとっと語った。「はっきり覚えています。 六月一一三日、慰霊の日。沖縄戦の組織的戦闘が終結した集中砲火、艦砲射撃で追い詰められ、絶壁の崖から次々に 日として、犠牲になった二〇万人余のみ霊をなぐさめ、世 飛び降りる人たちを。私の家族も飛び降りようとしていた。 界の恒久平和を誓う日として鎮魂と祈りに包まれる一日で しかし私が嫌がったため生き残った」。そしてだれもが自 ある。激戦地となった糸満市摩文仁の平和祈念公園では県 ら死のうとしたその背景を振り返った。通っていた幼稚園 内外から四千数百人が参列して「沖縄全戦没者追悼式」が開 ではチャーチル、ルーズベルト、スターリンを模して、鼻 催されるほか、県内各地でも慰霊祭が行われる。 を高くかたどった藁人形を突く、という教育がなされてい 私はここ数年、名護市にある、特別養護老人ホームかり た。「鬼畜米英と小さい子供に教育する。まだ六歳だった ゅしぬ村で慰霊の日を過ごしている。この時期になると戦が、 ( 兵隊は ) 手りゅう弾を二つ持たせたんです。ひとつは 時の記憶がよみがえり、チムワサワサー ( 心が落ち着かない 敵に投げるように、そしてもうひとつは自爆しなさいとい 様子を表現する方言 ) する様子が見て取れるという高齢の入 うことです。南洋の戦争をだれも語ろうとしないのは、あ じゅうたん 居者のことはよく聞いていたが、かりゆしぬ村では八年前 まりにも悲惨だったから。浜には絨毯のように死体があっ 「今もまだ 引きずっている」 戦後刀年、 高齢者施設の「慰霊祭」山城紀子 まぶに
。政家 治れ えた かは ルボ・スペイン市民運動 15M 誕生 5 周年 間、話をする。各党代表は、それに対し て三分間、自党の見解を述べる。 「ホームレスのための冬季シェルター を通年利用できるようにしてはどうか」、 「古い市バスは大気汚染の原因となるの で電気自動車にすべきだ」など、市民代 工藤律子、篠田有史。を 表が普段感じていることを交えて意見を くどう・りつこジャーナリスト。著書に「ストリートチルドレン」「フィ、 ~ 〔 ~ 〔 リピン・私の家族は国家に殺されたーー家族を奪われた女性たちの戦い」「ル 述べる。各党代表も、ていねいに賛成意 ポ雇用なしで生きるーースペイン発「もうひとつの生き方」への挑戦」など。 見や対案、異なる考えを示す。 最後に議長であるマヌエラ・カルメナ 0 = 一市長宅二歳 ) が、「この場で結論を出す 政る 行す < ことはできませんが、互いに良い学びと 市参ム = 8 なったと思います。これからも市役所は ラモホー 祭。コをデト 0 皆さんに開かれていますから、今日お話 春一の一のツ 2 スパナ年ラ モンロ周プしできなかった方々も、ぜひ市長室へ直 デメセ 5 の ボのルみめ 「ーロ / ピ 1 ア 接いらしてください」と呼びかけた。カ ル、ラ者 を上。シ = 中ガ害世ノ レメナ市長は、二〇一五年五月の統一地 方議会選挙の結果、左派市民政党・組織 四月最後の日曜日、マドリード市議会没後四〇〇周年に当たるため、開会時にの連合体「アオラ・マドリード」 ( 二〇議 場の五七の議員席は、市民で埋め尽くさは四党代表がそれそれ、同小説の好きな席 ) が、中道左派社会労働者党、 れた。この日は一般市民が直接、市議会フレーズを読み上げた。その後、市役所九議席 ) との連立で政権与党となり、市 の各党代表に質問をする「オープン議ウエプサイトなどを通して集められた市長になった人物だ。人権派の弁護士で、 会」デー。前日の四月一一三日は小説『ド民の提案や質問の中で最も関心が高かっ地下鉄通勤をしていることでも知られる。 ン・キホーテ』の作者、セルバンテスのた五つについて、市民の代表が一人三分彼女の下でマドリード市役所は今、ウェ
授業ができるでしようか」 「そうですね。最初のうちは変わらないだろうけれど。認 定がなくなって『もうすっかり汚染はない』といわれ続けた ら、どうなるか : : : 」 マカルキン学長は一言う。法律で「汚染地域」と承認されて いることが、「放射線リスク」について意識を持ち続ける一 つの支えとなっているようだ。 「チェルノブイリ」の教え方 教材や授業プログラムを見ていて気づいたことがある。教 える内容は、あまり難しくない。理論的な話もあまり出てこ ない。気をつけなければいけない場所、季節ごとの行動規則、 避けたほうが良い食べ物などが中心である。 そこにはペクレル、シー・ヘルトという単位すらあまり出て こない。冒頭の実習に参加した学生たちに「セシウムの半減 期は何年ですか ? ストロンチウムは ? 」と聞いてみた。 かれら「チェルノブイリを知らない子どもたち」が、さら の に次の世代の子どもたちに、被害とリスクを伝えようとして か イいる。意識の高い教師の卵たちだ。この「未来の先生」たち は、どの程度正確に放射能や、放射線の影響について理解し 工ているのか。 チ 年 故 事 「二〇〇年くらいですか ? 」 と、誰も正確に答えられなかった。 「セシウムは三〇年、ストロンチウムは九〇年」 と実習指導者のカーチャさんが修正する。 意欲の高い学生ですら、これからも長く影響の残る放射性 これはやはり、三〇年という 物質について正確に知らない。 時間がもたらした知識の風化なのか。日本ではまだ事故から 五年、原発事故の問題に関心の高い人々は、セシウムやス トロンチウムの半減期を知っている。でも、これは特殊な状 況かもしれない。筆者も、二〇一一年三月まで、これらの放 射性物質の名前すら知らなかった。 福島第一原発事故により、福島県外でも広い地域が影響を 受けた。ノボズイプコフほどでなくとも、今後長く汚染の影 響が残る。事故三〇年後に、日本の社会で、同じだけの知識 を持ち続けられるのだろうか。 五年前にノボズイプコフ市を訪れた際にも、大学生たちと の意見交換をした。その際にも学生たちは、セシウムやスト ロンチウムの半減期を正確に答えられなかった。それを私は、 「風化の印」ととらえていた。 しかし、今回実習生たちの授業を見て、自分の考えが一面 的であったことに気づいた。もちろん教師になる以上、事故 ても彼ら の歴史も、理論的なことも知っていたほうがいい。。 が教えているのは、歴史としてのチェルノブイリではない。 放射性物質の名前や、核分裂の仕組みでもない。 秋になると落ち葉の吹きだまりに放射性物質が溜まりやす 森のキノコやペリー類を採って食べてはいけない。ー
なります。したがって、まずそうした現実世界での状況を改 学ぶことができました。朝日新聞をめぐる一連の出来事につ 、ては、二つの点で大きな懸念を持ちました。 善することが、現状では日本にとって最初の一歩になる、と 一つめは、ジャーナリズムが重要な情報を議論の場に提供 いうのが私の考えです。 するという点で、最良といえる報道を、誠実さをもって行な そうすることで、差別を撤廃するための政府の働きかけを、 った朝日新聞に対して攻撃が行なわれたということ、二つめ 政府自身が発信することになるだけでなく、インターネット は、 ( 「慰安婦」報道を行ない、厳しい攻撃を受けた ) ジャーナリス 上も現実の世界も含んだ包括的な環境を作り上げていきたい トに対して、朝日新聞自身が、また他のジャーナリストたち、 という強い政府見解を、世の中に発信することにもなります。 そして広く一般の方々の ( 支援の手をさしのべなかったという ) 対 一方、差別に対してしつかりとした法的保護がある国でも、 インターネット上での嫌がらせは起きています。 応の問題です。 ジャーナリストがお互いのことを話し合い、報道という職 私は、匿名性を禁止することが解決策であるとは思いませ ・業を守るためには、ジャーナリストの組織が必要であるとい ん。匿名性は、好ましいとは思いませんけれども、正当性の うことを、この件は強く一小しています。 ある行動にインターネット上で関わる場合、自分を守るため の非常に重要なツールとなるからです。たとえば、きわめて ネット空間とヘイト・スピーチ 宗教的な環境の中で自分の属すコミュ一一ティを探す無神論者 ケイさんは記者会見などで、日本のサイバー空間は表現の自由 や、ネットや現実世界での攻撃から安らげる場所を求める が保たれていると評価されています。しかし同時に、匿名の嫌がら の人、嫌がらせを避けつつ意見を聞いてくれる人を探 か せやヘイト・スピーチの横行が問題ともなっています。このような している反政府的な立場の人などにとって、重要なものとな る て問題にはどのように対処すべきでしようか るでしよう。 立人種差別や女性差別、性差別の形で現れる嫌がらせやその 嫌がらせに対して強い対抗措置を定めたり、嫌がらせがど は他の誹謗中傷は、日本だけでなく、インターネットのあちこ ういった痛みを生むかについて教育する機会を与えたりする 機 ちに氾濫しています。 ことが、国レベルでも地方レベルでも、匿名性を禁止する代 報 の これは、住宅や雇用といった現実の世界においても、法律わりに政府が行なうこととして重要であると思います。 また、ソーシャルメディア上での嫌がらせをフィルタリン 日が人びとを差別から保護していなければ非常に深刻な問題に ~ 特集 1