本 - みる会図書館


検索対象: 小説すばる 2017年1月号
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1. 小説すばる 2017年1月号

品は高く買い取るよと店主のほうからリク 当初はそれなりに古本相場の知識を必要と登場している。「電脳せどりーはアマゾンや エストされることもあった。 したが、今ではスマホの専用のアプリや小型ヤフォクで買った本をメルカリで売るなど、 ネット上の価格の差を利用した「せどり . で また新古本屋の「高価買取」のチラシに載の赤外線バーコードリーダーなどを使ってバ 1 コ 1 ドをスキャンすれば、瞬時にネットのある。 っている本を探してよく売った。時給換算す ると割に合わないが、趣味と実益をかねたア古書相場がわかる あるていど目利きになれば、相場より安く ルバイトとして十分楽しめた。 こうした機械を使った「せどり」のことを本を買うことはできる。ただし買った本を売 るのは簡単ではない。読みたくて買った本な 二〇〇〇年前後から、古本屋で安く買った「ビームせどり ( スマホせどり ) , という。 本を自分で値段をつけて、インターネットの新古本屋のセ 1 ルの時期に集中して仕入れらまだしも、転売目的で買った本が、不良在 Easy Seek ( 今はない ) 、アマゾンのユーズる「セールせどり」もいる。今では「せど庫化するのはバカバカしい ド、ヤフォクなどで売る「せどり ( セドラり」は古本にかぎらず、 o やゲ 1 ム、生活よく「古本屋に本を売りに行ったら、安く と愚痴 ー ) ーが登場した。「せどり」という言葉が広雑貨まで、あらゆる転売行為に使われる言葉買い叩かれた。二度と売りたくないー まったのも、このころからだ。 になっている。転売で生計を立てている人ををこばす人がいるが、店側としては百冊、二 百冊買い取ったとして、それが全部売れるわ 「テンバイヤー」ともいう とはいえ、近年では「赤外線スキャン禁けではない。店に出してすぐ売れる本はごく 止 , の店も増えてきた。他のお客さんに迷惑一部で、売れない本は在庫になる。中には をかけるというのがその理由だけど、それ以年も一一年も売れ残る本もあれば、売れないま 上に「ビームせどり」が増えると、店の棚がま「つぶすー本もある。 ガタガタになって、一般客が寄りつかなくな 知り合いの古本屋は「商売にするなら、本 雷 るという弊害もある。 以外の『せどり』のほうが利ざやは大きい魚 原 最近、「ピームせどり」は、古本市や古書よ」といっていた。 展にも出没している。彼らも生活がかかって たまにインタ 1 ネ〉トで「せどりで月収百一 いるから文句をいうつもりはないが、「もう万円 ! 」みたいな情報商材の広告を見かける話 すこし目立たないようにやらないとそのうちけど、インチキとはいわないが、眉唾とおも古 っておいたほうがよし 出禁になるよ」とはいいこい。 、。心配な人は「せどり古 いつほう実店舗ではなく、古書通販サイト詐欺。で検索してほしい。殺伐とした気分に なるとおも、つ から安く仕入れて高く売る「電脳せどり」も

2. 小説すばる 2017年1月号

絵本、図鑑、小説、漫画、雑誌、写真集 誰しもが本にふれること、本を読むことを通じて、世界を学び、新しきを知り、 その夢を広げていきます 本を通じて、一人では思いもよらない 視点や立場と出会う 距離を超えて、時空を 超えて、見たことの ない世界とつな がっていく 本は、知識や情報を あたえてくれる だけでなく、 私たちが想像力と 呼ぶもの、 思いやりと呼ぶもの、 個性と呼ふものを 一人一人にあったカタチで 育んでくれます食が「からだ の糧」であるならば、本は「こころ の糧」。ひとリひとリの今日と明日を 支えてくれる、かけがえのないものだから私たちは、 消費税が % に引き上げられたとき、食品だけでなく、 書籍や雑誌にも軽減税率を適用すべきだ、と考えています この国の文化的で豊かな毎日を支えるために。 本はいつまでも、誰もが気軽に手にとれるものであるべきだと思うのです ト。 03 。 s 。を司戸 ために、出版物に軽減税率を ) 、特定非営利活動法人函館視覚障害者図書館 ( 北海道 ) 、青森市読書団体連絡会 ( 青森県 ) 、 十勝子どもの本連 : 連合会 ( 青森県 ) 、特定非営利活動法人岩手音声訳の会 ( 岩手県 ) 、特定非営利活動法人岩手 語リの会はまな 雪城県 ) 、読み聞かせボランティア「絵本のとびら」 ( 宮城県 ) 、大欠なかよしバス図書館 ( 秋田県 ) 、 点訳の会 ( 岩手県 ) 、 ープ「つくしんぽ」 ( 秋田県 ) 、新庄市立図書館ボランティアサークルかやのみ会 ( 山形県 ) 、 秋田県南ブックコ l) 、宇都宮子どもの本連絡会 ( 栃木県 ) 、絵本の学校 ( 栃木県 ) 、小山子どもの本連絡会 ( 栃木県 ) 、 かべや文庫 ( 福島 頁市民読書会 ( 埼玉県 ) 、公益財団法人東京子ども図書館 ( 東京都 ) 、朝の読書推進協議会 ( 東京都 ) 、 栃木子どもの本連紀 町立図書館朗読ボランティア千の風 ( 山梨県 ) 、塩尻市民読書の会 ( 長野県 ) 、陽皐郵便局 ( 長野県 ) 、 けやきぶんこ ( 新潟 関音訳の会しおん ( 岐県 ) 、静岡コ。を山。も会 ( 静岡県 ) 、遊本館子どもの本の資料と交流の館 ( 静岡県 ) 、大阪府子ども文庫連絡会 ( 大阪府 ) 、 堺市子ども文庫連絡会 ( 大阪府 ) 、堺市図書館友の会 ( 大阪府 ) 、吹田子どもの本連絡会 ( 大阪府 ) 、豊中市立岡町図書館「とよ読書会」 ( 大阪府 ) 、みきおはなし会 * 絵本の森 ( 兵庫県 ) 、しらはま子どもの本の会 ( 和歌山県 ) 、「本の学校」生涯読書をすすめる会 ( 鳥取県 ) 、こころにミルク編集部 ( 広島県 ) 、板野町 読書会 ( 徳島県 ) 、おはなしひろは・ひまわリ ( 徳島県 ) 、院内石橋ゆめ本の蔵 ( 大分県 ) 、一般財団法人鹿児島県青年会館艸舎 ( 鹿児島県 ) 、鹿児島 童話会 ( 鹿児島県 ) 、一般社団法人沖縄県子どもの本研究会 ( 沖縄県 ) 、久茂地文庫 ( 沖縄県 ) 、親子読書地域文庫全国連絡会、公益社団法人日本 図書館協会、公益財団法人全国学校図書館協議会、公益社団法人読書推進運動協議会、公益財団法人文字・活字文化推進機構〔参加団体・順不同〕 0

3. 小説すばる 2017年1月号

もろの片づけを終えると、もうすっかり日よ ? 」 コンビニでパンでも買ってくるのだろう。 うわ、それはキモい、と、菜々美は思わ 一年生部員たちが、グラウンドの片づけも落ちて、校舎も真っ暗だ。 ず顔をしかめた。 をする間に、彩子は菜々美と部室棟に戻「話って、なに ? 自席についた彩子の前に、菜々美は何冊「いやでもさ、やつばり普通じゃないよ、 る。菜々美が、手際よく備品の洗濯機にビ プスを放り込み、スイッチを入れる。洗濯もの本を積み上げた。学校の、図書室のラアヤのは」 ベルが貼ってあるものもあれば、書店で購「私からすれば、みんなが普通じゃないん の間に、流しでドリンクのポトルを洗う 彩子は、部員たちが口をつけたポトルに入したであろう、新品もある。いずれにしだよ。無頓着すぎて、気持ち悪いくらい も、汗や泥が付着しているビブスにも触れても、どこの誰が触ったかわからない本た「言うと思った。そういうのってさ、ええ ない。洗濯し終わったビブスをきれいに畳ちだ。彩子は、悲鳴を上げて椅子ごと後ずと、なんだっけ 菜々美は、一冊の本を掴みあげると、ペ むのは彩子の役目だが、それまでは動き回さりをした。 ラベラとページをめくりだした。本にはた る菜々美の背中をじっと見ているしかな「それさ、本くらいでそんなになるのつ くさんの黄色い付箋がついている。菜々美 菜々美は別に文句を言うことはないて、異常じゃん ? が、いつもこの時間は気まずさを感じる。 「だって、誰が触ったかわかんない本だはどうやら、昨日の部活後、彩子の潔癖症 について調べていたらしい よ ? 汚いじゃん ! 」 「あのさ、アヤ」 突然、洗い物をしながら菜々美が口を開彩子は、涙目になりながら、本をどかす「強迫性障害 ! 」 いた。彩子は、思わず背筋を伸ばし、はよう菜々美に向かって喚き散らした。机が菜々美が、彩子に向かって、なぜか誇ら 空いたとみるや、カバンから取り出したアしげに本を開き、目の前に突き出した。障 、と改まった返事をした。 ルコールスプレーをヒステリックに吹きか害、と厳めしい漢字が並ぶと、なんだかお 「今日、塾とかないよねー かか ける。菜々美はじっとりとした表情で、机そろしい病気に罹ったように思える。彩子 「うん、ないけど」 は、別に病気じゃないし、と呟いた。 をピカピカに磨き上げる彩子を見ていた。 「ちょっと時間くれない ? 「このままいくと、本格的に病気になっち 「大げさなんだよ、アヤはさあ や、つよ」 「だって、考えてみなよ。もしかしたら、 お風呂にも入らないような人がさ、トイレ「そんなことないよ」 話がある、という菜々美に連れられて、に入って、手も洗わずに出てきて、そのま「じゃあさ、手を洗うのやめられるわ 彩子は誰もいない教室に戻ってきた。もろま本を読んだりしてるかもしれないんだけ ? 」

4. 小説すばる 2017年1月号

の前髪は、切れ、前髪が長いから結婚できた本の東、電気ポット、衣類が乱雑につめらず動揺してしまったのかもしれない ないんだ、などとわけのわからないことをこまれた半透明のビニール袋などがその奥運転しながら、俺はこの本を読んだこと 言、つ時もある にいくつも積まれている がある、と思い出した。甘酸つばいストー うんぬん ゆずを盗まれる云々はだから、父の妄言 いつのまにこんなことになっていたのだ リ 1 を期待して読んだら全然違ったという という可能性もおおいにあった。暇を持てろうと、しばらくそこに立ち尽くして考えことと、主人公が好きになる女が全然俺の 余した老人の被害妄想。そう考えると、大た。昨日仕事から帰ってきた時はどうだっタイプじゃなかったということぐらいしか きな溜息がもれる。ただでさえ憂鬱な朝だたろうか。わからない。考えた末、昨日の覚えていないが というのに。今日は職場の、忘年会なの夜から明け方にかけて田中絹江はこれらの ものを家の中から庭に運び出したのではな職場へは、二十分かけて車で通勤してい 天気予報のとおり、空はどんよりと曇っ いか、という結論に達した。もっと以前かる。というよりも車以外の選択肢がない。 ている。車に乗りこもうとしたが、ふと思らこうだったのなら父がそのことについて バスは二時間に一本しかないし、電車はそ いたって、田中家の様子を窺うことにし・言及せぬはずがない腕組みして、庭に積もそも路線がない。耳中市農業協同組合。 た。俺の家と田中絹江の家のあいだには、 まれたゴミを見つめる。このままゴミ屋敷俺の勤務先だ。就職してすぐに営農センタ 軽自動車なら楽勝だがワンポックスカーで化していくようだったらまた面倒なことに ーというところに配属され、五年前に農協 はあやういぐらいのせまい幅の道が通ってなる 本所の共済課に転属になった。農家のひと いる 本の東は紐の結びかたに難があるらしたちを相手に火災共済やら生命共済やらを かし 庭を抜けて道に出ると、田中家の狭い庭 く、いくつか危なげに傾いでいた。一番上すすめたり、集金したりして給料をもらっ に置かれたべンチが見えた。以前はよくあにある、古びた文庫本の表紙に書かれた文ている ーもり・ そこに座って、猫を撫でていた。 - そのべン字を読む。初恋。ッゲーネフ。ゆるんだ 出勤すると、後輩の飯盛が「時田さん、 チの上に、今はなぜかオープントースタ 1 紐と二冊目の本のあいだからそれを抜きとおはよう ) 」ざいます , と声をかけてきた。 が置かれている る。そのまま早足で車に急いだ。助手席に飯盛は、今朝も一時間かけて山からおりて 置かれているのではない、捨てられてい本を置く。なぜそんなことをしてしまったきたんすか、などと言ってプブッと笑う。 るのだ。数歩近づいて、そう気づいた。扇のかわからない。田中絹江が『初恋』など二十分あれば来られるんだよ、とっとめて 風機の箱、木製の椅子が二脚、紐でくくっという題名の本を読んでいることに少なか穏やかに答える。肘差村って秘境じゃない 100

5. 小説すばる 2017年1月号

小さな本屋の本棚か s 宇田智子 0 0 0 はできるだけ横になっていた。それでも夜中 に何度も起こされ、慣れない動作をくり返し 第七回市場に戻ってきた た。とにかく眠くて、痛い。どこが痛いのか 友人から小包が届いて、開けると双眼鏡がわからないまま無茶な姿勢をとって、ますま そら 出てきた。箱には「星空観察を楽しむ」「宙す痛めてしまう。 ガールなどと書かれている。宙ガール ? ある日、子を抱いて初めて寝室を出て、べ いぶかしみながら、添えられた手紙を読む。 ランダに立ってみた。真夏の太陽が思いきりウの 〈五年後くらいから、運動会や音楽会でも使照りつけている。木々の葉が光って揺れ、向本、 えるので、星を見る趣味がなくても持ってい かいのアパートの階段に猫が寝ている。二週の以 場い賞 てください〉 間前となにも変わっていない。でも、すごく市に受 「屋を なるほど。じきに使えなくなる服やおもち遠い。いまの私はここに降りられない。 9 本 やでなく、数年先を夢みさせてくれて、それ子どもが顔をしかめるので家の中に入っ 場の までもかさばらず、もちろん本来の用途でも た。病院から帰ってから、寝室はずっとカー 役にたっ、すてきな出産祝いだ。 テンを引きク 1 ラ 1 をつけたままだ。ほんの設ラま 志くし それにしても。いまはこんなに近くにい数歩で昼夜も季節もない国に戻る て、肌をよせあって日々を暮らし、あ、首の 目を休めるようにとも言われていたもの一 しわのあいだにあせもが : : と細部にわたつの、なにか気晴らしがないとやっていられなのご己 ・市つきロ て見ているのに、たった五年で双眼鏡が必要 。子どもが眠 0 ているあいまに本を読ん弸 だ。授乳しながら本や子どもや自分のことをれ屋池 : なくらい離れた場所に立つようになるんだ ま本区 な。そして、いずれは星ほどに遠く隔てられ考えた。言葉を知らない生きものが目の前に生古回 み 県で 7 いて、こちらも言葉を忘れてぶつかっていき川場第 芦 - てしま、つ。さびしくもはるかな気持ちにな 奈市 る、時空を超えたプレゼントをもらった。 たいのに、なぜだかほかの人と一緒にいると神の 4 や 年覇当 0 区 - 。 この半年間、連載を休み、古本屋の店番もきよりもっと言葉がうずまく。 8 - る 人にまかせて、ほとんどずっと家にいた。特七夕の前の日、「笹の葉さらさら」と歌っ こ書 も著る に「産後一ヶ月は絶対安静に . とまわりの先てみた。二番を歌いかけて、ドキッとした。 叱。売 ごしき ご」、王を一 う店本 輩がたに釘をさされていたので、そのあいだ「五色の短冊私が書いた」

6. 小説すばる 2017年1月号

例えば、食に関心があるなら、ハイレベ えないで。懐が温かく、浪費しがちな時で 年始めの一冊はこれ ! ルなレストランやオ 1 ベルジュで食事を楽もありますが、自分自身への投資は浪費で 編集部おすすめブックガイド 「豊かさ」に恵まれる一年。自分の才能 しむ機会が増えたり、とても貴重な海のはありません。ただし、チープな自尊心を を生かしたり、お金を生み出す方法を 幸・山の幸をもらったり、農業体験に誘わ満足させるための散財は、後悔しか残しま 考えよう。資産形成本や副業本、または れるかもしれません。器に興味があるなせんからご注意を ら、国宝級の茶器を間近で拝見するなど、 愛情面は「私って愛されキャ見ているだけで心がリッチになる本を ひたひたと心が満たされる時間が増えてい ラーと思い込むことが大事実 デ , そ / 円 くのです。こうした体験はあなたという際、 2017 年前半の乙女座の人は、鷹揚 「・テみブ 丿全木一 6 「土壌」を豊かに肥やし、幅広い価値観をな朗らかさがあって「愛されカーが高いの ( タ各 ン です。妙な自制心を働かせすに、素直に好 養ってくれるでしよう。 本 ナ ものごとの価値に聡くなれば、自分自身意を受け取りましよう。実用性重視のミニ ー }-- 時代にどう稼く ? の「価値」にも敏感になります。自然とあマムなファッションやメイクは。普段 天才コンサルタントと女子高生のコンビが、 なたは、自分がどんな資質や能力や魅力にから、自分の魅力を引き出すルックスを心 漫画家やゲ 1 ム会社に示す、生き残るため 恵まれていて、それがどれくらい「使えがけて。 の処方箋。電子書籍を自作したくなるに る」状態で、人生の「欲しいもの , を手に 9 月中旬 59 月末の期間は、思い切 コ 税 入れるために、それらをどう開発していけったイメ 1 ジチェンジや自己開 史工尹林円 歴ト夫也書 0 ばいいのか、考えるよ、つになるはず。 一小か可能この時期までに、自分自身 のレ靖美洋 8 占 美 2 松野東 8 2 017 年の秋口までは「倹約ーとかの魅力に「」と言えるようになる 「植Ⅱ体 星 本 ウ 「清貧」という言葉はまったく似合いませと、秋以降は愛情もお金も、素晴らしい の ん。子供に良い教育を施すように、自分「実りの季節」となるでしよう。川月中旬美とは何かを問い直す 自身に「目を肥やす体験「真以降はフットワークが軽くなり「人生の楽古代ギリシャから現代まで、膨大な知的遺 産から、〈美〉の観念がどう変わってきた の豊かさを知る体験をさせてしみ」に向かって走っていく、カラフルな かを考える。多種多様な図版も嬉しい。 あげましよ、っそのための支出は抑流れとなります。 本みそ

7. 小説すばる 2017年1月号

ランティアなど、人助け的な活動も増えまさあ、ご自由に」と、宇宙から優先権を与 年始めの一冊はこれ ! 編集部おすすめブックガイド す。粛々と対応し、できるだけ役に立ってえられる、スタートのタイミングです。 あげて。この時期は未来のために木星の「拡大・発展パワ 1 」がもたらさ人生の「仕分け、の時。「赦し」や「手放 「徳を積む期間でもあります。字れ、追い風が吹きます。数年前からし、に関する本や、「断捨離」する本で 宙の中では常にネルギーが循環してい「やりたい」と思いなから、現身軽になりましよう。美しい情景を収 めた写真集などの「癒し本」も良い て、基本的に自分が出したものが返ってき実生活への対処で手いつばいだ 税 ます。つまり、ここであなたが発する善意った人も、いよいよ実行に移す - 」土十 一フよい で案晴の円 は、未来の自分へのエネルギー的投資でもチャンス長く続けてきたことでスポ 菜提善っ 0 一う井フ ットライトを浴びる人もいるはず。おそら あるのです。 サい土ラ 1 / とグ体 さて、 6 月以降は「終了・清算ーの流れく、川月下旬からあなたは意欲的になり、 が落ち着き、川月中旬からスタートする新Ⅱ月中旬から輝きを放ち始めます。蠍座で 食の「断捨離」で豊かな生活 しいサイクルに向けた動きが始まります。新月が起きるⅡ月絽日頃には、自分の 「ご飯、味噌汁、漬物」を毎日食べること 「こんな生き方をしたいー「新たな仕事を始「軸」があるべき場所にカチッとはまった が、心身ともに健康で、よりよく生きるた ことを感じるでしよう。行動力はやや遅れめの秘訣となる。味噌汁のレシピも充実。 めたい , 「移住したいー「結婚したい etc : さまざまな願望やプランがわいてくるて高まってきて、月中旬からは思いのま 屋見 社子刊 でしよう。「しよせん夢」などとあきらめまに走ることができるようになります。 旧久房円 なお、愛情面に関しては年の前半に、手 ずに、情報を集めたり、準備をしてみて。 書田戯 もうじき、あなたは真新しい流れに乗るのの届かない相手にはまったり、現実を忘れ す潮体 み るほどのめくるめく恋秘密の恋が盛り ですから ! そして、川月中旬に幸運の星・木星が蠍上がる暗示がありますが、幸せになれる関美しい「本のある風景」 座にやってくると、約 1 年間の「蠍座木星係が生まれやすいのはⅡ月上旬以降。Ⅱ月木造 2 階建て、住居のような社屋で撮影さ れた、本と本を作る人たち。 % 年に解体さ 期ーが始まります。誰でも、約肥年に 1 度 4 日過ぎには「その関係」をどうするか、 れる様子も切なく美しく、心に静かに響く。 「お望みの人生を一から始めていいですよ。結論が出るでしよう。 みすず書房旧社屋 241 KAORU の 12 星座占い

8. 小説すばる 2017年1月号

よしの・じん田年東京生まれ。文芸評論家。 内外のミステリーを中心とした書評や解説で活躍中 ー吉野仁 監禁されたヒロインによる謎めいた復讐 シャノン・カーク『メソッド / 3 訳 明 税 早本 なからず続いている。「出口のない農場」、 による語りの章が挿入されていく。リウは、 「男を殺すことを考えながら四日目もそこに 有能な捜査官でありながら、過去のトラウマ「ささやかな手記」といった作品のほか、「ド 横たわっていた」 本作『メソッド / 芻』は、ヒロインによを抱えていた。そのリウの相棒となるローララゴン・タトウーの女』、『調教部屋』、「アン る、こうした独白で幕を開ける。女子高校生のキャラクターもまた強烈なもの。まるでダー・ザ・ド 1 ム」のよ、つに作中にそ、つした が何者かに拉致、監禁されたのだ。しかも彼「中年おやじ」のような女性捜査官なのだ。場面を含むものを加えるとかなりの数にのば る。なにより現実の社会でも、女性三人を十 女は妊娠しており、犯人の目的は生まれてく このように問題を抱えたふたりの捜査官が、 いくつもの手がかりから犯人に迫っていく。 年間監禁したという米国オハイオ州クリープ る赤ん坊にあった。 監禁という非日常的な生活が細やかな観察と、ここまでの紹介で、ちょっとユニークランドの衝撃的な事件をはじめ、わが国でも 眼とともに綴られていくばかりか、脱出すべな少女拉致監禁ものプラス警察捜査小説にす同様の犯罪がいくつか起こっている。また、 ぎない、と思ったら大まちがい。本作がそ、つ本作で描かれている人身売買組織による犯罪 く綿密な計画を練り、そのための道具類を犯 人にさとられないよう順々に番号を振りながした作品と一線を画しているのは、ヒロインも世界各地で横行しているようだ。 すなわち本作は、もっとも旬な犯罪テーマ による謎めいた「復讐」が埋め込まれている ら確保していく少女の様子が語られていく。 過酷で不安な状況にありながら、科学的な思ところ。張りめぐらされた伏線とともに幾重によるミステリであるのに加え、若い妊婦の 考をもとに、驚くべき記憶力やしたたかな行ものサプライズが待ち受けているうえ、さらおかれた状況が如実に反映されているのでは ないかと思える部分も多い。逃げ場のない所 にその先があるのだ。 動力を発揮するのだ。はたして彼女は、い、 に反撃するのか。ヒロインの天才ぶりや際だ女性の拉致監禁ものといえば、大ヒットしに閉じ込められ、危機的な状況の中から、自 たピエール・ルメートル『その女アレック身の知恵とカで脱出し、自分を取り戻すとい った個性、そして先の読めない展開で冒頭か らぐいぐいと読ませていく。 ス』を思い起こす人も多いだろう。じつは近うこの小説、けっして面白いだけにとどまっ ウ年、監禁を扱った傑作サスペンスの邦訳が少てはいないのだ。 一方で、—特別捜査官ロジャー・リ ′ゾリド巧乃 3 、シャノンカーク 333

9. 小説すばる 2017年1月号

庫 文岳飛伝二飛 = 。章 新版生きるヒントを 人生にときめくためののレッスン 「偲ぶ」「歌う」「探す」などを 五木寛之 テーマに贈る珠玉の人生哲学。 精巧な義手により、岳飛は本 大ベストセラー文庫化最終巻。 ◎本体 560 円 来の力を取り戻す。一方、梁山。 ◎本体 600 円 泊は新しい頭領・呉用のもと、 鍋奉行犯科帳 若い力が次々と育ち始め : 風雲大坂城 中文庫版 発 評 書楼弔堂破曉無敵当 刑事課・亜坂誠事件ファイル 続発する事件に共通する謎の 浅暮三文 京極夏彦 言葉。所轄刑事・亜坂とべテラ ン土橋が真相を追う第 2 弾ー 明治年代。東京郊外に建つ ◎本体 620 円 の 異様な書舗「書楼弔堂」には無 月 数の書物が眠っていた。迷え 2 る者たちが探書に訪れて : ・ あなたはどのような本をこ所望か 岳飛が睨む次の一手。梁山泊は戦雲近し ! 。 しよろ - っとむらいど - っ 京薩夏旁 本 8 0 円 はぎよう 上様上洛で大坂城は大騒動 ! 饗応の宴を司り大忙しの久右 衛門。そんな中、事件が : ・ ◎本体 720 円

10. 小説すばる 2017年1月号

「食ってねえ。じつは」 「べべさんがよく俺の生まれたときの話を出しつつ、端末で西洋占星術のサイトをひ 「じゃあこれいいよ。俺そんなに腹すいてするから覚えた」 らいた。ここで相性鑑定をするのにふたり ない」 「ほんっとにおまえ、親に愛されてるな」 の正確な生年月日時と出生地のデータが必 彼はつつつ、と皿をこちらに押してくる。 「うん」 要だったのである。ふたりとも未来東京都 と、彼は読みさしの漫画本を手にとって生まれだし、彼の誕生日なら知っている ひらいた。 「うん」 おれと一日ちがいの九月二十三日の天秤 「じゃあありがたく」 見ていてまぶしいくらいに彼は両親に愛座。おれはその前日の二十二日で乙女座、 「うん」 されていて、そのことをひやかされてもま一日の差で星座が分かれている 彼はべッドに手を伸ばして漫画本をつかるで屈託がない。愛されることに堂どうと これまでも彼との相性は気になって、雑・ もうとする。訊くならいまだ、という声がしていて、たぶんそれが人を惹きつける誌の占い記事を眺めたりしていた。しかし 頭の中でした。 し、おれもそこに惹かれているんだと思う。乙女座は土属性、天秤座は風属性の星座で 「あ、あのさ」 「生まれた時間なんてなんで知りたい」彼あり、現実てきで安定志向の「土」と自由 「うん は本に目を落としつついう を求める「風」は、ビジネスならば最高の 「おまえ自分の生まれた時間ってわかる ? 「ちょっとね」 相性だなんていわれるけど、恋愛ではよい 何時何分まで、正確に」 「ふうん」 相性だと書かれていることはあまりない 「朝六時ちょうど」 おい、あきらめがはやすぎねえかもう はっきりいえばよくない古い本だと 「あッあさろくじちょうど ? 」まさか即答ちょっと食いさがりやがれーーーと、内心文乱暴に「相性三十点 , なんて書いてあった されると思わなくて、反射てきに聞きかえ句をいう りして、テストでは見たこともないその数 した声は裏返っていた。 彼はおれにあまり関心がないらしいこ字にめまいがした。 と。いつもはそれがさびしくてむなしさに 荻原は笑って、「なんその声」 しかし占いとは、相性や未来を決定する 「いや、だって、知ってると思わんくて。おそわれるところだが、いまは彼の生まれものではない。相手と自分の性質を知っ 自分の生まれた時間」 時間という貴重な情報を獲得したので、そて、ふたりらしい唯一無二の関係を作って 「知らないと思いながら訊いたのか」 の興奮のほうがまさっている いくために参照する羅針盤ーーそんなふう 「あとで親に訊くか、母子手帳でも見とい おれはいつものように勉強するふりをしに活用していくものなのだ、と、これはど てもらお、つかと て、テープルに予備校のテキストなんかをこかの占い師の言葉の受け売りだけど。 290