そう 窓に横たわりてーーー」 かいをくりかえす不調和な家庭から自立しや、自分でも無自覚な部分を表す天体の おれが頼山陽の『天草洋に泊す』をそらて、愛する人と、おたがいを尊重しあうふ「月」と、究極の体験を意味する「冥王星」 んじるのを、無駄にガタイのいい教師は目たりだけの暮らしをつくりたい。 ートナーの が入っている。この配置は、。、 をとじて、つつとりと聴いていた。 おれの七ハウスは水瓶座で、天体は月と色にすっかり染まって相手と双子のように あんしよう 暗誦し終えると、教師はしみじみいう。冥王星が入っている。水瓶座七ハウスの解なってしまいがちなことや、相手の影響で 「兼古くんはさ : ・ 説の中に「常識やぶりな欲求をつきつけて人生が激変する傾向があることを意味して 「はあ」 も受け入れてくれる相手を望んでいる」と 「声がいいよね : いう記述があり、まさに自分のことだと思「荻原の色に染まるおれ : : : 荻原のせいで 教室にどっと笑いが起こる ってどきりとした。おれは荻原に、彼を独人生が激変しちゃうおれ : : : 」 「で、この詩に出てくる太白ってのは、な占したい強欲さや、会いたくなったら深夜枕に顔をうずめて、書いてある言葉にく んだろう」と、教師。 でも押しかけてしまう勝手さや、彼の友人ねくねとする。彼に愛される自分になりた 「金星ーと、おれ。 たちを見くだす傲慢さを備えた自分を、ま し彼とずっといっしょにいられる自分に なりたい。 るごと受けとめてほしいと思っているみた 「はい正解。ありがとう」 着席し、おれはふたたびニュ 1 スレター いなのだ。あまり性格がいいとはいえない わがままな自分をそっくり受け入れてほ に目を落とす。 自分でも彼のそばにいることを認められしいという欲求もあれば、彼のためならい て、安心したいという欲望がある くらでも変わりたいという望みもまた、あ 占い師によっていうこともさまざまで、るのだった。ホロスコープ内では、ある星 一日の終わりに、べッドの中で占星術サ水瓶座七ハウスの性質を「形式にこだわら座に天体が位置し、その反対の性質の星座 イトをチェックするのが楽しい ない結婚観ーとか「三角関係や不倫も平にも天体があるのは当たりまえだ。ひとり 片想いの葛藤まっただなかの身として気」とかいう人もいて、それらはピンとこの人間の中には矛盾する要素がたくさんあ は、気になるのは結婚運やパートナー運をなかった。三角関係なんてぜったいいやるということを明示されたようで、気が楽 しめす、七ハウス。遊びとしての恋愛運をだ。浮気なんかされようものなら相手を殺になる。 しめすのは五ハウスらしいんだが、恋愛がしておれも死ぬみたいな修羅場を演じそ、っそして荻原。彼の七ハウスは牡羊座で、 遊びだという感覚がおれにはない。 一日もな自分がいる 天体は海王星ひとつ。七ハウス牡羊座は、 はやく生活力を身につけ、理解不能ないさそして、この七ハウスには、おれの素顔新鮮で未知数の可能性を感じる関係をこの 296
じゃない」。 感を十代の頃からずっと持ち続けてきた気「縁が深いからって相性がいいとはかぎり 余談だが、最近、「好き避けという言がする。 ません」 だけど私生活までそうである必要はない 葉があることを知って衝撃を受けた。好き と笑顔で一蹴されて、縮こまる私であっ 、 ) 0 なら避けないよ ! 「嫌よ嫌よも好きのうのかもしれない、 とふいに気付いた ち」も嫌いな言葉である。嫌だって言って リ仕事はできる 先生の話は、ただ個性や未来「この人といると、 るんだよ ! を告げるだけではなく、もっと実用的な生代わりに、島本さんの心のガードがより堅 そんなふうにして、話はいっしか心の在き方指南に近かった。それを実践したら自くなってました。お互いに交換する感じじ り方へ。 分が気持ちよく生きられるだろうな、と想やなく、島本さんだけが一方的にあげてる 感じなのよね : : : 個人的には、あなたには 「今まで十のうち九は自分で決めていたこ像できるのも良かった。 自分のことをだいたい聞き終えると、やむしろ受けとることをやってほしいから、 とを、六くらいに抑えて相手と付き合って こういう人とは友達くらいでよかったんじ みましよう。そうすると、今まで分からなつばり人との関係が気になり始めた。 しかし堂々と かった面白さに気付いたりして、発見があ ゃないの、て思うけど」 りますよ。それによって自分自身もリラッ 「これからの恋愛ってどうでしよう ? 」 たしかにその人は全然こちらのペースに術 などと聞くのよ、、 クスできるの。なぜか分かる ? 」 ( しくら「小説のため、合わせてくれなかったので、いつも自分ば星 - 洋 「なぜでしよう」 と言い張っても限界があるので、後出しジかり疲れていたことを思い出した。 西 の 「決めるのが自分じゃなければ、自分の責ャンケンみたいで少々ずるいかとも思いっ さらに先生は次の相手を見る て め 任にはならないから。相手の責任になるかっ過去に付き合った何人かとの相性を見てと、うーんとうなった。 じ もらった。 ら」 「頭がいい人だから、島本さんがばーっと 言われてみれば、たしかにその通りであ 先生はじーっと一人目の数字出した感情を整理してくれる役割だったの 行 に見入っていたかと思うと ね。必要な相手だったんだろうけど : 生 の人も恋愛だったのかなあ」 とはいえ、これは他の作家さんも同じだ「この人とは縁が深いわね」 理 本 と思うが、自分の名前だけで仕事をしてい と言い出した。 先生は続けて言った。 島 ると、どんな経緯があろうと最終的にはすそんなにいい相手だったんですか、とび「相手の能力や助けを必要とするのはいい べて自分に返ってくる。思えば、その緊張っくりして聞き返したものの けど、むこうがその代わりに恋愛関係を求 る。
相手はようやく富田係長の携帯電話番号「相模原署も座間署も、決して協力的とはそばの官舎で、最寄りの駅は横浜線の 相模原だった。 言えないですね」 を言った。 「ありがとうございます。それと、捜査の「まあ、よそ者が自分のところの事案をほ家の外に何人かの記者の姿がある。課長 ほどではないが夜回りがいるのだ。 じくり回そうというんだ。面白くはないだ 記録を見せていただきたいのですが : 谷口がインタ 1 ホンのスイッチを押す 「そういうことは、捜査共助課とか警察庁ろう。それに、どこの所轄の連中も忙し 継続捜査なんかに、今抱えている事案と、その記者たちが注目した。インターホ を通して正式に申し入れてもらわないとい ンから男性の声で返事がある の捜査を邪魔されたくないんだろう」 「これがきっかけで、向こうの未解決事件「はい 「こちらの借りということでいいですよ 「警視庁の黒田と谷口です」 何かあったときには、あなたに無条件に協も解決できるかもしれないのに : 「こういう事件は解決しない。そう考えてその言葉に記者たちが反応する 力します インターホンからの声がこたえた。 いるんだ。時間も人手も限られているから 「何かあったらね : 「どうぞ、お入りくださいー 相手は間を取ってから言った。「わかりな」 ました。明日までに書類をそろえておきま黒田はそう言いながら、携帯電話を取り玄関に進もうとすると、記者が声をかけ 出した。まず、相模原署の富田係長に電話てきた。 す。ただし、持ち出しは厳禁ですよ」 「警視庁の方ですか ? 何かあったんです をするよ、つだ。 「わかっています , 短いやり取りがあり、黒田は電話を切っか」 谷口は電話を切ると座間署にかけた。 黒田は何もこたえずに玄関のドアを開け 同じようなやり取りがあり、こちらも当た。 た。谷口も無言だった。 時の事件のことを知っている刑事の連絡先「これから会ってくれるそうだ」 「え : : : 。神奈川県ですよね」 を教えてくれた。 一一人を出迎えたのは、髪をきちんと刈っ野 た、典型的な警察官の風貌をした男だった。 今は県警本部の刑事部刑事総務課にいる「それがどうした」 たかしまこうじ 「まあ、どうぞー 高島弘治という名の警部だった。 「もう、十時ですが : ・・ : 」 玄関を上がるとすぐに小さな応接セットカ 座間署にも事件の資料をそろえてくれる「刑事に時間なんて関係ないー ン があった。そこで記者への応対をするのだ それから二人はすぐに出かけた。 ように頼んだ。 ア ろう。課長以上になると、自宅にたいてい 電話を切ると結果を黒田に報告した。そ 富田係長が住んでいるのは、相模原署のこうした場所がある して、谷口は一言付け加えた。
いいそれで、明美 同じ美大の建築学科出身で、大手の設計女と一緒の方が居心地 「芝居のロジックと自意識のコントロール 事務所に所属し、ホールや教会などの設計も彼も結婚する気、満々だったけれど、結 ね」 局別れた。彼の方から別れたんだけど、原 仕事場である劇場の裏手で、女は笑いなをしていた男だという。 「十年じやきかない付き合いだったのに、因を作ったのは明美。たまたま事務所で手 から、つなすいた。 がけたシティホテルの一室で不備が見つか 「半田明美は確かにそういう意味では完璧あっさり振られたね。私が知らないうちに だったかな。どこの学校出ているのか本人半田明美と付き合っていた。彼女が悪いわって彼が出向いてみたら、その部屋に明美 がいたんだって。北海道に住んでいる資産 も話さないし、聞いたこともないけど、頭けじゃない。男と女なんてそういうものだ から。私は彼と相性が悪かったんだと思家の東京オフィスというか、住居が、その 良いっていうか、理解力は抜群だったよ。 隙間産業ってあるじゃない、彼女は隙間女う。友達としてはいいけど男と女にはなれホテルの一室でね、中野の木賃アパートに 優っていうか、重宝にすつほりはまる。座なかったんだ。二人とも、相手を理解するいるはすの明美がそこに住んでいた。明美 長みたいにそのあたりの資質とか才能を見より、自分を表現したいってヒトだったかがその場でどう取り繕ったか知らないけれ 極める人なら別だけど、普通なら覚えてなら。彼は建築家だけど、クライアントの希ど、彼は調べてしまったわけ。結果は二 んかいない。だいいち彼女には親しい友達望を叶えるより、自分の芸術のへんな建物股、なんてものではなかった。自称『女 を建てたがっている、そういう男。だから優』として、不動産屋の社長とか、大きな なんかいないんじゃないのー 冷めた口調で語った後に、女は笑いなが明美みたいな、どんな隙間にもつるっと収観光寺院の住職とか、三つ股、四つ股かけ いえ、彼以外は全員妻帯者だ まる、自分の心や感情じゃなくて、相手のられてた ? ら付け加えた。 ロジックの中でリアリティーを持つようなから、本命は彼だったんでしよう。ただし 「私 ? 覚えているよ。男取られたもの , - 画 幸久 第社文第 子 節 田 O ! O ! 面 。アリ「 1 タ 1 ズ山本幸久 背 8 の 離婚後、地元の弱小球団アリゲーターズで働きだしたシングルマザーの茜。 6 鏡 球団マスコットキャラの「中の人」として、個性的すきる選手たちと 本 解説 / 美奈川護 一緒に奔走し : : : 。愛と勇気のお仕事小説。
むとか、自己中心てきで相手からの影響を心の中に他人を入れるということをしない 彼の横にべしゃんとつぶれるように尻を あまり受けないとかという記述を見つけのかもしれない ? なんて可能性を考ついて、のろのろと靴を履き替えるおれ ートナーとの関係は、相手に合わせえて、すこしさびしくなった。 を、荻原は待っていてくれる。そしてい る感じではなくて、自分が満足できるかが 重要なのらしし 、。いつほ、つ、そこに位置す 「バイトだけど」 る海王星は、他人との境界線があいまい その日の荻原はなかなかノーマークにな 「えつ」 で、対人関係のバランスが常識を逸脱しやらず、放課ごに掃除当番を終えた彼を、校「うちで待っててもいいよ、俺が帰るのー すいという傾向があるらしい 舎の玄関でやっとっかまえることができ「ほんと」 おれから見た荻原は、相手につけこまれた。 「うちで勉強するとはかどるんだろ」 やすそうという印象がまずある。たとえ「荻原」 「は、はかどる」 ば、例の柔道の授業。悪友どもに道着を脱座って靴ひもを結ぶ彼が顔をあげる。 「じゃあそうしな」といって、荻原はおれ の頭をわさわさと撫でた。 がされたり押し倒されたりして、ロでは「おう」 「やめろよ , なんていうもののはっきり抵「あ、あのさ」 彼の留守のあいだ、部屋にいてもいし さっきまでの落ちこみはどこへやら。 抗せす、本気で拒否しているとは見えな このあと遊べる ? こんやは会える ? それが相手の悪ふざけをエスカレートと訊いて、このところ連続で断られてい全身が歓喜に浮足立って、どう答えたらい 、」 0 ヾ、 いかもわからず、歩きだした彼にふらふらま させ、はたから見ている身にはこのうえな ノイトが遅くなりそうだからとか、い 舟 くいらいらさせられる。しかしおれだっ つもの連中と麻雀するからとか、女子たちとついていくおれ。 雪 以前にも、彼がバイトだと知らすに家に て、ノーといわないその優しさにつけこんと買物に行くからとか で、毎晩のように彼の時間を奪っているか きよう断られたらつらすぎる。そのおそ行って、べべさんが彼の部屋で待たせてく群 もしれないのだった。 れからか、彼にかける声も小さくて、自信れたことがあった。「もし兼古が来たら部流 ゅ 海王星はすぶずぶな対人関係になりがちのなさがおもてに出てしまうのを自分では屋にあげていいよ」と彼が家族にいってい ゅ たらしいのだけど、こうして面と向かって だけど、七ハウス牡羊座とい、つことは、そど、つしよ、つもできなかった。 ゅ れでいてあまり相手から影響を受けていな「荻原きよう、これから」 いわれるとー・ー荻原、やつばりおれはおま いということなのかもしれない。だれもか「バイト」 えの特別なの ? やつばりおれはほかの連 れもを受け入れているようで、ほんとうに 「そ、つか : : : 」 中とはちがうんだよな ? と舞いあがる気 297
いか、明らかに頻度は減った。 。「顔色悪いよ、大丈夫 ? , とか「休ん沙月が給湯室に来る可能性は低くはないの 荷物を持っていれば、必ず誰かが手を貸でいたら ? 」というような言葉に甘えさせに。 してくれたし、困ったような視線を巡らせてもらっていた。無理をしてこじらせるよ来年はどうなるのだろう、とふと不安が ば絶対誰かが気が付いて、すぐに助けてもりはマシではないかと思ったし、楽できる頭を持ち上げた。今より若くなることは絶 らえた。今だって、助けてもらえない訳でときには楽しておいた方がいい 対にない。この先、いったい、どうすれ はない。ただし、こちらから声をかけれけれども、先日、聞いてしまった。いわば。 ゆる給湯室の会話。 雑誌の占いじゃなくて、ちゃんと対面の 三十二歳になった。 「身体が弱い、とか言われてもねえ」 占い師に相談するのはどうだろう、と思い 全く冗談じゃない。職場の女性たち、沙 「だって、しよっちゅう旅行行ったり、飲ついた。真由子は結婚を決める前に占いで 月から見るとそんなにスペックが高くもなみ歩いたりしてるのに」 みてもらったという。「ものすごくよく当 い子たちが安々と相手を見つけ、当然の権「遊びの時だけ元気なのよね」 たる」し「話しているだけで元気のでる」 わがまま 利のように相手に我儘を言い、こき使い、 「そんなに仕事したくなければ、寿退社で評判の占い師がいるらしい。だが、沙月は 揚句に結婚までこぎつける。愚痴に見せかもすればいいじゃない。いるんでしよ、い 真由子にその占い師の名を尋ねることはで のろけ けた惚気にうつかり厭な顔をしようものなくらでも相手は」 きなかった。プライドが許さないインタ ら、嫉妬してる、などと言われるので、愛「どうかなあ。やはり昔のようにはいか ーネットで検索して、見つけたのは自分の 想よく応じる。来年は二つ年下の従妹の真いんじゃないの、そろそろ」 住む町はずれに期間限定で店を出している 由子が結婚するという。幼い頃から沙月と主語はないけど、誰のことを話している占い師。廃墟になっている遊園地の一角で 比べられては小さくなっていたあの子に先のかは分かる。共感しあうくすくすとした開催されている、という点にも心惹かれ を越されるなんて。本当に冗談じゃない。 リき返した。お茶を淹れるた。 笑い声を背に、ー 沙月は大病をしたことはないが、スタミのを諦め、自販機でペットボトルのミルク ナがないのだ、と自分で思う。すぐ疲れティ 1 を買う。ぬるいし、甘すぎる。いく 「本当にここでいいのかな」 っふや る。すぐ休憩してお茶など飲みたくなる。 ら声を潜めているからとはいえ、同じ空間 沙月は呟いた。全く人の気配がない。賑 集中力があまり続かない。旅行に行った後で働いている相手の悪口をこんなところでわっているかと思っていた。沙月は行列が などは、一週間くらいは本調子にならな言い合えるという頭の悪さに腹が立った。嫌いだ。この寒い中、並んでいたらどうし にぎ 306
16 年秋から風は追い風に転じました。も界デビューを果たすデビュタントのような 年始めの一冊はこれ ! ポジションにあるのです。 う、孤軍奮闘の日々ではありません 編集部おすすめブックガイド ートナ ターニングボイントは全力で「脱皮 , す相手と自分、一対一の良質なパ これから、どんどんバージョンアップし ーシップを築いていく時。夫婦や恋人、 ている牡羊座のあなたと手を組みたい、応ると拍手をもって迎えられる 2 月末 53 月 ソウルメイト。理想的な関係性を築く 援したいという人たちが次々に握手を求め初旬、仕事面で挑む 3 月末と、ダメ押しの ためのヒントが詰まった一冊をぜひ ! 8 月上旬。スリルと冒険が楽しい 8 月下旬 てきますよ 59 月初旬。ニュー 2017 年の川月上旬までは、温かく、 ージョンの自分が板・ ナ ナ作庫刊 時に熱い愛が押し寄せてくる人生の再スにつく 9 月下旬。 ミ周文円 タート期仕事もプライベートも、あ愛情面は 2 月 54 月初旬、 4 月末 56 月 情遠英貶 本 なたのためにならないパ ートナ初旬はずー 0 とバラ色。こんなに愛をぎ シップは消え去り、あなたとに恵まれる時期はそうそうあ 本当の愛とは ? 相手が共に喜び、繁栄していけりませんモテ過ぎて、あちこちに 恋人や夫婦間で生じる問題の数々。古今東 るつなかりだけか残りますーー、恋愛を散らかさないようにご注意を。この 西の文学をヒントに、狐狸庵先生が厳しく そ春は実ったり、誓ったり、別れたり、乗り もちろん、新たに始まる関係性も もユーモラスに指南してくれるエッセイ集。 ち の相手があなたを世界に「お披露目」して換えたりと、かなり忙しいかもしれませ ス た 大塚玲子 タ税 し方イ くれる可能性もあり、あらゆる面で「人」んー わ子デ 。オトナ婚です、 、つ玲虹 0 一方、川月中旬以降は流れが変わり、じ がキ 1 ワードになるでしよう。さあ、出会 すの 4 ↑ 0 占 色わたしたち で色塚郎 5 婚 + 大 いに行きましよう。あなたを待っている人っくり腰をすえて、特定のテーマや関係に 星 ト十郎本 コミットしていくタームになります。秋は をこれ以上、待たせてはいけません。 の なお、注意点は自分らしさを打ち出しつぶつかり合いながら絆を深めていく時で、 〈理想の関係〉は人それそれ 月 5 月は勉強や研究、執筆などが佳半同居婚や同性婚。形にこだわらす、自分 < つも、相手を不快にさせないたⅡ 達にとって居心地のよい生き方を選んだ川 めの最低限のマナ 1 と気遣いは境。「目標」地点まであと一歩 ! 時間が 組のクつがいツを取材したルポ。 亡 5 れないことあなたはいま、社交たつのを忘れて没頭できそうです。 ま第ま・社ー第イタス
要な人ですー よ。ゆるめていい。相手が精神的に助けて これには心当たりがあり、じつは二十代 ちなみにその違和感に関しても、占いのくれようとするのに受け入れないことがあ 半ばのときに違う占い師にも 後半で言い当てられてびつくりすることに りますね。それをやめて、もっと相手に耳 「島本さんは、一人で自立して生きるとか なるわけだが : を傾けるといいですよ は考えないほうがいいです。特にそれでい ここで先生の話題は仕事へとああ、それ苦手なやつだなあ : : : 自分で いことはないから。むしろパートナー選び移り、こんなことを訊かれた。 なんでもやらなきやと気張って、日々、夫 がすごく大事ー 「書いて世に出すことが、島本さんの一つに不思議そうな顔をされてるな、と振り返 と言われたことがあった。 のコミュニケーションなんですね。だからる。 恋愛にばかり依存していると精神的に自書く仕事がいいんです。ところで法廷物と たしかに私は、相手からなにかしてもら 立できないかもしれない、一人で生きられか興味ある ? 、つと「申し訳ない」という気持ちが強く働 るようになったほうがいいのだろうか当「あ、今ちょうど連載を始めたばかりでく。 絶対に返さなければいけない と思 時悩んでいた自分にとって、そんなこと考す」 ってしま、つからだ。 えなくていい、という言葉は衝撃だった。 「向いてますよ。弁護士なんかが出てきて だから個人的にすごく苦手なのは、意を 以前、『夜オンナ』というサイト言葉でやりあったり。人間の汚い部分なん決して物でも仕事でも好意でも「いりませ しし、刀、も のお悩み相談コーナーで、回答者の雨宮まかを徹底的に書くのも、 ん」「やりませんーと告げたのに みさんが ちなみに先生は先入観を持た「それでも : ・ ・ : もし良かったら 「私は男か自立かの二者択一になってるのないよう、占う前に私のことを調べたりグ と気を使っているように見せつつ無理強 がなんか変だなと思うんですよね。別に並グったりはしていないそうである。不思議いする人である 行してても良くない ? 」 なこともあるなあ、と驚いた。 あれがやりたい、あれが欲しい、といっ と答えていて、はっとしたことがある 「過去になにか、自分しか頼りにならない た欲望は強いので、本当に欲しいものに対 二十代の頃の「どっちか選ばなきや ! 」状況を経験しているでしよう。だから安全して遠慮で「いらない」と言ったりするこ や「あれもこれも手に入れなきや ! 」とい な環境をキープするという意識が強いんでとはまずない。好きなもの以外はどうでも った思い込みは原動力でもあったが、同時す。でも、今はもう自分で自分を守れるか いいので、寛容だと誤解されることもある に生きづらさや違和感を抱くことも多かつら、そこまで必死にならなくていいですけれど、どうでもいいものは明確に「好き 254
銭が翌月には十五匁六分に上がったりすうしているのだが、さすがに節季の今日る。六助は、ここに来ると、埋葬された数 る。この差が数十貫文の取引になると馬鹿は、父がまだ帰宅していない。父の線香が百、いや数千人の生涯が凝縮されたような にならない。 立っていないと、わいが先や、と気分がい重厚な空間に惹き込まれてしまう。 その佛光寺廟に、母の墓がある。六助 さらに金相場がある。金一両につき、銀 何匁何分と相場が立った。これには江戸の父に先を越された晩は何か落着かなかつは、命日には必す墓参した。母の霊が常に くんえん 銀相場が影響するから、取引の判断が微妙た。別段競い合っているわけではないのだそこに居て、線香の薫煙から、記憶に少し 残っている丸顔が浮き出てくるような気が となる。 カ妙に気に掛かった。 父からは「銭だけでのうて、塩、米、繰昨日などは、合掌している最中に帰宅しした。 り綿、酒、油、それに長崎の唐物商いの相た父から声を掛けられた。母と二人きりの母は桜の咲くころ、他界した。いっぞ 場にも目えつけや」と教わった。元手の額時間に割り込まれたようで不快だったのや、六助が、酔いにまかせて手折った桜の が多ければ、相場の変動が小さくても、そで、無視して合掌を続けた。振り向くと、枝を供えていたら、墓石にひどく額をぶつ しかつら けた。思いなしか、線香の火付きも悪、 顰め面の父と視線が合った。 れなりに儲かる。銀が銀を生むのだ。 タンコプのできたおでこを濡れ手拭で冷 ありゃあ、血いつながった子、見る目で 実際には、銭店の商いは父がしているの せつかん で、相場にかける元手は六助の小遣い程度はない。毛の抜けた捨て猫かなんぞ見る目やしながら、眉間に皺を寄せた母に、折檻 されたと思った。 の少額である。だから、儲けてもたかが知っきや お滝と出会ったのも、母の命日だった。 れている。しかし、元手が少ない場合に 六助は、父の笑顔を見たことがなかっ いつものように母の好きだった大仏餅を た。商い相手には愛想がよかったが、口元 も、運が良ければ、小遣い銭とは言えない 額が儲かることもあった。損するにしろ得は笑っているように見えても、父の眼つき手向け、墓の前で握り飯を頬張る。と、墓隆 するにしろ、頭に血が逆流してくるようなは厳しかった。息子の自分には冷酷な性格石の裏から蚊の鳴くような声がした。 中 「六助はんー が顔に出てしまうのだろうと、六助は思っ 快感が心地よかった。 一瞬母の霊か、と度胆を抜かれて、口一母 この日も、五つごろから水茶屋に出かていた。 杯に詰まった飯粒を吹出しながら、「誰や」て け、あれこれ相場の皮算用をして、店に戻 捨 知恩院を北に抜けて、三条通りを東に向と怒鳴るのが精一杯。 子 った。そして、また帳場で銭勘定。 あわたぐちぶつこうじびよう 日が暮れて店を閉めると、六助は、仏間かうと、粟田口の佛光寺廟に出る。付近の「滝どす。竹笠屋の」 の母の位牌に線香を手向けた。いつも、そ雑踏が嘘のような、森閑とした墓所が広が六助の狼狽が意外だ 0 たのか、姿を現し ふん からもの ろうばい
た。でも恨めしく思ったのは、そんな男に夜を、眠って過ごしてしまうのがもったい 「なあに、それ ? 本気になった自分の愚かしさだ。だから舞ない気がして。でもこのままでは、明日の舞子がくすくすと笑いながら、先を促し 子に捨てられた男たちが、わたしのもとへ仕事は辛いことになりそうだった。 てきた。見えはしないけれど、彼女がどん と許しを乞、ってきたことがあっても、もう 六畳の寝室には大き過ぎるダブルべツな顔をしているかはわかっていた。いっか 相手にする気も起きなかった。所詮はそのド。結婚していた頃に住んでいた部屋のものように興味深そうに目を輝かせて、大き 程度の男でしかないと、彼女が教えてくれのは、ほとんどそのまま道彦にあげてしまな瞳の中で何かを揺らして。 たのだ。そんな男にあなたは渡さない、 ったが、 唯一これだけは引き取ってきた。「えっと : 、わたしと同じ課の、八歳下 と。そんな彼女のわたしに対する執着を、わたしの匂いが色濃く残っているものは、の子なんだけどね。とても真面目で優秀だ いとおしくさえ思った。 きっと舞子も使いたくなかっただろうか けど、ちょっと融通の利かないところがあ 次第にわたしは男を作るたび、彼女が奪ら。 って、最初はよくぶつかってたりもしてた いにやって来るのを心待ちにするようにも「ねえ : ・ : ・君香 の。だから向こうもわたしのことがずっと なっていった。今度はどんな風にわたしか闇の中で、背中合わせのままで、舞子が気に入らなかったみたいなんだけど、この ら奪ってゆくのか、どんな手管で男たちのわたしを呼んだ。 間彼の出した企画をあと押しして通してあ 無様さをさらけ出してくれるのかと、いつ「あなたはもう、結婚しないの ? げたことがあって」 の間にか楽しんでさえいた。そうやって彼「さあ、どうかしらね : : : するかもしれな 一緒に遅くまで残業して細部を詰めて、 女がわたしを独り占めにしようとするのいし、しないかもしれない 全部彼の名前で上に提出した。別に恩を着 を。彼女の純粋で剥き出しの欲望を。わた しごく曖昧な物言いなのはわかっているせようと思ったわけではない。 一応わたし人 しは、いっそ美しいと感じていたのだ。 が、こればかりはそうとしか答えられなかは課長なのだから、部下の手柄は自動的に村 った。さすがにもうすぐ四十ともなれば、わたしの実績にもなる。わざわざ自分の名 相手も限られてくるし。 前を入れる必要がなかっただけだ。けれど 「しようかな、って考える相手もいない ? 彼は、それを何か違う形に受け取ったようら 深夜を過ぎても、舞子は寝付けないよう わたしは少しだけ迷って、それから打ちだった。 だった。暗闇の中でも、それは気配でわか明けた。 「そのことをずいぶんと感謝されちゃって る。それをわかっているわたしも、同じよ「実は会社の後輩くんがね、ちょっとわたね、それ以来 : : : わたしを見る目が、なん うに眠りに就けずにいた。このまま最後のしのことを気にしてるみたい だかね ,