宇宙線 - みる会図書館


検索対象: 本当は怖いだけじゃない放射線の話
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1. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

それぞれの半減期をもとに減っていったと考えられる。つまり、太古の昔ほど自然放射線 の量が多く、時代を経るにしたがってその量が減り、いまでは以前に比べると相当に少な くなっていると考えられる。 もちろん、放射性物質は減るばかりでなく、宇宙からの放射線などの働きによって新生 してもいるから、一方的に減少しているとはいえない。しかし、総合的に見た場合には、 私たちのである原始生命のほうが、ずっと強い放射線を浴びていたこと。日 太陽の恵みには放射線もある 字宙全体が放射線で満ちあふれているという事実は、もしかしたら地球までやってくる 放射線も大変な量になるのではないか、との興味にもつながってくる。 実際、字宙からは太陽や星の光と同様に、さまざまなものがやってくる。なかでも代表 的なのが宇宙船ならぬ宇宙線で、この正体は宇宙空間からやってきたり太陽から放射され たりする各種の放射線である。 銀河系や太陽から光速に近い速度で飛んでくる放射線は、じつにさまざまな素顔をもっ

2. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

「高エネルギー粒子ーだ。水素の原子核 ( つま陽子やヘリウムの原子核であり、窒素や 酸素の原子核そして鉄の原子核も珍しくない。さらに、太陽が発している光線は電磁波の 一種だが、 その他の電磁波であるガンマ線やエ・・ヅ・・久・ 'k ・纏し旛躰、の一種であることを思い 出してほしい。 これらの放射線の大半は、地球を取り巻いている磁場につかまってしまう。それを乗り 越えて大気にまで達する放射線としては、陽子が九〇パーセントを占め、残りがヘリウム 比やその他の原子核となっている。 進 この大気突入型の放射線を一次宇宙線と呼ぶのだが、宇宙線にはもう一種類、二次宇宙 で の線と呼ばれる種類がある。一次字宙線が地球の大気にぶつかって、大気をつくっている窒 素や酸素などの原子核と反応を起こす、というより原子核を壊すといったほうがわかりや 射すい。その結果 1 新・たな放繕た気叫」叫恥ダ。さらに、その放射線が別の原子核と : といった複雑な現象が起きる。これら、 衝突することで、また新しい放射線をつくり : 命 生 一次放射線によって大気中でつくられる宇宙線が二次宇宙線だ。 章 こうした現象によって一次・二次の宇宙線は膨大な量となり、地表に降ってくる字宙線 第 の粒子は、一平方メートルあたり分間に一万個近くになるしう。これだけの放射線が こ

3. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

宇宙飛行士はダメージを受けないか アメリカのスペースシャトルに乗って一週間の宇宙旅行をしたとすると、その字宙飛行 士は、多いときには地上で受ける線量の約二年分にあたる自然放射線を受ける。 太陽からの放射線にしても、宇宙からの放射線にしても、大気にさえぎられる前にスペ ースシャトルに到達する。そして、地球磁場によってつくられているバン・アレン帯から の放射線も浴びることになる。 数字でいえば、地上で生活している私たちが受ける自然放射線の量は、 ' 一年間に平均で するが、一週間に〉冫ひる量として換算すると、およそ〇・〇四 5 〇・〇五ミリシーベルト ど・なる。スペースシャトルでは、一週間の滞在で〇・五 5 五ミリシーベルトだから十 5 百 ときには二ケタ多い量の自然放射線を浴びていることになる。 倍近い、 だからといって、これまでのシャトル搭乗飛行士に具体的な害が見られた、という報告 はない。もちろん宇宙に滞在しっ放しとなれば、問題が起きる可能性があるかもしれない

4. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

字宙線に関係する放射線だ。 地球の上空には、字宙空間から飛んでくる高速粒子や太陽から飛んでくる粒子など、さ まざまな宇宙線が降ってきている。宇宙線によっては、地球の大気を突き抜けて、放射線 として地表にまでやってくる。だがん半・の煢既に・ k 気の成分との衝突を繰り返して、新 たな放射線を生み出しながら消えていく。 このような現象によって、上空で生まれたさまざまな放射線が、地上めがけて飛んでき ている。その量は上空のほうが多く、地表に近くなるほど大気との衝突でエネルギーを失 うため少なくなる。 このため宇宙線の量は、高度が一千五百メートル上がるたびに約二倍になる。、高い山に おいても同じ現象が見られるのだが、ジェット旅客機の飛行高度は一万メートルから一万 数千メートルと、世界一高いエベレストより高度が高い。その分だけ、乗客は放射線を多 く浴びるわけだ。 といっても、被曝している時間といえる旅行時間は多くても十数時間だから、年間の被 曝量としては問題になるような量では、まったくない。 こうして私たちは、日常生活のなかでさまざまな放射線を浴びている。いや、さらに正

5. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

ま、んカき 3 第 1 章放射線は「異常で怖いーものか 身体から放射線が出ている ? カリウムで肥満度がわかる 雨の銀座はなぜか放射線が強い 放射線量が多いのにガン死亡率が低い ラドン温泉は保養地で有名 ジェット旅客機は宇宙線のなかを飛ぶ 放射線の利用価値 【コラム】「放射線」という単語の意味 第 2 章生命は放射線の海の中で進化した引 地球はなぜ温かいか 自然放射線のルーツは宇宙の生成

6. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

自然放射線のルーツは宇宙の生成 地球のなかに放射線を出す物質、つまり放射性元素が大量に含まれているということは、 地球がつくられたときから含まれていたことを意味する。 つまり、地球が誕生した四十六億年前には、すでに放射性物質は宇宙空間にあったこと しになる。それどころか、字宙が誕生した百五十億年前の「ビッグバンーとほば同時に、放 嗹射線も放射性物質も誕生していた。というより、ビッグバンからしばらくのあいだ ( とい のっても数十万年 ) は、放射線が支配する世界だったと表現したほうが正しい。 その名のとおり、超大型の爆発によって字宙空間が生まれ、拡大を開始したのがビッグ 射 ハン。この頃の宇宙は超高温で超高圧の世界で、いま分子や原子と呼ばれているような存 放 いってみれば 在は、まったく見られなかった。エネルギーが放射されているだけだから、 命 生 放射線が中心的な存在であったわけだ。 章 1 間もなく、すべての物質の基本をなす粒子である素粒子が生まれる。その素粒子が融合 第 してさまざまな粒子が形づくられ、プラス電気をもっ粒子である陽子が生まれ、また電気

7. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

放射線との出会いは偶然から この字宙の始まりのようすを、アメリカの物理学者ジョージ・ガモフは、次のように説 明した。 「宇宙は百億年前、ビッグバン、すなわち超高温、超高密度の火の玉のような状態から始 まった。その火の玉のなかでは、物質は素粒子の状態で存在しており、宇宙が膨張するに したがい、温度、密度が低くなり、陽子や中性子が融合し原子核ができあがる。さらに温 度が下がると原子ができ、その後、物質どうしがおたがいの重力によって集まり、銀河に なった」 字宙の始まりのシーンとして、宇宙空間を素粒子や陽子、中性子、エックス線が飛び回 っている姿を想像することができるではないか。 これでもわかるように、放射線は宇宙が始まると同時に生まれたもので、人類が誕生す るよりずっと以前から存在していた。しかしながら、人類がその存在に気づいたのは、十 九世紀末まで時代を下る必要があった。一八九五年末、ドイツのヴュルップルク大学の物 126

8. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

温泉地によっては、湯につかるだけでなく温泉水を飲むことを勧めるところもある。こ の場合も三効果があるのだろうが、放射線にかぎっていえば、外からの自然放射線を浴び るだけでなく、身体のなかからの放射線を浴びる、体内被曝が健康によいというわけか。 もちろん、こうした結果として、放射線による健康への悪影響や放射線の害があったと いった報告は過去にない。 それどころか、健康を持続させるためのホルモンなどがラドンによって増加する、とい かう報告がある。三朝温泉近くの鉱泉水に含まれるラドンをウサギに吸入させた実験研究に も よると、糖分の代謝にかかわるインシュリン、鎮痛効果のあるメチオニンエンケファリン、 訊爽快感をもたらすべータエンドルフィン、積極行動のもとになる体内物質アドレナリンな 常どの分泌が増える現象が明らかになっている。 ジェット旅客機は宇宙線のなかを飛ぶ 放 章 もうひとつ、誰でも経験するようになった放射線量の多い場所は、ジェット旅客機で飛 第 ぶ高空がそれ。こちらの放射線は地面からのものでなく、おもに宇宙空間からやってくる

9. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

私たちの身体を通り抜け、ときには地球をも通り抜けて飛んでいく。 地球上のすべての生物は、こうした環境のなかで長い時間にわたる進化を繰り返してき たことになる。太陽は私たちに生命のエネルギーを与えつづけてくれているが、総エネル ギーのなかにはこうした放射線エネルギ 1 も含まれている、ともいえるだろう。 オーロラは何を示しているか ところで、地表に降ってくる放射線の一億倍以上にもあたる放射線の帯が、地球を包み 込んでいるのを知っているだろうか。 「バン・アレン帯とも「放射線帯ーとも呼ばれる一帯がそれで、高度一千 5 六万キロメ ートルのあたりに存在する。おもに陽子と電子が群をなして地球を南北に取り巻いている。 このバン・アレン帯がつくられるくわしい原因はわかっていないが、おもに太陽からや ってくる粒子が地球の磁場にとらえられたものと考えられている。 オーロラも、こうした宇宙線の作用によって形づくられる。宇宙から飛んでくる陽子や 電子の群れが、超高層にある大気の粒子と衝突して、子や原子にエネルギ 1 を与える励

10. 本当は怖いだけじゃない放射線の話

第 1 章放射線は「異常で怖い」ものか 私たちが 1 年間に受ける自然放射線の量 、線 1 人当たりの年間世界平均 宇宙線から。ー 部 外内 自然放射線 による年間 線量 24 ミリ シーベルト 0 部 大地から 0.5 ミリ ンベルト 里 線 気中のラド、 などの吸入か 1.2 ミリシー ベルト 食物などから 0.3 ミリシー ベルト ( 国連科学委員会報告による ) リシーベルトは 1000 分の 1 シーベルト。 したもので、くわしくは第 4 章および第 5 章のコラムを参照。 1 ミ * 単位のシーベルトは、放射線が人に与える影響の程度を数値化