気はどうやって 測定するのか ~ 身体を使って測定 ~ 気の本質やその性格を調べるために必要なのは、気の存在を確認 することである。そこで必要となるのが気を測定する装置である。 でんじは たとえば電磁波の強さを測定するためには、アンテナで電磁波を 受信して測定器を使って測定する必要がある。同様に気を測定する 場合も気をとらえてそれを測定する測定器が必要になるが、残念な がら現在までに数値で気を表すことができる測定器は開発されてい ない。それではどのようにして測定するのであろうか。 気を世界ではじめて測定したのは、 1977 年の中国においてであ りんこうしよう る。気功師として有名な林厚省という医師が手のひらの老宮とい うッポ ( 124 ページ参照 ) から患者に向けて気を放出した。それを 電磁波を専門とする科学者が測定したところ、林厚省医師の手のひ せきがいせん らから赤外線 ( 58 ページ参照 ) が観測されたのである。この実験の 後に、気の測定や実験が盛んに行なわれるようになったのである。 現在でも、気の測定は人の身体を測定器として行なうことが多い。 しんばく ひけんしや 実際の測定では、被験者となる人に気を送り、その人の体温や心拍 数、呼吸などの変化を見て気の存在や強弱を見る。人体に気を与え ると、体内の電気伝導率が変化する。さらに心拍数が増加し、これ に伴い体温も上昇する。この変化量を測定すれば、人体に与えられ た気の強さを知ることができる。 しかし、この方法では被験者の体調や心理状態が必ずしも一定で あると言えないため、被験者により差が生じてしまう恐れがある。 常に正確な測定を行なうことか難しいのである。そこで注目された のが人体に 60 パーセント以上も含まれている水の存在である。 イ 2 「気」とは何か ろうきゅう
より安定した測定法 人を測定器として使うと、さまざまな要素に邪魔される可能性がある。 ひけんしゃ 被験者 6 気功師 ・体調がすぐれない ・被験者との相性が よくない ・うまく気を発するこ とができるか不安 ・体調がすぐれない ・熱がある ・心配事があり、気分が さえない この点を考慮し、水を使った実験が行なわれるようになった。 じようりうすい 38 ~ 40 度の温度を保った蒸留水に気を加え、水の電気抵抗率の変化 を見る。 45
気を受ける人は 発する人に同調する ~ 測定結果は一定ではないが ~ 気を受けることによって、血液循環の勢いや、脈拍、皮膚温度な どに変化が生じることが実験によって明らかになった。 じりつしんけい 前述したように、これらは自律神経の働きによるもので、自らの 意思によって制御できるものではない。気を発する気功師は、特別 な能力を持ち、あるいは訓練によって自律神経のコントロールを可 能にしていると言える。しかし、気の受け手は、特別な訓練を行な ったことはないし、自律神経をコントロールしようという意識も持 っていなかった。 このことからも、気功師の発する気の影響によって、気の受け手 の身体に変化が生じたと言うことができる。 実際、気の受け手の血液循環の流れや脈拍などは、気功師の数値 とほば同調、あるいは追随するように変化しているのである。図を 見てもらえばわかるように、気功師の変化と気の受け手の変化のパ ターンは、かなり似ていると言える。 ただし、すべての測定結果がこのように表れているわけではない。 それは、前述したように、気を発したときの身体の変化は気功師に しんばくすう よってさまざまで、気を発したときに心拍数が下がる人もいれば上 がる人もいることが関係していると言える。さらに、気を発する気 功師も、気の受け手も人間であり、次の項目で説明するような緊張 や、その他の環境の影響なども関係しているだろう。このように 気を発すること、受けることによって身体に変化が生じるのは明ら かだが、測定結果から、どのようなことが解釈されるのかは、これ からの研究にかかっていると言える。 88 3 気は人体にどう影響するのか つし、ずし、
測定器で気を測る ことはできるのか ~ 水を使って測定 ~ 一般論からすると、精神的なエネルギーより物質的なエネルギー つうかくしよっかく のほうが測定しやすい。これは感情や心境、痛覚や触覚などの人 によって感じ方や関わり方が異なるものを測定することより、数値 で示すことが容易な物質の「量」を測定することのほうがより現実 的であるためだ。つまり、気のエネルギーか物質的なものであり、 そのエネルギーがどのようなものであるのかを突き止めれは、その 測定は可能になると言える。 実際には、気の性格 ( 性質 ) がすべて解明されてはいないため、 完全に測定できるというレベルにはいたっていない。このため、代 替となる測定法を使うことが多い。 最近の研究で使われている測定法は、 38 ~ 40 度に温度を保った 蒸留水に気を加え、その電気抵抗率の変化を見ようとするものが ある。これならば、気を与えたことによる変化を数値で見ることが できるのである。 38 ~ 40 度の蒸留水を使うのは、これが比較的人 体に近いものであるためである。人を使った実験では、その人の体 ひけん 調や心理状態によって実験テータに変化が表れてしまう。特に被験 者に「気というものは存在しない」「手品のようにトリックがある に違いない」などの先入観がある場合は、どんなに能力が高い気功 師が実験に参加しても、思うような実験ができないのである。 これらの実験は、気のエネルギーの強さを測定することはできて も、測定する気のエネルギーの性質を細かく知ることはできない。 これは、研究途上であり未知の部分が多い物質的な気のエネルギー を、正確に測定することの難しさを示したものと言えよう。 44 「気」とは何か じようりゆうすい
気を測定する装置 装置が必要。 うに、気をとらえることのできる 電波を受信するアンテナのよ 43 な測定方法とは言えない。 しかし、この方法は被験者の状態により、誤差が生じることもあり、正確 ィーなどで検出する。 気功師が被験者に気を送り、被験者の体表温度の変化をサーモグラフ サーモグラフィー 被験者 ひけんしゃ 気功師 方法がとられている。 現在、そのような装置は完成されていないため、人間を使って測定する
物質に近い気による影響 目に見える現象を起こす一 気の研究は行なわれているのか いろいろな方面で研究が進む一 気はどうやって測定するのか 身体を使って測定ー 測定器で気を測ることはできるのか 〇コラム気を使うとスーバーマンになれるのか ー 38 水を使って測定ー ー 46 Chapter 2 ) 気は電磁波の一種 ? 電磁波とは何か 電磁波と気の関係ー 電磁波は人体に影響を与えるのか 電磁波のメリットとテメリットー 人体以外にどのような影響を与えるのか さまさまなトラブルも発生する一 電磁波はすべて危険なものなのか ? 使い方次第で有益にも危険にもなる一 電磁波解明のために行なわれた研究 徐々に進められた実験ー 赤外線とは何か ? 本来は目に見えないもの一 遠赤外線はものを暖めるものなのか ? さまさまな効用を持つ一 紫外線とは何か ? テメリットのイメージが強いが・ 太陽からも電磁波が放出されている もっとも強い電磁波を出す一 電磁波と気には共通点がある 本質の解明には時間がかかる ? ー 気や電磁波は周辺環境の影響を受ける ーー 48 ー 52 54 ー 56 ーー 58 ーー 62 64 ー 66
8 0 っ乙 4 ′ 0 7 フ / 7 気が有効利用されはしめている一 回転して伝播する性質 「円偏波」の電波とは一 気を集めるアンテナ 円偏波との類似点から考えると一 ◎コラム気はどのくらい遠くまで伝わるのか Chapter 3 ) 気は人体にどう影響するのか 気があるからこそ人は生きている 気の強さ、質は人によって異なる 気の性質は後天的な要素の影響が大きい 気は感じることができる カリスマは感しとりやすい力強い気を発する一 気を発すると体表の温度が変化する 気功師が気を発するときの身体の変化ー 気を発すると表皮が振動する 振動の周波数 8 ヘルツの謎ー 気を受けたときの身体の変化 血液循環や脈拍の変化ー 気を受ける人は発する人に同調する 測定結果は一定ではないが一 緊張すると気に変化が表れる 交感神経が優位になる一 病気と気にはどのような関係があるのか 病気になるとマイナスの気を発しやすい一 強い気を発するにはどうすればいいのか リラックス状態になること一 気をコントロールすることの副作用 間違った使い方をすると危険ー ◎コラム気を集めることは可能なのか ー 76 気の影響 2 4 6 8 8 8 ーー 88 ー 92 ー 94 ーー 96 ー 98
, - , - ー脳波とは何か ~ 気の発生に関係する脳波は ~ 脳波とは、脳の働きに伴い絶えず流れている電気 ( 脳電流 ) であ り、これにより、脳の状態を知ることができる。 正常な脳波の電圧は 1 ~ 1 00 マイクロポルト ( 1 マイクロポル ト = 100 万分の 1 ポルト ) で、平均は 50 マイクロポルト以下という しゅうはすうしんぶく わずかなものであるが、意識の状態によって、周波数、振幅 ( 電圧 ) 、 そして波の形が異なる。これらを測定することで、被測定者がどの ような意識状態にあるのかを判別することができるのである。 脳波は、周波数と振幅により、べータ ( の波、アルファ ) 波、シータ ( の波、デルタ ( め波の 4 つに分類できる。 かくせい べータ波は、覚醒状態 ( 目が覚めて意識がはっきりしている状態 ) や気が散って緊張やストレスを感じている状態、そして心配事があ るようなときに現れる脳波で、周波数が 13 ~ 40 ヘルツである。 べータ波の状態にあるとき、目を閉じて落ち着くと、アルファ波 が優勢になるとされる。このアルファ波は、心身ともにリラックス している状態のときや意識が集中しているときに現れる脳波で、周 波数が 8 ~ 13 ヘルツである。一般に、アルファ波はリラックスの脳 波だと言われている。 シータ波は、周波数が 4 ~ 8 ヘルツの脳波で、うとうとと眠りか けたときや、まどろんでいるときに現れる脳波である。 テルタ波は、 0.5 ~ 4 ヘルツと脳波のなかでもっとも振幅の大き いもので、熟睡中や無意識のときに現れる脳波である。 これらの脳波のうち、気の研究ではアルファ波に注目をし、研究 が行なわれているのである。 6 気をコントロールする
経絡の状態を 診断する AM ー ~ 鍼灸治療への影響 ~ 経絡の状態は、臓腑の状態と同じように大切なものである。血管 がもろくなったり狭くなったりしていると、内臓などに問題がなく ても、体調が悪いということがある。また、この状態を放置すれは、 いずれは死につながる大病になるかもしれない。これと同様に、臓 腑が正常な状態であっても、経絡の状態が悪くなっていると気の流 れが滞り、健康を害するなどの影響が出ることがある。この大切な もとやまひろし 経絡の状態を診断するために用いられるのが、本山博・博士によ って開発された AM 凵経絡臓器機能測定装置 ) である。 A Ⅶが開発される以前にも、経絡の状態を電気的に測定する装置 は存在していたが、発汗などによる抵抗変化の影響を強く受けてし まい、正確な診断をすることが難しかった。これに対して AMI は、 パルス電流を加えた際に瞬間的に流れる初期電流量を計測するた め、発汗などによる抵抗変化の影響を受けず、経絡の状態を正確に 記録することができる。このデータを分析することにより、体質、 じりつしんけい 体調、自律神経機能、臓器障害の有無などを正確に診断することが できるのである。 A の開発は、鍼灸治療に大きな影響を与えた。それまでは、鍼 けいけつ みきわ 灸医によって経穴の状態から、経絡や臓腑の状態を見極める能力の 差があった。しかし、 AMI& 使うことにより、だれもが確実に経絡 や臓腑の状態を知ることができるようになり、経絡の状態を見極め る能力の差があまり問題とならなくなった。つまり、 AMI& 使うこ とで、だれもが正確な診断を行なうことができるようになり、より 効果的な鍼灸治療が可能となったのである。 128 けいらく ぞうふ とどこお しんきゅう
脳の状態を知らせる脳波 脳からは常に 1 ~ 100 マイクロポル トのバルスが放 出されている。 測定された脳波は、モニターに写し出される。 アルファ波 心身ともにリラックスしているとき に現れる脳波 8 ~ 13 ヘルツ べータ波 脳が活発に活動しているときに現 れる脳波 13 ~ 40 ヘルツ るる デルタ波 深い眠りについているときに現れ る脳波 O. 5 ~ 4 ヘルツ ZZ シータ波 うとうとしているときに現れる脳波 4 ~ 8 ヘルツ 1 75