が挙げられる。これらの価格に関する変数は、後 述する推定方法において重要な役割を果たしてい る。 推定方法 推定するモデルの要素は、生産関数のパラメー タは , 砿 ) および生産性の成長プロセス関数 g ( -1 , 均一 1 ) である。まず、生産関数の両辺につ いて自然対数を取ることで、以下のような回帰式 が導出される。 logYjt = ßklog K 十 log ん死十 log Mjt 十 g ( 魴← 1 , なー 1 ) 十ど この式を推定するに際しての問題点は生産要素 の内生性である。企業は自らの生産性を観察した 上で生産要素の投入量を決定するため、生産性と 投入物の間に相関関係が生じている。しかし、分 析者には生産性ー 1 およびはデータ上観察す ることができない。結果として、最小二乗法によ る推定では生産関数のパラメータ推定値にバイア スが生じ、ひいては生産性の推定値にもバイアス が発生することとなる。著者たちはこの問題に対 して、以下の手順で対処している。 最初に、前期の生産性一 1 を、企業行動の最適 条件を用いることで観察される変数およびパラメ ータで置き換える。具体的には、企業は静学的な 最適化条件である「限界収入 = 限界費用」に基づ いて労働投入量んを決定していると考え、企業 の最適労働投入量に関する条件が導かれる。生産 関数がコプ・ダグラス型で与えられていることを 用いると、最適労働投入量は解析的な形で書き下 すことができる。最適労働投入量は生産性に 依存して決まるため、その式を変形することで生 産性を労働投入量および産出物価格や賃金などの 関数として書くことができ、ー 1 = 厩 ( K た んた 1 , ー 1 ) として与えられる。 こで関数厩は 生産関数のパラメータを所与として具体的な形が 与えられ、ー 1 は企業ゾが直面する産出物価格・ 賃金・中間投入財価格を含むべクトルである。し たがって、この式を用いることで、データ上観察 されない要素であるのた 1 を生産関数のパラメー タとデータによって書き換えることができる。 上記の手順より、観察されない要素はのみ となる。は乙ー 1 期時点では予期されないショ ックであり、また資本 Kjt は前期の資本ストック K た 1 と前期の投資から決まることを踏まえると、 と K,t は相関を持たないと考えられる。しかし ながら、 Mjt とんはと相関を持ってしまう。 その対処策として、 1 期前の資本、労働投入、そ して産出物価格や賃金などを追加的な操作変数と して用いている。 推定結果およびその含意 推定に際しては、データセット内の企業を 9 の 産業分類に分けて、生産関数および生産の成長過 程の推定を行っている。最初に生産性の成長過程 関数 g ( み ) およびイノベーション項の推定 値に関する結果を取り上げる。ーっ目の結果とし て、多くの産業においては生産性と研究開発支出 の間に補完性があることが挙げられる。すなわち、 今期の生産性が高い企業ほど、今期の研究開発活 動が来期の生産性に与える影響が大きいことが示 唆されている。二つ目として、推定値から示唆さ れるイノベーション項の役割の大きさが挙げ られる。と生産性それぞれの分散を比較し た結果、イノベーション項が生産性の分散のうち 25 ~ 75 % 程度を説明していることが判明した。 推定結果を用いて構築した企業レベルの生産性 を用いて、著者たちは研究開発活動に従事する企 業とそうでない企業の生産性の違いについてみて いる。平均的な生産性について評価すると、研究 開発従事企業の方が非従事企業と比較して 3 ~ 5 % ほど有意に高い結果が得られている。また両グ ループ間の生産性分布を比較すると、多くの産業 において、どの分位点においても、研究開発従事 企業の生産性は非従事企業よりも高いことが判明 最後に、研究開発活動を捨象したモデルとの比 較について言及する。 Olley andPakes ( 1996 ) な どの生産関数推定に関する先行研究においては、 関数 g は前期の生産性のみに依存する形となっ ている。著者たちもそのような定式化の下での推 定も行っているものの、すべての産業において定 式化検定を棄却している。またこの場合に得られ る生産性推定値に基づいて研究開発従事企業とそ 110 THE KEIZAI SEMINAR DECEMBER 2014/JANLIARY 2 田 5
図 11 4 ・【 0 ( 0 【 0 っ一 0 1 一 5 0 30 25 20 ( 期 ) 5 0 図 12 8 ( 0 4 ・つ 8 CD 4 CV 0 30 25 20 ( 期 ) 5 0 ー Ct wt rt ソローモテルを用いて定理 1 を数学的に です。 ( 25 ) 式から ( 31 ) 式までを工クセルのシート ( 図 10 ) に追加して時系列データを作成し、それら 証明しなさい。 を作図した結果が図 12 です。資本の限界生産力が この定理の証明は、ソローモデルにおけ 逓減する結果、資本レンタル料は時間の経過とと 解答 る実質 GDP 成長率が時間の経過ととも もに低くなっていきますが、それ以外の変数につ に徐々にゼロに向かって減少していくことを示せ いては、資本の蓄積に伴って増加を続けることが ば完了です。実質 GDP 成長率は ( 25 ) 式の時点を わかります。ただし、資本の動きと同様、増加の ー十 1 へ 1 つ進めて スピードは徐々に低下していることも図から読み + 1 = K 取れます。 としたうえで、 ( 32 ) 式の両辺を ( 25 ) 式の両辺でそ れぞれ割って ( 33 ) Kta とします。この段階で、実質 GDP のグロス成長率 と資本のグロス成長率の関係が明らかになりまし た。次は、資本のグロス成長率を計算しましよう。 ( 14 ) 式の両辺をんで割ると、 例題 6 ( 32 ) ソローモデルから わかること 4.1 基本モデルの性質 定理 1 資本蓄積は永続的な経済成長の原動力にはな らない。 4 ー十 1 80 THE KEIZAI SEMINAR DECEMBER 2014/JANLIARY 2015
[ : : 〕き : : : ] 例題 6 を参考にしながら、定理 2 を証明しなさい。 匚 : き 2 」同様に、定理 3 を証明しなさい。 ◆連載第 3 回目の練習問題の解答 1 . の状況になるため、資本流出が起きて、経常 連載第 3 回目の図 10 ( 2014 年 10 ・ 11 月号、 p. 96 ) 率が高くなると考えられます。そうすると、 考えられるので、その結果として、世界利子 国の金融市場」において投資需要が高まると 2 . 海外の多くの国々で経済成長が高まると、「外 ならば赤字拡大となります。 当初の経常収支が黒字ならば黒字縮小、赤字 支えられないので、資金が外国から流入して、 小します。拡大する投資を国内資金だけでは しい均衡では、投資が拡大し、経常収支が縮 するまで資本流入は続くと考えられます。新 がなくなるまで続くので、図 11 の F 点に到達 11 月号、 p. 96 ) のように、資本流入は金利差 加します。連載第 3 回目の図 11 ( 2014 年 10 ・ 果、資本流入によって国内の資金供給量が増 この金利差が、外国から資金を引き寄せる結 界利子率」という状況が一時的に発生します。 す。国内の金利上昇によって「国内金利 > 世 果、国内の金融市場における金利が上昇しま おける資金需要曲線を外側にシフトさせる結 は投資需要が拡大します。これが金融市場に 日本の経済成長が高まると期待されるときに 収支が拡大します。資本流出に伴って国内の 金利も上昇するため、国内の投資は減少しま す。 3 . 海外の多くの国々で財政赤字が拡大すると、 外国の金融市場において資金需要が高まり、 その結果として世界利子率が高くなると考え られます。結論は 2 と同じです。 4 . 国内の貯蓄が縮小すると、資金供給曲線が内 側にシフトします。その結果、国内利子率が 世界利子率を上回る状況になり、連載第 3 回 目の図 11 の状況になります。すると、国内の 高い金利を求めて資本流入が起き、金利の上 昇分を打ち消すところまで資本流入が続きま す。その結果、投資の水準には変化がなく、 縮小した貯蓄と同じ量の資本流入によってそ のぶん経常収支が縮小します。 5 . 海外の多くの国々で貯蓄が増加すると、「外 国の金融市場」において資金供給が高まり、 その結果、世界利子率が低下します。よって、 結論は 2 や 3 の逆になります。 注 以下、「人口」と呼ぶことにします。 4 ) 理論分析では人口と生産年齢人口の区別はないので、 3 ) 計測の対象になることはあります。 ドルで、 2010 年には 4 兆ドルになっています。 2 ) 2005 年基準ドル建て実質 GDP の水準は 1950 年に 0.15 兆 う系列を使用しました。 arch/ggdc/data/penn-world-table) より「 RGDPO 」とし、 公開している Penn World Table (http://www.rug.nl/rese 1 ) 生産活動や所得水準に関する 167 カ国分の長期データを アウトソーシングの 国際経済学 グローバル貿易の変貌と 日本企業のミクロ・データ分析 国際分業はもはや海外直接投資か貿易かでは捉えることができない。 富浦英一 海外の企業へとアウトソーシングする動きはいかに広がってきたか。 ◆本体 3200 円十税◆ A5 判◆ 5BN978-4-535-55691-1 日本評論社 http://www.n i ppyo.co. j p/ DECEMBER 2014/JANlIARY 2015 THE KEIZAI SEMINAR 83
バブル発生のそもそもの原点は、 1987 年 10 月の ・ヨーク株暴落 ( 「プラック・マンデー」 ) コ、 ドル安を食い止めんとする米国政府の にあった。 要請に応えて日本史上初の低金利時代が訪れ、期 待が膨らむ中で土地担保による銀行融資が横行し、 資産価格が跳ね上がった ( 小峰 149 頁 ) 。 その後のバブル崩壊に伴う大不況は、 1993 年ま でには自律回復の兆しを見せていた ( 鈴木 471 頁、 八代 487 頁 ) 。だがそれは、橋本内閣の早すぎた財 政引締めで水の泡と化し、長期不況が滞留する結 果となった ( = 「失われた 20 年」 ) 。 これを要するに、金融政策の実物経済への影響 大とする見解が多い。それと同時に、国内で調達 された国債による赤字は心配ないとの、日常の新 聞紙上の報道とは全く異なる見方も開陳されてい る ( 宮﨑 61 頁、浜田 501 ー 503 頁 ) 。 最後に、センターを含む民間研究所の今後の課 題として、経済政策を批判的に検討する開かれた 場の設営を希望する意見 ( 貝塚 244 頁、関口 369 頁、 鈴木 477 頁、八代 498 頁 ) に賛同を表したい。政策 の必要性や実効性について、適切な判断を下す知 サービス産業の 生産性分析 東 180 頁 ) 。 ケインズの真意を理解し損ねた部分があったという ( 伊 またハロッド (RoyHarrod) もヒックス (). R. Hicks) も 部学生が読みこなした。ちなみに、同書には誤りもあり、 京商科大学 ( 現一橋大学 ) で、難解な「一般理論』を学 なお、ケインス経済学を日本に導入したのは戦前の東 った ( 今井 185 頁 ) 。 民 ( 電力中央研究所、産業計画会議、通産省 ) の協力によ 2 ) 1951 年の投入産出表 (input-outputtable) の作成も、官 た ( 15 頁 ) 。 動計画 ( 予算案 ) を作る中央官庁の行動原理と同じだっ ランがまず作られ次にそれを寄せ集めて行政府全体の行 てから全体を積み上げる「段階的接近法」で、各省庁のプ 1 ) 興味あることに、金森の景気予測は、部分々々を構成し 注 を経済史の文脈に位置づけるのに大いに役立つ。 ロ経済政策の主目点や論争を簡潔に跡づけ、各章 【付言】本書巻末の「解説」 ( 岡崎哲二 ) は、マク 中立的で永続的な財源が確保されねばならない。 件だからである。しかし、その実現のためには、 的根拠を一般市民がもつのは、民主政治推進の要 [ 著 ] 日本のサービス産業の生産性を、企業・事業所のミクロデータで計量分析。 GDP の 7 割超を占めるサービス産業の生産性向上は、経済成長のカギ。 森川正之 ミクロテータによる実証 第 57 回日経・経済図書文化賞受賞 ! 第 I 部・・・・・・サービス経済化と生産性 第 1 章サービス産業の生産性 第 2 章サービス産業の生産性は低いのか ? 第Ⅱ部・・・・・・生産と消費の同時性 第 3 章密度の経済性とサービス業の生産性 第 4 章サービス産業のエネルギー効率性 第 5 章都市密度・人的資本と生産性 第 6 章サービス業における需要変動と生産性 第 7 章企業業績の不安定性と非正規雇用・生産性 第Ⅲ部・・・・・企業特性と生産性 生産性が高いのはどのような企業か ? 同族企業の生産性 労働組合と生産性 第 11 章ストックオプションと生産性 第Ⅳ部・・・・・サービス生産性分析の課題 第 12 章パートタイム労働時間と生産性 第 13 章サービス生産性計測の課題とデータ整備 第 10 章 第 9 章 第 8 章 ・本体 6000 円十税■ A5 判・ 5BN978-4-535 ー 55770-3 〒 170-8474 東京都豊島区南大塚 3-12 ー 4 TEL : 03-3987-8621 /FAX. 03-3987-8590 ( イ ) 日本言平冊ネ土 こ注文は日本評論社サービスセンターへ TEL : 049-274-1780/FAX : 049-274-1788 http://www.nippyo.co.jp/ 56 THE KEIZAI SEMINAR DE CEMB ER 2 似 4/JANLlAR Y 2015
( 43 ) を得ます。数学的な構造は ( 14 ) 式と同一で、グラ フは図 4 と同じ形をしています。したがって、グ ラフやェクセルを使った分析方法は、んのかわ りにんを使う以外は今まで通りです。また、初期 資本 KO のかわりに初期資本労働比率々 0 を使う必 定理 2 要があります。 4.3 技術進歩 tor productivity; 全要素生産性 ) を定数としてい こまでは TFP (total fac- モデルに導入します。 こでは、人口成長に加えて技術進歩もソロー らないことがわかるのです。 人口成長は永続的な生活水準向上の原動力にはな 徐々にゼロに近づいていくのです。その意味で、 質 GDP 成長率」は時間の経過とともに減少して しますが、そこからわかるように、「 1 人当たり実 も確認する必要があるのです。計算は練習問題と 「 1 人当たり実質 GDP 」なので、この指標の動向 生活水準を計測する際に最も信頼できる指標は かしながら、連載第 1 回目で議論を行ったように 経済成長が減速しても経済は成長を続けます。し 人口成長率が正ならば、たとえ資本蓄積による が、永続的な生活水準向上には寄与しない。 人口成長は永続的な経済成長の原動力になる も便利なので、以下、 TFP の水準のかわりに TFP を変換したを分析に利用します。この労 働生産性が時間を通じて成長すると仮定しま す。具体的には、 gx を労働生産性の成長率を表 す定数とすると + 1 = ( 1 + gx ) ( 47 ) を満たすようにが推移すると仮定します。 資本蓄積を表す式は ( 39 ) 式から ん + 1 = sK ( ) 1 。 + ( 1 —ö)Kt ( 48 ) へと変更されます。分析を 1 変数の差分方程式体 系に変換しましよう。 ( 48 ) 式の両辺を ( 40 ) 式の両 辺でそれぞれ割ると ( 49 ) となります。さらに、これを ( 47 ) 式の両辺でそれ 1 十 g Ⅳ Nt 1 十 9 Ⅳ Nt 1 ーöん ぞれ割ると + 1 + 1 ー十 1 ー十 1 となります 0 ( 1 + g Ⅳ ) ( 1 + gx ) 十 ( 1 + 9 Ⅳ ) ( 1 + gx ) ル NtXt と再定義します。すると、 毓「十 ( 1 ーö ) ん ( 1 + 0 Ⅳ ) ( 1 + gx ) ( 50 ) ( 52 ) ( 51 ) ましたが、 こでは TFP が成長すると仮定します。 したがって、はもはや定数ではなくなりますの で、 ( 1 ) 式を = , 缶 K 乙 1 。 ( 44 ) と置き換えます。 ( 38 ) 式と ( 40 ) 式は引き続き仮定 = Kta(XtNt)l 。 式を と定義します。すると、ん = X に伐なので、 ( 44 ) Xt 三員占夜 します ( 46 ) ( 45 ) 生産性が ( 46 ) 式のように記述されているととて たがって、は労働生産性と呼ばれています。 者 1 人当たりの労働投入量増加を意味します。し 全体を労働投入と解釈すると、の増加は労働 と書き換えることができます。 ( 46 ) 式のカッコ内 を得ます。数学的な構造は ( 14 ) 式や ( 43 ) 式と同一 なので、グラフも図 4 と同じ形です。ただし、ん の定義が ( (1) 式になっていることに注意してくだ さい。 定理 3 技術進歩は永続的な経済成長の原動力になり、 かっ永続的な生活水準向上に寄与する。 計算は練習問題としますが、そこからわかるよ うに、技術進歩すなわち労働生産性成長率が正な らば、「 1 人当たり実質 GDP 成長率」が時間の経 過とともにゼロに近づくことはありません。その 意味で、技術進歩は永続的な生活水準向上の原動 力になり得るのです。生産性の向上は、日本の成 長戦略の 1 っとして有力なものであるといえるで しよう。 今回は以上です。 82 THE KEIZAI SEMINAR DECEMBER 2 田 4 / NLI ハ RY 2015
海外論文 SURVEY 49 R E N S A ー・ 生産性と研究開発活動 : 個票データによる分析 Doraszelski, UIrich and Jordi Jaumandreu ( 2013 ) "R&D and productivity: Estimating Endogenous productivity, Review 可 E00 〃 0 川 / c & ″市い , 80 ( 4 ) , pp. 1338-1383. 遠山祐太 の観〃 za はじめに 企業の生産性は多くの経済モデルにおける重要 な構成要素の一つであり、その実証的な研究は産 業組織論、マクロ経済学、そして国際貿易論と幅 広い分野において着目されてきた。一般に生産性 はデータ上で直接観察できるものではなく、産出 物・投入物のデータを用いて推定・測定されるも のである。 近年では、企業や工場レベルでの個票データの 利用可能性が向上していると同時に、個票データ を分析する手法であるミクロ計量経済学の発展も 著しい。その結果として、さまざまな国・産業に おける生産性に関する理解が進んできた。一連の 実証研究の中で得られた知見の一つとして、同一 産業内における企業間の生産性の格差が大きいと いうことが挙げられる。例として Syverson(2004) は、米国の標準産業分類 (Standard lndustrial Classification; SIC) ごとに生産性分布をみると、 分布の上位 10 % 点の企業の全要素生産性は下位 10 % 点の企業の約 2 倍になることを発見している。 したがって、どのような要因が企業間の生産性の 大きな差を生んでいるのかが、次なる研究課題と して注目されつつある。 今回紹介する論文では、生産性の決定要因の一 っとして企業の研究開発活動に着目している。具 体的には、研究開発活動が個々の企業の生産性の 成長、および企業間の生産性格差に与える影響を 分析することを目的としている。実証例として、 スペインの製造業の個票データを用いて生産関数 および生産性の成長過程を推定し、研究開発活動 が生産性へ与える影響を定量的に評価している。 以下では、一部簡易化したモデルに基づいて分析 手法を紹介しつつ、研究開発が生産性に与える影 響に関する実証分析の結果を紹介する。 企業の生産関数および生産性の成長過程 期間一における企業ゾの産出物新は、資本 労働ん小中間投入財財の三つを投入要素とす るコプ・ダグラス型の生産関数新 = eXP(Wjt) x K ん M によって与えられる。ここでは企 業の全要素生産性であり、企業は生産性を観 察した上で各種意思決定を行うものの、分析者に はデータ上観察されない要素となる。 続いて生産性の成長過程について考える。来期 の生産性は今期の生産性と研究開発支出によって 決まると考え、 + 1 = 0 ( の川十 + 1 として与え る。なは企業の研究開発支出である。関数 9 の 形状については具体的な制約を置かずに推定を行 う。一方、 + 1 はイノベーション項と呼ばれ、 れは今期に研究開発支出を行う時点では予期され ない生産性の変化である。具体的には、研究開発 活動における予期せぬ発見に伴う生産性の変化と して解釈される。 本論文では、スペインの製造業調査である En- cuesta S0bre Estrategias Empresariales (ESEE) サーベイを用いて分析を行っている。論文で用い ているデータは、期間は 1990 年から 1999 年の 10 年 間、 9 産業分類に渡る 1870 社をカバーするパネル データである。変数として、生産関数の推定にお いて必要となる生産額、物的資本、資本投資額、 労働投入、中間投入財消費額が利用可能であり、 また、本論文での肝となる研究開発支出額につい ても観察できる。さらに、本データセットの特色 として、企業レベルでの産出物価格、賃金、そし て中間投入物価格についても利用可能であること DECEMBER 2014 / ハ NLI ハ RY 2015 THE KEIZAI SEMINAR 109
第 4 回 初級 の導入が与えた影響については特筆すべきものが あります。 0 計算のクロノロジー 明治維新の局面で手始めに導入された交通手段、 それは馬車でした。それまで交通手段として馬車 ( およびそれに必要な蹄鉄 ) が開発されていなかっ たのです。幕末開港時、外国公館で自家用馬車が 使用されます。これは日本人には新鮮な交通手段 でした。と同時に、導入が容易な手段でもありま 横山和輝 交通と産業化 後に馬車は鉄道に駆逐されます。ただし、鉄道 は、相当規模の資金が必要です。したがって資本 市場の制度をある程度整備しておかなくてはなり 交通のイノベーションは、移動や移送に必要な ません。鉄道を敷設し運行するためにはそれなり 時間とコストを削減します。あらゆるビジネス現 の人的資本の蓄積も必要です。さらに、線路や駅 場の計算感覚が一変します。歴史を紐解いてみて の建設には土地の買収が必要であり、そのために も、経済の転換点における交通の重要性を再確認 は地元住民との利害調整が必要となります。鉄道 できます。あるいは交通のイノベーションとは、 を走らせるためには長期の迂回期間が必要です。 単に交通手段のシフトだけではなく、それによっ この迂回期間限定の新機軸として、馬車が登場 て人々の行動原理やマーケットの資源配分機能が し、活躍したのです。日本人経営の馬車としては、 1869 ( 明治 2 ) 年横浜吉田橋際 ( 横浜市中区 ) に どのように変化したのかまで、ワンセットで捉え 開業した横浜ー東京間の乗合馬車が最初でした。 るべき概念かもしれません。 鎌倉・室町時代、替銭 ( 手形 ) を用いた決済シ 徳川政権は各地に宿場町を設け、通行者向けの サービスとして、助郷役と呼ばれる負担を近隣住 ステムが成立するなど、貨幣経済が進展します。 ばしやく 民に課していました。 1872 ( 明治 5 ) 年これが廃 これを促進した要因として、馬借 ( 馬の背中に荷 しやしやく 止されます。これを受けて、各地の旧宿場町を拠 物を載せて運ぶ輸送業者 ) や車借 ( 牛に荷車を引 といまる 点に馬車業が展開します。やがて馬車は乗用を専 かせる輸送業者 ) あるいは問丸 ( 輸送・倉庫保管 業者 ) など、遠隔地取引をサポートする交通業者 門とする短距離の乗合馬車と、荷車を輓馬に引か せる荷積用馬車とに分かれます ( 山本 1983 ) 。 が出現していたことが指摘されます。 また、徳川政権下、全国市場が成立するととも 旧宿場町は明治維新を経ても、馬車あるいは陸 運会社が集う交通拠点となりました。この陸運会 に緩やかな経済成長が持続した背景として、海上 社の担い手の多くはそれまで町飛脚として活躍し 輸送技術の進展によって遠隔地間の大量輸送が可 能になったことが挙げられます ( 深井 2009 ) 。 ていた人々でした。 1871 ( 明治 4 ) 年、現在の 1 円切手の肖像でも知られる前島密の尽力で郵便事 れら海運業者のなかには明治維新を経てもなお、 業がスタートします。郵便は、やがて逓信省の管 資金や情報を元にさまざまな部門への投資や起業 轄下で行われることになる官吏による事業です。 を通じて産業化に寄与した者もいます ( 中西 飛脚業者は、テクノロジー失業に陥りかねない深 2009 ) 。 刻な危機を乗り越え、再起を賭けて、陸運会社を その明治維新の局面において、欧米の交通技術 次々と創設したのです ( 藤野 1965 、第 18 章 ) 。 1971 年生まれ。名古屋市立大学大学院経済学研究科准教授。 博士 ( 経済学、一橋大学 ) 。一橋大学経済学部助手、東京大 学日本経済国際共同研究センター研究員を経て、現職。専 門は経済史。業績は筆者のホームページ (http://www. econ. nagoya-cu. ac. jp/3/0koyama/ ) 参照。 かわし 0 南 ( 1965 ) は、鉄道敷設を通じて輸送のスピー ドおよびコストがどう変化したのかを整理してい DECEMBER 2014/JANLIARY 2015 THE KEIZAI SEMINAR 69
判・ 448 頁 / 5200 円 瀨古美喜 日本の住宅市場と家計行動 住宅融資制度や地震対策など、都市問題を解決する現実に即した住宅政策を、 経済学の立場から追究する。 判・ 232 頁 / 3800 円 小塩隆士・田近栄治・府川哲夫 課題と改革 日本の社会保障政策 現代日本の社会保障制度は、効率化と公平・連帯のバランスが課題とされている。 制度が抱える問題点と選択肢を、客観的に聖域を設けすに議論する。 ・・べイトマン、平井俊顕、・ 0 ・マルクツツォ編 / 平井俊顕監訳 リターン・トウ・ケインズ 新たなマクロ経済学のキーワードを再検証。 判・ 448 頁 / 5600 円 判・ 452 頁 / 7000 円 間宮陽介・堀内行蔵・内山勝久編 日本経済社会的共通資本と持続的発展 持続可能な経済社会の構築ヘーー宇沢弘文氏の知的遺産をさらに深化する。 判・ 416 頁 / 6800 円 堀内昭義・花崎正晴・中村純一編 日本経済変革期の金融と企業行動 「失われた一一〇年」にみる変化の胎動 判・ 240 頁 / 6200 円 小幡道昭 労働市場と景気循環恐慌論批判 「宇野学派」の恐慌論の批判を通じて、新しい景気循環論を提示し、資本主義的発展 の動態を解明。方法論批判、価値論批判を経て辿りついた理論経済学の到達点。 判・ 520 頁 / 3700 円 山内恒人 生命保険数学の基礎【第 2 版】 アクチュアリー数学入門 数表、グラフ、例題などをアップテートし、さらに充実のテキストに。 ◎第回日経・経済図書文化賞受賞 【近刊】 く価格税別〉 http://www.utp.orjp/ 東京大学出版会 〒 153 ー 0041 東京都目黒区駒場 4 ー 5 ー 29 TEL 03-6407 ー 1069 FAX 03 ー 6407 ー 1991 0 ・プランチャード / ・フィッシャー 3 0 -6 マクロ経済学講義 田 2 高田聖治訳 <LD 判 / 六九六頁・九、四 00 円田 本書は、単なる新ケインズ経済学の解説書に止まることなく「ミク代 < ロ経済的基礎を持 0 た「クロ経済学」を極めてクリアな形で提示。軒 数量経済分析シリーズ◎第 1 巻 7 6 0- つん′ / 0 0 計量経済学〔第 2 版〕 蓑谷千凰彦著 <LD 判 / 五 IU ) 真・三、八 00 円 できると好評。 計量経済学の方法・考え方を理解し具体的応田 版 示の経済学出 収益逓増と経各 八 00 円カ の集大成。 多 貨幣をど ( 3 のか ニ、 000 円 、貨幣概念を店下。 書絡す 録。 は連ま ムロ・こ 場でお レまり っ 現代通貨、 な部 も 三、 000 円 頭営 貨供給の観点店社送 」なっている。 でかイ 別るで メント 被虐待児の第 <LD 判 / 一四八頁・四、 000 円格文宅 緒方康介著 価注 被虐待児の知能アセスメントに関する調査研究を分析し、児童相談示ごい 所の児童心理司が担う心理診断において有効な科学的根拠を提供。表にさ ・アーサー著 / 有賀 複雑系経済学で画期を , 片山貞雄著 原始貨幣をめぐる若手 めぐる戦後の議論等、 松岡和人著 本書は現代通貨システム から考察。図版や写真を々
中川信義著 / 田中祐ニ・中本悟・杉本良雄編集本体六五 00 円 世界価値論研究序説 現在のグロ 1 バリゼーションや地域主義・共同市場、経済格差の原理的 な把握に大きな刺激を与える。著者が生前に構想した論文集。 菊判・ニニ四頁・本体ニ八 00 円 星野富一著 現代日本の景気循環と経済危機 グローバル資本主義化と新自由主義政策で変貌した八〇年代後半から 一一〇一一一一年までの景気循環と経済危機の実態を分析。 ◎ウィーン時代の学問的活動を自治を柱にして解明 菊判・三ニ 0 頁・本体八八 00 円 柴田隆行著 シュタインの自治理論 後期ローレンツ・フォン・シュタインの社会と国家 後期シュタインと言うべきウィーン時代の活動を研究対象とし、国家学、 社会学、行政理論、教育学などからなるシュタインの総合的国家学体系 を分析することで、それが現代ヨーロッパの〈社会国家〉の学的根拠とな っていると言われる所以を明らかにする。 菊判・四 0 四頁・本体七五 00 円 安井俊一著 ・ミルの社会主義論 経済体制の問題に焦点をあて、ミルの社会思想の真意を探る。それは 同時にミルの社会主義に関するミル研究者の解釈の隔たりを狭める試 みでもある。 北條浩・上村正名・村田彰編著判・四五 0 頁・本体八 000 円 入会訴訟『日誌』とその研究 入会研究史上画期的な訴訟「日誌』の全文を掲出し、鑑定書・訴状・ 調書・判決等を加え、注釈と解説を付し科学的に解明する。 113-0033 東京都文京区本郷 5-30-20 http://www.ochanomizushobo.co.jp/ TEL 03-5684-0751 FAX 03-5684-0753 御茶の水書房 ・、、 <wu の歴史・実像・将来像を詳説′ 本体価格 2200 円 深沢淳一・助川成也著 大市場統合と日本 —e 時代を日本企業が生き抜くには年代、日本、中国、韓 国、そしてインド、アメリカ、豪 ZN がを巡りの主導権 争いを展開した。通商環境が激変する中、日本企業は東アジア戦略の舵を どう切り、今後どう展開していくべきか。経済共同体 成長の死角から東アジア大統合の展望まで全てわかる必読の 1 冊。 ・ 2015 年、世界の成長センター <c-ow<Z が巨大統合市場に ! 本体価格 2600 円 石川幸一・清水一史・助川成也編著 z 経済共同体と日本 ー巨大統合市場の誕生 2015 年、経済共同体 (<QO) が 完成すれは中国やインドにも対抗する経済圏となり、日本にとっても最重 要の地域となる。日本ととの関係は年を迎え、と の経済関係を戦略的に見直す時期にある。専門家が統合への進展状況、課 題、実現への展望などを検討、 2015 年末のの姿を描く。 ・巨大化する中国市場攻略の秘訣・課題を開示′ 本体価格 2400 円 郭洋春・角田収編著 ピジネス アライアンス 中国市場と日中台 巨大化しつつある中国市場を攻略するためには新たな企業・経営戦略が必 要だ。それが台湾企業を活用した日台ビジネスアライアンスである。日台 ビジネスアライアンスとは、日台近接型パ 1 トナ 1 シップによる分業・提 携を通した中国市場での生産・販売だけではない。アジアに広がる様々な 経済共同体の経済的基盤を準備するものでもある。関係者必読′・ ・ユーロ銀行同盟の不都合な真実とは ? 本体価格 2000 円 米倉茂著 眞ュ 1 ロ銀行同盟の構図 ーその死角をストレステストユーロ危機の再発防止をめさすューロ銀行 文 同盟。だが内実は真逆。通貨は一つ、財政はバラバラの寄せ木細工のユ 1 ロ体制。これには中枢・周縁諸国間の対立を煽る金融上の地雷が充満。こ れまでサププライム、リ 1 マン、ユ 1 ロなど一連の世界的金融危機を活写 してきた著者が危険がいつばいの銀行同盟の不都合な真実を抉り出す。 東京都新宿区早稲田鶴巻町 533 TEL: 03-3202-8480 U R L : http://www.bunshin-do.co.jp/ FAX: 03-3203-2638
II II II Ⅲ II Ⅲ II II Ⅲ II Ⅲ II II II II II Ⅲ II II ⅢⅢ II II II II II II II II ⅢⅢ ます。徳川の時代、駕篭による江戸ー大坂の移動 には 19 日を要したのに対し、鉄道開通後の 1890 ( 明 治 23 ) 年には東京ー大阪間を 19 時間で移動できる ようになったとのことです。また、 10 貫目 ( 37.36kg ) の羽二重を東京ー福井間で輸送するの に、鉄道開通以前は 10 日間で 1 円 32 銭かかりまし た。 1880 年代になると敦賀ー関ヶ原間の開通によ り 8 日間で 1 円、さらに東海道全線開通により 4 日間で 62 銭となりました。絹織業者にとっては、 東京ー福井間の移動に要する時間もコストも半減 したのです。 こういった進歩は、 ことに製糸業においては貴 重でした。生系の生産において原料となる繭や動 カ源となる薪炭を低コストで大量に調達できるよ うになります。輸送コストが軽減することで低価 格で供給できる量も増えます。さらに重要なこと は、鉄道を利用できるようになることで、決済や 受け渡しまでの時間を短縮できる点にあります。 生糸は主力の輸出品であり、激しい価格変動や為 替リスクに晒されていました。製糸業者にとって はマーケットの情報に迅速に対応できるかどうか が鍵だったのです。スムースな決済は、価格や為 替変動リスクの軽減に繋がります。同時に、「保 険料」などの費用項目も圧縮することができます ( 加藤 1997 ) 。生産・販売の両側面において、鉄道 はビジネス上の計算感覚を様変わりさせたのです。 0 鉄道敷設には当然ながら土地の買収が不可欠で す。すでに繁栄している宿場町付近の土地よりも 農地を買収するほうが低コストで済みます。その ため駅や線路は、従来から栄えていた宿場町より 概して距離を置いて建設されます。ただし、土地 買収に対する不満、鉄道敷設による農業水利の変 化に対する不安、洪水など自然災害リスクの懸念 など、各地で反発の声も上がります。反発は百も 承知の上で、自治体あるいは各地のビジネスマン は鉄道敷設を要望します ( 青木 2006 ) 。 だからこそ、鉄道事業においては、たとえば甲 州の根津嘉一郎など、地域社会の利害を調整する コーディネーターが重要な役割を果たしました ( 老川 2010 ) 。明治期鉄道会社の経営者は、大株 主のみならず中小株主、あるいはさまざまな利害 関係者の意向を調整するために奔走しました ( 片 岡 1988 、石井 2013 ) 。 鉄道の敷設は企業立地を誘発し、産業化を促進 します。この関係が見せかけの相関ではないとい うことを検証した研究があります。 Tang ( 2014 ) は、明治期の府県別データを用いて、差の差の検 定 (difference-in-differences; DID) と呼ばれる手 法による分析を行いました。分析結果から、鉄道 敷設は企業立地を統計上無視できないほどに増加 させており、なおかっその効果は人口規模 ( 1883 年時点 ) に依存していた、とのことです。鉄道敷 設は企業立地を増大させるかたちで資本投資を誘 発するとともに、企業間取引を活発化し、ひいて は日本の経済成長を牽引していくことになったの です。 明治維新の前後、交通の発達を受けてビジネス 現場の計算感覚が一変しました。現在、リニアモ ーターカー建設が具体化するなど、交通の新機軸 が登場しつつあります。どのようなコーディネー ションが展開され、人々の行動原理がどう変化し ていくのか、注視したいところです。 参考文献 青木栄一 ( 2006 ) 『歴史文化ライブラリー 222 鉄道忌避伝説 の謎ーーー汽車が来た町、来なかった町』吉川弘文館 石井里枝 ( 2013 ) 「戦前期日本の地方企業ーー一地域における 産業化と近代経営』日本経済評論社 老川慶喜 ( 2010 ) 「第 6 章根津嘉一郎」小池滋・青木栄一 和久田康雄編「日本の鉄道をつくった人たち」悠書館 片岡豊 ( 1988 ) 「明治期における株主と株主総会一一鉄道業 の合併をめぐって」「経営史学第 23 巻第 2 号 , pp. 33 ー 58. 加藤要ー ( 1997 ) 「鉄道敷設における地元の「認識」と「実 際」一一明治期山梨県における馬車鉄道を事例に」「社会 経済史学第 63 巻第 3 号 , pp. 346 ー 377. 中西聡 ( 2009 ) 「海の富豪の資本主義ーー北前船と日本の産 業化」名古屋大学出版会 深井甚三 ( 2009 ) 「近世日本海海運史の研究ーーー北前船と抜 荷」東京堂出版 藤野正三郎 ( 1965 ) 「日本の景気循環ーー循環的発展過程の 理論的・統計的・歴史的分析』勁草書房 南亮進 ( 1965 ) 「長期経済統計推計と分析 12 鉄道と電力」 大川一司・篠原三代平・梅村又次編、東洋経済新報社 山本弘文 ( 1983 ) 『叢書・歴史学研究維新期の街道と輸送』 増補版、法政大学出版局 Tang, JOhn P. ( 2014 ) "RaiIroad Expansion and lndus- trialization: Evidence from Meiji Japan, JournaI Of Economic History, 74 ( 3 ) , pp. 863 ー 886. 0 ⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢⅢ II Ⅲ II II II II II II II II Ⅲ II II ⅢⅢⅢ 70 THE KEIZAI SEMINAR DECEMBER 2014/JANLIARY 2015