みなも - みる会図書館


検索対象: かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~
85件見つかりました。

1. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

256 「 : : : 母さん、あのふんどし男と知りあいなの ? 」 たまも ちずるのし ( 、こ玉藻が答える前に、耕太は叫んでいた。 「あー ! 」 「な、なに、どうしたの、耕太くん」 れんあい 「みんなは ! あかねさん、蓮、藍、たゆらくん、そして望さん : : : みんなは」 むこ 「無事よ、婿どの」 答えたのは玉藻だ。 玉藻が九本のしつほを動かすと、その陰に、あかね、蓮、藍、たゆら、そして望が、店 員姿の雪女たちに守られるように囲まれ、炎のなか、いた みな、耕太を見て、むん、とガッツポーズを決めてくる。どうやらとくに怪我なんかは していないようだ。 耕太は、ほっと息をつきかけ : : : あかねを見て、その息を呑む 「あ、あかねさん ! 」 あかねはぐったりとしていた。 ゆきはな 眼を閉じ、眼鏡も顔がらずらし、背を雪花に支えられるがままになっている 「だいじようぶです、小山田さま。ただ、気を失っているだけです ふー、と耕太はあらためて息をついた。 雪花は、すでにあのセクシー忍者姿だった。 のぞむ

2. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

すっかり服は吹き飛び、すつほんほん状態ではあるものの、黒い毛なみの狐の耳を生や し、しつほを七本生やした耕太は、傷ひとつなく、そこにいた。脇には大海神の銛を、ロ には黄金の輪をくわえ、立っていた。 ( しつかりして、耕太くん ! ) 耕太の脳内で、ちするが必死に叫ぶ。 まだはっきりしない意識で、耕太は答えた。 「だ、だいじようぶれふ」 しかし口がうまく回らない。視界もぐるぐるしていた。 ( 耕太くん : : : あなたの名前は ? ) 「おやまら、こうら」 ( 歳は ? ) 「十七さい」 十 戦 ( わたしの名前は ? ) 大「みなもろ、ひふる」 ( 耕太くんとわたしの関係は ? ) 「こいひと」 七 ( あなたはわたしを ? ) 「あいしてまふー わき おおわだつみ きつね

3. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

ふたりどうじに、ん ー ? と首をひねる 考えども、考えども、答えはでなかった。 ちするも、部屋から帰ってはこなかった。 そうして れんあい のぞむ ちずる不在の状態で、耕太、望、あかね、蓮と藍、そしてたゆらでテープルを囲んで座 ったまま、時間はどんどんと経っていった。 ちずるはでてこない。 部屋に引っこんだまま、でてこない。返事もない 耕太は、思いきってあかねに尋ねてみることにした。 「あの、あかねさんは、ちずるさんになんていって呼ばれたんですか ? 」 「 : : : わたし ? わたしは、なんだか大切な話があるから、きてくれーって強引に。わた しだって、それなりに予定があったんだけどね」 「なに ? 予定だと ? 」 たゆらがテープルに身を乗りだす。 あさひ 「日曜日に : : : 予定 ? それって、つまり、で、でで、デートか ! デートなのか朝比 奈 ! だれだ、相手はだれなんだ、そんなのお父さんはゆるさないぞ ! 」 みなもと 「なんなのよ、源。なにをいきなり興奮してるのよ」 「デートかどうかってきいてんの ! 」

4. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

に向かった。 : : : ? このほかにも、たれかくるんですか ? 」 「きたきた 尋ねてみるも、みな首を横に振る。たゆらさえも肩をすくめた。 どうぞー、なかに入って 1 」 ちするはスピーカーに向かって、そう答えた。 有無をいわさぬやりとりだったので、相手がだれかはわからなかった。 「さて、と : : : じゃ、わたし、準備しなくっちゃ」 「準備 ? ス ク ちずるは耕太たちに背を向け、歩きだす。行き先には部屋の扉があった。 フおいおい、ちょっと待てよ、とたゆらが止める 「いまから客、くるんだろ ? そいつほっほりだして、どこいくんだよ」 コ「そっちはたゆら、おまえにまかせた」 ン 「まかせるって、どうすりやいいのさ ? 」 シ 「なかで待っててもらえばいいじゃない」 ル「待っててって : : : そもそもだれなんだよ、客って」 オ「おまえもよく知ってる相手よ : : : じゃあねー」 ひらひらと手を振り、笑顔とともにちするはドアに向こうに消えた。 ばたん、と閉じたドア。

5. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

うず いま耕太が顔面を埋めているちするとは違って、しなやかな肉体だった。なにより熱い みなもと 愛情あぶらみ ( 源ちずる ) でほどよく包まれたちずるより、彼女は熱かった。 のぞむ 望だった。 きやしゃ 華奢な身体に、とてつもない熱さを秘めた望が、耕太の背に身を寄せていた。 「パンがないんなら、ケーキを食べればいいんだよ、耕太ー あれ ? どこかで聞いたことのあるセリフだよ ? 「なあに、望。またヘンなとこ、なめなめしちゃう気 ? それともされたいの ? 」 それで耕太は思いだし、噴いた。いま顔面を埋めている谷間に、ぶふふーっと、ロから の吐息を送りこむ。 ぶるるー、と谷間は揺れた。 やはああん、とちずる自身も揺れた。 「こ、耕太くん、ふいうち、ダメつ」 「ふ、ふみまふえん」 むつ、と耕太の頭上で、ちずるが望を睨む気配があった。 「もう、望、あなたが余計なこというから : 「だから、 パンがなければケーキ」 「だから、こんどはなんなのよ、それ」 「水着がなければ、下着で入ればいいんだよ、ってことだよ、ちずる」

6. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

落らこんしゃメたよ、ち可る。 人生、 (-) 転ひハ起きたよ。 犹守望もり・のそむ ) 可こくおいしがつだて可。 ち可るさんの : : : 可こく。 」山田耕太 ( おやまた・こうた ) とれだてびちびち、 ち可るマーメイドたよー 源ちする ( みなもと・ちずる ) 源たゆら ( みなもと・たゆら ) 朝比奈あかね ( あさひな・あか 犹守朔 玉藻 ( たまも ) 豊玉彦とよたまひこ ) カイ 小山田弦蔵 ( おやまだ・げんそう ) ( えそもり・さく )

7. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

ひとり、たゆらは海から戻ってきた。 その脇には、イルカ型の大きな浮き袋があった。蓮と藍が乗っていたイルカを、たゆら はきちんと持って返ってきたのだ。 しかし、それを褒めるものはいなかった。 みな、英雄、望をあがめていた カカ いっしか、山を作っていた。ひとりで作った たゆらはひとり静かに砂場に屈みこみ : 夏 山を、ばーん、とひとりで崩す ろ 「 : : : かっこよく、なりてーなあ。男に、なりてーなあ」 ぐすっと、鼻をすすった。 ん し 「ーー・かっこよかったわよ ? 途中までは」 ず はっと顔をあげると、黒と白が入り混じったデザインの水着を着た女性ーーあかねが、 てひらひらと手を振りながら去ってゆくところだった。 あさひな な「あ、朝比奈あ : みなもと つ「やだ、もう、まとわりつかないでよ、源」 て「朝比奈ー 愛「しつこい 五「痛い ! でも朝比奈ー ! やつばきみはステキだー 「、つるさい わき おれの太陽だー

8. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

230 ゆきはな 眼を見張ったままのあかねに、雪花は落ちついた声で尋ねた。 「どうやら、オバケを見ての驚きとも違うようですが : : : まるで、これらのものを、かっ て実際にその眼で見たことがあるような : : : 」 はつ、とあかねは雪花を見た。 「ちするさんたちは、やつばり : と、 いいかけ、ロをつぐむ きゅ : : っと、強く唇を噛んだ。 血がでそうなくらい、強く、噛んだ。 そんなあかねを、雪花は黙って見守っている。ふたりのまわりでは、オバケ一同が、耕 太くーん、とか、耕太ー、とか、だいだらー、とか、思い思いの演技をしていた。 やがて、あかねが、ふー : っと長く長く、息を吐く。 しいえ、雪花さん : ・ 雪花に向かって、ゆっくりと首を横に振った。 「わたしはそんなもの、見たことなんかありません。たとえ、現実に妖怪なんてものが存 のぞむ 在したとしても : : : ちするさん、小山田くん、望に、そして、源 : : : みなが自分から明か してくれない以上、わたしは知りません。知らないんです」 しあげに眼鏡の位置をきゅきゅっと直して、あかねはそういいきった。口元には、笑み すら浮かべていた。 みなもと

9. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

「楽しそうでーす」 「きもだめし、初めてでーす , 「まあ : : : いいですよ、やっても」 れんあい ちするや蓮、藍だけでなく、あかねも眼鏡の位置を直しつつ、けっこう乗り気だった。 のぞむ 望は雪花に、奥に置くお札を、なにか食べ物に換えて欲しいと頼んでいる。 耕太も、みながいいなら、とくに反対する理由はなかった。 よ、つ力、 脅かし役が、本物の妖怪である雪女なところに、ちょっとばかり不安はあるが : : : まあ、 だいじようぶだろう。いつも妖怪な女の子と一緒にいるのだし。 ただひとり、たゆらだけは青ざめた顔をしていた。 あかねが、めずらしくいじわるそうに唇の端をあげて、訊く みなもと 「どうしたの、源 ? まさか : ・・ : 怖いとか ? 」 脅かし役がいるってわかってるんだから、そんなもん、ちーっとも 耕「ま、まっさかー 遊怖くなんかないデスョ ? そ、そうさ : : : 遊園地のお化け屋敷のアレとくらべれば、しょ せんはシロウトのやるこった : : : へ、平気さ ! 」 カ 「無理しないほうがいいわよ : : : 源」 る 走「む、無理じゃないもん ! 」 話は決まった。 そして、厳正なるクジ引きの結果、組みあわせは

10. かのこん 6 ~ナギサのぱいぱいぷー~

ちずるは、ぶすっとしていた。 しわ みけん 眉間にかすかに皺が刻みこまれているのは、機嫌の悪い証拠だった。 これは、例の年増騒動を思いだしたからではない。 夏 耕太がハンパに大かきを覚えてしまったからでもない。 しものの、肝心の泳ぎがさつばりだからでも ろ蓮と藍が水面走りできるようになったはい、 んない。 いちずるは、焼きうどんをもそもそと食べていた。畳敷きの、座敷の上にあるテープル席 物で、まわりを、耕太、望、蓮、藍に囲まれながら。 て耕太は、海の家〈玉ノ屋〉にいた。 泳ぐ練習にひと区切りをつけたとき、時刻はすでにお昼をけっこう回っていた。そして、 「耕太たちはすごく疲れていた。水泳はかなり体力を使うものだ。耕太はもちろん、水面走 てりなんてやっていた蓮と藍も、あかねも、指導疲れたたゆらも、みんなへとへとだった。 愛無尽蔵の体力を持つ、望をのぞいて、みんなだ。 五本当だったら、お昼は用意した食材でご飯を作る予定だった。 だけど、本当に耕太たちは疲れ切っていたのだ。