写真 - みる会図書館


検索対象: きゅーきゅーキュート!
21件見つかりました。

1. きゅーきゅーキュート!

員スキュ 1 スより年上に見える。それに、人数も多い。さすが公爵家。 ページをめくる。 左右に一枚ずつ。スキュースと、彼女より年上にしか見えない女性たちが写っている 次々とページをめくった。 スキュースが抱き締められている写真。花が咲き乱れた花壇をバックに、大勢で撮った / 川のほとりで、スキュースと多くの姉妹 写真。森の中で、草原で、大きな屋敷の前で、 たちが写っている。写真の中で笑っている彼女はいつも、ツインテールだった。 わかったことがひとつ。 スキュースはみんなに愛されている、ということ。 どの写真を見ても、中心には必ずスキュ 1 スがいた。いっしょに写っている女性たちの だれもが、穏やかで慈しむような意識を彼女へむけている 生 誕 だが、ひとつの疑問がどうしても拭えない どう見ても、スキュースがいちばん年下に見えてならないのだ。魔族だから、見た目で へ 判断してはいけないのだろうか ? 「これみんな、本当にスキュースの妹さんたち ? 」 「もちろん、あたしを入れて、全部で六六七人いるわ。全員女の子よ。大変なんだから、 章 六六六人の妹がいるのって」 「そんなにいるのにさっき、家族みんなで食事するって : ・

2. きゅーきゅーキュート!

員スキュースより年上に見える。それに、人数も多い。さすが公爵家。 ページをめくる。 左右に一枚ずつ。スキュ 1 スと、彼女より年上にしか見えない女性たちが写っている 次々とページをめくった。 スキュースが抱き締められている写真。花が咲き乱れた花壇をバックに、大勢で撮った / 川のほとりで、スキュースと多くの姉妹 写真。森の中で、草原で、大きな屋敷の前で、 たちが写っている。写真の中で笑っている彼女はいつも、ツインテールだった。 わかったことがひとっ スキュースはみんなに愛されている、ということ。 どの写真を見ても、中心には必すスキュ 1 スがいた。いっしょに写っている女性たちの だれもが、穏やかで慈しむような意識を彼女へむけている 生 誕 だが、ひとつの疑問がどうしても拭えない どう見ても、スキュースがいちばん年下に見えてならないのだ。魔族だから、見た目で へ 判断してはいけないのだろうか ? 「これみんな、本当にスキュ 1 スの妹さんたち ? 「もちろん、あたしを入れて、全部で六六七人いるわ。全員女の子よ。大変なんだから、 章 六六六人の妹がいるのって」 「そんなにいるのにさっき、家族みんなで食事するって : ・

3. きゅーきゅーキュート!

児ンタ 1 ナさんの写真は絶対に撮らない、ということです。もし写真を撮ると、彼女の強す のろ へた ぎる魔カまで写り込んでしまい、撮った人が不幸になるそうです。下手をすると呪われる かもしれない、とのことです。ですから、写真を撮るという行為だけはあ、絶対にしない と約東して下さい。ビデオなども、同じですからね」 再び、低い驚きの声に包まれた生徒たちを眺めながら、理刀は思った。 どくぜっまる おそらく、毒舌丸が予防線を張ったのだろう。写真を撮られれば、キュートの幻術が破 られるから。 おおげさ 不幸とか呪いとか、多少大袈裟な気がしないでもないが、このくらい脅しておかないと、 きっと写真を撮られる。 紹介されている間、キュートはすっと教壇の前に立ったまま薄い笑みを浮かべていた。 スキュース・フォンターナさん、と名前を呼ばれたときも、その笑みは崩れなかった。 ひとみあお でも理刀には、そのときだけ、瞳の碧がわずかばかり濃くなったように見えた。 教師や生徒たちはみんな、キュ 1 トを一魔界の至宝スキュース・フォンターナとして 見ているようだ。波打っ銀髪や突き出した強烈な胸を見て、気圧され気味になっているの かよくわかる かわい でも、中身はちっちゃくて可愛らしい、キュート・フォンターナである 学校にいる間ずっと、キュートは常にそのギャップを幻術で埋め続けていなければなら ないのだ。精神的にも体力的にも疲れるだろうな、と理刀は思った。

4. きゅーきゅーキュート!

「あたしの家族 ? いろいろよ。写真あるけど、見る ? 言いながら、背負ったネコ顔リュックを下ろすと、チャックを開けてゴソゴソと中身を 探り、そこから葉書サイズの本を一冊取り出した。厚みは一センチほど。写真というから には、アルバムなのだろう。薄茶色の革表紙という、しつかりとしたっくりのものである。 のぞ 理刀はそれを受け取り、開いた。スキュースが、隣から覗き込んでくる。彼女の銀髪か ら微かに漂ってくるイチゴの香りに、ちょっとドキドキだ。 写真の中で、銀髪をツインテールにしたスキュースを真ん中に、十数人の若い女性たち が笑っていた。 背格好はみんなバラバラ。髪の色も、銀髪比率が高いようだが、全体的にはバラバラ。 ポーズもバラバラ。年齢もバラバラ。共通しているのは、全員が笑顔ということだけ。 いったいなんの集団なのか、よくわからない 気になったのは、中央にいるスキュースの胸。ペタンと平たく、ポリュームの欠片もな い。これで、上げ底疑惑解明である。が、理刀はそのことに触れるつもりはなかった。 話題を、スキュースといっしょに写っている女性たちへむける 「みんな家族 ? たくさんいるね」 「飾・ : ・ : じゃなくて : ・ : ・、妹たちよ」 「妹 ? この人たちが ? 全員 ? うなずくスキュースから目を離し、理刀は再び写真を見下ろした。だがどう見ても、全 かす

5. きゅーきゅーキュート!

「あたしの家族 ? いろいろよ。写真あるけど、見る ? 言いながら、背負ったネコ顔リュックを下ろすと、チャックを開けてゴソゴソと中身を 探り、そこから葉書サイズの本を一冊取り出した。厚みは一センチほど。写真というから には、アルバムなのだろう。薄茶色の革表紙という、しつかりとしたっくりのものである のぞ 理刀はそれを受け取り、開いた。スキュースが、隣から覗き込んでくる。彼女の銀髪か ら微かに漂ってくるイチゴの香りに、ちょっとドキドキだ。 写真の中で、銀髪をツインテールにしたスキュースを真ん中に、十数人の若い女性たち が笑っていた 背格好はみんなバラバラ。髪の色も、銀髪比率が高いようだが、全体的にはバラバラ ポーズもバラバラ。年齢もバラバラ。共通しているのは、全員が笑顔ということだけ。 いったいなんの集団なのか、よくわからない 気になったのは、中央にいるスキュ 1 スの胸。ペタンと平たく、ポリュームの欠片もな これで、上げ底疑惑解明である。が、理刀はそのことに触れるつもりはなかった。 話題を、スキュ 1 スといっしょに写っている女性たちへむける。 「みんな家族 ? たくさんいるね」 「姉・ : : ・じゃなくて : : : 、妹たちよ」 「妹 ? この人たちが ? 全員 ? うなずくスキュ 1 スから目を離し、理刀は再び写真を見下ろした。だがどう見ても、全 、 0 かす

6. きゅーきゅーキュート!

「スキュースのほうが年下に見えるけど」 理刀は、正直な感想を口にした。 「な、なに変なこと言ってんのよ。どう見たってあたしのほうが年上でしよ」 「いや、身長だって妹さんのほうが高いし、どう見たって、その、大人だし : あおいろひとみ スキュースの表情が強張った。碧色の瞳で、理刀の顔を覗き込んでくる。 「いま、あたし、どう見えてる ? 「どうって : 質問の意味が、よくわからない。 スキュースが、引ったくるようにして理刀の手からアルバムを奪い取り、適当なページ を開いた。そして、一枚の写真を指さす。 生 誕「あたしが、この中のどこにいるかわかる ? 」 銀髪をツインテールにしたスキュースを囲み、十人ほどの女性が写っている へ ン 「あの : ・・ : ど、つしたの ? 」 ゴ 「いいから ! あたしはどこにいるのに」 へきがん スキュースの碧眼は、真剣そのものだ。 章 彼女の勢いに押され、なにがなんだかわからないまま、理刀は写真の真ん中で笑ってい るスキュースを指さした。そして、やんわりと言った。 のぞ

7. きゅーきゅーキュート!

「スキュースのほうが年下に見えるけど」 理刀は、正直な感想を口にした。 「な、なに変なこと言ってんのよ。どう見たってあたしのほうが年上でしょ 「いや、身長だって妹さんのほうが高いし、どう見たって、その、大人だし : : : 」 こわば あおいろひとみ スキュースの表情が強張った。碧色の瞳で、理刀の顔を覗き込んでくる。 「いま、あたし、どう見えてる ? 「どうって : 質問の意味が、よくわからない。 スキュースが、引ったくるようにして理刀の手からアルバムを奪い取り、適当なページ を開いた。そして、一枚の写真を指さす。 生 誕「あたしが、この中のどこにいるかわかる ? 銀髪をツインテ 1 ルにしたスキュースを囲み、十人ほどの女性が写っている へ ン 「あの : : : ど、つしたの ? ゴ 「いいから ! あたしはどこにいるの卩 へきがん スキュースの碧眼は、真剣そのものだ。 章 彼女の勢いに押され、なにがなんだかわからないまま、理刀は写真の真ん中で笑ってい るスキュースを指さした。そして、やんわりと言った。 のぞ

8. きゅーきゅーキュート!

「してるわよ。決まった時間になると、みんな集まってくるの。何人かは、たまに仕事と かで欠席するけど」 「食堂、ひろいんだろうね : : : 」 「少なくとも、あたしの部屋よりずっとひろいわね」 スキュ 1 スの部屋も、それなりにひろくて、調度品なんかも豪華なんだろうな、などと 想像しつつ、理刀はアルバムの最後のページを開いた。 写っていたのは、スキュースともうひとり、大人の色気を全身から放出しているかのよ うな女性だった。ピッタリとした黒いドレスに包んだこの体こそ、ポンキュポンと形容す ふさわ るに相応しい。ワンポックスカーを運転していたおじさんに見せてあげたい。 空の光を溶かし込んだかのような銀髪が、スキュースのものと同じ輝きを放っている 写真には、甘えた様子のスキュースが、女性の腰に抱きついている姿が収められていた うれ 嬉しそうに目を細めた女性の表情は、まるで母親のそれだ。 「この人は ? 「こ、この娘はいちばん下の妹なの。キュートっていうのよ」 スキュースが、微妙に焦っているような : : : 。気のせいだろうか 「いちばん下 ? 」 女性の外見年齢は、二〇代後半。対して、スキュースは一二、 しか見えないのだが : 三。スキュ 1 スが年下に

9. きゅーきゅーキュート!

うれ 「してるわよ。決まった時間になると、みんな集まってくるの。何人かは、たまに仕事と かで欠席するけど」 「食堂、ひろいんだろうね : : : 」 「少なくとも、あたしの部屋よりずっとひろいわね」 スキュ 1 スの部屋も、それなりにひろくて、調度品なんかも豪華なんだろうな、などと 想像しつつ、理刀はアルバムの最後のページを開いた。 写っていたのは、スキュ 1 スともうひとり、大人の色気を全身から放出しているかのよ うな女性だった。ピッタリとした黒いドレスに包んだこの体こそ、ポンキュボンと形容す ふさわ るに相応しい。ワンポックスカーを運転していたおじさんに見せてあげたい。 空の光を溶かし込んだかのような銀髪が、スキュースのものと同じ輝きを放っている 写真には、甘えた様子のスキュースが、女性の腰に抱きついている姿が収められていた。 嬉しそうに目を細めた女性の表情は、まるで母親のそれだ。 「この人は ? 「こ、この娘はいちばん下の妹なの。キュートっていうのよ」 スキュースが、微妙に焦っているような : : : 。気のせいだろうか 「いちばん下 ? 女性の外見年齢は、二〇代後半。対して、スキュースは一二、 しか見えないのだが : 三。スキュースが年下に

10. きゅーきゅーキュート!

「きた ! 」 理刀は、建物の陰から飛び出した。 黒媛、巴、百香も走り出す。 まず毒舌丸、そしてキュートがホテルから出てくるのが見えた。そのまま、入口前に横 づけされたリムジンへ乗り込んでいく 「キュートっ ! 」 叫んだ。 写真で見せてもらったのと同じように、銀髪をツインテールにしたキュートが、車内に 片足を入れた格好のまま、驚きの表情を理刀へむけた。 見えたはすだ。走ってくる理刀や黒媛たちの姿がそれなのに、キュートは車へ乗り込 み、自らの手でドアを閉めてしまった。 女 少毒舌丸が、理刀たちへチラリと視線をむけたあと、ゆるやかな動きで車の後ろを回り、 右側のドアから車内へ入った。 コキュートを車から引っ張り出そうと、理刀はドアに飛びついた。が、例のホテルマンた ちに強いカで押さえつけられる 「警察を呼ぶぞ ! 」 章 関係あるかっ ! 理刀は、ホテルマンたちの腕を振り解こうともがくが、びくともしない。太い腕は伊達 だて