902 すに背 5 プロローグ 一章ドラゴンヘッド誕生 ニ章バスルーム情景 章ペンタグラム体験 四章シスターズ強襲 五章 ーティ開催 六章セレモ一一ー突入 七章メランコリック少女 ェビローグ 254
902 す第背 5 プロローグ 一章ドラゴンヘッド誕生 ニ章バスルーム肩景 三章ペンタグラム体験 四章シスターズ強襲 五章 ーティ開催 六章セレモ一一ー突入 七章メランコリック少女 ェビローグ 254
四章シスターズ強襲 「気にせす笑えばいいのに : 理刀のつぶやきに、キュートは「きゅ ? 」と彼に目をむけた。 だれに対しての言葉なのか、そしてどういう意味なのか、よくわからない 「笑ってたら、楽しいのに」 ます 理刀の目は、真っ直ぐにこちらを見ている。ということは、自分にむかって「笑え」と 彼は言っているのだ。 笑え ? 人間のくせに、なにを偉そうに : みやあおみやあお、とシイちゃんが鳴く。まるで、「そうそう、その通り」と言ってい るよ、つに聞こえてくるから、少しばかり腹が立っ 襲 強「なによ、笑ってるじゃない」 一「笑ってるけど、なんていうか、笑ってないんだよなあ ス 「一言ってることがわからないわ」 シ せきばら 理刀が、試合をしている生徒たちへ目をむける。そして、こほん、と咳払い。 章 四 「キュートの笑顔さ、その、なんだ、つまりなんていうか : : : 」 ・ : なにが言いたいのよ理刀、ちょっと変よあんた」
五章ハーティ開催 理刀と歩いてレゾン学院へむかう途中、キュートは小さな胸の痛みを覚えた。 実際の痛覚を刺激する感覚ではなく、これは、心の痛み 痛みが、どんどん大きくなっていく。 、つカカ 理刀の横顔を窺った。シイちゃんの口元に手をやり、楽しそうに遊んでいる。傍からだ と、さぞ変な人間に見えるだろう。 会ったときから、不思議に思っていた。 どうして、彼はいつも微笑んでいられるのか能ナシなのに、そのことに悩んでいる様 子はない。レゾン学院の生徒であるにもかかわらず、である : 。能ナシで なんの能力もない理刀に対し、最初は微かな優越感さえ抱いていたのに : うらや 催ノー天気な彼が、いまは羨ましい。 初めての儀式を、今夜迎える。 テ 逃げたい。 また、弱い心が疼き始める。自分に自信がないばかりに、逃げることに慣れてしまった。 章 五 いまここに、毒舌丸はいない。理刀とふたりで登校したい、というキュートの要望を聞 き入れてくれたのだ。 うず ほはえ かす はた
213 六章セレモニー突入 「おわっ ! 」 理刀と大巨人のちょうど中間辺りで、膨れあがった炎が人のかたちを成していく。 そして、炎の中から現れたのは、腰まで届く銀髪をなびかせた、ひとりの女性だった。
二章バスルーム情景 理刀の首に押しつけられていたものは、刃渡り一五センチほどのナイフだった。 どくぜっまる それを黒いスーツの右ポケットにしまった女性の名は、毒舌丸。スキュースのお世話係 兼護衛なのだそうだ。きれいな女性なのに毒舌丸なんて、ちょっと、いや、かなり違和感 のある名前だな、と理刀は思うが、ロにはできなかった。 理刀は、彼女を一度目にしていた。 ーティ会場で、スキュースの欠席をみんなに伝えていた女性である。ホテルからこの 浜辺まで、公爵家令嬢を追跡してきたようだ。 男装の麗人を思わせる黒のス 1 ツ姿は、身長一六八センチの理刀よりも少し高い。濡れ たようなショートの黒髪。切れ長の冷たい目。話すときも大きく動くことのない唇。その 情すべてが、意志の強さをギュッと瓶詰めにしているかのように硬質だった。 毒舌丸はすぐに、理刀がスキュースを襲っているわけではなかったことを理解してくれ ス た。もし危害を加えていたならば、本当に首を落とされたのだろうか ? 考えると怖い 「スキュース、あのさ : : : 」 章 理刀は、ふてくされたような表情で毒舌丸の横に立っている少女へ、声をかけた。 「もう気づいてるでしょ : : : スキュースってのは、あたしのお姉様の名前よ」
二章バスルーム情景 理刀の首に押しつけられていたものは、刃渡り一五センチほどのナイフだった。 どくぜっまる それを黒いスーツの右ポケットにしまった女性の名は、毒舌丸。スキュースのお世話係 兼護衛なのだそうだ。きれいな女性なのに毒舌丸なんて、ちょっと、いや、かなり違和感 のある名前だな、と理刀は思うが、ロにはできなかった。 理刀は、彼女を一度目にしていた。 1 ティ会場で、スキュースの欠席をみんなに伝えていた女性である。ホテルからこの 浜辺まで、公爵家令嬢を追跡してきたようだ。 男装の麗人を思わせる黒のスーツ姿は、身長一六八センチの理刀よりも少し高い。濡れ たようなショ 1 トの黒髪。切れ長の冷たい目。話すときも大きく動くことのない唇。その 景 情すべてが、意志の強さをギュッと瓶詰めにしているかのように硬質だった。 」毒舌丸はすぐに、理刀がスキュ 1 スを襲っているわけではなかったことを理解してくれ ス た。もし危害を加えていたならば、本当に首を落とされたのだろうか ? 考えると怖い 「スキュース、あのさ : : : 」 章 理刀は、ふてくされたような表情で毒舌丸の横に立っている少女へ、声をかけた。 「もう気づいてるでしょ : : : スキュースってのは、あたしのお姉様の名前よ」
85 二章バスルーム情景 毒舌丸が、いたって冷静に解説してくれた キュートが、大きなため息をつく。 「男の子ウケのいい服を着たり、お料理の勉強をしたり、お稽古ごとをがんばったり : 女を磨く努力は欠かさないんだけど : : : 、酔うと、その、なんていうか : : : 」 「地獄を運んでくる、と ? 」 「そうなの : : : 」 「お話し中申し訳ありませんが、登校準備をしていただく時間になりましたので」 デリへルから理刀たちを救ってくれた毒舌丸が、表情を変えることなく棚の置き時計に 目をむけた。 ようやくここで、自分のポサポサ頭に気がついたらしく、片手で銀髪を押さえたキュー トが、顔を赤らめ足早に洗面所へ入っていく。 みやあおみやあお、とシイちゃんが鳴き出したため、慌てて理刀も彼女を追いかけた。 ごよ、つ、も、 ハタバタとした一日になりそ、つだ。
毒舌丸だけが、冷めた表情を崩そうとせず、キュートを見下ろしている。 彳いったいなにをすればいいの 理刀は、自分のとるべき行動がわからなかった。一分麦、 にわ、つ わからないから、キュートのそばを離れなかった。小さな体を小さく縮め、小さく小さ くなっている女の子を、なにがあっても守ろうと : 心に刻み込む そして、およそ一分後 : ・ 理刀の予想をはるかに超えた悪夢が、無慈悲な現実となり、 発動した。 毒舌丸が腕時計に目を落とし、 「キュートお嬢様、お時間ですー なんの感情も含まない声で、そう告げた。 突理刀には、キュートの体がこれ以上はないというほど震え、縮んだように見えた。 夜の静けさが、一秒、二秒 : : : 、続いた モ レ 三秒 : ・ セ 四秒、 章 そして五秒・ : 「きゃあああああああっ ! 」
儀式が、もうすぐ始まる 絶大な強制力とともに開始される儀式は、もはやだれにもとめることはできない。 回避、不可能 変更、不可能。 延期、不可能 キュートは、バルコニーの手すりに寄りかかり、まだ明るい空を見上げた。 すえ 儀式は、スキュースお姉様が末っ妹のためにお膳立てしてくれたもの。 出来損ないの妹が、わずかでも魔力を高められるようにと、わざわざ自分のものを譲っ てくれたのだ。 最初は、弾けそうな喜びに有頂天だった。ずっとずっと望んでいたことだった。誇らし い気持ちでいつばいだった。 だから、 『スムーズに儀式が迎えられるよう、人間界で二、三日体をほぐしておきなさい』 スキュースお姉様の言葉に、なんの疑いもなくうなずいたのだ。 テ すると、 『もう、留学手続きをしてあるから』 章 五 半ば無理やりにレゾン学院への留学を決められた。 フォンターナ家の娘としてそのまま出るのは、自信がなか 簡単なことだとは思ったが、 ぜん