執行部 - みる会図書館


検索対象: キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録
374件見つかりました。

1. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

「じゃな、朱雀。ええっと、夕方に集合だっけ ? 」 「ああ、青桃会室に五時。いま竹中が言ってた燕尾服じゃねーの ? 」 青桃会執行部から急ぎで連絡がよこされたのは、ついさきほど。下校前の校舎でだ。 " 新委員は、採寸のために青桃会室に集合。時間厳守 % 「つてことは、身長も測んのかな。なんかヤな感じ」 背の高い朱雀に向かって、こっちはこれから成長期だぜと、剣はべろりと舌を出してみせ る。 かくなる上は採寸までに少しでも栄養補給をしておかなければ、・と、あまり効き目に期待で きない思いっきだ。それにしても腹が減ったぜ、とつぶやいて、まだ夢見心地の顔の竹千代を 急かそうとしたときである。 ろ い「きゃあああああっ 1 ・」 とつじよ や突如として、すっとんきような悲鳴があたりに響き渡った。 ン一叫んだのは、竹千代。 キ 「な、なにつ ? 慌ててふり返る剣 . の目のまえに、上空からなにかが降ってくる。 せ あわ

2. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

138 翌日。 すざく 「えつ、なになに、朱雀。おまえのとこにもラブレターが来たのかよ ? 」 きさらぎつるぎ 「来たぜ。如月剣からの熱烈なお誘い状」 「うわっ。言っとくけど、オレ書いてねーからな」 湖のほとりの青桃館の前庭だ。 青桃会執行部と、新委員を含めた各委員会メンバーは、授業を免除されて、朝から夜会の準 備にかかりきりになっていた。 ここのえりよう 九重寮裏手の石畳の道を十五分ばかり歩いた奥にある青桃館は、デコラテイプな洋風建築 の二階建て。一階部分が天井の高いホールで、まるでフランスあたりの宮殿を縮小して持って きたような華麗な外観である。 ひんばんもよお いまでもこの建物は、来賓や卒業生を招いての夜会、ダンス・。ハーティーなどが頻繁に催さ れる学園内社交場だという話で、 かれい せいとう らいひん

3. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

138 翌日。 すざく 「えつ、なになに、朱雀。おまえのとこにもラブレターが来たのかよ ? 」 きさらぎつるぎ 「来たぜ。如月剣からの熱烈なお誘い状」 「うわっ。言っとくけど、オレ書いてねーからな」 湖のほとりの青桃館の前庭だ。 青桃会執行部と、新委員を含めた各委員会メンバーは、授業を免除されて、朝から夜会の準 備にかかりきりになっていた。 九重寮裏手の石畳の道を十五分ばかり歩いた奥にある青桃館は、デコラテイプな洋風建築 の二階建て。一階部分が天井の高いホールで、まるでフランスあたりの宮殿を縮小して持って きたような華麗な外観である。 ひんばんもよお いまでもこの建物は、来賓や卒業生を招いての夜会、ダンス・。ハーティーなどが頻繁に催さ れる学園内社交場だという話で、 ここのえりよう かれい 0 せいとう らいひん

4. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

ろうか ドアから廊下を見渡して、 「 : : ・鹿ヶ谷 ? 」 朱雀が意外な名前を口にしたので、剣はふたたび注文票を取り落とした。 「えつ。鹿ヶ谷 ? 」 見れば確かに、鹿ヶ谷。 おび 朱雀に腕を引っ張られてすっかり怯える顔つきになっているのが、 " 学年一の美少年〃だっ けもの 肩をすくめて震えている。まるで恐ろしい獣に出くわした小動物のように、鹿ヶ谷はただで さえ大きな目を落としそうなほど瞠りつつ、 「ごっ : : ごめんね、ごめんね、如月つ。僕 : : ・キミたちがいるなんて、知らなくって。あの : その : : : ドアが開いてたもんだから、つい。でも、決してのぞくつもりじゃあ、なかった んだよ。ほんとなんだ。お願いだから、放してつ」 い「にしても鹿ヶ谷、なにしに来たの、おまえ。こんなに朝早く」 や : そうつ、ときどき、こうやってこっそり先輩たちの匂いを嗅ぎにくる 「ぼ、ぼ、僕は・ じ 外んだよっ ! 」 キ 「匂い ? 」 「だって : : : だって : : : 憧れの青桃会執行部のお兄さまたちの残り香だからつ。それはそれ ( 0 あこが みは にお

5. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

138 翌日。 すざく 「えつ、なになに、朱雀。おまえのとこにも一フプレターが来たのかよ ? 」 きさらぎつるぎ 「来たぜ。如月剣からの熱烈なお誘い状」 「うわっ。言っとくけど、オレ書いてねーからな」 湖のほとりの青桃館の前庭だ。 青桃会執行部と、新委員を含めた各委員会メン・ハーは、授業を免除されて、朝から夜会の準 備にかかりきりになっていた。 九重寮裏手の石畳の道を十五分ばかり歩いた奥にある青桃館は、デコラテイプな洋風建築 の二階建て。一階部分が天井の高いホールで、まるでフランスあたりの宮殿を縮小して持って きたような華麗な外観である。 ひんばんもよお いまでもこの建物は、来賓や卒業生を招いての夜会、ダンス・。ハ ーティーなどが頻繁に催さ れる学園内社交場だという話で、 ここのえりよう かれい せいとう らいひん

6. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

「じゃな、朱雀。ええっと、夕方に集合だっけ ? 」 「ああ、青桃会室に五時。いま竹中が言ってた燕尾服じゃねーの ? 青桃会執行部から急ぎで連絡がよこされたのは、ついさきほど。下校前の校舎でだ。 " 新委員は、採寸のために青桃会室に集合。時間厳守 % 「つてことは、身長も測んのかな。なんかヤな感じ」 背の高い朱雀に向かって、こっちはこれから成長期だぜと、剣はペろりと舌を出してみせ る。 かくなる上は採寸までに少しでも栄養補給をしておかなければ、》と、あまり効き目に期待で きない思いっきだ。それにしても腹が減ったぜ、とつぶやいて、まだ夢見心地の顔の竹千代を 急かそうとしたときである。 ろ い「きゃあああああっ 1 ・」 な とつじよ や突如として、すっとんきような悲鳴があたりに響き渡った。 - 叫んだのは、竹千代。 ・キ 「な、なにつ ? 」 慌ててふり返る剣の目のまえに、上空からなにかが降ってくる。 あわ

7. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

ろうか ドアから廊下を見渡して、 「 : : : 鹿ヶ谷 ? 」 朱雀が意外な名前を口にしたので、剣はふたたび注文票を取り落とした。 「えつ。鹿ヶ谷 ? 」 見れば確かに、鹿ヶ谷。 朱雀に腕を引っ張られてすっかり怯える顔つきになっているのが、 " 学年一の美少年〃だっ けもの 肩をすくめて震えている。まるで恐ろしい獣に出くわした小動物のように、鹿ヶ谷はただで さえ大きな目を落としそうなほど瞠りつつ、 「ごっ : : : ごめんね、ごめんね、如月つ。僕 : : ・キミたちがいるなんて、知らなくって。あの : その : : : ドアが開いてたもんだから、つい。でも、決してのぞくつもりじゃあ、なかった んだよ。ほんとなんだ。お願いだから、放してつ」 い「にしても鹿ヶ谷、なにしに来たの、おまえ。こんなに朝早くー や じ 「ぼ、ぼ、僕は・ : そうつ、ときどき、こうやってこっそり先輩たちの匂いを嗅ぎにくる んだよっ ! 」 キ 「匂い ? 」 「だって : : : だって : ・ : 憧れの青桃会執行部のお兄さまたちの残り香だからつ。それはそれ こ 0 あこが みは おび にお

8. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

「うわあ、また鹿が ! 」 「危ない ! 会長。伏せてくださいっ ぐらぐらと揺れたあげくに壁から落ちかける彫刻を、御霊寺の腕がまるで予期したかのよう なすばやさで押しとどめた。 「い、伊集院副会長は、おそらく腹痛でも起こしたんだろう。さもなくば、腰痛。さもなく つうふう ば、痛風。さもなくば : : : もしかすると単なる寝坊かも知れない。それよりも諸君、すみやか におのおのの仕事を行ってくれたまえ」 「は、はいつ」 「知ってのとおり、新委員に選ばれたもののなかには、外部からの人学生、編人生が含まれて いる。中等部在籍中から委員となることを熱望していた生徒のうちには、当然、彼らに嫉妬を 抱くものもあるだろう。しかし、いかに感心しかねる指名であったとしても、決まったものを 軽々しく取り消すわけにはいかないのだ」 由緒正しき青桃院の秩序をもって、来たるべき夜会を無事に執り行うことが肝心、と。 青桃会会長の厳しい言葉に、執行部メンバーたちが、はい、とそろって返事をよこす。 それぞれ残りの打ち合わせを終えて、彼らはつぎつぎと青桃会室から去っていく。 やがて、部屋のなかには、大きな鹿の頭を片手で支えたままの御霊寺がひとり。 おかん 「むむ、嫌な予感だ。わかる : : : わかるぞ。十五年の経験からして、こういう悪寒を覚えると しっと

9. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

「うわあ、また鹿が ! 」 「危ない ! 会長。伏せてくださいつ」 ぐらぐらと揺れたあげくに壁から落ちかける彫刻を、御霊寺の腕がまるで予期したかのよう なすばやさで押しとどめた。 「い、伊集院副会長は、おそらく腹痛でも起こしたんだろう。さもなくば、腰痛。さもなく つうふう ば、痛風。さもなくば : : : もしかすると単なる寝坊かも知れない。それよりも諸君、すみやか におのおのの仕事を行ってくれたまえ」 「は、はいっ 「知ってのとおり、新委員に選ばれたもののなかには、外部からの人学生、編人生が含まれて しっと いる。中等部在籍中から委員となることを熱望していた生徒のうちには、当然、彼らに嫉妬を 抱くものもあるだろう。しかし、いかに感心しかねる指名であったとしても、決まったものを 軽々しく取り消すわけにはいかないのだ」 由緒正しき青桃院の秩序をもって、来たるべき夜会を無事に執り行うことが肝心、と。 青桃会会長の厳しい言葉に、執行部メン・ハーたちが、はい、とそろって返事をよこす。 それぞれ残りの打ち合わせを終えて、彼らはつぎつぎと青桃会室から去っていく。 やがて、部屋のなかには、大きな鹿の頭を片手で支えたままの御霊寺がひとり。 おかん 「むむ、嫌な予感だ。わかる : : : わかるぞ。十五年の経験からして、こういう悪寒を覚えると

10. キケンじゃないだろ! 青桃院学園風紀録

112 ・こりようじ 御霊寺会長の目までは : : : と、ナイフ片手にひとりごちて、昨夜のことをふり返る鹿ヶ谷で ある。 『鹿ヶ谷くん。如月剣を見張ってくれたまえ』 『そ、それは、どういうことですか ? 御霊寺先輩』 『実は : : ・彼は、とある人物にそそのかされて、来たるべき大事な夜会に不謹慎な真似をして くれないとも限らないのだ』 『とある人物が、如月剣にそそのかされてつ ? 』 『いや、逆なのだが : : : まあ、いい。であるから、新学内報委員に指名されたキミを見込ん で、ひとっ如月くんの見張り役を頼みたいのだ。夜会まではあとほんの数日。そのあいだに、 彼が不審な行動をとらないかどうかを見守っていてくれたまえ』 『見張り役、僕が ? 』 『うむ。私や執行部がおもてだって動けば、事がおおげさになるに違いない。なにぶん委員選 抜試験を終えたばかりで、まだ学内が落ち着かない時期なのだ。夜会も控えていることではあ るし、極力騒がしい事態は避けたいと思っている。そこへいくと、同じ一年生で、なおかっ同 じ新委員に選ばれたキミならば、なにかと如月くんにも近づきやすいに違いない。いいかね ・彼にまんがいち怪しいそぶりが見えたときには、すぐさま私に連絡をよこすように』 まね