今度 - みる会図書館


検索対象: クインテット! 1
42件見つかりました。

1. クインテット! 1

えんせき そりゃあ今度ばかりはひだりほどに慣れ親しんだ間柄でもなく、縁戚関係も皆無であるため、 できることなら反対したいところだが、遊恋子に対し悪感情があるわけでなし、幼少の頃に比 べ大分押しの弱くなったこの少年にとって、今回の会議は辛かった。しかも今度の相手には伝 家の宝刀「なんか問題が起きたらどうするんだ。嫁入り前の体に傷がつくかもしれないぞー 攻撃が通用しないのだ。それどころか必殺カウンター「 : : : まあ、ステキ。望むところなので もちろん ゆいのう すよ。勿論責任は取っていただけますよね、敬介サマ ? 」「ようし決まった、結納の日取りを決 と・つ めよう、敬介」「 : : : 嬉しいです。オジサマ、 いえ、これからはお義父サマですね」「そうですね。 ふつつかな息子ですが末永くよろしく、お嬢さん、あいやマイドーター」攻撃でノックアウト されるのは目に見えている 誰か助けてヘルプミー、敬介が心から祈った瞬間、願いは通じた。 「ハイハイ、みなさん一旦休憩。いつばい茹でましたから、たくさん食べてくださいね」 よいん と、余韻さんが大ざるに乗せた山盛りのそうめんを手に一同の前に登場したのである。 「あ、あ 5 そういや、朝から話し込んでたんですっかり腹ペコだ。いただきマッスルー 依然睨みあ、つ反対派 ( 一名離反 ) と賛成派の両陣営を見比べながら、今日は珍しく敬介が音 頭をとった。 「 : : : いただきます」 なら ふしようぶしよう 不承不承、それに倣う一同。束の間のインタ 1 バルに敬介はホッと胸を撫で下ろした。

2. クインテット! 1

「ああ、セガールが、ネイチャージモンさんがああ、わたしを呼んでいる」 「 : : : 仲良くやっていけそ、つですね、小唄サマ : : : うふ、、つふふ、つふふ」 「よろしく、遊恋子さん。 ひだりの説得もむなしく、アッサリ小唄は寝返った。いつの世も政治と汚職はコインの裏表 のように切っても切れない関係にあるものなのである。 「使えね工ェッ ! ダメだ、こいつ、全然使えねえっ ! 理論派キャラに見せかけて実はただ うさ・ん′、さ の馬鹿だ。そら胡散臭い通販にもだまされるわ ! ぐしゆっ」 きれつ と、またしてもひだりが壊れ始め、反対派内部の亀裂は決定的なものとなった。 しゆかい 切り崩し工作に成功した楽太郎は攻め込むチャンスとばかり、今度は反対派の首魁に向かっ ほこさき て矛先を向けた。 「それにさ、今回の発端は敬介だろ ? お前が彼女のこと家来にしちゃったんでしょ ? なあ、 ちぎ むす それってどうよ ? 主従の契りを結んでおきながら遊恋子ちゃんのこと見捨てちゃうわけ ? 「しよ、書面交わしたわけじゃあ : : : 」 苦しい言い訳だった。何より反対派の代表でありながら、今回敬介はあまり議論に参加して いなかった。発言しているのは主にひだりと小唄の一一人である。何度も確認するようだが、昨 きゅうだん こうかく 加日の家族会議の席で敬介がロ角泡を飛ばして楽太郎を糾弾したのは、楽太郎の行動に問題があ のったからであって、義理の母親と妹を迎え入れること自体に反対したわけではない。 ほったん

3. クインテット! 1

「お前は存在自体がミスティクだ、この失敗作 ! 」 「そんなに父さんのこと悪しざまに言うんじゃあない。そんなに責めると父さん泣いちゃう いいのか、父さんはなあ : : : 一度泣き出すとなかなか泣き止まないぞっ ! 」 「どんな脅し文句だよ ! 」 世界一アホな親子喧嘩を眺めながら、ひだりはやれやれとタメ息をついた。一一人の喧嘩の巻 き添えにならないようにチャーハンの大皿を抱えて退避しながら、さて今度はダイニングの後 片付けか、果たして明日その新しいお母さんがくるまでに間に合うかな、なんてことをばんや りと考えていた。 「ふう 5 」 テ と、ひだりは自分にあてがわれた部屋の中で一息ついた。 どとう 一日目からいきなり怒濤のよ、つな展開だったな。自宅から持ってきた荷物を整理して布団の 上に腰を下ろしたひだりはそんな感想を抱いた。 押 普通父子家庭のお宅に年頃の娘さんが入居してきたら、それはかなりのウェートを占める主 話 加要なイベントに位置づけられる気がするが、アッサリそれを上回るイベントが起こったせいで ずいぶんおざなりになってしまった。そりゃあ下にも置かないおもてなしを期待していたわけ

4. クインテット! 1

3 現在、室内はさながら作戦開始直前の大本営の様相を呈していた。生徒会の生徒は全員、ア サルトライフルやサブマシンガンのエアガンで武装しており、険しい顔つきで指示を待ってい 蛍光灯の明かりに照らされた長机の上には校内の見取り図が広げられており、伝令の生徒が 報告するたびに、一つまた一つと蛍光ペンでチェックされていく。 やがて校舎の侵入可能な出入り口全てにチェックが入ると、 「総員配置完了。賞金稼ぎたちも各自配置についた模様です」 「問題データ防衛作戦いつでも開始できます、会長。ご指示を ! 」 おうよう それらの報告を聞き、長机の前に座っていた猪里倫子は鷹揚に教室を見回す。 と、倫子の視線を受けた途端、生徒たちがそれぞれの作業を中断してドミノ倒しみたくパタ いふく パタ気をつけの姿勢を取る。それはまるで倫子の視線そのものに、生徒たちを畏服させる力が 備わっているかのようだった。 全員が聞く態勢になったのを確認し、倫子はゆっくりと口を開く。 「まずは、今回のキャンペーンに賛同し、今夜ここに集まってくれた皆さんにお礼を言います。 本当にありがとう。こうしてキャンペ 1 ンを実行に移せたのもひとえに皆さんの協力があった からです」 と、一度深々と頭を下げてから、続ける。

5. クインテット! 1

790 十兵衛が訊ねると、生徒たちは「元剣道部 ! 」「元ボクシング部 ! 」「空手 ! 」「レスリング部ー と口々に応えた。 おうよう 十兵衛はそれを聞き、鷹揚に頷く。 その直後、 「つめえええん ! 」 先程剣道部と応えた生徒が、手にした竹刀を振りかざして十兵衛に襲いかかってきた。 だが、十兵衛は一向慌てることもなく、スイと半身を反らしてそれをかわす。空振りした剣 道部員はバランスを崩して思わずつんのめった。 その足に、すかさす十兵衛が足払いをかけようとした。 直前、 「しえいっ ! 」 今度は側方から踏み込んできた空手部の生徒が前蹴りを放った。 十兵衛は即座に剣道部員への追撃を諦め、後ろに跳び退がる。 が、空手部員はさらに踏み込んで、中段突きを繰り出してきた。 すると十兵衛、今度は避けよ、つとせす、空手部員に向かって手を伸ばした。拳が到達する寸 前、しゆるりと手の平で相手の腕を滑るようにいなす。 突きの軌道を逸らされた空手部の生徒は、まるでレールを切り替えられた列車のように、見 「ラグビー こぶし

6. クインテット! 1

45 第 0 話押しかけクインテット 「え ? なになに ? 聞こえない 「いや、そのな、さいこ : : : わいを、だなあ」 「はい ? もう、ちゃんと言ってよ」 「うっせえな、せかすなよ ! だから、明日親父と新しいお袋さんの再婚祝いでもやろうかっ て言ってんだよ ! 」 促され敬介はヤケ気味に怒鳴った。 「再婚祝い ? 」 ひだりは意外そうな顔で敬介を見た。 「お、おう。なんだよ、文句あんのか ? 」 そう言いながら、今度は敬介の方が不機嫌そうに眉をしかめてそっほを向いた。その横顔は ガキ大将の頃のままだ。 「ううん、 いいよ。やろやろ、手伝うよ」 途端、ひだりはクスッと笑って言った。 「上手くいくといいね ? 「別に。親父のことだから適当にやるだろうよ」 「違うよ。 : : : 敬ちゃんと、新しいお母さん」 「 : : : ちつ」

7. クインテット! 1

7j2 パチパチパチパチパチパチー 車内に割れんばかりのスタンディングオペーションが巻き起こる が、その直後、 ガシッー と、 ープルの腕がツバメの足首をつかんだ。 「もっとも、それはインポッシプルだがね ! 」 「うわきゃう ! 」 ガバッとパ 1 プルが身を起こし、今度はツバメが宙吊りになった。 「いやはや、まったく、いきなりオンリー装甲のないフェイスにニー蹴りされたものだからオ イルストップ油断してしまったよ。ふむ、次はヘルメットの開発をハリアップせねばならんね。 いかに私がジーニアスサイエンティストといえど、やはりミスティクからラーニング学ぶべき ことはソウメニー多いものだ」 そうしてパープルは片手でツバメをぶら下げたまま、ハンカチで丁寧に鼻血を拭き取ると、 「ともかくなかなかインタレスティングなデ 1 タをゲットすることができたよ。パワードスー ツのスペックを試すいいテストになった」 コッコッとスーツの腹部を叩き、にやりと笑う。 くっとツバメが悔しそ、つに顔をゆがめた。

8. クインテット! 1

みずか 「しれないというのに。恨むなら自らのフールさを恨むがべターだぞ。見つけたからには決し てランナウェイさせはーレーーー 例のの撮影 ? 「え ? てい、つか、なに ? シャラップ ! 黙りたまえ乗客諸君 ! 」 たまりかねてパープルが怒鳴った。 、プルースワロ 1 「とにかく、見つけたからには覚語するかいし アン・ラブソディーの戦闘員として改造してくれるわ ! 」 「黙れたまえなさい ピシャリとツバメは一言った。 その顔にはこれまで見せたことのないハッキリとした憎悪が浮かんでいた。 そ、つして、 ス 「 : : : 変ん 5 身っ ! 」 ブ首に巻いた青いチョーカーに触れると、声高に叫んだ。 こ包まれ、 筑次の瞬間、ツバメの体がまばゆい光。 私 「はああああああっ ? 」 話 敬介はまたしても我が目を疑った。 光が収まると、そこには。 うら 今度こそ君を我がポヘミ

9. クインテット! 1

ノ 04 ん ! 」 「ふーん」 どちらかというとそういうインパクト重視のよりも簡潔に必要事項だけを流すの方 あいづち が好みで、それ以上にがない方が好みな敬介はどうでもよさそうに相槌を打った。 「なんか聞いた感じ、ずいぶん泥臭い役どころだな」 「違うよ、敬ちゃん。そこのはそういうのが持ち味なんだよ」 とうりゅうもん 「そうそう。っーかあそこのは新人発掘に定評があって、最近じやアイドルの登竜門みた いになってるぜ」 「その O> に起用されたアイドルは必ずプレイクする、なんてジンクスがあるくらいでござる 「ふーん」 三人の説明に、敬介はもう一度気乗り薄に頷いた。 「頼むよ敬介。ほら、お前が欲しがってたイージスのプラモ買ってやるから。アスランのやっ」 「言ってねえよ ! 」 「何でだよ ! 今度はファーストじゃあないぞ、だぞ ! 世代的にも問題ないじゃ 「興味ねえんだよ ! つか、高校生にもなってプラモごときで釣られるかー 「あ、はいはい ! オッサン、俺にくれ。プラモ」

10. クインテット! 1

るように協力してあげてるんじゃん」「ちげえよ、食べた上で嫌いなんだよ。甘いおかずで米が 食えるかー などというやり取りをしながら敬介は応えた。 すると小唄はちょっとだけ眉をひそめ、 「その前にとりあえずその呼び方はやめてもらえないかな。他人行儀にして欲しくないよ」 「あ、ああ、悪い。えっと : ・ 小唄」 耳の後ろを掻いてそう言った拍子についカボチャを口に入れてしまい、げほげほむせる敬介。 それを聞いた小唄は満足そうに頷いてから言った。 「わたしは別に気にしないぞ」 「あん ? 何が ? 「アニさんはたとえ話のつもりだったようだが、わたしはアニさんに何をされても気にしない ぞ。お風呂を覗かれようが寝込みを襲われようが全然問題ない。むしろ望むところかもしれな 、。ドンと来いだよ」 ぶつつ ! 今度は敬介だけでなくひだりも一緒にむせ返った。 「はああああっ ! 」 「えええええっ ! 」 「親密な関係が築けるといいね、アニさん」