台詞 - みる会図書館


検索対象: クインテット! 1
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1. クインテット! 1

「そんな薄ら寒い台詞死んでも口にするか、ポケ」 台無しである。敬介は咳払いしてから改めて、 「あー、まあ、その、なんだ : : : よろしく」 なんとも締まりの悪い台詞で新しい家族を歓迎した。 「・・ : : ありがとう、アニさん。これからよろしく」 新しい妹さんがニッコリと笑って言った。 新しい母さんはそっと目元を拭っている。 「それじゃ、タご飯にしようよお。 : : : すっかり冷めちゃってアレだけど」 そしてその場を取り成すようにひだりが口を開き、 「いただきマッスル ! 」 「いただきます」 テ ようやく椿家の面々は料理に手をつけた。 「そうそう、アニさん。さっきの話だが」 と、音を立てずにスープを口に運びながら小唄が敬介に話しかけた。 「ん ? 何だ ? 小唄さん」 話 第皿の中のカボチャを取り除こうとして、ひだりと「こら、好き嫌いしちゃあダメだってば」 「うるせえ、お前俺がカボチャ嫌いなのわかってて入れてるだろ」「敬ちゃんの食べず嫌いが直

2. クインテット! 1

346 「 : : : 俺が、んな命令素直に聞くと思うか ? 」 敬介が言葉の中に怒気を込めて訊ねる。 「オイオイ、滅多なこと考えるなよ。大事な幼なじみがどうなってもいいのか ? 」 「やってみろ。撃った瞬間、俺にぶちのめされる覚悟があるならな」 敬介はポキポキと指を鳴らし、余裕たつぶりに言った。 「はん、ハッタリだな」 が、敬介の台詞を聞いた主水は怯んだ様子もなく薄く笑った。 「強がったってダメだぜ、敬介。お前にはできねえよ」 「ああ ? 眠たいこと言ってんじゃあねえぞ、コラ。テメ工ぶちのめすなんざ、一秒もかから ねえぜ」 「なるほど確かに、俺をぶちのめすのは簡単だろう。けど、いくらお前でもこの距離じゃあ、 銃弾よりも早く俺を殴りつけることはできない ・ : それに、ロじゃあなんだかんだ言っても、 、や、できない。、 お前はひだりちゃんを見殺しにしたりしない。しし カキの頃さんざんお前の子 分やらされてたんだ。ようく知ってるさ。劉備と違って、、お前は自分の身内を見捨てたりしな 絶対に、だ」 「ぐっ : 全てを見透かしたような主水の台詞に、敬介は思わす言葉に詰まった。 ひる

3. クインテット! 1

「フツ、なかなかやるな」 まるで少年マンガの敵役みたいな台詞を口にしながら立ち上がる藤村。名前どおり、どこま でも芝居がかった台詞を忘れない男である。 グラップラ 「なるほど、お前は組み打ち系か」 かっこう がてん 小唄の恰好を眺め回し、合点が行ったというように藤村は頷いた。 普通このようなルール制限の少ない路上の試合では布面積の多い衣服は着用しない方が無難 である。打撃の衝撃を伝えてしまうし、布地が多ければ多いほど、それだけ相手につかまれる リスクが増すからだ。現にそれを考慮に入れた藤村はタンクトップにレ 1 サ 1 パンツという、 振り付け師みたいな恰好をしている。 にも関わらず小唄が全身をスッポリ包み込むツナギを着用しているのには、どうしてもこの 服でなくてはならないという理由があったためだ。 概して、投げ技や関節技などの組み合いを主とする選手はタックルを多用する。その際に最 大の敵となるのがアスファルトなのである。タックルの基本は相手よりも重心を低くすること ア にある。生半可な角度からのタックルは相手の膝蹴りの恰好の的になるし、タックルの衝突カ も落ちてしま、つからだ。 話 そのため地面すれすれに突進する必要が生じるわけだが、そうなると今度はアスファルトに よって手足をすりむいてしまうことになる。

4. クインテット! 1

2j2 「いい加減始めよう。ギャラリーも退屈し始めた頃だ」 プウンツ ! にわかにオープンスタンスに構えた藤村が前蹴りを放った。 「あっー ポスッと小唄の腹部に蹴りがめり込み、小唄の身体がくの字に折れる。 かに見えたが、 「 : : : それは、わたしの台詞、だっ ! 」 藤村の足を両腕で受け止めながら、小唄はギリギリと歯を食いしばった。インパクトの寸前、 バックステップして衝撃を吸収したようである。 しゆるん。 と、小唄の腕が藤村の蹴り足を取りに行った。続いて藤村の足首をねじ上げる。プロレスで まんだら 俗に「曼荼羅ひねり」と呼ばれる投げ技だ。 「むつ、関節か ! 」 とっさに判断した藤村は自分から跳躍し、空中で体 ) 」とひねって何とか小唄の腕から逃れた。 受身を取って着地し、そのまま転がって小唄と距離を置く。 「おおおおおお 55 ! 」 と、数瞬間の攻防が終わり、ようやく始まった試合に会場中が沸く。

5. クインテット! 1

276 「そう、それだよ ! 俺はそれに則って連中の挑戦を受けて、返り討ちにしただけだろうが 何も校則に違反してないぜ」 「確かに。そもそも廃部になった部活に対して特例措置を設けるよう、学校側に掛け合ったの は生徒会ですからね。それ自体に問題はないわ」 けが 「それみろ。連中が怪我しようが俺には責任ないんじゃないか」 「部活の、生徒はね」 いったん とそこで倫子は一旦台詞を区切り、教室の入り口の方へ視線を向けた。 「あっ ! 」 釣られて戸口を振り向いた敬介は、そこに立っている人物を見て思わず声を上げた。 そこには、例のサバゲー同好会の芹沢という生徒がいた 「正式な部活の生徒でない彼に危害を加えることは校則で認められていないわ」 「ふつざけんな ! あいつの方が先に仕掛けてきたんだよ ! 正当防衛だ ! 」 「見たところ、キミに目立った外傷は見あたらないようだけれど」 倫子にそう切り返され、敬介は思わす言葉に詰まった。 「あいや、しばし ! 」 と、そこでも、つ一人の当事者、十兵衛が口を挟んだ。 のっと

6. クインテット! 1

ノ 42 ドクター ープルと呼ばれた男はにわかに真面目な顔つきになり、ツバメの方に向き直る 「はああああああっ ? え ? なにお前、あいっと知り合いかっ ? 「忘れたとは言わさないぞ ! ボクを改造した張本人めつー 敬介の質問など聞こえていない様子でツバメはキッとパープルを睨みつけ、 「あっ、馬鹿 ! 」 敬介が慌てて制止したときにはもう遅い ちゅうちょ ツバメは躊躇せず野球帽と眼鏡を取り去っていた。 「貴様はプルースワ 「陣内ツバメだあああああああああー ープルの台詞は乗客たちの驚きの声によってかき消された。 「うわっ、やべ ! 本物だよー 「フッフッフ、まさかこんなところでミ 1 ッするとは奇遇だな、プル 1 スワロー がしか 「マジかよ、写メ写メ ! 」 「だがしかし、その行為はスマートとは一言えないな。サイレントしていれば気づかずにスル 1 していたかもしれなーー」 「わあ 5 、顔小さ 5 い。脚長 5

7. クインテット! 1

〃 8 「オーケイ、とりあえずこの娘がアイドルだってのはわかった。変身ヒロインだってのもな」 たいめん 日曜日の朝、敬介はダイニングに腰かけ対面の父親に向かって言った。 「 : : : で ? それが何でウチにいる ? それから、視線を自分の真横に泳がせる 「ん 1 、あれ ? 見えない : : 目が見えにやい つぶや ねぼまなこ 視線の先には、そんな呟きを繰り返しながら、寝惚け眼でポロポロおかずをこばし続けてい じんない る陣内ツバメの姿があった。彼女の目の前にある塩鮭はどんどん鮭フレークへと変貌を遂げて いる 「だから何べんも言ってるだろ ! 彼女が悪の秘密結社に改造されてるところを助けたんだっ てば ! 」 らくたろう と楽太郎は言った。 「楽太郎さん、それはもうわかったから」 せりふ 「いい加減他の台詞が聞きたいものだな、パヾ 第 1 話私鉄沿線プルース 0 けい亠 9 け えんせん 0 ノさん」

8. クインテット! 1

「うむうむ、さすがの敬介氏といえど、これだけの警戒網をかいくぐってデータを入手するの は至難。捕まるのも時間の問題でござろう」 「そうでなくちゃ困るわ。そのためにわざわざ高額の賞金まで用意したんですからねー 十兵衛の台詞に、倫子は当然という顔で頷いた。 「うむん。実はそれがし、そのことで少々気になることがござってな。倫子氏にお伺いしよう と思っていたのでござる」 すると十兵衛はアルカイックスマイルを浮かべつつ言った。 「なにかしら ? 」 くめん 「これほどの賞金、一体どこから工面したのでござる ? 」 びくん、と倫子の眉が一瞬動いた が、倫子はすぐにそれを隠すように笑顔を作り、 プ 「どこって、もちろん生徒会の予算から捻出したに決まってるじゃないー 「またまたご冗談を」 雨倫子の説明を十兵衛はすぐに打ち消した。 「そのような嘘でそれがしはごまかされないでござるよ。学校行事のために部活を取り潰して 話 じゅんたく 第まで支出を削減するような学校が、生徒会にそんな潤沢な予算を割り当ててくれるはずがない ではござらぬか」 まゆ ねんしゆっ

9. クインテット! 1

険のある顔つきで小唄を見据えている。その様子はどこかピラミッドの前にそびえる巨大なス フィンクスにも似ていた。 「いや、ダメだ。聞け。俺は戦う前に対戦相手にこうして演説することにしているんだ。これ は戦う前の儀式、ジンクスのようなものだ。話さなくては俺の精神衛生上よろしくない。しこ りを残すことになる。わかったな ? だから聞け」 相手の口から飛び出したとんでもない台詞に小唄は言葉を失った。 「お、横暴だな、あなたは ! どんな理屈だー やればわかる、すつごくすっきりするぞ。ギブアンドティクだ。 「ならばお前も語るがいい 聞いてやる」 「ば、馬鹿だっ ! あなたはとっても馬鹿だ」 「否定はしない。だが俺は自分のやり方を改めるつもりはない。過ちて改めず、猶いっそう突 き進む。それが俺の生き方だ」 どうやら藤村菊之助という人物はこういう性格の人間らしい。まるで初期設定の状態で既に なか ウイルスに感染している Oco みたいな人間だな、と小唄は半ば呆れ半ば感心した。 話 第呆気に取られていると、 「なんだ、語らないのか ? ならば俺が続けさせてもらうぞ」 なお

10. クインテット! 1

ノ 44 「愛と正義の変身ヒロイン、プルースワロー参上おっ ! 」 鮮やかなプルーのコスチュームを身にまとった変身ヒロインの姿があった。 「ビュ 1 ティフォ 1 眼前に出現した変身ヒロインの姿を眺めながらパープルはうっとりとした表情で呟いた。 「クツ、カーッカッカッカッカ、何度ルックしても惚れ惚れするな、プルースワロー。やはり 君は私のベストオプ傑作だ」 「そのベストオプ傑作にやられるんだ、お前は、これから」 どうもツバメは興奮すると文法を上手く操れなくなるらしい。眉を吊り上げながら、たどた どしい台詞で言った。 おしろ 「カーッカッカッカ、ティルホワイト尾も白い ドウーできるものならドウーしてみたまえ なさい。もっともーーーぶごフツー ズゴオッ ! まり 1 プルが言い終わる前にツバメはゴム鞠のように跳躍し、 1 プルの顔面に膝を見舞った。 ープルが鼻血を撒き散らしながら後方にすっ飛ぶ。 「くっ , いったん ープルはよろめきながら鼻を押さえ、一旦体勢を立て直すため車内の乗客の中に紛れ込む。 まゆ