訊ね - みる会図書館


検索対象: クインテット! 2
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1. クインテット! 2

ったのである あんど もっとも、騒ぎにならないに越したことはなかったので、敬介は安堵していたのだが。 「どうしてだと思う ? 」 たず 一方のツバメは敬介とは反対に表情を硬くして訊ねた。 「ど、つしてって : ・・ : 」 ツバメの質問の意図をつかみかね、敬介は首をかしげた。 「あれだけ目撃した人がいるんだぜよ。何でニュースにならないの ? そりゃあみんな、何か の撮影だと思ったかもしれないけどさ。電車であんな事件起こしたら普通ニュ 1 スにならにや い ? 新聞とかテレビは無理でもさ、ネットとかでは噂になったりするでしょ ? 「あっ ! 」 デ 敬介はようやくツバメの言いたいことを理解して声を上げた。 ナ 「 : : : つまり、どっかの誰かがあの事件のことを隠してるってことか」 「ん。そゅこと」 む と、ツバメがもみあげの髪を口に含んでもぐもぐしながら、こっくり頷く。 湯 「あんときのコスプレ野郎か ? , 話 第 「タブンね。まあ、少なくとも関わってるのは間違いないんじゃない ? 」

2. クインテット! 2

230 進させていく。 「なっ ? あえっ ? 」 あまりに唐突な事態に理解が追いっかず、敬介は一瞬呆然となる。よもや、温泉宿の法被を 着込んだ誘拐犯がいるとも思えず、強引な客引きにでも捕まったのか、あるいは万引きと間違 えられたのか、と思わず首をひねった。 その直後、 「あいつら ! ポヘミアン・ラブソディーの構成員だ ! 」 突然、隣のツバメがハッとして叫んだ。 「ああっ ? それって、アレか ? 電車のときのー 敬介の言葉に無言で頷き、ツバメがひだりの元へ駆け出す。慌ててその後を追いかけながら、 敬介が訊ねる 「待て待て、ツバメ ! 本当にそうなのか ? っーか、何でそいつらがひだりを誘拐するん 「ふつ、正義の味方は悪の存在がニオイでわかるんだぜよ ! あいつらからはドプ以下のニオ イがプンプンするせい ! 」 「マジでつ ? などと言いつつ二人は必死にひだりを乗せたワゴン車を追いかけた、のだが。

3. クインテット! 2

796 と宮崎の話を遮るようにして藤村は訊ねた。普段ならば、見ず知らずの他人とでも一時間は 立ち話ができるほどに話し好きの藤村だが、今夜ばかりはそうではない。一人静かに勝利の余 韻を満喫したかった。 「カ、 ノノいや、本当は前の一一位に用があったんだけどさ」 すると、宮崎は首元に巻いていたタオルをしゆるりと外し、それを今度は手の甲に巻き始め ながら言った。 「そいつはさっきオッサンに負けちまったからな。繰り上げてオッサンの方にしたんだ」 「うん ? どういう意味だ ? 「いやあ、実はね。俺、先月の頭からずっと交通事故で入院してて、先週ようやく退院したん だわ。んで、 リハビリ兼ねてちょっと喧嘩でもしようかと思ったんだけどさ。どうせやるんな ら強い奴とやった方が、いい運動になるだろ ? そうしてタオルで即席のバンテージを作った宮崎は、グッと拳を藤村の方に向けた。 「そ、ついう用か」 「そういう用さ」 と、宮崎はオウム返しに応えた。 「で、どうよ ? ちょっと相手してくんねえかな ? 「やめておけ。今日の俺は手加減ができん。退院したばかりで、また病院に逆戻りすることに

4. クインテット! 2

ノ 50 「んむ ? すると、そうめんにべッタリマヨネーズを塗りたくっていたツバメは顔を上げ、 「できるよ、料理」 ケロリと応えた。 「ええええええええっ ? 直後、敬介たちは揃って驚きの声を上げた。 「え ? なに ? ツ、ツバメ。それ、マジで言ってんのか ? いや、それ以前にお前正気か ? 」 「ツ、ツバメさん、料理の定義は人間がおいしいと感じる食物をこしらえる技術のことだよ ? 大丈夫かい、何か別のものと勘違いしているんじゃあないのかい ? 「 : : : そ、そうですよ、ツバメサマ。食べた相手を死に至らしめる毒物の精製法とかではない のですよ ? 」 「ちゃっ、も、もしくはその毒物を利用した暗殺術とか ? よもやそうめんにマヨネ 1 ズぶつかけて食うような娘にまともな料理が作れるとは思えず、 一同は疑わしそうに訊ねた。 「んだよー、みんなしてそのリアクション。ボクが料理できちゃ悪いのかよ 1 ? 」 まなざ 全員から疑いの眼差しを向けられ、さすがにツバメはぶすっとした。 、や、悪かねえけどさ。あんまり意外だったもんだから。 : っーか実際、お前ウチに

5. クインテット! 2

746 彼なりに坊主頭を精一杯にひねって、ひだりが共感するような合いの手を入れた。 「あ、ごめんね。自分の話に夢中で聞いてなかった。えっと、なに ? 」 ケロリとした顔でひだりが訊ね返した。 いいんだ」 と、宮崎はさびしそ、つに言った。 愚痴を垂れる人間には、大きく分けて一一種類の人間がいる。とにかく誰かに話を聞いてもら いたい人間と、とにかく自分の中にたまった感情を吐き出してスッキリしたい人間である。似 ているようで両者の間には結構な差異がある。 ひだりは後者のタイプの娘さんだった。 そして、後者のタイプは往々にして、とにかく自分の中にたまった感情を吐き出したい一心 で愚痴を垂れるので、相手の話をあまり聞いていない場合が多い が、それでも宮崎はめげすに奮闘した。 「俺が思うに、ひだりちゃんは椿のことを甘やかしすぎなんじゃあないのかな ? 「うーん、そうなのかなあ」 ひだりはポツリと呟いた。何かがひっかかるような気がした。ただ、何にひっかかっている のか、ひだり自身にもわからない。 ( なんだっけ : : : ? )

6. クインテット! 2

238 一方の少年がそう一言って、誘拐グループの男たちにねぎらいの言葉をかけながらひだりの顔 を覗き込んで、硬直した。 「み、宮崎君っ ? ひだりもまたその人物の顔を確認して驚愕の声を上げた。 彼女の目の前にいたのは、病院帰りのクラスメート、宮崎豹吾だった。 「、つええええっ ? ひ、ひだりちゃ、えっ ? な、何でここにつ ? 途端に狼狽を露わにした宮崎がひだりに訊ねる。 「え、ええと、あたしは敬ちゃんと泊まりがけで旅行に来てて : : : 」 「と、ととと泊まりがけええっ ? 」 がくぜん ひだりの説明を聞いた途端、宮崎が目を見開き愕然とした。 「ひ、ひだりちゃんと椿の野郎がそんな関係だったなんてつ ! 」 そうして宮崎は信じられないといった様相でガックリとその場に膝をつく。 「あ、いや、うん : : : もう面倒くさいからそれでいいや。ていうか、宮崎君はどうしてここ と、ひだりは言葉通り心底面倒くさそうな表情で宮崎に尋ねた。どういう理由か知らないが、 この坊主頭のクラスメートがこの誘拐グループの主犯格ならば、布いものなしだ。という気分 がひだりの中に芽生えていた。

7. クインテット! 2

まあ、そもそも誘拐犯であるはずの男たちが、熱川温泉の法被を着ているせいで、この場に 緊迫感は皆無だったのだが。 「えっと、もうすぐって、どれくらいですか ? ひだりは重ねて訊ねてみたが、それ以上は質問に答えるつもりはないらしく、男たちはむつ つりと押し黙ったまま、さながら密林のように所狭しと植えられた熱帯植物をかき分けて温室 の奥へと歩を進めていく。 前後左右を彼らに包囲されているひだりに逃げ道はなく、ひだりは大人しく男たちに付き従 う他なかった。 その後、五分くらい歩いただろうか。えんえんと続く熱帯植物の林が終わり、突如視界が開 一そこには周囲を熱帯植物で囲まれた、一一十畳ほどの空間が広がっていた。妙なことにそれま で土に覆われていた地面が、その空間だけコンクリートになっており、その床の中央部分に地 鵐下へ続く分厚い扉があった。 む そしてその扉の前に一人の少年が立っていた。 湯 男たちはその少年の元へ近づくと、そこでようやくひだりを解放した。どうやら自分はこの 話 い人物に会うためにここまで連れてこさせられたらしい、とひだりは理解した。 : ・なっ ? 」 「おう、来たか。へへ、どうやら無事ターゲットを拉致できたよう、だ : ぶあっ

8. クインテット! 2

ショックだったらしい。 「はわわわわわ ! ど、どどどうしよう。敬ちゃんが、遊恋子ちゃんと大人の階段のばっちゃ ったなんてええ : 「完全に自分を見失ってるな、ひだりちゃん」 「う 1 む、少し悪ふざけが過ぎたようでござるなあ」 半べそになりながら一心不乱におさげを引っ張るひだりを見て、主水と十兵衛はちょっぴり ハツが悪そ、つに舌を出した。 「まあ、せつかくだからお見舞いに行ってみるか」 「うふふ、それがしちょっぴりワクワクしてきたでござるよん」 と、一一人は顔を見合わせながらにやりと口元をゆるめた。 そして一方その隣では、 としま 曲 舞 「ちゃっ ? としまえんて、豊島区にあるんとちゃいますのん ? とうきよう うらやす ス 「うん、操さん。それはね、ネズミの国が東京と言いつつも、その実千葉の浦安にあるような 盟ものなんだよ」 監 ねりま 「にひひ、実際は練馬区だから、ねりまえんなんだよねん」 話 第 三人娘がとことん平和な会話を繰り広げているのだった。

9. クインテット! 2

〃 2 とはいえ、時間はそれほど多くない。 何しろ相手は、四六時中敬介のそばに付きっきりの遊恋子である。ひだりがど、つい、つ口実を 作って彼女を連れ出したのかはわからないが、長く見積もってもせいぜい三十分が限界であろ なので、主水と十兵衛はすぐさま路地を抜け出し、小走りで椿家に向かった。 事前にひだりから預かっていた合い鍵で扉を開け、バタバタ靴を脱ぎ散らかしながら敬介の 部屋に向か、つ 「敬介、いるか ? 」 と、一応ドアをノックしつつ主水が訊ねた。 無論訊ねるまでもなく、寝たきりの敬介が出かけているはすなどないのだが、なぜか部屋の 中から応えは返ってこなかった。 「はて ? と、一一人は揃って首をかしげつつガチャリとドアを開け、 ・ : 失礼しました」 ハタンツ ! 直後、眼前に飛び込んできた光景を眺めて、勢いよくドアを閉めた。 それから二人は一度ドアの前で大きく深呼吸してから、

10. クインテット! 2

「なあ、小嬢はん。そう思いまへん ? 」 たず そこで男は不意に顔を上げ、操にそう訊ねかけた。 こうもり 「こ、神森はん : 操が真っ青になりながら震える声で男の名前を呼ぶ。 どうせい 「いやいや、同棲相手のお宅まで伺うつもりでしたが、思わぬとこで出くわしましたな。おか げで手間が省けましたわ。買い物帰りでつか ? はは、とまれお元気そうで何よりですわ」 と、神森と呼ばれた男は操の姿を眺め回しながら、気楽そうに笑いかける。 「ん ? なに ? 知り合いか ? 」 日用品の回収に没頭していた敬介がキョトンとして操に訊ねると、操は敬介の袖をつかみ、 こわば 強張った表情でぶるぶるとかぶりを振った。 「つれないなあ、小嬢はん。はるばる京都から出張ってきたっちゅーのに」 神森は大仰にタメ息をついてから、 「にしても、まさかカタギの家に逃げ込んではるとは。探すのに苦労しましたで。組長の性格 がアレやさかい、それはない思てたんで完全に裏かかれましたわ」 「ち、ちがっ ! ウチはーーー . 」 「ふむふむ。ほんで、こっちのニイチャンが例の婿はんでつか ? ははあ、なるほど。いかに ゴンタ も小嬢はんの好きそうな腕白な面構えしとりまんな」 むこ オヤジ