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検索対象: トム・ソーヤーの冒険 上
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1. トム・ソーヤーの冒険 上

「悲しむ者、そ、の、ひーー・・ああ、なんだかわかんないよ ! 」 「その人は ! 」 「ああ、その人はだ ! その人はーーその人は、あーーその人は、悲しむーー幸福なるか な、悲しむ者、その人は・ーーその人はどうするのさ。メアリ、なぜ教えてくれないの ? な ぜそんなにいじわるするの ? 」 「まあ、トムったら、かわいそうなおばかさん。あたし、あなたをからかってなんかいな いわ。あたし、そんなこと、しやしないわ。あなた、もう一度、勉強しなくちゃだめね。が つかりしないでね、トム。きっとうまくできるからーーーーそしたら、あたし、とても、 もいもの あげるわ。さあ、いい子だから、やりましよう。」 「うん、じゃ、やるよ、メアリ。何くれるの ? なんだか、話してよ。」 、ものって一一 = ロえば、、、 「トム、そんなこと、いま考えなくてもいいの。あたしが、しし のなんだから。」 「うん、そりやそうだね、メアリ。よし、じゃ、ぼく、もう一度やつつける。」 こうきしん そして、トムは、「もう一度、やつつけた」。そして、好奇心と何かをもらえるというたの さいわい

2. トム・ソーヤーの冒険 上

い悪事と考えたことを、残念に思った。かなしい物語がすすむにつれて、人びとはいよいよ かれ ぜんかいしゅうな 感動し、とうとう全会衆は泣きくずれた。そして、彼らのはげしいすすり泣きは、涙にくれ ている家族の人たちの声に和した。牧師自身、自分の感情にまけ、壇上に声をはな「て、泣 いていた。 かいろう このとき、回廊にかすかな物音が起こ「た。が、だれもそれに気がっかなか「た。そして、 なみだ れいはいどう そのすぐあと、礼拝堂の戸がキ 1 と鳴った。牧師は、涙の目を ( ンカチからあげ、立ちすく んだー ほかの人たちも、ひとり、またひとりと、牧師の見ているほうを見た。そして、人 びとは、一時に立ちあがると、三人の死んだ少年が、通路を前進してくるさまを、まじまじ と見守った。 最初にトム、つぎにジ = ー、それから、おかざりのさが「た、ボロ服の ( ックが、はずかし かいろう そうに、こそこそとしんがりをうけたまわっていた ! 三人は、ひとの使わない回廊にかく そうしき れて、自分たちの葬式のお説教を聞いていたのだ ! 0 、 ー家の人たちは、帰って来た子どもたちにだきっき、息 ポリ 1 おばさん、メアリ、 ノ ノ のつまるほど、キスをあびせかけて、感謝のことばをほとばしらせた。ただひとり、あわれ かんしゃ ばくし だんじよう なみだ 260

3. トム・ソーヤーの冒険 上

ーたちは、ビー玉にも、サーカスにも、およぎにも、なににも気のりがしなかった。トムは みんなに、例のおどろくべき秘密を思い出させ、かすかな元気を持たせることができた。そ の元気のつづいている間に、トムは、ふたりを新しいあそびにさそった。それは、しばらく、 かいぞく 海賊ごっこはやめて、ちょっと気をかえ、インディアンごっこをやろうというのであった。 ( オカになり、頭から足の先 ふたりは、この考えにのって来た。そこで、まもなく三人は、よ、、こゝ まで黒土で線をひき、まるで何びきものシマウマのようになっていた もちろん、三人と しゅうちょう かいたくちしゅうげき も酋長だった。それから、三人は、イギリス人開拓地襲撃のために森をわけて走っていった。 ぶんれつ そのうち、少年たちは、けんかをしている三つの部族に分裂すると、ときの声をあげて物 かげから奇襲し、何千となく敵を討ちとり、頭の皮をはいだ。それは、血なま 0 さい一日だ った。したがって、また非常に満足な日でもあった。 三人は、腹をへらし、たのしく、タはん時ちかくにキャンプに集合した。ところが、こま なか ったことがおこった。というのは、敵対しているインディアンたちは、最初に仲なおりして からでなければ、いっしょにごちそうをたべることはできないのだし、またそうするには、 ぜったい 平和のタバコをすってからでなくては、絶対にだめなのであった。ほかの方法は、三人は聞 きしゅう ひみつ 253

4. トム・ソーヤーの冒険 上

しゃべるな ! 」 「しつ ! 」と、トムは言った。「静かに 三人は、ずいぶん長い間、待ったような気がした。すると、やがて、前とおなじように、 こもったような、ドーンという音が、おごそかな静けさをふるわせて、ひびいてきた。 「いってみよう。」 三人は、とびあがるようにして立ちあがると、町に面している方の岸をめがけていそいだ。 じようきせん それから、川岸のやぶをわけて、水の上をのぞいた。小さい蒸気船が、村から一マイルほど るよ、つに見 月下を、流れにのってくだっていた。その広いデッキの上には、人がいつばいい かるぶね えた。そして、その蒸気船の近くには、ゝ 力なりたくさんの軽舟 ( カ 小ミく ) が、漕いだり、流れ にのったりしていたが、その人たちが何をしているのかは、見当がっかなかった。まもなく 蒸気船の横つばらから白い煙がたくさん、どっと吹きだした。そして、それがひろがって高 くのばって、のんびりとした雲になったとき、あのにぶい、空気をふるわすような音が、ま たじっと聞きいる三人の耳にとどいた。 「これでわかった ! 」と、トムがさけんだ。「だれかが川で死んだんだ。」 ノクが言った。「去年の夏、ビル・タ 1 ナーが川で死んだとき、やつば 「それだ・」と、 けむり 218

5. トム・ソーヤーの冒険 上

あたりをつつんだやみのなかで、三人は、ぎようてんし、たがいにしがみついていた。いく つぶか、大つぶの雨が、木の葉の上に、ばらばらと落ちて来た。 「そら、早く。テントにはいれ ! 」トムがさけんだ。 三人は、くらやみのなかで木の根につまずき、つるにからまれながら、てんでんばらばら わた の方向にかけだした。いかりくるった突風が、木の間をうなって渡り、ふれるもの、すべて を歌わせた。目もくらむようなイナズマが、つぎつぎと光って、耳をつんざくような雷鳴が つづいた。どしゃ降りになり、その雨は、旋風に吹きまくられて、白いきれのように地上を 這った。少年たちは、たがいにさけびあったが、その声は、吠える風ととどろく雷鳴にすっ かりのまれた。だが、やがて、三人は、冷え、おびえ、びしょぬれの姿で、テントのかくれ がに逃げこんだ。しかし、こまったときに友がいるとい、つことは、ありがたいことのよ、つで ある。三人は、話はできなかった。ほかの音は、ともかくとしても、古い帆のばたばた鳴る あらし 音で、話はできなかった。嵐はいよいよっのり、古い帆は、まもなく、とめてある場所から ひきちぎられ、風にのって、とんでいった。三人は、手をとり合い ころんだり、すりむい つつみ ぜっちょう たりしながら、川の堤にたっているカシの大木の下まで逃げのびた。い ま、戦いは絶頂に達 とつぶう せんぶうふ すがた 250

6. トム・ソーヤーの冒険 上

けっこん ほかの者と結婚しちゃいけないんだ、する ? 」 え、あたし、あなたよりほかの人、すきにならないわ、トム。そして、あなたより ほかの人と結婚しないわーーだから、あなたも、あたしよりほかの人と結婚しないのよ。」 「そうさ、もちろんだ。それが約束のなかにはいってることだもの。それから、いつも学 校へくるときや、家へかえるときも、ほかのものが見てなかったら、ばくと歩くんだよ それから、 ーティーにいったときは、きみはぼくを相手に選ぶし、ばくはきみを相手に選 ぶんだ。だって、婚約してれば、そうするんだもの。」 「とてもすてきね。あたし、いままで、そんなこと聞いたことなかったわ。」 ー・ローレンスなんかーーー」 「ああ、とてもおもしろいよ。ほら、ばくとエミ トムは、べッキーの大きな目を見たとき、自分の大しくじりに気がついて、どぎまぎして 口をつぐんだ。 「まあ、トム ! じゃ、あなた、あたしよりほかの人と、まえに婚約したことあるのね ! 」 な べッキ 1 は位きだした。 トムは言った。 けっこん こんやく やくそく こんやく 125

7. トム・ソーヤーの冒険 上

て、おそれげもなく危険と死に立ち向かい くちびるにざんこくな微笑をうかべながら死ぬ ところを見せてやりたいと思った。ジャクソン島を、村から見えないところにうっしてしま 、つュなどとい、つことよ、ト ムの想像力をほんのちょっとつつけば、わけなくできることだった。 かいぞく そこで、トムは心は傷つきながらも同時に満足して、「見おさめ」をした。他の海賊たちもま た「見おさめ」ていた。そして、あまりいつまで、見おさめしすぎて、あやうく島からずつ とはなれたところに流されそうになった。 おうきゅうしょち しかし、三人は、うまいぐあいに早くそれに気がっき、すぐ応急処置をほどこすことがで きた。午前二時、ごろ、イカダは島のはしから二百ャードもっき出ている砂州に乗りあげ、三 ふぞくひん 人は水の上をいったり来たりして、船の荷をあげた。その小イカダの付属品のなかには古い ひょうろう 帆があったので、三人はこれをやぶのかたすみにはり、兵糧をしまうテントにした。しかし、 自分たちは、悪者らしく、晴れた戸外にねることにした。 はら 三人は、暗い密林から、二、三十歩はなれたところで、大きな丸太の腹にたてかけて、たき 火をたいた。それから、フライ。ハンでタ食のべ ーコンをいため、持って来たトウモロコシ・ ハンのストックを半分もたいらげてしまった。人の住みかから遠くはなれて、人跡未踏の、 みつりん きけん まるた びしよう じんせきみとう 203

8. トム・ソーヤーの冒険 上

えいゅう たちまち、三人は、英雄のような気がしだした。これこそ、すばらしい勝利だ「た。三人 がいなくなったということがわかったのだ。死者として、悼まれているのだ。自分たちのた めに、人びとが嘆きかなしみ、涙を流しているのだ。いなくなった少年たちに不親切だった こうかい ことを思い出して、人びとは、心責められ、いまさらどうにもしようのない嘆きや後毎にひ たっているのだった。そして、一ばんうれしいのは、いなくなった者は、町じゅうの話のた せんぼう ねになり、ともかくも、このすばらしい評判に関するかぎりでは、すべての少年の羨望の的 かいぞく にな「ているということだ。これは、すばらしいことだ「た。海賊というものは、やはり、 やりがいのある仕事なのだ。 じようきせん タやみのせまるころ、蒸気船は、いつもの仕事にもどり、軽舟はいなくなった。海賊たち も、キャンプにもどった。三人は、自分たちが急にえらくなって、あんな大さわぎをひき起 こしたことを鼻にかけて、大はしゃぎであった。そして、魚をとって、夕食の料理をしてた べた。それから、村の者たちが、自分たちのことを、どんなふうに考えたり、話したりして すいりよう いるかということを推量しはじめた。三人のために、大ぜいの者が嘆いている光景は うれしいながめだった。けれど、夜のかげが自分たちの上にせ ムたちの考えから言うと なみだ かるぶね なげ かいぞく 221

9. トム・ソーヤーの冒険 上

トムのむは、人間の考えのとどくことのできるかぎりの場所をかけめぐり、その手は、 気ばらしになる、いろいろなレクリエ ションにいそがしかったのだから。メアリは、トム の本をとって、暗誦させオ こ。トムは、霧をわけて進んオ 「幸福なるかなーー・あ、あーー」 さいわい 「ああ、しだ。幸福なるかな、心、あーー・」 「心の貧しき者ーー」 さいわい 「心の貧しき者。幸福なるかな、心の貧しき者、天国へーー天国へ 「天国は、その人のものなり。」 「天国は、その人のものなり。幸福なるかな、心の貧しき者、天国はその人のものなり。 さいわい 幸福なるかな、悲しむ者、あーー」 「悲しむ者、あーー」 「そ、の、ひーーー」 きり

10. トム・ソーヤーの冒険 上

キャンプのなかのものは、たき火もなにも、びしょぬれだった。三人は、どの子どもたち ほね とも同じように、不注意で、雨の用意はしてなかった。それで、骨まで水びたしになってい さいなん オカすこしし たというのは、こまったことだった。三人は、しきりにこの災難をこばしこ。。、、 て、気がついてみると、さっき、大きな丸太の、地面から丸くもちあがっている腹のところ に立てかけて燃やしたたき火が、おく深くくいこんでいて、手のひらほどの場所が、まだぬ れないで残っていた。そこで、あちこちのぬれていない丸太のかげから、木ぎれや木の皮を しんばうづよく集めて、たきつけた。そしてとうとう、ばうばう火を燃やしつけて、三人と えんかい もまた元気になることができた。三人は、 ( ムのかたまりをかわかし、宴会をひらいた。そ れがすむと、たき火のわきにすわりこみ、朝になるまで、その夜の冒険を大げさに話したり、 、ばったりした。というのは、どこにも横になれるほどのかわいた場所がなかったからだ。 さす 日の光が子どもたちの上にさしはじめたころ、みんなはねむくな「たので、砂州に出かけ、 横になり、ねむった。そのうち、やけどするほどじりじり焼かれ、元気なく、朝はんの支度 食事がすむと、だるくて、からだの節々はいたみ、またすこしホームシックに なった。トムは、そのけはいをみとめて、できるだけ海賊たちを元気づけた。けれど、ジョ まるた ふしぶし かいぞく ばうけん したく 252