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検索対象: トム・ソーヤーの冒険 上
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1. トム・ソーヤーの冒険 上

、ノ . 乙ー , - に綉イ、当 尸イ / を ( ながら、目の前には「きりとくりひろげられた。そうな「たとき、トムの名はどんなに世界 にとどろき、人びとは、なんとおぞけをふるうことだろう。ト ムの、長く、低く、黒い船体 フォア はた の快速船、「嵐の精」号で、前マストにおそろしい旗をはためかせながら、波うつ海を突き進 ぜっちょう むところは、なんという輝かしい光景だろう。その名声の絶頂に達したとき、トムはとつじ すがた 風雨にさらされ、日にやけた姿を、この古くさい村にあらわすのだ。そして、黒ビロウ ながぐっ ドの胴着に半ズボン、ひざの上まで来る長靴、まっかな幅びろい帯。ベルトには、。 ひかびか どうぎ あらし 新ド、 132

2. トム・ソーヤーの冒険 上

かた びしりつとムチが、ものすごい勢いでトムの肩に落 ちて来た。それから、おなじ勢いで、ジョーの肩にも 落ちた。そして、それから二分ばかりというもの、ふ たりの上着からは、もうもうとしたほこりが立ちのば 、全校生徒は、喜んでそれを見物した。ふたりの少 むちゅう 年は、あまり夢中だったので、しばらく前に先生が、 しのび足でそばまでやって来て、教室じゅうがし 1 んとなったことには気がっかなかったの だ。先生は、自分もふたりの仲間入りして、曲芸のひとくさりをや 0 て見せる前に、トムた ちの芸当をかなり長い間、見物していたのであった。 おひるで学校がお休みになったとき、トムは、べッキー・サッチャーのところへとんでい って、ささやいた。 「ポンネットをかぶって、家へかえるふりをおしよ。そして、かどまでいったらね、みん よこちょう なの目をくらまして、横丁を通「てかえ「ておいでよ。ばくも、べつの道からいって、そう やって逃げてくるからね。」 なかま 119

3. トム・ソーヤーの冒険 上

1 が、からだを洗っていたなどということは、まこと さつじんはんにん に疑わしかった。また、町では、その「殺人犯人」 たいしゅう 大衆というものは、とかく、いそいで証拠をせんさく したり、判決をくだしたりしたがるものであるーーーを、 そうさく しらみつぶしに捜索したが、見つけることができなか ったという話だった。馬に乗った大ぜいの人間が、あ らゆる方角のあらゆる道にとび、保安官は、夜になるまでにポッターは逮捕されるだろうと かくしん 「確信していた」。 きず 村じゅうの人間は、なだれるように墓地へ出かけていった。トムは心の傷も消えて、行列 に加わった。もちろん、できれば、なんとかほかのところへいきたかったのだが、おそろし 説明のつかない力が、一トムをひつばっていったのである。そして、ものすごい現場につ くや、トムは、群集をかきのけて、小さいからだを前におしだし、そのむごたらしい光景を うで むかし ながめた。前にそこにいたのは、ずっと昔のことのような気がした。だれかが、トムの腕を 、、ツクルべリの目とぶつかった。そして、ふたりはすぐ目 つねった。トムはふりかえって ・ ~ ー u ド「 POTTER-. たいほ しようこ 172

4. トム・ソーヤーの冒険 上

かられたが、そんなことは、すこしも気にかからないようすだった。トムは、おばさんのす さとう ぐ目の前で、お砂糖をとろうとして、手首を。ハンとぶたれた。 トムは一一 = ロった。 さとう 「おばさんは、シッドがお砂糖とった時なら、ぶたないじゃないか。」 「だけど、シッドは、おまえのように、ひとをこまらせやしませんよ。おまえなら、わた しが見はっていなけりや、しよっちゅうお砂糖に手をつつこんでいるんだろ。」 まもなく、おばさんは、台所へいった。シッドは、しかられなかったので、大得意で砂糖 つば ~ 手をのばした。トムを見くだしたそのようすは、もうがまんができないくらいだ「た。 ごまんえっ ところが、シッドは手をすべらし、つぼはテ 1 ブルから落ちて、われた。トムは、御満悦だ った。あまり御満悦だったので、ロをつぐんで、だまっていた。トムは心のなかで、おばさ んが、はいって来ても、だれがいたずらをしたのかときくまでは、だまっていようと考えた。 もはん そして、きかれたならば、言おう。おばさんのお気に入りの模範少年が、「お目玉」をちょう だいするところを見るほど、おもしろいことがあるだろうか。トムは、もうすっかりうれし めがね くなってしまい、おばさんが . もどってきて、そのこわれ物を前にし、眼鏡の上から、怒りの ごまんえっ だいとくい さとう

5. トム・ソーヤーの冒険 上

ばん ホノターは、大きなナイフを取り その上にのせられ、しつかり口ーフでくくりつけられた。。、【 だすと、ロープのあまっているはしを切り、そして、言った。 ほねき 「さて、骨切り医者さんや、このばちあたりは、用意できましたぜ。あと、五つ出してい ただきてえね。さもなくば、こいつあ、ここへおいとくと。」 ーが一一 = ロった。 「そのとおりだ ! 」と、インジャン・ 「おい、何を言うんだ。」と、医師は言った。「前ばらいしてくれというから、はらってや ったじゃないか。」 「そうさ、それで、おめえさん、まだほかのこともしてくれたぜ。」と、インジャン・ 1 が、そのとき、もう立ちあがっていた医師のそばに近づいていて、言った。「五年前のある 晩、食い物をもらいにいったおれを、おめえさんは、おめえのおやじの家の勝手口から、追 んだしたじゃねえか。それで、おめえ、おれなんざあ、ろくなことしねえとぬかしやがった。 それで百年たっても、この仕返しはするぞと、おれが言ったら、おめえのおやじは、おれを わす ろうや 浮浪者というので牢屋へぶちこみやがった。おめえ、このおれが忘れると思うのか。インジ ャンの血は、むだには流れちゃいねえぞ。さあ、こんどこそ、おめえをとつつかまえたんオ ふろうしゃ 149

6. トム・ソーヤーの冒険 上

ケットからはみだしていた。トムは、ハンカチを持っていなかった。そして、持っているも のはきざなやつだとみなしていた。 かいしゅう 会衆がいつばいになったので、ぐずぐずしてる人たちゃ、おくれた人たちを呼ぶために、 かいろう もう一度鐘が鳴り、それから、教会は沈黙につつまれて、ただ回廊の合唱隊のしのび笑いと れいは ) ささやきだけが聞こえていた。合唱隊というものはいつも、礼拝の間じゅう、くすくす笑っ ゝリこ、おぎようぎのよい合唱隊が一組、 たり、こそこそ話をしたりするものである。いっカ前冫 、まはおばえていない。 どこかにあったことを、わたしは知っているが、どこであったか、し それは、かなり前のことで、ほとんど何も思い出せないが、どうも外国のことだったらしい ばくし 牧師さんは、賛美歌の番号をつげ、そして、それをいかにもたのしげな、その地方で称賛さ おんてい れている、きみような調子をつけて読みあげた。それは、最初、ふつうの音程からはじまり、 じりじりと高まってゆき、ついに、ある点まで達すると、そのことばを、ひどく強めて言っ 一気にさがるやりかたである。 てから、まるで飛びこみ台からでもとびおりるように、 「我が主のいくさのさきがけして、血の海をこえて友はかちぬ わ かね しゅ ちんもく しようさん わら

7. トム・ソーヤーの冒険 上

らないもののように思われるのだがーーーその理由は、よくわからない。なぜかというと、賛 じゅなんしゃ 美歌の本も楽譜も、その受難者たちは、けっして使わないのだ。 校長先生は、茶色の髪の毛はみじかく、ヤギひげも、しよばしょぼの、三十五になる、や せた人だった。かたい、幅の広いカラ 1 をしていたが、カラ 1 の上のはしは、もうすこしで 耳までとどき、前のするどくとんがった先は、ロのすぐわきまでつき出していた。そのよう かきね すは、まるでカラーの垣根をめぐらしているようで、そのため、ぜひともまっすぐ前を見て いなければならず、横を見たいときは、ゝ カらだ全体を動かさなければならなかった。あごは、 札くらい広くてながい、 へりかざりのついたネクタイの上にのつかっていた。靴の先は、当 かっそうぶ 時の最新式で、そりの滑走部の先のようにきゅうとっきたっていたが、それは、青年たちカ かべ 何時間もその靴の先を壁にあてて、じっとしんぼうづよく腰かけていたあげくに得た結果で あった。 ウォルタ 1 ズ先生は、態度も非常にまじめで、気だてもたいへん真実みのある、正直な人 しゅうきようてき ぞく だった。そして、宗教的なものとか場所とかを、たいへんたっとび、ほかの俗つほい事がら とは区別をつけていたので、自分でも知らないまに、先生の日曜学校むけの声には、ほかの さっ かみ くっ

8. トム・ソーヤーの冒険 上

わす ため息をつき、カプトムシのことは、まったく忘れて、その上へおすわりした。とたんに、 けたたましいなき声がおこって、むく犬は、通路を走りだした。なき声はつづき、犬もとま せいだん らなかった。犬は聖壇の前を横ぎり、もう一つの通路から、後ろの入口の方へと走りぬけた。 それから、折れて、いくつかのドアの前をつつきり、また折れて、なきわめきながら、 しよいよっのり、ま オカし犬の苦しみは、、 まで走らなかった通路に走りこんだ。走るにしこゞ、、 もなく犬は、光の輝きと速度をもって軌道を走っている、毛皮につつまれた彗星のように見 えて来た。とうとう、気も狂わんばかりになったこの受難者は、そのコースをはずれて、ご 主人のひざにとびのった。ご主人は窓の外に、犬をほうり出した。かなしみの声は、急速に 遠のいて、消えた。 もうこのころになると、教会じゅうに集まった人たちはみな、まっかな顔をして、笑いを たちおうじよう こらえるのに、もつまりそうになっていた。お説教も、まったく立往生だった。まもなく、 お話は、またはじめられたが、どうも、つまりがちで、人の心を動かすなどということは、 げんしゆく とてもできない相談になっていた。もっとも厳粛な意見をのべている時でさえ、まるで、こ の気のどくな牧師さんが、めったにないほどこつけいなことを言っているように、どこか遠 ばくし かがや そくど くる まど きどう じゅなんしゃ すいせい わら

9. トム・ソーヤーの冒険 上

持ってゆくことで、トムの良心は大いになぐさめられた。 村人たちは、インジャン・ジョ 1 も、死体をぬすんだというので、からだにコールターを そのころアメリカでお、 引きまわしたいと熱しに 塗り、その上に ( ネをく「つけ、横木にのせて ( こなわれていた私刑 ーの性質があまりにものすごいため、先にたってやろうという者もなく、 望んでいたが、ジョ しんもん その話はやめになった。ジョ 1 は、審問されたとき、二度とも、用心ぶかく、けんかのとこ ろから話をはじめて、その前の墓あばきのことは語らなかった。そこで、当分の間、この事 件は、裁判に持ち出さない方がいいだろうということになった。 さいばん 181

10. トム・ソーヤーの冒険 上

をそらしたが、もしやだれかが、自分たちの目くばせのなかに、何かを発見しはしなかった かと心配した。しかし、すべての者は、しゃべっていた。そして、目の前のものすごい光景 にしをうばわれていた。 「かわいそうに わかもの 「気のどくな若者さ ! 」 「これが、墓あばきのみせしめになれば、、、 「つかまれば、マフ・ポッタ 1 は、しばり首だな ! 」 人びとのしゃべっているのは、だいたい、 こういう意味のことだった。 そして、牧師さんの日く、 「これが裁きだ。神の手がここにある。」 ・ジョーのず この時、トムは、頭から足の先まで身ぶる、しこ。ト もオムの目が、インジャン ぶとい顔にとまったのだ。と、ちょうどこのとき、人びとは、どよめきはじめ、いく人かが さけんた。 「あいつだ ! あいつだ ! あいつは、自分からやって来たぞ ! 」 173