、ノ . 乙ー , - に綉イ、当 尸イ / を ( ながら、目の前には「きりとくりひろげられた。そうな「たとき、トムの名はどんなに世界 にとどろき、人びとは、なんとおぞけをふるうことだろう。ト ムの、長く、低く、黒い船体 フォア はた の快速船、「嵐の精」号で、前マストにおそろしい旗をはためかせながら、波うつ海を突き進 ぜっちょう むところは、なんという輝かしい光景だろう。その名声の絶頂に達したとき、トムはとつじ すがた 風雨にさらされ、日にやけた姿を、この古くさい村にあらわすのだ。そして、黒ビロウ ながぐっ ドの胴着に半ズボン、ひざの上まで来る長靴、まっかな幅びろい帯。ベルトには、。 ひかびか どうぎ あらし 新ド、 132
かた びしりつとムチが、ものすごい勢いでトムの肩に落 ちて来た。それから、おなじ勢いで、ジョーの肩にも 落ちた。そして、それから二分ばかりというもの、ふ たりの上着からは、もうもうとしたほこりが立ちのば 、全校生徒は、喜んでそれを見物した。ふたりの少 むちゅう 年は、あまり夢中だったので、しばらく前に先生が、 しのび足でそばまでやって来て、教室じゅうがし 1 んとなったことには気がっかなかったの だ。先生は、自分もふたりの仲間入りして、曲芸のひとくさりをや 0 て見せる前に、トムた ちの芸当をかなり長い間、見物していたのであった。 おひるで学校がお休みになったとき、トムは、べッキー・サッチャーのところへとんでい って、ささやいた。 「ポンネットをかぶって、家へかえるふりをおしよ。そして、かどまでいったらね、みん よこちょう なの目をくらまして、横丁を通「てかえ「ておいでよ。ばくも、べつの道からいって、そう やって逃げてくるからね。」 なかま 119
1 が、からだを洗っていたなどということは、まこと さつじんはんにん に疑わしかった。また、町では、その「殺人犯人」 たいしゅう 大衆というものは、とかく、いそいで証拠をせんさく したり、判決をくだしたりしたがるものであるーーーを、 そうさく しらみつぶしに捜索したが、見つけることができなか ったという話だった。馬に乗った大ぜいの人間が、あ らゆる方角のあらゆる道にとび、保安官は、夜になるまでにポッターは逮捕されるだろうと かくしん 「確信していた」。 きず 村じゅうの人間は、なだれるように墓地へ出かけていった。トムは心の傷も消えて、行列 に加わった。もちろん、できれば、なんとかほかのところへいきたかったのだが、おそろし 説明のつかない力が、一トムをひつばっていったのである。そして、ものすごい現場につ くや、トムは、群集をかきのけて、小さいからだを前におしだし、そのむごたらしい光景を うで むかし ながめた。前にそこにいたのは、ずっと昔のことのような気がした。だれかが、トムの腕を 、、ツクルべリの目とぶつかった。そして、ふたりはすぐ目 つねった。トムはふりかえって ・ ~ ー u ド「 POTTER-. たいほ しようこ 172
かられたが、そんなことは、すこしも気にかからないようすだった。トムは、おばさんのす さとう ぐ目の前で、お砂糖をとろうとして、手首を。ハンとぶたれた。 トムは一一 = ロった。 さとう 「おばさんは、シッドがお砂糖とった時なら、ぶたないじゃないか。」 「だけど、シッドは、おまえのように、ひとをこまらせやしませんよ。おまえなら、わた しが見はっていなけりや、しよっちゅうお砂糖に手をつつこんでいるんだろ。」 まもなく、おばさんは、台所へいった。シッドは、しかられなかったので、大得意で砂糖 つば ~ 手をのばした。トムを見くだしたそのようすは、もうがまんができないくらいだ「た。 ごまんえっ ところが、シッドは手をすべらし、つぼはテ 1 ブルから落ちて、われた。トムは、御満悦だ った。あまり御満悦だったので、ロをつぐんで、だまっていた。トムは心のなかで、おばさ んが、はいって来ても、だれがいたずらをしたのかときくまでは、だまっていようと考えた。 もはん そして、きかれたならば、言おう。おばさんのお気に入りの模範少年が、「お目玉」をちょう だいするところを見るほど、おもしろいことがあるだろうか。トムは、もうすっかりうれし めがね くなってしまい、おばさんが . もどってきて、そのこわれ物を前にし、眼鏡の上から、怒りの ごまんえっ だいとくい さとう
ばん ホノターは、大きなナイフを取り その上にのせられ、しつかり口ーフでくくりつけられた。。、【 だすと、ロープのあまっているはしを切り、そして、言った。 ほねき 「さて、骨切り医者さんや、このばちあたりは、用意できましたぜ。あと、五つ出してい ただきてえね。さもなくば、こいつあ、ここへおいとくと。」 ーが一一 = ロった。 「そのとおりだ ! 」と、インジャン・ 「おい、何を言うんだ。」と、医師は言った。「前ばらいしてくれというから、はらってや ったじゃないか。」 「そうさ、それで、おめえさん、まだほかのこともしてくれたぜ。」と、インジャン・ 1 が、そのとき、もう立ちあがっていた医師のそばに近づいていて、言った。「五年前のある 晩、食い物をもらいにいったおれを、おめえさんは、おめえのおやじの家の勝手口から、追 んだしたじゃねえか。それで、おめえ、おれなんざあ、ろくなことしねえとぬかしやがった。 それで百年たっても、この仕返しはするぞと、おれが言ったら、おめえのおやじは、おれを わす ろうや 浮浪者というので牢屋へぶちこみやがった。おめえ、このおれが忘れると思うのか。インジ ャンの血は、むだには流れちゃいねえぞ。さあ、こんどこそ、おめえをとつつかまえたんオ ふろうしゃ 149
ケットからはみだしていた。トムは、ハンカチを持っていなかった。そして、持っているも のはきざなやつだとみなしていた。 かいしゅう 会衆がいつばいになったので、ぐずぐずしてる人たちゃ、おくれた人たちを呼ぶために、 かいろう もう一度鐘が鳴り、それから、教会は沈黙につつまれて、ただ回廊の合唱隊のしのび笑いと れいは ) ささやきだけが聞こえていた。合唱隊というものはいつも、礼拝の間じゅう、くすくす笑っ ゝリこ、おぎようぎのよい合唱隊が一組、 たり、こそこそ話をしたりするものである。いっカ前冫 、まはおばえていない。 どこかにあったことを、わたしは知っているが、どこであったか、し それは、かなり前のことで、ほとんど何も思い出せないが、どうも外国のことだったらしい ばくし 牧師さんは、賛美歌の番号をつげ、そして、それをいかにもたのしげな、その地方で称賛さ おんてい れている、きみような調子をつけて読みあげた。それは、最初、ふつうの音程からはじまり、 じりじりと高まってゆき、ついに、ある点まで達すると、そのことばを、ひどく強めて言っ 一気にさがるやりかたである。 てから、まるで飛びこみ台からでもとびおりるように、 「我が主のいくさのさきがけして、血の海をこえて友はかちぬ わ かね しゅ ちんもく しようさん わら
らないもののように思われるのだがーーーその理由は、よくわからない。なぜかというと、賛 じゅなんしゃ 美歌の本も楽譜も、その受難者たちは、けっして使わないのだ。 校長先生は、茶色の髪の毛はみじかく、ヤギひげも、しよばしょぼの、三十五になる、や せた人だった。かたい、幅の広いカラ 1 をしていたが、カラ 1 の上のはしは、もうすこしで 耳までとどき、前のするどくとんがった先は、ロのすぐわきまでつき出していた。そのよう かきね すは、まるでカラーの垣根をめぐらしているようで、そのため、ぜひともまっすぐ前を見て いなければならず、横を見たいときは、ゝ カらだ全体を動かさなければならなかった。あごは、 札くらい広くてながい、 へりかざりのついたネクタイの上にのつかっていた。靴の先は、当 かっそうぶ 時の最新式で、そりの滑走部の先のようにきゅうとっきたっていたが、それは、青年たちカ かべ 何時間もその靴の先を壁にあてて、じっとしんぼうづよく腰かけていたあげくに得た結果で あった。 ウォルタ 1 ズ先生は、態度も非常にまじめで、気だてもたいへん真実みのある、正直な人 しゅうきようてき ぞく だった。そして、宗教的なものとか場所とかを、たいへんたっとび、ほかの俗つほい事がら とは区別をつけていたので、自分でも知らないまに、先生の日曜学校むけの声には、ほかの さっ かみ くっ
わす ため息をつき、カプトムシのことは、まったく忘れて、その上へおすわりした。とたんに、 けたたましいなき声がおこって、むく犬は、通路を走りだした。なき声はつづき、犬もとま せいだん らなかった。犬は聖壇の前を横ぎり、もう一つの通路から、後ろの入口の方へと走りぬけた。 それから、折れて、いくつかのドアの前をつつきり、また折れて、なきわめきながら、 しよいよっのり、ま オカし犬の苦しみは、、 まで走らなかった通路に走りこんだ。走るにしこゞ、、 もなく犬は、光の輝きと速度をもって軌道を走っている、毛皮につつまれた彗星のように見 えて来た。とうとう、気も狂わんばかりになったこの受難者は、そのコースをはずれて、ご 主人のひざにとびのった。ご主人は窓の外に、犬をほうり出した。かなしみの声は、急速に 遠のいて、消えた。 もうこのころになると、教会じゅうに集まった人たちはみな、まっかな顔をして、笑いを たちおうじよう こらえるのに、もつまりそうになっていた。お説教も、まったく立往生だった。まもなく、 お話は、またはじめられたが、どうも、つまりがちで、人の心を動かすなどということは、 げんしゆく とてもできない相談になっていた。もっとも厳粛な意見をのべている時でさえ、まるで、こ の気のどくな牧師さんが、めったにないほどこつけいなことを言っているように、どこか遠 ばくし かがや そくど くる まど きどう じゅなんしゃ すいせい わら
持ってゆくことで、トムの良心は大いになぐさめられた。 村人たちは、インジャン・ジョ 1 も、死体をぬすんだというので、からだにコールターを そのころアメリカでお、 引きまわしたいと熱しに 塗り、その上に ( ネをく「つけ、横木にのせて ( こなわれていた私刑 ーの性質があまりにものすごいため、先にたってやろうという者もなく、 望んでいたが、ジョ しんもん その話はやめになった。ジョ 1 は、審問されたとき、二度とも、用心ぶかく、けんかのとこ ろから話をはじめて、その前の墓あばきのことは語らなかった。そこで、当分の間、この事 件は、裁判に持ち出さない方がいいだろうということになった。 さいばん 181
をそらしたが、もしやだれかが、自分たちの目くばせのなかに、何かを発見しはしなかった かと心配した。しかし、すべての者は、しゃべっていた。そして、目の前のものすごい光景 にしをうばわれていた。 「かわいそうに わかもの 「気のどくな若者さ ! 」 「これが、墓あばきのみせしめになれば、、、 「つかまれば、マフ・ポッタ 1 は、しばり首だな ! 」 人びとのしゃべっているのは、だいたい、 こういう意味のことだった。 そして、牧師さんの日く、 「これが裁きだ。神の手がここにある。」 ・ジョーのず この時、トムは、頭から足の先まで身ぶる、しこ。ト もオムの目が、インジャン ぶとい顔にとまったのだ。と、ちょうどこのとき、人びとは、どよめきはじめ、いく人かが さけんた。 「あいつだ ! あいつだ ! あいつは、自分からやって来たぞ ! 」 173