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検索対象: トム・ソーヤーの冒険 上
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1. トム・ソーヤーの冒険 上

た夜気をとおしてひびきわたった ! ふたりがふりかえると、のら犬は、ポッターの寝てい る場所から二、三フィ 1 トとはなれていないところで、ポッターの方を向き、鼻を空にもちあ げて吠えていた。 「ああ、あいつに吠えてたんだ ! 」と、ふたりは同時に言った。 ー・ミラーんちのまわりで 「なあ、トム 二週間ばかしめえにな、夜なかに、ジョニ のら犬がほえたって、みんなが言ってたぜ。それで、おんなじ晩に、ヨタカもやって来て、 手すりにとまって、ないたと。それでも、まだだれも死なねえな。」 「うん、そりや、おれも知ってる。だけど、だれも死ななくたって、すぐっぎの土曜日に、 グレイシ ー・ミラ 1 が、台所の火んなかへころんで、ひどいやけどしたじゃないか。」 「うん、だけど、死にやしねえ。それによ、よくなってきたぞ。」 「うん、だけど、もうすこし待ってみろ。グレイシーは、死に神にみこまれてるんだ。マ フ・ポッタ 1 みたいにな。黒んぼたちは、そう言ってるぞ。黒んばときたひにや、そういう ことは、よく知ってるんだからな、ハック。 それから、ふたりは、考えこみながら、わかれた。トムが、寝室の窓からしのびこんだの ばん しんしつまど 167

2. トム・ソーヤーの冒険 上

わって、とうとう、すり鉢のようなへこみのある場所を見つけた。それから、そこへ寝そべ へこみに口をよせ、大声で言った。 「アリジゴク、アリジゴク、おれの知りたいこと、おせてくれ。アリジゴク、アリジゴク、 おれの知りたいこと、おせてくれ ! 」 すな 砂が動きだして、まもなく小さい黒い虫が出て来たが、おどろいて、すぐまたひっこんオ ゝ、こ去」士った 0 「教えてくれなかったぞ。じゃ、あいつをやったのは、やつばり魔法っ力も冫 おれもそうだと思ったんだ。」 魔法つかいと争うのは、むだだということは、トムも知っていた。そこで、それはあきら めたが、さっき捨てたビー玉は拾った方がいいと気がっき、また念入りにさがしはじめた。 けれども、玉は見つからなかった。そこで、こんどは、宝物箱のところへもどると、あのビ ー玉をなげたときとおなじ場所に立って、もう一つのビ 1 玉をポケットから取り出し、 さがしてこい 「きようだい、おまえのきようだい、 ! 」と言って、投げた。 いってさがした。けれど、 トムは、その玉のとまったところをよく見さだめると、そこへ それは、近すぎたか、遠すぎたかしたらしかった。そこで、あとまた二度やった。最後のと ほうもつばこ まほう 135

3. トム・ソーヤーの冒険 上

ろ ! そ、つれ、威勢よく。」 「がってんだ ! 」 メイントガランスル 「主上帆檣、ひろげろ ! 帆脚索と操桁索ゆるめろ ! そうれ、者ども ! 」 「がってんだ ! 」 しもてかじ おもかじ へさき 「下手舵ーー面舵いつばい 船がくる ! 船首ふれぬよう用意 ! 面舵 ! 面舵 ! そ うれ、みなの衆 ! 力いつはい そのままあああ ! 」 「がってんだ。そのまま ! 」 イカダは、川の中央をすぎた。少年たちは、イカダの先を川下へ向けなおし、かいを休め た。水かさは多くはなく、流れは時速二、三マイルを出なかった。つづく四十五分ほどは、三 人ともほとんど無言だった。イカダはいま、村を遠くにながめながら、すぎるところであっ た。星をちりばめた暗い、広い水のむこうに見える二つ三つのともし火は、この大事件の起 きていることも知らずに、静かに眠っている村のありかを示していた。 うで おおうなばらふくしゅうしゃ 「大海原の復讐者」は、腕をくみ、じっと立って、前には、喜びの場所であり、のちには しま自分が荒海を越え 苦しみの . 場所と・な「た、その村を見おさめた。そして、「あの子」に、、 しゅう シ ねむ プレイス あらうみこ 202

4. トム・ソーヤーの冒険 上

キャンプのなかのものは、たき火もなにも、びしょぬれだった。三人は、どの子どもたち ほね とも同じように、不注意で、雨の用意はしてなかった。それで、骨まで水びたしになってい さいなん オカすこしし たというのは、こまったことだった。三人は、しきりにこの災難をこばしこ。。、、 て、気がついてみると、さっき、大きな丸太の、地面から丸くもちあがっている腹のところ に立てかけて燃やしたたき火が、おく深くくいこんでいて、手のひらほどの場所が、まだぬ れないで残っていた。そこで、あちこちのぬれていない丸太のかげから、木ぎれや木の皮を しんばうづよく集めて、たきつけた。そしてとうとう、ばうばう火を燃やしつけて、三人と えんかい もまた元気になることができた。三人は、 ( ムのかたまりをかわかし、宴会をひらいた。そ れがすむと、たき火のわきにすわりこみ、朝になるまで、その夜の冒険を大げさに話したり、 、ばったりした。というのは、どこにも横になれるほどのかわいた場所がなかったからだ。 さす 日の光が子どもたちの上にさしはじめたころ、みんなはねむくな「たので、砂州に出かけ、 横になり、ねむった。そのうち、やけどするほどじりじり焼かれ、元気なく、朝はんの支度 食事がすむと、だるくて、からだの節々はいたみ、またすこしホームシックに なった。トムは、そのけはいをみとめて、できるだけ海賊たちを元気づけた。けれど、ジョ まるた ふしぶし かいぞく ばうけん したく 252

5. トム・ソーヤーの冒険 上

たので「泣き声をのみこまなければならなくなり、もうすこしで息がつまりそうだった。そ なみだ して、涙い「ばいの目はかすみ、まばたきをすると、涙が流れ出して、鼻の先からしたたり 落ちた。こうして、自分のかなしみを大げさに考えることは、トムにとっては、たいした満 足だ「たので、「ぼい陽気さや、こ「ちの気分にあわない、 この世の喜びのために、自分 の心が、かきみだされることは、まっぴらだった。トムのかなしみは、そのようなものと触 しんせい れあうには、あまりにも神聖だった。そこで、一週間という長 しいなかへお客にいって いたいとこのメアリが、またわが家に帰って来たうれしさに、おどるようにはいって来たと き、トムは立ちあがった。そして、メアリが、歌と日光をともなってはい「て来たのとは、 べつの戸口から、雲とやみのなかに出ていった。 トムは、子どもたちがいつもぶらっく場所からはなれた、遠いところをさまよい、自分の 気分につりあった、さびしい場所をさがした。川岸のイカタが、いかにも自分を招いている ような気がしたので、そのイカダの、 川に向かった方のヘりに腰かけ、さびしく、はてしな いっしゅん い流れをながめた。そして、自然のたくらんだ、不愉快な順序などはふまないで、ただ一瞬 かん 間で、知らないまに、おばれ死んでしまえるものなら、死んでしまいたいと思った。それか な く ふゆかい こし

6. トム・ソーヤーの冒険 上

いう考えだった。しかし、トムの意見を聞いてからは、罪の生活の方が、はるかに有利な点 みと のあることを認めた。そこで、ジョーは海賊になることに賛成した。 セント・ピ 1 タ 1 ス。 ーグから三マイルの川下、ミシシッビ川が一マイルちょっとの広さ になっている地点に、長細い、せまい、木の茂った島が一つあった。島の上のところには、 あささす 浅い砂州があって、これは集合地には便利のいい場所だった。島には、人が住んでいなかっ た。そして、この島は、対岸のイリノイ州がわにずっと近く、そちらの、ほとんど無人の密 りんかた 林と肩をならべていた。そこでふたりは、このジャクソン島を選んだ。だれがふたりの海賊 かぎようひがいしゃ 稼業の被害者となるかという問題については、ふたりは考えてみなかった。それから、 なかま クルべリ フィンをさがしにゆくと、 ノクもすぐ仲間に加わった。ハックにとっては、ど んな生活も、みんな同じで、どれでもよかったのだ。 それから、まもなく、三人は別れたが、その時にはもう、村から二マイル川上のさびしい やくそく 場所で、彼らの好みの時間ーーーすなわち、ま夜中に会う約束ができていた。そこにある、 ぶんど ひょうろう さい丸太のイカダを分捕るつもりであった。それぞれ、釣り竿と釣り針、それから、兵糧も、 きようあく いかにも海賊に似つかわしく、一ばん凶悪な、神秘的な方法で盗み出して持ってゆくことに まるた かれ かいぞく この かいぞく しんびてき つみ ざお ぬす かみ かいぞく みつ 197

7. トム・ソーヤーの冒険 上

トムのむは、人間の考えのとどくことのできるかぎりの場所をかけめぐり、その手は、 気ばらしになる、いろいろなレクリエ ションにいそがしかったのだから。メアリは、トム の本をとって、暗誦させオ こ。トムは、霧をわけて進んオ 「幸福なるかなーー・あ、あーー」 さいわい 「ああ、しだ。幸福なるかな、心、あーー・」 「心の貧しき者ーー」 さいわい 「心の貧しき者。幸福なるかな、心の貧しき者、天国へーー天国へ 「天国は、その人のものなり。」 「天国は、その人のものなり。幸福なるかな、心の貧しき者、天国はその人のものなり。 さいわい 幸福なるかな、悲しむ者、あーー」 「悲しむ者、あーー」 「そ、の、ひーーー」 きり

8. トム・ソーヤーの冒険 上

なかった。それは、がっかりさせられるような仕事だった。ジョ 1 は、とてもしずみきった 顔つきで、棒で砂をつついていた。 と、つと、つ、ジョ 1 は = = ロった。 「おい、おまえたち、もうやめようよ。おれ、うちへ帰りたくなったんだ。とてもさびし くなっちゃった。」 「いやあ、ジョー、そのうち、だんだん元気になるよ。」と、トムは言った。「ここの釣り のこと考えてみろよ。」 「おれは、釣りなんかしたくないんだ。おれはうちに帰りたいんだ。」 「だけど、ジョ こんな泳ぎ場所は、ほかにはないぜ。」 「咏ぎなんて、つまんないよ。どういうもんだか、も と、泳ぎたくなんかないや。おれは、うちへ帰る。」 「ちえつ、赤んばだな。おっかさんの顔、見たくなったんだろ。」 おまえだって、見たいだろ、おっ 「そうさ。おれは、おっかさんの顔、見たいんだ かさんがいれば。おれが赤んぼなら、おまえだって赤んばだ。」 ばうすな っ 、っちゃいけよいっていう人がいない っ 239

9. トム・ソーヤーの冒険 上

の子どもは日曜学校ーートムが心 からきらいで、メアリとシッドの すきな場所ーーへ出かけていった。 日曜学校は、九時から十時半ま であ 0 た。そして、そのあとが教 会の礼拝だった。三人のうちふた りは、すすんでお説教まで残った。 そして、あとのひとりも、いつも 残った。が、それは、もっと別な、 大きな理由があるからだった。教会の、寄りかかりの高い、クッションのついていない腰か とう けには、三百人の人がかけられた。建物は、小さい見ばえのしないもので、上には塔のかわ まついたはこ りに、松板の箱のようなものがのつかっていた。入口で、トムは一あしおくれ、よそゆき着 の友だちに話しかけた。 「おい、ヒリー 黄いろい札、持ってるか ? 」 ふだ れいはい こし

10. トム・ソーヤーの冒険 上

ぐちをこばしているのではあるまいかと、トムはこわくなった。少年たちは、時と場所と、 あたりの厳粛さ、静かさにけおされて、すこししか、それもほとんどささやくようにしか話 せなかった。ふたりは、目あてにして来た、あたらしい土まんじゅうを見つけると、その墓 から二、三フィートもないところにかたまって立っている、三本の大きなニレの木のかげに 身をおいた。 それから、ずいぶん長い時間のように思える間、じっとだまって待っていた。物音ひとっ ない静けさを乱すものは、遠くのフクロウのホウホウ鳴く音だけだった。トムは、とうとう 気もちが重くるしくなり、何か話しださずにはいられなくなって、小声でささやいた。 「ハッキー、おまえな、死んだ人間がさ、おれたち来 てもいやがらないと思うか ? 」 、ツクルべリはささやいた。 「それがわかれ、、。ゝ ーししカよ。ずいぶんしんとしてるじ ゃねえか、え ? 」 「ほんとにな。」 げんしゆく みだ 143