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検索対象: トム・ソーヤーの冒険 上
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1. トム・ソーヤーの冒険 上

、つしょになった。 ところが、ジョーの方は、回復できないまでに気がめいってしまっていた。ジョーは、ホ まにも涙が流れ ームシックにとりつかれ、もうその苦しさにがまんできなくなっていた。い だしそうだった。それにハックも、しょげていた。トムも元気はなかったけれど、一生けん めい、そのけぶりを見せまいとした。トムは、一つ、秘密を持っていて、もうすこししたら、 打ちあけようと思っていたのだが、このむほんをおこしそうな意気消沈の状態がいつまでも つづくとしたら、話さなくてはならなくなるだろう。 トムは大いに元気なようすを見せて、言った。 「おい、おまえたち、おれはきっと、この島には、前に海賊がいたんだと思うぜ。もう一 たからもの たんけん 度、この島、探険しようよ。やつら、この島のどこかに宝物、かくしてあるんだよ。金や銀 が、つば、はいってる、くさった箱にぶつかったら、どんな気もちがするだろうなあ、お けれど、みんな、かすかな熱を示したばかり。それもすぐ、返事も出ないうちに消えてし まった。トムはそれからも一つ二つ、そそのかすようなことを言ってみたが、これも成功し ひみつ かいぞく きしようちん なみだ 238

2. トム・ソーヤーの冒険 上

わって、とうとう、すり鉢のようなへこみのある場所を見つけた。それから、そこへ寝そべ へこみに口をよせ、大声で言った。 「アリジゴク、アリジゴク、おれの知りたいこと、おせてくれ。アリジゴク、アリジゴク、 おれの知りたいこと、おせてくれ ! 」 すな 砂が動きだして、まもなく小さい黒い虫が出て来たが、おどろいて、すぐまたひっこんオ ゝ、こ去」士った 0 「教えてくれなかったぞ。じゃ、あいつをやったのは、やつばり魔法っ力も冫 おれもそうだと思ったんだ。」 魔法つかいと争うのは、むだだということは、トムも知っていた。そこで、それはあきら めたが、さっき捨てたビー玉は拾った方がいいと気がっき、また念入りにさがしはじめた。 けれども、玉は見つからなかった。そこで、こんどは、宝物箱のところへもどると、あのビ ー玉をなげたときとおなじ場所に立って、もう一つのビ 1 玉をポケットから取り出し、 さがしてこい 「きようだい、おまえのきようだい、 ! 」と言って、投げた。 いってさがした。けれど、 トムは、その玉のとまったところをよく見さだめると、そこへ それは、近すぎたか、遠すぎたかしたらしかった。そこで、あとまた二度やった。最後のと ほうもつばこ まほう 135

3. トム・ソーヤーの冒険 上

がちちれているのを、トムは、実ににがにがしく思っていたのだ。 ) それから、メアリが、 ムの服をとり出した。これは、この二年間、日曜日だけに着られたもので、トムの「もうひ とつの服」と呼ばれているのをみれば、まずそれで、トムの衣装の数もわかるというものだ った。トムが着かえ終わると、メアリが「仕あげ」をした。上着のボタンを、あごの下まで かけ、大きなシャツのえりを肩までおろし、すっかりプラシをかけると、ぼちほちのついた 麦わら帽子をてつ。へんにのせた。い まやトムは、大いにふうさいをあげ、そして、きゅうく っそうに見えた。そして事実、トムは見かけ同様、きゅうくつだった。服は、どこもここも おさえつけられるようで、ぞっとするほど、きれいさつばりしていた。靴のことは、メアリ わす が忘れていてくれれま、、ゞ ーもも力と思ったのだが、それもむなしい望みだった。メアリはいつも あぶらぬ のとおり、ていねいに脂を塗った靴をもって来た。トムは、かんしやくをおこして、自分は いつだって、したくないことばかりさせられるんだと言った。 けれど、メアリは、なだめるように言った。 「トム、どうぞ いい子だからね。」 そこで、トムは、あくたいをつきながら、靴をはいた。メアリはすぐ用意ができて、三人 ばうし かた くっ いしよう くっ

4. トム・ソーヤーの冒険 上

ポリ 1 おばさんは、ちょ っとのま、あっけにとられ て立っていたが、すぐ静か に笑い出した。 「ほんとにあの子ときた 一ら。わたしも、何度やられ ても懲りないんだからね。 もういままで、さんざあの手で、わたしをだましてきたじゃないか。いいかげん、わたしも、 あの子のすることにや、ゆだんをなくなりそうなものなのに。でも、年と「たばかほど、 ばかなものはない「ていうからね ~ お、ばれ犬には、新しい芸は仕こめない「て、ことわざ にもあるじ ~ ないか。だけど、まとにあの子ときたら、二日とおんなじことをやる「てこ とはないんだから、このつぎに何をやり出すかなんてことは、まったく見当もっきやしない よ。どのくらい、じらしてれば、わたしがかんしやくをおこすか、あの子にはちゃんとわか ってるんだし、あと一分ごまかすか、わたしを笑わすかしてしまえば、それでおしまいにな / / 叫ル わら わら

5. トム・ソーヤーの冒険 上

それから、ポッターは言った。 「なんだか、これを取りに帰ってこなけりゃなんねえような気が , ・・ーー」と言って、ポッタ ーは身ぶるいした。それから、カない手を、もうだめだというように振って、「みんなに話し てくれ、ジョー。みんなに話してくれ ! もういくらやったって、おしめえだ。」 むじひ それから 、、ツクルべリとトムは、だまりこくって、目をまるくしながら、その無慈悲な うそっき男、ジョーが、すましてしゃべりたてるのを聞いた。その間じゅう、 ふたりは、、 らいめい まにも晴れた空から、神の雷鳴がジョーの頭の上に落ちてくるのではないかと待ちうけ、そ の一撃がいつまでもやってこないのをふしぎだと思った。そして、とうとう、そやつの話が 終わっても、まだ何の傷もうけず、死にもしないで立っているのを見た時には、自分たちの ちか 誓いを破って、あわれな、そむかれた捕われ人を救ってやろうかなどという迷いは、消えて あっかん あくまたましい しまった。なぜなら、この悪漢は、あきらかに悪魔に魂を売ったのだから、そのような力を 持っている男とかかりあいでもしようものなら、こっちの命があぶないと、ふたりは思った のだ。 「なぜ逃げなかったんだ ? なぜここへ来たくなったんだ ? 」と、だれかが言った。 いちげき きず とら 176

6. トム・ソーヤーの冒険 上

「そんなにいじわるするなら、あたし、自分で見るわ。」 そして女の子が、小さい手をトムの手の上におき、ちょっとしたけんかがはじまった。ト ムは、本気にさからっているように見せながら、手はだんだんずれていって、とうとう出て 来たのカ ・、、「ばく、あなたがすきです」という文字だった。 「まあ、いけない人 ! 」 べッキーは、トムの手を、きびしくびしやりつとやったが、それでも、赤くなって、うれ しそうだった。 ちょうどその時、トムは、自分の耳が、ゆっくり、 動きのとれないくらいしつかりつかま れ、上の方へ持ちあげられるのを感じた。そして、その万力にはさまれて、トムは教室のな かをひつばってゆかれ、全校生徒のあざけるようなくすくす笑いをあびながら、自分の席に おそ おかれた。それからあとの恐ろしい何秒かのあいだ、先生はトムのそばに立っていたが、と ぎよくざ ひとこと うとう一言も言わずに、玉座にかえった。けれども、トムの耳は、じんじんいたかったとは しえ、心は喜びに満ちていた。 教室じゅうが静まってから、トムは、本気で勉強しようとしたが、心のなかの動揺は、あ まんりき わら どうよう 113

7. トム・ソーヤーの冒険 上

ここなら、 つも、おら、こんなに食わねえしなーーそれに、 こういうのが一ばんすきだな。い よそのやつらが来て、おらをつかまいて、いじめるってこともねえしな。」 いいしさ、学校へ 「おれは、こんなのだいすきだ。」と、トムは言った。「朝起きなくても いかなくてもいいしさ、顔やなんか洗わなくてもいいしさ、そんないろんな、しやくにさわ ることしなくていいんだもの。ジョー、あのな、海賊は陸にあがった時は、何もしなくてい いんだぜ。だけど、隠者なら、うんとお祈りしなくちゃいけないんだ。それに、とにかく、 ああいうふうに、ひとりばっちでいるんだから、何もおもしろいこたあないんだよ。」 「ああ、そりやそうだな。」と、ジョ 1 が言った。「だけど、おれ、あんまりよく考えなか ったんだよ。だけど、やってみれば、そりや、海賊の方が、ずっと、 むかし こ、こ、隠者になり 「あのな、」と、トムが言った。「このごろは、みんなあんまり、昔みオし。 そんけい たがらないんだよ。だけど、海賊なら、いつだって尊敬されてるんだ。それに、隠者は、一 ね あさぶくろはい ばんひどいとこ見つけて、寝なくちゃならないんだぜ。それから、麻袋と灰、頭にのつけな がら、雨ん中に立ってーーー」 「なぜ麻袋や灰、頭にのつけるんだ ? 」と あさぶくろはい いんじゃ かいぞく あら いの 、、ツクがきいた。 かいぞく かいぞく 0 いんじゃ 205

8. トム・ソーヤーの冒険 上

ろ ! そ、つれ、威勢よく。」 「がってんだ ! 」 メイントガランスル 「主上帆檣、ひろげろ ! 帆脚索と操桁索ゆるめろ ! そうれ、者ども ! 」 「がってんだ ! 」 しもてかじ おもかじ へさき 「下手舵ーー面舵いつばい 船がくる ! 船首ふれぬよう用意 ! 面舵 ! 面舵 ! そ うれ、みなの衆 ! 力いつはい そのままあああ ! 」 「がってんだ。そのまま ! 」 イカダは、川の中央をすぎた。少年たちは、イカダの先を川下へ向けなおし、かいを休め た。水かさは多くはなく、流れは時速二、三マイルを出なかった。つづく四十五分ほどは、三 人ともほとんど無言だった。イカダはいま、村を遠くにながめながら、すぎるところであっ た。星をちりばめた暗い、広い水のむこうに見える二つ三つのともし火は、この大事件の起 きていることも知らずに、静かに眠っている村のありかを示していた。 うで おおうなばらふくしゅうしゃ 「大海原の復讐者」は、腕をくみ、じっと立って、前には、喜びの場所であり、のちには しま自分が荒海を越え 苦しみの . 場所と・な「た、その村を見おさめた。そして、「あの子」に、、 しゅう シ ねむ プレイス あらうみこ 202

9. トム・ソーヤーの冒険 上

這いに這っていた。這いながら、トムは一、二度、用心ぶかくネコの鳴き声をした。それか たきぎごや フィンは、ネ ら、薪小屋の屋根にとびおり、そこから、地面にとびおりた。ハックルべー コの死んだのを持って、そこに立っていた。少年たちは出かけて、やみのなかに消えた。そ 墓地の高い草をかきわけて歩いていた。 れから三十分して、ふたりは、 きゅうしき それは、・旧式な、西部式の墓地で、村から一マイル半ほどはなれた丘の上にあった。墓地 のまわりには、こわれかかった板塀があって、それはあるところでは、内がわにのめり、ま たほかの場所では、外がわにのめり、まっすぐ立っているところはどこもないというしろも のだった。墓地全体に雑草が、ばうばうと生いしげつていた。古い墓はみな、ペこんとへこ ほひょう み、石碑は一つもなかった。墓の上には、上をまるい形にした、虫のくった板の墓標が、ぐ らぐらしながら立っていたが、それはまるで、何かつつかい棒はないかと寄りかかっては見 たものの、何もありませんでしたというかっこうだった。板の表には、まえには「だれそれ の霊をまつる」と書かれてあったのだが、もう、たとえあかるい時でも、ほとんど、どの墓 標にも、その文字は見ることができなかった。 かすかな風が、木々の間を悲しげな音をたてて通った。じゃま者がはいったので、死人が せきひ は いたぺい お おか はか 142

10. トム・ソーヤーの冒険 上

しでかしたんだ ? 」 「おれがか ? おれはしやしねえ。」 そんなこと言ったって、通らねえよ。」 ポッターは、ふるえて青くなった。 「おらあ、もう酔いはさめたと思ってたんだ。おらあ、今夜は、飲まなければよかったん だだが、まだ頭んなかに残ってらあーー出かけた時より悪いや。何がなんだかわからねえ。 ほんとんとこを。なあ、きようでえーーーお なんにも思い出せねえ。話してくれ、ジョー おらあ、する気はなかったーー正直んとこ、おらあ、する気は れがやったのか ? ジョ ま なかった。どんなふうだったんだ ? 話してくれ、ジョー。ああ、おそろしいこった だ若くて、見こみのある先生だったになあ。」 「ほうれ、おめえたち、ふたりでとっくんでよ、やつがおめえの脳天一つ、墓板でポカン とくらわしたら、おめえ、ひっくりけえったんだ。それから、おめえ、すっかりふらふら、 よろよろんなっちゃって、立ちあがるなり、ナイフをつかんで、やつがもう一つドカンとや ろうとしてるとこへ、つつこんだんだ。それで、おめえ、いままで、まるで丸太ん棒みてえ わか のうてん まるた 152